JP2008257189A - 防眩性フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】防眩性フィルムは、樹脂と、溶剤と、微粒子とを少なくとも含む塗料を基材上に塗工する工程と、基材上に塗工された塗料を乾燥し、溶剤の揮発時に発生する対流により、塗工層表面にベナードセル構造を形成する工程と、ベナードセル構造の形成された塗料に含まれる樹脂を硬化し、表面になだらかなうねりを保持した微細凹凸形状を有する防眩層を形成する工程とを経て作製される。防眩層フィルムの表面に拡散光を照射し、拡散反射成分を定量化して求められる白濁度が1.7以下である。
【選択図】図2
Description
基材上に塗工された塗料を乾燥し、溶剤の揮発時に発生する対流により、塗工層表面にベナードセル構造を形成する工程と、
ベナードセルの形成された塗料に含まれる樹脂を硬化し、表面になだらかなうねりを保持した微細凹凸形状を有する防眩層を形成する工程と、
を備え、
防眩層表面に拡散光を照射し、拡散反射成分を定量化して求められる白濁度が1.7以下であることを特徴とする防眩性フィルムの製造方法である。
(1−1)液晶表示装置の構成
図1は、この発明の第1の実施形態による液晶表示装置の構成の一例を示す。この液晶表示装置は、図1に示すように、液晶パネル2と、この液晶パネル2の直下に設けられた光源3とを備え、液晶パネル2はその表示面側に防眩性フィルム1を備える。
図2は、この発明の第1の実施形態による防眩性フィルム1の構成の一例を示す。この防眩性フィルム1は、図2に示すように、基材11と、この基材11上に設けられた防眩層12とを備える。防眩層12は微粒子13を含み、その表面には塗料の乾燥過程で塗料内に生じる対流によりベナードセルが形成され、微粒子13の適度な凝集によって形成された微細凹凸形状が設けられている。
基材11の材料としては、例えば透明性を有するプラスチックフィルムを用いることができる。透明プラスチックフィルムとしては、例えば、公知の高分子フィルムを用いることができる。公知の高分子フィルムとしては、具体的には例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル(TPEE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエチレン(PE)、ポリアクリレート(PAR)、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ジアセチルセルロース、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂などが挙げられ、これらの公知の高分子フィルムの中から適宜選択して用いることができる。基材11の厚さは、生産性の点から38μmから100μmであることが好ましいが、この範囲に特に限定されるものではない。
防眩層12の平均膜厚は、微粒子13の平均粒径以上、微粒子13の平均粒径の3倍以下であることが好ましい。具体的には、防眩層12の平均膜厚は、微粒子13の平均粒径以上30μm以下であることが好ましく、より好ましくは微粒子13の平均粒径以上15μm以下である。平均膜厚が微粒子13の平均粒径未満である場合、白濁度が上昇し、平均膜厚が微粒子13の平均粒径の3倍を越える場合、製造時に樹脂を硬化させる過程でカールする場合があるからである。
RΔq(またはRdq):粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜
基準長さにおける局部傾斜dz/dxの二乗平均平方根
次に、上述の構成を有する防眩性フィルム1の製造方法の一例について説明する。この防眩性フィルム1の製造方法は、基材11上に、微粒子13と、樹脂と、溶剤とを含む塗料を塗工し、溶剤を乾燥する過程で対流を生じさせ、塗工膜表面にベナードセルを形成した後、硬化させるものである。
まず、例えば樹脂と、微粒子13と、溶剤とをディスパーなどの攪拌機やビーズミル等の分散機で混合し、微粒子13が分散した塗料を得る。この際、必要に応じて光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、酸化防止剤などをさらに添加するようにしてもよい。また、粘度調整剤として、シリカ微粒子などをさらに添加するようにしてもよい。
次に、上述のようにして得られた塗料を、平均粒径×2倍程度の細孔を有するフィルターで濾過し、基材11上に塗工する。塗料は、乾燥後の平均膜厚が好ましくは3〜30μm、より好ましくは4〜15μmとなるように塗工される。膜厚がこの数値範囲よりも薄い場合は、所望の硬さを得ることが困難となり、この数値範囲よりも厚い場合は、樹脂の硬化時に大きくカールする場合がある。塗工方法は、特に限定されるものではなく、公知の塗工方法を用いることができる。公知の塗工方法としては、例えば、グラビアコーター、バーコーター、ダイコーター、ナイフコーター、コンマコーター、スプレーコーター、カーテンコーターなどが挙げられる。なお、塗工方法はこれらに限定されることは無く、所定量の厚みを均一に塗布できる方法であればよい。
