JPH10183465A - アクリル系繊維の処理法 - Google Patents

アクリル系繊維の処理法

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JPH10183465A
JPH10183465A JP35454396A JP35454396A JPH10183465A JP H10183465 A JPH10183465 A JP H10183465A JP 35454396 A JP35454396 A JP 35454396A JP 35454396 A JP35454396 A JP 35454396A JP H10183465 A JPH10183465 A JP H10183465A
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Japan
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acrylic
water
hydrolysis
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JP35454396A
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Mitsutoshi Okazaki
岡崎充利
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Japan Exlan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 染色性や風合いに悪影響を与えないアクリル
系繊維の減量処理法を提供する。 【構成】 アクリル系繊維のニトリル基に加水分解を施
し、該繊維の表面を水溶性高分子として溶出し、次いで
該繊維に残存するカルボキシル基含有ポリマーを酸化剤
処理により除去する。 【効果】 加水分解後、弱い架橋構造により繊維に残存
するカルボキシル基含有ポリマーを、酸化剤処理により
架橋結合を切断することにより溶出除去し、染色性や風
合いに悪影響を与えない減量処理品が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアクリル系繊維の処
理法に関する。さらに詳しくはアクリル系繊維のニトリ
ル基をアルカリ金属水酸化物又は硫酸で加水分解するこ
とにより該繊維の表面を水溶性高分子として溶出し、次
いで該繊維に残存するカルボキシル基含有ポリマーを酸
化剤処理により除去することからなるアクリル系繊維の
減量処理法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、アクリル系繊維をアルカリ又
は酸で加水分解することにより改質する技術に関しては
多くの提案がなされている。例えば特開昭54−424
93号公報においては、吸湿性、含水性ならびに制電性
に優れた改質アクリル繊維の製法が提案されている。又
特開昭49−50217号公報や特公昭52−4291
6号公報、特公昭58−10508号公報には多量のカ
ルボキシル基を含有して高度の水膨潤性を有する繊状体
が提案されている。この場合加水分解の進行に伴なって
該繊維を構成するポリマーは水溶性となり、折角生成さ
せたカルボキシル基含有ポリマーが繊維から脱落するの
で、その脱落防止のため繊維は加水分解前に架橋処理す
るか、加水分解と同時に架橋することが必要であること
も記載されている。言い換えれば架橋構造を伴わないで
アクリル系繊維を加水分解すると、加水分解の進行に伴
い繊維は減量されることになる。
【0003】この様に公知の従来技術は全てアクリル系
繊維を加水分解することにより生成するカルボキシル基
の特性を利用したものであるが、本発明は加水分解によ
って生成するカルボキシル基含有ポリマーを繊維に残さ
ないで積極的に除去することにより、アクリル系繊維を
減量処理する手段を提供するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、アクリル系繊
維を単に加水分解するだけの従来技術では、加水分解の
進行に伴い繊維を構成しているポリマーは水溶性となっ
て溶出し繊維は減量されるが、染色特性や風合いに対し
実用上満足出来ない悪影響を与える量のカルボキシル基
含有ポリマーが繊維表面に残ってしまう。具体的な染色
特性への悪影響としてはイ)汗堅牢度、湿摩擦堅牢度、
洗濯堅牢度が悪く、他のものを汚染するとともに自己繊
維は褪色する、ロ)PHにより染色性が変わる、ハ)染
色速度が早くなり不均染になりやすい等が挙げられる。
