JP5991322B2 - 画像表示装置用防眩シートとその製造方法、及び、これを用いた動画像と静止画像との共用に適した画像表示装置の黒彩感及び画像の切れの改善方法 - Google Patents

画像表示装置用防眩シートとその製造方法、及び、これを用いた動画像と静止画像との共用に適した画像表示装置の黒彩感及び画像の切れの改善方法 Download PDF

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Description

本発明は、黒彩感、暗所黒味、動画用途で防眩性に優れ、高度な画質の実現に適した画像表示装置用の防眩シートとその製造方法、及び、この防眩シートを用いた動画像と静止画像との共用に適した画像表示装置の黒彩感及び画像の切れの改善方法に関する。
陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等の画像表示装置においては、一般に、最表面には反射防止のための光学積層体が設けられている。このような反射防止用光学積層体は、光の拡散や干渉によって、像の映り込みを抑制したり反射率を低減するものである。
反射防止用光学積層体の1つとして、透明性基材の表面に凹凸形状を有する防眩層を形成した防眩性フィルムが知られている。この防眩性フィルムは、表面の凹凸形状によって外光を拡散させて外光の反射や像の映り込みによる視認性の低下を防止することができる。
従来の防眩性フィルムとしては、例えば、透明基材フィルムの表面に、二酸化ケイ素(シリカ)等のフィラーを含む樹脂を塗工して防眩層を形成したものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
これらの防眩性フィルムは、凝集性シリカ等の粒子の凝集によって防眩層の表面に凹凸形状を形成するタイプ、有機フィラーを樹脂中に添加して層表面に凹凸形状を形成するタイプ、あるいは層表面に凹凸をもったフィルムをラミネートして凹凸形状を転写するタイプ等がある。
このような従来の防眩性フィルムは、いずれのタイプでも、防眩層の表面形状の作用により、光拡散・防眩作用を得るようにしており、防眩性を高めるためには凹凸形状を大きくする必要があるが、凹凸が大きくなると、塗膜の曇価(ヘイズ値)が上昇して白茶けが発生し、これに伴いコントラストが低下するという問題があった。
また、家庭でも、映画等の高度な画質を表示したディスプレイを鑑賞する機会が増えたため、暗室での黒画面の黒さ(以下、暗所黒味という)が求められている。
なお、表面凹凸により発現するヘイズを「表面ヘイズ」、前記表面凹凸を、表面凹凸を形成する樹脂又は該樹脂との屈折率差が少なくとも0.02以内の樹脂を用いて平滑化したときに発現するヘイズを「内部ヘイズ」と定義し、JIS K 7136 に準拠して測定する。
コントラストを簡便に評価する方法として、ヘイズ値や内部ヘイズと総ヘイズの比が一般に用いられてきた。すなわち、光学シートの製造過程において、ヘイズ値を制御するように材料の特定、製造条件などを制御することで、コントラストの低下の少ない光学シートを製造し得ると考えられていた(特許文献1〜3参照)。
しかしながら、同じヘイズ値であってもコントラストが異なる場合も見られ、例えば、ヘイズ値及び内部ヘイズと総ヘイズの比を指標として製造しても、必ずしも良好な画像表示装置用防眩シートを安定的に得ることはできない。
また、防眩層の上にさらに、低屈折の干渉層を設けることで、反射率を低減させる試みもなされているが、100nm程度の膜を精度良く設ける必要があり、非常に高価なものとなっていた。
さらに、近年では、ワンセグをはじめとする様々な配信システムの普及や大型化の進展等により視聴環境も様々な態様が出現し、防眩シートに要求される性能もより広範で且つ個性の強いものとなってきた。
例えば、映画鑑賞等をする機会の増加により、映画館並みの高度な視聴環境で楽しむために、暗室で動画像を高画質で再現することが要求されたり、モバイル用途の増加により、明るい屋外で静止画像及び動画像を映し出すために、物理的な強度を有し且つ明室で動画及び静止画のバランスの取れた画質が要求されている。
すなわち、ディスプレイ端末に要求される画像品質は変化しており、視聴環境に適した性能を有する画像表示装置用の防眩シートの開発が要望されている。
なお、視聴環境によって要求が異なることの例を示す特許文献4及び5には、静止画像と動画像では要求性能は異なり、また、観察者の視聴状態も異なることが記載されている。
本発明者らは、上記の課題を鋭意検討した結果、従来考えられていたように、単に内部拡散と表面拡散の和が総ヘイズとなるのではなく、総ヘイズは、内部拡散と表面拡散以外に拡散粒子と表面凹凸との位置関係にも影響されることを見出した。
さらに本発明者らは、暗室および明室での高度な黒味及び高度な動画像と静止画像の共用に適した画像表示装置用、例えば液晶表示装置用(以下、単に液晶表示装置用ということがある)の防眩シートへの要求性能を鋭意検討した結果、暗室での高度な黒味を得るためには、これまで考慮されることのなかった「迷光成分」をほとんど生じることがない拡散特性としなければならないことを見出した。なお「迷光成分」とは、防眩シートの表面および/または内部に存在する拡散要素により、防眩シート内部に入射した光のうち、防眩シート内部において目的とする方向とは異なる方向に走行する制御不可能な光成分をいい、防眩シート内部で繰り返し反射することが多い。
また、明室での動画像と静止画像に対しては映像光の迷光成分を考慮しつつ、これまでは防止することのみが求められていた外光の正反射成分を適度に持たせることが鑑賞に堪えうる画質を得るために重要であることを見出した。
すなわち、上述の迷光成分は、暗部(たとえば黒)と明部(たとえば白)が同一画面内に存在するときに、明部の映像光が光学シートの拡散要素により一部が迷光となり、暗部から出光するいわゆるフレアーとなってコントラストの低下、ことに暗室コントラストの低下を引き起こすばかりか、立体感がなくなり平面的で変化に乏しい画像としてしまう。
なお、迷光成分は、正面から見た場合には影響が少なく、斜め方向から見た場合にはより強く影響が出やすい。
また、外光の正反射成分については、正反射の極端に少ない光学フィルムは人の官能特性の影響を受け、画像が擬態物として検知されるのに対し、正反射成分を適度に持つ光学フィルムは画像が実態物として検知されやすくなり、いわゆる、動画像画面に特有な画像のテリ及び輝きを増すことになり、躍動感のある画像となることを見出した。
なお、このような動画像に要求される、コントラスト、立体感及び躍動感を兼ね備えた性能(例えば、青空の下の若者のシーンを例に取れば、画面に表示された黒髪の毛はサラサラ感のある黒であり、黒い瞳は潤いがある黒であり、かつ、肌に若者特有な艶があり活き活きとして見える等)を「黒彩感」と称する。
さらに、近年、映画鑑賞などの高度な鑑賞条件下、すなわち外光のない暗室条件であって、且つ、表示装置の好感領域内(正面輝度の33.3%以上の輝度で見ることができる鑑賞範囲)での鑑賞において、顕著で高水準な黒味である「暗所黒味」に優れた液晶表示装置用防眩シートが求められている。
加えて、照明下で映画観賞をする場合や、モバイル用途では、動画像の鑑賞に際しても動画像の鑑賞に対応した耐映り込み性(防眩性)が求められている。そのような、完全に映り込みが無いわけではなく、動画を観測する観測者の輪郭や背景にある対象物の輪郭や境界線がぼやける程度の微弱な耐映り込み性を動画防眩性と称する。
また、静止画像に、コントラストと一層の耐映り込み性に優れた画像が求められ、このような、静止画像に要求される、コントラストと耐映り込み性を兼ね備えた性能を「画像の切れ」と称する。
すなわち、黒彩感と画像の切れに優れた液晶表示装置用防眩シートであるべきとの要望が高くなっている。
なお、画質評価としては、特許文献6には「黒しまり性」が、特許文献7には「艶黒感」が記載されている。
液晶ディスプレイの原理的な欠陥である画角の狭さを改善するため、防眩シートに拡散性を賦与することがある。しかし、拡散性の賦与は、殊に正面視でのコントラストの低下をきたす。
黒しまり性は、この画角拡大とコントラストの折り合いを評価するもので、ディスプレイを真正面から電源off時の黒味、電源on時の黒味(黒い画像)を比較し、黒味の強いほど画面のしまり感も強いという官能比較である。
正面では非常に弱く、斜めほど強く認知されやすくなる迷光成分以外に、液晶ディスプレイではそのシステム構成上、黒表示においても液晶表示素子そのものから漏れてくる光(漏れ光)が存在するので、真正面から見た電源on時の黒味とは、前述の漏れ光と外光反射とを合わせた場合の黒さの加減であり、前述の電源off時の黒味とは、映像光は存在しないから、外光反射のみがあるときの黒味である。
換言すれば、黒しまり性とは外光にも漏れ光にも黒味が強いことになり、前述の黒彩感とは異なり、迷光成分は考慮されておらず、また、適度に必要とされる正反射成分が考慮されていないため、喩えコントラストは高くとも画像のテリ及び輝きに劣り、躍動感は生じず、黒彩感は高くならない。ことに、拡散を大きくして画角を拡大することが優先されるので迷光成分が生じやすく、暗所黒味が低下しやすい。
また、艶黒感とは外部から光学積層体に入射した光の正反射光成分以外の拡散を抑え、この正反射光以外は観測者の目に届かなくすることで、明室環境下で画像表示装置を黒色表示した際の黒色の再現性、すなわち、黒の階調表現の豊かさであり、光学積層体のフィルム面と反対側にクロスニコルの偏光板もしくは光学フィルム用アクリル系粘着剤(全光線透過率90%以上、ヘイズ0.5%以下、膜厚10〜55μmの製品、例えばMHMシリーズ:日栄加工(株)製、日立化成工業(株)社製、商品名「L8010」など)を介した黒色アクリル板に張り合わせた後、三波長蛍光下で官能評価を行う。
すなわち、その測定法から見ても、動画の評価ではないし、映像光の迷光成分の影響も全く考慮されていない。そのため、喩えテリ及び輝きは高くとも、暗室コントラスト及び立体感は生じず、黒彩感は高くならない。
コントラストとは黒輝度に対する白輝度の比であり、黒輝度の絶対値は白輝度に比べ非常に小さいのでコントラスは黒輝度の影響をより強く受ける。コントラストに優れた画像を得るためには画角拡大を図った上での黒味である「黒しまり」、絶対的な黒さである「暗所黒味」及び黒領域での階調表現の豊かさである「艶黒感」が優れている(以下、黒再現力に優れるという)ことが必要である。
さらに、静止画と動画の両立を図るには、少なくとも立体感及び躍動感を有する黒彩感に優れていることが必要である。
なお、防眩シートの拡散特性を限定する特許文献8及び9では、コントラストは良好となるものの、実用に不可避な性能である密着性、ハードコート性等の物理性能やギラツキ、動画と静止画の両立等の課題は考慮されておらず、充分な性能を得られていなかった。
特開2002−267818 特開2007−334294 特開2007−17626 特開2006−81089 特開2006−189658 特開2007−264113 特開2008−32845 特開2010−60924 特開2010−60925
本発明は、このような状況の下で、低屈折干渉層を用いずとも、殊に、暗所での高度な黒味および黒彩感、黒艶に優れ、動画用途で許容できる動画防眩性を有し、実使用に供するに適した、陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等の画像表示装置用防眩シート等を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、黒彩感、暗所黒味、動画用途で防眩性に優れ、高度な画質の実現に適した画像表示装置用の防眩シートとその製造方法、及び、これを用いた動画像と静止画像との共用に適した画像表示装置の黒彩感及び画像の切れの改善方法を提供することを目的とする。
