JP2003253575A - 繊維構造物の染色加工方法及び染色繊維構造物 - Google Patents

繊維構造物の染色加工方法及び染色繊維構造物

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JP2003253575A JP2002055129A JP2002055129A JP2003253575A JP 2003253575 A JP2003253575 A JP 2003253575A JP 2002055129 A JP2002055129 A JP 2002055129A JP 2002055129 A JP2002055129 A JP 2002055129A JP 2003253575 A JP2003253575 A JP 2003253575A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 中色ないし濃色に染色しても実用に耐える湿
潤染色堅牢度を有するポリ乳酸系繊維とセルロース系繊
維とからなる繊維構造物の染色加工方法及び染色繊維構
造物を提供する。 【解決手段】 ポリ乳酸系繊維とセルロース系繊維とか
らなる繊維構造物を染色加工するに際して、上記繊維構
造物を分散染料を含む染浴に浸漬してポリ乳酸系繊維を
その質量に対して染料含有率が0.1質量%以上になる
ように染色し、次いで還元洗浄し、しかる後に上記繊維
構造物を反応染料とアルカリを含む染浴に浸漬してセル
ロース系繊維を染色し、次いで界面活性剤を含む洗浄液
によって50〜80℃の温度でソーピングする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、湿潤染色堅牢度を
向上させることができるポリ乳酸系繊維とセルロース系
繊維とからなる繊維構造物の染色加工方法及び染色繊維
構造物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、合成繊維はその大部分が石油など
の限りある貴重な化石資源を原料としている。そして、
合成繊維は自然環境下ではほとんど分解されず、その廃
棄処理が問題になっている。
【0003】これに対して、ポリ乳酸はトウモロコシな
どの再生産可能な植物資源を原料としている。そして、
ポリ乳酸は生体内埋植材料として用いられているうえ、
ポリ乳酸の分解産物である乳酸は人体中に広く存在して
おり、極めて安全性の高いポリマーである。ポリ乳酸を
繊維化したポリ乳酸繊維は、その分子内にエステル結合
を有していて脂肪族ポリエステル繊維に分類され、従来
の合成繊維としての特性を有しながら、コンポスト又は
土壌中などの自然環境下では最終的に炭酸ガスと水に分
解される完全生分解性を有する。
【0004】以上のようにポリ乳酸繊維は自然循環型の
素材であって、環境問題に対応し得る非常に有力な材料
であり、種々の特長を有している。ポリ乳酸繊維と同様
にポリエステル系繊維であって全繊維の中で生産量が最
も多いポリエチレンテレフタレート繊維は、通常130
℃近傍の温度で染色が行われるが、ポリ乳酸繊維はそれ
よりも低い温度例えば100℃近傍の温度で染色可能で
あってエネルギー負荷が小さくてよく、この面でも環境
問題に適する素材であると言える。一方、ポリ乳酸繊維
は湿潤染色堅牢度がポリエチレンテレフタレート繊維と
比べて一般に低く、特に中色ないし濃色の範囲に染色し
たときに低くなる傾向があり、これを衣料として着用す
るときに、発汗によって色落ちして他の衣料を汚染した
り、あるいは洗濯時に色落ちして他の衣料を汚染するお
それがあるなど非常に大きな問題を有していた。これに
ついては、染料メーカーが推奨しているポリ乳酸繊維用
の分散染料を用いることによって、ある程度までは実用
に耐え得る染色堅牢度を有する織編物等の繊維構造物が
得られる状態になってきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ポリ乳酸繊維
をセルロース系繊維と併用した繊維構造物は、淡色に染
色したときには所望の湿潤染色堅牢度が維持されるもの
の、これを中色ないし濃色に染色した場合には湿潤染色
堅牢度が低く、特に汗に対する染色堅牢度が低くなると
