JP2008291258A - 水溶性エラスチンの架橋剤 - Google Patents
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Abstract
Description
また、血管が切断された患者に対する治療方法の一つとして、シリコーン、ポリウレタン、ポリエステルなどの合成高分子繊維を編んだ布を管状とし、その内面をコラーゲンやラミニンなどの細胞接着性タンパク質をコーティングした人工血管を、血管切断部位に移植し、該人工血管内部に内皮細胞を誘導させる方法が行われている。
さらに、動物内に移植するチューブや人工血管には、人体および各組織の動きに連動するだけの弾性が求められているが、シリコーンやポリエステルを主原料とするチューブや人工血管のヤング率(弾性率)は、適応された組織のヤング率(弾性率)が1×104〜2×106Paであるのに対し、1×107Pa以上であるため、接合部に強いストレスが起こり、その結果、血栓が生じるなどの問題を抱えており、人体の組織と同じ弾性を有する材料が求められていた。
本発明は下記の構成を有する。
(2)架橋原料がさらにコラーゲン、ゼラチン、フィブロネクチン、フィブリン、ラミニン、カゼイン、ケラチン、セリシン、トロンビンであるタンパク質、ポリグルタミン酸、ポリリジンであるポリアミノ酸、ポリガラクチュロン酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、デルマタン硫酸、コンドロイチン、デキストラン硫酸、硫酸化セルロース、アルギン酸、デキストラン、カルボキシメチルキチン、ガラクトマンナン、アラビアガム、トラガントガム、ジェランガム、硫酸化ジェラン、カラヤガム、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、カードラン、プルラン、セルロース、デンプン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、大豆水溶性多糖、グルコマンナン、キチン、キトサン、キシログルカン、レンチナンである糖質、bFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)、TGF−α(形質転換増殖因子α)、EGF(上皮増殖因子)、VEGF(血管内皮増殖因子
)、CTNF(毛様体神経栄養因子)である細胞増殖因子、ポリメタクリル酸メチル、ポリジメチルシロキサン、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカプロラクトン、ポリプロピレンエーテル、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、ポリビニールアルコール、およびポリリンゴ酸から選ばれた1種以上を含有する(1)記載のエラスチン架橋体。
(4)ヤング率が1×102〜1×107Paの範囲である(1)記載のエラスチン架橋体。
(5)内部構造が空隙を有するスポンジ構造である(1)記載のエラスチン架橋体。
(6)空隙の平均直径が20μm未満の範囲である(5)記載のエラスチン架橋体。
(7)空隙の平均直径が20μm〜2mmの範囲である(5)記載のエラスチン架橋体。
(10)コラーゲン、ゼラチン、フィブロネクチン、フィブリン、ラミニン、カゼイン、ケラチン、セリシン、トロンビンであるタンパク質、ポリグルタミン酸、ポリリジンであるポリアミノ酸、ポリガラクチュロン酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、デルマタン硫酸、コンドロイチン、デキストラン硫酸、硫酸化セルロース、アルギン酸、デキストラン、カルボキシメチルキチン、ガラクトマンナン、アラビアガム、トラガントガム、ジェランガム、硫酸化ジェラン、カラヤガム、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、カードラン、プルラン、セルロース、デンプン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、大豆水溶性多糖、グルコマンナン、キチン、キトサン、キシログルカン、レンチナンである糖質、bFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