JP5488430B2 - 動画像と静止画像との混用に適した液晶表示装置の黒彩感及び画像の切れの改善方法 - Google Patents

動画像と静止画像との混用に適した液晶表示装置の黒彩感及び画像の切れの改善方法 Download PDF

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Description

本発明は、動画像と静止画像との混用に適した液晶表示装置の黒彩感及び画像の切れを改善する方法、及び、黒彩感及び画像の切れに優れ、動画像と静止画像との混用に適した液晶表示装置用防眩シートとその製造方法に関する。
表示装置の表面に用いる光学シートは、透明基材の観察者側の面に機能層として防眩性、帯電防止性、防汚性等の機能を持つ層が積層されている。通常、前記機能を発現させるために、例えば、防眩性を付与するためには、表面層に凹凸形状を付与したり、表面層を形成する樹脂に拡散粒子を含有させるなどの方法がとられる。
また、帯電防止性を付与するためには、導電性微粒子や導電性樹脂を添加し、防汚性を付与するためには、含フッ素ポリマーや防汚剤を添加するなどの方法がとられる。これらの拡散粒子、導電性微粒子、添加剤等は、表面層を形成する樹脂とは完全に相溶することがないため、これらを用いた光学シートは可視光を拡散する作用を有する。また、表面層の凹凸も同様に可視光を拡散する作用を有する。
さらには、光学シート間の干渉斑や光学シートと表示素子との間での干渉斑を防ぐため、表面層、透明基材の裏面、各層間に可視光波長以上の凹凸を設けることも行われるが、この凹凸も同様に可視光を拡散する作用を有する。
本発明では、上記のような可視光の拡散を生じさせるものを拡散要素と定義するが、このような拡散要素を有すると、液晶表示装置用防眩シートは外光の反射によるコントラストの低下を生ずることとなる。すなわち、液晶表示装置用防眩シートは上述のような光学シートの機能を維持しつつコントラストの低下を防ぐことが求められている。
コントラストを簡便に評価する方法として、ヘイズ値や内部ヘイズと総ヘイズの比が一般に用いられてきた。すなわち、光学シートの製造過程において、ヘイズ値を低くするように材料の特定、製造条件などを制御することで、コントラストの低下の少ない光学シートを製造し得ると考えられていた(特許文献1〜3参照)。
しかしながら、本発明者らの研究によれば、同じヘイズ値であってもコントラストが異なる場合が多く見られ、例えば、ヘイズ値及び内部ヘイズと総ヘイズの比を指標として製造しただけでは、必ずしも良好な液晶表示装置用防眩シートを安定的に生産することはできないことがわかった。
また、防眩層の上にさらに、低屈折の干渉層を設けることで、反射率を低減させる試みもなされているが、100nm程度の膜を精度良く設ける必要があり、非常に高価なものとなっていた。
さらに、近年では、ワンセグをはじめとする様々な配信システムの普及により、静止画像及び動画像の両者を、同一のディスプレイで鑑賞する機会が増加している。そのため、ディスプレイ端末に要求される画像品質も変化しており、静止画像と動画像の混用に対して優れた液晶表示装置用防眩シートの開発が要望されている。
一例として特許文献4及び5に示されるように、静止画像と動画像では要求性能は異な
るし、観察者の看視状態も異なる。
本発明者らは、上記の不一致の問題点を鋭意検討した結果、従来考えられていたように内部拡散と表面拡散の和が総ヘイズとなるのではなく、総ヘイズは内部拡散と表面拡散以外に両拡散要素の三次元での存在位置が影響することを見出した。
さらに本発明者らは、動画像と静止画像に対する液晶表示装置用防眩シートへの要求性能を鋭意検討した結果、動画像に対してはこれまで考慮されることのなかった映像光の迷光成分を考慮しなければならないこと、および、これまでは防止することのみ求められていた正反射成分を適度に持たせることが鑑賞に堪えうる画質を得るために重要であることを見出した。
すなわち、迷光について記述するなら、暗部(たとえば黒)と明部(たとえば白)が同一画面内に存在するとき、明部の映像光が光学フィルム内部の拡散要素により一部が迷光となり、暗部から出光するいわゆるフレアーは、コントラストの低下、ことに暗室コントラストの低下を引き起こすのみでなく、立体感がなくなり平面的なノッペリした画像となってしまう。なお、迷光は正面では影響が少なく、斜め方向でより強く影響される。
また、正反射成分について記述するなら、正反射の極端に少ない光学フィルムは画像が擬態物として検知されるのに対し、正反射成分を適度に持つ光学フィルムは画像が実態物として検知されやすくなり、いわゆる、動画像画面に特有な画像のテリ及び輝きを増すことになり、躍動感のある画像となることを見出した。
なお、このような動画像に要求される、コントラスト、立体感及び躍動感を兼ね備えた性能(例えば、青空の下の若者のシーンを例に取れば、画面に表示された髪の毛はサラサラ感のある黒であり、瞳は潤いがある黒であり、かつ、肌に若者特有な艶があり活き活きとして見える等)を「黒彩感」と称する。
また、静止画像に対しては明室及び暗室でのコントラストと耐映り込み性に優れた画像が求められ、このような、静止画像に要求される、コントラストと耐映り込み性を兼ね備えた性能を「画像の切れ」と称する。すなわち、黒彩感と画像の切れに優れた液晶表示装置用防眩シートが希求されている。
なお、画質評価としては、たとえば特許文献6には「黒しまり性」が、特許文献7には「艶黒感」が記載されている。
黒しまり性は、ディスプレイを真正面から電源off時の黒味、電源on時の黒味(黒い画像)を比較し、黒味の強いほど画面のしまり感も強いという官能比較である。正面では非常に弱く斜めほど強くなる迷光以外に、液晶ディスプレイではそのシステム構成上、黒表示においても液晶表示素子そのものから漏れてくる光(漏れ光)が正面であっても存在するので、真正面から見た電源on時の黒味とは、前述の漏れ光と外光反射とを合わせた場合の黒さの加減であり、前述の電源off時の黒味とは、映像光は存在しないから、外光反射のみがあるときの黒味である。換言すれば、黒しまり性とは外光にも漏れ光にも黒味が強いことになり、前述の黒彩感とは異なり、迷光は考慮されておらず、また、適度に必要とされる正反射成分が考慮されていないため、喩えコントラストは高くとも画像のテリ及び輝きに劣り、躍動感は生じず、黒彩感は高くならない。
また、艶黒感とは外部から光学積層体に入射した光の正反射光成分以外の拡散を抑え、この正反射光以外は観測者の目に届かなくすることで、明室環境下で画像表示装置を黒色表示した際の黒色の再現性であり、光学積層体のフィルム面と反対側にクロスニコルの偏
光板に張り合わせた後、三波長蛍光下で官能評価を行う。すなわち、その測定法から見ても、動画の評価ではないし、映像光の迷光の影響も全く考慮されていない。そのため、喩えテリ及び輝きは高くとも、暗室コントラスト及び立体感は生じず、黒彩感は高くならない。
特開2002−267818 特開2007−334294 特開2007−17626 特開2006−81089 特開2006−189658 特開2007−264113 特開2008−32845
本発明はこのような状況の下、動画像と静止画像との混用に適した液晶表示装置の黒彩感及び画像の切れを改善する方法、及び、黒彩感及び画像の切れに優れ、動画像と静止画像との混用に適した液晶表示装置用防眩シートとその製造方法を提供することを目的とする。
これまで、コントラストや防眩性は表面凹凸のJIS B−0601−1994に基づく算術平均粗さ(Ra)、十点平均粗さ(Rz)、表面凹凸の平均間隔(Sm)や、小坂研究所製の表面粗さ測定器SE−3400の取り扱い説明書(1995.07.20改訂)に記載される定義による、凹凸の平均傾斜角(θa)等の表面形状に依存すると考えられたり、内部拡散剤とバインダー樹脂との屈折率差や内部拡散粒子の形状等による外光の反射状態に依存すると考えられていた。すなわち表面凹凸と内部拡散要素との相互効果を考慮されることがなかった。ここで、θaの算出定義を説明する。基準長さL範囲内に存在する凹凸形状において、ひとつの山から次の山へ至るまで、山には、一番高い頂部:凸部があり、かつその両端には、凹部が存在している。凹部の位置は、それぞれ同じ高さにあるとは限らない。この異なる凹部位置各々から、その三角形の頂部までの高さをh1、h2とする。同じように、基準長さ範囲の全ての山について、凹部から凸までの高さを求め、(ひとつの山は、2つの高さを持つ)高さの和を求め、基準長さLで割った値のアークタンジェントを計算することで求められる角度である。
θa=tan-1[(h1+h2+h3+h4+・・・・・+hn)/L]
本発明者らは、図10の1から4に示すように、内部拡散粒子とバインダー樹脂の屈折率差によって、拡散粒子に入射した映像光および外光の拡散粒子を透過する光及び反射する光の拡散特性は大きく異なり、拡散粒子とバインダーとの屈折率差が大きいほど、拡散粒子による反射光量が増加し、且つ、拡散角度が大きくなるので、映像光による迷光の発生増加と外光の反射光量が増加しコントラストを低下させることを見出し、さらにまた、図9−1の1−1から1−5に示す如く、映像光においては拡散粒子と表面凹凸との位置関係により、拡散粒子を透過した映像光の透過及び反射特性や、解像度やコントラストを劣化させる迷光の発生状況も大きく異なること、さらには、図9−2の2−1から2−4に示す如く、外光においても、拡散粒子と表面凹凸との位置関係により、拡散層内部に侵入した外光の拡散粒子による反射光の反射特性やコントラストを劣化させる迷光の発生状況も大きく異なることを見出し、本願液晶表示装置用防眩シートの表面凹凸の形状、拡散粒子の特性、および表面凹凸と内部拡散粒子の相対的関係をも加味することにより、コン
