JP2008089037A - 減衰力調整式油圧緩衝器 - Google Patents
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Abstract
【課題】伸び側及び縮み側の両方に背圧室を有するパイロット型減衰弁を備えた減衰力調整式油圧緩衝器において、構造をシンプルにする。
【解決手段】 油液が封入されたシリンダ2内に、ピストンロッド7が連結されたピストン3を嵌装する。ピストンロッド7の伸び行程時には、シリンダ上室2A側の油液は、伸び側油路8、伸び側オリフィス21A、径方向油路20、軸方向油路19、弁室27、径方向油路30を通り、伸び側逆止弁31を開き、縮み側油路9を通ってシリンダ下室2Bへ流れる。また、縮み行程時には、シリンダ下室2B側の油液は、縮み側油路9、縮み側オリフィス31A、径方向油路30、弁室27、軸方向油路19、径方向油路20を通り、縮み側逆止弁21を開き、伸び側油路8を通ってシリンダ上室2Aへ流れる。このように、伸び側と縮み側とで油液の流路の一部を共用して構造をシンプルにする。
【選択図】図1
【解決手段】 油液が封入されたシリンダ2内に、ピストンロッド7が連結されたピストン3を嵌装する。ピストンロッド7の伸び行程時には、シリンダ上室2A側の油液は、伸び側油路8、伸び側オリフィス21A、径方向油路20、軸方向油路19、弁室27、径方向油路30を通り、伸び側逆止弁31を開き、縮み側油路9を通ってシリンダ下室2Bへ流れる。また、縮み行程時には、シリンダ下室2B側の油液は、縮み側油路9、縮み側オリフィス31A、径方向油路30、弁室27、軸方向油路19、径方向油路20を通り、縮み側逆止弁21を開き、伸び側油路8を通ってシリンダ上室2Aへ流れる。このように、伸び側と縮み側とで油液の流路の一部を共用して構造をシンプルにする。
【選択図】図1
Description
本発明は、減衰力特性を適宜調整可能とした減衰力調整式油圧緩衝器に関するものである。
自動車等の車両の懸架装置に装着される油圧緩衝器には、路面状態、走行状態等に応じて、乗り心地や操縦安定性を向上させるために、減衰力特性を適宜調整できるようにした減衰力調整式油圧緩衝器がある。
減衰力調整式油圧緩衝器は、一般に、油液を封入したシリンダ内にピストンロッドを連結したピストンを摺動可能に嵌装してシリンダ内を2室に画成し、ピストン部にシリンダ内の2室を連通させる主油液通路及びバイパス通路を設け、主油液通路にはオリフィス及びディスクバルブ等からなる減衰力発生機構を設け、バイパス通路にはその通路面積を調整する減衰力調整弁を設けた構成となっている。
この構成により、減衰力調整弁によってバイパス通路を開いてシリンダ内の2室間の油液の流通抵抗を小さくすることにより減衰力を小さくし、また、バイパス通路を閉じて2室間の流通抵抗を大きくすることにより減衰力を大きくする。このように、減衰力調整弁の開閉により減衰力特性を適宜調整することができる。
しかしながら、上記のようにバイパス通路の通路面積のみによって減衰力を調整するものでは、ピストン速度の低速域においては、減衰力は油液通路のオリフィスの絞りに依存するので、減衰力特性を大きく変化させることができるが、ピストン速度の中高速域においては、減衰力が主油液通路の減衰力発生機構(ディスクバルブ等)の開度に依存するため、減衰力特性を大きく変化させることができない。
そこで、例えば特許文献1に記載されているように、主油液通路の減衰力発生機構として、ディスクバルブの背部に背圧室(パイロット室)を形成し、この背圧室を固定オリフィスを介してディスクバルブの上流側のシリンダ室に連通させ、また、流量制御弁(パイロット制御弁)を介してディスクバルブの下流側のシリンダ室に連通させてパイロット型減衰力調整弁としたものが知られている。
特開2003−278819号公報