塗料の塗工後、乾燥させることにより溶剤を揮発させる。この発明の第1の実施形態では、溶剤の揮発時に発生する表面張力の不均一分布によるマランゴニー対流を利用し、塗料内の対流により微粒子13の衝突および凝集を適度に生じさせ、塗工層表面にベナードセル構造を形成させる。そして、ベナードセル内に形成される液状の樹脂のメニスカスによって、塗工膜表面になだらかなうねりの微細凹凸を形成させる。
乾燥後、電離放射線硬化型樹脂を硬化することにより防眩層12を形成する。硬化エネルギー源としては、例えば、電子線、紫外線、可視光線、ガンマ線などがあるが、生産設備の点から紫外線が好ましい。さらに、紫外線源としては特に限定は無く、高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプなどが適宜用いられる。積算照射量は用いる樹脂の硬化、および樹脂と基板11の黄変が起きない程度の積算照射量を適宜選択できる。照射の雰囲気としては樹脂硬化の具合に応じて適宜選択でき、空気中もしくは窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気中で行うことができる。また、樹脂として、熱硬化型樹脂を用いた場合には、熱硬化型樹脂を加熱することにより防眩層12を形成する。
以上により、目的とする防眩性フィルム1が得られる。
(2−1)防眩性フィルムの構成
図4は、この発明の第2の実施形態による防眩性フィルム10の構成の一例を示す。この防眩性フィルム10は、基板11上に設けられた微粒子13を有する防眩層12が設けられ、防眩層12上にさらに乾燥硬化する透明樹脂を含む透明樹脂層14が設けられたものである。基材11、防眩層12、および微粒子13は上述の第1の実施形態と同様のもので、防眩層12の表面には微粒子13の対流と凝集によって形成された微細凹凸形状が設けられている。
次に、第2の実施形態による防眩性フィルム10の製造方法の一例について説明する。この防眩性フィルム10の製造方法は、第1の実施形態の防眩性フィルム1の防眩層12上に、樹脂と、溶剤とを含む塗料を塗工し、乾燥、硬化させて透明樹脂層14を形成させるものである。以下、透明樹脂層14の形成方法について具体的に説明する。
まず、例えば樹脂と、溶剤とを混合した塗料を得る。この際、必要に応じて光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、酸化防止剤などをさらに添加するようにしてもよい。
次に、上述のようにして得られた塗料を、防眩層12上に塗工する。塗料は、乾燥後の平均膜厚が好ましくは防眩層中の微粒子13の粒径の1/2〜2倍となるように塗工し、塗料は防眩層12表面の凸部を覆うことが好ましい。塗工方法は、特に限定されるものではなく、第1の実施形態と同様の公知の塗工方法が用いられる。防眩層12上に所定量の厚みを均一に塗布することにより、塗工層の表面に防眩層12表面の微細凹凸形状と同等以上のなだらかなうねりの微細凹凸を形成することができる。
塗料の塗工後、乾燥および硬化することで、表面になだらかな微細凹凸形状を有する透明樹脂層14を得る。透明樹脂層14の表面になだらかなうねりの微細凹凸を形成するためには、上述のように、塗料中には少なくとも乾燥硬化樹脂が含まれることが好ましい。乾燥硬化する樹脂材料まったく含まない、すなわち乾燥後も液体状態であるモノマー、オリゴマー、ポリマー等の樹脂材料のみからなる塗料を防眩層12上に塗布すると、塗布後に乾燥、硬化させるまでの間にこれら樹脂材料がレベリングして、防眩層12表面の凹部を埋めて平坦化させてしまい、防眩性が低下してしまう。また、防眩層12表面の凸部は突出した突起として残るので、ざらついた表面となってしまう。そこで、塗料中に乾燥硬化樹脂を含むことによって、初期乾燥でできる乾燥表面が防眩層12表面のなだらかなうねりを覆うので、レベリングが抑制され、更になだらかなうねり成分を形成するものと考えられる。
以上により、目的とする防眩性フィルムが得られる。
以下のようにしてグラビアコーターで連続塗布して、長尺の防眩性フィルムを100m作製した。
まず、粒径5〜7μmで、平均粒径6μmのスチレン微粒子200gと、樹脂材料として紫外線硬化型の液状の4官能ウレタンアクリルオリゴマー4000gと、光反応開始剤としてイルガキュア184(チバガイギー製)200gとを、溶剤として表面張力が20.0mN/mである第3級ブタノール6000gに加えて攪拌し、塗料を調製後、10μmのメッシュのフィルターで濾過した。
乾燥後の膜厚を8μmとした以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
乾燥後の膜厚を12μmとした以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