トラストや防眩性に優れるばかりでなく、黒彩感と画像の切れにも優れた液晶表示装置用防眩シートを得ることを可能とした。
また、図9−2の拡散粒子2−2のように、拡散粒子により反射される外光の拡散が大きくなる表面凹凸と拡散粒子との位置関係にある場合は、図9−1の1−2のように、映像光に関しても拡散が大きく迷光が発生しやすい条件となり、映像光によるコントラスト低下をもきたしやすくなっている。すなわち、映像光の迷光によるコントラスト低下の大小関係は、外光の反射特性に近似して考慮することが可能である。なお、迷光による黒彩感についても同様である。
本発明者らは、黒彩感に優れた動画像を得るためには、液晶表示装置用防眩シートの透過拡散が小さく正透過強度が適度に高いことで映像光の指向性が高い状態にあり、且つ、外光および映像光の迷光成分を少なくするほど良好となることを見出した。対して透過散乱が大きいと迷光が発生し、映像光の指向性が低くなり、映像が白茶けたように見えるため肌色などの表示に対して活き活きとした表示とならない。
一方、画像の切れに優れた静止画像を得るためには、コントラストと耐映り込み性を両立させる必要がある。
しかしながら、耐映り込み性を改善する目的で、いわゆる防眩性を強くすると反射拡散が大きくなりコントラストが低下してしまい、画像の切れは悪化してしまう。
そこで、本発明者らは、画像の切れに関し鋭意検討した結果、観察者にとって映り込みが苦になる原因は、画像鑑賞時に観察者の焦点が映り込んだ外部映像に度々合ってしまい、本来の画像に視点が定まらないためであることが判明した。
そして、さらなる検討の結果、映り込んだ外部映像の輪郭を不鮮明とすることで、映り込みは苦にならなくなり、かつコントラストの低下も押さえることができ、画像の切れを向上させることが可能であることを見出した。
すなわち、静止画像に要求される画像の切れと動画像の黒彩感を両立させるためには、正透過拡散の正透過強度成分の低下を抑えつつ、かつ、映り込んだ外部映像の輪郭を不鮮明とさせる、小さい反射拡散を適度に持たせつつ迷光成分を減少させることが重要であることを見出した。
これは、正反射強度成分を正反射近傍の拡散に転換することを意味し、以下の(a)〜(c)を考慮することで、静止画像の切れと動画像の黒彩感との両立を図った液晶表示装置用防眩シートが得られることを意味する。すなわち、(a)透過拡散が小さい(正透過強度が高い)こと、(b)正反射強度成分が小さいこと、(c)正反射近傍の拡散に変換すること、の三要素を満足させることである。
光学シートは一般的には帯電防止機能を持たせるための導電粒子の添加や、ギラツキの防止や表面凹凸賦型のために微細粒子を添加することが多く、表面凹凸による拡散(以下外部拡散という)以外に内部拡散を有している。
ここで、内部拡散因子による拡散と表面形状による拡散を比較した場合、光学シートを構成する樹脂と内部拡散因子との屈折率比は、外部表面での空気と樹脂の屈折率比に比べ大幅に小さいので、表面に凹凸形状を持つ光学シートでは、透過拡散強度は表面形状が優位となる。
また、θなる傾斜面からの出射角度をψ、塗膜の屈折率をnとしたとき、スネルの法則からn*sinθ=sinψであり、出射角度ψはA・sin(n*sinθ)−θとなる。一方、反射は、反射の法則により、θなる傾斜面の二倍の変化を示すのであるから、反射角度ψは2*θとなる。
一般的な塗膜の屈折率である1.50の場合において、光学シートの表面形状範囲内(10度以内)について、表面傾斜角度に対する反射及び透過の拡散角度を図1に示す。図1に示すように、表面傾斜角度に対する反射及び透過の拡散角度は比例し、常に反射による拡散角度が透過による拡散角度より30%程度大きいことがわかる。すなわち、透過拡散が小さいことは、反射拡散が小さいこととほぼ同義となる。
よって、上記(a)透過拡散が小さいことは、(a’)反射拡散が小さいことと換言できるので、前述の静止画像の耐映り込み性と、動画像の黒彩感の両立を図った液晶表示装置用防眩シートについて、正反射を正反射近傍の拡散に変換することが好ましいこととなる。
一方で、拡散が小さいことが黒彩感には好ましいため、正反射近傍への変換は過剰にならないことが肝要であり、反射拡散強度は特定の範囲に制御されることが好ましい。
ところで、これまで液晶表示装置用防眩シートに用いられてきたヘイズ値はJIS K7136に示されるように全光線に対して、正透過から2.5度以上拡散した光の割合であるから、ヘイズ値からでは、上記のような正反射近傍の拡散、ことに2.5度未満の拡散を用いた考えに想到することはできない。但し、内部拡散の全くない液晶表示装置用防眩シートでは、ギラツキを抑えることができないので、わずかであっても内部拡散を持たせる必要がある。
ここで、等方拡散の場合の正反射近傍の拡散強度について考察する。
図2に示すように拡散強度は、aなる拡散反射強度分布を持つ透明基板に、bなる拡散反射強度分布を持つ層を積層すると、0度に近いほど拡散反射強度の減少割合は大きいので、0度に近いほど強度の低下が大きいこととなり、cなる拡散反射強度分布を持つ液晶表示装置用防眩シートとなる。
すなわち、反射総光量が一定であった場合、0度近傍の反射強度分布の変化が大きい液晶表示装置用防眩シートほど一度ごとに測定した反射強度の総和(V)は小さい値を示し、0度近傍の反射強度分布の変化が小さいシートほどVは大きくなる。また、初期から反射強度分布が広がっている液晶表示装置用防眩シートほどVは小さい値を示し、初期から反射強度分布が狭い液晶表示装置用防眩シートほどVは大きくなる。
さらに詳述するならば、反射拡散角度と強度の関係を示す図4において、反射拡散特性がaa、bb、ccなる液晶表示装置用防眩シートの各々の反射総光量は、各々、y軸を中心とした回転体の体積Vaa、Vbb、Vccとしたとき、積分反射率が等しければ、Vaa=Vbb=Vccである。
ここで、aaなる拡散特性を有する液晶表示装置用防眩シートの正反射強度がOh低下し、bb及びccなる拡散特性となった場合を考える。bbの場合では、bbにより指し示された斜線で表される部分の回転体の体積Vbaaが減少し、拡散角bより拡散の大きい部分ではaaより強度が強いbbの特性となる。このとき、Vaa=Vbbであるから、Vbaaはドーナツ状の回転体の体積Vhbbに配分されたこととなる。
同様に、ccの場合では、ccで指し示された斜線で表される部分の回転体の体積Vcaaが減少し、拡散角cより拡散の大きい部分ではaaより強度が強いccの特性となる。このとき、Vaa=Vccであるから、Vhaaはドーナツ状の回転体の体積Vhccに配分されたこととなる。
また、光量は拡散角の二乗とその拡散角での強度の積に比例すると考えられるので、正反射強度の減少に伴う反射拡散特性の変化は、拡散の大きい部分に振り向けられるほどその角度での強度はより低くなる。
すなわち、反射強度の総和Vは、正反射近傍の影響が大きい防眩性等や、拡散角の大きい部分の影響が大きい白濁感等はもちろん、両者の中間の角度でも無視することの出来ない迷光等を含め、全ての反射拡散角度と関連することとなる。
よって、R/Vは正反射を正反射近傍の拡散に変化させた程度を示すと同時に、迷光等の影響をも加味し、黒彩感と切れをより精度良く評価していることとなる。換言すれば、R/Vは表面形状(外部拡散要素)に関しては、正反射をもたらす平坦部と反射拡散をもたらす凹凸部の比率に近似される為、凹凸の傾斜の角度と凹凸の存在確率に関連し、内部拡散に関しては、拡散粒子とバインダーの屈折率差、拡散粒子との衝突確率及び形状に関連し、表面形状と内部拡散の相互作用に関しては、前記相互作用をより弱めあう程度と強めあう程度とに関連することで、黒彩感と切れの良し悪しを決定している。
本発明は、上記知見に基づいて完成したものであり、以下の態様を包含する。
1.透明基材の少なくとも一方の面に、内部に拡散要素を有するとともに前記透明基材とは反対側の面に凹凸面を有する機能層を設け、さらに前記機能層の前記透明基材とは反対側の面に1.0μm以上の膜厚を有する透明樹脂層を設け、または設けない液晶表示装置用防眩シートにおいて、拡散正反射方向の強度をR、液晶表示装置用防眩シートに可視光線を照射した際の拡散正反射方向に対して−45度から+45度まで1度ごとに測定した拡散反射強度の総和をV、内部に拡散要素を有する層の厚みをT、液晶表示装置用防眩シートのヘイズをHa、内部の拡散要素により生じるヘイズをHiとしたとき、下記式(1)、(2)、(3)および(4)を満たすことを特徴とする液晶表示装置用防眩シート。
(1) 0.17 < R/V < 0.71
(2) 0.1 < Ha−Hi < 15.0
(3) 0.5 < Hi < 35.0
(4) 2.0 < T < 12.0
2.さらに、R/Vが下記式の関係を有する上記1に記載の液晶表示装置用防眩シート。
0.35<R/V<0.62
3.透明基材が、環状ポリオレフィンまたはトリアセチルセルロースであることを特徴とする上記1または2に記載の液晶表示装置用防眩シート。
4.機能層が、透明樹脂に透光性無機粒子及び/又は透光性有機粒子を分散させてなり、該透光性無機粒子及び/又は透光性有機粒子により機能層の表面に凹凸を設ける上記1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置用防眩シート。
5.透明基材がセルロース系樹脂からなり、前記機能層が透明樹脂からなり、該透明樹脂が電離放射線硬化性樹脂であり、機能層は該電離放射線硬化性樹脂を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物を透明基材上に塗布し、架橋硬化して形成し、電離放射線硬化性樹脂組成物は、透明基材に含浸する溶剤及び/又は透明基材に含浸する電離放射線硬化性樹脂と、透明基材に含浸しない溶剤及び/又は透明基材に含浸しない電離放射線硬化性樹脂とを含み、透明基材への含浸量を調整することにより、前記式(1)、(2)、(3)および(4)を満たすように制御した上記1〜4のいずれかに記載の液晶表示装置用防眩シート。