例えば、液晶ディスプレイの画角と画質にはトレードオフの関係がある。これまで、液晶テレビは画角が狭く、等方性であるCRTの代替としての観点からは欠陥と看做され、防眩フィルムも画角拡大機能を持つことを望まれていた。
然るに、本発明者らは液晶テレビを新たなディスプレイと捉えると共に、視聴環境の変化を勘案し、画角が狭く等方性が無いことを欠陥として捉えることなく、正面画質優先の思想のもと、画角と画質のトレードオフの呪縛から開放されるべく、以下の手段を講じた。
これまで、コントラストや防眩性は表面凹凸のJIS B−0601−1994に基づく算術平均粗さ(Ra)、十点平均粗さ(Rz)、表面凹凸の平均間隔(Sm)や、小坂研究所製の表面粗さ測定器SE−3400の取り扱い説明書(1995.07.20改訂)に記載される定義による、凹凸の平均傾斜角(θa)等の表面形状に依存すると考えられたり、内部拡散剤と透光性樹脂との屈折率差や内部拡散粒子の形状等による外光の反射状態に依存すると考えられていた。すなわち表面凹凸と内部拡散要素との相互効果を考慮されることがなかった。
ここで、θaの算出定義を説明する。
基準長さL範囲内に存在する凹凸形状において、ひとつの山から次の山へ至るまで、山には、一番高い頂部:凸部があり、かつその両端には、凹部が存在している。凹部の位置は、それぞれ同じ高さにあるとは限らない。
この異なる凹部位置各々から、その三角形の頂部までの高さをh1、h2とする。同じように、基準長さ範囲の全ての山について、凹部から凸までの高さを求め、(ひとつの山は、2つの高さを持つ)高さの和を求め、基準長さLで割った値のアークタンジェントを計算することで求められる角度である。
θa=tan-1[(h1+h2+h3+h4+・・・・・+hn)/L]
本発明者らは、図8−1から図8−4に示すように、内部拡散粒子と透光性樹脂の屈折率差によって、拡散粒子に入射した映像光および外光の拡散粒子を透過する光及び反射する光の拡散特性は大きく異なり、拡散粒子と透光性樹脂との屈折率差が大きいほど、拡散粒子による反射光量が増加し、且つ、拡散粒子を透過する光の拡散角度が大きくなるので、映像光による迷光成分の発生増加と外光の反射光量が増加しコントラストを低下させることを見出した。
さらにまた、図7−1の1−1から1−5に示す如く、映像光においては拡散粒子と表面凹凸との位置関係により、拡散粒子を透過した映像光の透過及び反射特性や、解像度やコントラストを劣化させる迷光成分の発生状況も大きく異なること、さらには、図7−2の2−1から2−4に示す如く、外光においても、拡散粒子と表面凹凸との位置関係により、拡散層内部に侵入した外光の拡散粒子による反射光の反射特性やコントラストを劣化させる迷光成分の発生状況も大きく異なることを見出し、本願液晶表示装置用防眩シートの表面凹凸の形状、拡散粒子の特性、および表面凹凸と内部拡散粒子の相対関係をも加味することにより、コントラストや動画防眩性に優れるばかりでなく、黒彩感と画像の切れにも優れた液晶表示装置用防眩シートを得ることを可能とした。
また、図7−2の拡散粒子2−2のように、拡散粒子により反射される外光の拡散が大きくなる表面凹凸と拡散粒子との位置関係にある場合は、図7−1の1−2のように、映像光に関しても拡散が大きく迷光成分が発生しやすい条件となり、映像光によるコントラスト低下をもきたしやすくなっている。
すなわち、映像光の迷光成分によるコントラスト低下の大小関係は、外光の反射特性に近似して考慮することが可能である。なお、迷光成分による黒彩感についても同様である。また、防眩層に強度は小さくとも大きな角度の拡散を持たせることでLCDの漏れ光を広く拡散させる従来の画角重視の方法は、前述の迷光成分の発生を促進することとなり、ことに暗室での高度な黒味に欠けるものであった。
すなわち、これまでの様な、総ヘイズや内部ヘイズ、外部ヘイズ(表面ヘイズとも言う)による拡散特性の管理や、算術平均粗さ(Ra)、十点平均粗さ(Rz)、表面凹凸の平均間隔(Sm)、平均傾斜角(θa)等の表面形状の管理を行っても優れた防眩フィルムを得ることは出来ない。
本発明者らは、黒彩感に優れた動画像を得るためには、液晶表示装置用防眩シートの透過拡散が小さく正透過強度が適度に高いことで内部からの映像光の指向性が高い状態にあり、且つ、外光および映像光の迷光成分を少なくするほど良好となることを見出した。
対して透過拡散が大きいと迷光成分が発生し、内部映像光の指向性が低くなり、映像が白茶けたように見えるため肌色などの表示に対して活き活きとした表示とならない。
一方、画像の切れに優れた静止画像を得るためには、コントラストと耐映り込み性を両立させる必要がある。しかしながら、耐映り込み性を改善する目的で、いわゆる防眩性を強くすると反射拡散が大きくなりコントラストが低下してしまい、画像の切れは悪化してしまう。
そこで、本発明者らが画像の切れに関し鋭意検討した結果、観察者にとって映り込みが苦になる原因は、画像鑑賞時に観察者の焦点が、画像表示装置最表面に映り込んだ、外部に存在する何かの像(例えば、観察者自身の像や背景に存在する物が映り込んだ像)に度々合ってしまい、本来の画像に視点が定まらないためであることが判明した。
そして、さらなる検討の結果、映り込んだ外部に存在する何かの像の輪郭を不鮮明とすることで、映り込みは苦にならなくなり、且つコントラストの低下も押さえることができ、画像の切れを向上させることが可能であることを見出した。
また、動画防眩性については動画鑑賞時に限った微弱な耐映り込み性であることから、画像の切れを満たしていれば、動画防眩性を同時に満たしていることになり、一方、動画鑑賞に限れば、画像の切れを満たさずとも、動画防眩性を満たしていれば良い。
すなわち、静止画像に要求される画像の切れと動画像の黒彩感を両立させるためには、透過拡散の正透過強度成分の低下を抑えつつ、かつ、映り込んだ外部映像の輪郭を不鮮明とさせる、小さい反射拡散を適度に持たせつつ迷光成分を減少させることが重要であることを見出した。
これは、正反射強度成分を正反射近傍の拡散に転換することを意味し、以下の(a)〜(c)を考慮することで、静止画像の切れと動画像の黒彩感との両立を図った液晶表示装置用の防眩シートが得られることを意味する。
すなわち、(a)透過拡散が小さい(正透過強度が高い)こと、(b)正反射強度成分が小さいこと、(c)正反射近傍の拡散に変換すること、の三要素を満足させることである。
防眩シートは、一般的には帯電防止機能を持たせるための導電粒子の添加や、ギラツキの防止や表面凹凸賦型のために微細粒子を添加することが多く、表面凹凸による拡散(以下外部拡散という)以外に内部拡散を有している。
図1は、一例として屈折率1.50の樹脂塗膜の表面反射率及び、前記樹脂塗膜中に分散させた球状拡散剤粒子表面の反射率を粒子の屈折率を変えてシミュレーションした結果である。図1に示すように内部拡散因子による反射強度は外部拡散による反射強度に比べて大幅に小さいので、拡散反射強度は表面拡散が支配的である。
また、表面形状による透過光の拡散は、θなる傾斜面からの出射角度をψ、塗膜の屈折率をnとしたとき、スネルの法則からn×sinθ=sinψであり、出射角度ψはarcsin(n×sinθ)−θとなる。
一方、反射は、反射の法則により、θなる傾斜面の二倍の変化を示すのであるから、反射角度ψは2×θとなる。そのため、一般的な塗膜の屈折率及び防眩シートの表面形状範囲内においては、屈折率1.50の樹脂表面の場合の計算結果である図2に示すように、表面傾斜角度に対する反射及び透過の拡散角度は比例すると看做してよい。
すなわち、正反射強度が小さいことは正透過強度が小さいことであり、正反射近傍の拡散を増すことは正透過近傍の拡散を増すこととなるので、前述の静止画像の耐映り込み性と動画像の黒彩感の両立を図った液晶表示装置用防眩シートに要求される三要素をすべて、透過に変換することが可能である。また前述の記載より、動画防眩性を満たす上でも同様の変換を行うことが出来る。
すなわち、上記(a)〜(c)は、それぞれ(a)透過拡散が小さいこと(正透過強度が高いこと)、(b’)正透過強度成分が小さいこと、(c’)正透過近傍の拡散に変換すること、と言い換えることができる。
なお、(b’)及び(c’)は正透過強度(Q)と正透過近傍の拡散強度(q)の比Q/qが小さいことを表わしており、一方、(a)はQ/qが大きいことを表わしている。
ところで、これまで液晶表示装置用防眩シートに用いられてきたヘイズ値はJIS K7136に示されるように全光線に対して、正透過から2.5度以上拡散した光の割合であるから、ヘイズ値からでは、上記のような正透過近傍の拡散(ことに、2.5度未満の拡散)を用いた考えに想到することはできない。
但し、内部拡散の全くない液晶表示装置用防眩シートでは、ギラツキを抑えることができないので、わずかであっても内部拡散を持たせる必要がある。なお、内部拡散による拡散の大きさは2.5度を越えない拡散であってもよく、この場合は内部拡散によるヘイズはゼロとなる。
ここで、等方拡散の場合の正透過近傍の拡散強度について考察する。
図3の模式図に示すように拡散強度は、aなる拡散透過強度分布を持つ透明基板に、bなる拡散透過強度分布を持つ層を積層すると、0度に近いほど拡散透過強度の減少割合は大きいので、0度に近いほど強度の低下が大きいこととなり、cなる拡散透過強度分布を持つ液晶表示装置用防眩シートとなる。
また、液晶表示装置用防眩シートは一般に内部拡散要素及び外部拡散要素の分布は疎であるため、拡散特性の強度分布は、前記拡散要素による拡散強度分布と、拡散要素が存在せず正透過のみに強度を持つ二つの強度分布の和になる。
図4に示すように正透過±1度及び正透過±2度の強度の傾きを正透過に外挿したときの強度を仮想正透過強度Uとしたとき、Uは、拡散要素による拡散特性の正透過強度を近似したこととなり、Q/Uは「拡散要素を持たない部分Q」と「拡散要素部分の正透過強度U」との比、すなわち、「透過拡散せずに正透過した強度Q」と「透過拡散により0度方向に導かれた正透過強度U」との比となり、いわば正透過近傍の拡散状態の尺度となっている。
また、図3及び図4から正透過近傍の強度が大きいほどUは大きくなることと、初期の拡散角度が大きい場合ほどQに対するUの変化量が小さいことは明らかである。
換言すれば、正透過近傍の強度qに変えてUを用いることが、前述(a)の透過拡散の大きさをも加味した形となる。
以上のように、Q/Uの範囲を特定の範囲とすることで、画像の切れと動画像の黒彩感をバランスよく、良好にさせることができ、これらの性能を両立させた液晶表示装置用防眩シートを得ることが可能となる。
換言すればQ/Uは、表面形状(外部拡散要素)に関しては、正透過となる平坦部と正透過以外の角度となる凹凸部の比率に近似される為、凹凸の傾斜の角度と凹凸の存在確率に関連し、内部拡散に関しては、拡散粒子と透光性樹脂の屈折率差、拡散粒子との衝突確率及び形状に関連し、表面形状と内部拡散の相互作用に関しては、前記相互作用をより弱めあう程度と強めあう程度とに関連することで、黒彩感と切れの良し悪しを決定している。
しかしながら、高水準な暗所黒味を実現するためには、更なる迷光防止が求められるので、さらに、迷光について考察する。