)、TGF−α(形質転換増殖因子α)、EGF(上皮増殖因子)、VEGF(血管内皮増殖因子)、CTNF(毛様体神経栄養因子)である細胞増殖因子、ポリメタクリル酸メチル、ポリジメチルシロキサン、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカプロラクトン、ポリプロピレンエーテル、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、ポリビニールアルコール、およびポリリンゴ酸から選ばれた1種以上を含有する(1)、(2)または(8)記載のエラスチン架橋体。
(12)水溶性架橋剤が、下記一般式で表される水溶性化合物であることを特徴とする(1)記載のエラスチン架橋体。
(14)形状が、糸状、膜状、棒状、ペレット状またはチューブ状である(13)記載のエラスチン成形体。
(15)(1)記載のエラスチン架橋体を用いた医療用器具。
(16)(15)記載の医療用器具を用いることを特徴とする外科治療方法。
(17)(1)記載のエラスチン架橋体、(15)記載の医療用器具を用いることを特徴とする再生医療。
(18)(1)記載のエラスチン架橋体を用いて得られた再生組織。
(19)分子中心領域に疎水性部を有し、両末端にアミノ基と反応する活性エステル基を有する水溶性化合物を含有する架橋剤。
(20)化合物が、下記一般式で表される化合物である(19)記載の架橋剤。
(22)架橋反応時の反応温度が4〜150℃の範囲であることを特徴とする(21)記載のエラスチン架橋体の製造方法。
ラン、プルラン、セルロース、デンプン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、大豆水溶性多糖、グルコマンナン、キチン、キトサン、キシログルカン、レンチナン等の糖質、bFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)、TGF−α(形質転換増殖因子α)、EGF(上皮増殖因子)、VEGF(血管内皮増殖因子)、CTNF(毛様体神経栄養因子)などの細胞増殖因子、その他ポリメタクリル酸メチル、ポリジメチルシロキサン、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカプロラクトン、ポリプロピレンエーテル、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、ポリビニールアルコール、ポリリンゴ酸などの化合物を挙げることができる。さらにはそれらの1種以上を含有しても何ら問題はない。特にコラーゲン、ゼラチン、フィブロネクチン、ラミニン、ヘパリン、コンドロイチン硫酸など細胞外マトリクス成分やbFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)などの細胞増殖因子は細胞の接着および増殖を高めるために好ましい。
)
2×106Paの範囲が好ましい。
るいはエラスチン架橋体以外の成分と複合体を形成させても良い。また、エラスチン架橋体以外の構造体の表面コーティングに用いても良い。複合体を形成させる成分としては、特に限定されるものではないが、例えばコラーゲン、ゼラチン、フィブロネクチン、フィブリン、ラミニン、カゼイン、ケラチン、セリシン、トロンビンなどのタンパク質やポリグルタミン酸、ポリリジンなどのポリアミノ酸、ポリガラクチュロン酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、デルマタン硫酸、コンドロイチン、デキストラン硫酸、硫酸化セルロース、アルギン酸、デキストラン、カルボキシメチルキチン、ガラクトマンナン、アラビアガム、トラガントガム、ジェランガム、硫酸化ジェラン、カラヤガム、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、カードラン、プルラン、セルロース、デンプン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、大豆水溶性多糖、グルコマンナン、キチン、キトサン、キシログルカン、レンチナン等の糖質、bFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)、TGF−α(形質転換増殖因子α)、EGF(上皮増殖因子)、VEGF(血管内皮増殖因子)、CTNF(毛様体神経栄養因子)などの細胞増殖因子、その他ポリメタクリル酸メチル、ポリジメチルシロキサン、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカプロラクトン、ポリプロピレンエーテル、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、ポリビニールアルコール、ポリリンゴ酸などの化合物を挙げることができる。