JP2004084154A - 繊維処理剤およびこの繊維処理剤により処理された繊維 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明にかかる繊維処理剤は、繊維表面の処理を行う際に用いられる繊維処理剤であって、可溶性卵殻膜と、反応基を有する反応性有機化合物または固着性を有する有機化合物とを含有している。この構成の繊維処理剤により処理を行うと、繊維処理を施した繊維を長期間使用等しても、卵殻膜が取り除かれてしまうことがなく、卵殻膜の有する特性を保つことができるので、耐久性が良く、保湿性、吸水性、吸湿性、制電性、創傷治療性を持続的に発現することができる。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維処理剤およびこの繊維処理剤により処理された繊維に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、ブラウス、ドレスシャツ、パンツ、スカート、裏地、家具・車両等の座席のシートの表皮材等の繊維を用いた製品が市場に出回っている。
これら繊維製品は、各種用途の違いにより、材料となる繊維に要求される特性が異なっている。これら要求される特性としては、例えば、保湿性、吸水性、吸湿性、制電性等が挙げられる。
例えば、ブラウスの場合には、普段から着るものであるため、汗をかいたりすることが多い。そのため、吸湿性等が要求される。この吸湿性を満足するために、繊維は、種々のものが用いられている。この繊維としては、例えば、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン等の合成繊維、綿、麻、羊毛等の天然繊維が挙げられ、これらの複合繊維も挙げられる。
【0003】
一方、これら繊維に、特定の繊維処理剤により処理を施すことで、上記の特性を向上させたり、上記の特性の他に、特殊な特性を付与することも試みられている。例えば、卵殻膜には上記の特性を向上させる他に、皮膚表面の傷面に貼ると該傷の治癒を早めるという効果、いわゆる創傷治療性があることから、大きな傷面への適用をし易くするために、卵殻膜の粉末を繊維材とともに混合したのち薄く成形してシート材とし、傷の治療に用いることが知られている。
【0004】
上記の創傷治療性を有する繊維材からなるシート材としては、創傷治療性をより効果的なものとするために、卵殻膜を可溶性の水溶液として調製し、この水溶液に織布や不織布などのシートを浸漬し、乾燥させてシート材を製造する方法で得られたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、使い捨て等の一回限りの使用の場合は、創傷治療性等の特性を当然に発揮するので何ら問題を生じない。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−246234号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、卵殻膜のみを含む水溶液に織布や不織布などのシートを浸漬し、乾燥させているため、卵殻膜のシート材への定着力が弱い。このため、例えば、シート材の洗濯等を繰り返し行ったり、長期間にわたって使用する場合は、卵殻膜がシート材から取り除かれてしまい、耐久性が低下し、保湿性、吸水性、吸湿性、制電性、創傷治療性等の特性を持続できないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、耐久性が良く、保湿性、吸水性、吸湿性、制電性、創傷治療性を持続的に発現することができる繊維処理剤およびこの繊維処理剤により処理された繊維を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達するために、本発明の第1発明に係る繊維処理剤は、繊維表面の処理を行う際に用いられる繊維処理剤であって、可溶性卵殻膜と、反応基を有する反応性有機化合物とを含有することを特徴とする。
ここで、可溶性卵殻膜とは、鳥卵(代表的には鶏卵)の卵殻膜を、酸・アルカリ・酸化剤・還元剤などの薬剤処理により水に可溶な形にした卵殻膜をいう。
卵殻膜に用いる鳥卵としては、鶏の卵の他に、アヒル、ウズラ、ダチョウ等の鳥類の卵を用いることができる。
薬剤処理に用いる還元剤としては、代表的には、チオグリコール酸、チオプロピオン酸、2‐メルカプトエタノールなどがあげられる。
【0009】
繊維処理剤を製造する際に用いる可溶性卵殻膜の調製は、まず、可溶性卵殻膜の水溶液を調製し、任意の方法で調製すればよい。代表的な調製法をいくつか例示すると、卵殻膜1重量部に、チオグリコール酸(液状の100%濃度で14.3mol)やチオプロピオン酸(同11.3mol)、またはこれらの混合したものの1mol/l程度以上の濃度の水溶液10〜32重量部を加える。
