JP4089083B2 - 抗菌性繊維構造物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、形態安定性と工業洗濯耐久性に優れた抗菌性を有する繊維構造物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、抗菌性を付与した繊維構造物は、各種衣料、芯地、裏地、寝装製品、インテリア製品などに広く利用されている。特に、近年、メチシリン耐性黄色ブドウ状球菌(以下、「MRSA」という。)による病院内感染が問題となっており、その対策として白衣、カバー、シーツ、カーテンなどにはMRSA対応の抗菌性を付与することが望まれている。
【0003】
しかし、これらの用途では通常60〜85℃の工業洗濯を多数繰り返されるため、従来技術では十分な耐久性を有するものはほとんど得られていない。また、それらがセルロース系繊維を含有する場合には、洗濯後の形態安定性が劣る点も問題となっていた。
【0004】
従来、抗菌処理には銀、銅、あるいは亜鉛などの無機系抗菌剤を合成繊維の紡糸段階で練り込む方法と、第四級アンモニウム塩などの有機系抗菌剤をスプレー処理あるいはパディング処理して付与する後加工の方法が主としてとられてきた。前者の場合、洗濯耐久性という面では優れているが、編織物など布帛上での加工が不可能である。また、紡糸段階で口金面に抗菌剤が結晶として析出するため、糸切れが多発するなどの製糸上の問題があった。一方、後者の場合、布帛上で抗菌加工ができるという利点はあるものの、抗菌性の洗濯耐久性という面では劣っていた。
【0005】
また、これらの用途では吸水性が高く、肌触りがよいなどの点からセルロース系繊維が好ましく用いられてきたが、その一方で合成繊維構造物に比べ、しわになりやすい、洗濯により収縮するといった欠点があり解決が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる背景を鑑み、工業洗濯耐久性に優れた抗菌性を有し、かつ、防しわ性、防縮性等の形態安定性能を有する繊維構造物を提供せんとするものである。
【0007】
本発明の抗菌性繊維構造物は、セルロース系繊維と繊維構造物1g当たりの表面積が0.1m2 以上であるポリエステル系繊維とからなる繊維構造物であって、該セルロース系繊維が下記式で定義される架橋指数が1〜4の範囲で架橋改質されたものであり、かつ、該ポリエステル系繊維が分子量200〜700、無機性/有機性値=0.3〜1.4、平均粒径2μm以下であるピリジン系抗菌剤を含み、かつ、該ポリエステル系繊維内部に吸尽され、リング分布の状態で存在することを特徴とする抗菌性繊維構造物である。
【0008】
架橋指数 = (A−B)
ここで A:温度30℃、相対湿度90%RH雰囲気下での架橋改質後の繊維構造物の吸湿率(%)。
【0009】
B:温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下での架橋改質後の繊維構造物の吸湿率(%)。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明でいうセルロース系繊維は、綿、麻、パルプなどの天然セルロース繊維、ビスコースレーヨンなどの再生セルロース繊維等が含まれる。
【0014】
また、本発明においてセルロース系繊維は架橋剤により架橋改質されているものである。ここでいう架橋剤とは、セルロース系繊維を構成しているセルロース分子中の水酸基、とりわけ洗濯時のしわ、収縮の原因となる非晶領域にある水酸基と反応し、セルロース分子間および分子内に架橋を形成することが可能な化合物のことであり、具体的にはホルムアルデヒドや、ジメチロールエチレン尿素、ジメチロールトリアゾン、ジメチロールウロン、ジメチロールグリオキザールモノウレイン、ジメチロールプロピレン尿素、これらのメチロール基の一部または全部をメトキシ化、エトキシ化したもの等の繊維素反応型樹脂、ポリカルボン酸類、イソシアネート類等があげられる。これらの架橋剤の中でも、セルロース系繊維の架橋改質をより効率的、効果的に行うためには、ホルムアルデヒドまたは下記一般式[I]で示された化合物が好ましく用いられる。
