JP2008249107A - 減衰力調整式流体圧緩衝器 - Google Patents

減衰力調整式流体圧緩衝器 Download PDF

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Abstract

【課題】伸び側及び縮み側の両方に背圧室を有するパイロット型の減衰力調整式油圧緩衝器において、構造をシンプルにし、かつ、応答性を高める。
【解決手段】油液が封入されたシリンダ2内に、ピストンロッド7が連結されたピストン3を嵌装する。ピストンロッド7の伸び行程時には、伸び側弁体32によって減衰力を発生させると共に伸び側背圧室15の内圧によって伸び側メインバルブ13の開弁圧力を調整する。縮み行程時には、縮み側弁体33によって減衰力を発生させると共に縮み側背圧室25の内圧によって伸び側メインバルブ23の開弁圧力を調整する。伸び側及び縮み側弁体32、33を共通の案内ボア19で案内して構造をシンプルにする。案内ボア19の両端部に逆止弁38、45を設け、伸び側及び縮み側弁体32、33に連通路39、41を設けて、その移動に対して体積補償することによって応答性を高める。
【選択図】図1

Description

本発明は、減衰力特性を適宜調整可能とした減衰力調整式流体圧緩衝器に関するものである。
自動車等の車両の懸架装置に装着される油圧緩衝器には、路面状態、走行状態等に応じて、乗り心地や操縦安定性を向上させるために、減衰力特性を適宜調整できるようにした減衰力調整式油圧緩衝器がある。
減衰力調整式油圧緩衝器は、一般に、油液を封入したシリンダ内にピストンロッドを連結したピストンを摺動可能に嵌装してシリンダ内を2室に画成し、ピストン部にシリンダ内の2室を連通させる主油液通路及びバイパス通路を設け、主油液通路にはオリフィス及びディスクバルブ等からなる減衰力発生機構を設け、バイパス通路にはその通路面積を調整する減衰力調整弁を設けた構成となっている。
そして、減衰力調整弁によってバイパス通路を開いてシリンダ内の2室間の油液の流通抵抗を小さくすることにより減衰力を小さくし、また、バイパス通路を閉じて2室間の流通抵抗を大きくすることにより減衰力を大きくする。このように、減衰力調整弁の開閉により減衰力特性を適宜調整することができる。
しかしながら、上記のようにバイパス通路の通路面積のみによって減衰力を調整するものでは、ピストン速度の低速域においては、減衰力は油液通路のオリフィスの絞りに依存するので、減衰力特性を大きく変化させることができるが、ピストン速度の中高速域においては、減衰力が主油液通路の減衰力発生機構(ディスクバルブ等)の開度に依存するため、減衰力特性を大きく変化させることができない。
そこで、従来、例えば特許文献1に記載されているように、主油液通路の減衰力発生機構として、ディスクバルブの背部に背圧室(パイロット室)を形成し、この背圧室を固定オリフィスを介してディスクバルブの上流側のシリンダ室に連通させ、また、流量制御弁(パイロット制御弁)を介してディスクバルブの下流側のシリンダ室に連通させてパイロット型減衰力調整弁としたものが知られている。
特開2003−278819号公報
この減衰力調整式油圧緩衝器によれば、流量制御弁を開閉することにより、シリンダ内の2室間の連通路面積を直接調整するとともに、流量制御弁で生じる圧力損失によって背圧室の圧力を変化させてディスクバルブの開弁圧力を変化させることができる。このようにして、オリフィス特性(減衰力がピストン速度の2乗にほぼ比例する)及びバルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する)を調整することができ、減衰力特性の調整範囲を広くすることができる。
更に、例えば特許文献2には、伸び側と縮み側で油液の流路の一部を共用し、1つの減衰力調整弁によって伸び側及び縮み側の減衰力を調整することによって構造をシンプルにした減衰力調整式油圧緩衝器が記載されている。
特開2006−292092号公報
