JP3274567B2 - 衣料用セルロース繊維及びその製造方法 - Google Patents
衣料用セルロース繊維及びその製造方法Info
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Description
に関し、更に詳しくは、天然セルロース単繊維表面に酵
素蛋白質含有被覆層を形成した新規な衣料用セルロース
繊維に関するものである。
等の天然セルロース繊維においては、セルロース分子を
基本単位として、その上位構造のセルロースの結晶性
(結晶度、配向性)、ラメラ構造(ミクロフィブリル,
フィブリル)などの単繊維内部構造が、風合い、強度、
吸湿性等の繊維物性に大きく関係している。天然セルロ
ース繊維に化学処理を施した場合、単繊維表面だけでな
く、単繊維内部構造にまで変化が生じるため、繊維物性
に変化を及ぼし、場合によっては、従来の繊維物質の利
点を失ってしまう結果となる。
化を生じさせず、単繊維表面のみを改質することができ
れば、天然セルロース繊維が本来有する繊維物性を変化
させることなく、新しい機能を該繊維に与えることがで
きる。このような繊維は、衣料用途に展開するにあた
り、極めて付加価値の大きいものとなる。
質する方法の一つとして、分子量が大きく、単繊維内部
に侵入することができない蛋白質を用いて、単繊維表面
のみに蛋白質の被覆層を形成させる方法が提案されてい
る。
希釈溶液に繊維を浸漬し、繊維表面に蛋白質を付着さ
せ、架橋によって繊維と蛋白質とを結合させることによ
り、天然セルロース繊維表面に水溶性蛋白質の被覆層を
形成させる方法(特開昭61−245374号公報)な
どがある。
繊維表面上で不均一に蛋白質が付着して被覆層を形成
し、単繊維群集合体に対して均一な蛋白質の被覆層を与
えてはいない。実際に、上記方法により被覆層を形成し
た繊維を、酸性染料で染色した場合、単繊維群集合体に
染めむらが生じ、均一な蛋白質の被覆層を単繊維集合体
表面に与えてはいないことがわかる。
単繊維表面に均一な蛋白質の被覆層を形成したセルロー
ス繊維及びその製造方法を提供することにある。
て、本発明者は、天然セルロース単繊維表面に蛋白質の
均一な被覆層を形成するためには、天然セルロース単繊
維表面へ蛋白質を付着させて被覆層を形成するのではな
く、蛋白質の吸着現象を利用して被覆層(吸着層)を形
成することが好ましいという見地から蛋白質の天然セル
ロース繊維に対する吸着性について検討を行った。その
結果、特定の条件において、蛋白質を含む溶液中に天然
セルロース繊維を浸漬することにより単繊維表面に蛋白
質を吸着させることができ、蛋白質が溶液中から上記繊
維に吸尽されて溶液中にほとんど残存しない状態にする
ことができるため、単繊維同士が形成する毛細間隙に溶
液が残留しても毛細間隙に蛋白質が残存することがな
く、単繊維集合体に均一な蛋白質の被覆層を形成するこ
とができることを見出した。また、各種蛋白質のうち、
驚くことに酵素蛋白質が天然セルロース繊維に対して高
い吸着性を示し、天然セルロース単繊維に吸着された酵
素蛋白質を架橋剤によって架橋することにより、単繊維
に吸着された酵素蛋白質が洗濯などによって単繊維から
脱離するのを防止することができ、衣料用として好適な
セルロース繊維が得られることを見出し、本発明を完成
した。
維表面に架橋剤により架橋されている酵素蛋白質からな
る被覆層を形成した衣料用セルロース繊維を提供するも
のである。
に天然セルロース繊維を浸漬して該繊維の単繊維表面に
上記酵素蛋白質を吸着させ、次いで架橋剤によって該酵
素蛋白質を架橋することを特徴とする衣料用セルロース
繊維の製造方法を提供するものである。
は、綿、麻等のセルロースを基本単位とする天然繊維で
あり、綿をNaOH、KOH、LiOH等によってマー
セル化処理したり、液体アンモニア等で処理した前処理
繊維も含まれる。なお、これらの天然セルロース繊維を
原糸、織編物又は不織布の形態として後述する酵素蛋白
質の希釈溶液に浸漬し、天然セルロース単繊維表面に酵
素蛋白質を吸着させる際に、上記原糸等には合成繊維等
