JPH09137384A - 抗ピリング性及びピーチスキン加工性に優れた溶剤紡糸セルロース系繊維、その繊維構造物及びその製法 - Google Patents

抗ピリング性及びピーチスキン加工性に優れた溶剤紡糸セルロース系繊維、その繊維構造物及びその製法

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JPH09137384A
JPH09137384A JP8220662A JP22066296A JPH09137384A JP H09137384 A JPH09137384 A JP H09137384A JP 8220662 A JP8220662 A JP 8220662A JP 22066296 A JP22066296 A JP 22066296A JP H09137384 A JPH09137384 A JP H09137384A
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pilling
solvent
cellulase
tencel
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JP8220662A
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Kiyoshi Otoi
清 音居
Sumio Abe
純夫 阿部
Masaru Kitamura
優 北村
Shohei Miyata
昌平 宮田
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KANEBO SILK EREGANSU KK
OMORI KIKAKU KK
OOMORI KIKAKU KK
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KANEBO SILK EREGANSU KK
OMORI KIKAKU KK
OOMORI KIKAKU KK
Kanebo Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】生産性や布帛強度の面での不均一性等で従来問
題であった揉み叩き加工を採らずに、抗ピリング性とピ
ーチスキン加工性を合わせ持った改質テンセル繊維、と
くに通常の紡績条件で良好な糸質の紡績が可能な改質テ
ンセル原綿を提供する。 【解決手段】テンセル繊維及び該繊維構造物、特に原綿
の抗ピリング改質において、セルラーゼ加工とグリシジ
ル化合物による架橋改質を組み合わせることにより、テ
ンセル繊維の平均単繊維強度が3.0g/d〜4.3g
/dにおいても、抗ピリング性改質が可能になった。こ
れにより抗ピリング性とピーチスキン加工性を合わせ持
ったテンセル繊維、特に良好な紡績性のテンセル繊維原
綿の製造を可能にした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は改質された溶剤紡糸
セルロース系繊維、該繊維からなる繊維構造物及びその
製造法に係わり、該繊維の原綿のセルラーゼ加工による
改質とエポキシ化合物による架橋改質の組み合わせによ
り、該繊維の布帛加工に常用されている前処理としての
揉み叩き加工を実施しなくて、抗ピリング性とピーチス
キン加工性を合わせ持った溶剤紡糸セルロース系繊維、
該繊維からなる繊維構造物及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】溶剤紡糸セルロース系繊維とは、精製パ
ルプを誘導体に化学反応せしめることなく、特殊な有機
溶媒、例えばN−メチルモルホリン−N−オキシド等に
加圧、加温下に溶解し、湿式紡糸したもので、英国コー
トルズ社の「テンセル」(商品名)が知られている。
【0003】この溶剤紡糸セルロース系繊維(以下テン
セル繊維)は綿糸やレーヨンに比べて、強度が非常に強
く、張りが有りながらレーヨン特有の柔らかい風合を持
っていることが特徴で、さらに湿潤時の繊維強度がレー
ヨンと違って強く、さらに湿潤で縮みにくいといった優
れた特性を有している。
【0004】テンセル繊維はN−メチルモルホリン−N
−オキシドを溶剤とし紡糸されたものであるが、上述の
優れた特性を持つ一方で、単繊維の構造が、スキン−コ
ア構造を持ち、このスキン層が家庭洗濯等の湿潤摩擦や
衝撃で非常にフィブリル化し易く、さらに該フィブリル
が絡んでピリングし易いという欠点を持っている。そし
て、最近のテンセル繊維に関する技術開発は、ほとんど
がピリング化を効率良く、効果的に防止しうる抗ピリン
グ技術に集中していると言っても過言では無い。例え
ば、「ニューレーヨンの実際知識」(繊維社)280〜
283頁には該繊維のピリング発現機構及びセルラーゼ
によるピリングの分解除去手法が理論的に解説されてい
る。該解説に記述されているように、現在、テンセル繊
維の抗ピリング対策としては、該繊維からなる布帛をロ
ータリーワッシャー等で揉み叩き加工を施すことで敢え
て単繊維のスキン層をフィブリル化さらにはピリング化
させ、発生したフィブリル及びピリングをさらに揉み叩