【0015】
【化2】
【0016】
ここで R1、R2は−H、炭素数1〜4のアルキル基、又は−CH2OR7 のいずれかである同種又は異種の基、
R3、R4、R5、R6は−Hまたは−OR8 のいずれかである同種又は異種の基、
R7、R8は−H、又は炭素数1〜4のアルキル基のいずれかである同種又は異種の基
セルロース系繊維の改質の程度は下記式で定義される架橋指数が1〜4の範囲内であることが必要であり、2〜3.5の範囲内が好ましい。かかる架橋指数は、架橋改質後のセルロース系繊維の温度30℃、相対湿度90%RH雰囲気下で吸湿率の値から温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下で吸湿率の値を差し引いて算出されるものであり、セルロース系繊維がどの程度架橋改質されているかを知る上での指標となる。すなわちこれは、架橋改質によりセルロース分子中の水酸基が封鎖され、結果として吸湿率の値が低下することを利用したものである。この指数が小さいものほど架橋改質の度合いが大きく、大きいものほど架橋改質の度合いが小さい。一般に未加工の木綿、麻で4〜5程度である。
【0017】
架橋指数 = (A−B)
ここで A:温度30℃、相対湿度90%RH雰囲気下での架橋改質後の繊維構造物の吸湿率(%)。
【0018】
B:温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下での架橋改質後の繊維構造物の吸湿率(%)。
【0019】
架橋指数が1より小さい場合、架橋が過度に形成され、布帛の強力や柔軟性が低下し、形態安定性は良好であるものの、実用に耐えないものとなってしまう。一方、架橋指数が4より大きい場合は、セルロース繊維の架橋改質が十分でなく、必要とされるレベルの防しわ性、防縮性等の形態安定性能が付与できない。布帛の強力、柔軟性と形態安定性のバランスを考えた場合には、架橋指数が2〜3.5の範囲内にあることが好ましい。
【0020】
かかる架橋剤のセルロース系繊維への付与方法としては、各種手段が適用可能であり、具体的には架橋剤をガス状にして付与する方法、パディング法、浸漬法、スプレー法、プリント法、コーティング法、グラビア加工法、泡加工法等があげられが、なかでも、架橋剤がホルムアルデヒドの場合にはガス状にして付与する方法が、架橋剤が繊維素反応型樹脂、ポリカルボン酸類、イソシアネート類等の場合にはパディング法が好ましく使用される。
【0021】
セルロース系繊維の架橋改質を行うにあたり、架橋剤の反応を促進する目的で、触媒を併用することも好ましく行われ、具体的には、有機酸、有機アミン塩、塩化マグネシウム、硝酸亜鉛、ホウフッ化亜鉛、硝酸マグネシウム、塩化亜鉛等の金属塩などを用いることができる。
【0022】
また、架橋剤によるセルロース系繊維の架橋改質の方法としては、通常の架橋改質方法が適用可能であり、具体的には、縫製品の状態にした繊維構造物に対しホルムアルデヒドで気相処理する方法、布帛の状態のままの繊維構造物に対し前記架橋剤を付与し、縫製した後、加熱処理を施すポストキュア法、布帛の状態のままの繊維構造物に対し前記架橋剤を付与して熱処理まで行うプレキュア法等があげられるがこれらに限定されるものではない。なお、熱処理温度としては80〜220℃の範囲にあることが好ましく、120〜200℃の範囲で熱処理を行うことがさらに好ましい。
【0023】
次に、本発明に用いられる合成繊維は、ポリエチレンテレフタレートやポリブレチンテレフタレートなどのポリエステル系繊維が挙げられる。本発明の繊維構造物は、糸、織布、不織布等を使用することができる。かかる合成繊維の中でもポリエステル繊維が、抗菌性の工業洗濯耐久性が最も優れている繊維構造物を提供することができる。
【0024】
