JP2008215132A - 内燃機関装置およびこれを搭載する車両並びに内燃機関の失火判定方法 - Google Patents

内燃機関装置およびこれを搭載する車両並びに内燃機関の失火判定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電磁ピックアップ型のセンサを用いる場合において、回転体の複数の歯の製造誤差に基づくノイズを有効に除去して内燃機関の失火をより適正に判定する。
【解決手段】30度所要時間T30(CA)の時間変動に対してクランクポジションセンサによるタイミングローターの歯によるノイズの周波数成分を除去するローパスフィルタとダンパの共振成分を除去するハイパスフィルタを施して判定用所要時間TF30を求め(S110〜S130)、求めた判定用所要時間TF30を用いてエンジンの失火を判定する(S140〜S170)。これにより、クランクポジションセンサのタイミングローターの歯によるノイズに影響されることなく、エンジンの失火をより適正に判定することができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、内燃機関装置およびこれを搭載する車両並びに内燃機関の失火判定方法に関し、詳しくは、ねじれ要素を介して駆動軸に動力を出力可能な複数気筒の内燃機関を有する内燃機関装置およびこうした内燃機関装置を動力源として搭載する車両並びにねじれ要素を介して駆動軸に動力を出力可能な複数気筒の内燃機関と内燃機関の出力軸の回転に同期して回転し所定回転角毎に設けられた複数の歯を有する回転体を用いて出力軸の回転位置を検出する回転位置検出手段とを備える内燃機関装置における内燃機関の失火を判定する内燃機関の失火判定方法に関する。
従来、この種の内燃機関装置としては、エンジン回転数が第1の所定回転数以下のときには第1の所定周波数以上の周波数成分を通過するハイパスフィルタを用いて得られる回転変動を用いて失火を判定し、エンジン回転数が第2の所定回転数以上のときには第2の所定周波数以上の周波数成分を通過するローパスフィルタを用いて得られる回転変動を用いて失火を判定するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、上述のようにフィルタを切り換えることにより、エンジン回転数が低いときに生じ得る「揺り返し」による回転変動に与えるノイズを除去し、エンジン回転数が高いときに生じ得る捩れ振動による回転変動に与えるノイズを除去している。
特許2605199号公報
しかしながら、上述の内燃機関装置では、クランク角を検出するセンサとして、クランクシャフトの回転に同期して回転し所定回転角毎(例えば10度毎)に設けられた複数の歯を有するロータを用いるものを使用する、いわゆる電磁ピックアップ型のセンサを用いる場合、回転変動にロータの歯の製造誤差に基づくノイズが含まれるため、エンジン回転数によっては失火の判定に誤判定が生じる場合がある。
本発明の内燃機関装置およびこれを搭載する車両並びに内燃機関の失火判定方法は、内燃機関の出力軸の回転に同期して回転し所定回転角毎に設けられた複数の歯を有する回転体を用いて出力軸の回転位置を検出するセンサを用いる場合において、回転体の複数の歯の製造誤差に基づくノイズを有効に除去することを目的の一つとする。また、本発明の内燃機関装置およびこれを搭載する車両並びに内燃機関の失火判定方法は、回転体の複数の歯の製造誤差に基づくノイズを有効に除去して内燃機関の失火をより適正に判定することを目的の一つとする。
本発明の内燃機関装置およびこれを搭載する車両並びに内燃機関の失火判定方法は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明の内燃機関装置は、
ねじれ要素を介して駆動軸に動力を出力可能な複数気筒の内燃機関を有する内燃機関装置であって、
前記内燃機関の出力軸の回転に同期して回転し、所定回転角毎に設けられた複数の歯を有する回転体を用いて該出力軸の回転位置を検出する回転位置検出手段と、
前記検出された回転位置に基づいて前記所定回転角の所定整数倍毎の前記出力軸の回転変動を演算する回転変動演算手段と、
前記演算された回転変動から少なくとも前記内燃機関における各気筒の燃焼の周波数成分より数倍以上大きな周波数成分を除去して判定用回転変動を取得する判定用回転変動取得手段と、
前記取得した判定用回転変動に基づいて前記内燃機関の失火を判定する失火判定手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の内燃機関装置では、内燃機関の出力軸の回転に同期して回転し所定回転角毎に設けられた複数の歯を有する回転体を用いて検出された出力軸の回転位置に基づいて所定回転角の所定整数倍毎の出力軸の回転変動を演算し、この演算した回転変動から少なくとも内燃機関における各気筒の燃焼の周波数成分より数倍以上大きな周波数成分を除去して判定用回転変動を取得する。そして、こうして取得した判定用回転変動に基づいて内燃機関の失火を判定する。