JPH09273080A - 水溶性蛋白質の繊維処理方法 - Google Patents

水溶性蛋白質の繊維処理方法

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JPH09273080A
JPH09273080A JP8085316A JP8531696A JPH09273080A JP H09273080 A JPH09273080 A JP H09273080A JP 8085316 A JP8085316 A JP 8085316A JP 8531696 A JP8531696 A JP 8531696A JP H09273080 A JPH09273080 A JP H09273080A
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JP
Japan
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water
protein
polyisocyanate compound
fiber
soluble
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JP8085316A
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English (en)
Inventor
Tetsuyoshi Fujita
哲良 藤田
Mina Oonishi
美奈 大西
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Resonac Holdings Corp
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繊維製品に対して従来から知られていた蛋白
質処理特有の外観、感触、機能等を付与する効果に加え
て、洗濯等に対する耐久性の付与効果を両立できる各種
繊維製品への蛋白質の反応処理方法を提供するものであ
る。 【解決手段】 水溶性蛋白質に、少なくとも1分子中に
3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネー
ト化合物を水系で反応させ、蛋白質−イソシアネート化
合物を水不溶化することにより、繊維処理方法に適用す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水溶性蛋白質とポ
リイソシアネート化合物の反応生成物を繊維基材上に付
着させることによる、耐久性の向上した水溶性蛋白質の
繊維処理方法に関する。さらに詳しくは、各種繊維製品
に対して蛋白質処理特有の外観、感触、機能等を持た
せ、かつ洗濯等に対する耐久性を与えることを目的とし
て、水溶性蛋白質を、少なくとも1分子中に3個以上の
イソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を
用いて架橋反応させることにより得られる水及び有機溶
媒不溶性の生成物を繊維に付着させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から繊維製品の外観、肌触り、湿気
の吸入性や放出性、保温性などを改良するため、繊椎に
蛋白質を添加する試みがなされている。特開昭63−1
59513号公報や特開平2−191708号公報に
は、合成繊維等に吸湿性を付与すること目的として、実
質的に水に不溶性の蛋白質粉末や皮革粉末を練り込む技
術が開示されている。しかしながらこの方法では、粉末
を練り込むことによる合成繊維そのものの強度や物性の
低下や、繊維を製造するための大がかりな設備が要する
等の問題点がある。
【0003】また特開昭64−61572号公報には、
コラーゲン物質を繊維に付着させることにより繊維製品
の光沢、風合いを改善する処理方法が開示されている。
コラーゲン水溶液もしくはゼラチン水溶液を用いたアル
デヒド架橋や熱硬化性樹脂による繊維処理の例が示され
ているが、アルデヒドや熱硬化性樹脂による強固な架橋
反応の結果、蛋白質の繊維への十分な固定化性は付与で
きても、蛋白質特有の柔らかい風合いが失われることは
明白であり、蛋白質機能の付与と耐洗濯性等の耐久性を
両立できてはいない。
【0004】また特開昭52−25800号公報及び特