また、本発明において合成繊維は、発色性を損なわずに抗菌性を付与する観点から着色されていることが好ましい。ここで着色されているとは、合成繊維が分散染料、酸性染料、カチオン染料、蛍光増白剤などの着色物を含むことをいう。
【0025】
かかる繊維構造物のうち、本発明に使用され得る繊維構造物は、繊維構造物1g当たりの合成繊維の表面積が0.1m2 以上であるもの、好ましくは表面積が0.15m2 以上のものである。合成繊維に抗菌剤が付着または吸尽する作用は繊維の表面積もしくは繊維の単繊維繊度に依存するので、表面積が0.1m2 以上の繊維では、高度な工業洗濯耐久性を有する抗菌性繊維構造物を得ることができる。なお、複数種の合成繊維やさらに天然繊維を組み合わせた場合でも同等の効果が得られる。
【0026】
本発明でいう繊維構造物は、前記セルロース系繊維および合成繊維が混繊、混紡、交繊、交編等により混用されていなければならないが、その他に羊毛、絹等が混用されていても構わない。有効な形態安定性能を確保する観点から、セルロース系繊維は、繊維重量で10〜90wt%の範囲で含有していることが好ましい。
【0027】
本発明において合成繊維は、分子量が200〜700であり、無機性/有機性値=0.3〜1.4のもので、かつ、平均粒径2μm以下であるというピリジン系抗菌剤を含むものである。
【0028】
かかるピリジン系抗菌剤は、合成繊維に対し強固に付着または吸尽・拡散する。これは、特定な分子量、無機性/有機性値ならびに平均粒径の3つの要件を、繊維内部に吸尽・拡散する分散染料に近い条件に近づけることにより、分散染料と同じ挙動を示すものと考えられる。これら条件を満足しない場合、抗菌剤は合成繊維に対して強固に付着または吸尽・拡散せず、十分な工業洗濯耐久性は得られない。
【0029】
分子量が200未満のときは、抗菌剤が合成繊維に付着または吸尽・拡散するが洗濯耐久性は低い。一方、分子量が700を超えるときは、抗菌剤が合成繊維に付着または吸尽しない。好ましくは、抗菌剤の分子量は300〜500である。
【0030】
次に、本発明でいう「無機性/有機性値」とは、藤田稔氏が考案した各種有機化合物の極性を有機概念的に取り扱った値であり〔改編 化学実験学−有機化学篇−河出書房(1971)参照〕、炭素(C)1個を有機性20とし、それに対し各種極性基の無機性、有機性の値を表1の如く定め、無機性値の和と有機性値の和を求め両者の比をとった値をいう。
【0031】
【表1】
【0032】
かかる有機概念で、例えばポリエチレンテレフタレートの無機性/有機性値を算出すると0.7、本発明は、かかる有機概念で算出された値をもとにして合成繊維と抗菌剤との親和性に注目し、無機性/有機性値が所定の範囲内にある抗菌剤を合成繊維に付着または吸尽・拡散させたものである。
【0033】
無機性/有機性値が0.3未満の場合は有機性が強くなりすぎて、逆に1.4を超える場合は無機性が強くなりすぎて、合成繊維に付着または吸尽・拡散しにくくなる。無機性/有機性値は0.35〜1.3であることが好ましく、0.4〜1.2であることがより好ましい。
【0034】
例えば、2,3,5,6−テトラクロロ−4−ヒドロキシピリジンの場合、ベンゼン核を1つ、−Cl基を4つ、−OH基を1つ、−NR2基を1つ含むため無機性値は265となる。また有機性値は、C(炭素)を5つ、−Cl基を4つ含むため180となり、無機性値/有機性値は1.47となる。また、2−ピリジルチオール−1−オキシド亜鉛はキレート錯体として存在し、電気陰性度の点から亜鉛と硫黄は共有結合をしていると考えるので、この化合物の無機性値は85、有機性値は190となり無機性値/有機性値は0.45と計算できる。一方、同じピリジン系抗菌剤である2−ピリジルチオール−1−オキシドナトリウムは、ナトリウムと硫黄は電気陰性度差が1.6以上あり、この結合はイオン結合となり、この場合、ナトリウムは軽金属塩として働くため無機性値は585、有機性値は190と算出でき、無機性値/有機性値は3.0となることから、ポリエステルとの親和性は悪くなる。