き加工しながら、セルラーゼで溶解除去する、いわゆる
バイオ加工が実施されている。従来、上述の揉み叩き加
工、セルラーゼ加工は布帛で実施されて来たが、絡み防
止対策を施した糸での揉み叩き加工やセルラーゼ加工の
研究も着手されている(特開平6−322667号公
報、特開平7−3626号公報参照)。
【0005】繊維のフィブリル化現象は、一般的には、
糸や布帛への摩擦や衝撃で単繊維がさらに割繊され、割
繊されて発生したミクロ繊維が毛羽状に立ち上がる状態
である。さらに、ピリング化の機構は未だ完全に解明さ
れていない面もあるが、フィブリル化した布帛にさらに
摩擦や衝撃を加えて行った場合、ミクロ繊維同志及びミ
クロ繊維と単繊維が複雑に絡んで毛玉になり発現すると
言われている。フィブリル化は絹繊維の染色時や着用時
に白化現象として良く見られるものであるが、絹繊維の
場合は単繊維の強度が適度なものであるため、発生した
フィブリルは摩擦や衝撃で引きちぎられピリングが発生
することは無い。絹繊維の場合、フィブリル化は普通は
好ましい現象ではないが、時には布帛のピーチスキン加
工として利用される。
【0006】これに対してテンセル繊維の場合、前述の
ように単繊維強度が非常に強いため、発生したフィブリ
ルを摩擦や衝撃で引きちぎることが困難なため、著しく
ピリングし易い。そのためテンセル繊維の場合、前述の
ように揉み叩き加工で敢えてフィブリル及びピリングを
発生させ、これをセルラーゼ加工で溶解除去する加工手
段を採っている。一旦、表皮層をフィブリル化それに続
くセルラーゼ加工で溶解除去したテンセル繊維はもはや
摩擦や衝撃でピリングが発生することは無い。
【0007】しかしながら、揉み叩き加工、及びセルラ
ーゼ加工は対象が布帛であれ糸であれ、それぞれが小ロ
ット生産で、処理時間も全体として数時間〜10数時間
掛かり、大規模な生産手法としては問題があった。
【0008】一方、揉み叩き加工、セルラーゼ加工を施
したテンセル布帛の表面は、いわゆるピーチスキン調布
帛の風合を呈し、ファッション性のある繊維素材として
確固たる評価を得ている。従って、現在のところ、テン
セル繊維には感性の高いピーチスキン加工が必須の条件
であると言える。この意味で、テンセル繊維の、より大
規模、より短時間で高度な抗ピリング性加工と良好なピ
ーチスキン加工が両立する改質加工の開発が要望されて
いたが、これまでの技術ではこれは不可能であった。
【0009】特に、大規模生産と短時間処理で経済性を
改善し、しかも加工の均一性の改善が期待できる点、さ
らには揉み叩き加工やセルラーゼ加工が困難な他素材と
テンセル繊維との混紡を実施する要望から、テンセル繊
維の原綿での改質加工が望まれていたが、テンセル原綿
の場合、揉み叩き加工は後の紡績を不可能にするほど綿
を損傷するため、さらに一段と困難な課題であった。
【0010】エポキシ化、特にグリシジル化合物でセル
ロース分子間を架橋する方法で、防しわ性や耐洗濯性を
向上させる手法は公知である(例えば、続絹糸の構造
信州大学繊維学部発行 638頁 (1980)、特開
昭50−112599号公報、特開昭51−32898
号公報、特開平6−299469号公報)。又、同じ考
え方、手法で絹繊維のフィブリル化防止技術としてグリ
シジル化合物による架橋改質も行われている(特開昭6
4−26784号公報)。しかしながら該架橋結合をテ
ンセル繊維に生成させた場合、抗ピリング性を改善する
には効果があるが、一方でテンセル繊維を差別化繊維素
材たらしめている、ピーチスキン加工にさらに長時間の
揉み加工が必要になり実用手法としては採用できない。
【0011】ところで、繊維のピリングは単繊維強度の
高い場合に発生するものであることは前述の通りである
が、一般に抗ピリング加工としては、単繊維強度を実用
強度として問題の無い適度なレベルまで低下調整させる
技術手段が公知である。例えば、ポリエステルの紡績糸
に用いられる抗ピリング加工は、重合度を下げたり、低
重合度ポリエステルをブレンドする等で平均単繊維強度
を小さくする手法が採られている。この手法をテンセル
繊維に導入すれば、後の紡績を不可能にする揉み叩き加
工を採らずとも、テンセル繊維の抗ピリング加工は可能
と考えられる。
【0012】この手法をテンセル繊維に導入する場合、
原料が天然物であり手段は制約されるが、酸又はアルカ
リ或いはセルラーゼで、セルロースのβ−1・4グルコ
シド結合を加水分解する方法は実用可能な方法として当
然考えられる。綿糸やレーヨンの場合にも該加水分解が
実施される場合があるが、この場合は単繊維強度がそれ
ほど高くないため、目的は主として風合改良である(特
公昭49−38946号公報、特開昭51−14999
5号公報、特開昭58−36217号公報、特開昭58
−54082号公報等参照)。この場合にも見られるよ
うに、酸やアルカリを使用すると繊維が過度に加水分解
されて実用強度以下に極端に脆化したり、分解生成物に
起因する着色が惹起されるため問題があり、実用的なセ
ルロース加水分解手段にはもつぱらセルラーゼが使用さ
れる。
【0013】以上を基に、実際にテンセル原綿のセルラ
