JP4020658B2 - 繊維構造物の染色加工方法及び染色繊維構造物 - Google Patents

繊維構造物の染色加工方法及び染色繊維構造物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、湿潤染色堅牢度を向上させることができるポリ乳酸系繊維とセルロース系繊維とからなる繊維構造物の染色加工方法及び染色繊維構造物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成繊維はその大部分が石油などの限りある貴重な化石資源を原料としている。そして、合成繊維は自然環境下ではほとんど分解されず、その廃棄処理が問題になっている。
【0003】
これに対して、ポリ乳酸はトウモロコシなどの再生産可能な植物資源を原料としている。そして、ポリ乳酸は生体内埋植材料として用いられているうえ、ポリ乳酸の分解産物である乳酸は人体中に広く存在しており、極めて安全性の高いポリマーである。ポリ乳酸を繊維化したポリ乳酸繊維は、その分子内にエステル結合を有していて脂肪族ポリエステル繊維に分類され、従来の合成繊維としての特性を有しながら、コンポスト又は土壌中などの自然環境下では最終的に炭酸ガスと水に分解される完全生分解性を有する。
【0004】
以上のようにポリ乳酸繊維は自然循環型の素材であって、環境問題に対応し得る非常に有力な材料であり、種々の特長を有している。ポリ乳酸繊維と同様にポリエステル系繊維であって全繊維の中で生産量が最も多いポリエチレンテレフタレート繊維は、通常130℃近傍の温度で染色が行われるが、ポリ乳酸繊維はそれよりも低い温度例えば100℃近傍の温度で染色可能であってエネルギー負荷が小さくてよく、この面でも環境問題に適する素材であると言える。一方、ポリ乳酸繊維は湿潤染色堅牢度がポリエチレンテレフタレート繊維と比べて一般に低く、特に中色ないし濃色の範囲に染色したときに低くなる傾向があり、これを衣料として着用するときに、発汗によって色落ちして他の衣料を汚染したり、あるいは洗濯時に色落ちして他の衣料を汚染するおそれがあるなど非常に大きな問題を有していた。これについては、染料メーカーが推奨しているポリ乳酸繊維用の分散染料を用いることによって、ある程度までは実用に耐え得る染色堅牢度を有する織編物等の繊維構造物が得られる状態になってきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ポリ乳酸繊維をセルロース系繊維と併用した繊維構造物は、淡色に染色したときには所望の湿潤染色堅牢度が維持されるものの、これを中色ないし濃色に染色した場合には湿潤染色堅牢度が低く、特に汗に対する染色堅牢度が低くなるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は上記問題を解決するものであって、中色ないし濃色に染色しても実用に耐える湿潤染色堅牢度を有するポリ乳酸系繊維とセルロース系繊維とからなる繊維構造物の染色加工方法及び染色繊維構造物を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の染色加工方法は、ポリ乳酸系繊維とセルロース系繊維とからなる繊維構造物を染色加工するに際して、上記繊維構造物を分散染料を含む染浴に浸漬してポリ乳酸系繊維をその質量に対して染料含有率が0.1質量%以上になるように染色し、次いで還元洗浄し、しかる後に上記繊維構造物を反応染料とアルカリを含む染浴に浸漬してセルロース系繊維を染色し、次いで界面活性剤を含む洗浄液によって70〜80℃の温度でソーピングすることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、上記構成において、上記繊維構造物がポリ乳酸系繊維20〜80質量%とセルロース系繊維80〜20質量%とからなることを特徴とする。