しかしながら、上記特許文献2に記載の減衰力調整式油圧緩衝器では、次のような問題がある。減衰力調整弁(ソレノイド弁)の弁体は、端部に受圧面が配置された構造上、両端部の室を連通させて圧力バランスをとる通路を設けることができないため、弁体が移動する際の体積補償を充分に行うことが困難であり、円滑に開閉することができず、応答性が低下する虞がある。
本発明は、上記の点に鑑みて成されたものであり、伸び側及び縮み側の両方にパイロット型減衰弁を備え、構造がシンプルで、かつ、応答性に優れた減衰力調整式流体圧緩衝器を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、流体が封入されたシリンダと、前記シリンダ内に摺動可能に嵌装されて該シリンダ内を2室に画成するピストンと、該ピストンに連結されて前記シリンダの外部へ延出されたピストンロッドと、前記シリンダ内の2室間を連通する伸び側流路及び縮み側流路と、該伸び側流路及び縮み側流路の流体の流れを制御して減衰力を発生させる減衰力発生機構とを備えた減衰力調整式流体圧緩衝器において、
前記減衰力発生機構は、前記伸び側流路に設けられた伸び側メインバルブと、該伸び側メインバルブの開弁圧力を調整する伸び側背圧室と、前記シリンダ内の2室間を連通する伸び側バイパス流路と、該伸び側バイパス流路に設けられ、その圧力によって開弁する伸び側圧力制御弁と、前記縮み側流路に設けられた縮み側メインバルブと、該縮み側メインバルブの開弁圧力を調整する縮み側背圧室と、前記シリンダ内の2室間を連通する縮み側バイパス流路と、該縮み側バイパス流路に設けられ、その圧力によって開弁する縮み側圧力制御弁とを備え、前記伸び側及び縮み側バイパス流路の前記伸び側及び縮み側圧力制御弁の上流側の圧力を前記伸び側及び縮み側背圧室にそれぞれ導入し、
前記伸び側圧力制御弁及び前記縮み側圧力制御弁は、両端が前記シリンダ内の2室にそれぞれ連通する共通の案内ボアと、該案内ボア内に摺動可能に嵌装されて該案内ボアに設けられたシート面に着座して前記伸び側及び縮み側バイパス流路の一方の圧力を受けて開弁する第1弁体と、前記案内ボア内に摺動可能に嵌装されて前記第1弁体に設けられたシート面に着座して前記伸び側及び縮み側バイパス流路の他方の圧力を受けて開弁する第2弁体と、前記第1及び第2弁体を閉弁方向に付勢してこれらの開弁圧力を調整する減衰力調整手段と、前記案内ボアの両端部に設けられて前記第1及び第2弁体の両端側から前記シリンダ内の2室への流体の流通のみをそれぞれ許容する第1及び第2逆止弁とを備え、前記第1及び第2弁体には、これらの両端側を互いに連通する軸方向の連通路が設けられていることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記減衰力調整手段は、比例ソレノイドアクチュエータであることを特徴とする請求項1に記載の減衰力調整式流体圧緩衝器。
請求項3に係る発明は、請求項1または2において、前記第1弁体と第2弁体との間には、両弁体を離間する方向に付勢する付勢手段を設けたことを特徴する。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、前記第1弁体及び第2弁体は、前記シート面に着座する側の外周が小径部となり、他側が前記案内ボアに案内される大径部とから構成されることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4において前記案内ボアに設けられ、一端面が前記第1弁体と当接して前記シート面となる弁座部材を軸方向に移動可能に設けたことを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項5において、前記弁座部材内に前記第1または第2逆止弁の一方を設けたことを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項1乃至6において前記案内ボアは、ピストンロッドの軸方向に延びるように設けられたことを特徴とする。
なお、以下の発明を実施するための最良の形態では、流体として油液を使用した場合について説明しているが、本発明は流体としてガス等の他の流体を使用する場合にも適用することができ、特許請求の範囲において、「流体」という用語は、それらを全て含む概念として使用している。