開平5−97900号公報及び特開平6−49414号
公報に蛋白質のイソシアネート化合物による反応修飾方
法について記載されているが、これらは全て、蛋白質と
モノイソシアネート化合物もしくはジイソシアネート化
合物との付加反応物を有機溶媒に溶解することを目的に
しており、本発明が目的とする水溶性蛋白質とポリイソ
シアネート化合物の反応による繊維製品への蛋白質機能
の付与と耐洗濯性等の耐久性を両立させることとは異な
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】蛋白質を各種繊維製品
に適用する場合において、対象繊維製品に対して従来か
ら知られていた蛋白質処理特有の外観、感触、機能等を
付与する効果に加えて、洗濯等に対する耐久性の付与効
果を両立することができる処理方法が求められている。
本発明の目的は、水溶性蛋白質を繊維基材上に付着させ
る場合に、上記目的を達成する各種繊維製品への水溶性
蛋白質の反応処理方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に種々検討した結果、水溶性蛋白質に、少なくとも1分
子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシ
アネート化合物を反応させ生成した水及び有機溶媒不溶
性の蛋白質反応生成物を、繊維基材に付着させることに
より、各種繊維製品に対して蛋白質処理特有の外観、感
触、機能等の付与と、洗濯等に対する耐久性の付与の両
立ができる水溶性蛋白質の繊維処理方法を見出し本発明
を完成するに至った。
【0007】本発明で使用する蛋白質としては特に制限
されないが、イソシアネート基との反応性の高い遊離ア
ミノ基を有するものが好ましく、例えば、皮膚や骨の組
織蛋白質であるコラーゲンやエラスチン、絹蛋白質であ
るフィブロインやセリシン、羊毛蛋白質であるケラチ
ン、卵白蛋白質であるアルブミン、ホエー蛋白質、血清
蛋白質であるアルブミンやグロブリン、ミルク蛋白質で
あるカゼイン、小麦蛋白質であるグルテリン等の水溶性
物もしくは水溶性化誘導体が用いられる。そのなかでも
特に水溶性コラーゲンが好ましく用いられる。
【0008】本発明における蛋白質の水溶性の定義は、
水に均一に溶解すること、もしくは水に均一に混合され
通常の濾過等の操作で分離できない状態を示す。具体的
には、水に溶解している状態やコロイダルな分散状態を
示し、不溶性蛋白質繊維もしくは不溶性蛋白質微粉末の
界面活性剤や高分子分散剤による分散液のように通常の
方法で濾別できるものは該当しない。
【0009】本発明において水溶性コラーゲンとは、主
にコラーゲンよりなり、かつ水溶性であるものを示す。
天然のコラーゲン繊維そのものは実質的に水に不溶であ
るため、何らかの水可溶化のための処理が行われている
ことが必要である。例えばコラーゲン繊維を、酸もしく
はアルカリもしくは蛋白質分解酵素もしくは加熱によ
り、主鎖の酸アミド結合を加水分解することやコラーゲ
ン繊維間のシッフ塩基架橋の開裂により好ましい分子量
に調製し、天然コラーゲン繊維の持つ高次構造を解きほ
ぐすことによりコラーゲン分子中の親水性基を遊離させ
水溶性を付与することができる。具体的には水溶性コラ
ーゲン類や、酸処理ゼラチン、石灰処理ゼラチン、水溶
性ゼラチン等のゼラチン類、もしくはコラーゲン由来の
ペプタイド類として一般的に使用されているものが該当
する。
【0010】またコラーゲン分子中のアミノ基、カルボ
キシル基や水酸基等を、例えばサクシルニル化やカルボ
キシメチル化等の化学的な修飾処理を施すことにより水
溶性を付与したものも同様に用いることができる。水溶
性コラーゲンの分子量は、重量平均分子量で5000以
上であること、より好ましくは重量平均分子量で100
00以上であることが望ましい。水溶性でありかつ重量
平均分子量が大きいものほど、吸放湿性及び保湿性に優
れる。
【0011】使用する水溶性コラーゲンの重量平均分子
量が5000以下であると、吸放湿性及び保湿性等の蛋
白質による機能付与効果が劣るほか、目的とする水不溶
性を得ることが困難になり、また十分な水不溶性効果を
与えるためにポリイソシアネート化合物量が大幅に必要
とされ経済的ではない。水溶性コラーゲンの重量平均分
子量は、その水溶液を水系GFC液体クロマトグラフィ
ーを用いて測定された分子量分布をもとに、既知の分子
