JP3915056B2 - セルロース繊維の加工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セルロース繊維の本来具備している特質を損なうことなく、更に疎水性の機能を付与させる加工方法を提供するもので、この性能を発現する紡績糸、編織された布帛、不織布、製紙等の分野に供される優れたセルロース繊維を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から衣服の着用時、特に夏季における快適性を追求するために吸汗速乾性を有する繊維製品の開発は広く行われてきた。一般には吸水性が低く、乾燥速度の速いポリエステル繊維を用い、衣服の形状や構成の工夫や、他の吸水性を有する繊維素材との組み合わせにより吸汗速乾性を付与する方法が多く用いられている。一方、異素材との組み合わせによらず木綿やレーヨン等のセルロース繊維のみにて吸汗速乾性の繊維製品を得ようとすると、セルロース繊維の優れた吸水性や吸湿性を抑えて、ポリエステル繊維のように吸水性が低く乾燥速度を速くする改質が不可欠となる。セルロース繊維に速乾性を付与するための方法として、一般的にはセルロース繊維を架橋反応させることにより膨潤度を減少させる方法や、セルロース繊維を疎水化して含水率を減少させる方法が考えられるが、セルロース繊維の本来具備している吸水性をあまり疎外せずに、含水率を減少させ速乾性を具現化する方法についてはこれまで解決されていなかった。
【0003】
一方改質のための手段としてのセルロース繊維の架橋反応は、防しわ性や寸法安定性を付与するために織布や編地に形成した後に精練・漂白等の一連の前処理を施した後に染色し、その後に架橋反応させ加工する方法が広く行われてきた。その中では、疎水性の架橋剤による架橋反応や樹脂加工による膨潤抑制と同時に疎水化を行うことも広く知られており、又、改質の手段として架橋反応を伴わず疎水化するために疎水性ポリマーによる繊維表面へのコーティングや、疎水性官能基を持つ化学物質をセルロース繊維へ固定化反応させることも広く知られていた。
【0004】
無緊張状態のセルロース繊維を改質するための手段として、特公昭45−24956号公報には、原綿を精練・漂白した後に合成樹脂接着剤を繊維に固定し、マーセル化処理して繊維層帯を得る方法が開示されており、特開昭59−173325号公報には寸法安定性に優れた天然セルロース繊維紡績糸を得るために、繊維束をマーセル化剤により処理した後で、開繊し紡績することが開示されており、特開昭58−46142号公報には原綿を下哂し、架橋剤及び解媒を含む溶液を付与した後で、加熱処理し得た架橋原綿を紡績、紡糸、製編織し、更にマーセル加工をする製造方法が開示され、特公昭45−24957号公報には精練・漂白した繊維層帯をマーセル化する方法が開示されてている。更に、セルロース繊維内部まで改質する方法として、特開平8−100368号公報には、予め内部親水化の機能剤をスライバー状態の天然セルロース繊維に含浸させた後に、0.1〜50%の苛性ソーダの水溶液中で反応させる方法が開示されている。又、吸水性を減少させるために特公昭37−12039号公報には繊維素繊維若しくは布帛をホルムアルデヒドにより架橋する方法が開示されており、寸法安定性、防皺性改善のために特公昭38−12393号公報にはセルロース材料にメチロールフォスフォラス重合物をアンモニアにより架橋する方法が開示されている。しかしながら、セルロース繊維に疎水性能を付与させることは知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ポリエステル繊維に代表される疎水性の合成繊維を使用せずに、セルロース繊維のみで速乾性を付与しようとすると、セルロース繊維の膨潤度を抑制する改質加工が必要となるが、通常の編織した生地への後加工による架橋反応及び樹脂加工処理では、速乾性を高めるために含水率を高度に低下させる目的での改質反応を強化すると非常に風合いが硬くなる欠点が生じる。更に、含水率をより低下させたり、疎水性が強すぎる改質加工をするとセルロース繊維が具備している本来の吸水性を損なう恐れがあり、その改質の程度のコントロールが非常に困難であり、セルロース繊維の強力低下を生じる問題がある。又、セルロース繊維を疎水化するために疎水性化学物質を固定化反応させる方法や疎水性高分子化学物質を繊維表面にコーティングする方法でも、同様にその疎水性の程度をコントロールすることは困難であるという問題がある。
【0006】