【0009】
さらに、請求項3に記載の発明は、上記構成において、上記繊維構造物がポリ乳酸系繊維を芯部に配しセルロース系繊維を鞘部に配して形成された二層構造紡績糸であることを特徴とする。
【0010】
さらにまた、本発明の染色繊維構造物は、上記染色加工方法によって染色され、JIS−L−0848の規定に基づいて測定した汗に対する変退色についての染色堅牢度が、酸性の汗及びアルカリ性の汗のいずれに対しても4級以上であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の染色繊維構造物は、上記染色加工方法によって染色され、JIS−L−0848の規定に基づいて測定した汗に対する添付した白布の汚染の程度が、酸性の汗及びアルカリ性の汗のいずれに対しても3〜4級以上であることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、ポリ乳酸系繊維とセルロース系繊維とからなる繊維構造物を染色加工するに際しては、まず、ポリ乳酸系繊維をその質量に対して染料含有率が0.1質量%以上、すなわち中色ないし濃色になるように分散染料によって染色する。
【0013】
上記染色に際しては、分散染料を含む染浴に繊維構造物を浸漬して90〜120℃の温度で30〜60分間吸尽染色を行うことが好ましい。
染色温度が90℃未満では染浴中に含まれる分散染料のポリ乳酸系繊維に対する染着率が少なくなる傾向があり、一方、120℃を超えると、ポリ乳酸系繊維の強度が低下することがある。
【0014】
また、ポリ乳酸系繊維に含有させる分散染料の含有率の上限は、ポリ乳酸系繊維の種類、結晶構造に起因する繊維の染着能力、セルロース系繊維の混合割合などによって異なるので一概には決めることはできないが、所望する色の濃さなどを考慮すると、実用上は分散染料の含有率の上限は8.0質量%であることが好ましい。
【0015】
さらに、分散染料としては、染料メーカーがポリ乳酸繊維用に推奨している分散染料が好ましく用いられる。また、ポリ乳酸系繊維の耐光堅牢度を向上させるために染浴に紫外線吸収剤等を加えて、染色と同時に紫外線吸収剤を付与するようにしてもよい。
【0016】
上記ポリ乳酸系繊維の染色に続いて、上記分散染料によって染色されたポリ乳酸系繊維を還元洗浄する。還元洗浄に際しては、炭酸ナトリウムなどのアルカリ剤、ハイドロサルファイトなどの還元剤を含む加熱された洗浄液で還元洗浄する。
【0017】
この還元洗浄によって、ポリ乳酸系繊維の表面に付着している分散染料とセルロース系繊維を汚染した分散染料がともに洗浄されて除去される。
ところで、ポリ乳酸系繊維はアルカリの存在下で高温に長時間曝されると、ポリエチレンテレフタレート繊維に比べて加水分解を受けやすく強度が低下し易いため、通常ポリエチレンテレフタレート繊維に対して行われる還元洗浄よりもアルカリの使用量を少なくし、かつ処理温度を低めに設定するとともに処理時間を短くすることが好ましい。したがって、例えばアルカリ剤として炭酸ナトリウムなどを0.1〜2質量%含む60〜80℃の洗浄液を用いて、5〜30分間還元洗浄することが好ましい。
【0018】
なお、ポリ乳酸系繊維とセルロース系繊維とからなる繊維構造物を織物などの布帛の形態で染色加工するときには、必要に応じて織物の製織時に付与された糊剤の糊抜きや、セルロース系繊維の夾雑物などを除去するための漂白などの前処理を行うが、上記のようにポリ乳酸系繊維はアルカリの存在下で高温に長時間曝されると、ポリエチレンテレフタレート繊維に比べて加水分解を受けやすく強度が低下し易いため、この場合にもアルカリの使用量を少なくし、かつ処理温度を低めに設定するとともに処理時間を短くすることが好ましい。
【0019】
上記還元洗浄に引き続いて、セルロース系繊維をアルカリの存在下で反応染料によって染色する。