又風合いへの悪影響としてはイ)加熱乾燥すると硬くな
る、ロ)アルカリ液によりカルボキシル基が−COOX
(X:アルカリ金属又はNH4 )になると、湿潤状態で
表面がぬるぬるした触感になる等があげられる。
【0005】本発明の目的は、アクリル系繊維の加水分
解に引き続いて繊維表面に残存するカルボキシル基含有
ポリマーを酸化剤処理により除去し、染色特性や風合い
に対し上記の様な悪影響のないアクリル系繊維の減量処
理法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】繊維の減量加工は、ポリ
エステルのアルカリ加水分解処理やセルロースの酵素処
理等で実用化されている様に、風合い、表面品位を改善
する極めて重要な加工技術であり、特に衣料用途でその
真価が発揮されている。アクリル系繊維においても減量
加工はポリエステルやセルロースと同様な効果が期待さ
れ、効果の高い加工技術となる素地を持ちながらもアク
リル系繊維では未だ実施されていない。その原因は、ニ
トリル基を加水分解し水溶性ポリマーとして溶出するこ
とにより減量は出来るものの、繊維に残存するカルボキ
シル基含有ポリマーが前述の如く染色特性や風合いに悪
影響を及ぼし、実用上の障害となるからである。
【0007】ここにおいて本発明者は、アクリル系繊維
を加水分解後繊維に残存するカルボキシル基含有ポリマ
ーを除去する手段について鋭意研究を続けてきた。その
結果、酸化剤で処理することにより染色特性や風合いに
対して実質的に悪影響を及ぼさなくなることを見いだし
本発明を完成させるにいたった。即ち、本発明はアクリ
ル系繊維のニトリル基に加水分解を施し、該繊維の表面
を水溶性高分子として溶出し、次いで該繊維に残存する
カルボキシル基含有ポリマーを酸化剤処理により除去す
ることを特徴とするアクリル系繊維の処理法である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の特徴は、アクリル系繊維
をアルカリ金属水酸化物水溶液又は濃厚無機酸水溶液で
加水分解処理し、次いで繊維に残存するカルボキシル基
含有ポリマーを酸化剤水溶液中で加熱処理することから
なる処理法である。
【0009】本発明におけるアクリル系繊維は、アクリ
ロニトリル成分を60〜100重量%含むポリマーから
なるものを言い、好ましくは80重量%以上が望まし
い。アクリロニトリルの割合が60重量%未満では、ニ
トリル基を加水分解して得られるポリマーの水溶性が低
下し、減量し難いだけでなく酸化剤処理による残存カル
ボキシル基含有ポリマ−の除去が同じ理由で不十分とな
り、本発明の目的とする減量処理繊維は得難く不適であ
る。アクリル系繊維を構成するアクリロニトリル系ポリ
マーの他の成分モノマーとしては、アクリル酸エステ
ル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、塩化ビニル、
塩化ビニリデン、メタリルスルフォン酸ソーダ等の通常
アクリル系繊維の製造に使用されるエチレン系不飽和化
合物の一種又は二種以上の組み合わせが用いられる。繊
維形態は一種又は、二種以上の上記アクリル系ポリマー
を組み合わせた単繊維(複合とか或いはブレンド)から
なる長繊維或いは短繊維であってもよく、さらに綿状、
トウ状、糸状、あるいは編織物、不織布等の任意の形態
で用いることが出来る。又混紡品などを扱う場合には、
混用する他の繊維が例えばポリエステル繊維や木綿のよ
うに本発明の処理条件において実用上不都合な損傷を受
けない繊維であれば、アクリル系繊維と混用した前記繊
維形態物も用いることが出来る。
【0010】本発明に用いられるアクリル系繊維のニト
リル基の加水分解法としては、公知のアルカリ加水分解
法又は酸加水分解法が適用される。即ち、アルカリ加水
分解の場合には、アルカリ性物質としてリチウム、ナト
リウム、カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液が
使用できるが、工業的には水酸化ナトリウムが好適であ
る。アルカリ金属水酸化物の処理濃度は1〜35重量%
が推奨出来る。この推奨濃度の下限をはずれる場合は処
理時間が長くなり、又上限を越える場合もアルカリ金属
水酸化物の活動度が低下するため高温処理が必要となる
だけでなく、残留アルカリの除去処理が困難となるなど
実用上好ましくない。一方酸加水分解の場合には、用い
る酸としては硫酸、塩酸、硝酸、燐酸等の無機の強酸の
濃厚水溶液が使用出来るが、有害ガスの発生や排水に関
する環境的側面とコストから硫酸が好適であり、その濃
度は55〜65重量%において本発明を効果的に達成す
ることが出来る。加水分解処理はアクリル系繊維をこれ