さらにはこれらを1種以上を用いてもよい。これによりエラスチンにない細胞接着性や坑血栓性等の生体機能を付与でき、また目的とする組織の増殖速度を速めることもできる。
さらに細胞増殖速度を速め、生体適合性を改善するために、エラスチン架橋体と第3成分を含有させて本来のエラスチンにはない機能を付与することもできる。例えば、坑血栓性があり細胞増殖因子と相互作用するヘパリンや細胞増殖因子を含有させることができる。
架橋体を形成させてもよく、またエラスチン架橋体を形成させた後、その構造体に含浸させたり、その後乾燥させて物理的に吸着させたりしても良い。また更には、第3成分の脱理を抑えるために該エラスチン架橋体に化学的に固定化しても良い。
実験例1(水溶性エラスチンの調製)
粉末状水不溶性エラスチン(エラスチン・プロダクト(Elastin product) 社製)20gに対し0.25Mシュウ酸150mlを加え、100℃にて1時間処理する。冷却後、遠心分離(3000rpm, 30min)し、上澄みを集めセルロース性透析チューブ(分画分子量6千〜1万)に入れ、脱イオン水に対して48時間透析しシュウ酸を除去する。その後凍結乾燥して水溶性エラスチンを得た。原料エラスチンと水溶性エラスチンのアミノ酸分析結果を表1に示した。
脱イオン水161μlに、実験例1で得た水溶性エラスチン90mgを加え溶解させ、水溶性エラスチン水溶液を得た。該水溶液に250mMグルタルアルデヒド水溶液(東京化成社製)48.7μlを加え、直後にゲル状のエラスチン架橋体を得た。該ゲル状のエラスチン架橋体は成形用の直径2mm、長さ2cm円柱状のテンプレートに流し込もうとしたが、流動性が小さく流し込むことはできなかった。250mMグルタルアルデヒド水溶液の添加量を前述の1/10の量に下げても、テンプレートに流し込むことが困難であった。
脱イオン水41.6μlに、実験例1で得た水溶性エラスチン36mgを加え溶解させ、水溶性エラスチン水溶液を得た。該水溶液に287mMエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液42.4μlを加えよくかき混ぜ、その溶液を直径2mm、長さ2cm円柱状のテンプレートに流し込み、50℃、1時間加熱してゲル状のエラスチン架橋体を得た。得られたゲル状のエラスチン架橋体を脱イオン水で充分洗浄し両端を指で引っ張り簡易伸張試験を行った結果、伸長の変形に対して壊れやすかった。
脱イオン水10.4μlに、実験例1で得た水溶性エラスチン50mgを加え溶解させ、水溶性エラスチン水溶液を得た。該水溶液に274mM水溶性カルボジイミド(WSCD、ペプチド研究所社製)水溶液10.4μlを加え、更に645mMアジピン酸水溶液 24.4μl加えよくかき混ぜ、30%エラスチン水溶液を作成した。結果、長鎖ジカルボン酸は脱イオン水には溶解せず(アルカリ性の場合は溶解するが、その場合はカルボジイミドとの反応性が速く、やはり溶解不完全のまま一部固化し、各種テンプレート(型:ガラス管、膜作成用型など)に流し込むのは不可能であった。
脱イオン水1mlに、実験例1で得た水溶性エラスチン13mgおよび光反応性スクシンイミドエステル(NHS-ASA、N−ヒドロキシスクシンイミジル−4−アジドアルチル酸(N-hydroxysuccinimidyl-4-Azidosalicylic Acid), ピアス社製(PIERCE))4mgを加え溶解させ、室温で1日反応させた。反応終了後、未反応物を除去し精製し、光反応性エラスチン7mgを得た。これに脱イオン水20μlを加えて光反応性エラスチン水溶液とし、365nmの紫外線(UV)照射を90分間行いゲル状化させた。ゲル化後は脱イオン水で充分洗浄した。結果、架橋剤は水不溶性であるため反応性は低く、有機溶媒中ではエラスチンが不溶化するためやはり反応性が悪かった。光照射に関しても、エラスチン水溶液の濃度が薄い(数%)場合はUV光が透過するが、10%以上の濃度では、光の照射面のみの反応で集結するためゲル化率が悪く、テンプレート内での反応はほぼ不可能であった。