いう問題があった。
【0006】そこで、本発明は上記問題を解決するもの
であって、中色ないし濃色に染色しても実用に耐える湿
潤染色堅牢度を有するポリ乳酸系繊維とセルロース系繊
維とからなる繊維構造物の染色加工方法及び染色繊維構
造物を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の染色加工方法は、ポリ乳酸系繊維とセルロー
ス系繊維とからなる繊維構造物を染色加工するに際し
て、上記繊維構造物を分散染料を含む染浴に浸漬してポ
リ乳酸系繊維をその質量に対して染料含有率が0.1質
量%以上になるように染色し、次いで還元洗浄し、しか
る後に上記繊維構造物を反応染料とアルカリを含む染浴
に浸漬してセルロース系繊維を染色し、次いで界面活性
剤を含む洗浄液によって50〜80℃の温度でソーピン
グすることを特徴とする。
【0008】また、請求項2に記載の発明は、上記構成
において、上記繊維構造物がポリ乳酸系繊維20〜80
質量%とセルロース系繊維80〜20質量%とからなる
ことを特徴とする。
【0009】さらに、請求項3に記載の発明は、上記構
成において、上記繊維構造物がポリ乳酸系繊維を芯部に
配しセルロース系繊維を鞘部に配して形成された二層構
造紡績糸であることを特徴とする。
【0010】さらにまた、本発明の染色繊維構造物は、
上記染色加工方法によって染色され、JIS−L−08
48の規定に基づいて測定した汗に対する変退色につい
ての染色堅牢度が、酸性の汗及びアルカリ性の汗のいず
れに対しても4級以上であることを特徴とする。
【0011】また、本発明の染色繊維構造物は、上記染
色加工方法によって染色され、JIS−L−0848の
規定に基づいて測定した汗に対する添付した白布の汚染
の程度が、酸性の汗及びアルカリ性の汗のいずれに対し
ても3〜4級以上であることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、ポリ乳酸系繊維とセルロース系繊維
とからなる繊維構造物を染色加工するに際しては、ま
ず、ポリ乳酸系繊維をその質量に対して染料含有率が
0.1質量%以上、すなわち中色ないし濃色になるよう
に分散染料によって染色する。
【0013】上記染色に際しては、分散染料を含む染浴
に繊維構造物を浸漬して90〜120℃の温度で30〜
60分間吸尽染色を行うことが好ましい。染色温度が9
0℃未満では染浴中に含まれる分散染料のポリ乳酸系繊
維に対する染着率が少なくなる傾向があり、一方、12
0℃を超えると、ポリ乳酸系繊維の強度が低下すること
がある。
【0014】また、ポリ乳酸系繊維に含有させる分散染
料の含有率の上限は、ポリ乳酸系繊維の種類、結晶構造
に起因する繊維の染着能力、セルロース系繊維の混合割
合などによって異なるので一概には決めることはできな
いが、所望する色の濃さなどを考慮すると、実用上は分
散染料の含有率の上限は8.0質量%であることが好ま
しい。
【0015】さらに、分散染料としては、染料メーカー
がポリ乳酸繊維用に推奨している分散染料が好ましく用
いられる。また、ポリ乳酸系繊維の耐光堅牢度を向上さ
せるために染浴に紫外線吸収剤等を加えて、染色と同時
に紫外線吸収剤を付与するようにしてもよい。
【0016】上記ポリ乳酸系繊維の染色に続いて、上記
分散染料によって染色されたポリ乳酸系繊維を還元洗浄
する。還元洗浄に際しては、炭酸ナトリウムなどのアル
カリ剤、ハイドロサルファイトなどの還元剤を含む加熱
された洗浄液で還元洗浄する。
【0017】この還元洗浄によって、ポリ乳酸系繊維の
表面に付着している分散染料とセルロース系繊維を汚染
した分散染料がともに洗浄されて除去される。ところ
で、ポリ乳酸系繊維はアルカリの存在下で高温に長時間
曝されると、ポリエチレンテレフタレート繊維に比べて
加水分解を受けやすく強度が低下し易いため、通常ポリ
エチレンテレフタレート繊維に対して行われる還元洗浄
よりもアルカリの使用量を少なくし、かつ処理温度を低
めに設定するとともに処理時間を短くすることが好まし
い。したがって、例えばアルカリ剤として炭酸ナトリウ
ムなどを0.1〜2質量%含む60〜80℃の洗浄液を