【0035】
また、本発明においては、かかる抗菌剤の中でも、平均粒径が2μm以下のものを用いる。平均粒径が2μmを超えると、合成繊維に付着または吸尽しにくくなる上に、加工液にした時に粒子の沈降が起こり、液の安定性に欠ける傾向を示すものである。好ましくは、抗菌剤の平均粒径は1μm以下である。
【0036】
かかる抗菌剤として、2−クロロ−6−トリクロロメチルピリジン、2−クロロ−4−トリクロロメチル−6−メトキシピリジン、2−クロロ−4−トリクロロメチル−6−(2−フリルメトキシ)ピリジン、ジ(4−クロロフェニル)ピリジルメタノール、2,3,5−トリクロロ−4−(n−プロピルスルフォニル)ピリジン、2−ピリジルチオール−1−オキシド亜鉛、ジ(2−ピリジルチオール−1−オキシド)等のピリジン系化合物を用いることができる。その中でも特に、2−ピリジルチオール−1−オキシド亜鉛が、繊維との親和性がよく、繊維に対して強固に付着、吸尽するため洗濯耐久性が良く、MRSAをはじめ効果を示す対象菌種の広さの点で好ましい。
【0037】
また、本発明の繊維構造物は、界面活性剤を混合した洗液を使い、80℃で12分/回×50回の工業洗濯処理後も、SEK(繊維製品新機能評価協議会)の定める制菌評価方法(統一試験法)で、静菌活性値が2.2以上であるものが好ましい。より好ましくは、界面活性剤を混合した洗液を使い、85℃で15分/回×50回の工業洗濯処理後も、SEK(繊維製品新機能評価協議会)の定める制菌評価方法(統一試験法)で、静菌活性値が2.2以上のものである。
【0038】
洗濯処理条件を厳しくした場合においても、静菌活性値が2.2以上であるものがさらに好ましい。すなわち、過酸化物、強アルカリ剤、界面活性剤を混合した洗液を使い、80℃で12分/回×50回の工業洗濯処理後も、SEK(繊維製品新機能評価協議会)の定める制菌評価方法(統一試験法)で、静菌活性値が2.2以上であるものがさらに好ましい。最も好ましいのは、過酸化物、強アルカリ剤、界面活性剤を混合した洗液を使い、85℃で15分/回×50回の工業洗濯処理後も、SEK(繊維製品新機能評価協議会)の定める制菌評価方法(統一試験法)で、静菌活性値が2.2以上のものである。
【0039】
ここでいう過酸化物、強アルカリ剤、界面活性剤を混合した洗液とは、界面活性剤として、例えば花王(株)製洗剤“ザブ”(登録商標)2g/l、過酸化物として過酸化水素水(35%工業用)3cc/l、強アルカリ剤として過炭酸ナトリウム1.5g/lを、それぞれ所定量に秤量した後、浴比1:20の割合で水を張ったドラム染色機内に投入し混合して調整したものである。その後この洗液を温度85℃まで昇温し、本発明の抗菌性繊維構造物と捨布を投入後15分間洗濯する。その後排液、脱水後、オーバーフロー水洗を10分間実施し、最後に脱水を行い、これを洗濯1回とする。この工程を50回繰り返した後、タンブラー・ドライヤーを用いて20分間で乾燥させ、制菌評価を行う。
【0040】
かかる抗菌剤を合成繊維に付着または吸尽させる方法としては、液流染色機等で抗菌剤を含む液中に繊維構造物を浸し、常圧または加圧の下、90〜160℃で10〜120分間、より好ましくは120〜135℃で20〜60分間加熱する。このとき、必要に応じて分散染料または分散性蛍光増白剤を液中に添加してもよい。
【0041】
かかる方法において、さらに好ましくは液中処理した後、テンター等で160〜200℃で15秒〜5分間、より好ましくは170〜190℃で30秒〜2分間の乾熱処理を行うことができる。かかる乾熱処理により、抗菌剤は繊維表面から内部に拡散して繊維内部リング分布の状態になり、抗菌性を損なうことなく洗濯耐久性を向上させることができる。この処理条件を変更することで抗菌剤を繊維表面付着、繊維内部リング分布、繊維内部拡散の各状態にコントロールすることができる。
【0042】