脱イオン水119μlに、実験例1で得た水溶性エラスチン60mgを加え溶解させた後、385mMアジピン酸スクシンイミドエステル水溶液を21μl加え、該水溶液を直径2mm、長さ2cm円柱状のテンプレートに流し込み、80℃で1時間加熱しゲル化させた。結果、架橋剤が一部不溶化しているためか、生成したゲルは弱い(テンプレートの形はなしていない)。ドデカンジカルボン酸スクシンイミドエステルは水に不溶のため反応しなかった。
ジカルボン酸のカルボキシル基を4-hydroxyphenyldimethyl-sulfoniummethylsulfate(4−ヒドロキシフェニルジメチル−スルホニウムメチルサルフェイト:以下DSP)により活性エステル化させた。DSPによる活性エステル化には、ペプチド化学等で報告されている方法(K. Kouge, T. Koizumi, H. Okai, and T. Kato. (1987) Bull. Chem. Soc. Jpn., 60, 2409.(日本化学会報誌)を用いて、以下の実験を行った。
脱イオン水1mlに、実験例1で得た水溶性エラスチン200mgを加えてよく撹拌し、20%水溶性エラスチン水溶液を得た。該水溶液の温度を25℃とし、これに実験例7で得た水溶性架橋剤[A]72μmol(該水溶液中のエラスチンのアミノ基量(24μmol)の3倍量)を加え5分間撹拌した。次にトリエチルアミンを24μmol加え更に5分間撹拌した後、直径2mm、長さ2cm円柱状のテンプレートに流し込み2日間静置しゲル化させ、脱イオン水で充分洗浄し乳白色で弾性に富む棒状のエラスチン成形体を得た。また、得られたエラスチン成形体を110℃で10分間オートクレーブ処理を行い、形状に変化が見られない滅菌されたエラスチン成形体を得た。得られたエラスチン成形体のヤング率を引っ張り強度試験機を用いて測定した結果を表2に示す。但し測定は得られたエラスチン成形体をそのまま使用し水中にて行った。また、得られたエラスチン成形体の切断面を90倍の倍率で走査型顕微鏡撮影した物を図1に示す。電子顕微鏡写真から、エラスチン架橋体の内部構造は、空隙を有するスポンジ構造であり、その平均直径は62μmであった。空隙の異なるエラスチン架橋体の弾性率を表2に示した。
該水溶液の温度を50℃とし静置時間を6時間とした以外は、実験例8の製造に準じて架橋反応並びに成形を行い、乳白色で弾性に富む棒状のエラスチン成形体を得た。得られたエラスチン成形体のヤング率を引っ張り強度試験機を用いて測定した結果を表2に示す。但し測定は得られたエラスチン成形体をそのまま使用し水中にて行った。また、得られたエラスチン成形体の切断面を90倍の倍率で走査型顕微鏡撮影した物を図2に示す。電子顕微鏡写真から、エラスチン架橋体の内部構造は、空隙を有するスポンジ構造であり、その平均直径は9μmであった。
実験例1で得た水溶性エラスチン0.8mgおよびゼラチン72mgに脱イオン水148μlを加えて溶解させた後、実験例7で作製した水溶性架橋剤278mM、39μl(架橋剤はエラスチンのアミノ基量の2倍に相当)加え、30%水溶性エラスチン水溶液を作製した。該水溶液を成形型に流し込み、120℃、30分間オートクレーブで加熱しエラスチン架橋体およびその成形体(図3)を得た。
実験例1で得た水溶性エラスチン8mgおよびゼラチン72mgに脱イオン水148μlを加えて溶解させた後、実験例7で作製した水溶性架橋剤278mM、39μl(架橋剤はエラスチンのアミノ基量の2倍に相当)加え、30%水溶性エラスチン水溶液を作製した。該水溶液を成形型に流し込み、120℃、30分間オートクレーブで加熱しエラスチン架橋体およびその成形体(図4)を得た。
実験例1で得た水溶性エラスチン72mgおよびゼラチン8mgに脱イオン水148μlを加えて溶解させた後、実験例7で作製した水溶性架橋剤278mM、39μl(架橋剤はエラスチンのアミノ基量の2倍に相当)加え、30%水溶性エラスチン水溶液を作製した。該水溶液を成形型に流し込み、120℃、30分間オートクレーブで加熱しエラスチン架橋体およびその成形体(図5)を得た。