らのアルカリ又は酸水溶液中に浸漬し加熱するか、或い
は水溶液を含浸せしめた状態で蒸熱処理する方法が用い
られるが、処理の均一性から浴中処理が好ましい。又処
理温度、処理時間、浴比等は被加水分解繊維の加水分解
のし易さや意図する加水分解の程度により任意に調整す
ることが出来るが、本発明の条件下では処理温度は80
〜100℃、処理時間は20〜60分、浴比は1:20
〜1:100が実用的に採用される。要は被処理繊維の
表面から、意図した深部に制御して処理を進めることで
あり、ここに記載した範囲に限定されるものではない。
【0011】加水分解されたアクリル系繊維は、付着し
たアルカリ又は酸を水で洗い落とした後、残留カルボキ
シル基含有ポリマーを除去するために酸化剤水溶液で加
熱処理する。この酸化剤処理に先立ち、アルカリ加水分
解の場合には繊維の着色を伴うので、酸性水溶液中に浸
漬処理することにより着色を軽減しておくことは本発明
の要旨を何ら逸脱するものではない。本発明における酸
化剤処理に用いられる酸化剤としては、次亜塩素酸ナト
リウム、亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、過酢酸等ア
クリル繊維の漂白や脱色に使用される酸化剤が用いられ
る。酸化剤処理はこれらの酸化剤の水溶液中に繊維を浸
漬し加熱することによって行われる。その際の酸化剤濃
度は用いる酸化剤や意図する減量率によって異なるが、
一般的には0.1〜1.5重量%の範囲で使用するのが
よい。これより濃度が低いと残存カルボキシル基含有ポ
リマーの除去が不十分となり、また高い場合は繊維残留
酸化剤の除去、処理後の液の処理、コスト等工業的に好
ましくない問題が多く派生するので推奨出来ない。処理
温度と処理時間は任意に調整できるが、50〜90℃で
20〜60分が実用的である。この様に酸化剤処理され
た繊維は、水洗後乾燥されて減量されておりながら染色
特性や風合いに問題のない本発明の繊維となる。
【0012】
【作用】加水分解後繊維に残留したカルボキシル基が、
本発明の酸化剤処理により例えナトリウム塩タイプにし
ても染色特性や風合いに対し悪影響を及ぼさない程度ま
で除去出来る理由については充分に解明するには到って
いないが、次の様に考えている。即ち、架橋してないア
クリル系繊維をアルカリ金属水酸化物で加水分解する
と、処理液のアルカリ金属水酸化物濃度が高くなるにつ
れて、加水分解後の繊維に残留するカルボキシル基の量
は増加することが認められ、特公昭58−10508号
公報には6.0 mol/1000g以上の高濃度アルカリ
金属水酸化物水溶液では、繊維に特別な架橋を施さなく
ても加水分解時に架橋が起こり、高濃度の塩型カルボキ
シル基を含有した親水性架橋重合体からなる外層部とア
クリロニトリル系重合体からなる内層部とで構成される
高度の水膨潤性繊維の製造が記載されている。又該公報
の実施例1に従い作成した繊維に本発明の酸化剤処理を
施すと、親水性架橋重合体からなる外層部は無くなりア
クリロニトリル系重合体からなる内層部だけが残ること
を認めた。これらの事実からアクリル系繊維を加水分解
すると、加水分解条件によりその程度は異なるが、何ら
かの架橋が起こり、その架橋程度に応じてカルボキシル
基が繊維に残る。そして酸化剤処理によりこの架橋構造
が壊されるために、繊維に残存していたカルボキシル基
含有ポリマーが水溶性ポリマーとなって除去されるので
あろうと考えられる。結果として、表面から溶出され減
量して残った繊維は本発明で提案する原料のアクリル系
繊維と殆ど同じものであることから、上述した染色特性
や風合いを維持しているのであろう。
【0013】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、本発明の要旨はこれら実施例の記載によって何
ら限定されるものではない。尚、実施例に記載される百
分率及び部は、特に断りのない限り全て重量基準による
ものである。尚、以下の実施例に記載する減量率は特に
断りのない限り加水分解前の原料アクリル系繊維の重量
をW1 g,加水分解後酸化剤処理して水洗、乾燥した繊
維重量をW2 gとすると次の式によって算出した。 減量率(重量%)={(W1 −W2 )/W1 }×100 又、水は全てイオン交換水を使用した。
【0014】実施例1 90%のアクリロニトリル(AN)及び10%のアクリ
ル酸メチル(MA)よりなるアクリル系繊維(単繊維繊
度:3d、繊維長:50mm、30℃のジメチルホルムア
ミド(DMF)溶液中の固有粘度:1.3)を特公昭5
8−10508号公報の実施例1に従い水酸化ナトリウ
ム水溶液中で加水分解し、水膨潤性繊維を作成した。即