セルロース系繊維を染色するに際しては、反応染料を含む染浴に繊維構造物を浸漬して30〜70℃の温度で吸尽染色を行うことが好ましい。反応染料としては、いわゆる低温タイプ、中温タイプのものが好ましく用いられる。
【0020】
染色温度が30℃未満ではセルロース系繊維に反応染料を十分に染着させることができないことがある。一方、反応染料はアルカリの存在下にセルロース系繊維の水酸基と反応して共有結合してセルロース系繊維に染着されるため、染色温度が70℃を超えるとアルカリによってポリ乳酸系繊維の強度が低下し易くなる。
【0021】
セルロース系繊維に含有させる反応染料の含有率は、セルロース系繊維とポリ乳酸系繊維との混合割合、反応染料の種類などによって異なるので一概には決められないが、通常はポリ乳酸系繊維に含有させる分散染料の含有率などを考慮して決められる。
【0022】
次いで、染色された繊維構造物を界面活性剤を含む洗浄液によって70〜80℃の温度でソーピングする。
このソーピング温度は、従来のソーピング温度である90〜100℃よりも低い温度である。
【0023】
上記ソーピングによって、セルロース系繊維を反応染料によって染色したときに、染浴中で加水分解された遊離の反応染料、加水分解されてセルロース分子に弱く結合した反応染料などが除去される。
【0024】
ソーピングに際しては、界面活性剤を0.05〜0.5質量%含む70〜80℃の温度の洗浄液を用いて、5〜20分間洗浄することが好ましい。ソーピング温度が70℃未満では、加水分解した反応染料を十分に除去できないことがあり、一方80℃を超えると、ポリ乳酸系繊維に染着した分散染料が滲出(ブリード)し易くなるため、湿潤染色堅牢度が低下し易くなる。
【0025】
通常、セルロース系繊維を反応染料によって染色した後、ソーピング前又はソーピング後に、酢酸水溶液などの酸を含む水溶液で中和処理して反応染料による染色によって付着したアルカリを中和する。
【0026】
また、通常は、ソーピングを行った後に、フィックス処理して、繊維構造物にフィックス剤を付与し、セルロース系繊維に染着された反応染料を固定する。
このフィックス処理は公知の方法によって行われ、吸尽法又はパディング法が好ましい。吸尽法においては、フィックス剤を1.0〜6.0質量%含む30〜60℃の処理液を用いて5〜30分間処理することが好ましい。また、パディング法においては、フィックス剤を1.0〜6.0質量%含む処理液を付与し、乾燥、熱処理を行う。乾燥は80〜130℃で0.5〜3分間、好ましくは80〜110℃で行う。
【0027】
なお、セルロース系繊維を高温でソーピングする必要がない直接染料で染色することも考えられるが、直接染料は反応染料に比べて湿潤染色堅牢度が低いので好ましくない。
【0028】
そして、本発明の染色加工方法によって染色された繊維構造物は、JIS−L−0848の規定に基づいて測定した汗に対する変退色についての染色堅牢度が、酸性の汗及びアルカリ性の汗のいずれに対しても4級以上であり、また、汗に対する添付した白布の汚染の程度が酸性の汗及びアルカリ性の汗のいずれに対しても3〜4級以上である。さらに、洗濯に対する染色堅牢度も3〜4級以上を示す。
【0029】
本発明において染色加工に供する繊維構造物を構成するポリ乳酸系繊維としては、例えばトウモロコシなどの再生産可能な植物資源から得られるデンプンを出発原料とし、これを酵素分解することによって得られるグルコースを乳酸菌発酵により乳酸とし、さらにこれを重合することにより得られるポリ乳酸を溶融紡糸により繊維化したものが挙げられる。そして、ポリ乳酸系繊維を構成するポリ乳酸は、いわゆるポリ乳酸のほか、乳酸単位を主たる繰り返し単位とし、共重合成分として他のヒドロキシカルボン酸単位などを含む乳酸共重合体でもよい。これらの重合体のうち、融点が150℃以上のものが好ましい。
【0030】