内燃機関の各気筒の燃焼の周波数は、4サイクルエンジンで4気筒のときには出力軸の回転数に対して2倍の回転数に相当する周波数となり、4サイクルエンジンで6気筒のときには出力軸の回転数に対して3倍の回転数に相当する周波数となり、4サイクルエンジンで8気筒のときには出力軸の回転数に対して4倍の回転数に相当する周波数となる。一方、回転位置検出手段の回転体の所定回転角を10度とすると回転体の歯数は36となり、回転体の複数の歯の製造誤差に基づくノイズの周波数は、出力軸の回転数に対して36倍の回転数に相当する周波数となる。このため、内燃機関の各気筒の燃焼の周波数成分の数倍以上大きな周波数成分を除去することは、回転体の複数の歯の製造誤差に基づくノイズの周波数成分を除去することになる。したがって、内燃機関の各気筒の燃焼の周波数成分の数倍以上大きな周波数成分を除去して得られる判定用回転変動は、回転体の複数の歯の製造誤差に基づくノイズの周波数成分を除去して得られる回転数成分になるから、この判定用回転変動を用いて内燃機関の失火を判定することにより、失火判定から回転体の複数の歯の製造誤差に基づくノイズによる誤判定をより適正に除去することができる。この結果、内燃機関の失火をより適正に判定することができる。
こうした本発明の内燃機関装置において、前記判定用回転変動取得手段は、前記出力軸の1回転に対して12回の割合の周波数以上の周波数成分を減衰除去するローパスフィルタを用いて前記判定用回転変動を取得する手段であるものとすることもできる。こうすれば、回転体の複数の歯の製造誤差に基づくノイズの周波数成分を容易に且つ有効に除去することができる。この場合、ローパスフィルタとしては、アナログフィルタを用いてもよいし、デジタルフィルタを用いてもよい。
また、本発明の内燃機関装置において、前記判定用回転変動取得手段は、前記演算された回転変動から前記ねじれ要素の共振の周波数成分を除去して前記判定用回転変動を取得する手段であるものとすることもできる。こうすれば、回転変動からねじれ要素の共振の周波数成分も除去することができるから、失火判定からねじれ要素の共振に基づくノイズによる誤判定をより適正に除去することができる。この結果、内燃機関の失火をより適正に判定することができる。この場合、前記判定用回転変動取得手段は、前記出力軸の1回転に対して1回の割合の周波数未満の周波数成分を減衰除去するハイパスフィルタを用いて前記判定用回転変動を取得する手段であるものとすることもできる。
さらに、本発明の内燃機関装置において、前記回転変動演算手段は、前記回転変動として前記出力軸が前記所定回転角だけ回転する毎に該出力軸が該所定回転角だけ回転するのに要する時間である単位回転角所要時間を演算する手段であるものとすることもできる。単位回転角所要時間は、回転変動としての回転角速度の逆数に相当するものであるから、回転変動としての回転角速度に代えて単位回転角所要時間を用いて失火を判定することができる。
本発明の内燃機関装置において、前記ねじれ要素を介して前記出力軸に接続されると共に前記駆動軸に接続され電力と動力の入出力を伴って前記出力軸と前記駆動軸に動力を入出力可能な電力動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、を備えるものとすることもできる。この場合、前記電力動力入出力手段は、動力を入出力可能な発電機と、前記出力軸と前記駆動軸と発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力された動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、を備える手段であるものとすることもできる。
本発明の車両は、上述のいずれかの態様の内燃機関装置、即ち、基本的には、ねじれ要素を介して駆動軸に動力を出力可能な複数気筒の内燃機関を有する内燃機関装置であって、前記内燃機関の出力軸の回転に同期して回転し、所定回転角毎に設けられた複数の歯を有する回転体を用いて該出力軸の回転位置を検出する回転位置検出手段と、前記検出された回転位置に基づいて前記所定回転角の所定整数倍毎の前記出力軸の回転変動を演算する回転変動演算手段と、前記演算された回転変動から少なくとも前記内燃機関における各気筒の燃焼の周波数成分より数倍以上大きな周波数成分を除去して判定用回転変動を取得する判定用回転変動取得手段と、前記取得した判定用回転変動に基づいて前記内燃機関の失火を判定する失火判定手段と、を備える内燃機関装置を動力源として搭載し、車軸が前記駆動軸に連結されてなる、ことを要旨とする。
この本発明の車両では、上述のいずれかの態様の本発明の内燃機関装置を搭載するから、本発明の内燃機関装置が奏する効果、例えば、内燃機関の出力軸の回転位置を検出する回転位置検出手段における回転体の複数の歯の製造誤差に基づくノイズの周波数成分を有効に除去することができる効果や失火判定から回転体の複数の歯の製造誤差に基づくノイズによる誤判定をより適正に除去することができる結果、内燃機関の失火をより適正に判定することができる効果、などと同様な効果を奏することができる。
本発明の内燃機関の失火判定方法は、