一般に、屈折率nの層と空気との界面において、層内部から光が角度θで界面に入射するときの界面における反射割合は、p偏光の場合をRp、s偏光の場合をRsとすると、反射の法則およびスネルの法則に則って計算することにより以下の式で表される。
Rp=((cosθ−n×cos(arcsin(n×sinθ)))/(cosθ+n×cos(arcsin(n×sinθ))))2
Rs=((cos(arcsin(n×sinθ))−n×cosθ)/(cos(arcsin(n×sinθ))+n×cosθ))2
また、表面凹凸を有する防眩層において、内部拡散が小さい場合の透過拡散角度ψは、表面凹凸の傾斜角度をθs、透光性樹脂の屈折率をnBとしたとき、スネルの法則に基づいて算出され、
ψ=arcsin(nB×sinθs)−θs
となる。
よって、透明基材側から防眩層に入射した映像光が傾斜角度θsなる凹凸表面(防眩層と空気との界面)に入射するとき、上記式においてθ=θs、n=nBとすることができるから、前記凹凸表面での反射割合は上記のRpおよびRsにより表され、それらは前記透過拡散角度ψの関数として表すことができる。そして、RpおよびRsが大きいほど、前記凹凸表面で反射して防眩層内部に戻る光が多くなるため迷光成分が増大する。
一般的な透光性樹脂の屈折率1.50を用いて、上記の式を計算したものを図6に示す。防眩層の表面凹凸はランダムに形成されているから、平均的な反射割合は(Rp+Rs)/2と表すことができる。図6から明らかなように、透過拡散角度が30度を超えると急激に反射が増大し、すなわち迷光成分が急激に増大する。
したがって、迷光成分を発生させないためには、30度以上の透過拡散が存在しないことが好ましく、20度から反射が増大し始めることから透過拡散を20度以下とすることで確実に迷光成分の発生を防止することができる。
そして、これらの光学的性質を実現する為には、拡散粒子による防眩層表面の凹凸形成の機構を以下のように理解することで解決策を見出した。
すなわち、透光性樹脂は硬化するときに体積が収縮する。一方、拡散粒子は収縮することが無いため、透光性樹脂の収縮に拡散粒子が抵抗することで拡散粒子に対応する位置の表面が凸部となって凹凸が形成されるのであるから、拡散粒子が柔軟性を有していれば透光性樹脂の硬化収縮に対する抵抗力が減じることになり表面凹凸の傾斜角は緩やかになる。
しかしながら、柔軟性のある拡散粒子は、低重合度で低架橋密度の粒子であるため、防眩層用塗液中で膨潤しやすく粘度変化やゲル化がおこり、塗工の安定性がなく実用に供し得ないものであった。
本発明においては、以上のように、Q/Uについて注目することを一つの特徴とするが、さらにLog10(Q30/Q)に着目することで課題の解決を確実にするとともに、さらに優れた効果を得るために、他のパラメータ、すなわち、特許請求の範囲の各請求項において規定するような種々のパラメータとの任意の組み合わせにより、本発明の目的を達成することができる。
本発明は、上記拡散粒子の柔軟性による不備を補うものであって、塗工の安定性と透光性樹脂の収縮にたいする抵抗力が適度な範囲となる拡散粒子は、拡散粒子表面に前記含浸層が拡散粒子の半径の5〜40%であればよいことを見出し本発明にいたった。
なお、含浸層の屈折率は拡散粒子の屈折率に比べ、より透光性樹脂の屈折率に近づくため、40%以上含浸すると、上記効果は得られたとしても、透光性樹脂と拡散粒子の屈折率との差により発現していた内部拡散が減少するので、黒しまり性や、殊にギラツキ防止性を損なう恐れもある。
本発明は、上記知見に基づいて完成したものであり、以下の態様を包含する。
(1)透明基材の少なくとも一方の面に、透光性樹脂と拡散粒子を含む防眩層を有し、前記防眩層は前記透明基材とは反対側の面に凹凸を有し、前記凹凸は主に前記透光性樹脂を構成する成分の全部又は一部が含浸した含浸層を有する前記拡散粒子に基づく凸部により形成されてなる防眩シートであって、前記防眩シートに透明基材側から垂直に可視光線を照射した際の正透過方向の輝度をQ、正透過から30度の方向の輝度をQ30、正透過から+2度の方向の輝度と正透過から+1度の方向の輝度とを結ぶ直線、および、正透過から−2度の方向の輝度と正透過から−1度の方向の輝度とを結ぶ直線を各々正透過に外挿した透過強度の平均値をUとしたとき、下記の(式1)および(式2)を満たすことを特徴とする防眩シート。
(式 1) 10<Q/U<36
(式 2) Log10(Q30/Q)<−6
(2)前記防眩層の厚みをT、前記防眩層中での前記透光性粒子の半径をR、前記含浸層の厚みをPとしたとき、下記の(式3)および(式4)を満たすことを特徴とする防眩シート。
(式 3) 0.25<R/T<0.45
(式 4) 5%<P/R<40%
(3)前記防眩シートに透明基材側から垂直に可視光線を照射した際の正透過から20度の方向の輝度をQ20としたとき、下記の(式5)を満たすことを特徴とする防眩シート。
(式 5) Log10(Q20/Q)<−5.5
(4)防眩シートの内部ヘイズ値をHi(%)とし、さらに、防眩シートの全へイズ値をHa(%)としたとき、下記の(式6)を満たすことを特徴とする防眩シート。
(式 6) 0 ≦ Ha−Hi≦4
(5)JIS K7105に基づく防眩シートの透過画像鮮明度での光学櫛0.125mmに対する光学櫛2.0mmの値の比をDとしたとき、下記の(式7)を満たすことを特徴とする防眩シート。
(式 7) D<2
(6)最表層に低屈折率層を形成してなる防眩シート。
(7)上記防眩シートを用いた偏光板。
(8)上記防眩シートまたは上記偏光板を用いた画像表示装置。
(9)透明基材の少なくとも一方の面に、透光性樹脂と拡散粒子を含む防眩層を有し、前記防眩層は前記透明基材とは反対側の面に凹凸を有し、前記凹凸は主に前記透光性樹脂を構成する成分の全部又は一部が含浸した含浸層を有する前記拡散粒子に基づく凸部により形成されてなる防眩シートであって、前記防眩シートに透明基材側から垂直に可視光線を照射した際の正透過方向の輝度をQ、正透過から30度の方向の輝度をQ30、正透過から+2度の方向の輝度と正透過から+1度の方向の輝度とを結ぶ直線、および、正透過から−2度の方向の輝度と正透過から−1度の方向の輝度とを結ぶ直線を各々正透過に外挿した透過強度の平均値をUとしたとき、防眩シートの特性が下記の(式1)および(式2)を満たすように制御することを特徴とする防眩シートの製造方法。
(式 1) 10<Q/U< 36
(式 2) Log10(Q30/Q)<−6
本発明によれば、暗所での高度な黒味および黒彩感、黒艶に優れ、動画用途で許容できる防眩性(動画防眩性)を有し、且つ、実使用に供するに適した画像表示装置用防眩シートとその製造方法を提供することができる。
また、この防眩シートを用いることにより、動画像と静止画像との共用に適した画像表示装置の黒彩感及び画像の切れの改善方法を提供することができる。
球状粒子及び樹脂による反射率を示す図である。 表面傾斜角度に対する反射及び透過の角度を示す図である。 拡散強度分布を示す図である。 本発明の評価方法の原理を説明する概念図である。 本発明における拡散透過強度の測定方法を示す概念図である。 本発明における透過拡散角度と凹凸表面における反射割合の関係を示す図である。 映像光及び外光における拡散粒子と表面凹凸との位置関係による透過及び反射光の特性を説明する図である。 映像光及び外光における拡散粒子と表面凹凸との位置関係による透過及び反射光の特性を説明する図である。 内部拡散粒子と透光性樹脂の屈折率差による光の拡散特性の違いを説明する図である。 内部拡散粒子と透光性樹脂の屈折率差による光の拡散特性の違いを説明する図である。 内部拡散粒子と透光性樹脂の屈折率差による光の拡散特性の違いを説明する図である。 内部拡散粒子と透光性樹脂の屈折率差による光の拡散特性の違いを説明する図である。 本発明の防眩シートの実施の形態の例を示す断面図である。 本発明の防眩シートを用いた偏光板の実施の形態の例を示す断面図である。 本発明の偏光板を用いた液晶表示装置の実施の形態の例を示す断面図である。 本発明の画像表示装置の一つであるプラズマ表示装置のガラス基板の構造を示す模式図である。 本発明の画像表示装置の一つであるプラズマ表示装置の構造を示す模式図である。
本発明の防眩シートは、透明基材の少なくとも一方の面に、透光性樹脂と拡散粒子を含む防眩層を有し、前記防眩層は前記透明基材とは反対側の面に凹凸を有し、前記凹凸は主に前記透光性樹脂を構成する成分の全部又は一部が含浸した含浸層を有する前記拡散粒子に基づく凸部により形成されてなる防眩シートであって、前記防眩シートに透明基材側から垂直に可視光線を照射した際の正透過方向の輝度をQ、正透過から30度の方向の輝度をQ30、正透過から+2度の方向の輝度と正透過から+1度の方向の輝度とを結ぶ直線、および、正透過から−2度の方向の輝度と正透過から−1度の方向の輝度とを結ぶ直線を各々正透過に外挿した透過強度の平均値をUとしたとき、下記の(式1)および(式2)を満たすことを特徴とする防眩シートである。
(式 1) 10 <Q/U< 36
(式 2) Log10(Q30/Q)<−6
以下、図5を用いて、Q及びQ30の測定方法について説明する。図5に示すような液晶表示装置用防眩シートについて5の方向から可視光線を照射すると、6の方向に正透過されるとともに、一部の光が拡散される。この6の方向、すなわち、0度における透過強度が正透過強度Qである。また30度の方向の透過強度が正透過強度Q30である。
また、正透過±2度と正透過±1度での透過強度をそれぞれ測定し、該強度を直線で結び、正透過(0度)に外挿した透過強度の平均を仮想正透過強度Uと定義する(図4参照)。
そして、防眩シートの製造過程において、Q/Uを指標として、材料の選定、製造条件の制御などを行うことにより、黒彩感および動画対応の防眩性(動画防眩性)に優れ、さらには画像の切れに優れた防眩シートを効率よく製造することを可能とするものである。
なお、拡散透過強度の測定は、具体的には以下のように測定する。
(拡散透過強度の測定方法)
防眩シートの裏面から(防眩シートの観察者側と反対側の面)から垂直に可視光線を照射する。光束が防眩シートに入射し、拡散透過した光を−85度〜+85度までの範囲で1度ごとに受光器を走査することにより拡散透過強度を測定する。
なお、拡散透過強度を測定する装置については、特に制限はないが、本発明においては、日本電色工業(株)製「GC5000L」を使用した。なお、本測定においては、−85度〜+85度間での範囲を測定したが、−1、−2、0、+1および+2度のみの測定を行うことで簡便に仮想正透過強度の算出と、正透過強度測定ができるので、オンラインで製造条件などの変更をしながら、指定する範囲内に自動調整することも容易となる。
ここで、「GC5000L」の光束の径は約3mmであって、この径は一般に用いられているゴニオフォトメーターの平均的な光束の径となっている。
そして、本発明に用いる透光性粒子の粒子径は、ミクロンオーダーであり、内部拡散要素である粒子の径に対して、光束の径は1000倍程度大きいものとなっていることから、すなわち、一般にゴニオフォトメーターの測定においては、光束の径は粒子径に比べて十分に大きく、また粒子も均一に分散されていることから、試料のどのポイントに光束を照射したとしても、測定値に有意な差は生じず正確な測定が可能である。
なお、前記Q30および、正透過から20度の方向の透過強度であるQ20は、上記測定法により測定した20度および−20度の平均値をQ20、30度および−30度の平均値をQ30とする。
