JP3070665B2 - 合成繊維の加工方法 - Google Patents

合成繊維の加工方法

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JP3070665B2 JP35150596A JP35150596A JP3070665B2 JP 3070665 B2 JP3070665 B2 JP 3070665B2 JP 35150596 A JP35150596 A JP 35150596A JP 35150596 A JP35150596 A JP 35150596A JP 3070665 B2 JP3070665 B2 JP 3070665B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、合成繊維の加工方
法に関する。特に、本発明は、疎水性繊維である合成繊
維に耐洗濯性を有する保湿性、吸水性および制電性を付
与してより天然繊維の機能に近づけることができ、しか
も繊維素材の風合いを損ねることのない合成繊維の加工
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】合成繊維、特にポリエステル繊維やナイ
ロン繊維は、物理的特性や加工性に優れていることか
ら、衣料、生活資材、産業資材等として様々な分野で広
範に用いられている。しかし、これらの繊維は疎水性繊
維であるため、保湿性、吸水性および吸汗性が悪く、静
電気を蓄積し易く、また油汚れが落ちにくい等の欠点が
ある。これらの欠点を改良する方法として、数多くの処
理方法が提案されている。繊維の原糸の段階での改質と
して、親水性物質を紡糸段階でブレンドする方法(特開
昭50−711676号)、繊維に親水性ビニル化合物
をグラフト重合する方法(特公昭57−386号)、繊
維をアルゴン(Ar)等の不活性ガス中で低温プラズマ
処理する方法(特開昭59−47476号)、ポリアル
キレングリコールを含有するブロック共重合体の水分散
体で処理する方法(特公昭45−10794号)、ポリ
エステルポリエーテルブロック共重合体の水分散物と、
ポリエチレングリコール鎖を含み、イソシアネート基を
ブロックした水溶性熱反応型ウレタンと、環状アミノ酸
またはその誘導体との3成分を含む水溶液で処理し、次
いで熱処理を行う方法(特開平6−41872号)等が
提案されている。
【0003】しかしながら、これらの処理方法には、親
水性物質のブレンドによる繊維自体の物性低下、グラフ
ト重合における不均一な反応を抑制する重合条件の設定
の難しさ、プラズマ処理における高価な設備投資の必要
性等の欠点がある。ポリアルキレングリコールを含むブ
ロック共重合体の水分散体で処理する方法は、コストも
安く、染色同浴等の吸尽処理により比較的耐洗濯性のあ
る吸水性および防汚性が得られるが、制電性については
十分とはいえず、またこの処理方法では保湿性はほとん
ど得られない。また、ポリエステルポリエーテルブロッ
ク共重合体の水分散物と、ポリエチレングリコール鎖を
含み、イソシアネート基をブロックした熱反応型ウレタ
ンと、環状アミノ酸またはその誘導体との3成分を含む
水溶液で処理し、次いで熱処理を行う処理方法を染色布
に適用すると、染色堅牢度、特に摩擦堅牢度が著しく低
下し、繊維素材の風合いを損ねる等の欠点を生じ、十分
な保湿性、吸水性および制電性を有し、耐洗濯性にも優
れ、より天然繊維の機能に近づけ、繊維素材の風合いを
損ねることのない加工を行うことはできない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の欠点
を解決し、汎用の合成繊維に対して耐洗濯性のある保湿
性、吸水性および制電性を付与し、より天然繊維の機能
に近づけることができ、かつ、繊維素材の風合いを損ね
ることのない加工方法を提供することを目的としてなさ
れたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、合成繊維をポリエポキシ化合物および/
または熱反応型ウレタンと機能性蛋白質素材との水溶液
で処理し、次いで熱処理を行うことにより、上記課題を
解決することができることを見出し、この知見に基づき
本発明を完成させたものである。
【0006】すなわち、本発明は、合成繊維を、下記一
般式(1)
【0007】
【化5】
【0008】〔上式中、Rは−C2 4 −,−C3 6
−,−(C2 4 O)n −C2 4 −(ここで、nは1
〜34の整数を表す)、−CH2 CHOHCH2 −,
【0009】
【化6】
【0010】
【化7】
【0011】または
【0012】
【化8】
【0013】を表す〕で表されるポリエポキシ化合物お
よびポリオキシエチレン基を含みイソシアネート基がブ