これを50〜70℃程度に加温し、卵殻膜が溶解し終るまで5〜数十時間保持する。次いで、用いた還元剤を除去して水溶液とする。
【0010】
具体的には、上記の処理液にアセトンを添加して、可溶性となり溶解している卵殻膜を沈澱させた後、液(還元剤)を除去し、その後沈殿物をアセトンで1〜2回洗浄してから、水を加えて水溶液とする。
また、別の方法としては、卵殻膜が溶解している還元剤液を、酸化を防ぐために塩酸酸性とした後、水に対して透析して還元剤を除去する。
【0011】
また、還元剤として2‐メルカプトエタノールを用いる場合は、還元力を強めるためにpHを9〜10程度のアルカリ側として、50〜70℃で5〜数十時間処理する。この場合は、卵殻膜の完全溶解がし難いので、一定時間で処理を止め、遠心分離して不溶物を除去した後、水で透析するか、アセトンで溶解卵殻膜を沈澱させて採取した後、水に溶解させる等して可溶性卵殻膜の水溶液を調製する。
【0012】
さらに、アルカリ分解により可溶性卵殻膜を調製する場合には、卵殻膜1重量部に水酸化ナトリウム1〜数N(規定)の、水溶液またはアルコール入り水溶液(アルコール濃度50〜70%など)を加え、40〜60℃で3〜6時間処理し、その後、水で中和透析する。
【0013】
本発明の第1発明に係る繊維処理剤では、前記反応性有機化合物は、(成分1)分子中に重合可能なビニル基を有する親水性化合物、(成分2)水酸基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基を含む単量体、(成分3)エポキシ基を有する親水性化合物、(成分4)アジリジン基を有する化合物、の前記(成分1)〜(成分4)の少なくともいずれか1つ以上を含むことが好ましい。
【0014】
前記(成分1)の具体例は、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ビスフェノールAポリエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAポリエチレングリコールジメタクリレート、ビスフェノールSポリエチレングリコールジメタクリレート等である。
【0015】
前記(成分2)の具体例は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルスルホン酸、ヒドロキシプロピルメタクリレート等である。
前記(成分3)の具体例は、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等である。前記(成分4)の具体例は、下記化学式(1)を有する化合物等である。
【0016】
【化1】
【0017】
以上に説明した可溶性卵殻膜の水溶液と、反応性有機化合物とを調製して繊維処理剤とする。
また、可溶性卵殻膜と反応性有機化合物の他に、フィブロイン、セリシン、キトサン等を配合しても良い。これらを配合することで吸湿性の向上の効果が得られる。
【0018】
このような本発明によれば、反応基を有する反応性有機化合物を含有することにより、繊維処理を施した繊維を長期間使用等しても、卵殻膜が取り除かれてしまうことがない。従って、卵殻膜の有する特性を保つことができるので、耐久性が良く、保湿性、吸水性、吸湿性、制電性、創傷治療性を持続的に発現することができる繊維処理剤とすることができる。
【0019】
本発明の第1発明に係る繊維処理剤では、該繊維処理剤の全量に対して、前記可溶性卵殻膜は、0.1〜10質量%含まれ、前記反応性有機化合物は、1〜20質量%含まれていることが好ましく、より好ましくは、前記可溶性卵殻膜は、0.2〜5質量%含まれ、前記反応性有機化合物は、2〜10質量%含まれている。
【0020】
ここで、前記可溶性卵殻膜が、0.1質量%未満であり、前記反応性有機化合物が、1質量%未満であると、保湿性等の効果が不十分になる。また、前記可溶性卵殻膜が、10質量%を超え、前記反応性有機化合物が、20質量%を超えると、処理される繊維が固くなる場合がある。
【0021】
本発明の第1発明に係る繊維は、前述の繊維処理剤により処理されたことを特徴とする。
ここで、繊維としては、例えば、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン等の合成繊維、綿、麻、羊毛等の天然繊維が挙げられ、これらの複合繊維も挙げられる。
また、繊維処理剤の処理方法としては、任意の処理方法でよいが、例えば浸漬法、パディング法等を使用できる。浸漬法としては、室温静置法、加熱撹拌法等がある。