本発明は、下記式(x)を指標として制御することが特徴である。
Log10(Q30/Q)<−6 (x)
Log10(Q30/Q)が−6未満となるようにすることによって、黒彩感、暗室黒味が優れた液晶表示装置用防眩シートを得ることができる。
さらに、下記式(y)を満たすことにより、より一層暗室での高度な黒味に優れた液晶表示装置用防眩シートを得ることができる。
Log10(Q20/Q)<−5.5 (y)
なお、Q30あるいはQ20が非常に小さくて測定器で検出できない場合は、Log10(Q30/Q)あるいはLog10(Q20/Q)の値を−10.0とする。
さらに、本発明は、下記式(z)を指標として制御することも特徴の一つである。
10<Q/U< 36 (z)
Q/Uが10超となるようにすることによって、黒彩感に優れるとともに、36未満となるようにすることによって動画防眩性に優れた液晶表示装置用防眩シートを得ることができる。
さらに黒彩感および動画防眩性を向上させるので、Q/Uは11.5超、34未満であることがより好ましい。
本発明の液晶表示装置用防眩シートは、上記式(x)および(z)を満足するものである。上記式(x)および(z)を満足する液晶表示装置用防眩シートは、暗所での高度な黒味および黒彩感、黒艶に優れ、動画用途で許容できる防眩性(動画防眩性)を有する液晶表示装置用防眩シートとなる。
本発明の防眩シートにおいて、前記防眩層は、拡散粒子である有機微粒子、及び、前記有機微粒子に含浸性を有する透光性樹脂である(メタ)アクリレートモノマーを含む放射線硬化型透光性樹脂、好ましくは更に有機微粒子を膨潤する溶剤を含有する塗液を、より好ましくは、更に前記透明基材に含浸性を有する塗液を、より一層好ましくは、更に透明基材を膨潤する溶剤を含有する塗液を、透明基材の少なくとも一方の面上に塗布、乾燥して塗膜を形成し、該塗膜を硬化させてなるものである。
拡散粒子である上記有機微粒子は、透光性樹脂である上記放射線硬化型透光性樹脂が含浸した含浸層を有する。なお、以下の説明において、上記含浸層が形成される前の有機微粒子を「有機微粒子(A1)」といい、上記含浸層が形成された有機微粒子、すなわち、拡散層中の有機微粒子を「有機微粒子(A2)」ということとする。
上記含浸層を有することで、上記有機微粒子(A2)は、拡散層の放射線硬化型透光性樹脂の硬化物(以下、透光性樹脂ともいう)との密着性が極めて優れたものとなる。また、有機微粒子(A2)における上記含浸層は、放射線硬化型透光性樹脂と有機微粒子(A2)を構成する材料とが混合した状態で形成されたものであるので、上記拡散層の透過光が上記有機微粒子(A2)(含浸層)と透光性樹脂との界面で反射することを好適に防止することが可能となる。
更に、上記含浸層は、透光性樹脂である上記放射線硬化型透光性樹脂及び/又は溶剤が、有機微粒子(A1)を膨潤させることで好適に形成される層であるため、上記有機微粒子(A2)は、極めて柔軟性に富んだ微粒子である。このため、上記拡散層の表面には該拡散層中の有機微粒子(A2)に対応する位置に凸部が形成されるが、該凸部の形状をなだらかなものとすることができる。なお、この点については、後で更に詳細に説明する。
また、前記透明基材に含浸性を有する塗液および/または、更に膨潤する溶剤を含む塗液では、硬化時に前記透明基材は柔軟性を有するので、前記有機微粒子に接触する部位において凹状に変形することで、拡散層表面の凸部をよりなだらかにすることができる。
上記有機微粒子(A1)を構成する材料としては、後述する放射線硬化型透光性樹脂及び/又は溶剤により膨潤されるものが好ましく、具体的には、例えば、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、又は、これらの共重合体等が挙げられ、なかでも、架橋アクリル樹脂及び架橋アクリル-スチレン共重合樹脂が好適に用いられる。なお、本明細書において、「樹脂」は、モノマー、オリゴマー等の樹脂成分も包含する概念である。
ここで、アクリル樹脂、スチレン樹脂及びアクリル−スチレン共重合体による有機微粒子は、一般的に知られている製造方法で製造する際、いずれも材料としてアクリル−スチレン共重合樹脂を用いることがある。
また、上記有機微粒子(A1)が、コア−シェルタイプの微粒子では、コアにアクリル樹脂からなる微粒子を用いたポリスチレン微粒子や、逆にコアにスチレン樹脂からなる微粒子を用いたポリアクリル微粒子が存在する。
このため、本明細書では、アクリル微粒子、スチレン微粒子及びアクリル−スチレン共重合微粒子の区別については、微粒子の持つ特性(例えば、屈折率)が、どの樹脂に一番近いかで判断するものとする。例えば、微粒子の屈折率が1.50未満であればアクリル微粒子とし、微粒子の屈折率が1.50以上1.59未満であればアクリル−スチレン共重合体微粒子とし、微粒子の屈折率が1.59以上であればスチレン微粒子ととらえることができる。
上記架橋アクリル樹脂としては、例えば、アクリル酸及びアクリル酸エステル、メタクリル酸及びメタクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル等のアクリル系モノマーに、過硫酸等の重合開始剤及びエチレングリコールジメタクリレート等の架橋剤を用いて、懸濁重合法等により重合させて得られる単独重合体や、共重合体が好適である。
上記アクリル系モノマーとして、メチルメタクリレートを用いて得られた架橋アクリル樹脂が特に好適である。
なお、後述する放射線硬化型透光性樹脂及び/又は溶剤による膨潤度合いを調整することで含浸層の厚みを制御することができるが、このためには、放射線硬化型透光性樹脂の含浸量が好ましい範囲となるように架橋の程度を変えておくことが好ましい。
上記有機微粒子(A1)の平均粒径としては、例えば、0.5〜10.0μmの範囲のものが好適である。特に、1.0〜8.0μmの範囲のものがより好適である。上記粒径が0.5μm未満であると、本発明の防眩性フィルムの動画防眩性が不充分となることがあり、10.0μmを超えると、塗膜に対して粒子が大きすぎるので、滑らかな表面凹凸が出来ないことがある。
また、防眩層の厚さTと前記有機微粒子の前記平均粒径の半分である粒子の半径をRとしたとき
0.25<R/T<0.45
を満たすことが好ましい。0.25超であれば好ましい動画防眩性を得ることが出来、0.45未満であれば、透光性粒子が塗膜層最表面に突出したり、凹凸が急峻なものとはならず、滑らかなものとなり、ゆるやかに埋もれさせることで、好ましいコントラストを得ることが担保できるからである。
なお、上記平均粒径とは、拡散層に含有される各々の粒子が、粒度分布測定により、最も多く存在する粒子の粒径を意味する。なお、上記粒径は、主に、コールターカウンター法による重量径(体積径)として計測できる。また、この方法以外に、レーザー回折法、電子顕微鏡観察、光学顕微鏡観察による測定によっても計測できる。
また、透光性粒子の粒径のばらつきが少ないほど、拡散特性にばらつきが少なく、拡散透過強度分布設計が容易となる。より具体的には、重量平均による平均径をMV、累積25%径をd25、累積75%径をd75としたとき、(d75−d25)/MVが0.25以下であることが好ましく、0.20以下であることが更に好ましい。
なお、累積25%径とは、粒径分布における粒径の小さい粒子からカウントして、25重量%となったときの粒子径をいい、累積75%径とは、同様にカウントして75重量%となったときの粒子径をいう。
粒径のばらつきの調整方法としては、例えば、合成反応の条件を調整することで行うことができ、また、合成反応後に分級することも有力な手段である。分級では、その回数を上げることやその程度を強くすることで、望ましい分布の粒子を得ることができる。分級には風力分級法、遠心分級法、沈降分級法、濾過分級法、静電分級法等の方法を用いることが好ましい。なお、透光性粒子が有機微粒子である場合、塗液中の成分が有機微粒子に浸透した含浸層を有する有機微粒子では本来の粒子の粒径と異なることがあり得るが、上記粒径とは、拡散要素を有する層中での粒子の径を言う。
上記拡散層中の有機微粒子(A2)は含浸層を有する。
上記含浸層は、上記拡散層中の有機微粒子(A2)の外表面からその中心に向かって、上記放射線硬化型透光性樹脂が含浸して形成された層である。なお、上記含浸層は、放射線硬化型透光性樹脂のうち低分子量成分、すなわち、主としてモノマーが含浸して形成された層であり、高分子成分である放射線硬化型透光性樹脂の重合物、すなわち、ポリマーやオリゴマーは含浸し難い。モノマーの中でも、重量平均分子量が1000以下のものが好ましい。より好ましくは、含浸しやすいため、重量平均分子量が小さい250〜600以下のモノマー、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、およびその変性品などがよい。
なお本発明の重量平均分子量は、THF溶剤におけるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値として求めたものである。
上記含浸層は、例えば、上記拡散層中の有機微粒子(A2)の断面を電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)観察することで判別することができ、染色することでより含浸層の観察が容易となることがある。
なお、上記含浸層に含浸する放射線硬化型透光性樹脂は、構成する全成分が含浸されたものであってもよく、構成する成分の一部が含浸したものであってもよい。
なお、上記拡散層中に前記有機微粒子とは異なる粒子(B)を含有する場合、前記粒子(B)の拡散層中の平均粒径(B2)は上記有機微粒子(A2)の平均粒径より小さいことが好ましい。上記拡散層の表面の上記微粒子(B)に対応する位置に高さの高い凸部が形成され、白茶けを充分に抑制できなくなる恐れがあるからである。
なお、前記粒子(B)による高さの高い凸部が形成されることを防止することをより確実にする意味から、前記粒子(B)も含浸層を有することが好ましい。
また、上記有機微粒子(A)の含浸層の厚さをP(μm)、有機微粒子の半径をR(μm)とすると下記式を満たすことが好ましい。
5%<P/R<40%
5%以下であると、上述した含浸層を形成することで得られる効果を充分に得られず、40%以上であると、防眩層表面の凸部の形成が不充分となり、動画防眩性が劣ることがあるのみならず、有機微粒子(A2)の内部拡散機能が充分発揮されなくなり、ギラツキの防止効果を充分に得られない。
なお、上記P/Rは、防眩シートの断面電子顕微鏡写真で観察される有機微粒子(A)の断面における含浸層の厚さの平均値を、前記有機微粒子の電子顕微鏡写真に基づく半径の平均値で割った値を意味する。
具体的には、上記拡散層の断面を電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて3000〜5万倍で、含浸層のある微粒子が必ず1個以上存在している任意の5場面を観察し、撮影した後に、含浸層の厚さを微粒子1個につき2点測定し、測定値10点を平均した値として求めることができる。上記含浸層の厚さの測定は、微粒子の周りの透光性樹脂と、微粒子との境目が比較的明瞭であり、かつ、最大含浸しているような部分を2点選択して行う。
ここで、拡散粒子である有機微粒子は、一般的に架橋された構造を有するが、この架橋の程度により上記放射線硬化型透光性樹脂や溶剤による膨潤度合いが異なることとなり、通常、架橋度が高くなると膨潤度が低くなり、架橋度が低いと膨潤度が高くなる。このため、例えば、上記有機微粒子(A2)を構成する材料が上述した架橋アクリル樹脂である場合、上記含浸層の厚さは、該架橋アクリル樹脂の架橋の度合いを適宜調整することで所望の範囲に制御することができる。
