JP3167555B2 - 改質蛋白質繊維又はその繊維製品及びそれらの製造方法 - Google Patents
改質蛋白質繊維又はその繊維製品及びそれらの製造方法Info
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Description
又はその繊維製品及びそれらの製造方法に関する。
18種類にも及ぶアミノ酸から構成され、その一次並び
に高次構造は、複雑な様相を呈しており、単純なモノマ
ーの繰り返しで構成されている合成有機高分子とは、こ
の点で大きく異なるものである。更に天然蛋白質分子
は、結晶部分と非晶部分とがほどよく連なって配列した
構造をとっており、非晶部分には分子鎖が長く極性の強
いアミノ酸残基が多く含まれるため優れた風合い、感
触、吸湿性、染色性が発現するという天然蛋白質繊維特
有の特徴を有している。しかしながら、一方では、柔軟
性、耐摩耗性等の実用機能上の問題も有している。
ため、従来より蛋白質繊維にビニルモノマーをグラフト
重合して改質する方法が種々提案されている。例えば、
絹糸又はその製品に2−ヒドロキシエチルメタクリレー
トをグラフト重合することにより、絹本来の特性を保持
させながら、絹糸又はその製品の機械的特性を向上させ
ることが特公昭46−28684号公報にて提案されて
いる。
ラフト重合する場合、グラフト率が低い領域では、絹糸
やその製品がしなやかになる等の柔軟効果を奏するもの
の、グラフト率が増すと、吸湿率の低下は起こり難い
が、グラフト率がおよそ35%以上になると、フリーの
2−ヒドロキシエチルメタクリレートポリマーが絹糸表
面に付着し始めるため、柔軟さが失われて硬くなり、風
合いが低下したり、微細構造が破壊されるという問題を
有している。
る方法も従来より知られているが、メタクリル酸アミド
を用いる場合、グラフト率が高くなると、絹フィブロイ
ンの分子配向が乱れる等の絹糸の微細構造の破壊が生じ
易くなるという問題を有する。
マーを蛋白質繊維又はその繊維製品にグラフト重合させ
ることにより、蛋白質繊維又はその繊維製品の柔軟度、
吸湿率、耐熱安定性等が改善され、かつグラフト重合時
における蛋白質繊維が有する微細構造の劣化が抑制され
た改質蛋白質繊維又はその繊維製品を提供することにあ
る。
はその繊維製品に、蛋白質繊維又はその繊維製品に、4
−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートと2−ヒドロ
キシエチルメタクリレートとが、4−ヒドロキシブチル
(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリ
レート=20/80〜30/70の組成比(重量)でグ
ラフト重合された改質蛋白質繊維又はその繊維製品、及
び、蛋白質繊維又はその繊維製品に、4−ヒドロキシブ
チル(メタ)アクリレートと2−ヒドロキシエチルメタ
クリレートとを、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリ
レート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート=20/
80〜30/70の組成比(重量)でグラフト重合反応
させることを特徴とする改質蛋白質繊維又はその繊維製
品の製造方法、にある。
絹糸、柞蚕、天蚕、エリ蚕、ムガ蚕等由来の野蚕絹糸、
羊毛繊維等が挙げられ、その繊維製品としては、これら
蛋白質繊維からなる織物、編物等任意の形態のものが挙
げられる。
においては、蛋白質繊維又はその繊維製品に4−ヒドロ
キシブチル(メタ)アクリレートと2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレートがグラフト重合されており、蛋白質繊
維又はその繊維製品は、かかる特定モノマーの併用のグ
ラフト重合により改質されている。
ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートと2−ヒドロキ
シエチルメタクリレートのうち4−ヒドロキシブチル
(メタ)アクリレートは、具体的には、4−ヒドロキシ
ブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレ
ートを指し、二つの組み合わせであってもよい。
シブチル(メタ)アクリレートは、2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレートにその分子構造が近似しているため、
4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートに2−ヒド
ロキシエチルメタクリレートが併用されてグラフト重合
されるときは、良好なグラフト率及びグラフト効率が得
られると共に、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが
単独グラフト重合されたときの高グラフト領域での改質
絹糸の柔軟性消失による風合い低下が防止される。
トと2−ヒドロキシエチルメタクリレートを併用したグ
ラフト重合においては、4−ヒドロキシブチル(メタ)
アクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート=
20/80〜30/70の組成比(重量)で、併用され
てグラフト重合されることが、絹糸の風合い低下防止効
果が最も発揮される上で好ましい。
(メタ)アクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリ
レートの量は、グラフト率で示されるが、グラフト率
は、目的とする改質度合、繊維製品等繊維の形態により
異なるが、低グラフト率から高グラフト率に至るまで任
意に設定される。
は、以下のような方法で製造することができる。即ち、
蛋白質繊維又はその繊維製品に、4−ヒドロキシブチル
(メタ)アクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリ
レートをグラフト重合反応させることにより本発明の改
質蛋白質繊維又はその繊維製品が製造されるが、より詳
しく説明すると、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリ
レートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートを界面活
性剤を用いて水に分散させて加工液(グラフト加工溶
液)とし、この加工液に蛋白質繊維又はその繊維製品を
浸漬し、重合開始剤の存在下でグラフト重合反応させ
る。
に用いる4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートと
2−ヒドロキシエチルメタクリレートのうち4−ヒドロ
キシブチル(メタ)アクリレートは、具体的には、4−
ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチル
メタクリレートを指し、二つを組み合わせて用いてもよ
い。
ロキシブチル(メタ)アクリレートと2−ヒドロキシエ
チルメタクリレートを併用する場合は、4−ヒドロキシ
ブチル(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート=20/80〜30/70の組成比(重
量)で併用する。
トと2−ヒドロキシエチルメタクリレートは、水に分散
させて加工液が調整されるが、4−ヒドロキシブチル
(メタ)アクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリ
レートの合計使用量は、改質度合等により異なるが、1
5%owf(対繊維重量の略)以上とする。
剤としては、例えばノイゲンHC(第一工業製薬(株)
製、商品名)のような非イオン界面活性剤やニューカル
ゲン1515−2H(竹本油脂(株)製、商品名)のよ
うな非イオン界面活性剤とアニオン界面活性剤の混合界
面活性剤等が挙げられる。
としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウ
ム、過硫酸ナトリウム等が挙げられ、特に過硫酸アンモ
ニウムが好ましく用いられ、重合開始剤は、加工液に添
加される。
マーの重合における使用量で十分であり、例えば4−ヒ
ドロキシブチル(メタ)アクリレートと2−ヒドロキシ
エチルメタクリレートを40%owf用いた場合、重合
開始剤として過硫酸アンモニウムを用いるとき、過硫酸
アンモニウムの使用量は、4−ヒドロキシブチルアクリ
レートと蛋白質繊維又はその繊維製品との合計重量に対
し0.5〜3重量%程度であることが好ましい。
H3前後に調整することは、グラフト重合反応を安定し
て行わせ、グラフト効果、特にグラフト効率を向上させ
ることから好ましいことであり、pH調整は、硫酸、蟻
酸、塩酸等の酸、好ましくは蟻酸の添加により行う。
より、蛋白質繊維又はその繊維製品重量に対しての加工
液重量比、即ち浴比を、好ましくは1:10〜1:2
0、より好ましくは1:15とする。
又はその繊維製品を浸漬し、加工液を室温から10〜2
0分かけて75〜80℃に昇温し、75〜80℃で30
分〜1時間保持して行う。グラフト重合反応後、反応さ
せた蛋白質繊維又はその繊維製品を洗浄し、乾燥して本
発明の改質蛋白質繊維又はその繊維製品を得る。
る。なお、実施例中の測定値は、下記の方法により求め
た。 グラフト率及びグラフト効率: 下式により算出して求めた。 グラフト率(%)=(B−A)/A×100 グラフト効率(%)=(B−A)/C×100 但し、Aはグラフト重合前の試料の重量、Bはグラフト
重合後の試料の重量、Cはグラフト重合に使用のモノマ
ーの重量、各試料重量は105℃で2時間乾燥後に測定
した。
往復摩擦して糸表面のしなやかさ、滑らかさの表面状態
の官能評価を行い、評価結果を精錬絹糸の評価を±とし
たとき、−の数の増える程劣り、+の数の増える程優れ
る、−−〜++++の評価レベルで示した。
意味する。 4HBA :4−ヒドロキシブチルアクリレート 4HBMA:4−ヒドロキシブチルメタクリレート HEMA :2−ヒドロキシエチルメタクリレート
合用モノマーとして4HBAとHEMAを表1に示すよ
うな組成比(重量)で用い、モノマー濃度を60%ow
fとし、蟻酸2ml/l、ノイゲンHC(第一工業製薬