ーゼ加工を実施し、これを紡績、製織して得た織物につ
いて家庭用洗濯機法での抗ピリング試験を実施し、得ら
れた試験片をJIS L−1076法のピリング判定標
準写真を準用して判定した。その結果、セルラーゼ加工
後の平均単繊維強度が3.0g/d以下で抗ピリング性
は4級以上、3.0g/dを越え4.3g/d以下で3
〜4級の抗ピリング性であった。テンセル繊維の場合、
抗ピリング性が4級以上で実用上合格とされていて、こ
の結果、テンセル繊維の抗ピリング性改質には平均単繊
維強度を3.0g/d以下に調整する必要があることが
分かる。
【0014】しかしながら、本発明はテンセル原綿のセ
ルラーゼ加工を第1の目的としているが、セルラーゼ加
工を施してない通常のテンセル原綿からの紡績糸の糸質
が、例えばIPI値/1000mのネツプ数で20〜3
0個であるのに対して、上記のテンセル原綿のセルラー
ゼ加工試験で平均単繊維強度を3.0g/d以下に調整
した場合、得られた紡績糸の糸質、例えばIPI値/1
000mのネツプ数は100個以上になり糸質は顕著に
低下した。一方、同じく上記の試験で平均単繊維強度が
3.0g/d以上の場合、該ネップ数は40〜60個程
度に改善され、紡績生産性や紡績糸の品質を考慮した場
合、セルラーゼ加工による平均単繊維強度は3.0g/
d以上に留めるのが望ましいことが分かった。
【0015】又、細番手紡績糸による薄地織編物が実用
強度を保持するためにも、平均単繊維強度が3.0g/
d以上が望ましい。
【0016】以上の結果、揉み叩き加工法を採らないテ
ンセル繊維の抗ピリング性改質には、平均単繊維強度が
3.0g/d以上で抗ピリング性がさらに改良され完全
な抗ピリング性改質を可能ならしめ、しかも良好なピー
チスキン加工性が損傷せず、、その上で紡績性を犠牲に
しないテンセル原綿の改質法の開発が望まれた。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等はテンセル
繊維の抗ピリング性及びピーチスキン加工性、さらには
該繊維の紡績条件、特にカード条件について鋭意研究し
た結果、本発明を完成したものである。本発明の目的と
するところは、テンセル繊維を差別化繊維素材たらしめ
ている良好なピーチスキン加工性を低下させることなく
改質し、しかも高度な抗ピリング性を持ったテンセル繊
維及び該繊維からなる繊維構造物を提供するにある。特
に、テンセル繊維の通常の紡績条件、主としてカード条
件で紡績糸の生産性や糸質が低下しない範囲、具体的に
は平均単繊維強度3.0g/d以上にセルラーゼ加工に
よる繊維強度の調整を留め、しかも高度な抗ピリング性
とテンセル繊維本来の良好なピーチスキン加工性を保持
すべく改質したテンセル繊維原綿を提供するにある。さ
らに他の目的はかかる改質を工業的に有利に製造する方
法を提供するにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために次の構成からなる。即ち、第1発明は、溶剤
紡糸セルロース系繊維において、単繊維の表面が揉み叩
き加工によるフィブリル化又はミクロフィブリル化構造
を呈しておらず、しかも該繊維からなる織編物の家庭用
洗濯機法での抗ピリング試験にJIS L−1076法
のピリング判定標準写真を準用しての判定で4級以上の
抗ピリング性に架橋改質されていながら、ピーチスキン
加工性が改質前と同等或いは改質前より良好であること
を特徴とする溶剤紡糸セルロース系繊維及び該繊維から
なる繊維構造物であり、第2発明は溶剤紡糸セルロース
系繊維において、単繊維の表面が揉み叩き加工によるフ
ィブリル化又はミクロフィブリル化構造を呈しておら
ず、しかも平均単繊維強度が3.0g/d以上、4.3
g/d以下に調整されていて、さらに、ジグリシジルエ
ーテル又はポリグリシジルエーテル或いはグリシジルア
クリレート化合物により架橋改質されていることを特徴
とする、該繊維からなる織編物の家庭用洗濯機法での抗
ピリング試験にJIS L−1076法のピリング判定
標準写真を準用しての判定で4級以上の抗ピリング性で
ありながら、該繊維からなる織編物のピーチスキン加工
性が架橋改質前と同等或いは架橋改質前より良好である
ことを特徴とする溶剤紡糸セルロース系繊維及び該繊維
からなる繊維構造物である。さらに、第3発明は、溶剤
紡糸セルロース系繊維の原綿、スライバー、紡績糸或い
は織編物の改質において、セルラーゼ水溶液によるセル
ラーゼ加工を実施し、さらに、ジグリシジルエーテル又
はポリグリシジルエーテル或いはグリシジルアクリレー
ト化合物により架橋改質することを特徴とする請求項1
の溶剤紡糸セルロース系繊維及び該繊維からなる繊維構
造物の製法である。
【0019】本発明は、テンセル繊維の抗ピリング改質
の手段として、セルラーゼ加工とグリシジル化合物によ
る架橋改質加工を組み合わせることで、従来、該繊維の
抗ピリング加工の前処理として常用されている揉み叩き
加工を実施しなくても、該繊維のピーチスキン加工性を
損傷することなく抗ピリング改質が可能であること、特
に、テンセル繊維のセルラーゼ加工のみでは不十分であ
る平均単繊維強度が3.0g/d以上での抗ピリング性