6.機能層がハードコート層を含み、耐スチールウール擦り性が200g/cm2以上で
ある上記1〜5のいずれかに記載の液晶表示装置用防眩シート。
7.最表層に反射防止機能層を形成してなる上記1〜6のいずれかに記載の液晶表示装置用防眩シート。
8.上記1〜7のいずれかに記載の液晶表示装置用防眩シートを用いた偏光板。
9.上記8に記載の偏光板を用いた画像表示装置。
本発明によれば、黒彩感及び画像の切れと総ヘイズ(図5)、内部ヘイズ(図6)、内部へイズ/総ヘイズ(図7)との関係のグラフからわかるように、従来のヘイズ値では評価し得なかった黒彩感及び画像の切れの評価が、黒彩感及び画像の切れとR/Vとの関係を示す図8から明らかなように、簡便に行え、黒彩感に優れ、かつ画像の切れに優れた液晶表示装置用防眩シートを提供することができる。
表面傾斜角度に対する反射及び透過の拡散角度を示す図である。 拡散強度分布を示す図である。 本発明における拡散反射強度の測定方法を示す概念図である。 拡散強度分布の詳細な説明を示す概念図である。 総ヘイズと黒彩感及び切れを示す図である。 内部ヘイズと黒彩感及び切れを示す図である。 内部ヘイズと総ヘイズの比と黒彩感及び切れを示す図である。 R/Vと黒彩感及び切れを示す図である。 映像光及び外光における拡散粒子と表面凹凸との位置関係による反射光および透過光の特性を説明する図である。 映像光及び外光における拡散粒子と表面凹凸との位置関係による反射光および透過光の特性を説明する図である。 内部拡散粒子とバインダー樹脂の屈折率差による光の拡散特性の違いを説明する図である。 内部拡散粒子とバインダー樹脂の屈折率差による光の拡散特性の違いを説明する図である。 内部拡散粒子とバインダー樹脂の屈折率差による光の拡散特性の違いを説明する図である。 内部拡散粒子とバインダー樹脂の屈折率差による光の拡散特性の違いを説明する図である。
本発明の液晶表示装置用防眩シートは、透明基材の少なくとも一方の面に機能層を有し、該機能層の最表面及び/又は内部に拡散要素を有する液晶表示装置用防眩シートであって、0.17<R/V<0.71の関係を有するように制御することを特徴とする。
以下、図3を用いて、R及びVの測定方法について説明する。
図3に示すように、液晶表示装置用防眩シート1に4の方向から可視光線を照射すると、5の方向に拡散正反射されるとともに、一部の光が拡散される。この5の方向が拡散正反射方向であり、拡散正反射方向における光の強度が、拡散正反射強度Rと定義される。
なお、後に記載するように、裏面反射を抑制し、実使用時の条件とあわせるために、透明基材2の裏面には接着剤を介して黒色のアクリル板などの可視光吸収材料8を貼付する。
次に、拡散正反射方向に対して、図3に示す−θ度〜+θ度までの拡散反射強度を1度ごとに測定した総和がVである。測定範囲を決定するθについては、その角度範囲が大きい方がより測定精度が高くなるが、通常は45度程度で十分な測定精度が得られる。なお
、入射光の角度を変えることで、θの最大測定範囲を変えることができる。
そして、液晶表示装置用防眩シートの製造過程において、R/Vを指標として、材料の選定、製造条件の制御などを行い、上記式(I)を満足する液晶表示装置用防眩シートを得るものである。
なお、拡散反射強度の測定は、具体的には以下のように測定する。
(拡散反射強度の測定方法)
液晶表示装置用防眩シートの裏面(表面層を有さない面、観察者側と反対側の面)を、透明粘着剤を介して凹凸や反りのない平坦な黒アクリル板に貼付して評価用サンプルを作製する。
なお、ここで用いる黒色のアクリル板は、上述のように裏面反射を防止するためのものであり、液晶表示装置用防眩シートの裏面に空気層を有さないように、かつ可視光を吸収し得るものであれば、特に制限はない。
例えば、製造ラインにおいて測定する場合などでは、液晶表示装置用防眩シートの検査用部分の裏面に黒色塗料を塗布する等の方法によりオンラインで測定することも可能である。
次に、評価用サンプルを測定装置に設置し、評価用サンプルの液晶表示装置用防眩シート側の面に対し面の法線から45度の角度より光束を入射する。光束が評価用サンプルの液晶表示装置用防眩シート面に入射し拡散反射した光を、拡散正反射方向に対し−θ度〜+θ度までの範囲で、1度ごとに受光器を走査することにより拡散反射強度を測定する。
なお、入射光の正反射方向である45度を拡散正反射方向と定義する。また、拡散反射強度を測定する装置については、特に制限はないが、本発明においては、日本電色工業(
株)製「GC5000L」を使用した。
本発明は、下記式(I)を指標として制御することが1つの特徴である。
0.17<R/V<0.71 (I)
R/Vが0.17を超え0.71未満とすることによって、黒彩感に優れるとともに、画像の切れが良好な液晶表示装置用防眩シートを得ることができる。黒彩感をさらに良好にするとの観点から、R/Vは0.35を超えることが好ましい。
また、画像の切れをさらに良好にするとの観点から、R/Vは0.62未満であることがより好ましい。
次に、本発明の液晶表示装置用防眩シートは、上記式(I)を満足するものである。上記式(I)を満足する液晶表示装置用防眩シートは、黒彩感に優れるとともに、画像の切れに優れたものとなる。
本発明における0.35<R/Vを達成するには、内部拡散要素及び外部拡散要素によって反射輝度分布及び強度を調整することが肝要である。
内部拡散要素によって反射輝度分布及び強度を調整する方法として、機能層を構成する樹脂に透光性無機粒子及び/又は透光性有機粒子(以下、単に「透光性粒子」と記載することがある。)を分散させる方法がある。
さらには、機能層を塗工する際に用いる塗液中の溶剤組成、機能層を構成する透明樹脂、透明樹脂に分散される透光性粒子の形状、粒子径、添加量、屈折率等の設定と、塗工後
の乾燥、紫外線照射条件を変えることで粒子の分散状態を制御することにより行い得る。また、透明樹脂に添加し得る透光性粒子以外の添加剤の濃度等も、前記内部拡散要素による拡散反射強度に影響を与える。
一方、外部拡散要素によって拡散反射強度を調整する方法としては、例えば、
(1)表面に微細な凹凸を有する型を用いて液晶表示装置用防眩シートの表面に凹凸形状を転写する方法、
(2)電離放射線硬化性樹脂など機能層を構成する樹脂の硬化収縮により、表面に凹凸を形成する方法、
(3)透光性微粒子を前記表面層から突出固化させて、表面に凹凸を形成する方法(突出している微粒子が前記表面層を構成する樹脂で覆われていても、微粒子がむき出しになっていてもどちらでもよい)、
(4)外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法、等がある。
上記(1)の方法としては、例えば、透明基材に電離放射線硬化性樹脂を配し、該電離放射線硬化性樹脂の塗工層に微細な凹凸を有する型を密着させ、電離放射線により硬化することで、液晶表示装置用防眩シートの表面に凹凸形状を設けることができる。
上記(2)の方法は、滑らかな表面を持つ微細な凹凸が得られることから、ギラツキ防止、耐映り込み性の付与に有効であり、また上記(3)の方法は、透光性粒子と透明樹脂の選定、塗膜の厚さ、溶剤の選定、乾燥条件、透明基材への浸透性等により性能調整ができるため、プロセスが短くかつ作業が単純なことから、低コストで製造できる点で有効である。
一方、内部拡散要素と外部拡散要素の相互作用の調整には、前記内部拡散要素の調整および表面拡散要素の調整の全てが影響するが、ことに、塗液の組成と乾燥時の溶剤比率の径時変化による親油および親水性の径時変化による凝集状態と、粘度の径時変化による粒子沈降による凹凸との位置関係の制御が重要である。
上述の外部拡散要素を得るための方法の(3)は、用いる透光性微粒子の種類によっては、外部拡散と内部拡散を同時に付与することができ、製造プロセスを簡略化できるという点で好適な方法である。
また、前記凹凸表面は鋭角成分を有する微小な凹凸が重畳しているため画質を劣化させる非常に大きな拡散や迷光が発生する恐れがあるので、凹凸表面にさらに1.0μm乃至
10μmの透明樹脂層を設けることで、表面凹凸を緩やかにし、表面拡散を抑制、制御す
ることができる。1.0μm未満では重畳している凹凸が残存する可能性があり、10μm以上では、重合収縮により防眩シートにカールが発生する恐れがある。その意味では透明樹脂層の厚みは2.0乃至8.0μmが好ましく、2.5乃至7.0μmがより好ましい
なお、透明樹脂層の塗膜の厚さを厚くすることで、表面凹凸を緩やかにしたり、塗布液組成、塗布及び乾燥条件等によっても表面拡散及び内部拡散要素と外部拡散要素の相互作用を制御することができる。
さらに、上記のとおりR/Vを規定することに加えて、内部に拡散要素を有する層の厚みと透明樹脂層との厚みの和T、液晶表示装置用防眩シートのヘイズHa、内部の拡散要素により生じるヘイズHiや、ヘイズHaとヘイズHiの関連等や、拡散層のバインダー樹脂の組み合わせ、透明基材樹脂等を考慮して選択することにより、液晶表示素子表面に用いる液晶表示装置用防眩シートの性能をさらに向上させることができる。
内部に拡散要素を有する層の厚みと透明樹脂層との厚みの和であるTが薄いと、ハードコート性に劣り、厚すぎると、硬化時の樹脂の収縮により液晶表示装置用防眩シートがカールしてしまう。また、偏光板製造工程や偏光板と液晶素子との貼合における曲げ等により防眩フィルムに加わる負荷によりクラックが生じることがあるが、ことに、バインダーと微粒子との接着が弱いとこの界面で剥離が生じやすくなる。拡散層の厚みが厚いと重合収縮により界面にかかるひずみが大きくなり、より剥離が生じやすくなる。