この減衰力調整式油圧緩衝器によれば、流量制御弁を開閉することにより、シリンダ内の2室間の連通路面積を直接調整するとともに、流量制御弁で生じる圧力損失によって背圧室の圧力を変化させてディスクバルブの開弁圧力を変化させることができる。このようにして、オリフィス特性(減衰力がピストン速度の2乗にほぼ比例する)及びバルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する)を調整することができ、減衰力特性の調整範囲を広くすることができる。
しかしながら、上述の減衰力調整式油圧緩衝器において、伸び側及び縮み側の両方にパイロット型減衰力調整弁を設けた場合、伸び側及び縮み側で独立した油液通路が必要であり、構造が非常に複雑になるので、製造コストが高くなり、また、耐久性及び信頼性を確保することも困難になる。
本発明は、上記の点に鑑みて成されたものであり、伸び側及び縮み側の両方にパイロット型減衰弁を備え、かつ、シンプルな構造の減衰力調整式油圧緩衝器を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、油液が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌装されたピストンと、該ピストンに連結されて前記シリンダの外部へ延出されたピストンロッドと、前記ピストンに設けられた伸び側油路及び縮み側油路と、前記伸び側油路に設けられた伸び側メインバルブと、該伸び側メインバルブの開弁圧力を調整する伸び側背圧室と、前記伸び側油路と前記伸び側背圧室とを連通する伸び側オリフィス通路と、前記縮み側油路に設けられた縮み側メインバルブと、該縮み側メインバルブの開弁圧力を調整する縮み側背圧室と、前記縮み側油路と前記縮み側背圧室とを連通する縮み側オリフィス通路と、前記伸び側背圧室と前記縮み側背圧室とを連通する共通通路と、該共通通路の油液の流れを制御する減衰力調整弁とを備え、
該減衰力調整弁は、シート面に対して弁体を垂直方向に進退動させて環状のシート部を前記シート面に離着座させることによって油液の流れを制御し、前記シート部の内周側に前記伸び側背圧室と前記縮み側背圧室の一方と同じ圧力を油液から受ける内周受圧面を有し、前記シート部の外周側に前記伸び側背圧室と前記縮み側背圧室の他方と同じ圧力を油液から受ける外周受圧面を有する圧力制御弁であることを特徴とする。
請求項2の発明に係る減衰力調整弁は、上記請求項1の構成において、前記縮み側背圧室側から前記縮み側油路側への油液の流通を許容する伸び側逆止弁及び前記伸び側背圧室側から前記伸び側油路側への油液の流通を許容する縮み側逆止弁を備えていることを特徴とする。
請求項3の発明に係る減衰力調整式油圧緩衝器は、上記請求項2の構成において、前記伸び側オリフィスは前記縮み側逆止弁に設けられ、前記縮み側オリフィスは前記伸び側逆止弁に設けられていることを特徴とする。
該減衰力調整弁は、シート面に対して弁体を垂直方向に進退動させて環状のシート部を前記シート面に離着座させることによって油液の流れを制御し、前記シート部の内周側に前記伸び側背圧室と前記縮み側背圧室の一方と同じ圧力を油液から受ける内周受圧面を有し、前記シート部の外周側に前記伸び側背圧室と前記縮み側背圧室の他方と同じ圧力を油液から受ける外周受圧面を有する圧力制御弁であることを特徴とする。
請求項2の発明に係る減衰力調整弁は、上記請求項1の構成において、前記縮み側背圧室側から前記縮み側油路側への油液の流通を許容する伸び側逆止弁及び前記伸び側背圧室側から前記伸び側油路側への油液の流通を許容する縮み側逆止弁を備えていることを特徴とする。
請求項3の発明に係る減衰力調整式油圧緩衝器は、上記請求項2の構成において、前記伸び側オリフィスは前記縮み側逆止弁に設けられ、前記縮み側オリフィスは前記伸び側逆止弁に設けられていることを特徴とする。