改質が、これにグリシジル化合物による架橋改質を組み
合わせることにより容易に実現できることを新たに見出
だしたことを基本とする。この内、揉み叩き加工が不必
要なことは、大規模生産と均質な改質のための必須条件
であるテンセル原綿での抗ピリング加工を可能にする点
で重要である。又、該原綿の紡績には平均単繊維強度が
3.0g/d以上の繊維強度が望ましいことは前記の通
りであるが、この意味で平均単繊維強度3.0g/d以
上のテンセル繊維にピーチスキン加工性を犠牲にするこ
となく、抗ピリング改質ができたことは意味が大きい。
このことは細番手紡績糸による薄地布帛の実用強度を保
持するうえでも重要である。以上のように本発明はテン
セル原綿の改質加工に特に有用であるが、これに限定さ
れるものでは無く、紡績糸及び織編物にも、抗ピリング
性や布帛強度をより改善することや、染色性、染色堅牢
度の改善を目的にして処理設備の形態を若干変えるだけ
でそのまま適用できる。
【0020】逆の観点から説明すると、セルラーゼ加工
を施してない通常のテンセル繊維を架橋改質することで
抗ピリング性に改質することができることは、前記の文
献からも、当業者ならば容易に予想できることである。
しかしながら、通常のテンセル繊維に該架橋改質を施し
た場合、該改質を受けていないテンセルでも数時間〜十
数時間の処理時間を要したピーチスキン加工性がさらに
長時間を要するように悪化すると思われる。従って、経
済性を考慮した場合、実態として、架橋改質した通常の
テンセル繊維のピーチスキン加工は不可能である。
【0021】これに対して、本発明者等はセルラーゼ加
工によりテンセル繊維の平均単繊維強度の調整を行い、
これと架橋度をコントロールしたグリシジル化合物によ
る改質を組み合わせた場合、通常の紡績条件にとって望
ましい範囲、具体的には3.0g/d以上の平均単繊維
強度の範囲においても、抗ピリング性とピーチスキン加
工性を合わせ持ったテンセル綿、ひいてはテンセル繊維
構造物の製造を可能にした。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成要件を具体的
に説明する。本発明の溶剤紡糸セルロース系繊維とは、
具体的には、現在のところ商業的に実用化されているテ
ンセル(商品名)が唯一該当する。そして本発明はテン
セル原綿、スライバー、紡績糸、或いは織編物等の全て
に適用できるが、特に原綿に適用した場合の効果が生産
性及び経済性及び他素材との複合性の面で大きい。
【0023】本発明においては、現在テンセル繊維のセ
ルラーゼ加工の前処理として必ず実施されている揉み叩
き加工を行わないのが大きな特徴である。その理由は前
記したが、大規模生産と短時間処理でのセルラーゼ加工
で経済性を改善し、しかも加工の均一性の改善が期待で
きる点、さらには揉み叩き加工やセルラーゼ加工が困難
な他素材とテンセル繊維との混紡を実施する要望から、
テンセル原綿でのセルラーゼ加工が望まれていたが、テ
ンセル原綿の場合、揉み叩き加工は後の紡績を不可能に
するほど綿を損傷するからである。本発明でピーチスキ
ン調の布帛を製造する場合は、テンセル繊維を布帛に製
編織した後揉み叩き加工のみを実施する。本発明の場
合、単繊維強度が適度に調整されていて、その上で架橋
改質されているため、短時間の揉み叩き加工のみでピー
チスキン加工と抗ピリング性が両立する。
【0024】本発明のテンセル繊維の平均単繊維強度は
3.0g/d以上、好ましくは3.5g/d以上、4.
3g/d以下である。平均単繊維強度が小さくなるほど
抗ピリング性は良好になるが、3.0g/d以下の該強
度の場合、セルラーゼ加工だけでも抗ピリング加工が可
能であるから架橋改質の効果は小さい。但し、3.0g
/d以下でもグリシジル化合物による改質は抗ピリング
性をより改善するので、この観点では3.0g/d以下
でもグリシジル化合物による改質の意味はある。
【0025】本発明のテンセル繊維はグリシジル化合物
により架橋改質されている。該グリシジル化合物として
は、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリ
セリン、ソルビトール、ポリグリセロール、ペンタエリ
スリトール等のジ、及びポリグリシジルエーテル或いグ
リシジルアクリレートであるが、エチレングリコール、
ポリエチレングリコール、プロピレングリコール及びポ
リプロピレングリコールのジグリシジルエーテルが効果
及び経済性の面で好ましい。
【0026】本発明のグリシジル化合物による架橋度
は、これを重量増加率で表した場合、1〜20重量%、
好ましくは2〜15重量%が望ましい。1重量%以下で
は抗ピリング性が3級以下であるし、20重量%を越え
た場合ピーチスキン加工性が不良になる。
【0027】本発明のセルラーゼ加工及び架橋改質によ
って、テンセル繊維は平均単維強度が3.0g/d以上
でも抗ピリング性とピーチスキン加工性を合わせ持った
繊維に改質される。そして、該繊維からなる織編物の家
庭用洗濯機法での抗ピリング試験にJIS L−107
6法のピリング判定標準写真を準用しての判定は、平均
単繊維強度が3.0〜4.3g/dで4級以上、4.3