用いて、5〜30分間還元洗浄することが好ましい。
【0018】なお、ポリ乳酸系繊維とセルロース系繊維
とからなる繊維構造物を織物などの布帛の形態で染色加
工するときには、必要に応じて織物の製織時に付与され
た糊剤の糊抜きや、セルロース系繊維の夾雑物などを除
去するための漂白などの前処理を行うが、上記のように
ポリ乳酸系繊維はアルカリの存在下で高温に長時間曝さ
れると、ポリエチレンテレフタレート繊維に比べて加水
分解を受けやすく強度が低下し易いため、この場合にも
アルカリの使用量を少なくし、かつ処理温度を低めに設
定するとともに処理時間を短くすることが好ましい。
【0019】上記還元洗浄に引き続いて、セルロース系
繊維をアルカリの存在下で反応染料によって染色する。
セルロース系繊維を染色するに際しては、反応染料を含
む染浴に繊維構造物を浸漬して30〜70℃の温度で吸
尽染色を行うことが好ましい。反応染料としては、いわ
ゆる低温タイプ、中温タイプのものが好ましく用いられ
る。
【0020】染色温度が30℃未満ではセルロース系繊
維に反応染料を十分に染着させることができないことが
ある。一方、反応染料はアルカリの存在下にセルロース
系繊維の水酸基と反応して共有結合してセルロース系繊
維に染着されるため、染色温度が70℃を超えるとアル
カリによってポリ乳酸系繊維の強度が低下し易くなる。
【0021】セルロース系繊維に含有させる反応染料の
含有率は、セルロース系繊維とポリ乳酸系繊維との混合
割合、反応染料の種類などによって異なるので一概には
決められないが、通常はポリ乳酸系繊維に含有させる分
散染料の含有率などを考慮して決められる。
【0022】次いで、染色された繊維構造物を界面活性
剤を含む洗浄液によって50〜80℃の温度でソーピン
グする。このソーピング温度は、従来のソーピング温度
である90〜100℃よりも低い温度である。
【0023】上記ソーピングによって、セルロース系繊
維を反応染料によって染色したときに、染浴中で加水分
解された遊離の反応染料、加水分解されてセルロース分
子に弱く結合した反応染料などが除去される。
【0024】ソーピングに際しては、界面活性剤を0.
05〜0.5質量%含む50〜80℃の温度の洗浄液を
用いて、5〜20分間洗浄することが好ましい。ソーピ
ング温度が50℃未満では、加水分解した反応染料を十
分に除去できないことがあり、一方80℃を超えると、
ポリ乳酸系繊維に染着した分散染料が滲出(ブリード)
し易くなるため、湿潤染色堅牢度が低下し易くなる。
【0025】通常、セルロース系繊維を反応染料によっ
て染色した後、ソーピング前又はソーピング後に、酢酸
水溶液などの酸を含む水溶液で中和処理して反応染料に
よる染色によって付着したアルカリを中和する。
【0026】また、通常は、ソーピングを行った後に、
フィックス処理して、繊維構造物にフィックス剤を付与
し、セルロース系繊維に染着された反応染料を固定す
る。このフィックス処理は公知の方法によって行われ、
吸尽法又はパディング法が好ましい。吸尽法において
は、フィックス剤を1.0〜6.0質量%含む30〜60
℃の処理液を用いて5〜30分間処理することが好まし
い。また、パディング法においては、フィックス剤を
1.0〜6.0質量%含む処理液を付与し、乾燥、熱処理
を行う。乾燥は80〜130℃で0.5〜3分間、好ま
しくは80〜110℃で行う。
【0027】なお、セルロース系繊維を高温でソーピン
グする必要がない直接染料で染色することも考えられる
が、直接染料は反応染料に比べて湿潤染色堅牢度が低い
ので好ましくない。
【0028】そして、本発明の染色加工方法によって染
色された繊維構造物は、JIS−L−0848の規定に
基づいて測定した汗に対する変退色についての染色堅牢
度が、酸性の汗及びアルカリ性の汗のいずれに対しても
4級以上であり、また、汗に対する添付した白布の汚染
の程度が酸性の汗及びアルカリ性の汗のいずれに対して
も3〜4級以上である。さらに、洗濯に対する染色堅牢
度も3〜4級以上を示す。
【0029】本発明において染色加工に供する繊維構造
物を構成するポリ乳酸系繊維としては、例えばトウモロ
コシなどの再生産可能な植物資源から得られるデンプン
を出発原料とし、これを酵素分解することによって得ら