ロックされた熱反応型ウレタンからなる群から選ばれる
少なくとも1種とおよび機能性蛋白質素材とを含む水溶
液で処理し、次いで熱処理を行うことを特徴とする合成
繊維の加工方法を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に有用な前記一般式(1)
で表されるポリエポキシ化合物としては、具体的には、
エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレン
グリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエ
ーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチ
ロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロール
プロパントリグリシジルエーテル等を挙げることができ
る。
【0015】ポリオキシエチレン基を含みイソシアネー
ト基がブロックされた熱反応型ウレタンは、通常のウレ
タンの重合反応により得ることができる。すなわち、2
個以上の活性水素を有する化合物と過剰のポリイソシア
ネートとの重付加により末端にイソシアネート基を有す
るウレタンポリマーを合成し、この遊離イソシアネート
基を公知のブロック化剤を遊離イソシアネート基に対し
て当モル以上の量で用いてブロックしたものである。こ
の際、この熱反応型ウレタン骨格中に、20〜60重量
%のポリオキシエチレン基が含まれることが必要であ
り、ポリオキシエチレン基の含有量が20重量%より少
ないと十分な制電性が得られず、一方60重量%より多
いと水溶性が大きくなりすぎ、耐久性が低下する。さら
に、上記のウレタンポリマー中に含まれる遊離イソシア
ネート基の量は2〜6重量%であるのが好ましく、2重
量%より少ないと耐久性が低下し、6重量%より多いと
風合いが硬くなることがある。
【0016】ウレタンポリマー中に含まれるポリオキシ
エチレン基としては、分子量400〜4000のポリエ
チレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロ
ピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシテト
ラメチレングリコール等からの基が挙げられる。また、
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−
ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリ
ン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の低分子多
価アルコールまたはエチレンジアミン、ジエチレントリ
アミン、トリエチレンテトラミン等の低分子ポリアミン
の、エチレンオキサイド単独の、もしくはエチレンオキ
サイドとプロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等
の他のアルキレンオキサイドの1種または2種以上との
付加物からの基であってもよい。
【0017】上記ウレタンポリマー中にはまた他の疎水
性ポリオール成分が含まれていてもよく、そのような疎
水性ポリオール成分としては、末端が水酸基で、分子量
が500〜4000のものがあり、例えば、ポリエチレ
ンアジペート、ポリエチレンポリプロピレンアジペー
ト、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンポリブチレ
ンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリジ
エチレンアジペート、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレンイソフタレート、ポリヘキサメチレンイソフ
タレートアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリ
ブチレンサクシネート、ポリエチレンセバケート、ポリ
ブチレンセバケート、ポリ−ε−カプロラクタムジオー
ル等より製造されたポリエステルポリオールや、ポリオ
キシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレン
グリコール等のポリエーテル系ポリオールからの単位が
挙げられる。
【0018】これらのポリオールのうち、繊維素材の風
合いを損なうことなく、耐洗濯性を有する保湿性、吸水
性および制電性を付与することを考慮すると、熱反応型
ウレタン化合物中に、平均分子量600〜3000であ
るポリオキシエチレン基を20〜60重量%含み、平均