本発明に係る減衰力調整式流体圧緩衝器によれば、減衰力調整手段によって、伸び側及び縮み側圧力制御弁の開弁圧力を調整することにより、伸び側及び縮み側バイパス流路の流体の流動を制御して減衰力を調整すると共に、伸び側及び縮み側背圧室に導入される圧力を調整して、伸び側及び縮み側メインバルブの開弁圧力を調整することができる。伸び側及び縮み側圧力制御弁の第1弁体及び第2弁体が開弁する際、連通路、第1及び第2逆止弁を介して案内ボアからシリンダ内の2室のいずれかに流体が排出されるので、第1及び第2弁体を円滑に移動させることができ、応答性を高めることができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る減衰力調整式油圧緩衝器1(減衰力調整式流体圧緩衝器)は、筒型油圧緩衝器であり、シリンダ2内に、ピストン3が摺動可能に嵌装されており、このピストン3によってシリンダ2内がシリンダ上室2Aとシリンダ下室2Bとの2室に画成されている。ピストン3には、ピストンボルト4の先端部が挿通され、ナット5によって固定されている。ピストンボルト4の基端部(図中上部)には、略有底円筒状のケース6が取付けられている。ケース6の底部には、ピストンロッド7の一端部(図中下側)が連結され、ピストンロッド7の他端側は、シリンダ2の上端部に装着されたロッドガイド(図示せず)及びオイルシール(図示せず)に摺動可能かつ液密的に挿通されて、シリンダ2の外部へ延出されている。
シリンダ2の下端部には、ベースバルブ(図示せず)を介してリザーバが接続されている。そして、シリンダ2内には流体として油液が封入され、リザーバ内には油液及びガスが封入されている。あるいは、シリンダ2の底部側にフリーピストンを摺動可能に嵌装してガス室を形成し、ガス室内に高圧ガスを封入してもよい。
ピストン3には、シリンダ上室2A側に開口する伸び側油路8及びシリンダ下室2B側に開口する縮み側油路9が設けられている。ピストン3の下端部には、伸び側油路8の油液の流動を制御する伸び側減衰弁10(減衰力発生機構)が設けられ、また、上端部には、縮み側油路9の油液の流動を制御する縮み側減衰弁11(減衰力発生機構)が設けられている。
伸び側減衰弁10は、ピストン3の下端面に形成されたシート部12に着座する伸び側メインバルブ13(ディスクバルブ)と、ナット5によってピストンボルト4に取付けられたバルブ部材14によって伸び側メインバルブ13の背部に形成された伸び側背圧室15とを備えている。伸び側背圧室15は、その内圧を伸び側メインバルブ13に対して閉弁方向に作用させる。伸び側背圧室15は、バルブ部材14に設けられたオリフィス16A(切欠)を有するディスクバルブ16を介してシリンダ下室2Bに接続されている。オリフィス16Aは伸び側背圧室15とシリンダ下室2Bとを常時連通させ、ディスクバルブ16は伸び側背圧室15の圧力が所定圧力に達したとき開弁して、その圧力をシリンダ下室2Bへリリーフする。
伸び側背圧室15は、バルブ部材14に設けられた背圧導入弁17を介してピストンボルト4の径方向油路18に接続されており、径方向油路18は、更に、ピストンボルト4の軸心に沿って延びる案内ボア19に連通している。背圧導入弁17は径方向油路18側から伸び側背圧室15側への油液の流通を許容する逆止弁である。背圧導入弁17は、径方向油路18と伸び側背圧室15とを常時連通させるオリフィス17Aを有している。また、案内ボア19は、径方向油路20に連通しており、径方向油路20は、ピストン3に設けられた伸び側オリフィス21を介して伸び側油路8に接続されている。
縮み側減衰弁11は、ピストン3の上端面に形成されたシート部22に着座する縮み側側メインバルブ23(ディスクバルブ)と、ナット5によってピストンボルト4に取付けられたバルブ部材24によって縮み側メインバルブ23の背部に形成された縮み側背圧室25とを備えている。縮み側背圧室25は、その内圧を縮み側メインバルブ23に対して閉弁方向に作用させる。縮み側背圧室25は、バルブ部材24に設けられたオリフィス26A(切欠)を有するディスクバルブ26を介してシリンダ上室2Aに接続されている。オリフィス26Aは縮み側背圧室25とシリンダ上室2Aとを常時連通させ、ディスクバルブ26は縮み側背圧室25の圧力が所定圧力に達したとき開弁して、その圧力をシリンダ上室2Aへリリーフする。