れるグルコースを乳酸菌発酵により乳酸とし、さらにこ
れを重合することにより得られるポリ乳酸を溶融紡糸に
より繊維化したものが挙げられる。そして、ポリ乳酸系
繊維を構成するポリ乳酸は、いわゆるポリ乳酸のほか、
乳酸単位を主たる繰り返し単位とし、共重合成分として
他のヒドロキシカルボン酸単位などを含む乳酸共重合体
でもよい。これらの重合体のうち、融点が150℃以上
のものが好ましい。
【0030】また、ポリ乳酸系繊維と混用するセルロー
ス系繊維としては、綿、麻等の天然セルロース繊維、ビ
スコース、キュプラ、ポリノジック等の再生セルロース
繊維、リヨセル等の溶剤紡糸セルロース繊維等が挙げら
れる。
【0031】また、ポリ乳酸系繊維とセルロース系繊維
とからなる繊維構造物としては、両繊維からなる混綿、
混紡糸、二層構造紡績糸、交撚糸、精紡交撚糸、交織織
物、交編編物等が挙げられる。
【0032】上記繊維構造物のうち、二層構造紡績糸が
好ましく、芯部にポリ乳酸系繊維を配し、鞘部にセルロ
ース系繊維を配した二層構造紡績糸から構成されるもの
が特に好ましい。この二層構造紡績糸としては、芯部と
鞘部をそれぞれ短繊維から形成したもの、芯部を長繊維
から形成し鞘部を短繊維から形成したものなどが挙げら
れる。上記二層構造紡績糸では、ソーピング温度を低く
したことによって湿潤染色堅牢度が向上することに加え
て、鞘部にセルロース系繊維を配したことによってポリ
乳酸系繊維が有する乾燥時における低い摩擦堅牢度がカ
バーされる。
【0033】本発明において、ポリ乳酸系繊維とセルロ
ース系繊維との混合割合は、任意に設定することができ
るが、ポリ乳酸系繊維20質量%〜80質量%、セルロ
ース系繊維80質量%〜20質量%の範囲が好ましい。
【0034】ポリ乳酸系繊維とセルロース系繊維との割
合が上記範囲にある場合には、ソーピングを低い温度で
行ったことによる影響が大きく、湿潤染色堅牢度がより
向上する。
【0035】ポリ乳酸系繊維の割合が20質量%未満の
ときには、繊維構造物中に占める分散染料の割合が少な
いために、ソーピングによってブリードする分散染料の
量が元々少なく、ポリ乳酸系繊維の割合が20質量%以
上の場合に比べると、ソーピング温度を低くしたことに
よる湿潤染色堅牢度の向上は少ない。
【0036】一方、ポリ乳酸系繊維の割合が80質量%
を超えるときには、繊維構造物中に占める分散染料の割
合が多いために、ソーピングによってブリードする分散
染料の量が多くなるために、ポリ乳酸系繊維の割合が8
0質量%未満の場合に比べると、ソーピング温度を低く
したことによる湿潤染色堅牢度の向上は少ない。 (作 用)本発明の染色加工方法によれば、繊維構造物
を構成する繊維のうちのポリ乳酸系繊維を分散染料によ
って染色した後にセルロース系繊維を反応染料によって
染色し、その後に行われるソーピングを従来行われてい
るソーピング温度90℃〜100℃よりも低い50〜8
0℃で行うので、繊維構造物を中色ないし濃色に染色し
ても、高い湿潤染色堅牢度を有する染色された繊維構造
物を得ることができる。
【0037】したがって、ポリ乳酸系繊維とセルロース
系繊維から得られる衣料等の製品は洗濯時に色落ちして
他の衣料を汚染したり、着用時に汗などによって色落ち
して下着などの他の衣料を汚染することが少ない。
【0038】本発明によると湿潤染色堅牢度が向上する
のは次のような理由によるものと考えられる。ポリ乳酸
系繊維はポリエチレンテレフタレート繊維と比較してガ
ラス転移点が低く、100℃近傍で分散染料による染色
が可能であって、分散染料の分子が入り易くまた出易い
結晶構造を有している。
【0039】また、セルロース系繊維はその分子内に水
酸基を有するので、これを反応染料によって染色する
と、反応染料がセルロース分子の水酸基と共有結合によ
って結合するため、直接染料などに比べて高い湿潤染色
堅牢度が得られる。その反面、反応染料とセルロースの
水酸基との反応は水との競争反応であるため、反応染料
の一部は必ず加水分解する。したがって、セルロースに
結合した反応染料のなかには加水分解してセルロース分
子に弱く結合しているものがあり、またセルロース系繊
維の表面には加水分解した遊離の反応染料が付着するこ