量を持つ市販の標準蛋白質により作成した分子量校正曲
線を用いて、数値解析により求めることができる。
【0012】水溶性蛋白質の反応架橋方法は、蛋白質間
の遊離のアミノ基及びアルコール性水酸基と反応して、
尿素結含、ウレタン結合、酸アミド結合などの化学的結
合により蛋白質間を架橋する方法があげられる。例え
ば、イソシアネート化合物、アルデヒド化合物、エポキ
シ化合物、反応性尿素誘導体化合物、ケトン化合物等な
どを挙げることができる。その中でもイソシアネート化
含物が反応性に富んでいるため好ましく使用できる。ま
た蛋白質の反応架橋による水不溶化の目的のためには架
橋点のより多いものが好ましく用いられ、ポリイソシア
ネート化合物分子中に3個以上のイソシアネート基を含
有することが好ましい。モノイソシアネート化合物では
架橋反応にならず、水溶性蛋白質の水不溶化効果はな
い。またジイソシアネート化合物では架橋反応は進行す
るが、水に対する不溶性を付与するためにはイソシアネ
ート化合物が大量に必要であり、効率性や経済性に欠け
る。またその分子中のイソシアネート基間距離について
は特に限定されないが、蛋白質との強固な架橋構造を達
成するためには必要以上に遠いものは好ましくない。
【0013】また繊維処理用途分野において、蛋白質特
有の柔らかい風合いを保持する目的でウレタン系樹脂の
処理剤が好ましく用いられる。上記の蛋白質との反応性
と繊維処理時の蛋白質の風合い保持の両目的より、本発
明において用いられるポリイソシアネート化合物は、分
子内にウレタン結合を有するポリウレタン系もしくはウ
レタンオリゴマー系ポリイソシアネート化合物であるこ
とが好ましい。特に脂肪族系ポリウレタン骨格を有する
ものが好ましく、たとえば脂肪族ポリエステル系ポリウ
レタン骨格、脂肪族ポリエーテル系ポリウレタン骨格、
脂肪族ポリカーボネート系ポリウレタン骨格、ポリブタ
ジエン系ポリウレタン骨格、ポリシロキサン系ポリウレ
タン骨格等があげられる。
【0014】その分子量は特に限定されないが、本発明
の目的である水溶性蛋白質の不溶化処理を高効率で達成
するためには、より高分子量のものが好ましい。ポリイ
ソシアネート化合物分子中のイソシアネート価にもよる
ため一概にはいえないが、分子量500以上のウレタン
オリゴマー系やポリウレタン系のポリイソシアネート化
合物であることが好ましい。本発明で用いられるウレタ
ン系ポリイソシアネート化合物は、水溶性の蛋白質と反
応させるため、水に溶解もしくは乳化して使用できるこ
とが好ましい。水に対して溶解性のあるもののほか、自
己乳化型のものや、もしくは界面活性剤や高分子分散剤
等を用いて強制的に乳化させたものも同様に用いること
ができる。
【0015】またポリイソシアネート化合物中の水中で
の安定性の付与を目的として、活性なイソシアネート基
をブロック化剤を用いて保護することも好ましく行うこ
とができる。ブロック化剤の種類は限定されないが、例
えば亜硫酸塩等の無機塩、サリチル酸メチルやp−ヒド
ロキシ安息香酸等のフェノール類、イミダゾール、メチ
ルエチルケトンオキシムやアセトンオキシム等のオキシ
ム類、N−ヒドロキシフタル酸イミドやN−ヒドロキシ
コハク酸イミド等のN−ヒドロキシイミド類、メトキシ
プロパノールや2ーエチルヘキサノールや乳酸エチル等
のアルコール類、ε−カプロタクタムや2−ピロリドン
等のラクタム類、アセト酢酸エチル等の活性メチレン含
有化合物等を用いることができる。ブロック化剤の解離
温度と蛋白質の耐熱性から適切なものを選択することが
重要であり、特に低温解離が可能な無機塩類やフェノー
ル類やイミダゾール類などを好ましく用いることができ
る。
【0016】水溶性蛋白質とポリイソシアネート化合物
との架橋反応は、通常蛋白質水溶液とポリイソシアネー
ト化合物を混合することにより行われる。その添加混合
比は特に限定されない。蛋白質分子中には、イソシアネ
ート基と容易に定量的に反応する官能基、即ち水酸基と
アミノ基が多く存在する。その含有割合は構成アミノ酸
配列から一義的に決まるものであり、蛋白質種類によっ
て大きく異なる。例えば水溶性コラーゲンの場合、コラ
ーゲン分子自体は天然由来のものであるので、そのアミ
ノ酸組成にバラ付きがあるのは当然であるが、その代表
的なアミノ酸租成から計算すれば、コラーゲン分子1k
gあたりに、側鎖アミノ基約0.95モル、側鎖水酸基