分子量が1000〜4000であり、活性水素を3個以
上有する多価アルコールのアルキレンオキシド付加物の
単位を0.5〜10重量%含有するものがよい。
【0019】次に、ポリイソシアネートとしては、従来
より一般に用いられている全ての芳香族、脂肪族および
脂環族のポリイソシアネートが使用できる。例えば、ト
リレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネー
ト、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジ
イソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)
シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネ
ート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジ
イソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ
ート、ノルボランジイソシアネート等のポリイソシアネ
ートが挙げられるが、これらを単独でもしくは2種以上
混合して逐次添加して用いる。これらのうち、特に好ま
しいものは、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレ
ンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノ
ルボランジイソシアネートおよびジシクロヘキシルジイ
ソシアネートである。
【0020】これらのウレタンポリマーの製造にあた
り、必要に応じエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオ
ール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコー
ル、トリメチロールプロパン等の2個以上の活性水素原
子を有する低分子鎖伸長剤を用いることができ、これは
単独であるいは2種以上を併用して用いられる。
【0021】末端の遊離イソシアネート基のブロック化
剤としては、従来公知のフェノール類、アルコール類、
活性メチレン化合物類、オキシム類、メルカプタン類、
イミン類、ラクタム類、アミド類および重亜硫酸塩類を
用いることができる。特に好ましいものとしては、メチ
ルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシ
ム、フェノールおよび重亜硫酸塩類がある。
【0022】末端にイソシアネート基を含有するウレタ
ンポリマーの反応は、従来から公知のワンショット法
(1段式)あるいは多段式のイソシアネート重付加反応
法によって、反応温度40〜150℃の条件下で行うこ
とができる。この際、必要に応じ、ジブチル錫ジラウレ
ート、スタナスオクトエート、ジブチル錫−2−エチル
ヘキソエート、トリエチルアミン、トリエチレンジアミ
ン、N−メトルモルホリン等の反応触媒、またはりん
酸、りん酸水素ナトリウム、パラトルエンスルホン酸、
アジピン酸、塩化ベンゾイル等の反応抑制剤を添加して
もよい。
【0023】さらに、反応段階もしくは反応終了後、イ
ソシアネート基と反応しない有機溶媒を添加してもよ
く、この有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン、ヘトラヒドロフラン、
ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキ
シド、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、
塩化メチレン等が挙げられる。これらの内、ジメチルホ
ルムアミド、メチルエチルケトントルエン、酢酸エチル
が特に好ましい。これらの有機溶剤は、プレポリマー反
応終了後もしくは末端イソシアネート基のブロック後、
加熱減圧することにより除去することもできる。
【0024】本発明に用いる機能性蛋白質素材は、蛋白
質を水に溶解させてpHを酸性域に調整した後、架橋剤
を混合し、架橋してなる機能性蛋白質素材である。蛋白
質としては、特に制限されないが、例えば、卵白蛋白
質、ホエー蛋白質、血清アルブミン、カゼイン、大豆蛋
白質、セリシン、ゼラチン、フィブロン、およびこれら
の分解生成物であるペプチド等が挙げられる。本発明で
は、このような蛋白質を、それぞれ単独でまたは2種以
上を併用して使用できる。
【0025】架橋反応を有利に進行させたり、得られる
機能性蛋白質素材の特性や収率等をさらに向上させたり
するために、蛋白質に前処理を施してもよい。蛋白質の
前処理方法としては、例えば、特開平5−97900
号、特開平6−100596号、特開平7−76651