請求項1の発明に係る減衰力調整式油圧緩衝器によれば、減衰力調整弁によって、伸び側及び縮み側の減衰力を調整すると共に、これにより、伸び側及び縮み側背圧室の内圧を調整して、伸び側及び縮み側メインバルブの開弁圧力を調整することができる。このとき、伸び側と縮み側とで、油液の流路の一部を共用するので、構造をシンプルにすることができる。
請求項2の発明に係る減衰力調整式油圧緩衝器によれば、ピストンロッドの伸び行程時には、伸び側逆止弁によって縮み側オリフィス通路をバイパスして、縮み側油路へ油液が流通し、また、縮み行程時には、縮み側逆止弁によって伸び側オリフィス通路をバイパスして、伸び側油路へ油液が流通するので、減衰力調整弁の下流側の流路面積を大きくすることができる。
請求項3の発明に係る減衰力調整式油圧緩衝器によれば、伸び側オリフィスと縮み側逆止弁及び縮み側オリフィスと伸び側逆止弁を一体化して小型化を図ることをできる。
請求項2の発明に係る減衰力調整式油圧緩衝器によれば、ピストンロッドの伸び行程時には、伸び側逆止弁によって縮み側オリフィス通路をバイパスして、縮み側油路へ油液が流通し、また、縮み行程時には、縮み側逆止弁によって伸び側オリフィス通路をバイパスして、伸び側油路へ油液が流通するので、減衰力調整弁の下流側の流路面積を大きくすることができる。
請求項3の発明に係る減衰力調整式油圧緩衝器によれば、伸び側オリフィスと縮み側逆止弁及び縮み側オリフィスと伸び側逆止弁を一体化して小型化を図ることをできる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る油圧緩衝器1は、単筒式油圧緩衝器であり、有底円筒状のシリンダ2の開口部にロッドガイド(図示せず)及びオイルシール(図示せず)が取付けられ、シリンダ2内の底部側に、フリーピストン(図示せず)が摺動可能に嵌装されている。シリンダ2内は、フリーピストンによって底部側のガス室と他端側の油室とに画成されており、ガス室には高圧ガスが封入され、油室には油液が封入されている。なお、フリーピストンによってガス室を形成する代わりに、シリンダ2の底部に油液及びガスが封入されたリザーバを接続してもよい。
図1に示すように、本実施形態に係る油圧緩衝器1は、単筒式油圧緩衝器であり、有底円筒状のシリンダ2の開口部にロッドガイド(図示せず)及びオイルシール(図示せず)が取付けられ、シリンダ2内の底部側に、フリーピストン(図示せず)が摺動可能に嵌装されている。シリンダ2内は、フリーピストンによって底部側のガス室と他端側の油室とに画成されており、ガス室には高圧ガスが封入され、油室には油液が封入されている。なお、フリーピストンによってガス室を形成する代わりに、シリンダ2の底部に油液及びガスが封入されたリザーバを接続してもよい。
シリンダ2の油室には、ピストン3が摺動可能に嵌装されており、このピストン3によって油室内がシリンダ上室2Aとシリンダ下室2Bとの2室に画成されている。ピストン3には、ピストンボルト4の先端部が挿通され、ナット5によって固定されている。ピストンボルト4の基端部(図中上部)には、略有底円筒状のケース6が取付けられている。ケース6の底部には、ピストンロッド7の一端部(図中下側)が連結され、ピストンロッド7の他端側は、ロッドガイド及びオイルシールに摺動可能かつ液密的に挿通されて、シリンダ2の外部へ延出されている。
ピストン3には、シリンダ上室2A側に開口する伸び側油路8及びシリンダ下室2B側に開口する縮み側油路9が設けられている。ピストン3の下端部には、伸び側油路8の油液の流動を制御する伸び側減衰弁10が設けられ、また、上端部には、縮み側油路9の油液の流動を制御する縮み側減衰弁11が設けられている。