すなわち、内部に拡散要素を有する層と透明樹脂層との厚みの和であるTが2μmより薄いとハードコート性に劣り、12μmより厚いと粒子との界面の歪が大きくなり、防眩フィルムに加わる負荷によりクラックが生じやすくなる。
なお、前記透明樹脂層を設けない拡散層においては、前述の界面にかかるひずみの影響がより大きく出る恐れがあるので、好ましくは、2.0μm乃至12μmであり、より好
ましくは2.5μm乃至10μmであり、最も好ましくは3.0μm乃至9.0μmである。
内部の拡散要素により生じるヘイズであるHiは、小さすぎるとギラツキが生じ、また、大きすぎると解像度の低下およびコントラストの低下が顕著となり、さらには切れが悪化する。そのため内部の拡散要素により生じるヘイズHiは、好ましくは0.5乃至35.0であり、より好ましくは0.5乃至29.0であり、最も好ましくは0.5乃至20.0である。
また、本願発明は、従来考えられていたように総ヘイズは内部拡散と表面拡散の和となるのではなく、総ヘイズは内部拡散と表面拡散以外に両拡散要素の三次元での存在位置が影響するという知見によるもの、すなわち、総ヘイズは、内部ヘイズ+外部へイズ+内部ヘイズと表面凹凸との相互作用を基本思想としている。そして、液晶表示装置用防眩シートのヘイズをHa、内部の拡散要素により生じるヘイズをHiとするときに、ヘイズHa−Hiが小さいと正反射成分が大きくなりすぎ、コントラストや解像度に悪影響を与えない程度の大きさの内部拡散では防眩性をカバーしきれず、また、大きすぎると極端なコントラストの低下を生じさせる。したがって、ヘイズHa−Hiは、好ましくは0.1乃至15.0であり、より好ましくは0.2乃至12.0であり、最も好ましくは0.3乃至8.0である。
[透光性粒子]
透明樹脂に分散される透光性粒子について、以下詳細に記載する。
透光性粒子は有機粒子であっても、無機粒子であってもよいし、有機粒子と無機粒子を混合して使用してもよい。
本発明の液晶表示装置用防眩シートにおいて、用いる透光性粒子の平均粒径は、0.5〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは1〜10μmであり、最も好ましくは1〜9.0μmである。この範囲内であれば、内部拡散及び/又は外部拡散及び/又は内部ヘイズと表面凹凸との相互作用による拡散反射強度分布を、調整することが可能である。
特に、透光性粒子の平均粒径が0.5μm以上であると、粒子の凝集が過度にならず、凹凸形成の調整が容易になり、20μm以下であると、ギラツキやざらついた画像が出にくいために、拡散反射強度分布を設計する上での自由度が確保される。
また、透光性粒子の粒径のばらつきが少ないほど、散乱特性にばらつきが少なく、拡散反射強度分布設計が容易となる。より具体的には、重量平均による平均径をMV、累積2
5%径をd25、累積75%径をd75としたとき、(d75−d25)/MVが0.25以下であることが好ましく、0.20以下であることが更に好ましい。
なお、累積25%径とは、粒径分布における粒径の小さい粒子からカウントして、25質量%となったときの粒子径をいい、累積75%径とは、同様にカウントして75質量%となったときの粒子径をいう。
粒径のばらつきの調整方法としては、例えば、合成反応の条件を調整することで行うことができ、また、合成反応後に分級することも有力な手段である。分級では、その回数を上げることやその程度を強くすることで、望ましい分布の粒子を得ることができる。
分級には風力分級法、遠心分級法、沈降分級法、濾過分級法、静電分級法等の方法を用いることが好ましい。なお、透光性粒子が有機粒子である場合、塗液中の成分が有機粒子に浸透し、拡散要素を有する層中では本来の粒子の粒径と異なることがあり得るが、上記粒径とは、拡散要素を有する層中での粒子の径を言う。
さらに、機能層を構成する透明樹脂と透光性粒子の屈折率差が0.005〜0.25であることが好ましい。屈折率差が0.005以上であると、ギラツキを抑制することができ、0.25以下であると拡散反射強度分布設計が容易となる。以上の観点から、該屈折率差は0.01〜0.2が好ましく、0.015〜0.15であることがより好ましい。
なお、透光性粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中、透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定する他、カーギル試薬を用いるなどの方法により測定される。これらの屈折率は、材料自身を測定する以外に、実際に液晶表示装置用防眩シートとした後に、粒子または粒子のかけらを膜から取り出して測定したり、防眩シートの切断面をエリプソメーターで測定する方法、防眩シートのレーザー干渉を測定する方法等により測定することもできる。また実質的にバインダーとの屈折率の差がなく、且つ、可視光波長より大きく拡散層厚みより小さい粒子を用いることで、表面凹凸だけを単独に設けることも可能で、ことに内部および表面凹凸の相互作用の調整に有用である。なお、実質的にバインダーとの屈折率の差がないとは、光学顕微鏡の観察では粒子の存在が見えないことである。
また、比重差が0.1以上の2種以上の透光性粒子を併用したり、親水性と疎水性の透光性粒子を併用したり、粒子径の差が0.5μm以上である、異なる粒径を有する2種以上の透光性粒子を併用したり、屈折率差が0.01以上の2種以上の透光性粒子を併用したり、球状の透光性粒子と不定形の透光性粒子を併用することによっても、拡散反射強度の調整を行うことが可能である。
なお、比重は液相置換法、気相置換法(ピクノメーター法)等で、粒子径はコールターカウンター法や光回折散乱法等または光学積層体の断面をSEMやTEM等顕微鏡で観察することで、屈折率は、材料そのものや、例えば、光学シートを製造し、その断面を出すことによって、透光性微粒子やバインダーの断面を出したり、粒子やバインダー片を削って取り出すことにより、アッベ屈折計で直接測定するか、ベッケ法などカーギル試薬を用いる方法、防眩シートのレーザー干渉による測定、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量的に評価できる。
透光性有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート粒子、ポリアクリル−スチレン共重合体粒子、メラミン樹脂粒子、ポリカーボネート粒子、ポリスチレン粒子、架橋ポリスチレン粒子、ポリ塩化ビニル粒子、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド粒子、
シリコーン粒子、フッ素系樹脂粒子、ポリエステル系樹脂、また中空や細孔を有する有機粒子等が用いられる。
また、透光性無機粒子としては、シリカ粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、チタニア粒子、タルク、マイカ、カオリン、ベントナイト粒子、また中空や細孔を有する無機粒子等が挙げられる。
また、屈折率、粒径分布が同一な透光性微粒子であっても、透光性粒子の凝集の程度により拡散反射強度分布は異なるので、凝集状態の異なる2種類以上の透光性粒子を組み合わせて使用したり、シランカップリング処理の条件の異なる2種以上の無機粒子を用いることで凝集状態を変えて拡散反射強度分布を調整することができる。
なお、透光性粒子の凝集防止には、可視光線の波長以下の粒子径、例えば50nm以下程度の粒子径を有するシリカなどを、添加する方法が好適に挙げられる。
なお、後述するように、塗液のバインダーによっては凝集状態が制御できなくなることがある。
また、内部拡散の効果を得るためには、可視光線の波長以上の粒子径を有するシリカなどの不定形透光性粒子が有効である。球状粒子に比べて、不定形粒子は反射拡散角度の分布を広くする作用があるためである。
しかしながら、不定形透光性粒子は、迷光を発生しやすく、また、内部反射分布も広くするので、塗膜の拡散性に影響を及ぼし、拡散反射強度の調整が困難となる場合があるので、広い反射拡散を得たい場合等必要に応じて添加することが好ましい。
より具体的には、不定形透光性粒子を、球状粒子と不定形透光性粒子との合計量に対して、50質量%以下の範囲内で添加することが好ましい。
透光性粒子は、透明樹脂(固形分)中に1〜30質量%含有されるように配合されることが好ましく、2〜25質量%の範囲がより好ましい。1質量%以上であると、耐映り込み性を得ることができ、一方、30質量%以下であると、コントラストの低下が少なく、良好な視認性を得ることができる。
[透明樹脂]
機能層および透明樹脂層を構成する透明樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を用いることができる。機能層を形成するには、電離放射線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を含有する樹脂組成物を透明基材に塗布し、該樹脂組成物中に含まれるモノマー、オリゴマー及びプレポリマーを架橋及び/又は重合させることにより形成することができる。
モノマー、オリゴマー及びプレポリマーの官能基としては、電離放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられる。
また、プレポリマー及びオリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等のアクリレート、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂等が挙げられる。
モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF EO変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA EO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、等のアクリル系モノマー;トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコール等の分子中に2個以上のチオール基を有するポリオール化合物、また、2以上の不飽和結合を有するウレタン(メタ)アクリレートやポリエステル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ことに、多官能アクリレートであることが好ましく、なかでも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
また、バインダーとして、ポリマーを上記樹脂組成物に添加して用いることも可能である。ポリマーとしては、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等が挙げられる。ポリマーを添加することで、塗液の粘度調整が可能であり、このことによって、塗工を容易にするとともに、粒子の凝集による凹凸形成の調整が容易になったり、粒子の沈降の制御が可能となるといった利点があり、表面拡散及び内部拡散要素と外部拡散要素の相互作用を制御することができる。
さらに、多官能アクリレートが殊に架橋度を高め傷つき防止性を得るうえで好ましく、また、各種オリゴマーは、重合収縮を減少させ、カールやクラック防止に効果がある。
なお、バインダーとしてオルガノシランやフッ素樹脂を含有すると、乾燥/硬化途上で相分離やゲル化し、防眩層表面にガサツキが生じやすくなる。また、塗液中の樹脂、溶剤系、粒子の親油、親水度合いの組み合わせにより、粒子の凝集性の変化が大きく、光学特性が安定しない場合がある。これは、一種類の粒子であっても、例えば、乾燥途上で通常2種以上入れる溶剤の揮発性の差により組成変動が生じるので、凝集と分散とを制御が困難となる。殊に親油、親水度合いが異なる二種以上の粒子を用いる場合に顕著であり、例えば無機粒子と有機粒子の組み合わせや、メラミン、アクリル、アクリルスチレン共重合、スチレン粒子の組み合わせ等の場合は注意を要する。
また、上記樹脂組成物には、必要に応じて、光ラジカル重合開始剤を添加することができる。光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物等が用いられる。
アセトフェノン類としては、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−ジメチルフェニルケト
ン、1−ヒドロキシ−ジメチル−p−イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン等が挙げられ、ベンゾイン類としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等が挙げられる。また、ベンゾフェノン類としては、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等が使用可能である。
また、光増感剤を混合して用いることもでき、その具体例としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
また、機能層の透明樹脂として、相分離可能な複数の樹脂を用いることでも主として内部拡散要素による拡散反射強度を調整することが可能である。すなわち、上記したプレポリマー、オリゴマー、モノマー、及びポリマーにおいて、相溶性成分と非相溶性成とを混合して使用することで、主として前記内部拡散要素による拡散反射強度を調整することも可能である。
例えば、一方の樹脂がスチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等)である場合、他方の樹脂はセルロース誘導体(セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステルなど)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチル等)、脂環式オレフィン系樹脂(ノルボルネンを単量体とする重合体等)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂などが好適に挙げられる。
また、一方の樹脂がセルロース誘導体(セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステルなど)である場合、他方の樹脂は、スチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチル等)、脂環式オレフィン系樹脂(ノルボルネンを単量体とする重合体等)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂などが好適に挙げられる。
組み合わせる樹脂の比率(質量比)は、1/99〜99/1の範囲から選択でき、5/95〜95/5の範囲が好ましく、10/90〜90/10の範囲がさらに好ましく、20/80〜80/20の範囲、特には30/70〜70/30の範囲が好ましい。
さらには、機能層および透明樹脂層を構成する透明樹脂に使用する前記プレポリマー、オリゴマー及びモノマーとして、重合収縮が大きいものを用いることで、主として前記外部拡散要素による拡散反射強度を調整することも可能である。重合収縮が大きいほど、表面の凹凸が大きくなり、拡散反射強度分布が広くなる。
また、逆に、前記電離放射線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂に相溶性ポリマーの添加や、光の波長以下の微粒子、例えば100nm以下の微粒子を充填材として添加することで、重合収縮を減じさせ前記外部拡散要素による拡散反射強度を調整したり、塗液粘度が代わったことにより微小粒子の位置関係が変化し、相互作用を調整することも可能である。
さらには、前記電離放射線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂に高屈折率または低屈折率の1
00nm以下の微粒子を添加することで、透明樹脂の屈折率を調整することで拡散制御することも可能である。
ただし、バインダー中にオルガノシランを含有する場合には、塗液中の樹脂、溶剤系、粒子の親油、親水度合いの組み合わせにより、粒子の凝集性の変化が大きく、光学特性が安定しないのでオルガノシランの使用は避けることが好ましい。
この原因は、一種類の粒子であっても、例えば、乾燥途上で(通常2種以上入れるので)溶剤の揮発性の差により組成変動が生じるので、凝集と分散とを制御が困難となるためであると類推している。このことは、殊に親油、親水度合いが異なる二種以上の粒子を用いる、例えば無機粒子と有機粒子の組み合わせや、メラミン、アクリル、アクリルスチレン共重合、スチレン粒子の組み合わせ等の場合に顕著である。そのため、ガサツキやギラツキの制御ができなくなる。
また、上記放射線硬化性樹脂組成物には、通常、粘度を調節したり、各成分を溶解または分散可能とするために溶剤を用いる。該溶剤は、用いる溶剤の種類によって、塗布、乾燥の工程により塗膜の表面状態が異なるため、外部拡散による反射強度分布や微粒子の凝集状態を調整し得ることを考慮して、適宜選択することが好ましい。具体的には、飽和蒸気圧、透明基材への浸透性等を考慮して選定される。
本発明の製造方法において、機能層を形成するための樹脂組成物は、透明樹脂としての電離放射性硬化性樹脂、透光性粒子、及び溶媒を含有することが好ましい。
ここで、該樹脂組成物は、透明基材に含浸する溶剤(以下「浸透性溶剤」ということがある)及び/又は透明基材に含浸する電離放射線硬化性樹脂と、透明基材に含浸しない溶剤及び/又は透明基材に含浸しない電離放射線硬化性樹脂とを含むことが好ましい。
透明基材への含浸量を調整することによって、機能層の厚さを制御することができ、結果として拡散反射強度を調整できるためである。
さらに詳細には、透明基材への含浸量と透光性粒子の大きさによって、拡散反射強度を制御することができる。具体的には、溶剤及び/又は電離放射線硬化性樹脂(以下「溶剤等」と表記する場合がある)の基材への含浸量が小さく、かつ透光性粒子が小さい場合には、溶剤等の中に大部分の粒子が埋め込まれた形で機能層が形成されるが、透光性粒子が凝集しやすくなることから、表面の凹凸は比較的大きいものになる。
一方、透明基材への含浸量の大きい溶剤等と小さい粒径の透光性粒子を組み合わせて用いた場合には、透光性粒子の凝集が少なくなるため、表面の凹凸は比較的小さいものになる。
また、透明基材への含浸量の大きい溶剤及び/又は電離放射線硬化性樹脂と大きい粒径の透光性粒子を組み合わせて用いた場合には、機能層の厚さが薄くなるために、透光性粒子が機能層から突出する形となり、透光性粒子に起因する表面凹凸が得られる。
これに対し、透明基材への含浸量の小さい溶剤等と大きい粒径の透光性粒子を組み合わせて用いた場合には、機能層の厚さが厚くなるために、透光性粒子の表面への突出が抑制され、表面の凹凸は比較的小さいものになる。
このように、溶剤及び/又は電離放射線硬化性樹脂の透明基材への含浸量を調整し、これと透光性粒子の粒径を組み合わせて制御することで、種々の大きさの表面凹凸形状を形
成させることができる。また、相互作用への影響度合いが変化させることができる。
特に、透明基材がセルロース系樹脂からなる場合に本手法は有効である。
また、粒子に含浸性を有する溶剤を用いることで、透明樹脂の成分の少なくとも一部が粒子に浸透しやすくなり、粒子と透明樹脂との屈折率差が変わることで拡散透過強度を制御することにつながる。