紡績糸を得る前に原綿やスライバー等への改質加工によりセルロース繊維の本来具備している風合いを低下することなく紡績糸を得る方法は従来から実施されており、又、改質加工したセルロース繊維を紡績工程において未加工のセルロース繊維と混紡したり、交撚できることも知られており、繊維製品への吸水性のコントロールが比較的容易であるため工業的には確立された技術として認められていた。しかしながら、これらの技術によって原綿やスライバー等への加工においてセルロース繊維を単に架橋剤処理や樹脂加工により含水率を低下させる改質加工を実施しても、繊維表面のみの改質となり、得られたセルロース改質繊維は撥水性により、セルロース繊維内部の水分が外部へ移行するものの繊維表面からの蒸発が阻害され、遅乾性のセルロース繊維になるという欠点があった。
【0007】
アルカリ金属水酸化物水溶液によるセルロース繊維の処理はマーセル化とも呼ばれ、セルロース繊維の改質加工方法として広く実用に供されている。前述のように、紡績糸とする前に原綿やスライバー等に近い状態でセルロース繊維を改質加工する方法については様々な方法が開示されている。マーセル化の方法は前述の特公昭45−24956号公報等に開示されているが、スライバー状のセルロース繊維をマーセル化するとマーセル化の前後でセルロース繊維が膨潤した後で収縮するために繊維表面が荒れた状態になり、そのまま紡績工程に移行すると、開繊性、紡績性が劣る等の欠点が指摘されている。又、マーセル化によって寸法安定性や染色性の向上は図れるものの、その他の機能を付与する方法については開示されていない。
【0008】
セルロース繊維への架橋反応による機能化付与を行う方法についても前述の特公昭37−12039号公報等に開示されているが、これらの方法ではセルロース繊維の表面のみに架橋反応させるという機能化改質となるため、例えば、疎水化処理を行うと撥水性が強くなり過ぎ、吸水性を損なうという欠点があり、前述の如く繊維内部への架橋反応が不十分であるために、繊維内部に取り込まれた水分がその繊維内部の親水性のためと、水分の繊維内部から外部への移行はあるものの繊維表面の疎水化により乾燥が非常に困難になる傾向があるために、工業的には採用されていない。又、前述の特開平8−100368号公報に開示された方法のように予め機能化剤を繊維に含浸させた後にアルカリ性で反応させることで繊維内部への架橋反応は可能となるが、その反応方法がバッチ法であり、高濃度のアルカリで加熱処理することが必要となるため、セルロース繊維へのダメージ、変色等の問題が解決されていない。又、特開平8−100368号公報にはマーセル化と共に架橋反応を行なうという記載はない。本発明は、セルロース繊維に疎水性機能を具備させ、速乾性の優れたセルロース繊維を得る加工方法である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
セルロース繊維をマーセル化すると繊維が膨潤し繊維内部への機能化剤の移行が可能となり、繊維内部での反応も可能となることを見出し、出願人はセルロース繊維をアルカリ存在下で反応する親水性の架橋剤で処理することにより、吸水性、吸湿性、放湿性、染色性、風合の優れたセルロース繊維を得る加工方法を発明し、特願2001−166066号として出願した。
【0010】
更に、夏季の衣料用途としてセルロース繊維でありながら疎水性を有する機能を付与する方法についての検討を重ねた結果、本発明者等は、無緊張状態のセルロース繊維を金属水酸化物水溶液で処理した後に疎水性の加工剤を繊維内部までも反応させることで、上述の欠点を解決しセルロース繊維が本来具備している風合を損なうことなくむしろ向上させた上で、セルロース繊維が夏季の衣料品に要求される疎水性を併せ持つ改質加工をすることにより速乾姓を付与できることを見いだし本発明に至った。
【0011】
即ち本発明は、無緊張状態のセルロース繊維をアルカリ金属水酸化物水溶液で処理し、水洗後に疎水性加工剤で処理することを特徴とするセルロース繊維の加工法であり、又、使用する疎水性加工剤が樹脂加工剤、疎水化架橋剤又は疎水化剤であるセルロース繊維の加工方法に係る。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるセルロース繊維は木綿、麻等の天然セルロース繊維や、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、テンセル、リヨセル等の再生セルロース繊維が挙げられるが、本発明の処理による効果の発現から見ると天然セルロース繊維への応用が好適である。セルロース繊維の形態としては、繊維が束縛されていない状態、すなわち、無緊張状態であればよく、原綿、混打綿ラップ、スライバー等から適宜選ばれる。また、精練、漂白の前処理の有無に関係なく、本発明を実施することは可能であるが、反応効率や反応の均一性を考慮すると精練、漂白の前処理済みのセルロース繊維が好ましい。
【0013】