伸び側減衰弁10は、ピストン3の下端面に形成されたシート部12に着座する伸び側メインバルブ13(ディスクバルブ)と、ナット5によってピストンボルト4に取付けられたバルブ部材14によって伸び側メインバルブ13の背部に形成された伸び側背圧室15とを備えている。伸び側背圧室15は、その内圧を伸び側メインバルブ13に対して閉弁方向に作用させる。伸び側背圧室15は、バルブ部材14に設けられたオリフィス16A(切欠)を有するディスクバルブ16を介してシリンダ下室2Bに接続されている。オリフィス16Aは伸び側背圧室15とシリンダ下室2Bとを常時連通させ、ディスクバルブ16は伸び側背圧室15の圧力が所定圧力に達したとき開弁して、その圧力をシリンダ下室2Bへリリーフする。
伸び側背圧室15は、バルブ部材14に設けられた背圧導入弁17を介してピストンボルト4の径方向油路18に接続されており、径方向油路18は、更に、ピストンボルト4の軸心に沿って延びる軸方向油路19(共通通路)に連通している。背圧導入弁17は径方向油路18側から伸び側背圧室15側への油液の流通を許容する逆止弁である。背圧導入弁17は、径方向油路18と伸び側背圧室15とを常時連通させるオリフィス17Aを有している。また、軸方向油路19は、径方向油路20に連通しており、径方向油路20は、ピストン3に設けられた伸び側オリフィス21Aを有する縮み側逆止弁21を介して伸び側油路8に接続されている。伸び側オリフィス21Aは径方向油路20と伸び側油路8とを常時連通させ、縮み側逆止弁21は径方向油路20側から伸び側油路8側への油液の流通のみを許容する。なお、本実施形態では、伸び側オリフィス21A、径方向油路20、軸方向油路19、径方向油路18およびオリフィス17Aが本発明の伸び側オリフィス通路を構成しているが、伸び側メインバルブ13内部に伸び側油路8と伸び側背圧室15とを常時連通するオリフィスを設け、これを伸び側オリフィス通路としてもよい。
縮み側減衰弁11は、ピストン3の上端面に形成されたシート部22に着座する縮み側側メインバルブ23(ディスクバルブ)と、ナット5によってピストンボルト4に取付けられたバルブ部材24によって縮み側メインバルブ23の背部に形成された縮み側背圧室25とを備えている。縮み側背圧室25は、その内圧を縮み側メインバルブ23に対して閉弁方向に作用させる。縮み側背圧室25は、バルブ部材24に設けられたオリフィス26A(切欠)を有するディスクバルブ26を介してシリンダ上室2Aに接続されている。オリフィス26Aは縮み側背圧室25とシリンダ上室2Aとを常時連通させ、ディスクバルブ26は縮み側背圧室25の圧力が所定圧力に達したとき開弁して、その圧力をシリンダ上室2Aへリリーフする。
ピストンボルト4の基端側には、軸方向に沿って延びる弁室27が形成されており、弁室27は、軸方向油路19よりも大径で、その先端部が軸方向油路19に連通されている。縮み側背圧室25は、バルブ部材24に設けられた背圧導入弁28を介してピストンボルト4の径方向油路29に接続されており、径方向油路29は弁室27の側壁に開口している。背圧導入弁28は径方向油路29側から縮み側背圧室25側への油液の流通を許容する逆止弁である。背圧導入弁28は、径方向油路29と縮み側背圧室25とを常時連通させるオリフィス28Aを有している。また、弁室27の側壁には、径方向油路30が開口されており、径方向油路30は、ピストン3に設けられた縮み側オリフィス31Aを有する伸び側逆止弁31を介して縮み側油路9に接続されている。縮み側オリフィス31Aは径方向油路30と縮み側油路9とを常時連通させ、伸び側逆止弁31は径方向油路30側から縮み側油路9側への油液の流通を許容する。なお、本実施形態では、縮み側オリフィス31A、径方向油路30、弁室27、径方向油路29およびオリフィス28Aが本発明の縮み側オリフィス通路を構成しているが、縮み側メインバルブ23内部に縮み側油路9と縮み側背圧室25とを常時連通するオリフィスを設け、これを縮み側オリフィス通路としてもよい。