とになる。これら加水分解した反応染料を除去するため
に、通常界面活性剤を含む洗浄液を用いて90℃〜10
0℃以上の高温でソーピングすることが行われる。
【0040】ところが、上記のようにポリ乳酸系繊維は
分散染料の分子が入り易いが逆に出易い結晶構造のた
め、上記のような高温でソーピングすると、分散染料が
ブリードし易くなる。分散染料がブリードすると、ポリ
乳酸系繊維自体の湿潤染色堅牢度が低下するとともにブ
リードした分散染料によってセルロース系繊維も汚染さ
れることになり、結局繊維構造物の湿潤染色堅牢度が低
下することになる。
【0041】ポリ乳酸系繊維とセルロース系繊維とから
なる繊維構造物を中色ないし濃色に染色したときに、ポ
リ乳酸系繊維単独の繊維構造物に比べて、湿潤染色堅牢
度の低下の程度が大きいのは、主ししてこの理由による
ものである。
【0042】したがって、本発明のようにソーピング温
度を通常の温度よりも低くすると繊維構造物の湿潤染色
堅牢度が向上するのは、ソーピング温度を低くすること
によって、反応染料によって染色されたセルロース系繊
維から加水分解された反応染料が除去される量が低下す
ることによるセルロース系繊維の湿潤染色堅牢度低下の
程度よりも、分散染料によって染色されたポリ乳酸系繊
維からブリードする分散染料の量を抑えることによって
湿潤染色堅牢度が向上する程度の方が上回るためである
と推定される。 (実施例)次に、本発明を実施例によってさらに具体的
に説明する。
【0043】以下の実施例において、「%」は特記しな
い限り「質量%」を表す。分散染料の含有率は、分散染
料にて染色後の織物の質量に対する染色後の織物質量と
染色前の織物の質量との差を百分率で表したものであ
る。
【0044】また、洗濯堅牢度はJIS−L−0844
のA−2法に基づいて、洗濯後における試験片の変退色
の程度、試験片に添付したナイロン標準白布の汚染の程
度、及び洗濯液の汚染の程度を測定し、測定結果を級で
示した。
【0045】さらに、汗堅牢度はJIS−L−0848
のA法に基づいて、同規格に記載のアルカリ性人工汗液
と酸性人工汗液に対する試験片の変退色の程度及び試験
片に添付したナイロン標準白布の汚染の程度を測定し、
測定結果を級で示した。 実施例1 ポリ乳酸繊維30%、綿繊維70%からなる混紡スフ糸
20番手単糸使いの織物(経糸密度85本/2.54c
m、緯糸密度50本/2.54cm、目付210g/
2)を、ビオテックスSL(ナガセ生化学(株)製)
0.5%、水酸化ナトリウム0.1%を含む処理液にて9
0℃で30分間前処理して上記織物の製織時に付着させ
た糊剤等を除去し、これを被加工織物とした。
【0046】次に、下記処方1に示す処方により、浴比
1:30にて上記織物を110℃で60分間吸尽染色を
行ってポリ乳酸繊維を分散染料によって染色した。しか
る後に上記織物を下記処方2に示す処方により、浴比
1:30にて70℃で20分間還元洗浄した。
【0047】次いで、下記処方3に示す処方により、浴
比1:30にて上記織物を55℃で60分間吸尽染色を
行って綿繊維を反応染料によって染色した。しかる後
に、0.05%の酢酸水溶液で中和処理を行った。
【0048】次いで、下記処方4に示す処方により、浴
比1:30にて上記織物を70℃で10分間界面活性剤
水溶液にてソーピングを行った。次いで、上記織物を脱
水・乾燥し、下記処方5に示す処方により、パディング
法にてフィックス剤を付与し、しかる後に110℃で9
0秒間乾熱処理して染色加工織物を得た。
【0049】得られた染色加工織物における分散染料の
含有率は0.69%であった。 処方1(分散染料の水分散液) Trial Black 01 6%omf (三井BASF(株)製 分散染料) 酢酸(濃度48%) 0.1% 酢酸ナトリウム 0.2% 処方2(アルカリ剤の水溶液) ハイドロサルファイト 0.2% 炭酸ナトリウム 0.2% 処方3(反応染料の水溶液) Remazole Black A gran 8%omf (ダイスタージャパン(株)製 反応染料) 無水硫酸ナトリウム 5.0% 炭酸ナトリウム 1.5% 処方4(界面活性剤の水溶液) クインソープT−JE new 0.2% (コタニ化学工業(株)製 非イオン界面活性剤) 処方5(フィックス剤の水溶液) フィックスTK 3.0% (里田化工(株)製 カチオン系フィックス剤) 実施例2 実施例1においてポリ乳酸繊維30%、綿繊維70%か