本発明の防眩シートにおいて、上記有機微粒子(A1)としては、例えば、事前に、架橋度の異なる有機微粒子を用いた塗液にて防眩シートを作製し、好ましい含浸度合いに合致する有機微粒子を選定して用いればよい。
なお、以下、「高架橋」、「低架橋」という場合があるが、該「高架橋」、「低架橋」とは、下記のように定義することとする。
トルエンとメチルイソブチルケトンの混合物(質量比7:3)を、放射線硬化型透光性樹脂(ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA、製品名:M−450、東亜合成(株)製)60質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬(株)製)10質量部、及びイソシアヌル酸PO変性トリアクリレート(製品名:M−313、東亜合成(株)製)30質量部の混合物)100質量部に対して、190質量部配合した塗液を調製する。
得られた塗液に微粒子を浸漬させ、直後にスポイトにてスライドガラスに載せ、更にその上にカバーガラスを載せる。これを光学顕微鏡で観察し平均粒子径d0(20個の微粒子の平均値)を求めた。さらに浸漬後24時間経たものを同様に光学顕微鏡で観察し平均粒子径d24を求めた。こうして求めた粒径の変化率((d24−d0)/d0)が5%以上の微粒子を「低架橋」、5%未満の微粒子を「高架橋」と定義する。
上記塗液における有機微粒子(A1)の含有量としては特に限定されないが、後述する放射線硬化型透光性樹脂100質量部に対して、0.5〜30質量部であることが好ましい。0.5質量部未満であると、拡散層の表面に充分な凹凸形状を形成することができず、本発明の防眩シートの動画防眩性能が不充分となることがある。
一方、30質量部を超えると、上記塗液中で有機微粒子(A1)同士の凝集が生じ、拡散層の表面に大きな凸部が形成されて所望の性能が得られず、白茶けやギラツキが発生してしまうことがある。
上記有機微粒子(A1)の含有量のより好ましい下限は1.0質量部、より好ましい上限は20質量部である。この範囲内にあることで、より上述の効果を確実にすることができる。
Q/Uおよび、Log10(Q30/Q)、Log10(Q20/Q)を規定することに加えて、さらに防眩層の厚みT、液晶表示装置用防眩シートの総ヘイズHa(%)、内部拡散により生じるヘイズHi(%)、表面の凹凸による拡散(以下外部拡散と称することがある)と前記内部拡散による拡散との相互作用の和としての拡散(Ha−Hi)との関連等や、拡散層の透光性樹脂の組み合わせ、透明基材樹脂等を考慮して選択することにより、液晶表示素子表面に用いる液晶表示装置用防眩シートの性能をさらに向上させることができる。
内部拡散が小さいとギラツキは解消できない。ただし、2.5度以上の拡散角を有する内部拡散が存在する場合に内部拡散により生じるヘイズHiとしてカウントされるので、たとえHiはゼロであっても、適度な内部拡散を有することが必要である。しかし、拡散角の大きい拡散、すなわち、ヘイズとしてカウントされる内部ヘイズHiが大きすぎると解像度の低下、および迷光成分の発生による暗所黒味の低下によりコントラストの低下が顕著となり、さらには切れが悪化する。
なお、コントラストは低下するものの、内部ヘイズを3.0以上とすることで、画角拡大作用により、黒しまり性を向上させることができる。
また、本発明は、従来考えられていたように総ヘイズは内部拡散と表面拡散の和となるのではなく、総ヘイズは内部拡散と表面拡散以外に両拡散要素の位置関係が影響するという知見によるもの、すなわち、総ヘイズは、内部ヘイズ+外部へイズ+内部拡散要素と表面凹凸との相互作用によるヘイズである、ということを基本思想としている。
したがって、液晶表示装置用防眩シートのヘイズをHa、内部拡散により生じるヘイズをHiとすると、Ha−Hiは、内部拡散要素と表面凹凸との相互作用によるヘイズおよび外部ヘイズの和と言うことができる。
動画視聴の場合では、動画像の高度な画質の実現の為、黒彩感が求められており、かつ動画防眩性は映り込み像の輪郭がわずかに認識できない程度のものであればよい為、ヘイズ(Ha−Hi)は低い傾向が好適となる。また、拡散角が2.5度未満の場合はヘイズとしてカウントされないので、ヘイズ(Ha−Hi)はこれまで不適とされてきた0であってもQ/U値が所望の範囲であればよく、より好ましくは0%以上4%以下であり、更により好ましくは0%以上2%以下である。
さらに、防眩層を構成する透明樹脂と拡散粒子の屈折率差が0.005〜0.25であることが好ましい。屈折率差が0.005以上であると、ギラツキを抑制することができ、0.25以下であると拡散透過強度分布設計が容易となる。以上の観点から、該屈折率差は0.01〜0.2が好ましく、0.015〜0.15であることがより好ましい。
なお、殊に、拡散粒子が有機微粒子で塗液中の成分が有機微粒子に浸透した含浸層を有する有機微粒子であって、且つ、有機微粒子の中心部に塗液中の成分が含浸していない有機微粒子を用いると、有機微粒子と透光性樹脂との界面の屈折率差が小さくなるので反射が抑制されるので迷光成分が発生しづらく且つ、有機微粒子内部は透光性樹脂との屈折率差が大きいので内部拡散は維持されるので、迷光成分の発生の防止とギラツキの防止の両立を図りやすいのでより好ましい。
なお、上記含浸層の含浸量を増やすためには、例えば、有機微粒子の架橋密度を低くしたり、含浸性の溶剤を共用したり、塗液静置温度を高くする等々が選択できるが、事前に好ましい含浸量となる条件を選定しておくことが肝要である。
前記含浸層を有する有機微粒子においては、前述の表面凹凸制御の観点からは、P/Rが5〜40%の範囲が好ましいが、内部拡散性能を維持するとの観点からは、塗液中の成分が含浸していない中心部が可視光波長以上の径を有することが好ましく、1μm以上の径を有することがより好ましい。
なお、上記中心部の含浸していない部分の径は、具体的には、上記拡散層の断面を電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて3000〜5万倍で、含浸層のある微粒子が必ず1個以上存在している任意の5場面を観察し、撮影した後に、上記中心部の含浸していない部分の径を測定し、測定値10点を平均した値として求めることができる。
また、粒子径や粒子上部に存在する透光性樹脂の厚みについても、粒子中心近傍を通る断面を撮影することにより、上記と同様の方法で観察及び測定し、平均値より求めることが出来る。
なお、ギラツキの防止の観点からは、JIS K7105に基づく防眩シートの透過画像鮮明度での光学櫛0.125mmに対する光学櫛2.0mmの値の比Dは、2未満であることが好ましい。光学櫛0.125mmでの値は正透過近傍の拡散の大きさ(値が小さいほど拡散は大きい)を表し、これは映像光の微細なゆがみ、すなわち、ギラツキの原因となる。一方、2.0mmの光学櫛での値はより広範囲の拡散の大きさ、すなわち、ギラツキを目立たなくさせる効果を表し、値が大きいほどその効果は小さくなる。したがって、透過画像鮮明度は光学櫛0.125mmでの値は低いほど、また、光学櫛2.0mmでの値は高いほどギラツキが悪くなる。よって、前記Dによりこの関係を表すことができ、2以上であると、ギラツキが目立つようになる。前記Dは、1.9未満であることがより好ましく、1.4未満であることが更により好ましい。
なお、透光性粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中、透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定する他、カーギル試薬を用いるなどの方法により測定される。
これらの屈折率は、材料自身を測定する以外に、実際に液晶表示装置用防眩シートとした後に、粒子または粒子のかけらを膜から取り出して測定したり、防眩シートの切断面をエリプソメーターで測定する方法、防眩シートのレーザー干渉を測定する方法等により測定することもできる。
また実質的に透光性樹脂との屈折率の差がなく、且つ、可視光波長より大きく拡散層厚みより小さい粒子を用いることで、表面凹凸だけを単独に設けることも可能で、ことに内部および表面凹凸の相互作用の調整に有用である。なお、実質的に透光性樹脂との屈折率の差がないとは、光学顕微鏡の観察では粒子の存在が見えないことである。
本発明の防眩シートにおいて、透光性樹脂である上記放射線硬化型透光性樹脂としては、(メタ)アクリレートモノマーを必須成分として含むものである。
このような上記放射線硬化型透光性樹脂としては、上述した有機微粒子(A1)を膨潤させるものが好適に挙げられ、透明性のものが好ましく、例えば、紫外線又は電子線により硬化する電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレート及びアクリレートを指すものである。
また、本明細書において、モノマーとは、電離放射線硬化してポリマー膜となるために、このポリマー膜の基本構造の構成単位となりうる分子を全て含み、不飽和結合を有する。
つまり、オリゴマーやプレポリマーが硬化膜の基本単位であれば、オリゴマーやプレポリマーも含まれる。
本発明において、含浸性を有する低分子量のモノマーは、重量平均分子量が1000以下であることが好ましく、250〜600であることがより好ましい。
モノマー、オリゴマー及びプレポリマーの官能基としては、電離放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられる。
また、プレポリマー及びオリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等のアクリレート、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂等が挙げられる。
モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF EO変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA EO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、等のアクリル系モノマー;トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコール等の分子中に2個以上のチオール基を有するポリオール化合物、また、2以上の不飽和結合を有するウレタン(メタ)アクリレートやポリエステル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ことに、多官能アクリレートであることが好ましく、なかでも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
また、透光性樹脂として、ポリマーを上記樹脂組成物に添加して用いることも可能である。ポリマーとしては、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等が挙げられる。