乾燥後の膜厚を15μmとした以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
乾燥後の膜厚を18μmとした以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
溶剤として表面張力が22.1mN/mの酢酸イソプロピルを使用した以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
樹脂材料として分子量5万の乾燥硬化するアクリルポリマー1000gを、溶剤として表面張力が25.4mN/mのメチルイソブチルケトン(MIBK)5000gに溶解した塗料を調整後、実施例1の防眩性フィルムの防眩層上に、グラビアコーターで塗布し、80℃の乾燥炉にて乾燥させることにより硬化させ、乾燥後の平均膜厚6μmの透明樹脂層を形成した。以上により、防眩性フィルムを得た。
微粒子としてアクリル・スチレン共重合体(アクリル10質量%、スチレン90質量%)、溶剤としてトルエンに変更した以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
微粒子としてアクリル・スチレン共重合体(アクリル30質量%、スチレン70質量%)、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)に変更した以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
微粒子としてアクリル・スチレン共重合体(アクリル30質量%、スチレン70質量%)、溶剤として酢酸ブチルに変更した以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
微粒子としてアクリル・スチレン共重合体(アクリル30質量%、スチレン70質量%)、溶剤としてMIBKに変更した以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
微粒子としてアクリル・スチレン共重合体(アクリル30質量%、スチレン70質量%)、溶剤として表面張力27.9mN/mのトルエンに変更した以外は、実施例1と同様にして防眩性フィルムを得た。
微粒子としてアクリル・スチレン共重合体(アクリル30質量%、スチレン70質量%)、溶剤として炭酸ジメチルに変更した以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
微粒子としてアクリル・スチレン共重合体(アクリル30質量%、スチレン70質量%)、溶剤としてトルエン40重量部、炭酸ジメチル60重量部の混合溶剤に変更した以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
微粒子としてアクリル・スチレン共重合体(アクリル30質量%、スチレン70質量%)、溶剤としてトルエン60重量部、炭酸ジメチル40重量部の混合溶剤に変更した以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
微粒子としてアクリル・スチレン共重合体(アクリル30質量%、スチレン70質量%)、溶剤としてトルエン80重量部、MEK20重量部の混合溶剤に変更した以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
微粒子としてアクリル・スチレン共重合体(アクリル30質量%、スチレン70質量%)、溶剤として酢酸ブチル60重量部、炭酸ジメチル40重量部の混合溶剤に変更した以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
微粒子としてアクリル・スチレン共重合体(アクリル30質量%、スチレン70質量%)、溶剤としてMIBK60重量部、炭酸ジメチル40重量部の混合溶剤に変更した以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
微粒子としてアクリル・スチレン共重合体(アクリル40質量%、スチレン60質量%)、溶剤としてMIBKに変更した以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
微粒子としてアクリル・スチレン共重合体(アクリル40質量%、スチレン60質量%)、溶剤として表面張力27.9mN/mのトルエンに変更した以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
スチレン微粒子の添加量を160gに変更した以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
スチレン微粒子の添加量を400gに変更した以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