本発明で用いられるアルカリ金属水酸化物としては、セルロース繊維をマーセル化する効果があればよく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウムが挙げられ、これらから適宜選択される。本発明ではアルカリ金属水酸化物の水溶液の状態で用い、その濃度は10〜40重量%が好ましく、使用時の温度は常温でよい。アルカリ金属水酸化物水溶液をセルロース繊維に含浸させる方法としてはスプレー法、コーティング法、含浸法が挙げられるが、いずれの方法で処理してもよい。またアルカリ金属水酸化物水溶液でセルロース繊維を処理する時間は、選定する方法によって様々であるが、通常2秒以上でアルカリ金属水酸化物水溶液が均一に浸透する時間であればよい。処理後、水洗してアルカリ金属水酸化物水溶液を除去するが、酢酸等の酸を用いて中和することもできる。
【0014】
アルカリ金属水酸化物水溶液を除去した後に添加する疎水性加工剤としては、樹脂加工剤、疎水化架橋剤又は疎水化剤が挙げられるが、セルロース繊維と反応可能な官能基を有するものであればよく、例えばエポキシ、ハロゲンヒドリン、ハロゲン化アルキル、イソシアネート、カルボキシル基、アシルハライド、酸無水物、エステル、アルコール等が挙げられる。疎水性加工剤として樹脂加工剤は、一例を挙げると、N−メチロール系樹脂加工剤が好ましい。この樹脂加工剤は触媒を添加し、加熱処理することにより反応性モノマーが重合し、セルロース系繊維上に三次元的な樹脂を形成するものであり、具体的には、ジメチロールエチレン尿素、ジメチロールウロン、ジメチロールトリアゾン、ジメチロールプロピレン尿素、ジメチロール−4−メトキシ−5,5−ジメチルプロピレン尿素、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、ジメチロールアルキルカーバメート、メチル化ジメチロールジメトキシエチレン尿素、1,3−ジメチル−4,5−ジヒドロキシ−エチレン尿素等が挙げられる。又、これらの樹脂加工剤の重合架橋反応を促進する触媒としては、用いる樹脂加工剤に適するものを用いればよく、例えば、住友化学工業(株)製、商品名:スミテックスアクセラレーター X−110等が挙げられる。
【0015】
疎水化架橋剤としては、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルや1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等が挙げられる。 疎水化剤としては、市販されている大和化学工業(株)製、商品名:ネオドライTM−1等が挙げられる。
【0016】
これらの疎水性加工剤である樹脂加工剤、疎水化架橋剤又は疎水化剤は単独でも、二種又は三種混合しても用いることができ、又、別の機能を付与するために他の機能化剤を混合して用いることもできる。
【0017】
得られたセルロース繊維は洗浄された後に、乾燥、開繊、紡績、編織、不織布、製紙等の通常の工程を経て繊維製品とすることができる。衣料の繊維製品は、本発明によって得られたセルロース繊維と目的に応じて未処理のセルロース繊維や他の繊維等と任意の割合での混紡した紡績糸や交撚糸を用いて得てもよく、又、それらを用いて交編織して得ることができる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明について、実施例により具体的に説明するが、本発明はこの範囲に限定されるものではない。本発明は無緊張状態でのセルロース繊維の加工方法であるが、発明の効果を明確にするために、本発明の加工後の繊維からなる編地で評価した。本実施例での測定方法と評価方法は、以下の方法に基づいて実施した。
【0019】
・吸水性の評価方法
JIS L1907−1994「繊維製品の吸水性試験方法」5.1.1滴下法に基づいて試料を直径150mmの試料保持枠に取付け、ビュレットで高さ10mmのところから水を1滴滴下し、水滴が試料の表面に達したときからその水滴が特別な反射をしなくなるまでの時間を測定した。
【0020】
・速乾性の評価方法
試料約5gを水に浸漬した後、1000Gで10分間遠心脱水し、40℃の乾燥機中に放置し、水分率が50%になるまでの時間を測定した。
【0021】
・染色性の評価方法
編地とした試料を精練助剤〔商品名:クリーンN−15、一方社油脂工業(株)製〕1.0g/l、ソーダ灰2g/lを含む処理液中で浴比1:30、温度80℃で30分間精練した後、反応性染料〔商品名:Sumifix BlackB 150%、住化染料テック(株)製〕2.5%owf、芒硝50g/l、ソーダ灰20g/lを含む染色浴中で浴比1:30、温度65℃で60分間染色した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗した後、乾燥し染色した試料を得た。この試料の測色データをフラットベッドスキャナー〔型式:GT−9500、EPSON製〕を用いて測定し、混合減色モデルのシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)成分を各256段階で数値化し、次式により染色性を求めた。