ポリマーを添加することで、塗液の粘度調整が可能であり、このことによって、塗工を容易にするとともに、粒子の凝集による凹凸形成の調整が容易になったり、粒子の沈降の制御が可能となるといった利点があり、表面拡散及び内部拡散と表面凹凸の相互作用を制御することができる。ポリマーの好ましい重量平均分子量は、2万〜10万である。2万未満であると粘度調整するためには、添加量を多くする必要があり、防眩層の硬度が低下するおそれがあり、10万以上であると粘度が高すぎ、塗工性が低下するおそれや、また、重量平均分子量が大きすぎる化合物が組成物に存在すると、硬化反応時に架橋阻害原因となり硬度が低下するおそれがあるからである。
上記樹脂組成物には、必要に応じて、光ラジカル重合開始剤を添加することができる。光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物等が用いられる。
アセトフェノン類としては、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ−ジメチル−p−イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン等が挙げられ、ベンゾイン類としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等が挙げられる。
また、ベンゾフェノン類としては、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等が使用可能である。
光増感剤を混合して用いることもでき、その具体例としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
また、前記電離放射線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂に相溶性ポリマーの添加や、光の波長以下の微粒子、例えば100nm以下の微粒子を充填材として添加することで、硬化時、微粒子に沿って樹脂が重合収縮し、微粒子の形状が表面凹凸に大きく反映し、凹凸傾斜角度が大きくなる場合があるが、そのときの重合収縮を減じさせ防眩層表面の傾斜角度を小さくすることができ、全体の凹凸形状をより滑らかにすることができるので、適度な外部拡散性を得ることも可能である。
さらには、前記電離放射線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂に高屈折率または低屈折率の100nm以下の微粒子を添加することで、透明樹脂の屈折率を調整することで内部拡散を制御することも可能である。
ただし、透光性樹脂中にオルガノシランを含有する場合には、塗液中の樹脂、溶剤系、粒子の親油、親水度合いの組み合わせにより、粒子の凝集性の変化が大きく、光学特性が安定しないのでオルガノシランの使用は避けることが好ましい。
この原因は、一種類の粒子であっても、例えば、乾燥途上で(通常2種以上入れるので)溶剤の揮発性の差により組成変動が生じるので、凝集と分散とを制御が困難となるためであると類推している。このことは、殊に親油、親水度合いが異なる二種以上の粒子を用いる、場合に顕著である。そのため急峻な凹凸などが生じる点などで、ガサツキやギラツキの制御ができなくなる恐れがある。
また、上記放射線硬化性樹脂組成物には、通常、粘度を調節したり、各成分を溶解または分散可能とするために溶剤を用いる。該溶剤は、用いる溶剤の種類によって、有機微粒子の含浸層厚が異なるのみならず、塗布、乾燥の工程により塗膜の表面状態が異なるため、外部拡散による透過強度分布を調整し得ることを考慮して、適宜選択することが好ましい。
具体的には、飽和蒸気圧、透明基材への浸透性等を考慮して選定される。
透明基材への、塗液中の低分子量成分の含浸量を調整することによって、防眩層の厚さを制御することに繋がり、また、前記透明基材に含浸したことでその基材表面が柔軟性を持ち、防眩層の硬化収縮を吸収する作用を有することにより、結果として前述の如く表面凹凸形状を調整することができる。特に、透明基材がセルロース系樹脂からなる場合に本手法は有効である。
また、粒子に含浸性を有する溶剤を用いることで、透明樹脂の成分の少なくとも一部が粒子に浸透しやすくなり、前述の含浸層の調整が可能となり拡散透過強度を制御することにつながる。
透光性樹脂である上記放射線硬化型透光性樹脂、及び、溶剤は、いずれも上記有機微粒子(A1)を膨潤させる性質のものを選択して用いてもよいが、いずれか一方のみが上記有機微粒子(A1)を膨潤させる性質のものを選択して用いてもよい。
なお、上記有機微粒子(A1)の含浸層の形成は、該有機微粒子(A1)を膨潤させる性質を持つ溶剤が存在することで、上記放射線硬化型透光性樹脂の膨潤性の程度によらず、より確実に行うことができるので、少なくとも上記溶剤は、上記有機微粒子(A1)を膨潤させる性質を持つ溶剤を含有することがより好ましい。
これは、上記有機微粒子(A1)に、まず、上記溶剤が作用して上記有機微粒子(A1)が膨潤し、次いで上記放射線硬化透光性樹脂に含まれる低分子量成分が含浸してゆくためであると類推している。
本発明の防眩性フィルムでは、上記放射線硬化型透光性樹脂及び溶剤の組み合わせとしては、なかでも、放射線硬化型透光性樹脂として、分子量が小さく含浸しやすいことから(メタ)アクリレートモノマーと、溶剤として、上記有機微粒子(A1)を膨潤させる性質の強いケトン、エステル系とを組み合わせて用いることが好ましい。
また、上記溶剤を混合して用いることで有機微粒子(A1)の膨潤度合いを調整することにより、上記放射線硬化型透光性樹脂に含まれる低分子量成分の含浸量を制御することができる。
溶剤としては、上記観点から適宜選択することができるが、具体的には、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤や、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノンなどのケトン類が好適に挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
芳香族系溶剤の少なくとも1種とケトン類の少なくとも1種を混合して使用することが好ましい。その他、乾燥速度を制御するために、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類やセロソルブアセテート類、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類を混合してもよい。
本発明にかかる液晶表示装置用防眩シートにおいて、透光性樹脂、すなわち透明樹脂中に透光性粒子以外の添加剤が、必要に応じて配合される。
例えば、硬度などの物理特性、反射率、拡散性などの光学特性などの向上のため、各種無機粒子を添加することができる。
無機粒子としては、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモン等の金属やZrO、TiO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITO、ATO、SiO等の金属酸化物が挙げられる。その他カーボン、MgF、珪素、BaSO、CaCO、タルク、カオリン、スメクタイトなどが含まれる。
該無機粒子の粒径は、拡散透過強度分布への影響を少なくするために、防眩層を塗工する際の樹脂組成物中でなるべく微細化されていることが好ましく、平均粒径が100nm以下の範囲であることが好ましい。無機粒子を100nm以下に微細化することで透明性を損なわない液晶表示装置用防眩シートを形成できる。なお、無機粒子の粒子径は、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
また本発明では、凝集防止効果及び沈降防止効果、その他、レベリング性などの特性の向上のため、各種界面活性剤を用いることができる。
界面活性剤としては、シリコーンオイル、フッ素系界面活性剤、好ましくはパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系界面活性剤などが挙げられる。溶剤を含む樹脂組成物を塗工し、乾燥する場合、塗膜内において膜表面と内面とに表面張力差などを生じ、それによって膜内に多数の対流が引き起こされる。この対流はベナードセル構造のゆず肌や塗工欠陥となる。
また、黒彩感や画像のキレなどに悪影響を及ぼす。前述のような界面活性剤を用いると、この対流を防止することができるため、欠陥やムラのない凹凸膜が得られるだけでなく、透過拡散輝度特性の調整も容易となる。
さらに、本発明では防汚剤、帯電防止剤、着色剤(顔料、染料)、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤などを添加することができる。
本発明の液晶表示装置用防眩シートに用いられる透明基材としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートや透明ガラスなど、通常液晶表示装置用防眩シートに用いられるものであれば特に限定はない。
透明樹脂フィルムとしては、トリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)、ジアセチルセルロースフィルム、アセチルブチルセルロースフィルム、アセチルプロピルセルロースフィルム、環状ポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリロニトリルフィルム、ポリノルボルネン系樹脂フィルム等が使用できる。
特に、含浸性故に表面凹凸を滑らかにし易いこと以外にも、本発明の液晶表示装置用防眩シートを偏光板とともに用いる場合では、偏光を乱さないことからTACフィルムが、耐候性から環状ポリオレフィンフィルムが、機械的強度と平滑性を重視する場合は、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのポリエステルフィルムが好ましい。
また、前記透明基材は多層であっても単層であってもよいし、塗膜との接着性を目的として表面にプライマー層を設けてもよい。
また、透明基材と塗膜層に実質的な屈折率差がある場合に界面で生じる干渉縞を防止するために、透明基材に含浸する塗液を用いる以外にも、例えば透明基板と塗膜層との間に中間の屈折率をもつ干渉縞防止層を設けることや、表面粗さ(十点平均粗さRz)として、0.3〜1.5μm程度の凹凸を設けておくことも可能である。
なお、Rzは、JIS B0601 1994に準拠した方法を元に、カットオフ値を2.5mm、評価速さを0.5mm/sとして測定した値である。
本発明にかかる液晶表示装置用防眩シートには、ハードコート性、耐映り込み性、反射防止性、帯電防止性、防汚性等の機能を持たせることが可能である。ハードコート性は、通常、鉛筆硬度(JIS K5400に準拠して測定)やスチールウール#0000で荷重をかけながら10往復擦り試験を行い、裏面に黒テープを貼付した状態でキズが確認されない最大荷重で評価する(耐スチールウール擦り性)。
本発明にかかる液晶表示装置用防眩シートにおいては、鉛筆硬度ではH以上が好ましく、2H以上がさらに好ましい。
また、耐スチールウール擦り性では、10往復擦り試験をしてもキズが確認されない最大荷重は、200g/cm 2以上であることが好ましく、500g/cm 2以上であることがさらに好ましく、700g/cm 2以上であることが特に好ましい。
また、液晶表示装置用防眩シート表面での静電気防止の点で帯電防止性能を付与することが好ましい。