約1.8モルが、またそれ以外にも分子末端アミノ基が
存在する。
【0017】イソシアネート基との反応はアミノ基が優
先的に進行するが、イソシアネート基との反応にはアル
ファネート結合,ピウレット結合,アシル尿素結合など
も生成するため、ただ単に水溶牲コラーゲン中の水酸
基、アミノ基とイソシアネート基との反応に止まらず、
付加生成物とイソシアネート化合物の付加反応、蛋白質
分子主鎖中のアマイド結合への付加反応なども進行す
る。これらの反応性を評価して、通常は反応させる蛋白
質の一次構造からアミノ基及ぴ水酸基の総モル数を算出
し、それに応じて架橋剤の使用量(モル数)を決定すれ
ばよい。
【0018】水溶性蛋白質とポリイソシアネート化合物
との架橋反応条件は、蛋白質間に架橋反応が起こる条件
であれば特に制限されない。活性イソシアネート基と蛋
白質分子中のアミノ基もしくは水酸基との間の架橋反応
は通常室温下で十分に進行する。しかしながら前述した
ようにポリイソシアネート化合物の水溶液中での安定性
保護を目的として、活性イソシアネート基をブロック化
剤で保護している場合は、その保護基の解離条件を満た
すことが必要である。一例をあげると、繊維に処理する
場合、通常のバッター等でパディングやディッピングな
どドブ漬状に水溶液蛋白質−ポリイソシアネート化合物
処理液を処理繊維に含浸した後、ブロック化剤の解離温
度条件以上で乾燥・キュアすることにより、キュアリン
グ工程で架橋反応を実施し、繊維に不溶性蛋白質を付着
処理することができる。
【0019】また水溶性蛋白質中の標的官能基とポリイ
ソシアネート化合物の架橋反応に適切なpH条件、触媒
添加条件などを選択することができる。例えば蛋白質中
のアミノ基を標的置換基とする場合には、アミノ基が非
電離の遊離基となる蛋白質の等電点よりも高いpH条件
を選択することができ、また蛋白質中の水酸基が標的置
換基である場合には、通常のポリウレタンの重合促進触
媒、例えば一般的に用いられる錫化合物、亜鉛化合物も
しくは鉄化合物などを添加した条件を選択でき、さらに
はイソシアネートのブロック化剤の安定性を考慮して、
例えば亜硫酸塩によるブロックの場合には弱アルカリ性
でブロック化剤の解離を促進する等の条件が選択でき
る。
【0020】本発明の水溶性蛋白質とポリイソシアネー
ト化合物の反応生成物は、各種繊維に処理して用いるこ
とができる。繊維用途に用いた場合に、通常の洗濯によ
る脱落を防止するために耐水不溶化性能のほか、ドライ
クリーニングなどに対する耐有機溶剤不溶化性能が求め
られる。耐水不溶化性能の付与のみを目的とするのであ
れば水溶性蛋白質の親水性基を修飾反応によりマスキン
グすることによっても達成できるが、耐有機溶剤不溶化
性を両立するためには十分な方法とはいえない。反応最
終生成物が目的とする疎水及び疎油性能を有しているの
みならず、その分子量が耐水不溶化及び耐有機溶媒不溶
化に必要な大きさを達成していることが必要である。そ
の方法として、第一に分子中にイソシアネート基を3個
以上含有するポリイソシアネート化合物を用いることに
より反応架橋度を上げることが挙げられる。イソシアネ
ート基含有量が2個以下では有機溶媒不溶化性能を達成
するのに必要な架橋度を得ることができない。第二に高
分子量の水溶性蛋白質を用いることができ、とくに重量
平均分子量が5000以上であることが好ましい。重量
平均分子量が5000未満であると、有機溶媒不溶化性
能を達成するのに必要な架橋度を得るために大量のポリ
イソシアネート化合物が必要になり好ましくない。
【0021】本発明の水溶性蛋白質とポリイソシアネー
ト化合物の反応生成物の繊維への付着処理方法は特に規
定されない。例えば本発明の水溶性蛋白質及びポリイシ
シアネート化合物を混合添加した水溶液、もしくはそれ
と既存の水系繊維処理剤とを併用したものを攬拌し、こ
れを織布ないしは不織布等の面にドクターコーティン
グ、ローラーコーティング、プリントコーティング、ス
プレーコーティング、キャストフィルムコーティング等
で塗布すること、またはバッター等でパディングやディ
ッピングなどドブ漬状に含浸するなどの簡易な繊維処理
を供しえる。
【0022】また、水溶性蛋白質とポリイソシアネート
化合物の対象繊維への付着方法は特に限定されないが、
繊維へのアンカー効果や構造被覆等による物理的付着
や、対象繊維上の官能基への反応による化学的結合方法
