JPH05170921A - エラスチン水溶液の製造方法 - Google Patents

エラスチン水溶液の製造方法

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JPH05170921A
JPH05170921A JP3341565A JP34156591A JPH05170921A JP H05170921 A JPH05170921 A JP H05170921A JP 3341565 A JP3341565 A JP 3341565A JP 34156591 A JP34156591 A JP 34156591A JP H05170921 A JPH05170921 A JP H05170921A
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JP
Japan
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enzyme
elastin
water
immobilized
insoluble
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JP3341565A
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English (en)
Inventor
Hideaki Asai
秀昭 浅井
Masayuki Onohara
正幸 斧原
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ろ過するだけで容易に酵素とエラスチン水溶
液を分離でき、酵素の混入のないエラスチン水溶液を容
易にかつ安価に得る製造方法を提供すること。 【構成】 アミノ基、カルボキシル基、もくしはその両
方を有する、水不溶化された多糖類、脂肪族ポリマー、
芳香族ポリマー、及び不溶性架橋剤で架橋させたゼラチ
ン、コラーゲン、ポリアクリルアミンの中から選ばれた
1つを担体とし、これに水溶性架橋剤を用いて、エラス
チンを加水分解する酵素を反応させて固定化し、この固
定化酵素を用いて緩衝溶液中で粉末状の精製エラスチン
を加水分解した後、直ちにろ過して酵素をろ別する。 【効果】 反応後に酵素を失活する必要がなく、固定化
酵素をくり返し使用できる他、加水分解の程度を容易に
調節することが出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、不溶性のエラスチンか
ら水不溶性の担体に固定化したエラスチン加水分解酵素
によって、容易にエラスチン水溶液を製造する方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】人工血管や抗血栓性材料等の素材とし
て、エラスチンが注目されている。エラスチンは弾力性
に富んだ硬蛋白質の一種で、種々のホ乳動物の結合組織
中に、コラーゲン、レチクリンと共に構造蛋白質として
含まれている。一般には、牛、馬、豚など家畜獣の皮
膚、じん帯、動脈、羊膜、脳などから採取され、脂肪組
織や膜組織を取り除いて、粉末状の精製エラスチンとし
て市販されている。しかし、エラスチンはいかなる溶媒
にも不溶で、このままでは有用な形に加工することが出
来ないため、何らかの方法で可溶化することが必要とさ
れる。
【0003】エラスチンの可溶化方法には、不溶性エラ
スチンを熱蓚酸処理する方法、アルカリエタノール処理
する方法(Robert, L. and Poullain, N.; Bull.Soc. C
him. Biol., Vol. 45, 1317(1963) や、エラスターゼ、
トリプシン、ペプシン等によって処理する方法(特開平
2−57193号公報)が、現在公知の手法として用い
られている。しかしながら、熱蓚酸処理やアルカリエタ
ノール処理では条件が過酷なため、エラスチンの過度の
分解が生じ易いという問題を有している。
【0004】また、ペプシンなどの酵素を用いて可溶化
する場合、酵素失活剤を加える等の処理によって、適度
な処理時間で酵素を失活させ、その後、酵素、失活剤、
および水溶性エラスチンをカラムクロマト法等により、
分離、分取せねばならないため、酵素は一度しか使用で
きないし、多くの時間と煩雑な工程を必要とし、特に多
量に製造する場合問題である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】エラスチンのペプシン
による可溶化方法は、特開平2−57193号公報です
でに公知となっているが、エラスチンの可溶化後にペプ
シンの失活処理を行うため、ペプシンは一度しか使用で
きない、また、水溶性エラスチンと酵素の分離工程が必
要であるなど、処理が煩雑で時間を要し、多量の生産時