帯電防止性能を付与するには、例えば、導電性微粒子、導電性ポリマー、4級アンモニウム塩、チオフェンなどと反応性硬化樹脂を含む導電性塗工液を塗工する方法、或いは透明膜を形成する金属や金属酸化物等を蒸着やスパッタリングして導電性薄膜を形成する方法等の従来公知の方法を挙げることができる。
また、帯電防止層をハードコート、耐映りこみ性、反射防止等の機能層の一部として使用することもできる。
帯電防止性を示す指標として表面抵抗値があり、本発明では、表面抵抗値が、1012Ω/□以下が好ましく、1011Ω/□以下がさらに好ましく、1010Ω/□以下が特に好ましい。
また、該光学フィルムが蓄積できる最大電圧である、いわゆる飽和帯電圧としては、10kVの印加電圧で2kV以下であることが好ましい。
また、本発明の液晶表示装置用防眩シートの最表面には防汚層を設けることができる。防汚層は表面エネルギーを下げ、親水性あるいは親油性の汚れを付きにくくするものである。
防汚層は防汚剤の添加により付与することができ、防汚剤としては、フッ素系化合物、珪素系化合物、またはこれらの混合物が挙げられ、特にフロロアルキル基を有する化合物が好ましい。
また、本発明の液晶表示装置用防眩シートの最表面には、その表面に低屈折率層が積層される表面層よりも屈折率が低い低屈折率層を設けることができる。
前記低屈折率層は、0.1μm程度の厚みを有する層であって、外光の反射を干渉により低減するものである。前記低屈折率層は、なんら限定されることは無いが、多孔質または中空シリカを添加した紫外線硬化樹脂を含む塗液を塗布及び硬化により形成することが好ましい。前記塗液を塗布及び硬化することにより、防眩層表面の凸部に存在した微小でシャープな凹凸がスムージングされてより滑らかになり、反射防止効果に加えて、より一層黒彩感の向上を図ることができる。
本発明の液晶表示装置用防眩シートは、透明基材に最表面に凹凸形状を有する防眩層を構成する樹脂組成物を塗布して製造する。
塗布の方法としては、種々の方法を用いることができ、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ブレードコート法、マイクログラビアコート法、スプレーコート法、スピンコート法、リバースコート法等の公知の方法が用いられる。
本発明においては、塗布量により透過拡散輝度特性が変化するので、内部に拡散要素を有する層と透明樹脂層との厚みの和を3.0〜10.0μmの範囲で安定して得やすいロールコート法、グラビアコート法、ダイコート法、リバースコート法が好ましい。
なお、前記塗液は、拡散層を形成する前に所定時間静置することが好ましい。
上記塗液を調製して静置することなく防眩層を形成すると、使用する有機微粒子(A)の架橋度や、放射線硬化型透光性樹脂及び/又は溶剤による上記有機微粒子(A)の膨潤の度合いを適宜調整した場合であっても、拡散層中の有機微粒子(A2)に充分な含浸層を形成することができないことがあるからである。
上記塗液の静置時間としては、用いる有機微粒子(A)の種類、架橋度及び粒径、並びに、用いる放射線硬化型透光性樹脂及び/又は溶剤の種類等により適宜調整すればよいが、例えば、12〜48時間程度であることが好ましい。
前記の方法のいずれかで塗布した後、溶剤を乾燥するために加熱されたゾーンに搬送され各種の公知の方法で溶剤を乾燥する。ここで溶剤相対蒸発速度、固形分濃度、塗布液温度、乾燥温度、乾燥風の風速、乾燥時間、乾燥ゾーンの溶剤雰囲気濃度等を選定することにより、表面凹凸形状のプロファイルによる外部拡散及び前記透光性粒子や前記添加剤による内部拡散を調整できる。
特に、乾燥条件の選定によって透過拡散輝度特性を調整する方法が簡便で好ましい。具体的な乾燥温度としては、30〜120℃、乾燥風速では0.2〜50m/sであることが好ましく、この範囲内で適宜調整することで透過拡散輝度特性を調整することができる。
より具体的には、溶剤の種類と乾燥温度を制御することで、樹脂及び溶剤の基材への浸透性が調整できる。すなわち、溶剤条件が同じ場合には乾燥温度を制御することで、樹脂及び溶剤の基材への浸透性を調整することができ、上述したように、表面凹凸形状を制御することにつながる。
[評価方法]
1.膜厚:T(μm)の測定方法
共焦点レーザー顕微鏡(LeicaTCS-NT:ライカ社製:対物レンズ「10〜100倍」)にて、防眩シートの断面を観察し、界面の有無を判断し下記の評価基準で判断した。
測定手順
(1)ハレーションのない鮮明な画像を得るため、共焦点レーザー顕微鏡に、湿式の対物レンズを使用し、かつ、光学積層体の上に屈折率1.518のオイルを約2ml乗せて観察した。オイルの使用は、対物レンズと防眩層との間の空気層を消失させるために用いた。
(2)1画面につき凹凸の最大凸部、最小凹部の基材からの膜厚を1点ずつ計2点測定し、それを5画面分、計10点測定し、平均値を塗膜厚として算出した。なお、上記共焦点レーザー顕微鏡にて界面が明確にわからない液晶表示装置用防眩シートの場合は、ミクロトームなどで断面を作成し、電子顕微鏡観察によって、上記2と同様に膜厚を算出することもできる。
2.総ヘイズ:Ha(%)測定方法
総ヘイズ値は、JIS K−7136に従って測定することができる。測定機器として、ヘーズメーターHM−150(村上色彩技術研究所)を使用した。なお、ヘイズ、は、透明基材面を光源に向けて測定する。
3.内部へイズ:Hi(%)測定方法
本発明で使用している内部ヘイズは、以下のように求められる。液晶表示装置用防眩シートの観察者面側最表面にある凹凸上に、表面凹凸を形成する樹脂と屈折率が等しいか少なくとも屈折率差が0.02以下である樹脂、本発明の場合は各実施例・比較例から微粒子を除いたものをワイヤーバーで乾燥膜厚が8μmとなるように塗布し、70℃で1分間乾燥後、100mj/cm2の紫外線を照射して硬化する。
これによって、表面にある凹凸がつぶれ、平坦な表面となる。ただし、この凹凸形状を有する防眩層を形成する組成物中にレベリング剤などが入っていることで、上記リコート剤がはじきやすく濡れにくいような場合は、あらかじめ液晶表示装置用防眩シートをケン化処理(2mol/lのNaOH(又はKOH)溶液55度3分浸したのち、水洗し、キムワイプなどで水滴を完全に除去した後、50度オーブンで1分乾燥)により、親水処理を施すとよい。この表面を平坦にしたシートは、表面凹凸をもたず、相互作用もないので、内部ヘイズだけを持つ状態となっている。
このシートのヘイズを、JIS K−7136に従って総ヘイズと同様な方法で測定し、内部ヘイズとして求めることができる。
4.正透過強度Q、仮想正透過強度U、Q20およびQ30の測定
各製造例にて作製された液晶表示装置用防眩シートについて、明細書本文中に記載の方法により測定した。
5.映像の評価
ソニー社製液晶テレビ「KDL−40X2500」の最表面の偏光板を剥離し、表面塗布のない偏光板を貼付した。
次いで、その上に各製造例で作成したサンプルを防眩層側が最表面となるように、光学フィルム用透明粘着フィルム(全光線透過率91%以上、ヘイズ0.3%以下、膜厚20〜50μmの製品、例えばMHMシリーズ:日栄加工(株)製など)により貼付した。
該液晶テレビを、照度が約1,000Lxの環境下の室内に設置し、メディアファクトリー社のDVD「オペラ座の怪人」を表示して、液晶テレビから1.5〜2.0m程度離れた場所から上下、左右様々な角度から、該映像を被験者15人が鑑賞することで、下記項目に関して3段階評価の感応評価を実施した。評価基準は以下のとおりである。
(1)黒彩感;動画像表示のとき、コントラスト(黒艶及び黒しまり)が高く、立体感があり、かつ画像にテリや輝きがあり、躍動感を感じるか否かで判定した。
立体感
○:良好と答えた人が10人以上
△:良好と答えた人が5〜9人
×:良好と答えた人が4人以下
躍動感
○:良好と答えた人が10人以上
△:良好と答えた人が5〜9人
×:良好と答えた人が4人以下
黒彩感
○:立体感及び躍動感が全て○以上
△:立体感及び躍動感が○及び△/又はともに△である
×:立体感及び躍動感に一つでも×がある
(2)動画防眩性;動画像表示のとき、耐映り込み性(観測者及び観測者の背景の映り込みが気にならない状態)に優れ、動画像が映えて見えるか否かで判定した。観測者及び観測者の背景の映り込みが気にならない状態とは、観測者がいることは認められるが、その輪郭だけは不明瞭なぼやけた状態であり、背景にある物も存在は認められるが、輪郭や境界が不明瞭になっている状態である。また、背景に白い壁があった場合、白い壁が存在することは認められるが、白がぼやけた状態で、壁の境界線が不明瞭な状態である。このように、輪郭などがぼやけるだけで、観測者にとっては映り込みが気にならない状態となる。この防眩性は、従来の防眩性のように、観測者や背景が完全に映り込まない、完全にぼやけ、不明瞭になる状態とは異なる。
○:良好と答えた人が10人以上
△:良好と答えた人が5〜9人
×:良好と答えた人が4人以下
(3)ギラツキ:静止画像表示のとき、ギラツキが許容できるか否かで判定した。
○:ギラツキが許容できると答えた人が10人以上
△:ギラツキが許容できると答えた人が5〜9人
×:ギラツキが許容できると答えた人が4人以下
(4)黒しまり:上記液晶テレビを、真正面から電源off時の黒味および電源on時の黒味(黒い画像)を評価した。黒さという基準で表した。
○:良好と答えた人が10人以上
△:良好と答えた人が5〜9人
×:良好と答えた人が4人以下
(5)黒艶:黒色アクリル板に液晶表示装置用防眩シートを前記光学フィルム用透明粘着フィルムを用いて貼合した資料を、水平面に置き、三波長線管を点灯させた状態で45度入射面につき正反射方向から被験者15人が目視官能評価を行い、艶のある黒色を再現することができるか否かにより判定する。
○:良好と答えた人が10人以上
△:良好と答えた人が5〜9人
×:良好と答えた人が4人以下
(6)暗所黒味:上記液晶テレビについて、照度を5Lx以下の環境下の室内に設置し、黒色の画面を表示して、液晶テレビから1.5〜2.0m程度離れた場所から上下、左右様々な角度から、該映像を被験者15人が鑑賞することで下記項目に関して3段階評価の感応評価を実施した。なお、この際の黒色の画面表示については、別途外部接続したノートパソコン(ソニー製VAIO)の画面を表示させ、背景色を全面「黒色」とした。評価基準は以下のとおりであり、最も多かった評価結果を最終結果とした。暗所での黒表示において、グレーがかったり、乳白色混じりの印象を感じず、黒く見えるか否かで判定した。
○:良好と答えた人が10人以上
△:良好と答えた人が5〜9人
×:良好と答えた人が4人以下
6.透過画像鮮明度での光学櫛0.125mmに対する光学櫛2.0mmの値の比D
JIS K7105に基づき防眩シートの透過画像鮮明度での光学櫛0.125mmおよび2.0mmの値を求めその比を計算する。測定機器として、写像性測定器ICM−1T(スガ試験機)を使用した。
7.含浸層の厚さ
実施例及び比較例で得られた防眩性フィルムについて、拡散層の厚さ方向に切断し、拡散粒子である有機微粒子(A)を1個以上少なくとも含む断面を倍率3000〜5万倍で透過型電子顕微鏡(STEM)にて観察を行い、放射線硬化型透光性樹脂が有機微粒子(A)に含浸している部分で、有機微粒子(A)と周りの透光性樹脂との境界が比較的明瞭であり、かつ、有機微粒子(A)内に放射線硬化型透光性樹脂が最も含浸していると見られる部分2点の厚さを測定し、合計5個の有機微粒子(A)について同様に測定し、10点の測定結果の平均値を算出した。
本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらによってなんら限定されるものではない。