また、ポリ乳酸系繊維と混用するセルロース系繊維としては、綿、麻等の天然セルロース繊維、ビスコース、キュプラ、ポリノジック等の再生セルロース繊維、リヨセル等の溶剤紡糸セルロース繊維等が挙げられる。
【0031】
また、ポリ乳酸系繊維とセルロース系繊維とからなる繊維構造物としては、両繊維からなる混綿、混紡糸、二層構造紡績糸、交撚糸、精紡交撚糸、交織織物、交編編物等が挙げられる。
【0032】
上記繊維構造物のうち、二層構造紡績糸が好ましく、芯部にポリ乳酸系繊維を配し、鞘部にセルロース系繊維を配した二層構造紡績糸から構成されるものが特に好ましい。この二層構造紡績糸としては、芯部と鞘部をそれぞれ短繊維から形成したもの、芯部を長繊維から形成し鞘部を短繊維から形成したものなどが挙げられる。上記二層構造紡績糸では、ソーピング温度を低くしたことによって湿潤染色堅牢度が向上することに加えて、鞘部にセルロース系繊維を配したことによってポリ乳酸系繊維が有する乾燥時における低い摩擦堅牢度がカバーされる。
【0033】
本発明において、ポリ乳酸系繊維とセルロース系繊維との混合割合は、任意に設定することができるが、ポリ乳酸系繊維20質量%〜80質量%、セルロース系繊維80質量%〜20質量%の範囲が好ましい。
【0034】
ポリ乳酸系繊維とセルロース系繊維との割合が上記範囲にある場合には、ソーピングを低い温度で行ったことによる影響が大きく、湿潤染色堅牢度がより向上する。
【0035】
ポリ乳酸系繊維の割合が20質量%未満のときには、繊維構造物中に占める分散染料の割合が少ないために、ソーピングによってブリードする分散染料の量が元々少なく、ポリ乳酸系繊維の割合が20質量%以上の場合に比べると、ソーピング温度を低くしたことによる湿潤染色堅牢度の向上は少ない。
【0036】
一方、ポリ乳酸系繊維の割合が80質量%を超えるときには、繊維構造物中に占める分散染料の割合が多いために、ソーピングによってブリードする分散染料の量が多くなるために、ポリ乳酸系繊維の割合が80質量%未満の場合に比べると、ソーピング温度を低くしたことによる湿潤染色堅牢度の向上は少ない。
(作 用)
本発明の染色加工方法によれば、繊維構造物を構成する繊維のうちのポリ乳酸系繊維を分散染料によって染色した後にセルロース系繊維を反応染料によって染色し、その後に行われるソーピングを従来行われているソーピング温度90℃〜100℃よりも低い50〜80℃で行うので、繊維構造物を中色ないし濃色に染色しても、高い湿潤染色堅牢度を有する染色された繊維構造物を得ることができる。
【0037】
したがって、ポリ乳酸系繊維とセルロース系繊維から得られる衣料等の製品は洗濯時に色落ちして他の衣料を汚染したり、着用時に汗などによって色落ちして下着などの他の衣料を汚染することが少ない。
【0038】
本発明によると湿潤染色堅牢度が向上するのは次のような理由によるものと考えられる。
ポリ乳酸系繊維はポリエチレンテレフタレート繊維と比較してガラス転移点が低く、100℃近傍で分散染料による染色が可能であって、分散染料の分子が入り易くまた出易い結晶構造を有している。
【0039】
また、セルロース系繊維はその分子内に水酸基を有するので、これを反応染料によって染色すると、反応染料がセルロース分子の水酸基と共有結合によって結合するため、直接染料などに比べて高い湿潤染色堅牢度が得られる。その反面、反応染料とセルロースの水酸基との反応は水との競争反応であるため、反応染料の一部は必ず加水分解する。したがって、セルロースに結合した反応染料のなかには加水分解してセルロース分子に弱く結合しているものがあり、またセルロース系繊維の表面には加水分解した遊離の反応染料が付着することになる。これら加水分解した反応染料を除去するために、通常界面活性剤を含む洗浄液を用いて90℃〜100℃以上の高温でソーピングすることが行われる。
【0040】