g/dを越えると3〜4級である。本発明によって平均
単繊維強度が3.0g/d以上でも抗ピリング性とピー
チスキン加工性を合わせ持った繊維にテンセル繊維を改
質できたことは、テンセル原綿のセルラーゼ加工におい
て、該原綿からの紡績生産性や紡績糸の品質規格の維持
及びテンセル細番手紡績糸よる薄地織編物に抗ピリング
性と充分な実用強度を付与するに極めて効果的である。
【0028】本発明の家庭用洗濯機法での抗ピリング試
験は、JIS L−0217の103法に準拠した方法
で、家庭用洗濯機(JIS L−0217の103号の
規定するもの)を使用し、衣料用合成洗剤2g/lを含
む液温40℃の洗濯機、浴比1:30で、試験片3枚と
負荷布2枚(計5枚)を5分間洗濯した後脱液し、次に
常温の水で2分間すすぎ洗いと脱液を各々2回行い、試
験片と負荷布を取り出しタンブル乾燥機で乾燥する(吹
き出し温度約70℃)。この操作を5回くり返し、得ら
れた試験片をJIS L−1076法のピリング判定標
準写真を準用して試験片の抗ピリング性を判定する。
【0029】本発明方法のセルラーゼとしては、セルロ
ース繊維の減量処理用として一般に市販されているセル
ラーゼが全て適用され、例えば、エンチロンCM−40
L(洛東化成工業(株))、セルクラスト1.5L(ノ
ボノルディスク(株))、酵素OP−8800(GEN
ENCOR社)、セルラーゼXP−425(長瀬生化学
(株))等である。これらのセルラーゼの酵素力価は通
常1500〜3000単位/gである。尚、この場合の
セルラーゼの酵素力価の1単位は、カルボキシメチルセ
ルロース(CMC)を基質とし、40℃、pH4.5に
於いて1分間に1μmolのブドウ糖を生成する活性で
ある。
【0030】本発明方法のセルラーゼ加工の最適温度
は、酵素の種類により若干異なるが、一般には50〜6
0℃である。50℃以下でも反応は進むが遅く、特別の
理由がないかぎりこれより低温で処理する意味はない。
本発明方法の処理中のpHは3.5〜6.5、好ましく
は4.5〜5.5に維持される。この際pH緩衝剤とし
て酢酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤を適宜使
用する。
【0031】セルラーゼ加工条件の強弱は総酵素力価
(酵素力価(単位/g)×酵素濃度(%ows)×酵素
加工時間(分))で表されるが、テンセル繊維のセルラ
ーゼ加工は総酵素力価として50単位以上5万単位以
下、好ましくは500単位以上5万単位以下、特に好ま
しくは1000単位以上25000単位以下である。
又、10万単位以下が望ましい。50単位以下ではセル
ラーゼ加工がほとんど進まず、グリシジル化合物で架橋
改質した場合、ピーチスキン加工性が不良になる。10
万単位以上の総酵素力価の場合、反応温度を必要以上に
低くする等以外、通常のセルラーゼ加工条件で単繊維強
度を3.0g/d以上に保持するのは困難であるし、こ
のような高総酵素力価で処理する意味もない。
【0032】本発明方法においては、通常、酵素力価1
500〜1800単位/gのセルラーゼ、例えば、酵素
OP−8800(GENENCOR社)、セルクラスト
1.5L(ノボノルディスク社)を使用し、酵素濃度2
〜3g/l、処理時間3時間程度で処理するのが特に好
ましいが、この場合の総酵素力価は1500〜1800
(単位/g)×0.2〜0.3(%ows)×180
(分)=54000〜97200単位である。
【0033】本発明方法において、セルラーゼ加工の
後、場合によっては前にグリシジル化合物による架橋改
質を行う。架橋改質の方法としては、浸漬加熱法、パッ
ド−スチーム法、パッド−ドライ−スチーム法、コール
ドバッチ法の何れでも可能であるが、均一性の面では浸
漬法が好ましい。何れの方法においても、グリシジル化
合物及び架橋反応の触媒の水溶液にテンセルを浸漬し、
浸漬法の場合はそのまま、パッド法及びコールドバッチ
法の場合はピックアップ量を70%〜130%に搾液し
加温又は加熱下で反応させる。
【0034】本発明方法の架橋反応に必要なグリシジル
化合物の施与量はグリシジル化合物のエポキシ当量等に
よっても異なるが、浸漬法ではテンセル繊維に対して2
〜30重量%、パッド−スチーム法、パッド−ドライ−
スチーム法では2〜40重量%、コールドバッチ法では
2〜50重量%である。
【0035】本発明方法の架橋改質反応の触媒として
は、中性塩、弱アルカリ性塩、アルカリ性塩、酸性塩、
アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、及びアミン類を
用いることができ、中性塩、弱アルカリ性塩、アミン類
が最も効果的である。中性塩としては、硫酸、塩酸、硝
酸、チオシアン酸、チオ硫酸のナトリウム塩及びカリウ
ム塩、弱アルカリ性塩としては酒石酸、クエン酸、プロ
ピオン酸のナトリウム及びカリウム塩、アミンとしては
エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレ
ンテトラミン等が好ましい。この内、硫酸ナトリウム又
は硫酸カリウムが効果及び経済性の点で特に好ましい。