があげられる。いずれの付着方法においても水溶性蛋白
質とイソシアネート化合物の両者のみで付着する方法
と、水系樹脂バインダー等の付着補助剤を併用して付着
する方法が適用できる。付着補助剤としては、一般に水
系繊維処理剤として使用されているものが好ましく、例
えばポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリシリコン
系、ポリアミノシリコン系、ポリクロルスルホン化ポリ
エチレン系、ポリ塩化ビニル系などの樹脂エマルジョン
バインダーや、動物性脂肪、植物性脂肪、鉱物性油脂、
合成パラフィン系ワックス等の油脂類、天然もしくは合
成系多糖類、天然もしくは合成系糊剤、アルミニウム、
マグネシウム、クロム、バリウム、銅、マンガン、亜
鉛、鉄、ジルコニウム、ニッケル、カドミウム、銅、チ
タン、マンガン、錫等の多価金属塩を用いることができ
る。
【0023】本発明の水溶性蛋白質−ポリイソシアネー
ト化合物を用いる繊維処理方法は、絹、羊毛、木綿、麻
類などの天然繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、
アクリル繊維、ポリオレフィン系繊維、炭素繊維などの
合成繊維、アセテートなどの半合成繊維、レーヨンなど
の再生繊維、さらにガラス繊維、金属繊維、セラミック
ス繊維などの無機物繊維に利用することができる。
【0024】
【実施例】以下に実施例及び比較例をあげて、本発明を
さらに詳細に説明するが、勿論これらに限定されるもの
ではない。実施例1 水溶性コラーゲンとして、ウシ精製床皮を水酸化カルシ
ウム塩基性条件下にて処理し、中和、不溶分の濾過分離
により作製した重量平均分子量が約60000のコラー
ゲン加水分解物を、蒸留水に対して20重量%濃度とな
るように溶解し調製した。ポリイソシアネート化合物と
して、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂骨格を有し、活
性イソシアネート基が亜硫酸塩によりブロック化されて
いる自己乳化型水系ポリイソシアネート化合物であるエ
ラストロンBN−7(第一工業製薬製)を用いて、水溶
性コラーゲン/ポリイソシアネート化合物の固形分重量
比で2/1となるように混合し、炭酸水素ナトリウムお
よび希塩酸を用いてpH約6に調整した。
【0025】・耐水、耐有機溶媒不溶化性能 上記水溶液を、ガラスシャーレに入れ、160℃条件下
で水を蒸発乾固させると同時にイソシアネート基のブロ
ック化剤の解離、続いて蛋白質との架橋反応をおこなっ
た。反応生成物はシャーレ上に薄いフィルム状物質とし
て得られた。耐水不溶化性能の評価は、生成膜を体積比
20倍以上の水に浸け、10分毎に10回ほぼ同量の水
に交換した後、更に半日水に浸けた。その後水を取り除
き105℃条件で乾燥した後のフィルムの重量減量を測
定し溶出率を算出した。溶出率値の低いものほど耐水不
溶化性能に優れると考えられる。耐有機溶媒不溶性の評
価は、上記生成フィルムをジメチルスルホキシド、メチ
ルエチルケトン、塩化メチレンの各溶媒に浸け、その溶
解性を目視により評価した。評価結果を表1に示す。
【0026】・繊維付着試験評価 上記水溶液を、ポリエステル布(織物、目付約100g
/m2 )にパディング処理し、絞り率100%で付着処
理した。処理布帛は、その吸湿性を、試料布を予め80
℃・1晩絶乾した後、30℃,85%RH環境下に試料
を移し、経時による重量増加量を1時間まで測定して吸
湿性能を評価した。吸湿性能は高湿度下での吸湿による
重量増加率を測定し、次式の吸湿率で算出した。
【0027】
【数1】
【0028】また洗濯耐久性は、コラーゲン水溶液処理
布を家庭用洗濯機、乾燥機により水で10回洗濯、乾燥
を行った後に、上記と同様にして吸湿率を測定して評価
した。水溶性蛋白質がポリエステル繊維に付着すること
により吸湿性が付与される。また洗濯に対する耐久性の
高いものほど、付着力が強く十分に実用的である。評価
結果を表2に示す。
【0029】実施例2 水溶性コラーゲンとして、ウシ精製床皮を硫酸酸性条件
下にて処理した後、中和、不溶分の濾過分離により作製
した重量平均分子量が約20000のコラーゲン加水分
解物を、蒸留水に対して20重量%濃度となるように調
製した。ポリイソシアネート化合物として、ポリエーテ
ル系ポリウレタン樹脂骨格を有し、活性イソシアネート