ち前記繊維4部を30%水酸化ナトリウム水溶液96部
中に浸漬し、攪拌下に10分間煮沸し、次いで該繊維中
の残留アルカリを水洗除去した後、乾燥させて水膨潤性
繊維を得た。次に100部の水に次亜塩素酸ナトリウム
水溶液(有効塩素10%)4.0部を加え、酢酸でPH
を7に調整した液に、上記で作成した水膨潤性繊維の
0.5部を入れて、極弱い攪拌下に室温から加熱開始し
70℃に20分保った。その後繊維を取り出し、水洗し
て残留酸化剤を除去後105℃で乾燥した。この酸化剤
処理により水膨潤性繊維は、水膨潤性繊維の重量基準で
34%の減量率(加水分解処理前繊維からは38%)を
与え、水中及び遠心脱水後の湿潤状態においても膨潤や
ヌルヌル感はなくなり、乾燥繊維の風合いは柔らかく、
ぬめり感が生じた。この酸化剤処理後の繊維を光学顕微
鏡により倍率300倍で側面観察すると、繊維直径は処
理前に比べ減少していた。染色性は加水分解前の繊維と
の競合染色において、略同色に染色出来た。又、100
部の水に30%過酸化水素水溶液3部を加え、大東薬品
株式会社製の過酸化水素安定剤ハイパーNでPHを11
に調整した液に、上記水膨潤性繊維0.5部を入れ室温
からの昇温時間を含め80℃で40分加熱、攪拌した。
同じ様に水洗、乾燥した繊維の減量率は水膨潤性繊維の
重量基準で34%であった。又風合いは柔らかく、水中
及び湿潤状態での膨潤やヌルヌル感はなく、染色性も通
常のアクリル系繊維の範疇であった。比較例として酸化
剤を入れない100部の水に上記水膨潤性繊維0.5部
を入れ、80℃で1時間加熱、攪拌した繊維は、高膨潤
のままで、ヌルヌル感がひどく高濃度のカルボキシル基
含有ポリマーからなる外層部は除去出来なかった。又こ
の繊維は常温で染料を吸尽し、乾燥及び湿潤時の堅牢度
が悪く実用に供し得る染色性のものではなかった。
【0015】実施例2 300ml三角フラスコに水酸化ナトリウムの濃度変化水
溶液100部と実施例1記載の被処理原料アクリル系繊
維0.5部を入れ、容器を振盪させながらグリセリン浴
槽中で加熱し、表1に記載する条件で加水分解した。加
水分解繊維は直ちに水洗後、硫酸でPH2にした23℃
の水に5分間浸漬し、その後水洗した。水洗後手で絞っ
た繊維を水100部に次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有
効塩素10%)3部を加えた液に入れ、酢酸でPH5.
5に調整後容器を振盪しながら表1に併記する条件で加
熱処理した。酸化剤処理繊維は水洗し乾燥後の重量から
減量率を求めた。結果は表1に併記する。
【0016】
【表1】
【0017】表1から判るとおりアクリル系繊維のニト
リル基のアルカリ加水分解速度は温度の影響が非常に大
きく、温度と濃度と処理時間の組み合わせで所望の減量
率の繊維を得る加水分解条件はいくとおりにも選択出来
る。又加水分解後の繊維は加水分解時のアルカリ濃度が
高い程水中での膨潤度及びヌルヌル感は増加し、特に3
0%以上では、加水分解による水溶性ポリマーの溶出が
僅かで殆ど繊維に残り、酸処理により膨潤度を低下させ
ないと取扱いが困難であった。しかし本発明の酸化剤処
理により全ての加水分解繊維は、0.5%水酸化ナトリ
ウム水溶液に浸漬して繊維の残存カルボキシル基をナト
リウム塩に変える処理をしても、水による膨潤やヌルヌ
ル感はなく、白度も良好であった。又、酸化剤処理前の
繊維は乾燥すると風合いが硬く、ごわごわした感触にな
り、染色性も常温乃至低温で染まり堅牢度が悪いのに対
し、酸化剤処理後の乾燥繊維の風合いは柔らかく、染色
特性も通常アクリル系繊維として使用可能なものであっ
た。但し水酸化ナトリウム40%水溶液による加水分解
は、減量処理は出来るものの加水分解速度が遅く、実用
的価値はない。
【0018】実施例3 300ml三角フラスコに濃度変化硫酸水溶液100部と
実施例1記載の被処理原料アクリル系繊維0.5部を入
れ、振盪・加熱し表2に記載する条件で加水分解を行っ
た。加水分解後の繊維は殆どヌルヌル感はないが、赤外
吸収スペクトルの1700cm-1にカルボン酸の吸収が現
れ、0.5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して繊維の
カルボン酸をナトリウム塩に変える処理をすると繊維は
膨潤しヌルヌル感が大となった。加水分解後の繊維は水
洗後実施例2と同じ処方で表2に記載する条件の酸化剤
処理を行い、水洗して乾燥した。酸化剤処理後の繊維は
カルボン酸をナトリウム塩に変える処理を行っても膨潤
やヌルヌル感は生じなくなり、乾燥により風合いが硬く
なることもなくなった。硫酸による加水分解条件と減量
率との関係を含め表2に併記する。染色性は酸化剤処理