の天然セルロース繊維以外の繊維が混用されていても何
ら問題はない。
用を持つための特定構造を有する蛋白質の総称を意味す
る。言い換えれば、触媒機能の発現有無にかかわらず、
触媒作用をもつための構造を有している蛋白質のすべて
が該当するものである。
起源が異なり、動物起源、植物起源、微生物起源のもの
があるが、本発明においてはすべての起源の酵素蛋白質
を使用することができる。
応性から分類すると、ヒドロラーゼ類、リラーゼ類、オ
キシドレクターゼ類、リガーゼ類、トランスフェラーゼ
類及びインメラーゼ類が挙げられ、そのすべてを用いる
ことができる。このうちヒドロラーゼ類を用いることが
好ましく、プロテアーゼ等のペプチターゼ、セルラー
ゼ、アミラーゼ等のグルコシダーゼ、リパーゼ等のエス
テラーゼなどを用いることができる。
が好ましく、より好ましくは2万〜30万である。な
お、酵素蛋白質の分子量はその殆どが1万以上であり、
天然セルロース繊維の単繊維内部(ラメラ構造)に侵入
することは殆ど困難であるため、天然セルロース繊維に
おいて酵素が吸着する部位は単繊維表面のみに限定され
る。
とができ、また、後述する蛋白質希釈溶液中に酵素蛋白
質以外の蛋白質が混合していても、酵素蛋白質が有する
吸着性のために優先的に酵素蛋白質が天然セルロース単
繊維表面に吸着されるため、精製された高価な酵素蛋白
質を用いる必要はない。
質中の官能基と反応性を有するものであり、蛋白質分子
間及び蛋白質分子内における反応で架橋を生じるもので
あれば特に制限されない。例えば、「新生化学実験講座
1 タンパク質IV 構造機能相関 13章 架橋、P2
07〜254((株)東京化学同人)」や「生物化学実
験法13 蛋白質の化学修飾(下) VI章 架橋反応、
P81〜113、大野素徳著((株)学会出版センタ
ー)」などに記載されている公知の架橋剤を利用するこ
とができる。特に、アルデヒド化合物、エポキシ化合
物、イソシアネート化合物などが反応性に富んでいるた
め、好ましく使用できる。アルデヒド化合物としては従
来公知のものを広く使用でき、例えば、ホルムアルデヒ
ド、及びグリオキサール、マロンアルデヒド、グルタル
アルデヒド等のジアルデヒドを挙げることができる。エ
ポキシ化合物としては、エチレングリコール、ポリエチ
レングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、グリセリン、ソルビトール、ポリグリセ
ロール、ペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキ
シエチル)、イソシアヌレート、トリメチロールプロパ
ン、ネオペンチルグリコール、フェノールエチレンオキ
サイド、及びラウリルアルコールエチレンオキサイドの
モノ並びにポリグリシジルエーテル、エポキシ基含有カ
ップリング剤が挙げられる。これらのエポキシ化合物は
水に溶解して使用するが、溶解度が低い場合には少量の
有機溶剤、例えばジオキサン又はイソプロピルアルコー
ルと水との混合溶媒に溶解して用いることが好ましい。
ジイソシアネート、ジイソシアン酸ジフェニルメタン、
ヘキサンメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソ
シアネート、ナリタリンジイソシアネートなどの1分子
内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物が挙げ
られる。これらのイソシアネート化合物は、蛋白質との
架橋を可能とする公知の有機溶媒、例えば、クロロホル
ム、ヘキサン、トルエンなどに溶解して用いることが好
ましい。
方法について説明する。まず、酵素蛋白質の希釈溶液に
天然セルロース繊維を浸漬する。この場合、酵素蛋白質
の吸着効率を上げるために溶液を振盪あるいは攪拌する
ことが好ましい。
10の酸性緩衝液、中性緩衝液及び弱アルカリ性緩衝液
を用いることが好ましく、これらの緩衝液を用いて酵素
蛋白質を希釈すると同時に溶液のpHを調整する。希釈溶
液は、酵素蛋白質の天然セルロース繊維に対する吸着条
件から、pH3〜8の酸性ないし中性領域に調整すること