スチレン微粒子の添加量を600gに変更した以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
平均粒径4μmのスチレン微粒子を使用し、乾燥後の平均膜厚が4μmとなるように塗布した以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
平均粒径8μmのスチレン微粒子を使用し、乾燥後の平均膜厚が8μmとなるように塗布した以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
平均粒径10μmのスチレン微粒子を使用し、乾燥後の平均膜厚が10μmとなるように塗布した以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
乾燥後の膜厚を4μmとした以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
スチレン微粒子の添加量を120gに変更した以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
乾燥後の膜厚を5μmとした以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
溶剤としてMIBKを使用した以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
溶剤としてトルエンを使用した以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
微粒子として平均粒径6μmのアクリル微粒子を使用した以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
微粒子をアクリルに、溶剤をトルエンに変更した以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
微粒子としてアクリル・スチレン共重合体(アクリル75質量%、スチレン25質量%)に変更した以外は実施例6と同様にして、防眩性フィルムを得た。
微粒子としてアクリル・スチレン共重合体(アクリル55質量%、スチレン45質量%)に変更した以外は実施例6と同様にして、防眩性フィルムを得た。
膜厚を4μmに変更した以外は比較例5と同様にして、防眩性フィルムを得た。
微粒子の添加量を800g、膜厚を4μmに変更した以外は比較例5と同様にして、防眩性フィルムを得た。
樹脂材料として分子量5万の乾燥硬化するアクリルポリマーを使用し、80℃で乾燥した以外は実施例1と同様にして、防眩性フィルムを得た。
樹脂材料として液状の4官能ウレタンアクリルオリゴマー1000gを溶剤であるメチルイソブチルケトン(MIBK)5000gに溶解した塗料を調整後、実施例1の防眩性フィルムの防眩層上にグラビアコーターで塗布し、80℃の乾燥炉で溶剤を揮発させた後、紫外線硬化炉で160W、積算光量300mJ/cm2の条件で紫外線を照射され、乾燥後の平均膜厚6μmの透明樹脂層を形成した。以上により、防眩性フィルムを得た。
上述のようにして得られた実施例1〜26および比較例1〜13の防眩性フィルムについて、表面粗さを測定し、2次元断面曲線から粗さ曲線を取得し、粗さパラメータとして粗さ曲線の二乗平均平方根粗さRΔqを算出した。その結果を表1に示す。なお、測定条件はJIS B0601:2001に準拠した。以下に測定装置および測定条件を示す。
測定装置:全自動微細形状測定機 サーフコーダーET4000A(株式会社小坂研究所) λc=0.8mm、評価長さ4mm、カットオフ×5倍
実施例1〜26および比較例1〜13の防眩性フィルムについて、防眩性の評価を行った。具体的には、防眩性フィルムにむき出しの蛍光灯を写し、反射像のぼやけ方を下記の基準で評価した。その結果を表1に示す。
◎:蛍光灯の輪郭が分からない(2本の蛍光灯が1本に見える)
○:蛍光灯がある程度認識できるが、輪郭がぼやけている
×:蛍光灯がそのまま写りこむ
また、実施例1〜26および比較例1〜13の防眩性フィルムについて、白濁度の測定を行った。白濁度の具体的な測定法を以下に示す。まず、裏面反射の影響を抑え防眩性フィルム自体の拡散反射を評価するため、得られた防眩性フィルムの裏面に粘着剤を介して黒色ガラスに貼合した。次に、エックスライト社製の積分球型分光測色計SP64を用い、拡散光を試料表面に照射して試料法線方向から8°方向に傾いた位置に存在する検出器で反射光を測定するd/8°光学系にて測定を行った。測定値は正反射成分を除き拡散反射成分のみ検出するSPEXモードを採用し、検出視野角2°にて行った。なお、本測定の白濁度は、視覚的に感じる白濁感と相関があることを実験により確認している。その結果を表1に示す。
y=1.1039x−0.4735 ・・・ (2)