さらに、上記溶剤として、1種類を単独で又は、常温・常圧における沸点および/または相対蒸発速度の異なる2種以上の溶剤を含むことができる。2種以上の溶剤を用いることで、溶剤の乾燥速度や、乾燥時の径時溶剤組成変化に伴う粒子凝集等を多様に制御することができる。
乾燥速度が速いと、粒子の凝集が十分に起こる前に、揮発して溶剤が減少し粘度が高くなるため、それ以上の凝集が進まなくなる。従って、乾燥速度を制御することは、透光性粒子の二次粒径を制御することになり、上述のように、溶剤及び/又は電離放射線硬化性樹脂の基材への浸透度との関係で、拡散反射強度を制御することにつながる。
なお、相対蒸発速度とは、ASTM−D3539に示されるように、次の式で求められる速度であり、数字が大きいほど蒸発が速いことを示す。相対蒸発速度=酢酸n−ブチルが蒸発するのに要する時間/ある溶剤が蒸発するのに要する時間である。
具体的な溶剤としては、上記観点から適宜選択することができるが、具体的には、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤や、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノンなどのケトン類が好適に挙げられる。
これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。芳香族系溶剤の少なくとも1種とケトン類の少なくとも1種を混合して使用することが好ましい。
その他、乾燥速度を制御するために、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類やセロソルブアセテート類、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類を混合してもよい。
本発明にかかる液晶表示装置用防眩シートにおいて、透明樹脂中に透光性粒子以外の添加剤が、必要に応じて配合される。例えば、硬度などの物理特性、反射率、散乱性などの光学特性などの向上のため、各種無機粒子を添加することができる。
無機粒子としては、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモン等の金属やZrO2、TiO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITO、ATO、SiO2等の金属酸化物が挙げられる。その他カーボン、MgF、珪素、BaSO4、CaCO3、タルク、カオリンなどが含まれる。
該無機粒子の粒径は、拡散反射強度分布への影響を少なくするために、機能層を塗工する際の樹脂組成物中でなるべく微細化されていることが好ましく、平均粒径が100nm以下の範囲であることが好ましい。
無機粒子を100nm以下に微細化することで透明性を損なわない液晶表示装置用防眩シートを形成できる。なお、無機粒子の粒子径は、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。また実質的にバインダーとの屈折率の差がない可視光波長以上で拡散層厚みより小さい無機粒子を用いることで、表面凹凸だけを単独に設けることも可能である。
また本発明では、凝集防止効果及び沈降防止効果、その他、レベリング性などの特性の向上のため、各種界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としては、シリコーンオイル、フッ素系界面活性剤、好ましくはパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系界面活性剤などが挙げられる。
溶剤を含む樹脂組成物を塗工し、乾燥する場合、塗膜内において膜表面と内面とに表面張力差などを生じ、それによって膜内に多数の対流が引き起こされる。この対流はゆず肌や塗工欠陥となる。
また、黒彩感と画像のキレに悪影響を及ぼす。このような界面活性剤を用いると、この対流を防止することができるため、欠陥やムラのない凹凸膜が得られるだけでなく、拡散反射強度特性の調整も容易となる。
さらに、本発明では防汚剤、帯電防止剤、着色剤(顔料、染料)、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤などを添加することができる。
本発明の液晶表示装置用防眩シートに用いられる透明基材としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートや透明ガラスなど、通常液晶表示装置用防眩シートに用いられるものであれば特に限定は無い。
透明樹脂フィルムとしては、トリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)、ジアセチルセルロースフィルム、アセチルブチルセルロースフィルム、アセチルプロピルセルロースフィルム、環状ポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリロニトリルフィルム、ポリノルボルネン系樹脂フィルム等が使用できる。
特に、本発明の液晶表示装置用防眩シートを偏光板とともに用いる場合では、偏光を乱さないことからTACフィルム、環状ポリオレフィンフィルムが、機械的強度と平滑性を重視する場合は、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのポリエステルフィルムが好ましい。
また、前記透明基材は多層であっても単層であっても良いし、塗膜との接着性等を目的として表面にプライマー層を設けても良い。
また、透明基材と塗膜層に実質的な屈折率差がある場合に界面で生じる干渉縞を防止するために、例えば透明基板と塗膜層との間に中間の屈折率をもつ干渉縞防止層を設けることや、表面粗さ(十点平均粗さRz)として、0.3〜1.5μm程度の凹凸を設けておくことも可能である。なお、RzはJIS B0601 1994に準拠して測定した値である。
本発明にかかる液晶表示装置用防眩シートにはハードコート性、耐映り込み性、反射防止性、帯電防止性、防汚性等の機能を持たせることが可能である。
ハードコート性は、通常、鉛筆硬度(JIS K5400に準拠して測定)やスチールウール#0000で荷重をかけながら10往復擦り試験を行い、裏面に黒テープを貼付した状態でキズが確認されない最大荷重で評価する(耐スチールウール擦り性)。
本発明にかかる液晶表示装置用防眩シートにおいては、鉛筆硬度ではH以上が好ましく、2H以上がさらに好ましい。また、耐スチールウール擦り性では、200g/cm2
上であることが好ましく、500g/cm2以上であることがさらに好ましく、700g
/cm2以上であることが特に好ましい。
また、液晶表示装置用防眩シート表面での静電気防止の点で帯電防止性能を付与することが好ましい。
帯電防止性能を付与するには、例えば、導電性微粒子、導電性ポリマー、4級アンモニウム塩、チオフェンなどと反応性硬化樹脂を含む導電性塗工液を塗工する方法、或いは透明膜を形成する金属や金属酸化物等を蒸着やスパッタリングして導電性薄膜を形成する方法等の従来公知の方法を挙げることができる。
また、帯電防止層をハードコート、耐映り込み性、反射防止等の機能層の一部として使用することもできる。
帯電防止性を示す指標として表面抵抗値があり、本発明では、表面抵抗値が、1012Ω/□以下が好ましく、1011Ω/□以下がさらに好ましく、1010Ω/□以下が特に好ましい。また、該光学フィルムが蓄積できる最大電圧である、いわゆる飽和帯電圧としては、10kVの印加電圧で2kV以下であることが好ましい。
また、本発明の液晶表示装置用防眩シートの最表面には防汚層を設けることができる。防汚層は表面エネルギーを下げ、親水性あるいは親油性の汚れを付きにくくするものである。
防汚層は防汚剤の添加により付与することができ、防汚剤としては、フッ素系化合物、ケイ素系化合物、またはこれらの混合物が挙げられ、特にフロロアルキル基を有する化合物が好ましい。
以下、本発明の液晶表示装置用防眩シートの製造方法について詳細に記載する。本発明では、上述のように、0.17<R/V<0.71を指標として、これを満足するように、製造条件を制御することが肝要である。
本発明の液晶表示装置用防眩シートは、透明基材に機能層を構成する樹脂組成物を塗布して製造する。塗布の方法としては、種々の方法を用いることができ、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ブレードコート法、マイクログラビアコート法、スプレーコート法、スピンコート法等の公知の方法が用いられる。
本発明においては、塗布量により反射拡散輝度特性が変化するので、内部に拡散要素を有する層と透明樹脂層との厚みの和を2〜12μmの範囲で安定して得やすいロールコート法、グラビアコート法、ダイコート法が好ましい。
前記の方法のいずれかで塗布した後、溶剤を乾燥するために加熱されたゾーンに搬送され各種の公知の方法で溶剤を乾燥する。
ここで溶剤相対蒸発速度、固形分濃度、塗布液温度、乾燥温度、乾燥風の風速、乾燥時間、乾燥ゾーンの溶剤雰囲気濃度等を選定することにより、表面凹凸形状のプロファイルによる外部拡散、前記透光性粒子や前記添加剤による内部拡散および相互作用を調整できる。
特に、乾燥条件の選定によって反射拡散輝度特性を調整する方法が簡便で好ましい。具体的な乾燥温度としては、30〜120℃、乾燥風速では0.2〜50m/sであることが好ましく、この範囲内で適宜調整することで反射拡散輝度特性を調整することができる。