弁室27には、シート弁32(弁体、減衰力調整弁)が摺動可能に嵌装されている。図2に示すように、シート弁32は、弁室27の側壁に嵌合する基部に対して先端側が小径になっている。シート弁32の先端部は、外周部がテーパ状に縮径されてテーパ部33が形成され、また、先端面にテーパ状の凹部34が形成されており、テーパ部33と凹部34との間に環状のシート部35が形成されている。そして、シート部35が弁室27の先端部のシート面27Aに離着座することによって軸方向油路19と弁室27との間の流路を開閉する。このとき、シート弁32は、シート部35の内周側の円形の受圧面Aによって軸方向油路19側の圧力を受け、また、シート部35の外周側の環状の受圧面Bによって径方向油路29、30側の圧力を受ける。
シート弁32の基端部は、ケース6内に設けられたソレノイドアクチュエータ36のプランジャ37に連結されており、コイル38への通電電流によってプランジャ37の推力を調整することにより、シート弁32の開弁圧力を制御するようになっている。コイル38に通電するためのリード線39は、中空のピストンロッド7に挿通されて、外部へ延ばされている。プランジャ37は、バルブスプリング40によって、シート弁32をシート面27Aに押圧する方向に付勢されており、バルブスプリング40のセット荷重を調整するための調整ねじ41が設けられている。プランジャ37には、その両端部の作用する液圧をバランスさせるためのバランス通路42が軸方向に貫通されている。ケース6の底部(最上部)には、製造行程において油液を充填する際に、ケース6内に溜まる気泡を排出するためのオリフィス通路43が設けられている。
以上のように構成した本実施形態の作用について次に説明する。
ピストンロッド7の伸び行程時には、シリンダ上室2A側の油液は、伸び側メインバルブ13の開弁前には、伸び側油路8、伸び側オリフィス21A、径方向油路20、軸方向油路19、弁室27、径方向油路30を通り、伸び側逆止弁31を開き、縮み側油路9を通ってシリンダ下室2Bへ流れる。シリンダ上室2A側の圧力が伸び側メインバルブ13の開弁圧力に達すると、これが開弁して伸び側油路8からシリンダ下室2Bへ直接油液が流れる。このとき、ピストンロッド7がシリンダ2内から退出した分、ガス室又はリザーバのガスが膨張してシリンダ2内の容積変化を補償する。
ピストンロッド7の伸び行程時には、シリンダ上室2A側の油液は、伸び側メインバルブ13の開弁前には、伸び側油路8、伸び側オリフィス21A、径方向油路20、軸方向油路19、弁室27、径方向油路30を通り、伸び側逆止弁31を開き、縮み側油路9を通ってシリンダ下室2Bへ流れる。シリンダ上室2A側の圧力が伸び側メインバルブ13の開弁圧力に達すると、これが開弁して伸び側油路8からシリンダ下室2Bへ直接油液が流れる。このとき、ピストンロッド7がシリンダ2内から退出した分、ガス室又はリザーバのガスが膨張してシリンダ2内の容積変化を補償する。
そして、ソレノイドアクチュエータ36のコイル38への通電電流によってシート弁32の開弁圧力を調整することにより、軸方向油路19から弁室27への油液の流れを直接制御して減衰力を調整する。このとき、軸方向油路19の圧力が径方向油路18及び背圧導入弁17を介して伸び側背圧室15に導入されるので、伸び側メインバルブ13の開弁圧力を同時に制御することができる。
ピストンロッド7の縮み行程時には、シリンダ下室2B側の油液は、縮み側メインバルブ23の開弁前には、縮み側油路9、縮み側オリフィス31A、径方向油路30、弁室27、軸方向油路19、径方向油路20を通り、縮み側逆止弁21を開き、伸び側油路8を通ってシリンダ上室2Aへ流れる。シリンダ下室2B側の圧力が縮み側メインバルブ23の開弁圧力に達すると、これが開弁して縮み側油路9からシリンダ上室2Aへ直接油液が流れる。このとき、ピストンロッド7がシリンダ2内に侵入した分、ガス室又はリザーバのガスが圧縮されてシリンダ2内の容積変化を補償する。