には経済的にも問題を有している。そこで、本発明は、
従来の技術のこのような問題点を解決しようとするもの
で、可溶化処理後、ろ過するだけで簡単に水溶性エラス
チン溶液を得ることができ、エラスチンを可溶化するた
めの酵素もくり返し使用できる、といった簡単で、しか
も安価に水溶性エラスチンを提供することを目的とする
ものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、アミノ
基、カルボキシ基、もしくはその両方を有する、架橋に
より水不溶性にされた多糖類、脂肪族ポリマー、芳香族
ポリマー、及び、予め水溶性架橋剤で架橋させ水不溶性
にされた、ゼラチン、コラーゲン、ポリアクリルアミン
の中から選ばれた1つを担体とし、これらに水溶性カル
ボジイミド、グルタールアルデヒド、ホルムアルデヒ
ド、および水溶性エポキシ系架橋剤から選ばれた1つの
水溶性架橋剤を用いて、エラスチンを加水分解する酵素
を反応させて固定化し、この固定化した酵素をpH=1
及至8.8に調製した緩衝溶液に対して濃度が1及至10
wt%になる割合で加え、更にこの中に、粉末状にした
精製エラスチンを緩衝溶液に対して濃度が1及至10w
t%になる割合で加えて、穏やかに撹拌しながら25及
至37℃で3及至12時間インキュベートしてエラスチ
ンを溶解し、その後、溶液をろ過するだけで容易に、酵
素の混入のない水溶性エラスチンを得ることを特徴とす
る、水溶性エラスチンの製造方法である。
【0007】本発明者らは、水溶性架橋剤によって、水
不溶性の担体にエラスチンを加水分解する酵素を固定化
することで、酵素のエラスチン加水分解作用を失活させ
ることなく、酵素を水不溶性の担体に安定に固定でき、
酵素のエラスチン水溶液への溶出を抑えることができる
こと、水不溶性担体に固定化した酵素は水洗後、2及至
5回くり返して使用できることを見いだした。また、一
定時間反応後、速やかにろ過し酵素を濾別することで酵
素による加水分解の程度を制御できることを見いだし、
これによって酵素を失活させる必要をなくし、酵素が繰
り返し使用できることを見いだした。
【0008】本発明においてエラスチンの加水分解酵素
を固定化するための担体としては、アミノ基、カルボキ
シル基、もしくはその両方の反応性基を有するものが使
用でき、具体的には、側鎖にこれらの反応性基を持った
脂肪族ポリマーおよび芳香族ポリマー、架橋により水不
溶性にされたデキストラン、アガロース、カルボキシメ
チルセルロースなどの多糖類、予め水溶性架橋剤によっ
て水不溶化したゼラチン、コラーゲン、ポリアクリルア
ミン等が挙げられる。
【0009】また、これらの担体に酵素を反応、固定化
するための水溶性架橋剤としては、水溶性カルボジイミ
ド、水溶性エポキシ系架橋剤、グルタールアルデヒド、
ホルムアルデヒド等がよく、また固定化するエラスチン
分解酵素としては、エラスターゼ、トリプシン、ペプシ
ン等が良い。
【0010】固定化した酵素を用いて不溶性エラスチン
を可溶化する工程で、使用できる緩衝溶液のpHは、固
定化した酵素の種類にもよるが、固定化した酵素が十分
活性なpHが望ましく、エラスターゼを用いる場合は、
pH=8.8が望ましく、ペプシンでは、pH=2が最も
望ましい。最適なpHより高いpH領域では、酵素の失
活が生じるため望ましくない。
【0011】また、固定化した酵素に対して加える緩衝
溶液の量は、十分に固定化酵素が膨潤できる量が必要で
あり、多すぎても特に問題はないが、酵素濃度が低くな
るため可溶化に時間を要する。従って、固定化した酵素
の濃度は、緩衝液にたいして1及至10wt%程度とす
るのが適切である。また、固定化した酵素に対して加え
る不溶性エラスチンの濃度は、特に限定はしないが、可
溶化できる時間に影響するため、効率的に可溶化する為
には緩衝溶液に対して溶質濃度1及至10wt%程度が
望ましい。
【0012】酵素処理の温度は、固定化した酵素が熱変
質する事なく活性を有する温度であり、酵素の種類にも
よるが、25℃以下では酵素との反応が遅く、37℃よ
り高ければ酵素の失活が生じるため、25及至37℃の
範囲とするのが好ましい。
【0013】以下に、実施例によって本発明の効果を説
明する。
【実施例】ゼラチンを溶質濃度が5wt%になるように
約50℃で純水に加熱溶解し、得られた溶液を60mmφ
のシャーレに1及至2ml流し込んで2.5℃以下に冷却
し、30分から1時間放置してゼラチンのゲル状物を作
成した。次にこのゲル状物を冷やしたまま、直径2及至
3mm程度に粉砕し、このうち15gをpH=8に調製し
た20mlの緩衝溶液中に加え、2.5℃以下で1時間穏や
かに撹拌して平衡化し、その後、ろ過して溶液を捨て
た。pH=8に調製した緩衝溶液にたいして、グルター
ルアルデヒドを溶液濃度が5wt%になるように加えて
調製した溶液30ml中に、上記のろ過物を加え、0〜2.