ねじれ要素を介して駆動軸に動力を出力可能な複数気筒の内燃機関と、前記内燃機関の出力軸の回転に同期して回転し所定回転角毎に設けられた複数の歯を有する回転体を用いて該出力軸の回転位置を検出する回転位置検出手段と、を備える内燃機関装置における該内燃機関の失火を判定する内燃機関の失火判定方法であって、
(a)前記検出された出力軸の回転位置に基づいて前記所定回転角の所定整数倍毎の該出力軸の回転変動を演算し、
(b)前記演算した回転変動から少なくとも前記内燃機関における各気筒の燃焼の周波数成分より数倍以上大きな周波数成分を除去して判定用回転変動を取得し、
(c)前記取得した判定用回転変動に基づいて前記内燃機関の失火を判定する、
ことを特徴とする。
この本発明の内燃機関の失火判定方法では、内燃機関の出力軸の回転に同期して回転し所定回転角毎に設けられた複数の歯を有する回転体を用いて検出された出力軸の回転位置に基づいて所定回転角の所定整数倍毎の出力軸の回転変動を演算し、この演算した回転変動から少なくとも内燃機関における各気筒の燃焼の周波数成分より数倍以上大きな周波数成分を除去して判定用回転変動を取得する。そして、こうして取得した判定用回転変動に基づいて内燃機関の失火を判定する。上述した内燃機関の各気筒の燃焼の周波数と回転体の複数の歯の製造誤差に基づくノイズの周波数との関係から、内燃機関の各気筒の燃焼の周波数成分の数倍以上大きな周波数成分を除去することは、回転体の複数の歯の製造誤差に基づくノイズの周波数成分を除去することになる。したがって、内燃機関の各気筒の燃焼の周波数成分の数倍以上大きな周波数成分を除去して得られる判定用回転変動は、回転体の複数の歯の製造誤差に基づくノイズの周波数成分を除去して得られる回転数成分になるから、この判定用回転変動を用いて内燃機関の失火を判定することにより、失火判定から回転体の複数の歯の製造誤差に基づくノイズによる誤判定をより適正に除去することができる。この結果、内燃機関の失火をより適正に判定することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例である内燃機関装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にねじれ要素としてのダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。ここで、実施例の内燃機関装置としては、主としてエンジン22とこのエンジン22にダンパ28を介して接続された動力分配統合機構30とモータMG1とエンジン22を制御するエンジン用電子制御ユニット24が該当する。
エンジン22は、例えばガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力可能な8気筒の内燃機関として構成されており、図2に示すように、エアクリーナ122により清浄された空気をスロットルバルブ124を介して吸入すると共に気筒毎に設けられた燃料噴射弁126からガソリンを噴射して吸入された空気とガソリンとを混合し、この混合気を吸気バルブ128を介して燃料室に吸入し、点火プラグ130による電気火花によって爆発燃焼させて、そのエネルギにより押し下げられるピストン132の往復運動をクランクシャフト26の回転運動に変換する。エンジン22からの排気は、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する浄化装置(三元触媒)134を介して外気へ排出される。
エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により制御されている。エンジンECU24は、CPU24aを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU24aの他に処理プログラムを記憶するROM24bと、データを一時的に記憶するRAM24cと、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。エンジンECU24には、エンジン22の状態を検出する種々のセンサからの信号、クランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ140からのクランクポジションやエンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ142からの冷却水温,燃焼室へ吸排気を行なう吸気バルブ128や排気バルブを開閉するカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ144からのカムポジション,スロットルバルブ124のポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサ146からのスロットルポジション,吸気管に取り付けられたエアフローメータ148からのエアフローメータ信号AF,同じく吸気管に取り付けられた温度センサ149からの吸気温,空燃比センサ135aからの空燃比AF,酸素センサ135bからの酸素信号などが入力ポートを介して入力されている。