基が亜硫酸塩によりブロック化されている自己乳化型水
系ポリイソシアネート化合物であるエラストロンH−3
8(第一工業製薬製)を用いて、水溶性コラーゲン/ポ
リイソシアネート化合物の固形分重量比で2/1となる
ように混合した。
【0030】上記水溶液を、炭酸水素ナトリウムを用い
てpH約8に調整した後、ガラスシャーレに入れ、16
0℃条件下で水を蒸発乾固させると同時にイソシアネー
ト基のブロック化剤の解離、続いて蛋白質との架橋反応
をおこなった。反応生成物はシャーレ上に薄いフィルム
状物質として得られた。評価は実施例1と同様の方法で
行った。その結果を表1及び2に示す。
【0031】実施例3 水溶性蛋白質として実施例2と同じものを用い、蒸留水
に対して20重量%濃度となるように調製した。ポリイ
ソシアネート化合物として、ウレタンオリゴマー系で、
活性イソシアネート基がブロック化されている自己水溶
性型水系ポリイソシアネート化合物であるエラストロン
BN−5(第一工業製薬製)を用いて、水溶性コラーゲ
ン/ポリイソシアネート化合物の固形分重量比で2/1
となるように混合した。
【0032】上記水溶液を、水酸化ナトリウム水溶液を
用いてpH約9に調整し、硬化触媒であるエラストロン
キャタリスト64をポリイソシアネート化合物との固形
分重量比で20/1となるように添加混合した後、ガラ
スシャーレに入れ、160℃条件下で水を蒸発乾固させ
ると同時にイソシアネート基のブロック化剤の解離、続
いて蛋白質との架橋反応をおこなった。反応生成物はシ
ャーレ上に薄いフィルム状物質として得られた。評価は
実施例1と同様の方法で行った。その結果を表1及び2
に示す。
【0033】比較例1 ポリイソシアネート化合物を添加しない以外は実施例1
と同様の方法で行った。反応生成物はべたつきのあるフ
ィルム状物質として得られた。評価は実施例1と同様の
方法で行った。その結果を表1及び2に示す。
【0034】比較例2 ポリイソシアネート化合物としてジイソシアネート化合
物であるヘキサメチレンジイソシアネートのアセトンオ
キシムによりブロック化されたものを用いた以外は実施
例2と同様の方法で行った。反応生成物は脆いフィルム
状で容易に粉末になった。評価は実施例1と同様の方法
で行った。その結果を表1及び2に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】蛋白質を各種繊維製品に適用する場合に
おいて、対象繊維製品に対して従来から知られていた蛋
白質処理特有の外観、感触、機能等を付与する効果に加
えて、本発明の水溶性蛋白質とポリイソシアネート化合
物を水系で反応させることによる蛋白質−イソシナネー
ト化合物反応物の水不溶化処理方法により、洗濯等に対
する耐久性の効果を同時に付与することができるように
なった。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性蛋白質と、少なくとも1分子中に
    3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネー
    ト化合物の反応生成物を、繊維基材上に付着させること
    を特徴とする水溶性蛋白質の繊維処理方法。
  2. 【請求項2】 ポリイソシアネート化合物のイソシアネ
    ート基が、水溶性のブロック化剤で保護されており、水
    溶性蛋白質とポリイソシアネート化合物との反応が繊維
    の乾燥工程で行われることを特徴とする請求項1記載の
    方法。
  3. 【請求項3】 水溶性蛋白質が水溶性コラーゲンである
    請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 水溶性蛋白質が、重量平均分子量500
    0以上である水溶性コラーゲンである請求項1記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 ポリイソシアネート化合物が、分子中に
    ウレタン結合を有し、かつ水に溶解もしくは乳化できる
    ことを特徴とする請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 繊維基材が合成繊維である請求項1記載
    の方法。
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