【数1】
Figure 0003915056
【0022】
・風合の評価
被験者10人で本発明の疎水化処理を施したセルロース繊維を用いて作成した編地の風合を触感判定し、風合が良いもの1点、悪いもの0点とし、各人に評価してもらいその総点から下記の基準に従い風合を判定した。
○ (良好):8〜10点、
△ (やや良い):4〜7点、
×(悪い):0〜3点
【0023】
〔実施例1〕
常法により精練漂白した木綿原綿(平均繊維長29mm、平均繊度0.222tex)を準備し、5.0重量%、10.0重量%、15.0重量%、30.0重量%、45.0重量%、50.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液に夫々浴比1:10、室温で30分間浸漬した後、処理液をブローし、洗滌液が中性になるまで十分に水洗した。次いで疎水性加工剤である樹脂加工剤〔商品名:アルコフィックスPL8863、クラリアントジャパン(株)製〕4.0重量%、触媒〔商品名:リケンフィクサーMX−18、三木理研工業(株)製〕1.2重量%、油剤〔商品名:マーポゾールP−138、松本油脂製薬(株)製〕5.0重量%の混合水溶液を6つ準備し、水酸化ナトリウム水溶液処理した夫々の木綿原綿を夫々に浴比1:10、室温で30分間浸漬後、絞り率100%になるように遠心脱水した後に130℃で熱風乾燥し、疎水化原綿を得た。得られた疎水化原綿それぞれをクイックスピンシステム(型式:QSS−20、SDL Internatinal LTD製)を用いて29.53texの紡績糸を得た後、これらの紡績糸を使用して丸編み機を用いて編地を作成し、試料No.1〜No.6とした。
【0024】
比較のために上記の精練漂白した木綿原綿を原料として、何ら処理せず上記のクイックスピンシステムを用いて29.53texの紡績糸とし、この紡績糸を使用して丸編み機を用いて編地を作成し、比較試料No.1とした。
【0025】
また、上記精練漂白した木綿原綿を原料として、水酸化ナトリウム水溶液による処理を行わずに、前述と同一の樹脂加工剤4.0重量%、触媒1.2重量%、油剤5.0重量%の混合水溶液に浴比1:10、室温で30分間浸漬後、絞り率が100%になるように遠心脱水した後に、130℃で熱風乾燥した疎水化原綿を、クイックスピンシステムを用いて29.53texの紡績糸を得た後、この紡績糸を使用して丸編み機を用いて編地を作成し、比較試料No.2とした。
得られた各試料の吸水性、速乾性、染色性、風合を測定し、その結果を表1に示した。
【0026】
【表1】
Figure 0003915056
【0027】
表1より明らかな通り、水酸化ナトリウム水溶液の濃度10.0〜45.0重量%で処理した後、樹脂加工剤で処理した試料No.2〜No.5はいずれも未処理の比較試料No.1と比較して吸水性はやや落ちるものの速乾性、染色性及び風合は向上した。また、水酸化ナトリウム50.0重量%水溶液で処理した試料6は強力が低下し、紡績糸を得ることができなかった。水酸化ナトリウム5.0重量%水溶液で処理した後、樹脂加工剤で処理した試料No.1および水酸化ナトリウム処理をしないで樹脂加工剤で処理した比較試料No.2の吸水性、速乾性は未処理の比較試料No.1と比べて低下し、水酸化ナトリウム処理をしないで、樹脂加工剤で処理しただけでは効果が劣る。
【0028】
〔実施例2〕
常法により精練漂白した木綿原綿(平均繊維長29mm、平均繊度0.222tex)を15.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液に浴比1:10、室温で30分間浸漬した後、処理液をブローし、洗浄液が中性になるまで十分に水洗した。このアルカリ処理綿を7等分した。次いで、実施例1で用いた疎水性加工剤である同一の樹脂加工剤、触媒、油剤を表2に示す様な濃度に調製した混合水溶液を6つ準備し、アルカリ処理綿をそれぞれの混合水溶液に浴比1:10、室温で30分間浸漬後、絞り率が100%になるように遠心脱水した後に130℃で熱風乾燥し、疎水化原綿を得た。得られた疎水化原綿それぞれを実施例1と同様にクイックスピンシステムを用いて29.53texの紡績糸を得た後、これらの紡績糸を使用して丸編み機を用いて編地を作成し、試料No.7〜No.12とした。
【0029】
また、前述のアルカリ処理綿を乾燥した後、実施例1に記載のクイックスピンシステムを用いて29.53texの紡績糸を得た後、この紡績糸を使用して丸編み機を用いて編地を作成し、比較試料No.3とした。