また、エンジンECU24からは、エンジン22を駆動するための種々の制御信号、例えば、燃料噴射弁126への駆動信号や、スロットルバルブ124のポジションを調節するスロットルモータ136への駆動信号、イグナイタと一体化されたイグニッションコイル138への制御信号、吸気バルブ128の開閉タイミングを変更可能な可変バルブタイミング機構150への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。また、エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータを出力する。上述したクランクポジションセンサ140は、図3に示すように、クランクシャフト26と回転同期して回転するように取り付けられて10度毎に歯が形成されると共に基準位置検出用に2つ分の欠歯を形成したタイミングローターを有する電磁ピックアップセンサとして構成されており、クランクシャフト26が10度回転する毎に整形波を生じさせる。エンジンECU24では、このクランクポジションセンサ140からの整形波に基づいてクランクシャフト26が30度回転する毎の回転数をエンジン22の回転数Neとして計算している。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)を演算したり、演算した残容量(SOC)と電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算している。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20に搭載されたエンジン22のいずれかの気筒が失火しているか否かを判定する際の動作について説明する。図4は、エンジンECU24により実行される失火判定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎に繰り返し実行される。
失火判定処理が実行されるとエンジンECU24のCPU24aは、まず、クランクポジションセンサ140により検出されるクランク角CAやエンジン22の回転数Ne,図5に例示するT30演算処理により演算されるクランクシャフト26が30度回転するのに要する時間である30度所要時間T30(CA)を入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、エンジン22の回転数Neは、クランクポジションセンサ140により検出されるクランク角CAに基づいて計算されたものを用いることができる。また、30度所要時間T30(CA)は、図5のT30演算処理に示すように、基準となるクランク角から30度毎のクランク角CAとそのクランク角CAを検出した検出時刻tを入力し(ステップS200)、30度毎のクランク角CAの入検出時刻の差分を計算する(ステップS210)、ことにより求めることができる。ここで、30度所要時間T30(CA)は、その逆数をとるとクランクシャフト26が30度回転する毎のエンジン22の回転数(以下、30度回転数N30(CA))となるから、30度回転数N30(CA)の変化の程度、即ち回転変動を時間の単位を用いて表わしたものとなる。
続いて、エンジン22の回転数Neに基づいて30度所要時間T30(CA)に対して施すフィルタとして、エンジン22の各気筒の爆発燃焼の周波数の9倍の周波数成分以上を有効に減衰除去するローパスフィルタを設定すると共に(ステップS110)、エンジン22の各気筒の爆発燃焼の周波数の1/4倍の周波数成分未満を有効に減衰除去するハイパスフィルタを設定する(ステップS120)。ここで、実施例のエンジン22は8気筒であるから、各気筒の爆発の周波数は4・Ne/60として計算され、クランクポジションセンサ140によるタイミングローター140aの歯によるノイズの周波数は36・Ne/60として計算される。このため、エンジン22の各気筒の爆発燃焼の周波数の9倍の周波数成分以上を有効に減衰除去するローパスフィルタは、各気筒の爆発の周波数成分は減衰せずにクランクポジションセンサ140によるタイミングローター140aの歯によるノイズの周波数成分を有効に減衰除去するものとなる。また、ダンパ28の共振成分のうち失火判定に大きな影響を与える周波数成分は、失火の周波数とその2倍程度の周波数であることが多い。失火の周波数は、8気筒のうち1気筒が連続的に失火していることを考えれば、各気筒の爆発の周波数の1/8であるから、0.5・Ne/60として計算され、その2倍の周波数は、1・Ne/60として計算される。エンジン22の各気筒の爆発燃焼の周波数の1/4倍の周波数成分未満を有効に減衰除去するハイパスフィルタは、各気筒の爆発の周波数成分は減衰せずにダンパ28の共振成分のうち失火判定に大きな影響を与える周波数成分を有効に減衰除去するものとなる。ローパスフィルタの伝達関数Glowを式(1)に示すと共にハイパスフィルタの伝達関数Ghiを式(2)に示す。ここで、式(1)および式(2)中、「T」は時定数であり、カットオフ周波数をfとすると、T=1/fとして表わされる。また、式(1)および式(2)中、「ω」は角周波数である。したがって、ローパスフィルタは、式(1)を用いると共にカットオフ周波数として爆発燃焼の周波数の9倍の周波数を設定することにより得ることができ、ハイパスフィルタは、式(1)を用いると共にカットオフ周波数として爆発燃焼の周波数の1/4倍の周波数の2倍の周波数を設定することにより得ることができる。実施例のローパスフィルタとハイパスフィルタの周波数特性の一例を図6に示す。なお、ローパスフィルタとハイパスフィルタは、アナログフィルタとして設計してもよいし、ディジタルフィルタとして設計してもよい。