より具体的には、溶剤の種類と乾燥温度を制御することで、樹脂及び溶剤の基材への浸透性が調整できる。すなわち、溶剤条件が同じ場合には乾燥温度を制御することで、樹脂及び溶剤の基材への浸透性を調整できる。すなわち、乾燥温度を制御することで、樹脂及び溶剤の基材への浸透性を制御することができ、上述したように、透光性粒子の粒径や凝集との関係で、拡散反射強度を制御することにつながる。
例えば、機能層を形成するための樹脂組成物が、透明樹脂、透明樹脂より屈折率の高い透光性粒子及び溶剤からなり、透明樹脂の浸透性を有する低分子の成分の屈折率が透光性粒子の屈折率より低く、レべリング性及び透光性粒子の沈降や凝集が同程度の場合には、硬化までの乾燥時間が長くなると、透明樹脂中の低屈折成分が透明基材に浸透し、透明樹脂の屈折率が上昇して、透光性粒子との屈折率差が減少する。
一方、透明樹脂に対する透光性粒子の割合が増加するため、透光性粒子が表面に突出しやすくなり、表面凹凸が発現しやすくなる。従って、乾燥時間が長くなることにより、内部拡散は小さくなると同時に、外部拡散が大きくなるとともに、内部拡散と表面凹凸との相対位置が近づくこととなる。
なお、この浸透性を利用することによりアンカー効果による透明基材と機能層の密着性や、透明基材と機能層との屈折率差が0.03以上で顕著となる干渉縞の発生を防止することも可能となる。
これは、透明樹脂中の低屈折成分が透明基材に浸透して生じた浸透層が、透明基材と機能層の間に屈折率が連続的に変化する屈折率調整層としての機能を発現し、界面を解消する作用を有するためである。
また、乾燥速度を早くすることで、透光性粒子の凝集時間が短くなるため凝集が進まず、実質的に作用する透光性粒子の粒径は小さくなったと同様な作用を呈することとなる。
すなわち、乾燥速度を制御することで、実質的に作用する透光性粒子の粒径を制御することができ、やはり上述したように、溶剤及び/又は電離放射線硬化性樹脂の基材への浸透度との関係で、拡散反射強度を制御することにつながる。また、粒子と表面凹凸との距離が変わり、相互作用を制御することにつながる。
[評価方法]
1.塗膜厚について
本発明の液晶表示装置用防眩シートは、透光性基材上に、機能層を設け、最終的に観察者側最表面に凹凸形状を有する層を有する。基材上の機能層は、多層である場合と、単層である場合が存在するが、塗膜厚とは、内部に拡散要素を有する層と透明樹脂層との厚みの和をいう。
2.膜厚:T(μm)の測定方法
共焦点レーザー顕微鏡(LeicaTCS-NT:ライカ社製:倍率「50〜500倍」)にて、
光学積層体の断面を透過観察し、界面の有無を判断し下記の評価基準で判断した。
測定手順
(1)ハレーションのない鮮明な画像を得るため、共焦点レーザー顕微鏡に、湿式の対物
レンズを使用し、かつ、光学積層体の上に屈折率1.518のオイルを約2ml乗せて観察した。オイルの使用は、対物レンズと光学積層体との間の空気層を消失させるために用いた。
(2)1画面につき凹凸の最大凸部、最小凹部の基材からの膜厚を1点ずつ計2点測定し、それを5画面分、計10点測定し、平均値を塗膜厚として算出した。
なお、上記共焦点レーザー顕微鏡にて界面が明確にわからない液晶表示装置用防眩シートの場合は、ミクロトームなどで断面を作成し、SEM観察によって、上記2と同様に膜厚を算出することもできる。
3.総ヘイズ:Ha(%)測定方法
総ヘイズ値は、JIS K−7136に従って測定することができる。測定に使用する機器としては、ヘーズメーターHM−150(村上色彩技術研究所)などが挙げられる。なお、ヘイズ、は、透明基材面を光源に向けて測定する。
4.内部へイズ:Hi(%)測定方法
本発明で使用している内部ヘイズは、以下のように求められる。液晶表示装置用防眩シートの観察者面側最表面にある凹凸上に、表面凹凸を形成する樹脂と屈折率が等しいか少なくとも屈折率差が0.02以下である樹脂、例えばペンタエリスリトールトリアクリレートなどのリコート剤(モノマー又はオリゴマー等の樹脂成分を包含する)をトルエンなどで希釈し、固形分60%としたものをワイヤーバーで乾燥膜厚が8μmとなるように塗布する。これによって、表面にある凹凸がつぶれ、平坦な表面となる。ただし、この凹凸形状を有する機能層を形成する組成物中にレベリング剤などが入っていることで、上記リコート剤がはじきやすく濡れにくいような場合は、あらかじめ液晶表示装置用防眩シートをケン化処理(2mol/lのNaOH(又はKOH)溶液 55度 3分浸したのち、水洗し、キムワイプなどで水滴を完全に除去した後、50度オーブンで1分乾燥)により、親水処理を施すとよい。この表面を平坦にしたシートは、表面凹凸をもたず、相互作用もないので、内部ヘイズだけを持つ状態となっている。このシートのヘイズを、JIS K−7136に従って総ヘイズと同様な方法で測定し、内部ヘイズとして求めることができる。
5.ハードコート性評価方法
本発明の液晶表示装置用防眩シートにおいて、ハード性を有するとは、鉛筆硬度試験において2H以上の鉛筆硬度を有するとともに、耐擦傷性試験において200g/cm2
上の耐擦傷性を有することをいう。
(1)鉛筆硬度は、JIS K−5400に従って測定することができる。測定に使用する機器としては、鉛筆硬度試験機(東洋精機社製)が挙げられる。該鉛筆硬度試験は、5回の鉛筆硬度試験の内、3回以上の傷等の外観異常が認められなかった場合に使用した鉛筆についての硬度を求めるものである。例えば、2Hの鉛筆を用いて、5回の試験を行い、3回外観異常が生じなければ、その光学積層体の鉛筆硬度は2Hである。
(2)耐擦傷性は、液晶表示装置用防眩シートの凹凸最表面を#0000のスチールウールを用い、荷重200gで20往復した時の傷の有無を目視により確認した。評価基準は以下の通りとした。
A:全く傷が認められないもの
B:細かい傷(5本以下)が認められるもの
C:傷が多いもの、剥離するもの
(1)(2)より総合評価
○:鉛筆硬度が2H以上かつAのもの
△:鉛筆硬度が2H以上かつBのもの
×:上記を満たさないもの全て
6.クラック評価方法
JIS K5600−5−1の屈曲試験で用いる円筒型マンドレル法の芯棒に液晶表示装置用防眩シートを巻きつけ、クラックの入り方で評価した。
◎:6mmの芯棒に巻きつけてもクラックが入らず良好
○:8mmの芯棒に巻きつけてもクラックが入らず良好
△:8mmの芯棒に巻きつけた場合、5本以内の軽いクラックが入った
×:8mmの芯棒に巻きつけた場合、多数のクラックが入った
7.拡散正反射強度及び拡散反射強度の測定
各製造例にて作製された液晶表示装置用防眩シートについて、明細書本文中に記載の方法により測定した。
8.黒彩感及び画像の切れの評価
ソニー社製液晶テレビ「KDL−40X2500」の最表面の偏光板を剥離し、表面塗布のない偏光板を貼付した。
次いで、その上に各製造例で作成したサンプルを表面塗布面側が最表面となるように、光学フィルム用透明粘着フィルム(全光線透過率91%以上、ヘイズ0.3%以下、膜厚20〜50μmの製品、例えばMHMシリーズ:日栄加工(株)製など)により貼付した。
該液晶テレビを、照度が約1,000Lxの環境下の室内に設置し、メディアファクトリー社のDVD「オペラ座の怪人」を表示して、液晶テレビから1.5〜2.0m程度離れた場所から上下、左右様々な角度から、該映像を被験者15人にて鑑賞し、下記項目に関して3段階評価の感応評価を実施した。評価基準は以下のとおりであり、最も多かった評価結果を最終結果とした。
(1)黒彩感;動画像表示のとき、コントラスト(黒艶及び黒しまり)が高く、立体感があり、かつ画像にテリや輝きがあり、躍動感を感じるか否かで判定した。
立体感
○;良好と答えた人が10人以上
△;良好と答えた人が5〜9人
×;良好と答えた人が4人以下
躍動感
○;良好と答えた人が10人以上
△;良好と答えた人が5〜9人
×;良好と答えた人が4人以下
黒彩感
○;立体感及び躍動感が全て○以上
△;立体感及び躍動感が○及び△/又はともに△である
×;立体感及び躍動感に一つでも×がある
(2)画像の切れ;静止画像表示のとき、コントラストが高く、かつ耐映り込み性(観測者及び観測者の背景の映り込みが気にならない状態)に優れ、静止画像が映えて見えるか否かで判定した。
○;良好と答えた人が10人以上
△;良好と答えた人が5〜9人
×;良好と答えた人が4人以下
(3)ギラツキ:静止画像表示のとき、ギラツキが許容できるか否かで判定した。
○:ギラツキが許容できると答えた人が8人以上
×:ギラツキが許容できないと答えた人が8人以上
(4)黒しまり:上記液晶テレビを、真正面から電源off時の黒味および電源on時の黒味を評価した。黒さという基準で表した。
○;良好と答えた人が10人以上
△;良好と答えた人が5〜9人
×;良好と答えた人が4人以下
(5)黒艶:黒色アクリル板に液晶表示装置用防眩シートを前記光学フィルム用透明粘着フィルムを用いて貼合した資料を、水平面に置き、三波長線管を点灯させた状態で45度入射面につき正反射方向から被験者15人が目視官能評価を行い、艶のある黒色を再現す
ることができるか否かにより判定する。
○;良好と答えた人が10人以上
△;良好と答えた人が5〜9人
×;良好と答えた人が4人以下
(6)ガサツキ:黒色アクリル板に液晶表示装置用防眩シートを前記光学フィルム用透明粘着フィルムを用いて貼合し、1000Lxの明室条件で被験者15人が目視にて様々な方向から観察したとき、表面のガサツキが許容できるか否かで判定した。
○:ガサツキが許容できると答えた人が8人以上
×:ガサツキが許容できないと答えた人が8人以上
(7)総合評価
○;画像の切れ、黒彩感が○で、ガサツキ及びギラツキ、ハードコート性、クラックに×がない
△;画像の切れ、黒彩感が○及び△/又はともに△であり、ガサツキ及びギラツキ、ハードコート性、クラックに×がない
×;画像の切れ、黒彩感、ガサツキ及びギラツキ、ハードコート性、クラックに一つでも×がある
本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例によってなんら限定されるものではない。