本発明の触媒の量は、処理液中の濃度として1〜15重
量%、好ましくは2〜10重量%である。グリシジルア
クリレート化合物による架橋改質は上記触媒とアクリル
基をグラフト反応させるべくレドックス触媒とか過酸化
水素等の通常のグラフト触媒を用いる。
【0036】本発明のグリシジル化合物による架橋改質
の処理法としては、浸漬加熱法、パッド−スチーム法、
パッド−ドライ−スチーム法、コールドバッチ法の何れ
も用いることができる。浸漬加熱法の場合、グリシジル
化合物とテンセルを速やかにしかも収率良く反応させる
ためには、処理温度を70℃以上とする必要がある。浴
比は原綿処理の場合、10〜30程度が好ましい。パッ
ド−スチーム法は、例えばテンセルに対して50〜20
0重量%、好ましくは80〜120重量%の処理液を付
与後、120℃、好ましくは110℃以下の飽和蒸気で
10分〜数10分間スチーミングする。パッド−ドライ
−スチーム法の場合も、パッド−スチーム法に準ずる
が、スチーミングの前に80〜120℃で乾燥する。
【0037】コールドバッチ法では、例えばシート状の
テンセル原綿に50〜200重量%、好ましくは80〜
120重量%の処理液を付与した後、ラップ状に巻取
り、乾燥することなくフィルム等で覆って水分の蒸散を
防止した上で室温〜加温下で20時間程度置く。この
間、反応が均一に進むように該ラップを回転させること
が望ましい。
【0038】グリシジル化合物による架橋改質処理した
テンセル繊維は、常法に従って湯洗、油剤処理等の通常
の工程を経て乾燥する。
【0039】
【実施例】以下実施例にて本発明を具体的に説明する。
【0040】実施例1 テンセル原綿(単繊維:1.5d/38mm長、英国コ
ートルズ社製)60Kgを液容量1800lのオーバー
マイヤーを用いて、セルラーゼ加工及びグリシジル化合
物による架橋改質を行った。セルラーゼ加工の条件はセ
ルラーゼとして酵素OP−8800(GENENCOR
社製、力価1800単位/g):0.2%ows(2.
0g/l)、処理液量:1800 l、処理温度:55
℃、pH:4.5(酢酸/酢酸ソーダ緩衝液)、処理時
間:180分で行った。この場合の総酵素力価=180
0(単位/g)×0.2(%ows)×180(分)=
64800単位である。続いて、セルラーゼ加工済のテ
ンセル原綿を80℃の熱水で15分間失活処理した後、
グリシジル化合物で架橋改質した。該架橋改質の条件は
グリシジル化合物としてエチレングリコールジグリシジ
ルエーテル(デナコール EX−810 ナガセ化成工
業)を20g/l、触媒として無水硫酸ナトリウムを1
00g/lの水溶液1800lにセルラーゼ加工済の原
綿約60Kgを室温で浸漬し、良く攪拌した後昇温し、
90℃で60分間反応させた。水洗後、遠心脱水機で脱
水し、パンソフター−S(商品名 第一工業製薬製)の
水溶液に浸漬し該油剤を1.2%重量付着させた後乾燥
した。得られたテンセル原綿の単繊維強度は3.8g/
d(セルラーゼ加工前の平均単繊維強度4.8g/
d)、又、重量増加率で測定した架橋度は11.0%で
あった。得られた改質原綿を綿番手30/1の紡績糸に
紡績した。該紡績糸のIPI値/1000mのネップ数
は28個であった。続いて、これを仕上織設計で織幅1
14cm、経:100本/インチ、緯:70本/インチ
の平織物に製織した。該織物をビニールスルホン酸系の
反応染料で染色後,前記した家庭用洗濯機法でピリング
試験を実施し、得られた試験布片をJIS L−107
6法のピリング判定写真を準用して判定した結果5級
で、テンセルの抗ピリング性規格を満足していた。次に
該織物のピーチスキン加工を実施した。その方法は、上
記平織物をポリエステルネットに袋詰めし、ロータリー
ワッシャーにて温水中で揉み加工を実施した。この際、
粒径1μmのセラミツクの粒子を10重量%含む直径
3.8cmのゴムボール(50g/個)を平織物と同重
量袋詰めした。揉み加工の処理条件はロータリーワッシ
ャーの回転数が30回転/分、浴比1:100、温度6
0℃、時間180分であった。その後、タンブラー乾燥
機で乾燥した。得られたピーチスキン加工織物の外観及
び感触を専門検査員10名により検査したところ、ピー
チスキン調の外観の均一性、滑らかなピーチスキン調感
触それにテンセル特有の反発感に優れた織物風合であっ
た。
【0041】比較例1 実施例1に準じて、テンセル原綿の架橋改質を行った。
但し、セルラーゼ改質は行わなかった。得られた改質テ
ンセル原綿の平均単繊維強度は4.5g/dであった。
該原綿を実施例1と全く同じ条件で紡績した。該紡績糸
のIPI値/1000mのネツプ数は23個であった。
引き続き、製織、染色した後、ピリング試験、ピーチス
キン加工性を試験した。抗ピリング性は5級であった。
しかしながら実施例1のピーチスキン加工条件に準じ、
但しロータリーワッシャーでの揉み加工を240分間実
施したが、ピーチスキン調の立毛は全く起こらず、固い
風合、フラットな表面感は揉み加工の前とほとんど変化
なかった。セルラーゼ加工を施してないテンセル繊維は
架橋改質した場合ピーチスキン加工が困難なことが分か
る。