いまひとつの方法は、パディング法やスプレー法等で該抗菌剤を含む液を繊維構造物に付着させた後、テンター等で160〜200℃で30秒〜10分間、より好ましくは170〜190℃で1〜5分間、乾熱処理および湿熱処理から選ばれた少なくとも1種の加熱処理をすることにより製造することができる。
【0043】
コスト、加工工程の合理化の面からは、パディング法やスプレー法等で、該架橋剤および抗菌剤を同時に繊維構造物に付着させた後、170〜190℃で30秒〜5分熱処理を行う方法が好ましく用いられるがこれらに限定されるものではない。
【0044】
かかる繊維構造物は、工業洗濯耐久性のある抗菌性、形態安定性に優れ、織物、編物の形態で好ましく用いられ、ドレスシャツ、ユニフォーム、インナー靴下、インテリア、スポーツ衣料等の用途に好適である。
【0045】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。
【0046】
実施例、比較例中での品質評価は次の方法によるものである。
(1)洗濯方法
ドラム染色機を用い、花王(株)製洗剤“ザブ”(登録商標)2g/l、過酸化水素水(35%工業用)3cc/l、過炭酸ナトリウム1.5g/l、温度85±2℃、浴比1:20で15分間洗濯し、その後排液、脱水後、オーバーフロー水洗を10分間実施した。水洗後タンブラー・ドライヤーを用いて20分間で乾燥させた。これを洗濯1回とした。
(2)抗菌試験方法
試験方法は統一試験法を採用し、試験菌体はMRSA臨床分離株を用いた。試験方法は、滅菌試料布に上記試験菌のブイヨン懸濁液を注加し、密閉容器中で37℃、18時間培養後の生菌数を計測し、殖菌数に対する菌数を求め、次の基準に従った。
【0047】
log(B/A)>1.5の条件下、log(B/C)を菌数増減値差とし、2.2以上を合格レベルとした。
【0048】
ただし、Aは無加工品の接種直後分散回収した菌数、Bは無加工品の18時間培養後分散回収した菌数、Cは加工品の18時間培養後分散回収した菌数を表す。
(3)防しわ性の評価
AATCC124−19845段階レプリカ法に基づいて判定した。 5級(良好)〜1級(不良)
(4)洗濯収縮率
JIS L−1042により測定した。
【0049】
実施例1
まず抗菌剤のコロイド化処理を行った。すなわち、抗菌剤50gとナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物20gおよびリグニンスルホン酸ナトリウム30gを水300gと共にスラリー化し、次いでガラスビーズを用いて湿式粉砕処理を施し、平均粒径1μmのコロイド状態の組成物を得た。なお、抗菌剤は2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛を使用した。また、架橋剤はジメチロールジヒドロキシエチレン尿素樹脂水溶液(固形分20%)を、触媒として塩化マグネシウムを使用した。
【0050】
供試布として、ポリエチレンテレフタレートスパン糸(繊維構造物1g当たりの表面積が0.28m2、単繊維繊度1デニール、繊維長38mm)と綿糸の割合が50:50となるように混紡した45番手の紡績糸を経糸および緯糸に用いた織物(目付185g/m2)を作製した。
【0051】
この織物を表2に示された組成の加工液に浸漬し、絞り率80%でパディング後、130℃×90秒予備乾燥、次いで180℃×1分熱処理し、試料を作製した。評価結果と併せて表2に示す。
【0052】
良好な形態安定性を示すと共に、工業洗濯耐久性に優れた抗菌性を示すものが得られた。
【0053】
実施例2
供試布として、75デニール−72フィラメントのポリエチレンテレフタレートフィラメント糸(繊維構造物1g当たりの表面積が0.27m2、単繊維繊度1.04デニール)と、45番手の綿糸を50:50の割合で交編させた編物を使用した。かかる編物を実施例1に示した条件で加工し、試料を作製した。評価結果と併せて表2に示す。
【0054】
良好な形態安定性を示すと共に、工業洗濯耐久性に優れた抗菌性を示すものが得られた。
【0055】