上述したように、本測定の白濁度は視覚的に感じる白濁感と相関があり、上述のようにして算出した値(Y値)が1.7%を超えると、白濁していると感じ、1.7%以下で値が小さくなる程白濁感が弱くなり、0.8%以下では白濁感をほぼ感じられないことを確認している。なお、上記式(2)の導出方法については後述する。
光学顕微鏡の観察によって、有機微粒子の凝集状態を観察した。面内方向で凝集している場合を「○」、凝集していないか、立体的に凝集している場合を「×」とした。また、実施例1〜26、比較例1〜13のうち、実施例1、比較例5の防眩性フィルムの表面写真を代表して図5、図6に示す。
光学顕微鏡で微分干渉をかけて表面形状を観察し、セル間が平坦になっているか、傾斜になっているかを観察した。もしくは、レーザー顕微鏡(レーザーテック社製)で、共焦点画像を取り込み、表面観察し、セル間が平坦になっているか、傾斜になっているかを観察した。
白濁度A:防眩性フィルムの裏面に対して黒色ガラスを貼り合わせて測定した白濁度
白濁度B:防眩性フィルムの裏面に対して黒色アクリル板を貼り合わせて測定した白濁度
また、表1において、樹脂の乾燥硬化の「×」とは乾燥工程後に塗布膜が硬化せずに液状であったものを示し、「○」とは乾燥工程後に塗布膜が硬化したものを示し、「−」とは透明樹脂層を有していないものを示している。
また、表1において、充填率は、防眩性に含まれる樹脂の含有量Aに対する微粒子の含有量Bの割合(B/A×100)である。
(防眩層の平均膜厚)
防眩層の平均膜厚は、接触式厚み測定器(TESA株式会社製)を用いて測定した。
(微粒子の平均粒径)
微粒子の平均粒径は、コールターマルチサイザーにより粒子径を測定し、得られたデータを平均して求めた。
(溶剤の表面張力)
溶剤の表面張力は、例えばwilhelmy法により、wilhelmy板と液体試料とを接触させて歪みを与え、wilhelmy板を液中に引っ張ろうとする力を測定することにより算出した。測定装置は、株式会社ユービーエム製の動的表面張力測定装置であるレオサーフを用いた。なお、測定は、溶剤の液温と室温とを一定にした後行った。具体的には、室温25℃の環境下に溶剤を放置し、溶剤の液温が25℃なった時点で、溶剤の液温を測定した。
(微粒子の表面エネルギー)
微粒子をプレス機にて圧密し、板状にした後、その表面に各種液体を垂らし、臨界表面張力を算出し、その算出値を微粒子の表面エネルギーとした。なお、測定は、上記溶剤の表面張力の測定と同様に、25℃の環境下にて行った。
防眩層の微粒子としてスチレンを用い、表面張力が23mN/m以下の溶剤を用いた実施例1〜実施例7、21〜26や、アクリル(10質量%)・スチレン(90質量%)やアクリル(30質量%)・スチレン(70質量%)やアクリル(40質量%)・スチレン(60質量%)共重合体を用いた実施例8〜20の防眩性フィルムでは、二乗平均平方根傾斜RΔqが0.003〜0.05の範囲であり、防眩性および白濁度が共に良好である。また、比較例1および比較例3のように乾燥膜厚が微粒子の平均粒径よりも小さい場合や、比較例4、5のように相対的に微粒子表面エネルギーが溶剤表面張力よりも小さい場合はRΔqの値が大きくなり、防眩性には優れるものの、白濁度が大きく、コントラストが低下した。一方、比較例6から比較例10のように相対的に微粒子表面エネルギーが溶剤表面張力よりも大きい場合はRΔqの値が小さくなり、白濁度は小さいものの、防眩性が劣るものであった。また比較例11で行ったように微粒子添加量を増やし、乾燥膜厚を微粒子の平均粒径未満とすると防眩性は発現するものの、白濁が大きい、従来通りの防眩フィルムとなってしまう。また、乾燥硬化する樹脂を用いた比較例12ではRΔqの値が小さくなり、白濁度は小さいものの、防眩性が劣るものであった。また比較例2から微粒子添加量が3質量%であると、平坦部が多くなり白濁が小さいものの防眩性を発現しなくなることから、実施例21〜23に示したように微粒子添加量は4質量%以上であることが好ましい。
その差が大きくなり、実施例1、6に示すように、微粒子表面エネルギーと溶剤表面張力との差が8〜13mN/mの範囲内であると、乾燥後も平面状に並んだ微粒子によるベナードセルができはじめる。なだらかなうねりを形成し低防眩、高コントラストのフィルムを作製することができる。
更にその差が大きくなり、比較例6、10に示すように、微粒子表面エネルギーと溶剤表面張力との差が13mN/mを超えると、乾燥後の表面にベナードセルは形成されにくく、平坦部分の多い防眩性の低いフィルムとなる。この関係で防眩性を発現するには、粒子径よりも薄く塗布し、また平坦部を無くすために微粒子も多く添加しなければならないため、白濁の大きなコントラストの低いフィルムになる。
スチレン微粒子の添加量を400gに変更した以外は実施例1〜5と同様にして、防眩性フィルムを得た。
スチレン微粒子の添加量を480gに変更した以外は実施例1〜5と同様にして、防眩性フィルムを得た。
上述のようにして得られた実施例1〜5、実施例27〜35の防眩性フィルムについて、防眩性を以下のようにして評価した。