Figure 2008215132
こうしてローパスフィルタとハイパスフィルタとを設定すると、入力した30度所要時間T30(CA)に対して設定したローパスフィルタとハイパスフィルタとを施してクランクポジションセンサ140によるタイミングローター140aの歯によるノイズの周波数成分とダンパ28の共振によるノイズの周波数成分とを除去した判定用所要時間TF30(CA)を計算する(ステップS130)。続いて、失火判定の対象となる気筒の圧縮行程の上死点から30度後(ATDC30)と90度後(ATDC90)の判定用所要時間TF30(ATDC30),TF30(ATDC90)の差分[TF30(ATDC30)−TF30(ATDC90)]を所要時間差分TD30として計算し(ステップS140)、計算した所要時間差分TD30の360度前に所要時間差分TD30として計算される値との差(所要時間差分TD30の360度差)[TD30−TD30(360度前)]を判定用値J30として計算し(ステップS150)、計算した判定用値J30を閾値Jrefと比較し(ステップS160)、判定用値J30が閾値Jrefより大きいときには対象の気筒が失火していると判定して(ステップS170)、失火判定処理を終了し、判定用値J30が閾値Jref以下のときには対象の気筒は失火していないと判定して失火判定処理を終了する。ここで、所要時間差分TD30は、圧縮上死点からの角度から考えれば、エンジン22の燃焼(爆発)によるピストン132の加速の程度から、その気筒が正常に燃焼(爆発)していれば負の値となり、その気筒が失火していると正の値となる。このため、判定用値J30は、対象の気筒が正常に燃焼(爆発)していれば値0近傍の値となり、対象の気筒が失火していれば正常に燃焼している気筒の所要時間差分TD30の絶対値の値より大きな正の値となる。従って、閾値Jrefとして、正常に燃焼している気筒の所要時間差分TD30程度の絶対値の値の近傍の値として設定することにより、対象の気筒の失火を精度良く判定することができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関装置によれば、各気筒の爆発の周波数成分は減衰せずにクランクポジションセンサ140のタイミングローター140aの歯によるノイズの周波数成分を有効に減衰除去するローパスフィルタを30度所要時間T30(CA)に施して判定用所要時間TF30(CA)を計算すると共にこの判定用所要時間TF30(CA)を用いてエンジン22の失火を判定するから、クランクポジションセンサ140によるタイミングローター140aの歯によるノイズに影響されることなく、エンジン22の失火をより適正に判定することができる。しかも、各気筒の爆発の周波数成分は減衰せずにダンパ28の共振成分のうち失火判定に大きな影響を与える周波数成分を有効に減衰除去するハイパスフィルタを30度所要時間T30(CA)に施して判定用所要時間TF30(CA)を計算すると共にこの判定用所要時間TF30(CA)を用いてエンジン22の失火を判定するから、ダンパ28の共振に影響されることなく、エンジン22の失火をより適正に判定することができる。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関装置では、クランクポジションセンサ140によるタイミングローター140aの歯によるノイズの周波数成分を除去するローパスフィルタにおけるカットオフ周波数として爆発燃焼の周波数の9倍の周波数を用いたが、タイミングローター140aの歯によるノイズの周波数成分を除去するものであればよいから、カットオフ周波数は爆発燃焼の周波数より大きければよい。また、ダンパ28の共振成分を除去するハイパスフィルタにおけるカットオフ周波数として失火の周波数の2倍の周波数を用いたが、失火の周波数の2倍の周波数を除去するものであればよいから、カットオフ周波数は爆発燃焼の周波数より小さければよい。