【0042】比較例2 実施例1に準じて、テンセル原綿のセルラーゼ加工を行
った。但し、架橋改質は行わなかつた。得られた改質テ
ンセル原綿の平均単繊維強度は3.5g/dであつた。
該原綿を実施例1と全く同じ条件で紡績した。得られた
紡績糸のIPI値/1000mのネツプ数は48個であ
った。引き続き、実施例1に準じて、製織、染色した
後、ピリング試験、ピーチスキン加工性を試験した。抗
ピリング性は3級で架橋改質が施されていないため抗ピ
リング性は低下した。ピーチスキン加工性はほぼ良好で
あったが、抗ピリング性が3級である分、実施例1に比
較しピーチスキンの均一性が劣ったものであった。
【0043】実施例2 実施例1に準じて、セルラーゼ加工、架橋改質を行っ
た。但し、セルラーゼ加工時間は300分間処理した。
従って、この場合の総酵素力価は10万8000単位で
ある。セルラーゼ加工及び架橋改質後のテンセル原綿の
平均単繊維強度は2.80g/dあった。得られた改質
原綿を実施例1と全く同じ条件で綿番手30/1の紡績
糸に紡績したが、該紡績糸のIPI値/1000mのネ
ップ数は115個で、改質原綿の平均単繊維強度が3.
0g/dを切ったことが紡績性の不良に直結した。以
降、実施例1に準じて、製織、染色、ピリング試験、ピ
ーチスキン加工性試験を実施した。ピリング試験は5
級、ピーチスキン加工性も良好であったが、実施例1と
比較すると糸質が劣る分、ピーチスキン調外観の滑らか
さは劣るものであった。
【0044】実施例3 実施例1に準じて、セルラーゼ加工、架橋改質を行っ
た。但し、セルラーゼ加工は酵素濃度0.3%owsで
180分間処理した。従って、この場合の総酵素力価は
97200単位である。グリシジル化合物による架橋改
質はジエチレングリコールジグリシジルエーテル(デナ
コール EX−851 ナガセ化成工業)を10g/
l、触媒として塩化ナトリウムを50g/l使用した。
セルラーゼ加工及び架橋改質後のテンセル原綿の平均単
繊維強度は3.1g/dであった。得られた改質原綿を
実施例1と全く同じ条件で綿番手30/1の紡績糸に紡
績したが、該紡績糸のIPI値/1000mのネツプ数
は60個であった。架橋度は3.8%であつた。以降、
実施例1に準じて製織、染色した後、ピリング試験、ピ
ーチスキン加工性試験を行った。抗ピリング性は4級で
ピリングは発現しておらず良好であった。ピーチスキン
加工性は、ロータリーワッシャーでの揉み加工時間18
0分で、ピーチスキン調の外観、感触それに風合とも実
施例1とほぼ同様で良好であった。
【0045】実施例4 実施例1に準じて、セルラーゼ加工、架橋改質を行っ
た。但し、セルラーゼとしてエンチロンCM−40L
(洛東化成工業 測定力価1500単位/g)を使用し
て0.3%owsの酵素濃度で120分間反応させた。
総酵素力価は54000単位/gになる。セルラーゼ加
工済のテンセル原綿を続いてグリシジル化合物で架橋改
質した。該架橋改質の条件は、グリシジル化合物として
プロピレングリコールジグリシジルエーテルを20g/
l、触媒として炭酸ナトリウムを70g/l含む加工液
を使用した以外は実施例1に準じて実施した。セルラー
ゼ加工及び架橋改質後のテンセル原綿の平均単繊維強度
は4.2g/dであった。得られた改質原綿を実施例1
と全く同じ条件で綿番手30/1の紡績糸に紡績した。
該紡績糸のIPI値/1000mのネップ数は61個で
あった。以降、実施例1に準じて製織、染色した後、ピ
リング試験、ピーチスキン加工性試験を実施した。抗ピ
リング性は4級、ピーチスキン加工性は揉み加工時間1
80分で、ピーチスキン調の外観、感触それに風合とも
実施例1とほぼ同程度で良好であった。
【0046】実施例5 実施例1に準じて、セルラーゼ加工を行った。但し、セ
ルラーゼとしてセルクラスト1.5L(ノボノルディス
ク 力価1500単位/g)を使用して0.3%ows
の酵素濃度で120分間反応させた。総酵素力価は54
000単位になる。セルラーゼ加工後の原綿を乾燥後、
混打綿しラップ状に巻取った。該ラツプをポリエチレン
グリコール(n=13)ジグリシジルエーテルを20g
/l、触媒としてトリエチレンテトラミンを10g/l
を含む水溶液に浸漬し、マングルで85%に絞った後、
加熱水蒸気を用いて120℃で10分間蒸熱した。その
後、水洗し実施例1に準じて油剤処理をし乾燥した。得
られた改質テンセル原綿の平均単繊維強度は4.0g/
d、架橋度は4.3重量%であつた。続いて実施例1と
全く同じ条件で綿番手30/1の紡績糸に紡績した。該
紡績糸のIPI値/1000mのネップ数は48個であ
つた。以降、実施例1に準じて製織、染色した後、ピリ
ング試験、ピーチスキン加工性試験を実施した。抗ピリ
ング性4級、ピーチスキン加工性も揉み加工時間180
分で、ピーチスキン調の外観、感触それに風合とも実施
例1とほぼ同程度で良好であった。
【0047】
【発明の効果】以上のように、テンセル繊維の抗ピリン
グ加工において、通常行われているセルラーゼ加工に架
橋改質、特にグリシジル化合物による架橋改質を組み合
わせることにより、抗ピリング性とピーチスキン加工性