号等に記載されている方法を用いることができる。例え
ば、希釈、電気透析、加熱、遠心分離、濾過等であり、
これらのうちの1種を単独で行ってもよく、または2種
以上を適宜組み合わせて行ってもよい。
【0026】蛋白質を架橋させるための架橋剤として
は、架橋性官能基および/または重合性官能基を有する
化合物がある。かかる架橋性官能基および/または重合
性官能基を有する化合物としては、例えば、下記一般式
(2) −C(R1 )=CH2 (2) (上式中、R1 は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基
またはアリール基を表す)で表される重合性2重結合基
を1個または2個以上有する化合物等を挙げることがで
きる。
【0027】上記一般式(2)において、R1 で示され
るアルキル基としては特に制限はないが、通常炭素数1
〜20程度の直鎖または分岐鎖状アルキル基であり、好
ましくは炭素数1〜6程度の直鎖または分岐鎖状アルキ
ル基である。また、R1 で示されるアリール基として
は、例えばフェニル基がある。上記重合性2重結合基を
有する化合物の具体例としては、例えば、オレフィン類
があり、その例としてアクリル酸、メタクリル酸、マレ
イン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類、酢酸ビニ
ル、ジビニルベンゼン等のビニル基含有化合物等を挙げ
ることができる。なお、不飽和カルボン酸類は後記する
pH調整剤としての機能をも有している。
【0028】前記オレフィン類以外に、重合性2重結合
基を有する化合物としては、例えば、アクリルアミド、
アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチ
レン等を挙げることができる。また、アルキル部分が炭
素数1〜4程度の直鎖または分岐鎖状アルキル基である
(メタ)アクリル酸アルキルエステルも架橋剤として使
用できる。かかるアルキルエステルの具体例としては、
例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル
酸エチル等を挙げることができる。また、かかるアルキ
ルエステルは、アルキル部分にハロゲン原子、水酸基等
の置換基を有していてもよい。さらに、(メタ)アクリ
ル酸アリールエステルも架橋剤として使用できる。かか
るアリールエステルの具体例としては、例えば、(メ
タ)アクリル酸フェニル等を挙げることができる。かか
るアリールエステルは、ベンゼン環上にハロゲン原子、
アルキル基、アルコキシ基、水酸基等の置換基を有して
いてもよい。
【0029】架橋剤は、1種を単独でまたは2種以上を
併用して使用できる。架橋剤の使用量は、特に制限され
ず、得ようとする機能性蛋白質素材の特性や用途に応じ
て広い範囲から適宜選択できるが、通常蛋白質100重
量部に対して1〜1000重量部程度、好ましくは5〜
500重量部程度とすればよい。架橋剤として重合性2
重結合基を有する化合物を使用する場合には、反応を促
進するために、加温下に反応を行ったり、および/また
は重合開始剤を添加したりしてもよい。重合開始剤とし
ては、特に制限されないが、水または水と有機溶剤との
混合溶媒(以下単に「水性溶媒」という)に溶解または
分散し得るものが好ましく、例えば、クメンヒドロキシ
ペルオキシド等のヒドロキシペルオキシド類、水溶性の
ペルオキソ硫酸カリウム、ペルオキソ硫酸アンモニウ
ム、過酸化水素、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビ
スシクロヘキサンカルボニル、アゾビス吉草酸、2,
2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)・2塩酸塩等
を挙げることができる。これらの重合開始剤は、1種を
単独でまたは2種以上を混合して使用することができ
る。重合開始剤の使用量は、特に制限されず、広い範囲
から適宜選択できるが、通常架橋剤に対して重合開始剤
が0.01〜5重量%程度、好ましくは0.05〜1重
量%程度となる割合で使用するのがよい。
【0030】さらに、本発明においては、得られる機能
性蛋白質素材の種々の機能を高めたり、移染防止等の機
能を付与するために、蛋白質とともに水溶性高分子化合
物を架橋させてもよい。かかる水溶性高分子化合物とし
ては、特に制限されず、従来公知の水溶性ポリマー類や
糖質類のいずれも使用できるが、例えば、水酸基、アミ
ノ基、カルボニル基、スルホン基等から選ばれる少なく
とも1種の官能基を有する水溶性高分子化合物等を挙げ
ることができる。より具体的には、ポリビニルアルコー
ル、ポリアリルアミン、ポリエチレングリコール、キト