縮み側背圧室25は、バルブ部材24に設けられた背圧導入弁28を介してピストンボルト4の径方向油路29に接続されており、径方向油路29は案内ボア19に開口している。背圧導入弁28は径方向油路29側から縮み側背圧室25側への油液の流通を許容する逆止弁である。背圧導入弁28は、径方向油路29と縮み側背圧室25とを常時連通させるオリフィス28Aを有している。また、ピストンボルト4の側壁には、径方向油路30が開口されており、径方向油路30は、ピストン3に設けられた縮み側オリフィス31を介して縮み側油路9に接続されている。
ピストンボルト4の案内ボア19内には、径方向油路18、20に臨む伸び側弁体32(伸び側圧力制御弁、第1弁体)及び径方向油路29、30に臨む縮み側弁体33(縮み側圧力制御弁、第2弁体)が摺動可能に嵌装されている。ピストンボルト4の先端部には、弁座部材34がねじ込まれ、ケース6内には、ソレノイドアクチュエータ35(減衰力調整手段)が設けられている。伸び側弁体32は、先端部が弁座部材34のシート面34Aに当接し、後端部のシート面32Aに縮み側弁体33の先端部が当接し、縮み側弁体33の後端部は、ソレノイドアクチュエータ35のプランジャ36に当接している。
弁座部材34には、案内ボア19に連通する油路37及び油路37からシリンダ下室2Bへ油液の流通のみを許容する逆止弁38(第1逆止弁)が設けられている。伸び側弁体32には、軸方向に貫通して弁座部材34の油路37に連通する連通路39が設けられている。縮み側弁体33には、一端側が伸び側弁体32の連通路39に連通し、軸心に沿って延びて、他端側がプランジャ36を案内するプランジャボア40の内部に連通する油路41が設けられている。プランジャ36には、軸方向に貫通してプランジャボア40とケース6の内部の室42とを連通する油路43が設けられている。また、ケース6の底部には、室42の連通する油路44及び油路44からシリンダ上室2Aへの油液の流通のみを許容する逆止弁45(第2逆止弁)が設けられている。
伸び側弁体32は、案内ボア19に嵌合する後端側に対して先端側が小径となっており、案内ボア19の側壁との間に径方向油路18及び20に連通する環状室46を形成すると共に、この環状室46の圧力を受ける受圧面を形成している。伸び側弁体32の先端部には、シート面47が形成されており、シート面47が弁座部材34のシート面34Aに当接、着座(閉弁)して環状室46と弁座部材34の油路37とを遮断し、伸び側弁体32が環状室46の圧力を受けて弁座部材34から離間(開弁)して油路37と環状室46とを連通させる。
縮み側弁体33は、案内ボア19に嵌合する後端側に対して先端側が小径となっており、案内ボア19の側壁との間に径方向油路29及び30に連通する環状室48を形成すると共に、この環状室48の圧力を受ける受圧面を形成している。縮み側弁体33の先端部には、シート面49が形成されており、シート面49が伸び側弁体32の後端のシート面32Aに当接、着座(閉弁)して環状室48と縮み側弁体33の油路41とを遮断し、縮み側弁体33が環状室48の圧力を受けて伸び側弁体32の後端のシート面32Aから離間(開弁)して環状室48と油室41とを連通させる。
ソレノイドアクチュエータ35は、コイル50への通電電流に応じてプランジャ36に推力を発生させて、伸び側及び縮み側弁体32、33を弁座部材34側へ押圧して、これらの開弁圧力を調整する。ソレノイドアクチュエータ35には、プランジャ36を弁座部材34側へ付勢するスプリング51が設けられ、また、伸び側弁体32と縮み側弁体33との間には、スプリング52が介装されている。コイル50に通電するためのリード線53は、中空のピストンロッド7に挿通されて、外部へ延ばされている。なお、弁座部材34のねじ込み量によってスプリング51のセット荷重を調整することができる。