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関装置では、30度所要時間T30(CA)の時間変動に対してクランクポジションセンサ140によるタイミングローター140aの歯によるノイズの周波数成分を除去するローパスフィルタとダンパ28の共振成分を除去するハイパスフィルタを施して判定用所要時間TF30を求め、各気筒の圧縮行程の上死点から30度後(ATDC30)と90度後(ATDC90)の判定用所要時間TF30(ATDC30),TF30(ATDC90)の差分[TF30(ATDC30)−TF30(ATDC90)]を所要時間差分TD30として計算すると共に計算した所要時間差分TD30の360度前に所要時間差分TD30として計算される値との差(所要時間差分TD30の360度差)[TD30−TD30(360度前)]を判定用値J30として計算して失火を判定したが、所要時間差分TD30としては各気筒の圧縮行程の上死点から30度後(ATDC30)と90度後(ATDC90)の判定用所要時間TF30(ATDC30),TF30(ATDC90)の差分に限定されるものではなく、各気筒の圧縮行程の上死点(TDC)と上死点から60度後(ATDC60)の判定用所要時間TF30(TDC),TF30(ATDC60)の差分とするなど、異なるクランク角に対応する判定用所要時間TF30の差分を用いて計算するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関装置では、30度所要時間T30(CA)の時間変動に対してクランクポジションセンサ140によるタイミングローター140aの歯によるノイズの周波数成分を除去するローパスフィルタとダンパ28の共振成分を除去するハイパスフィルタを施して判定用所要時間TF30を求めて失火を判定するものとしたが、ダンパ28の共振の影響がない回転数領域などでは、30度所要時間T30(CA)の時間変動に対してクランクポジションセンサ140によるタイミングローター140aの歯によるノイズの周波数成分を除去するローパスフィルタだけを施して判定用所要時間TF30を求めて失火を判定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関装置では、クランクシャフト26が30度回転するのに要する時間である30度所要時間T30(CA)の時間変動に対してクランクポジションセンサ140によるタイミングローター140aの歯によるノイズの周波数成分を除去するローパスフィルタとダンパ28の共振成分を除去するハイパスフィルタとを施して判定用所要時間TF30を求め、この判定用所要時間TF30を用いて計算した所要時間差分TD30および判定用値J30により失火を判定するものとしたが、30度所要時間T30(CA)はクランクシャフト26の30度毎の回転数である30度回転数N30(CA)の逆数であるから、30度回転数N30(CA)の時間変動に対してローパスフィルタとハイパスフィルタとを施して判定用回転数NF30(CA)を求め、この判定用回転数NF30(CA)の各気筒の圧縮行程の上死点から30度後(ATDC30)と90度後(ATDC90)の差分により所要回転数差DN30を計算すると共にこの所要回転数差DN30の360度差分により判定用値JN30を計算し、計算した判定用値JN30により失火を判定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関装置では、クランクシャフト26が30度回転するのに要する時間としての30度所要時間T30(CA)をベースとしてエンジン22の失火を判定するものとしたが、クランクシャフト26が5度回転するのに要する時間として5度所要時間T5(CA)や10度回転するのに要する時間として10度所要時間T10(CA)など種々の所要時間を用いてエンジン22の失火を判定するものとしてもかまわない。また、5度毎のクランクシャフト26の回転数である5度回転数N5(CA)や10度毎のクランクシャフト26の回転数である10度回転数N10(CA)など種々の回転数を用いてエンジン22の失火を判定するものとしても構わない。これらの場合、クランクポジションセンサとして1度毎或いは5度毎に歯が形成されたタイミングローターを有する電磁ピックアップセンサとして構成するものとすればよい。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関装置では、8気筒のエンジン22の失火を判定するものとして説明したが、4気筒や6気筒のエンジンの失火を判定するものとしてもよく、8気筒を超える気筒数のエンジンの失火を判定するものとしてもよく、複数気筒であれば如何なるエンジンの失火を判定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、減速ギヤ35を介して駆動軸としてのリングギヤ軸32aにモータMG2を取り付けるものとしたが、リングギヤ軸32aにモータMG2を直接取り付けるものとしてもよいし、減速ギヤ35に代えて2段変速や3段変速,4段変速などの変速機を介してリングギヤ軸32aにモータMG2を取り付けるものとしても構わない。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22のクランクシャフト26にねじれ要素としてのダンパ28を介して接続されると共にモータMG1の回転軸や駆動軸としてのリングギヤ軸32aに接続される動力分配統合機構30とリングギヤ軸32aに減速ギヤ35を介して接続されるモータMG2とを備える装置におけるエンジン22の失火判定装置としたが、エンジンのクランクシャフトがねじれ要素としてのダンパを介して後段に接続されているものであればよいから、図7の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図7における車輪64a,64bに接続された車軸)に接続するもののエンジン22の失火判定装置としてもよいし、図8の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26にダンパ28を介して接続されたインナーロータ232と駆動輪63a,63bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるもののエンジン22の失火判定装置としてもよい。