が好ましい。希釈溶液の温度は、蛋白質が熱変性を起こ
さない60℃以下とすることが好ましく、特にセルラー
ゼなどのセルロース繊維を加水分解させる酵素に関して
は0〜5℃の低温下で行うことが好ましい。希釈溶液の
イオン強度は、緩衝液のpH緩衝能を維持できる濃度の点
から0.01以上とすることが好ましく、特に0.05
〜0.2とすることが好ましい。本発明の方法において
は、酵素蛋白質の吸着によって天然セルロース単繊維表
面に被覆層(吸着層)を形成するので、希釈溶液中の酵
素蛋白質濃度は低濃度でよいが、単繊維に対する酵素蛋
白質の吸着量が0.2〜1重量%(以下、単に%で示
す)となる量とすることが好ましく、1%を超えること
は必要としない。
時間は、吸着平衡に達するまでとすることができる。そ
して、浸漬は水溶液中の酵素蛋白質濃度と繊維への蛋白
質吸着量との関係において、単分子吸着を示すラングミ
ュア型吸着等温線の条件下で行うことが好ましい。酵素
蛋白質の吸着平衡時間を求めたり、吸着等温線をプロッ
トする場合、繊維への吸着により生じる溶液中の蛋白質
濃度変化を測定し、吸着前後の水溶液中蛋白質量(酵素
濃度)と処理した繊維の量から下記式(1)によって吸
着量を概算することができる。また、水溶液中の蛋白質
量は、蛋白質定量法として最も代表的なLowry法
(DC−プロテインアッセイ法;BIO−RAD社製)
を用い、牛血清アルブミンを検量線として求め、牛血清
アルブミン換算として繊維への蛋白質の吸着量を重量%
で表す。
ース繊維に吸着させた後、架橋剤を用いて架橋処理を行
う。架橋処理は、酵素蛋白質吸着後、繊維を乾燥させず
に同じ溶液中で行うこともできるし、他の溶液中に移し
て行うこともできる。更に、一端溶液中から引き上げて
乾燥させた繊維に対して行うこともできる。架橋剤の濃
度は、官能基当量(分子量/官能基数)により異なる
が、繊維重量当たりの蛋白吸着量により官能基の総モル
数を算出し、それに応じて架橋剤の使用量を決定すれば
よい。架橋反応を行うための触媒の温度は使用架橋剤に
より設定し、溶液のpHを弱酸性から弱アルカリ性として
行うのが好ましい。
を損なわない条件で行うことが必要である。例えば、ア
ルデヒド化合物(架橋剤)は、蛋白質中のアミノ基と室
温で簡単に反応することができ、吸着状態のままで架橋
を形成することができる。これに対してエポキシ化合物
(架橋剤)は、蛋白質中のアミノ基、カルボキシル基と
の反応を促進する場合、加温又は加熱等の条件下に置
く。加温又は加熱することにより、蛋白質が熱変性する
場合がある。しかし、単繊維表面上の蛋白質被覆層の均
一性が失われない限りにおいては用いることができる。
架橋剤処理後は、常法に従って水洗浄、湯洗浄を充分に
行う。
架橋されている酵素蛋白質からなる被覆層の酵素活性
は、その被覆層を形成したセルロース繊維が衣料用(着
用)として用いる時点で、活性を有しないことが好まし
い。通常、架橋段階において酵素活性のそのほとんどは
失われるが、酵素活性が残っている場合は、活性を失活
させる手段を用いることが好ましい。
洗濯機で20回洗浄を繰り返しても蛋白質の遊離が生じ
ないことが、蛋白質染色用色素による染色で確認され、
架橋により耐洗濯性が得られることがわかる。また、繊
維特性の変化について、吸湿性を調べてみても、被覆層
を形成した繊維は、従来の繊維物性となんら変化を生じ
ていないことがわかる。
り、外部からの物理的又は化学的な刺激に対して、単繊
維内部構造を保護する。例えば、洗濯時、洗濯機の水流
等の物理的刺激に対して、被覆層を形成していれば、単
繊維表面の毛羽立ち(フィブリル化)を抑えることがで
きる。
を行い化学改質することが可能である。すなわち、蛋白
質由来の官能基及び架橋剤の未反応状態の官能基に対し
て、新機能性を持つ物質を反応、結合させることができ
る。例えば、蛋白質由来の官能基に対しては、吸着層を
架橋後、羊毛などの蛋白質系繊維を染色する染料で反応
させ、セルロース繊維を染色可能とし、更に染めむらが
生じない染色結果が得られる。また、架橋剤の未反応状
態の官能基に対しては、架橋剤がエポキシ化合物の場