(実施例1)
透明基材としてトリアセチルセルロース(富士フィルム(株)製、厚さ80μm)を用意した。
次に、透光性樹脂である放射線硬化型透光性樹脂として、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA、製品名:M−450、東亜合成(株)製)60質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬(株)製)10質量部、及びイソシアヌル酸PO変性トリアクリレート(製品名:M−313、東亜合成(株)製)30質量部の混合物を用い(屈折率1.51)、これに拡散粒子である有機微粒子(A)として、アクリル粒子(屈折率1.49、平均粒径5.0μm)を、上記放射線硬化型透光性樹脂100質量部に対して、9.0質量部、これに溶剤としてトルエンとメチルイソブチルケトンとの混合物(質量比7:3)を、放射線硬化型透光性樹脂100質量部に対して、190質量部、及び重合開始剤イルガキュア184(BASFジャパン製)、レベリング剤ポリエーテル変性シリコーン(TSF4460、モメンティブパフォーマンスマテリアルズ製)を、上記放射線硬化型透光性樹脂100質量部に対して、それぞれ5質量部、0.04質量部配合して塗液を調製した。
得られた塗液を24時間静置した後、マイヤーバーを用いて光透過性基材に塗工し、1.2m/sの流速で70℃の乾燥空気を流通させ、1分間乾燥させた。
その後、塗膜に紫外線を照射して(窒素雰囲気下にて200mJ/cm2)放射線硬化型透光性樹脂を硬化させて拡散層を形成し、防眩シートを作製した。
(実施例2〜10)
塗液に添加する各成分、及び、条件を表1に示したようにした以外は、実施例1と同様にして防眩性フィルムを作製した。なお、2種類の粒子を用いる場合の粒子(B)の添加量は粒子(A)の添加量の30%とした。また、粒子(B)の含浸%は粒子(A)の測定に準じて行った。
(比較例1〜7)
塗液に添加する各成分、及び、条件を表1に示したようにした以外は、実施例2と同様にして防眩シートを作製した。
表1において、有機微粒子(A)、微粒子(B)、放射線硬化型透光性樹脂及び溶剤において示した記号の詳細は以下のとおりである。
(微粒子A)
A:低架橋アクリル粒子(屈折率1.49、平均粒径5.0μm)
B:高架橋アクリル粒子(屈折率1.49、平均粒径5.0μm)
C:低架橋アクリル粒子(屈折率1.49、平均粒径3.5μm)
(粒子B)
D:高架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.59、平均粒径2.5μm)
E:低架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.59、平均粒径2.5μm)
(透光性樹脂)
P:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA、製品名:M−450、東亜合成(株)製)60質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬(株)製)10質量部、及びイソシアヌル酸PO変性トリアクリレート(製品名:M−313、東亜合成(株)製)30質量部の混合物(屈折率1.51)
Q:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA、製品名:M−450、東亜合成(株)製)(屈折率1.51)
R:酢酸ビニル樹脂(重量平均分子量100,000)55質量部とメタクリル酸メチル樹脂(重量平均分子量75,000)45質量部との混合物(屈折率1.47)
(溶剤)
X:トルエンとメチルエチルケトンの混合物(質量比71:28)
Y:トルエンとメチルイソブチルケトンの混合物(質量比70:30)
Z:トルエンとイソプロピルアルコールの混合物(質量比75:25)
実施例及び比較例で得られた防眩シートについて、その結果を表1に示す。
表1に示したように、実施例に係る防眩シートは、拡散層中の有機微粒子(A)に適度な含浸層が形成されていたため、優れた光学特性を有することが確認された。
本発明の画像表示装置用防眩シートによれば、暗所黒味、黒彩感に優れ、かつ動画防眩性に優れた画像表示装置を得ることができる。
そして、この防眩シートを用いることにより、動画像と静止画像との共用に適した画像表示装置の黒彩感及び画像の切れを改善することができる。
1.7.防眩シート
2.8.防眩層
3.拡散粒子
4.透光性樹脂
5.9.11.透明基材
6.12.偏光板
10.偏光層
13.ガラス基板
14.カラーフィルタ
15.透明電極
16.液晶セル
17.バックライト
18.ガラス基板(前面板)
19.表示電極(透明電極+パス電極)
20.透明誘電体層
21.MgO
22.誘電体層
23.ガラス基板(背面板)
24.アドレス電極
25.蛍光体
26.プラズマ表示パネル(PDP)
27.前面フィルタ
28.スペーサー
29.筺体
30.ビス
31.前面(表示面)


Claims (15)

  1. 透明基材の少なくとも一方の面に、透光性樹脂と拡散粒子を含む防眩層を有し、前記防眩層は前記透明基材とは反対側の面に凹凸を有し、前記凹凸は主に前記透光性樹脂を構成する成分の全部又は一部が含浸した含浸層を有する前記拡散粒子に基づく凸部により形成されてなる防眩シートであって、前記防眩シートに透明基材側から垂直に可視光線を照射した際の正透過方向の輝度をQ、正透過から30度の方向の輝度をQ30、正透過から+2度の方向の輝度と正透過から+1度の方向の輝度とを結ぶ直線、および、正透過から−2度の方向の輝度と正透過から−1度の方向の輝度とを結ぶ直線を各々正透過に外挿した透過強度の平均値をUとしたとき、下記の(式1)および(式2)を満たすことを特徴とする防眩シート。
    (式 1) 10<Q/U< 36
    (式 2) Log10(Q30/Q)<−6
  2. 前記防眩層の厚みをT、前記防眩層中での前記透光性粒子の半径をR、前記含浸層の厚みをPとしたとき、下記の(式3)および(式4)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の防眩シート。
    (式 3) 0.25<R/T<0.45
    (式 4) 5%<P/R<40%
  3. 前記防眩シートに透明基材側から垂直に可視光線を照射した際の正透過から20度の方向の輝度をQ20としたとき、下記の(式5)を満たすことを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項に記載の防眩シート。
    (式 5) Log10(Q20/Q)<−5.5
  4. 防眩シートの内部ヘイズ値をHi(%)とし、さらに、防眩シートの全へイズ値をHa(%)としたとき、下記の(式6)を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の防眩シート。
    (式 6) 0 ≦ Ha−Hi≦4
  5. JIS K7105に基づく防眩シートの透過画像鮮明度での光学櫛0.125mmに対する光学櫛2.0mmの値の比をDとしたとき、下記の(式7)を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の防眩シート。
    (式 7) D<2
  6. 最表層に低屈折率層を形成してなる請求項1乃至5のいずれか1項に記載の防眩シート。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の防眩シートを用いた偏光板。
  8. 請求項1乃至6記載の防眩シートまたは請求項7記載の偏光板を用いた画像表示装置。
  9. 透明基材の少なくとも一方の面に、透光性樹脂と拡散粒子を含む防眩層を有し、前記防眩層は前記透明基材とは反対側の面に凹凸を有し、前記凹凸は主に前記透光性樹脂を構成する成分の全部又は一部が含浸した含浸層を有する前記拡散粒子に基づく凸部により形成されてなる防眩シートであって、前記防眩シートに透明基材側から垂直に可視光線を照射した際の正透過方向の輝度をQ、正透過から30度の方向の輝度をQ30、正透過から+2度の方向の輝度と正透過から+1度の方向の輝度とを結ぶ直線、および、正透過から−2度の方向の輝度と正透過から−1度の方向の輝度とを結ぶ直線を各々正透過に外挿した透過強度の平均値をUとしたとき、防眩シートの特性が下記の(式8)および(式9)を満たすように制御することを特徴とする防眩シートの製造方法。
    (式 8) 10 <Q/U<36
    (式 9) Log10(Q30/Q)<−6
  10. 透明基材の少なくとも一方の面に、透光性樹脂と拡散粒子を含む防眩層を有し、前記防眩層は前記透明基材とは反対側の面に凹凸を有し、前記凹凸は主に前記透光性樹脂を構成する成分の全部又は一部が含浸した含浸層を有する前記拡散粒子に基づく凸部により形成されてなる防眩シートを、画像表示装置の視認側に有する、動画像と静止画像との共用に適した画像表示装置において、前記防眩シートに透明基材側から垂直に可視光線を照射した際の正透過方向の輝度をQ、正透過から30度の方向の輝度をQ30、正透過から+2度の方向の輝度と正透過から+1度の方向の輝度とを結ぶ直線、および、正透過から−2度の方向の輝度と正透過から−1度の方向の輝度とを結ぶ直線を各々正透過に外挿した透過強度の平均値をUとしたとき、下記の(式10)および(式11)を満たすことを特徴とする、動画像と静止画像との共用に適した画像表示装置の黒彩感及び画像の切れを改善する方法。
    (式 10) 10 <Q/U< 36
    (式 11) Log10(Q30/Q)<−6
  11. 前記防眩層の厚みをT、前記防眩層中での前記透光性粒子の半径をR、前記含浸層の厚みをPとしたとき、下記の(式12)および(式13)を満たすことを特徴とする請求項10に記載の画像表示装置の黒彩感及び画像の切れを改善する方法。
    (式 12) 0.25<R/T<0.45
    (式 13) 5%<P/R<40%
  12. 前記防眩シートに透明基材側から垂直に可視光線を照射した際の正透過から20度の方向の輝度をQ20としたとき、下記の(式14)を満たすことを特徴とする請求項10乃至11のいずれか1項に記載の画像表示装置の黒彩感及び画像の切れを改善する方法。
    (式 14) Log10(Q20/Q)<−5.5
  13. 防眩シートの内部ヘイズ値をHi(%)とし、さらに、防眩シートの全へイズ値をHa(%)としたとき、下記の(式15)を満たすことを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の画像表示装置の黒彩感及び画像の切れを改善する方法。
    (式 15) 0 ≦ Ha−Hi≦4
  14. JIS K7105に基づく防眩シートの透過画像鮮明度での光学櫛0.125mmに対する光学櫛2.0mmの値の比をDとしたとき、下記の(式16)を満たすことを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項に記載の画像表示装置の黒彩感及び画像の切れを改善する方法。
    (式 16) D<2
  15. 最表層に低屈折率層を形成してなる請求項10乃至14のいずれか1項に記載の画像表示装置の黒彩感及び画像の切れを改善する方法。

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