サン、澱粉、酵素および/または酸による澱粉の分解
物、グアガム、カラギーナン、寒天、微生物が生産する
粘性物質、アクリル系樹脂、アクリルニトリル系樹脂等
を例示できる。これらの水溶性高分子化合物は、1種を
単独で使用することもできまたは2種以上を併用しての
使用することもできる。
【0031】これらの水溶性高分子化合物は、通常、粉
末、溶液、分散液等の形態で架橋反応に供される。溶液
や分散液とする際の溶媒としては、例えば、水、水性溶
媒等を挙げることができ、水が特に好ましい。また、水
溶性高分子化合物の濃度は、特に制限されず、通常1〜
30重量%程度、好ましくは5〜20重量%程度とすれ
ばよい。水溶性高分子化合物の使用量は、特に制限され
ず、得ようとする機能性蛋白質素材の特性、用途等に応
じて広い範囲から適宜選択できるが、通常蛋白質100
重量部に対して0.1〜4000重量部程度、好ましく
は1〜400重量部程度とすればよい。
【0032】本発明に用いる機能性蛋白質素材は、例え
ば、蛋白質の溶液または分散液に酸を加えてpHを酸性
域(通常pH7以下、好ましくは原料として用いられる
蛋白質の等電点〜pH6程度、より好ましくは原料蛋白
質の等電点〜pH5程度)に調整した後、架橋剤を添加
混合することにより製造できる。なお、水溶性高分子化
合物の粉末、溶液、分散液等を加える場合、その添加時
期はpH調整の前後のいずれでもよく、またはpH調整
と同時でもよい。
【0033】蛋白質を溶解または分散させる溶媒として
は、例えば、水、水性溶媒等を挙げることができ、水が
特に好ましい。また、その際の蛋白質濃度は、特に制限
されず、広い範囲から適宜選択できるが、架橋反応をよ
り円滑に進行させること等を考慮すれば、通常0.5〜
10重量%程度、好ましくは1〜5重量%程度とするの
がよい。
【0034】酸としては、pH調整剤として常用される
公知の有機酸および無機酸を使用でき、例えば、塩酸、
クエン酸、琥珀酸、酢酸、ギ酸、リンゴ酸、乳酸、レブ
リン酸、酒石酸、ポリアクリル酸等を挙げることがで
き、これらは単独でまたは2種以上を混合して使用する
ことができる。蛋白質と架橋剤との反応は、必要に応
じ、原料蛋白質が変性しない程度の加温下で行ってもよ
い。この反応は通常30分〜5時間程度、好ましくは1
〜2時間程度で終了するが、さらに長時間熟成を行って
もよい。上記の反応により、本発明に有用な、機能性蛋
白質素材を含む溶液、分散液またはゲルが得られる。
【0035】本発明に用いる機能性蛋白質素材は、例え
ば、凍結乾燥、噴霧乾燥、ドラムドライヤー式乾燥、棚
段乾燥等の通常の手段により、溶液、分散液またはゲル
から容易に単離し、粉末化することができる。また、溶
液、分散液またはゲルをそのままでまたは水、水性溶媒
等の適当な溶媒で希釈して用いることもできる。本発明
では合成繊維を加工の対象として用いる。ここでいう合
成繊維とは、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン12、
ナイロン46、ナイロン66に代表されるポリアミド系
繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート等のポリエステル系繊維、ポリエチレン、ポ
リプロピレン等のポリオレフィン系繊維、アクリル繊
維、ウレタン繊維、アセテート繊維等を挙げることがで
き、これらは単独で構成されていても、2種以上を相互
に複合して構成されていてもよい。また、レーヨン、ビ
ニロン、綿、羊毛等の他の繊維素材との複合構成であっ
てもよい。用いる繊維の形態としては、糸状、不織布、
織物、編物等のいずれの形態であってもよい。
【0036】これらの合成繊維に固着させる上記熱反応
型ウレタン、ポリエポキシ化合物、機能性蛋白質素材の
量は、特に制限されず、得ようとする保湿性、吸水性お
よび制電性に応じて広い範囲から適宜選択できるが、通
常処理対象繊維に対して、熱反応型ウレタンは0.1重
量%〜10重量%、ポリエポキシ化合物は0.1重量%
〜10重量%、機能性蛋白質素材は0.05重量%〜1
0重量%固着する程度とすればよい。また、熱反応型ウ
レタンの反応性を高めるために、塩化第一スズ、塩化第
二スズ、トリ−n−ブチル錫アセテート、n−ブチル錫
トリクロライド、ジブチル錫ラウレート等の有機金属触
媒を用いてもよい。さらに、固着せしめる方法として
は、従来公知の方法でよく、具体的にはスプレー法、パ
ッド法、コーティング法等が挙げられる。一般に、パッ
ド法の場合、繊維を上記のそれぞれの化合物が配合され
た処理液に浸漬し、マングルにて絞った後、約100℃
前後で乾熱または湿熱で熱処理し、140℃〜190℃
にて30秒〜2分間キュアを行えばよい。熱反応型ウレ
タンがメチルエチルケトオキシムでブロックされた化合
物の場合には、キュア温度は低いほど風合いは柔らか