パディング法としては、パッドドライ法、パッドスチーム法等があるが、反応性有機化合物の場合は、いずれの方法を使用してもよい。
これによれば、前述の繊維処理剤により処理されていることにより、耐久性が良く、保湿性、吸水性、吸湿性、制電性、創傷治療性を持続的に発現する繊維とすることができる。
【0022】
また、本発明の第2発明に係る繊維処理剤は、繊維表面の処理を行う際に用いられる繊維処理剤であって、可溶性卵殻膜と、固着性を有する有機化合物とを含有することを特徴とする。
ここで、可溶性卵殻膜は、前述の第1発明に係る繊維処理剤に含有される可溶性卵殻膜と同様であるので、説明を省略する。
【0023】
本発明の第2発明に係る繊維処理剤では、前記固着性を有する有機化合物は、反応基を有する反応性有機化合物であることが好ましい。
本発明によれば、繊維処理を施した繊維を長期間使用等しても卵殻膜が取り除かれてしまうことを防ぐことができる。
【0024】
また、本発明の第2発明に係る繊維処理剤では、前記反応性有機化合物は、(成分1)分子中に重合可能なビニル基を有する親水性化合物、(成分2)水酸基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基を含む単量体、(成分3)エポキシ基を有する親水性化合物、(成分4)アジリジン基を有する化合物、(成分5)イソシアネート基またはその前駆体を有する化合物、の前記(成分1)〜(成分5)の少なくともいずれか1つ以上を含むことが好ましい。
【0025】
前記反応性有機化合物に含まれる(成分1)〜(成分4)の具体例としては、前述の第1発明の繊維処理剤における(成分1)〜(成分4)と同じであるので、説明を省略する。
(成分5)のうち、イソシアネート基を有する化合物の具体例としては、化学式(i)および(ii)に示されるヘキサメチレンジイソシアネートおよび1,3,5−トリイソシアネート−n−ペンタン等を挙げることができる。
【0026】
【化2】
【0027】
【化3】
【0028】
また、(成分5)のうち、イソシアネート基の前駆体を有する化合物の具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネートの前駆体および1,3,5−トリイソシアネート−n−ペンタンの前駆体を挙げることができる。このうち、ヘキサメチレンジイソシアネートの前駆体としては、化学式(iii)および(iv)に示す1,6−ジ(メチルカルバモイル)−n−ヘキサン、1,6−ジ(フェニルカルバモイル)−n−ヘキサンが挙げられる。また、1,3,5−トリイソシアネート−n−ペンタンの前駆体として、化学式(v)に示す化合物を挙げることができる。
【0029】
【化4】
【0030】
【化5】
【0031】
【化6】
【0032】
本発明の第2発明に係る繊維処理剤では、前記固着性を有する有機化合物は、ワックス、シリコーン等の親油性化合物および/またはエーテル、アクリル、ウレタン、アミド、エステル等の基を含む高分子化合物であることが好ましい。
ここで、固着性を有する有機化合物は、反応性はないが、それ自体が適度な親油性または親水性を有し、繊維表面に固着する有機化合物であり、繊維、織物用の柔軟剤、平滑仕上剤、帯電防止剤等に用いられる有機化合物である。具体的には、親油性化合物としては、ワックス、シリコーンのほかに、中性油脂、鉱物油および動物蝋等を挙げることができ、また、高分子化合物としては、ポリエチレングリコール(ジ)アルキレート、多価アルコールエステル、ポリアルキルアミド、ポリアクリレート等を挙げることができる。
【0033】
本発明によれば、このような親油性化合物および/または高分子化合物が繊維表面に固着し、繊維内に浸漬された卵殻膜蛋白質の繊維外への溶出を妨げることができる。このため、反応性有機化合物と同様、繊維処理を施した繊維を長期間使用等しても卵殻膜が取り除かれてしまうことを防ぐことができる。
【0034】
本発明の第2発明の繊維は、前述の第2発明の繊維処理剤により処理されたことを特徴とする。
ここで、繊維としては、第1発明の繊維と同じ素材を挙げることができる。また、繊維処理剤の処理方法も、前述の第1発明に係る繊維処理剤の処理方法と同様に、浸漬法、パディング法等を挙げることができる。なお、パディング法による処理の場合において、非反応性化合物の場合はパッドドライ法の使用が好ましい。
本発明によれば、第1発明の繊維と同様に、耐久性が良く、保湿性、吸水性、吸湿性、制電性、創傷治療性を持続的に発現する繊維とすることができる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
[実施例1]