5℃で1時間穏やかに撹拌し、ゼラチンゲルの粒子に架
橋を加えて不溶化させた。
【0014】その後、ろ過によって溶媒を取り除き、多
量の純水で3及至5回十分に洗浄し、過剰のグルタール
アルデヒドを取り除く。次ぎに、卵白に対する活性1:
100及び1:10,000を有するペプシンを、pH
=2に調製した緩衝溶液に溶解し、溶質濃度が5wt%
になるように調製した。この溶液中に不溶化した前記の
ゼラチンゲル粒子を加え、25℃にて5時間穏やかに撹
拌してペプシンをゼラチンに固定化し、その後、ろ過に
よって溶液を取り除き、多量の純水で3及至5回十分に
洗浄する。
【0015】得られたゼラチン固定化ペプシンをpH=
2に調製した緩衝溶液中に入れ、牛首靭帯から付着して
いる脂肪組織、膜組織を取り除き、粉末状にした精製エ
ラスチンを、緩衝溶液に対する溶質濃度が10wt%に
なるように加え、25℃で8時間インキュベートし、そ
の後溶液をろ過することによって、エラスチン水溶液を
得た。
【0016】このようにして得られたエラスチン水溶液
の、日立GLW−550カラムを用いた液体クロマトグ
ラフィーによる分析結果を図1(a)に示す。尚、移動
相には、0.2M塩化ナトリウムを加えたpH=7の1/
15Mリン酸緩衝溶液溶離液を用い、検出は、UV(λ
=220nm)で行った。図1(b)は固定化していない
ペプシンについて同条件で測定したクロマトグラムであ
るが、図1(a)に示したクロマトグラムから明らかな
ように、固定化ペプシンによって処理したエラスチン水
溶液中へのペプシンの溶解は見られず、ろ過するだけで
酵素混入のないエラスチン水溶液が得られていることが
判る。
【0017】
【発明の効果】本発明による製造方法に従うと、従来方
法の欠陥であるエラスチン水溶液中への酵素の混入を抑
えることができ、酵素の混入を避けるために必要とされ
る可溶化後の酵素の失活工程や酵素分離の工程を省くこ
とができ、不溶性エラスチンを固定化酵素で処理した
後、ろ過によって酵素を取り除くだけで目的のエラスチ
ン水溶液が得られる。また、酵素を失活する必要がない
ため、固定化酵素はくり返し使用できるし、基質と酵素
はろ過によって瞬時に濾別できるため、酵素による基質
の加水分解の程度を容易に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の方法で調製されたエラスチン
水溶液の液体クロマトグラムで、(b)は固定化してい
ないペプシンについて同条件で測定した液体クロマトグ
ラムである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミノ基、カルボキシル基、もしくはそ
    の両方を有する、架橋により水不溶性にされた多糖類、
    脂肪族ポリマー、芳香族ポリマー、及び、予め水溶性架
    橋剤で架橋させ水不溶性にされた、ゼラチン、コラーゲ
    ン、ポリアクリルアミンの中から選ばれた1つを担体と
    し、これらに水溶性カルボジイミド、グルタールアルデ
    ヒド、ホルムアルデヒド、および水溶性エポキシ系架橋
    剤から選ばれた1つの水溶性架橋剤を用いて、エラスチ
    ンを加水分解する酵素を反応させて固定化し、この固定
    化した酵素をpH=1及至8.8に調製した緩衝溶液に対
    して濃度1及至10wt%になる割合で加え、更にこの
    中に、粉末状にした精製エラスチンを緩衝溶液に対して
    濃度が1及至10wt%になる割合で加えて、穏やかに
    撹拌しながら25及至37℃で3及至12時間インキュ
    ベートしてエラスチンを溶解し、その後、溶液をろ過す
    ることを特徴とする、エラスチン水溶液の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008291258A (ja) * 2001-05-30 2008-12-04 Keiichi Miyamoto 水溶性エラスチンの架橋剤
CN115368454A (zh) * 2022-09-30 2022-11-22 斐缦(长春)医药生物科技有限责任公司 一种明胶及其制备方法

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