(株)製非イオン界面活性剤、商品名)0.2ml/
l、過硫酸アンモニウム1.8重量%(対家蚕絹糸、モ
ノマー合計重量)、pH3.1、浴比1:15の加工液
に浸漬し、液温を20℃から80℃に20分かけて昇温
し、80℃で1時間保持してグラフト重合反応を行っ
た。グラフト重合反応が終了後、グラフト重合処理した
家蚕絹糸を取り出し、1g/l濃度のノイゲンHC水溶
液で80℃で20分洗浄し、湯洗い、水洗した。処理し
た家蚕絹糸は、仕上がりが良好で、着色がなく、ハイド
ロサルファイト等により還元洗浄する必要もなかった。
得られたグラフト重合処理家蚕絹糸を調湿した後、グラ
フト重合処理家蚕絹糸のグラフト率及びグラフト効率を
測定し、又、表面状態の官能評価を行い、それぞれの結
果を表1に示した。
BMAとHEMAを表2に示すような組成比(重量)で
用いた以外は、実施例1と同様にして、家蚕絹糸にグラ
フト重合処理及び洗浄を行った。得られたグラフト重合
処理家蚕絹糸を調湿した後、グラフト重合処理家蚕絹糸
のグラフト率及びグラフト効率を測定し、又、表面状態
の官能評価を行い、それぞれの結果を表2に示した。
BMAとHEMAを表3に示すような組成比(重量)で
用い、モノマー濃度を100%owfとした以外は、実
施例1と同様にして、家蚕絹糸にグラフト重合処理及び
洗浄を行った。得られたグラフト重合処理家蚕絹糸を調
湿した後、グラフト重合処理家蚕絹糸のグラフト率及び
グラフト効率を測定し、又、表面状態の官能評価を行
い、それぞれの結果を表3に示した。
品は、化学的に活性な特定のモノマーがグラフト重合さ
れていることから、蛋白質繊維本来の風合いを損なうこ
となく、柔軟性、吸湿性、耐熱安定性等の性能が改善さ
れ、且つ、本発明によれば、グラフト重合時における蛋
白質繊維の微細構造の破壊による劣化が抑制され、未改
質の蛋白質繊維が有する機械的な繊維物性の低下が少な
い改質蛋白質繊維又はその繊維製品を得ることができ
る。
Claims (2)
- 【請求項1】 蛋白質繊維又はその繊維製品に、4−ヒ
ドロキシブチル(メタ)アクリレートと2−ヒドロキシ
エチルメタクリレートとが、4−ヒドロキシブチル(メ
タ)アクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト=20/80〜30/70の組成比(重量)でグラフ
ト重合された改質蛋白質繊維又はその繊維製品。 - 【請求項2】 蛋白質繊維又はその繊維製品に、4−ヒ
ドロキシブチル(メタ)アクリレートと2−ヒドロキシ
エチルメタクリレートとを、4−ヒドロキシブチル(メ
タ)アクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト=20/80〜30/70の組成比(重量)でグラフ
ト重合反応させることを特徴とする改質蛋白質繊維又は
その繊維製品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28611894A JP3167555B2 (ja) | 1994-10-27 | 1994-10-27 | 改質蛋白質繊維又はその繊維製品及びそれらの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28611894A JP3167555B2 (ja) | 1994-10-27 | 1994-10-27 | 改質蛋白質繊維又はその繊維製品及びそれらの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08127967A JPH08127967A (ja) | 1996-05-21 |
JP3167555B2 true JP3167555B2 (ja) | 2001-05-21 |
Family
ID=17700172
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28611894A Expired - Lifetime JP3167555B2 (ja) | 1994-10-27 | 1994-10-27 | 改質蛋白質繊維又はその繊維製品及びそれらの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3167555B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104005113B (zh) * | 2014-05-04 | 2017-01-04 | 广东都市丽人实业有限公司 | 蚕蛹蛋白复合纤维的制备方法、蚕蛹蛋白复合纤维及应用 |
CN113514493B (zh) * | 2021-07-06 | 2024-05-07 | 绍兴文理学院 | 一种蚕丝接枝率的测定方法 |
-
1994
- 1994-10-27 JP JP28611894A patent/JP3167555B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08127967A (ja) | 1996-05-21 |
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