本発明の第1発明である繊維処理剤を調製するにあたり、まず、可溶性卵殻膜の水溶液の調製を行った。殻つきの鶏卵を割卵して卵液を取り除いた後、得られた卵殻膜付の卵殻を清浄な水中に入れ、人手により、卵殻を除去し、卵殻膜を1%塩酸水溶液中に1時間浸漬して卵殻膜に付着した微小な卵殻を溶解した後、水洗し、自然乾燥させて卵殻膜を得た。
【0036】
この卵殻膜50gに、5.0mol/lチオグリコール酸水溶液を1.5リットル加えた。卵殻膜を含んだチオグリコール酸水溶液を60℃で12時間加熱処理して、卵殻膜を溶解させた。
卵殻膜が溶解した水溶液をろ過した後、塩酸酸性の水に対して透析して、チオグリコール酸を除去し、可溶性卵殻膜水溶液とした。
【0037】
次に、上記で得られた可溶性卵殻膜水溶液と、反応性有機化合物とを配合して第1発明の繊維処理剤を調製した。繊維処理剤の各成分の濃度は、以下の通りである。
可溶性卵殻膜の固形分 5質量%
反応性有機化合物(化学式(2)の化合物) 5質量%
水 89.5質量%
反応性有機化合物(化学式(3)の化合物) 0.5質量%
【0038】
ここで、化学式(2)、化学式(3)の化合物は、以下に示すとおりである。
【0039】
【化7】
【0040】
【化8】
【0041】
次に、この得られた繊維処理剤を使用して、ポリエステル100%のタフタ織物(目付120g/m2 )に含浸させた後、マングルで含浸率70%に絞った。この後、水蒸気熱処理を105℃で10分間行い、引き続き、湯洗(40℃、10分間)、乾燥及び熱セットを行った。
【0042】
[実施例2]
実施例1と同様にして得られたタフタ織物を家庭用全自動洗濯機で洗い、15分、すすぎ2回を洗濯1回とし、10回洗濯した。
【0043】
[実施例3]
可溶性卵殻膜水溶液と、固着性を有する有機化合物であるライトシリコーンPS−1000(共栄社化学株式会社製)とを配合し、本発明の第2発明に係る繊維処理剤を調製した。なお、この繊維処理剤の調製に用いられる可溶性卵殻膜水溶液は、実施例1に記載した調製法にて調製した。
可溶性卵殻膜の固形分 10.0質量%
ライトシリコーンPS−1000 10.0質量%
水 80.0質量%
【0044】
次に、得られた繊維処理剤をポリエステル100%のタフタ織物(目付120g/m2 )に含浸後、マングルで含浸率70%に絞った。この後、得られたタフタ織物を熱風乾燥機内にて150℃で5分間乾燥し、実施例2と同様な方法、すなわち、家庭用全自動洗濯機で15分のすすぎ2回を洗濯1回として、10回洗濯した。
【0045】
[比較例1]
実施例1と同様のポリエステル100%のタフタ織物を用いたが、繊維処理剤等の処理は行わなかった。
【0046】
[比較例2]
実施例1とは、繊維処理剤が、可溶性卵殻膜のみ含むものである点が異なる。繊維処理剤の各成分の濃度は、以下の通りである。
可溶性卵殻膜の固形分 5質量%
水 95質量%
その後、実施例2と同様に10回洗濯を行った。
【0047】
[比較例3]
前述の実施例3と同様の操作で、以下の配合にて調製した繊維処理剤を用いて、タフタ織物を調製した。
可溶性卵殻膜の固形分 10.0質量%
水 90.0質量%
【0048】
次に、得られたタフタ織物を実施例3と同様に、10回洗濯した。
【0049】
[参考例1]
前述の比較例3と同様の操作で、以下の配合にて調製した繊維処理剤を用いて、タフタ織物を調製した。
ライトシリコーンPS−1000 10.0質量%
水 90.0質量%
【0050】
次に、得られたタフタ織物を実施例3と同様に、10回洗濯した。
【0051】
[評価方法1]
実施例1、2および比較例1、2の第1発明に係るタフタ織物につき、吸湿性、吸水速度、摩擦帯電圧の測定を行った。また、実施例3、比較例3および参考例1の第2発明に係るタフタ織物につき、吸水速度、摩擦帯電圧の測定を行った。なお、前記吸湿性の測定は、加工タフタ織物のサンプルを23℃、相対湿度30%雰囲気中に12時間放置して調湿した後、このサンプルを30℃、相対湿度80%雰囲気の下に置き、その重量変化を測定することにより行った。前記吸水性は、JIS L 1096−A法に準拠して測定した。前記摩擦帯電圧は、JIS L 1094−B法に準拠して測定した。この評価結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
この評価方法1の評価結果によれば、実施例1の方が、比較例1よりも、吸湿性、吸水速度が高く、摩擦帯電圧が小さく、全ての点で優れていることがわかる。従って、本発明の第1発明に係る繊維処理剤により処理を行った繊維は、吸水性、吸湿性、制電性について向上することがわかる。
また、実施例2と比較例2を比較すると、吸湿性、吸水速度が高く、摩擦帯電圧が小さく、全ての点で優れていることがわかる。従って、本発明の第1発明に係る繊維処理剤により処理を行った繊維は、洗濯をしても、効果が持続しているので、耐久性に優れていることがわかる。