以上のように構成した本実施形態の作用について次に説明する。
ピストンロッド7の伸び行程時には、シリンダ上室2A側の油液は、伸び側メインバルブ13の開弁前には、図2中に破線(伸び側バイパス流路)で示すように、伸び側油路8、伸び側オリフィス21、径方向油路20及び環状室46を通り、径方向油路18、背圧導入弁17、伸び側背圧室15及びオリフィス16Aを通ってシリンダ下室2Bへ流れる。また、環状室46から、伸び側弁体32を開き、油路37及び逆止弁38を通ってシリンダ下室2Bへ流れる。シリンダ上室2A側の圧力が伸び側メインバルブ13の開弁圧力に達すると、これが開弁して、図2中に実線(伸び側流路)で示すように、伸び側油路8からシリンダ下室2Bへ直接油液が流れる。上述の伸び行程時には、ピストンロッド7がシリンダ2内から退出した分、リザーバ又はガス室のガスが膨張してシリンダ2内の容積変化を補償する。
そして、ソレノイドアクチュエータ35のコイル50への通電電流によって伸び側弁体32の開弁圧力を調整することにより、環状室46から油路37への油液の流れを直接制御して減衰力を調整する。これにより、環状室46から伸び側背圧室15に導入される油液の圧力が調整されるので、同時に伸び側メインバルブ13の開弁圧力を制御することができる。
このとき、伸び側弁体32が開弁する際、縮み側弁体33の後端部がソレノイドアクチュエータ35のプランジャボア40内に突出することになるが、プランジャボア40内の油液が縮み側弁体33の油路41、伸び側弁体32の連通路39、弁座部材34の油路37及び逆止弁38を介して低圧側のシリンダ下室2Bへ流出することにより、縮み側弁体33の突出分の油液の体積補償が行われるので、伸び側弁体32を円滑に開弁させることができ、応答性を高めることができる。
ピストンロッド7の縮み行程時には、シリンダ下室2B側の油液は、縮み側メインバルブ23の開弁前には、図3中に破線(縮み側バイパス油路)で示すように、縮み側油路9、縮み側オリフィス31、径方向油路30及び環状室48を通り、径方向油路29、背圧導入弁28、縮み側背圧室25及びオリフィス26Aを通ってシリンダ上室2Aへ流れる。また、環状室48から、縮み側弁体33を開き、油路41、プランジャボア40、プランジャ36の油路43、ケース6の油路44及び逆止弁45を通ってシリンダ上室2Aへ流れる。シリンダ下室2B側の圧力が縮み側メインバルブ23の開弁圧力に達すると、これが開弁して、図3中に実線(縮み側流路)で示すように、縮み側油路9からシリンダ上室2Aへ直接油液が流れる。上述の縮み工程時には、ピストンロッド7がシリンダ2内に侵入した分、リザーバ又はガス室のガスが圧縮されてシリンダ2内の容積変化を補償する。
そして、ソレノイドアクチュエータ35のコイル50への通電電流によって縮み側弁体33の開弁圧力を調整することにより、環状室48から油路41への油液の流れを直接制御して減衰力を調整する。これにより、環状室48から縮み側背圧室25に導入される油液の圧力が調整されるので、同時に縮み側メインバルブ23の開弁圧力を制御することができる。
このとき、縮み側弁体33が開弁する際、縮み側弁体33の後端部がソレノイドアクチュエータ35のプランジャボア40内に突出することになるが、プランジャボア40内の油液がプランジャ36の油路43、ケース6の油路44及び逆止弁45を通って低圧側のシリンダ上室2Aへ流出することにより、縮み側弁体33の突出分の油液の体積補償が行われるので、縮み側弁体33を円滑に開弁させることができ、応答性を高めることができる。
このようにして、伸び側及び縮み側弁体32、33の開弁圧力を共通のソレノイドアクチュエータ35によって調整することができ、同時に、伸び側及び縮み側背圧室15、25の内圧によって伸び側及び縮み側メインバルブ13、23の開弁圧力を調整することができるので、構造をシンプルにすると共に、減衰力特性の調整範囲を広くすることができる。
本発明の一実施形態に係る減衰力調整式油圧緩衝器の要部の縦断面図である。 図1に示す減衰力調整式油圧緩衝器において、ピストンロッドの伸び行程時の油液の流れを示す図である。 図1に示す減衰力調整式油圧緩衝器において、ピストンロッドの縮み行程時の油液の流れを示す図である。