また、こうしたハイブリッド自動車に搭載された内燃機関装置に限定されるものではなく、自動車以外の移動体などに搭載された内燃機関や建設設備などの移動しない設備に組み込まれた内燃機関などの内燃機関装置としても構わない。また、内燃機関の失火判定方法の形態としてもよい。
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、クランクシャフト26と回転同期して回転するように取り付けられて10度毎に歯が形成されると共に基準位置検出用に2つ分の欠歯を形成したタイミングローターを有する電磁ピックアップセンサとして構成されたクランクポジションセンサ140が「回転位置検出手段」に相当し、クランクポジションセンサ140からの信号に基づいてクランクシャフト26が30度回転するのに要する時間である30度所要時間T30(CA)を演算する図5のT30演算処理を実行するエンジンECU24が「回転変動演算手段」に相当し、30度所要時間T30(CA)の時間変動に対してクランクポジションセンサ140によるタイミングローター140aの歯によるノイズの周波数成分を除去するローパスフィルタとダンパ28の共振成分を除去するハイパスフィルタを施して判定用所要時間TF30を取得する図4の失火判定処理のステップS110〜S130の処理を実行するエンジンECU24が「判定用回転変動取得手段」に相当し、各気筒の圧縮行程の上死点から30度後(ATDC30)と90度後(ATDC90)の判定用所要時間TF30(ATDC30),TF30(ATDC90)の差分[TF30(ATDC30)−TF30(ATDC90)]を所要時間差分TD30として計算すると共に計算した所要時間差分TD30の360度前に所要時間差分TD30として計算される値との差(所要時間差分TD30の360度差)[TD30−TD30(360度前)]を判定用値J30として計算して失火を判定する図4の失火判定処理のステップS140〜S170の処理を実行するエンジンECU24が「失火判定手段」に相当する。また、モータMG1と動力分配統合機構30との組み合わせが「電力動力入出力手段」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当する。さらに、モータMG1が「発電機」に相当し、動力分配統合機構30が「3軸式動力入出力手段」に相当する。また、対ロータ電動機230も「電力動力入出力手段」に相当する。ここで、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する8気筒の内燃機関に限定されるものではなく、6気筒や4気筒或いは8気筒を超える気筒数のエンジンとしたり、燃料も水素とするなど如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「回転位置検出手段」としては、クランクシャフト26と回転同期して回転するように取り付けられて10度毎に歯が形成されると共に基準位置検出用に2つ分の欠歯を形成したタイミングローターを有する電磁ピックアップセンサとして構成されたクランクポジションセンサ140に限定されるものではなく、1度ごとに歯が形成されたタイミングローターを用いるものとするなど、内燃機関の出力軸の回転に同期して回転し、所定回転角毎に設けられた複数の歯を有する回転体を用いて出力軸の回転位置を検出するものであれば如何なるものとしても構わない。「回転変動演算手段」としては、クランクポジションセンサ140からの信号に基づいてクランクシャフト26が30度回転するのに要する時間である30度所要時間T30(CA)を演算するものに限定されるものではなく、クランクポジションセンサ140からの信号に基づいてクランクシャフト26が30度回転する毎の回転数である30度回転数N30(CA)を演算するものとしたり、1度ごとに歯が形成されたタイミングローターを用いたクランクポジションセンサからの信号に基づいてクランクシャフト26が10度回転するのに要する時間である10度所要時間T10(CA)を演算するものとしたりするなど、検出された回転位置に基づいて所定回転角の所定整数倍毎の出力軸の回転変動を演算するものであれば如何なるものとしても構わない。「判定用回転変動取得手段」としては、30度所要時間T30(CA)の時間変動に対してクランクポジションセンサ140によるタイミングローター140aの歯によるノイズの周波数成分を除去するローパスフィルタとダンパ28の共振成分を除去するハイパスフィルタを施して判定用所要時間TF30を取得するものに限定されるものではなく、30度所要時間T30(CA)の時間変動に対してクランクポジションセンサ140によるタイミングローター140aの歯によるノイズの周波数成分を除去するローパスフィルタだけを施して判定用所要時間TF30を取得するものとするなど、演算された回転変動から少なくとも内燃機関における各気筒の燃焼の周波数成分より数倍以上大きな周波数成分を除去して判定用回転変動を取得するものであれば如何なるものとしても構わない。