ところが、上記のようにポリ乳酸系繊維は分散染料の分子が入り易いが逆に出易い結晶構造のため、上記のような高温でソーピングすると、分散染料がブリードし易くなる。分散染料がブリードすると、ポリ乳酸系繊維自体の湿潤染色堅牢度が低下するとともにブリードした分散染料によってセルロース系繊維も汚染されることになり、結局繊維構造物の湿潤染色堅牢度が低下することになる。
【0041】
ポリ乳酸系繊維とセルロース系繊維とからなる繊維構造物を中色ないし濃色に染色したときに、ポリ乳酸系繊維単独の繊維構造物に比べて、湿潤染色堅牢度の低下の程度が大きいのは、主ししてこの理由によるものである。
【0042】
したがって、本発明のようにソーピング温度を通常の温度よりも低くすると繊維構造物の湿潤染色堅牢度が向上するのは、ソーピング温度を低くすることによって、反応染料によって染色されたセルロース系繊維から加水分解された反応染料が除去される量が低下することによるセルロース系繊維の湿潤染色堅牢度低下の程度よりも、分散染料によって染色されたポリ乳酸系繊維からブリードする分散染料の量を抑えることによって湿潤染色堅牢度が向上する程度の方が上回るためであると推定される。
(実施例)
次に、本発明を実施例によってさらに具体的に説明する。
【0043】
以下の実施例において、「%」は特記しない限り「質量%」を表す。
分散染料の含有率は、分散染料にて染色後の織物の質量に対する染色後の織物質量と染色前の織物の質量との差を百分率で表したものである。
【0044】
また、洗濯堅牢度はJIS−L−0844のA−2法に基づいて、洗濯後における試験片の変退色の程度、試験片に添付したナイロン標準白布の汚染の程度、及び洗濯液の汚染の程度を測定し、測定結果を級で示した。
【0045】
さらに、汗堅牢度はJIS−L−0848のA法に基づいて、同規格に記載のアルカリ性人工汗液と酸性人工汗液に対する試験片の変退色の程度及び試験片に添付したナイロン標準白布の汚染の程度を測定し、測定結果を級で示した。
実施例1
ポリ乳酸繊維30%、綿繊維70%からなる混紡スフ糸20番手単糸使いの織物(経糸密度85本/2.54cm、緯糸密度50本/2.54cm、目付210g/m2)を、ビオテックスSL(ナガセ生化学(株)製)0.5%、水酸化ナトリウム0.1%を含む処理液にて90℃で30分間前処理して上記織物の製織時に付着させた糊剤等を除去し、これを被加工織物とした。
【0046】
次に、下記処方1に示す処方により、浴比1:30にて上記織物を110℃で60分間吸尽染色を行ってポリ乳酸繊維を分散染料によって染色した。しかる後に上記織物を下記処方2に示す処方により、浴比1:30にて70℃で20分間還元洗浄した。
【0047】
次いで、下記処方3に示す処方により、浴比1:30にて上記織物を55℃で60分間吸尽染色を行って綿繊維を反応染料によって染色した。
しかる後に、0.05%の酢酸水溶液で中和処理を行った。
【0048】
次いで、下記処方4に示す処方により、浴比1:30にて上記織物を70℃で10分間界面活性剤水溶液にてソーピングを行った。
次いで、上記織物を脱水・乾燥し、下記処方5に示す処方により、パディング法にてフィックス剤を付与し、しかる後に110℃で90秒間乾熱処理して染色加工織物を得た。
【0049】
得られた染色加工織物における分散染料の含有率は0.69%であった。
処方1(分散染料の水分散液)
Trial Black 01 6%omf
(三井BASF(株)製 分散染料)
酢酸(濃度48%) 0.1%
酢酸ナトリウム 0.2%
処方2(アルカリ剤の水溶液)
ハイドロサルファイト 0.2%
炭酸ナトリウム 0.2%
処方3(反応染料の水溶液)
Remazole Black A gran 8%omf
(ダイスタージャパン(株)製 反応染料)
無水硫酸ナトリウム 5.0%
炭酸ナトリウム 1.5%
処方4(界面活性剤の水溶液)
クインソープT−JE new 0.2%
(コタニ化学工業(株)製 非イオン界面活性剤)
処方5(フィックス剤の水溶液)