得られた各試料の吸水性、速乾性、染色性、風合を測定し、その結果を表2に示した。
【0030】
【表2】
Figure 0003915056
【0031】
表2より明らかな通り、15.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液で処理した後、2.0〜8.0重量%の樹脂加工剤水溶液で疎水化処理した試料No.8〜No.10はいずれも実施例1の未処理の比較試料1と比較して吸水性はやや落ちるものの速乾性と風合は向上し、染色性は大差がなかった。また、15.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液で処理した後、16.0重量%の樹脂加工剤水溶液で処理した試料No.12は強力が低下し、紡績糸を得ることができなかった。15.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液で処理した後、12.0重量%の樹脂加工剤水溶液で処理した試料No.11は疎水化が強くなりすぎ、吸水性が著しく低下した。15.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液で処理した後、1.0重量%の樹脂加工剤水溶液で疎水化処理した試料No.1および15.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液で処理しただけの比較試料No.3は、実施例1に記載の比較試料No.1に比べて風合は良くなっていたが速乾性の向上が見られなかった。
【0032】
〔実施例3〕
常法により精練漂白した木綿原綿(平均繊維長29mm、平均繊度0.222tex)を15.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液に浴比1:10、室温で30分間浸漬した後、処理液をブローし、洗浄液が中性になるまで十分に水洗した。このアルカリ処理綿を4等分し、それぞれを疎水性加工剤として樹脂加工剤〔商品名:リケンレジンRG−20E、三木理研工業(株)製〕4.0重量%、触媒〔商品名:リケンフィクサーMX−18、三木理研工業(株)製〕1.2重量%、油剤〔商品名:マーポゾールP−138、松本油脂製薬(株)製〕5.0重量%の混合水溶液、疎水性加工剤として疎水化架橋剤であるペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル〔商品名:デナコールEX−411、ナガセケムテックス(株)製〕4.0重量%、同一の触媒1.2重量%、同一の油剤5.0重量%の混合水溶液、疎水性加工剤として疎水化架橋剤である1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル〔商品名:デナコールEX−212、ナガセケムテックス(株)製〕4.0重量%、同一の触媒1.2重量%、同一の油剤5.0重量%の混合水溶液、疎水性加工剤として疎水化剤〔商品名:ネオドライTM−1、大和化学工業(株)製〕4.0重量%、同一の触媒1.2重量%、同一の油剤5.0重量%の混合水溶液を準備し夫々の混合水溶液にアルカリ処理綿を夫々浴比1:10、室温で30分間浸漬後、絞り率100%になるように遠心脱水した後に130℃で熱風乾燥し、疎水化原綿を得た。得られた疎水化原綿それぞれを同様にクイックスピンシステムを用いて29.53texの紡績糸を得た後、これらの紡績糸を使用して丸編み機を用いて編地を作成し、試料No.13〜No.16とした。
得られた各試料の吸水性、速乾性、染色性、風合を測定し、その結果を表3に示した。
【0033】
【表3】
Figure 0003915056
【0034】
表3より明らかな通り、実施例1、実施例2の疎水性加工剤とは異なる疎水性加工剤である樹脂加工剤、疎水化架橋剤及び疎水化剤を用いても、吸水性をほとんど低下させることなく、速乾性、染色性及び風合が向上した。
【0035】
【発明の効果】
本発明セルロース繊維の加工方法により得られたセルロース繊維を用いた繊維製品は、セルロース繊維本来の特徴である吸水性、染色性、風合いがより優れているのみならず、速乾性が優れているので衣料品の素材として好適に用いることができ、特に夏季において着心地が勝れる効果がある。

Claims (2)

  1. 無緊張状態のセルロース繊維を、10〜40重量%のアルカリ金属水酸化物水溶液で常温において処理し、水洗後に疎水性加工剤で処理することを特徴とするセルロース繊維の加工方法。
  2. 疎水性加工剤が樹脂加工剤、疎水化架橋剤又は疎水化剤であることを特徴とする請求項1に記載のセルロース繊維の加工方法。
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