が両立した改質テンセル繊維及びその製法を開発した。
その効果として次ぎの項目等があげられる。
【0048】セルラーゼ加工と架橋改質を組み合わせる
ことにより、従来のセルラーゼ加工を施さないテンセル
繊維で架橋改質のみの場合にピーチスキン加工性が阻害
されたのに対して、本発明の場合、抗ピリング性とピー
チスキン加工性が両立する改質テンセル繊維の製造が可
能になった。セルラーゼ加工のみでのテンセル繊維の抗
ピリング加工で、平均単繊維強度が3.0g/d以上の
場合、抗ピリング性が3〜4級で、テンセル繊維の抗ピ
リング規格が完全に満足し得なかったのに対して、本発
明は、これに架橋改質を組み合わせることによりこれを
改善し4級を満足するようになつた。これにより、セル
ラーゼ加工のみで平均単繊維強度を3.0g/d未満に
調整した場合に、通常のテンセル繊維の紡績条件、特に
カード条件で糸質がかなり損傷を受ける問題点があった
が、上記の結果、平均単繊維強度3.0g/d以上でも
抗ピリング性になり、大規模生産、短時間処理、しかも
ピーチスキン加工性を阻害しない、テンセル繊維原綿で
の抗ピリング加工が可能になつた。これにより経済的に
有利で良好な品質の抗ピリング性テンセル紡績糸の生産
が可能になった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北村 優 長野県小県郡丸子町大字東内774番地1 (72)発明者 宮田 昌平 神戸市東灘区深江南町1丁目3番5号

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶剤紡糸セルロース系繊維において、単
    繊維の表面が揉み叩き加工によるフィブリル化又はミク
    ロフィブリル化構造を呈しておらず、しかも該繊維から
    なる織編物の家庭用洗濯機法での抗ピリング試験にJI
    S L−1076法のピリング判定標準写真を準用して
    の判定で4級以上の抗ピリング性に架橋改質されていな
    がら、ピーチスキン加工性が改質前と同等或いは改質前
    より良好であることを特徴とする溶剤紡糸セルロース系
    繊維及び該繊維からなる繊維構造物。
  2. 【請求項2】 溶剤紡糸セルロース系繊維において、単
    繊維の表面が揉み叩き加工によるフィブリル化又はミク
    ロフィブリル化構造を呈しておらず、しかも、平均単繊
    維強度が3.0g/d以上、4.3g/d以下に改質さ
    れていて、さらに、ジグリシジルエーテル又はポリグリ
    シジルエーテル或いはグリシジルアクリレート化合物に
    より架橋改質されていることを特徴とする、該繊維から
    なる織編物の家庭用洗濯機法での抗ピリング試験にJI
    S L−1076法のピリング判定標準写真を準用して
    の判定で4級以上の抗ピリング性でありながら、該繊維
    からなる織編物のピーチスキン加工性が架橋改質前と同
    等或いは改質前より良好であることを特徴とする溶剤紡
    糸セルロース系繊維及び該繊維からなる繊維構造物。
  3. 【請求項3】 溶剤紡糸セルロース系繊維の原綿、スラ
    イバー、紡績糸或いは織編物の改質において、セルラー
    ゼ水溶液によるセルラーゼ加工を実施し、さらに、ジグ
    リシジルエーテル又はポリグリシジルエーテル或いはグ
    リシジルアクリレート化合物により架橋改質することを
    特徴とする請求項1の溶剤紡糸セルロース系繊維及び該
    繊維からなる繊維構造物の製法。
JP8220662A 1995-08-21 1996-08-01 抗ピリング性及びピーチスキン加工性に優れた溶剤紡糸セルロース系繊維、その繊維構造物及びその製法 Pending JPH09137384A (ja)

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JP23603495 1995-08-21
JP7-236034 1995-08-21
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6245117B1 (en) 1998-08-07 2001-06-12 Ipposha Oil Industries Co., Ltd. Modifier of cellulose fibers and modification method of cellulose fibers
JP2015074861A (ja) * 2013-10-11 2015-04-20 ユニチカトレーディング株式会社 織編物

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6245117B1 (en) 1998-08-07 2001-06-12 Ipposha Oil Industries Co., Ltd. Modifier of cellulose fibers and modification method of cellulose fibers
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