フィックスTK 3.0%
(里田化工(株)製 カチオン系フィックス剤)
実施例2
実施例1においてポリ乳酸繊維30%、綿繊維70%からなりかつ芯部がポリ乳酸繊維から形成され鞘部が綿繊維から形成された二層構造スフ糸の20番手単糸使いの織物を用いた以外は、実施例1と同様にして染色加工織物を得た。
【0050】
得られた染色加工織物における分散染料の含有率は0.71%であった。
実施例3
実施例1において処方4によるソーピングを80℃にて10分間行う以外は、実施例1と同様にして染色加工織物を得た。
実施例4
実施例2において処方4によるソーピングを80℃にて10分間行う以外は、実施例2と同様にして染色加工織物を得た。
比較例1
比較のために実施例1において、ソーピング温度を100℃に変えた以外は、実施例1と同様にして比較用の染色加工織物を得た。
比較例2
比較のために実施例2において、ソーピング温度を100℃に変えた以外は、実施例2と同様にして比較用の染色加工織物を得た。
【0051】
実施例1〜4及び比較例1、2によって得られた染色加工織物をそれぞれ試験片として、洗濯堅牢度と汗堅牢度を測定して湿潤染色堅牢度を評価し、その結果を表1に示した。
【0052】
【表1】
Figure 0004020658
表1から明らかなように、本発明の方法によって得られた染色加工織物は比較用の染色加工織物に比べて、洗濯堅牢度、汗堅牢度ともに優れ、特に汗堅牢度に優れる。
【0053】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の染色加工方法によれば、中色ないし濃色に染色したにも拘わらず実用に耐え得る湿潤染色堅牢度を有する染色繊維構造物を得ることができる。したがって、この染色繊維構造物は着用時に汗などによって色落ちしたり、洗濯時に色落ちすることが少ないものである。
【0054】
また、本発明の染色繊維構造物は、汗に対する変退色についての染色堅牢度に優れ、また、汗に対する添付した白布の汚染の程度も少ないものである。

Claims (5)

  1. ポリ乳酸系繊維とセルロース系繊維とからなる繊維構造物を染色加工するに際して、上記繊維構造物を分散染料を含む染浴に浸漬してポリ乳酸系繊維をその質量に対して染料含有率が0.1質量%以上になるように染色し、次いで還元洗浄し、しかる後に上記繊維構造物を反応染料とアルカリを含む染浴に浸漬してセルロース系繊維を染色し、次いで界面活性剤を含む洗浄液によって70〜80℃の温度でソーピングすることを特徴とする繊維構造物の染色加工方法。
  2. 上記繊維構造物がポリ乳酸系繊維20〜80質量%とセルロース系繊維80〜20質量%とからなることを特徴とする請求項1記載の繊維構造物の染色加工方法。
  3. 上記繊維構造物がポリ乳酸系繊維を芯部に配しセルロース系繊維を鞘部に配して形成された二層構造紡績糸であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の繊維構造物の染色加工方法。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の染色加工方法によって染色され、JIS−L−0848の規定に基づいて測定した汗に対する変退色についての染色堅牢度が、酸性の汗及びアルカリ性の汗のいずれに対しても4級以上であることを特徴とする染色繊維構造物。
  5. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の染色加工方法によって染色され、JIS−L−0848の規定に基づいて測定した汗に対する添付した白布の汚染の程度が、酸性の汗及びアルカリ性の汗のいずれに対しても3〜4級以上であることを特徴とする染色繊維構造物。
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