【0054】
なお、比較例2において、洗濯を行っていない初期の状態では、吸湿性は、2.0%、吸水速度は、1秒以下、摩擦帯電圧は500Vであった。この初期状態と洗濯後との比較から、従来のように、繊維処理剤が、可溶性卵殻膜のみ含むものである場合には、耐久性がないことがわかる。
【0055】
また、実施例3を比較例3と比べた場合、実施例3は、比較例3よりも、吸水速度が高く、摩擦帯電圧が小さく、全ての点において優れていることがわかる。また、実施例3を参考例1と比べた場合においても、同様のことが伺える。従って、本発明の第2発明に係る繊維処理剤により処理を行った繊維は、吸水性および制電性について向上することがわかる。
【0056】
[評価方法2]
市販の粘着テープを肌に貼り、剥がした後、アセトン/エーテル液で肌荒れ作成後、実施例、比較例で作成したタフタ織物の布を上腕に、毎日6時間、所定の日数の期間中、固定し、この布を巻いた上腕のコンダクタンスを測定した。この評価結果を表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】
この評価方法2の評価結果によれば、実施例1の方が、比較例1よりも、コンダクタンスが大きくなっていることがわかる。このコンダクタンスの値は、その値が大きい程、肌の伝導度があがり、肌荒れした部分の肌が再生していることと、肌の保湿状態が高まっていることを示している。
従って、本発明の第1発明に係る繊維処理剤により処理を行った繊維は、肌荒れした部分の肌が再生しているから、創傷治療性および保湿性が向上していることがわかる。さらに、この評価方法2の試験のように長期間にわたって使用をしても、創傷治療性および保湿性の効果が認められることから、長期間にわたって、各特性を持続することができることがわかる。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、耐久性が良く、保湿性、吸水性、吸湿性、制電性、創傷治療性を持続的に発現することができる繊維処理剤およびこの繊維処理剤により処理された繊維を提供することができる。
Claims (9)
- 繊維表面の処理を行う際に用いられる繊維処理剤であって、
可溶性卵殻膜と、反応基を有する反応性有機化合物とを含有することを特徴とする繊維処理剤。 - 請求項1に記載の繊維処理剤において、
前記反応性有機化合物は、(成分1)分子中に重合可能なビニル基を有する親水性化合物、(成分2)水酸基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基を含む単量体、(成分3)エポキシ基を有する親水性化合物、(成分4)アジリジン基を有する化合物、の前記(成分1)〜(成分4)の少なくともいずれか1つ以上を含むことを特徴とする繊維処理剤。 - 請求項1または請求項2に記載の繊維処理剤において、
該繊維処理剤の全量に対して、前記可溶性卵殻膜は、0.1〜10質量%含まれ、
前記反応性有機化合物は、1〜20質量%含まれていることを特徴とする繊維処理剤。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の繊維処理剤により処理されたことを特徴とする繊維。
- 繊維表面の処理を行う際に用いられる繊維処理剤であって、
可溶性卵殻膜と、固着性を有する有機化合物とを含有することを特徴とする繊維処理剤。 - 請求項5に記載の繊維処理剤において、
前記固着性を有する有機化合物は、反応基を有する反応性有機化合物であることを特徴とする繊維処理剤。 - 請求項6に記載の繊維処理剤において、
前記反応性有機化合物は、(成分1)分子中に重合可能なビニル基を有する親水性化合物、(成分2)水酸基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基を含む単量体、(成分3)エポキシ基を有する親水性化合物、(成分4)アジリジン基を有する化合物、(成分5)イソシアネート基またはその前駆体を有する化合物、の前記(成分1)〜(成分5)の少なくともいずれか1つ以上を含むことを特徴とする繊維処理剤。 - 請求項5に記載の繊維処理剤において、
前記固着性を有する有機化合物は、ワックス、シリコーン等の親油性化合物および/またはエーテル、アクリル、ウレタン、アミド、エステル等の基を含む高分子化合物であることを特徴とする繊維処理剤。 - 請求項5から請求項8のいずれかに記載の繊維処理剤により処理されたことを特徴とする繊維。
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