そして、ソレノイドアクチュエータ36のコイル38への通電電流によってシート弁32の開弁圧力を調整することにより、弁室27から軸方向油路19への油液の流れを直接制御して減衰力を調整する。このとき、弁室27の圧力が径方向油路29及び背圧導入弁28を介して縮み側背圧室25に導入されるので、縮み側メインバルブ23の開弁圧力を同時に制御することができる。
このようにして、伸び側及び縮み側の減衰力を共通のシート弁32によって調整することができ、同時に、伸び側及び縮み側背圧室15、25の内圧によって伸び側及び縮み側メインバルブ13、23の開弁圧力を調整することができるので、減衰力特性の調整範囲を広くすることができる。このとき、シート弁32は、図2に示すように、ピストンロッド7の伸び行程時には、軸方向油路19側の油液の圧力を内周側の受圧面Aによって受け、また縮み行程時には、弁室27側の油液の圧力を外周側の受圧面Bによって受けて油液の流動を制御するので、受圧面A、Bの面積をそれぞれ適当に設定することにより、伸び側及び縮み側の減衰力を所望の特性に設定することができる。
また、ピストンロッド7の伸び及び縮み行程において、油液の流路を一部共用としているので、構造をシンプルにすることができ、製造コストを低減すると共に、耐久性及び信頼性を高めることができる。また、このシンプル化に伴い、ピストンの軸方向寸法を小さくできるので、油圧緩衝器として充分なストロークを確保することができる。
1 減衰力調整式油圧緩衝器、2 シリンダ、3 ピストン、7 ピストンロッド、8 伸び側油路、9 縮み側油路、13 伸び側メインバルブ、15 伸び側背圧室、19 軸方向油路(共通通路)、21 縮み側逆止弁、21A 伸び側オリフィス、23 縮み側メインバルブ、25 縮み側背圧室、27A シート面、31 伸び側逆止弁、31A 縮み側オリフィス、32 シート弁(弁体、減衰力調整弁)、35 シート部、A、B 受圧面
Claims (3)
- 油液が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌装されたピストンと、該ピストンに連結されて前記シリンダの外部へ延出されたピストンロッドと、前記ピストンに設けられた伸び側油路及び縮み側油路と、前記伸び側油路に設けられた伸び側メインバルブと、該伸び側メインバルブの開弁圧力を調整する伸び側背圧室と、前記伸び側油路と前記伸び側背圧室とを連通する伸び側オリフィス通路と、前記縮み側油路に設けられた縮み側メインバルブと、該縮み側メインバルブの開弁圧力を調整する縮み側背圧室と、前記縮み側油路と前記縮み側背圧室とを連通する縮み側オリフィス通路と、前記伸び側背圧室と前記縮み側背圧室とを連通する共通通路と、該共通通路の油液の流れを制御する減衰力調整弁とを備え、
該減衰力調整弁は、シート面に対して弁体を垂直方向に進退動させて環状のシート部を前記シート面に離着座させることによって油液の流れを制御し、前記シート部の内周側に前記伸び側背圧室と前記縮み側背圧室の一方と同じ圧力を油液から受ける内周受圧面を有し、前記シート部の外周側に前記伸び側背圧室と前記縮み側背圧室の他方と同じ圧力を油液から受ける外周受圧面を有する圧力制御弁であることを特徴とする減衰力調整式油圧緩衝器。 - 前記縮み側背圧室側から前記縮み側油路側への油液の流通を許容する伸び側逆止弁及び前記伸び側背圧室側から前記伸び側油路側への油液の流通を許容する縮み側逆止弁を備えていることを特徴とする請求項1に記載の減衰力調整式油圧緩衝器。
- 前記伸び側オリフィスは前記縮み側逆止弁に設けられ、前記縮み側オリフィスは前記伸び側逆止弁に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の減衰力調整式油圧緩衝器。
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