ゼラチン80mgに脱イオン水148μlを加えて溶解させた後、実験例7で作製した水溶性架橋剤278mM、39μl(架橋剤はエラスチンのアミノ基量の2倍に相当)加え、30%水溶性エラスチン水溶液を作製した。該水溶液を成形型に流し込み、120℃、30分間オートクレーブで加熱しエラスチン架橋体およびその成形体およびその成形体(図6)を得た。
ゲルの色は水溶性エラスチン溶液が黄色なため含有率が高くなるにつれ、その影響が出て黄色味を帯びた。
実験例1で得た水溶性エラスチン75mgおよびヘパリン5mgに脱イオン水148μlを加えて溶解させた後、実験例7で作製した水溶性架橋剤278mM、39μl(架橋剤はエラスチンのアミノ基量の2倍に相当)加え、30%水溶性エラスチン水溶液を作製した。該水溶液を成形型に流し込み、120℃、30分間オートクレーブで加熱しエラスチン架橋体およびその成形体(図8)を得た。
作成したゲルを脱イオン水で充分洗浄した後、1%トルイジンブルー"O"水溶液中で染色した。トルイジンブルー"O"はヘパリンに結合すると青→紫に染色される。図9よりヘパリンがゲルに取り込まれていることが確認できた。
リペルシラン処理(シリコンコート)したスライドガラスを2枚用い、スぺーサーとしてシリコンゴムシートを用いた成形用の型を用意し、実験例1で得た30%水溶性エラスチン水溶液と実験例7で作製した水溶性架橋剤(エラスチンのアミノ基に対して3倍モル)を混合した溶液を流し込み、外部より空気・水が入らないようにした。この状態を保ちながら水中で80℃、30分間加熱処理し、エラスチン膜(図10)を得た。
各種成形用の型を用意し、30%水溶性エラスチン水溶液と実験例7で作製した水溶性架橋剤(エラスチンのアミノ基に対して3倍モル)を混合した溶液を流し込み、外部より空気・水が入らないようにした。この状態を保ちながら水中で80℃、30分間加熱処理し、チューブ状(図11)、糸状(図12)、ペレット状(図13)の成形物を得た。
組織培養用プラスチックシャーレ(6穴)にエラスチン膜(厚さ0.5mm, 1cm×1cm)をおき、培養液を2ml加え37℃で30分間静置した。培養液はMEMハンクス粉末2.57gに脱イオン水215mlを加え溶解した後、重曹溶液(7.5%)を1.17ml、グルタミン溶液(200mM)を2.5ml、非必須アミノ酸溶液を2.5ml添加、ゲンタマイシン5mlそして牛胎児血清を25ml添加して作製した。
対象として、アルブミンコートを用いた場合の、細胞増殖性を評価した。また培地は毎日交換した。実験回数は3回行った。
水溶性エラスチン75mgおよびヘパリン5mgに脱イオン水148 1μlを加え溶解させた後、実験例7で作製した水溶性架橋剤(278mM)39μlを加え、30%エラスチン水溶液を作成する。溶液を成形型に流し込み、120℃(オートクレーブ)で30分加熱して反応させた。作成したゲルを0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)で洗浄した後、2μg/ml塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)を含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)に24時間浸し、ゲルに含有したヘパリンに吸着させた。得られた成形物を図15に示した。
また、本発明の水溶性架橋剤は、水溶性エラスチンを架橋し、鋳型があればどんな成形も可能な弾性を有するエラスチン架橋体が得られるため、その成形体を糸状や膜状、棒状、ペレット状、チューブ状、更には再生医療用材料や医療用器具材料などに加工し、幅広い用途での利用を可能とする効果を有する。
更に、本発明のエラスチン架橋体は、空隙を有するスポンジ構造を形成することから、薬剤などの浸透や、他の材料との複合を容易に行うことができ、新しい医療用材料の提供を可能とする効果を有する。
Claims (1)
- 下記一般式
上記式中、R1、R3は下記の構造式で表される<A>
R2は下記の構造式で表される<C>
も良い)の何れかである。
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