合、エポキシ基がアミド基と容易に反応することを利用
して、吸着層を架橋した後、長鎖アルキルアミドを反応
させると、柔軟性を保持したセルロース繊維が得られ
る。
単繊維内部構造に変化を生じさせることなく、単繊維表
面に酵素蛋白質の均一な被覆層を形成した衣料用セルロ
ース繊維を得ることができる。また、本発明の製造方法
は、処理に用いる酵素蛋白量は極めて少なくて済むの
で、処理後に生じる蛋白質廃液も極めて少なく、産業上
の効率面及び環境保全の面から有効な製造方法である。
るが本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
(微工研条寄第1485号)、トリコデルマ属菌の生産
するセルラーゼ(メイセラーゼ TP−40、明治製菓
製)を硫安沈澱、透析及び凍結乾燥したものを用いた。
酵素蛋白質以外の蛋白質として、カゼイン(ハマルステ
ン氏法、和光純薬工業製)、アルブミン(牛製、和光純
薬工業製)を用いた。天然セルロース繊維は、木綿繊維
の平織り1125細布(洗濯科学協会)を使用した。
は、酸性領域では100mM酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液
(pH5)、中性領域では50mMリン酸水素2ナトリウム
−リン酸2水素カリウム緩衝液(pH7)であり、イオン
強度を0.1にした。
緩衝液各々に希釈した。蛋白質濃度は、Lowry法に
よる蛋白質定量値の牛血清アルブミン換算値で0〜1g
/lの範囲とした。次に繊維を蛋白質溶液に浸漬した。
繊維は溶液1リットルに対して50g加え、繊維全体が
溶液中に浸漬する状態にした。溶液の温度は5℃とし、
溶液を振盪しながら、平衡吸着に達するまで浸漬を行っ
た。平衡吸着に達するまでの経時変化を図1(代表例と
してバチルス属及びトリコデルマ属菌セルラーゼ)に示
す。平衡吸着に達する時間は、どれも1時間以内であっ
た。
吸着等温線をプロットした結果、酵素蛋白質であるバチ
ルス、トリコデルマ属菌セルラーゼはpH5の酸性領域で
ラングミュア型の吸着等温線を描き、高い吸着性を持つ
ことがわかる。飽和吸着量は繊維重量に対して両酵素蛋
白質とも0.4%であった。酵素以外の蛋白質では、カ
ゼインがpH7で、アルブミンがpH5で吸着性が高く、最
大吸着量としては0.2%未満であった。
(微工研条寄第1485号)を使用した。天然セルロー
ス繊維は、木綿繊維の平織り1125細布(洗濯科学協
会)を使用した。
ナトリウム緩衝液(pH5)に希釈した。酵素濃度はLo
wry法による蛋白質定量値の牛血清アルブミン換算値
で0.5g/lとした。次に繊維を酵素蛋白質の溶液に
浸漬した。繊維は溶液1リットルに対して50g加え、
繊維全体が溶液中に浸漬する状態にした。溶液の温度は
5℃とし、溶液を振盪しながら、平衡吸着に達するまで
3時間浸漬した。
タルアルデヒド(約5%溶液、和光純薬工業製、1
級)、下記式(1)で示され、平均分子量が約100
0、平均エポキシ当量が172のエポキシ系架橋剤のポ
リグリセロースポリグリシジルエーテル(デナコールE
X−521、ナガセ化成工業製)をそれぞれ酢酸−酢酸
ナトリウム緩衝液に100mMになるように希釈し、酵素
蛋白質を吸着させた繊維を架橋剤希釈液1リットルに対
して50g加え浸漬した。
振盪させ架橋反応を行った。デナコールEX−521溶
液は10分以内に20℃から90℃加温し、1時間振盪
させて反応を行った。架橋処理後、水洗浄を充分行い、
乾燥させた。洗剤に対する蛋白質の被覆層の安定性を調
べるため、表1に示す組成のモデル洗剤を用いて家庭洗
濯を行った。
うに水道水に溶かし、繊維との浴比が1:30、20℃
で家庭用洗濯機(静御前、日立製)で12分間洗浄、5
分間すすぎを行った後、脱水、乾燥を行った。この洗濯
を1回、5回、10回、20回行った。
前後の繊維から蛋白質を抽出(0.5N NaOH、9
0℃、1時間)し、定量(Lowry法)することによ
り、洗濯による繊維からの蛋白質の脱離を求めることに
より確かめることができる。しかし、架橋剤による架橋
の場合、蛋白質の抽出が困難であり、定量することがで