製造例1
透明基材としてトリアセチルセルロース(富士フィルム(株)製、厚さ80μm)を用意した。
透明樹脂としてペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、及びポリメタクリル酸メチル(PMMA)の混合物(質量比;PETA/DPHA/PMMA=86/5/9)を用い(屈折率1.51)、これに透光性粒子として、ポリスチレン粒子(屈折率1.60、平均粒径3.5μm、(d75−d25)/MVが0.05)及びスチレン−アクリル共重合粒子(屈折率1.56、平均粒径3.5μm、(d75−d25)/MVが0.04)を、透明樹脂100質量部に対して、各々18.5及び3.5質量部含有させた。
これに溶剤としてトルエン(沸点110℃、相対蒸発速度2.0)とシクロヘキサノン(沸点156℃、相対蒸発速度0.32)の混合溶剤(質量比7:3)を、透明樹脂100質量部に対して、190質量部配合して得られた樹脂組成物を、前記透明基材に塗工し、0.2m/sの流速で70℃の乾燥空気を流通させ、1分間乾燥させた。
その後、紫外線を照射して(窒素雰囲気下にて200mJ/cm2)透明樹脂を硬化さ
せ、液晶表示装置用防眩シートを作製した。塗膜厚は3.5μmとした。この液晶表示装置用防眩シートに関し、上記方法にて評価した結果を第2表に示す。
製造例2〜7、及び、製造例10〜25
製造例1において、透明基材の種類、透明樹脂の種類、透光性粒子の種類及び含有量、溶剤の種類及び含有量、乾燥条件、及び塗膜厚を、第1表に記載するように変化させて液晶表示装置用防眩シートを作製した。それぞれの液晶表示装置用防眩シートに関し、製造例1と同様に評価した結果を第2表に示す。
製造例8
透明基材として、トリアセチルセルロース(富士フィルム(株)製、厚さ80μm)を用意した。
透明樹脂としてペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA、屈折率1.51)を用い、これに透光性粒子として、スチレン−アクリル共重合粒子(屈折率1.51、平
均粒径9.0μm、(d75−d25)/MVが0.04)及びポリスチレン粒子(屈折率1.60、平均粒径3.5μm、(d75−d25)/MVが0.05)を、それぞれ透明樹脂100質量部に対して、10.0質量部、及び16.5質量部含有させた。
これに溶剤として、トルエン(沸点110℃、相対蒸発速度2.0)とシクロヘキサノン(沸点156℃、相対蒸発速度0.32)の混合溶剤(質量比7:3)を、透明樹脂100質量部に対して、190質量部配合して得られた樹脂組成物を、前記透明基材に塗工し、1m/sの流速で85℃の乾燥空気を流通させ、1分間乾燥させた。
これに紫外線を照射して(空気雰囲気下にて100mJ/cm2)透明樹脂を硬化させ
5.0μmの塗膜厚を持つ拡散層を得た。
該塗膜層の上に、透明樹脂としてPETA(ペンタエリスリトールトリアクリレート、屈折率1.51)、及び溶剤としてトルエン(沸点110℃、相対蒸発速度2.0)とシクロヘキサノン(沸点156℃、相対蒸発速度0.32)の混合溶剤(質量比7:3)を、透明樹脂100質量部に対して、190質量部配合して得られた樹脂組成物を塗工し、5m/sの流速で70℃の乾燥空気を流通させ、1分間乾燥させた(ハードコート層の形成)。
これに紫外線を照射して(窒素雰囲気下にて200mJ/cm2)透明樹脂を硬化させ
、液晶表示装置用防眩シートを作製した。塗膜厚は全体で11.0μmとした。この液晶表示装置用防眩シートに関し、製造例1と同様に評価した結果を第2表に示す。
製造例9
製造例8において、透光性粒子であるポリスチレン粒子の含有量を、透明樹脂100質量部に対して、6.5質量部とし、塗膜厚を全体で11.5μmとしたこと以外は製造例8と同様にして、液晶表示装置用防眩シートを作製した。製造例1と同様に評価した結果を第2表に示す。
Figure 0005488430
A;ポリスチレン粒子(屈折率1.60、平均粒径3.5μm、(d75−d25)/MVが0.05)
B;スチレン−アクリル共重合粒子(屈折率1.56、平均粒径3.5μm、(d75−d25)/MVが0.04)
C;スチレン−アクリル共重合粒子(屈折率1.51、平均粒径6.0μm、(d75−d25)/MVが0.04)
D;不定形シリカ(屈折率1.45、平均粒径1.5μm、(d75−d25)/MVが0.6)
E;不定形シリカ(屈折率1.45、平均粒径2.5μm、(d75−d25)/MVが0.8)
P;ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、及びポリメタクリル酸メチル(PMMA)の混合物(質量比;PETA/DPHA/PMMA=86/5/9)(屈折率1.51)
Q;ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(屈折率1.51)
R:ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、およびアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランの混合物(質量比;PETA/DPHA/PMMA=81/5/9/5)(屈折率1.50)
X;トルエン(沸点110℃、相対蒸発速度2.0)とメチルイソブチルケトン(沸点116℃、相対蒸発速度1.6)の混合物(質量比8:2)
Y;トルエン(沸点110℃、相対蒸発速度2.0)とシクロヘキサノン(沸点156℃、相対蒸発速度0.32)の混合物(質量比7:3)
Figure 0005488430
製造例1〜25において、拡散反射強度の測定結果からR/Vを計算した。式(I)を満足する液晶表示装置用防眩シートは、黒彩感、画像の切れが良好であり、バランスのとれたものであることがわかる。
なお、本発明においては、製造例1〜4、8〜12、15、16、18、21〜23および26が、0.17<R/V<0.71を満足する実施例に該当し、その他の製造例が、上記式を満足しない比較例に該当する。
本発明の液晶表示装置用防眩シートによれば、従来のヘイズ値では評価し得なかった黒彩感及び画像の切れの評価が簡便に行え、黒彩感に優れ、かつ画像の切れに優れた液晶表示装置用防眩シートを安定的に提供することができる。
1.液晶表示装置用防眩シート
2.基材
4.光束の入射方向
5.拡散正反射方向
6.機能層(防眩層)
7.透光性粒子
8.可視光吸収材料(黒色のアクリル板)

Claims (7)

  1. 透明基材の少なくとも一方の面に、内部に拡散要素を有するとともに該透明基材とは反対側の面に凹凸面を有する機能層を設け、さらに該機能層の前記透明基材とは反対側の面に1.0μm以上の膜厚を有する透明樹脂層を設け、または設けない防眩シートを、
    液晶表示装置の視認側に有する、動画像と静止画像との混用に適した偏光板を有する液晶表示装置において、
    拡散正反射方向の強度をR、防眩シートに可視光線を照射した際の拡散正反射方向に対して−45度から+45度まで1度ごとに測定した拡散反射強度の総和をV、内部に拡散要素を有する層と透明樹脂層との厚みの和をT、防眩シートのヘイズをHa、内部の拡散要素により生じるヘイズをHiとしたとき、下記式(1)、(2)、(3)および(4)を満たすことを特徴とする、
    動画像と静止画像との混用に適した、外光による迷光成分と液晶表示装置からの映像光による迷光成分を減少させることにより黒彩感及び画像の切れを改善する方法。
    (1) 0.35 < R/V <0.62
    (2) 0.1 < Ha−Hi < 15.0
    (3) 0.5 < Hi < 35.0
    (4) 2.0 < T < 12.0
  2. 前記透明基材が、環状ポリオレフィンまたはトリアセチルセルロースであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記機能層が、透明樹脂に透光性無機粒子及び/又は透光性有機粒子を分散させてなり、該透光性無機粒子及び/又は透光性有機粒子により機能層の表面に凹凸を設ける請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 前記透明基材がセルロース系樹脂からなり、前記機能層が透明樹脂を含み、該透明樹脂が電離放射線硬化性樹脂であり、機能層は該電離放射線硬化性樹脂を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物を透明基材上に塗布し、架橋硬化して形成し、電離放射線硬化性樹脂組成物は、透明基材に含浸する溶剤及び/又は透明基材に含浸する電離放射線硬化性樹脂と、透明基材に含浸しない溶剤及び/又は透明基材に含浸しない電離放射線硬化性樹脂とを
    含み、透明基材への含浸量を調整することにより、前記式(1)、(2)、(3)および(4)を満たすように制御した請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記機能層がハードコート層を含み、耐スチールウール擦り性が200g/cm2以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記防眩シートの最表層に反射防止機能層を形成してなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 動画像と静止画像との混用に適した液晶表示装置が、液晶テレビであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
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