符号の説明
1 減衰力調整式油圧緩衝器(減衰力調整式流体圧緩衝器)、2 シリンダ、3 ピストン、7 ピストンロッド、10 伸び側減衰弁(減衰力発生機構)、11 縮み側減衰弁(減衰力発生機構)、13 伸び側メインバルブ、15 伸び側背圧室、19 案内ボア、23 縮み側メインバルブ、25 縮み側背圧室、32 伸び側弁体(伸び側圧力制御弁、第1弁体)、32A シート面、33 縮み側弁体(縮み側圧力制御弁、第2弁体)、34A シート面、35 ソレノイドアクチュエータ(減衰力調整手段)、38 逆止弁(第1逆止弁)、39 連通路、41 連通路、45 逆止弁(第2逆止弁)

Claims (7)

  1. 流体が封入されたシリンダと、前記シリンダ内に摺動可能に嵌装されて該シリンダ内を2室に画成するピストンと、該ピストンに連結されて前記シリンダの外部へ延出されたピストンロッドと、前記シリンダ内の2室間を連通する伸び側流路及び縮み側流路と、該伸び側流路及び縮み側流路の流体の流れを制御して減衰力を発生させる減衰力発生機構とを備えた減衰力調整式流体圧緩衝器において、
    前記減衰力発生機構は、前記伸び側流路に設けられた伸び側メインバルブと、該伸び側メインバルブの開弁圧力を調整する伸び側背圧室と、前記シリンダ内の2室間を連通する伸び側バイパス流路と、該伸び側バイパス流路に設けられ、その圧力によって開弁する伸び側圧力制御弁と、前記縮み側流路に設けられた縮み側メインバルブと、該縮み側メインバルブの開弁圧力を調整する縮み側背圧室と、前記シリンダ内の2室間を連通する縮み側バイパス流路と、該縮み側バイパス流路に設けられ、その圧力によって開弁する縮み側圧力制御弁とを備え、前記伸び側及び縮み側バイパス流路の前記伸び側及び縮み側圧力制御弁の上流側の圧力を前記伸び側及び縮み側背圧室にそれぞれ導入し、
    前記伸び側圧力制御弁及び前記縮み側圧力制御弁は、両端が前記シリンダ内の2室にそれぞれ連通する共通の案内ボアと、該案内ボア内に摺動可能に嵌装されて該案内ボアに設けられたシート面に着座して前記伸び側及び縮み側バイパス流路の一方の圧力を受けて開弁する第1弁体と、前記案内ボア内に摺動可能に嵌装されて前記第1弁体に設けられたシート面に着座して前記伸び側及び縮み側バイパス流路の他方の圧力を受けて開弁する第2弁体と、前記第1及び第2弁体を閉弁方向に付勢してこれらの開弁圧力を調整する減衰力調整手段と、前記案内ボアの両端部に設けられて前記第1及び第2弁体の両端側から前記シリンダ内の2室への流体の流通のみをそれぞれ許容する第1及び第2逆止弁とを備え、前記第1及び第2弁体には、これらの両端側を互いに連通する軸方向の連通路が設けられていることを特徴とする減衰力調整式流体圧緩衝器。
  2. 前記減衰力調整手段は、比例ソレノイドアクチュエータであることを特徴とする請求項1に記載の減衰力調整式流体圧緩衝器。
  3. 前記第1弁体と第2弁体との間には、両弁体を離間する方向に付勢する付勢手段を設けたことを特徴する請求項1または2に記載の減衰力調整式流体圧緩衝器。
  4. 前記第1弁体及び第2弁体は、前記シート面に着座する側の外周が小径部となり、他側が前記案内ボアに案内される大径部とから構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の減衰力調整式流体圧緩衝器。
  5. 前記案内ボアに設けられ、一端面が前記第1弁体と当接して前記シート面となる弁座部材を軸方向に移動可能に設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の減衰力調整式流体圧緩衝器。
  6. 前記弁座部材内に前記第1または第2逆止弁の一方を設けたことを特徴とする請求項5に記載の減衰力調整式流体圧緩衝器。
  7. 前記案内ボアは、ピストンロッドの軸方向に延びるように設けられたことを特徴とする請求項1乃至6に記載の減衰力調整式流体圧緩衝器。
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