2本の蛍光灯を防眩層表面に映しこみ蛍光灯の視認性を以下の5段階で評価した。
レベル5:蛍光灯が2本に分離して見えず、形状の判別もできない。
レベル4:蛍光灯が2本あることが視認できるが、形状の判別はできない。
レベル3:蛍光灯が2本に分離して見え、輪郭がぼんやりと見え、蛍光灯の形状が判別できる。
レベル2:蛍光灯がはっきりと2本に分離して見え、輪郭が見える。
レベル1:蛍光灯がはっきりと2本に分離して見え、輪郭が直線状に明瞭に視認できる。
y=1.1039x−0.4735 ・・・ (2)
の回帰直線が得られ、決定係数R2は0.9909である。以上より、黒色ガラス板を用いて測定した白濁度と、黒色アクリル板を用いて測定した白濁度には、高い相関があることが分かる。
11 基材
12 防眩層
13 微粒子
14 透明樹脂層
Claims (17)
- 樹脂と、溶剤と、微粒子とを少なくとも含む塗料を基材上に塗工する工程と、
上記基材上に塗工された上記塗料を乾燥し、溶剤の揮発時に発生する対流により、塗工層表面にベナードセル構造を形成する工程と、
上記ベナードセル構造の形成された上記塗料に含まれる上記樹脂を硬化し、表面になだらかなうねりを保持した微細凹凸形状を有する防眩層を形成する工程と、
を備え、
上記防眩層表面に拡散光を照射し、拡散反射成分を定量化して求められる白濁度が1.7以下であることを特徴とする防眩性フィルムの製造方法。 - 上記防眩層の乾燥時の平均膜厚は、上記微粒子の平均粒径以上、上記微粒子の平均粒径の3倍以下であることを特徴とする請求項1記載の防眩性フィルムの製造方法。
- 上記微粒子は有機微粒子であり、
上記有機微粒子の表面エネルギーと上記溶剤の表面張力の差が8mN/m以上13mN/N以下であることを特徴とする請求項1の防眩性フィルムの製造方法。 - 上記微粒子は、スチレンを主成分とし、
上記溶剤の表面張力は、23mN/m以下であることを特徴とする請求項1記載の防眩性フィルムの製造方法。 - 上記微粒子は、アクリル・スチレン共重合体を主成分とすることを特徴とする請求項1記載の防眩性フィルムの製造方法。
- 上記アクリル・スチレン共重合体は、60質量%以上90質量%以下のスチレン成分と、10質量%以上40質量%以下のアクリル成分とからなることを特徴とする請求項5記載の防眩性フィルムの製造方法。
- 上記微粒子の充填率は、4%以上10%以下であることを特徴とする請求項1記載の防眩性フィルムの製造方法。
- 上記塗料を乾燥する工程では、上記溶剤の揮発時に発生する対流により、上記微粒子を主として面内方向に凝集させることを特徴とする請求項1記載の防眩性フィルムの製造方法。
- 上記防眩層表面において、上記凝集した微粒子を上記樹脂により覆うことを特徴とする請求項8記載の防眩性フィルムの製造方法。
- 上記樹脂は、電離放射線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、またはそれらの混合樹脂であり、上記塗料を乾燥させた後も液状であるモノマー、オリゴマー、およびポリマーのうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1記載の防眩性フィルムの製造方法。
- 上記樹脂を硬化する工程では、電離放射線の照射、または加熱によって、表面にベナードセル構造が形成された状態で上記樹脂を硬化することを特徴とする請求項1記載の防眩性フィルムの製造方法。
- 上記防眩層表面における二乗平均平方根傾斜RΔqは、0.003〜0.05μmであることを特徴とする請求項1記載の防眩性フィルムの製造方法。
- 上記微粒子は樹脂で覆われ、上記防眩層表面から上記微粒子が突出しないことを特徴とする請求項1記載の防眩性フィルムの製造方法。
- 上記樹脂を硬化する工程の後に、樹脂と、溶剤とを少なくとも含む塗料を上記防眩層上に塗工する工程と、
上記防眩層上に塗工された上記塗料を乾燥、硬化させ、上記防眩層上に透明樹脂層を形成する工程と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の防眩性フィルムの製造方法。 - 上記防眩層上に塗工された上記塗料は上記防眩層表面の凸部を覆い、粒子近傍の傾斜を減少することを特徴とする請求項14記載の防眩性フィルムの製造方法。
- 上記防眩層上に塗工された上記塗料に含まれる樹脂は、乾燥させた後に固体となる乾燥硬化樹脂を含むことを特徴とする請求項14記載の防眩性フィルムの製造方法。
- 上記防眩層上に塗工された上記塗料に含まれる樹脂は、電離放射線硬化型または熱硬化型のモノマー、オリゴマー、ポリマーのうちの少なくとも1種を含み、
上記透明樹脂層の形成工程では、電離放射線の照射、または加熱によって、上記樹脂を硬化することを特徴とする請求項14記載の防眩性フィルムの製造方法。
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