前の繊維では染色堅牢度が大きく悪いのに対し、酸化剤
処理後の繊維では実用可能な程度迄向上した。
【0019】
【表2】
【0020】表2から判るとおり硫酸による加水分解で
は、硫酸濃度の影響が大きく、好適な条件は55〜65
%であり、この場合ニトリル基の加水分解による生成物
はカルボキシル基とアミド基の混合物であることが、加
水分解繊維及び溶出した水溶性ポリマーの赤外吸収スペ
クトルと窒素分析から認められた。
【0021】実施例4 92%のAN及び8%のMAよりなりスルフォン酸基を
0.32%含んだアクリル系繊維(単繊維繊度:0.8
d、繊維長:51mm、30℃のDMF溶液中の固有粘
度:1.3)を用いて1/85’Sと1/120’Sの
糸を作り、それぞれの糸から平織り生地を作成した。前
者の糸よりなる生地をA,後者の糸よりなる生地をBと
する。24L容量のパドル染色機に5%NaOH水溶液
25Kgと10〜12g/切れのA,B織物生地各4切
れを入れ、室温からの昇温時間15分の後に85℃で表
3に示す所定時間加水分解を行い順次取り出した。取り
出した織物は直ちに水洗浄し、PH3の硫酸水に浸漬後
水洗し酸化剤処理に供した。酸化剤処理は同じパドル染
色機に水24Lと次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩
素5〜12%)960gを加えた液に、加水分解処理後
の織物A,B各4切れを入れ、80℃で35分(室温か
らの昇温10分を含む)行った。次いで洗浄、脱水、乾
燥して得られた試料布は表3の減量率を与え、原布と比
べて薄地で柔らかなものとなった。なお白度は原布とほ
ぼ同等であった。
【0022】
【表3】
【0023】表3から判る様に加水分解温度を一定にす
ると、減量率は加水分解時間に対し直線的に増加する。
【0024】実施例5 実施例4で得た減量処理布A(A−1〜A−3)を用い
て未処理布との比較で染色特性を調べた。保土谷化学
(株)製マラカイトグリーン3%owfと酢酸1%ow
fを含有した染液100ml(PH3.7)と試料布1g
を還流冷却器をつけたガラス製容器に入れ、100℃で
150分染色後、620nmの光に対する残液の吸光度
を測定することにより試料重量に対する染料の飽和染着
量(%owf)を求めた。結果を表4に示す。
【0025】
【表4】
【0026】一方、染色液の付着した染色布は水洗浄し
乾燥した。この染色乾燥布とそれを水に浸し手で絞った
湿潤状態の布をそれぞれ金布に手で強く擦りつけて、金
布への色移りを見た結果を表5に示す。
【0027】
【表5】
【0028】表4から判る様に、本発明の酸化剤処理に
より飽和染着度の増加は僅かであり、染色時に支障をき
たすことはない。又、本発明で最も危惧される湿潤堅牢
度も表5から判るように、金布への色移りは僅かであ
り、さらに花王(株)製アニオン界面活性剤デモールN
の0.1%水溶液中で70℃で10分間、所謂ソーピン
グ処理を行うと色移りはなくなることから、本発明繊維
の湿潤堅牢度も実用上支障のない範囲内にある。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル系繊維のニトリル基に加水分解
    を施し、該繊維の表面を水溶性高分子として溶出し、次
    いで該繊維に残存するカルボキシル基含有ポリマーを酸
    化剤処理により除去することを特徴とするアクリル系繊
    維の処理法。
  2. 【請求項2】 加水分解をアルカリ金属水酸化物の1〜
    35重量%水溶液で行うことを特徴とする請求項1記載
    のアクリル系繊維の処理法。
  3. 【請求項3】 加水分解を55〜65重量%の硫酸水溶
    液で行うことを特徴とする請求項1記載のアクリル系繊
    維の処理法。
  4. 【請求項4】 酸化剤処理に次亜塩素酸ナトリウム又は
    過酸化水素を使用することを特徴とする請求項1〜3の
    いずれかに記載のアクリル系繊維の処理法。
  5. 【請求項5】 アクリル系繊維が、アクリロニトリルを
    60〜100重量%結合含有する重合体からなる単独の
    繊維又は他の繊維との混用でなるものであることを特徴
    とする請求項1〜4のいずれかに記載のアクリル系繊維
    の処理法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100344808C (zh) * 2006-04-25 2007-10-24 东华大学 一种水解聚丙烯腈/大豆蛋白智能凝胶纤维的制备方法

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