実施例3
供試布として実施例1と同様の織物を使用した。かかる織物を高圧染色試験機を用いて抗菌剤1%owf、浴比1:10、pH5の液中に浸し、130℃、60分間の条件で染色加工の常法に従って処理した。その後、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素樹脂水溶液(固形分20%)を100g/l、塩化マグネシウムを15g/l含む加工液を用い、実施例1と同様の条件で加工し、試料を作製した。評価結果と併せて表2に示す。
【0056】
良好な形態安定性を示すと共に、工業洗濯耐久性に優れた抗菌性を示すものが得られた。
【0057】
比較例1、2
表2に示された組成の加工液を用いて、実施例1と同様に加工を行い試料を作製した。評価結果と併せて表2に示す。
【0058】
比較例1については、抗菌性が得られず、比較例2については防しわ性、防縮性等の形態安定性能が得られていないことがわかる。
【0059】
【表2】
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、工業洗濯耐久性に優れた抗菌性を有し、かつ、防しわ性、防縮性等の形態安定性能を有する繊維構造物を提供することができる。
Claims (9)
- セルロース系繊維と繊維構造物1g当たりの表面積が0.1m2 以上であるポリエステル系繊維とからなる繊維構造物であって、該セルロース系繊維が下記式で定義される架橋指数が1〜4の範囲で架橋改質されたものであり、かつ、該ポリエステル系繊維が分子量200〜700、無機性/有機性値=0.3〜1.4、平均粒径2μm以下であるピリジン系抗菌剤を含み、かつ、該ポリエステル系繊維内部に吸尽され、リング分布の状態で存在することを特徴とする抗菌性繊維構造物。
架橋指数 =(A−B)
ここで A:温度30℃、相対湿度90%RH雰囲気下での架橋改質後の繊維構造物の吸湿率(%)。
B:温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下での架橋改質後の繊維構造物の吸湿率(%)。 - 該ピリジン系抗菌剤が、2−クロロ−6−トリクロロメチルピリジン、2−クロロ−4−トリクロロメチル−6−メトキシピリジン、2−クロロ−4−トリクロロメチル−6−(2−フリルメトキシ)ピリジン、ジ(4−クロロフェニル)ピリジルメタノール、2,3,5−トリクロロ−4−(n−プロピルスルフォニル)ピリジン、2−ピリジルチオール−1−オキシド亜鉛、ジ(2−ピリジルチオール−1−オキシド)から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の抗菌性繊維構造物。
- 該ピリジン系抗菌剤が、2−ピリジルチオール−1−オキシド亜鉛であることを特徴とする請求項1又は2に記載の抗菌性繊維構造物。
- 該セルロース系繊維の架橋指数が2〜3.5であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の抗菌性繊維構造物。
- 繊維重量で10〜90wt%の範囲でセルロース系繊維を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の繊維構造物。
- 該セルロース系繊維が、ホルムアルデヒドを架橋剤として用いて架橋改質されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の抗菌性繊維構造物。
- 該抗菌剤が、該合成繊維に付着または吸尽していることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の抗菌性繊維構造物。
- 該合成繊維が、ポリエステルからなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の抗菌性繊維構造物。
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