らなりかつ芯部がポリ乳酸繊維から形成され鞘部が綿繊
維から形成された二層構造スフ糸の20番手単糸使いの
織物を用いた以外は、実施例1と同様にして染色加工織
物を得た。
【0050】得られた染色加工織物における分散染料の
含有率は0.71%であった。 実施例3 実施例1において処方4によるソーピングを80℃にて
10分間行う以外は、実施例1と同様にして染色加工織
物を得た。 実施例4 実施例2において処方4によるソーピングを80℃にて
10分間行う以外は、実施例2と同様にして染色加工織
物を得た。 比較例1 比較のために実施例1において、ソーピング温度を10
0℃に変えた以外は、実施例1と同様にして比較用の染
色加工織物を得た。 比較例2 比較のために実施例2において、ソーピング温度を10
0℃に変えた以外は、実施例2と同様にして比較用の染
色加工織物を得た。
【0051】実施例1〜4及び比較例1、2によって得
られた染色加工織物をそれぞれ試験片として、洗濯堅牢
度と汗堅牢度を測定して湿潤染色堅牢度を評価し、その
結果を表1に示した。
【0052】
【表1】 表1から明らかなように、本発明の方法によって得られ
た染色加工織物は比較用の染色加工織物に比べて、洗濯
堅牢度、汗堅牢度ともに優れ、特に汗堅牢度に優れる。
【0053】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の染色加工方
法によれば、中色ないし濃色に染色したにも拘わらず実
用に耐え得る湿潤染色堅牢度を有する染色繊維構造物を
得ることができる。したがって、この染色繊維構造物は
着用時に汗などによって色落ちしたり、洗濯時に色落ち
することが少ないものである。
【0054】また、本発明の染色繊維構造物は、汗に対
する変退色についての染色堅牢度に優れ、また、汗に対
する添付した白布の汚染の程度も少ないものである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ乳酸系繊維とセルロース系繊維とか
    らなる繊維構造物を染色加工するに際して、 上記繊維構造物を分散染料を含む染浴に浸漬してポリ乳
    酸系繊維をその質量に対して染料含有率が0.1質量%
    以上になるように染色し、 次いで還元洗浄し、 しかる後に上記繊維構造物を反応染料とアルカリを含む
    染浴に浸漬してセルロース系繊維を染色し、 次いで界面活性剤を含む洗浄液によって50〜80℃の
    温度でソーピングすることを特徴とする繊維構造物の染
    色加工方法。
  2. 【請求項2】 上記繊維構造物がポリ乳酸系繊維20〜
    80質量%とセルロース系繊維80〜20質量%とから
    なることを特徴とする請求項1記載の繊維構造物の染色
    加工方法。
  3. 【請求項3】 上記繊維構造物がポリ乳酸系繊維を芯部
    に配しセルロース系繊維を鞘部に配して形成された二層
    構造紡績糸であることを特徴とする請求項1又は請求項
    2記載の繊維構造物の染色加工方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の
    染色加工方法によって染色され、JIS−L−0848
    の規定に基づいて測定した汗に対する変退色についての
    染色堅牢度が、酸性の汗及びアルカリ性の汗のいずれに
    対しても4級以上であることを特徴とする染色繊維構造
    物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の
    染色加工方法によって染色され、JIS−L−0848
    の規定に基づいて測定した汗に対する添付した白布の汚
    染の程度が、酸性の汗及びアルカリ性の汗のいずれに対
    しても3〜4級以上であることを特徴とする染色繊維構
    造物。
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