い。さらに必要であれば、ソーピング、還元洗浄および
pH8以上のアルカリ性水溶液での後処理、または(お
よび)アニオン界面活性剤の水溶液での後処理を行って
もよい。
【0037】また、風合いをさらに柔らかくするため、
後処理の前後にカムフィット加工等の物理的揉み効果を
与えたり、後処理に際して、液流染色機、エアーフロー
染色機等の繊維に対して強い物理的揉み効果を与える装
置を用いて処理することもできる。
【0038】
【実施例】以下に本発明の加工方法を参考例、実施例お
よび比較例により具体的に説明するが、本発明はこれら
に限定されるものではない。 参考例1(機能性蛋白質素材の製造例) 高純度蛋白質(商品名:高純度蛋白質MLA、明治乳業
(株)製)3gとデキストリン(商品名:スタコデック
ス、松谷化学(株)製)1gとを、水96gに溶解させ
た。この水溶液にアクリル酸(試薬特級、和光純薬
(株)製)8ミリリットルと重合開始剤(2,2′−ア
ゾビス(2−アミジノプロパン)・2塩酸塩、大塚化学
(株)製)0.08gを加えて、窒素雰囲気下に75℃
で3時間反応させ、機能性蛋白質素材を含む水溶液を製
造した。
【0039】参考例2(イソシアネート基をブロックし
た熱反応型ウレタンの製造例) ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム共
重合物グリコール(平均分子量3400、オキシエチレ
ン含有率70%)850部に、グリセロールトリポリプ
ロピレングリコールエーテル(平均分子量3000)1
00部、ヘキサメチレンジイソシアネート50部を加
え、120℃で4時間反応させ、遊離イソシアネート基
を4.8%含有するウレタンプレポリマーを得た。その
後、遊離イソシアネート基の当量以上の重亜硫酸ソーダ
水溶液を加え、50℃で1時間反応させて遊離イソシア
ネート基が消失したことを確認した。
【0040】実施例1〜3および比較例1〜4 参考例1および2の機能性蛋白質素材および熱反応型ウ
レタンを用いて、表1の配合(重量%)で処理液を調製
し、ポリエステルデシン布にパッド処理した(ピックア
ップ率70%)。その後、110℃で3分間乾燥し、次
いで170℃で1分間熱処理を行った。
【0041】
【表1】
【0042】得られたポリエステルデシン布の保湿性、
吸水性および制電性の性能評価を表2および表3に示
す。
【0043】
【表2】
【0044】*3 洗濯条件:JIS L0217 1
03法に準ずる *4 保湿性:20℃,65%RHのデシケーター中に
24時間放置後、布重量を測定(W1 )。その後、布の
絶乾重量(W0 )を測定し、保湿率(%)を算出した。 保湿率=〔(W1 −W0 )/W0 〕×100 *5 吸水性:JIS L1094 A法(水滴滴下消
失法)に準ずる
【0045】
【表3】
【0046】*6 摩擦帯電圧:JIS L1094
B法 20℃,40%RH 摩擦布:綿金巾3号 *7 風合い:触感にて5段階評価(1:硬い〜5:柔
らかい) 表2及び表3から明らかなように、本発明の方法により
得られる加工布は、繊維素材の風合いを維持しながら、
耐洗濯性の有る保湿性、吸水性および制電性を有してい
た。
【0047】
【発明の効果】本発明の加工方法によれば、疎水性繊維
である合成繊維に対して、耐洗濯性にも優れた高い保湿
性、吸水性および制電性を付与することができ、繊維素
材の風合いを損ねることもなく、より天然繊維の機能に
近づいた合成繊維製品が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06M 13/00 - 15/72

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成繊維を、下記一般式(1) 【化1】 〔上式中、Rは−C2 4 −,−C3 6 −,−(C2
    4 O)n −C2 4 −(ここで、nは1〜34の整数
    を表す)、−CH2 CHOHCH2 −, 【化2】 【化3】 または 【化4】 を表す〕で表されるポリエポキシ化合物およびポリオキ
    シエチレン基を含みイソシアネート基がブロックされた
    熱反応型ウレタンからなる群から選ばれる少なくとも1
    種とおよび架橋性官能基および/または重合性官能基を
    有する化合物により架橋された機能性蛋白質素材とを含
    む水溶液で処理し、次いで熱処理を行うことを特徴とす
    る合成繊維の加工方法。
  2. 【請求項2】 前記熱反応型ウレタン中のポリオキシエ
    チレン基の含有量が20〜60重量%であることを特徴
    とする請求項1記載の合成繊維の加工方法。
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