きないため、上記洗濯を行った繊維を蛋白質染色用色素
クマシ−ブリリアントブルー(電気泳動用クイックCB
B,和光純薬製)で染色し、染色度により残存蛋白質量
を判断した。
1時間)、又は架橋処理した繊維の染色度はほとんど差
がなく、吸着及び吸着後加熱した繊維から蛋白質を抽出
し、定量すると、繊維重量当り0.4%程度の蛋白質が
認められ、架橋処理した繊維も同程度の蛋白質が繊維に
存在していることがわかる。更に、吸着後加熱した繊維
の洗濯を1回行うと、蛋白質量が約半分の繊維重量当り
0.2%程度となった。これら繊維の蛋白質残存量と染
色性を目安として、以下の基準で評価を行った。結果を
表2に示す。
吸着した繊維)とほぼ同等の染色性を示す。 ○:蛋白質量が繊維重量当り0.4%未満で、0.2%
以上の染色性を示す。 △:蛋白質量が繊維重量当り0.2%未満の染色性を示
す。 ×:染色性がない(蛋白質の残存がない)。
かった繊維は、洗濯5回で蛋白質の染色性がなく、蛋白
質の残留がほとんど無い。しかし、架橋を行った繊維
は、洗濯10回、20回でもほとんど染色性が失われ
ず、洗濯による蛋白質の遊離が生じないことがわかる。
微鏡(電界放射型電子顕微鏡、FE−SEM S−40
00、日立製)にて観察し、単繊維表面上の酵素蛋白質
被覆層の状態を調べた。
面テープで接着後、白金パラジウムによりスパッタリン
グを行った。加速電圧5kVにて観察した。その結果を
図3に示す。酵素蛋白質の繊維への吸着のみでは、洗濯
(洗濯5回)後、被覆層は観察できず、繊維表面から除
かれている。グルタルアルデヒドやデナコールEX−5
21で架橋することにより、洗濯20回後でも被覆層が
観察され、表2の結果と一致することがわかる。
着させ、グルタルアルデヒド及びデナコールEX−52
1で架橋した木綿繊維、ブランクとして未処理繊維(未
吸着、未架橋)について吸湿性を調べた。
乾燥機中で絶乾させた繊維を、温度40℃、湿度RH8
0%に置き、経時的に吸湿による繊維重量変化を測定し
て、吸湿速度及び飽和吸湿量を求めた。結果を図4に示
す。図4から、吸湿速度及び飽和吸湿量とも未処理繊維
と比較して劣らないことがわかる。
維、及び未処理繊維(ブランク)について、外部からの
物理的刺激に対する単繊維の耐性を調べた。外部からの
物理的刺激として洗濯機の水流を採用し、20回洗濯を
行った後の繊維へのダメージ(単繊維表面の毛羽立ち)
を実施例2と同様の方法で観察した。図5にその顕微鏡
写真を示す。図5から、被覆層が形成されていない未処
理繊維は、単繊維表面の毛羽立ち(フィブリル化)がか
なり生じ、単繊維間で毛羽立ちが絡まっているが、酵素
蛋白質の被覆層の形成された繊維は、単繊維表面に僅か
な毛羽立ちが生じているにすぎないことがわかる。
の吸着量の経時変化を示す図である。
白質の吸着量との関係を示す図である。
維表面の形状を示す顕微鏡写真である。
時変化を示す図である。
維表面の形状を示す顕微鏡写真である。
Claims (6)
- 【請求項1】 天然セルロース単繊維表面に架橋剤によ
り架橋されている酵素蛋白質からなる被覆層を形成した
衣料用セルロース繊維。 - 【請求項2】 被覆層を形成する酵素蛋白質が、分子量
が1万以上の1種又は2種以上のものである請求項1記
載の衣料用セルロース繊維。 - 【請求項3】 天然セルロース単繊維が綿又は麻である
請求項1又は2記載の衣料用セルロース繊維。 - 【請求項4】 酵素蛋白質を含む溶液中に天然セルロー
ス繊維を浸漬して該繊維の単繊維表面に上記酵素蛋白質
を吸着させ、次いで架橋剤によって該酵素蛋白質を架橋
することを特徴とする衣料用セルロース繊維の製造方
法。 - 【請求項5】 上記酵素蛋白質を含む溶液のpHが酸性な
いし中性領域にあることを特徴とする請求項4記載の衣
料用セルロース繊維の製造方法。 - 【請求項6】 天然セルロース単繊維に対する酵素蛋白
質の吸着量が0.2〜1重量%である請求項4又は5記
載の衣料用セルロース繊維の製造方法。
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