「失火判定手段」としては、各気筒の圧縮行程の上死点から30度後(ATDC30)と90度後(ATDC90)の判定用所要時間TF30(ATDC30),TF30(ATDC90)の差分[TF30(ATDC30)−TF30(ATDC90)]を所要時間差分TD30として計算すると共に計算した所要時間差分TD30の360度前に所要時間差分TD30として計算される値との差(所要時間差分TD30の360度差)[TD30−TD30(360度前)]を判定用値J30として計算して失火を判定するものに限定されるものではなく、各気筒の圧縮行程の上死点(TDC)と上死点から60度後(ATDC60)の判定用所要時間TF30(TDC),TF30(ATDC60)の差分[TF30(TDC)−TF30(ATDC60)]を所要時間差分TD30として計算すると共に計算した所要時間差分TD30の360度前に所要時間差分TD30として計算される値との差(所要時間差分TD30の360度差)[TD30−TD30(360度前)]を判定用値J30として計算して失火を判定するものとするなど、取得した判定用回転変動に基づいて内燃機関の失火を判定するものであれば如何なるものとしても構わない。「電力動力入出力手段」としては、動力分配統合機構30とモータMG1とを組み合わせたものや対ロータ電動機230に限定されるされるものではなく、車軸に連結された駆動軸に接続されると共に該駆動軸とは独立に回転可能に前記内燃機関の出力軸に接続され、電力と動力の入出力を伴って前記駆動軸と前記出力軸とに動力を入出力可能なものであれば如何なるものとしても構わない。「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、駆動軸に動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「発電機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの発電機としても構わない。「3軸式動力入出力手段」としては、上述の動力分配統合機構30に限定されるものではなく、ダブルピニオン式の遊星歯車機構を用いるものや複数の遊星歯車機構を組み合わせて4以上の軸に接続されるものやデファレンシャルギヤのように遊星歯車とは異なる作動作用を有するものなど、駆動軸と出力軸と発電機の回転軸との3軸に接続され3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力するものであれば如何なるものとしても構わない。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明
はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、内燃機関装置や車両の製造産業などに利用可能である。
本発明の一実施例であるハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 エンジン22の構成の概略を示す構成図である。 タイミングローター140aの一例を示す説明図である。 エンジンECU24により実行される失火判定処理の一例を示すフローチャートである。 30度所要時間T30の演算処理の一例を示すフローチャートである。 ローパスフィルタとハイパスフィルタの周波数特性の一例を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。 変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、24a CPU、24b ROM、24c RAM、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、122 エアクリーナ、124 スロットルバルブ、126 燃料噴射弁、128 吸気バルブ、130 点火プラグ、132
ピストン、134 浄化装置、135a 空燃比センサ、135b 酸素センサ、136 スロットルモータ、138 イグニッションコイル、140 クランクポジションセンサ、140a タイミングローター、142 水温センサ、144 カムポジションセンサ、146 スロットルバルブポジションセンサ、148 エアフローメータ、149
温度センサ、150 可変バルブタイミング機構、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ、234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ。

Claims (9)

  1. ねじれ要素を介して駆動軸に動力を出力可能な複数気筒の内燃機関を有する内燃機関装置であって、
    前記内燃機関の出力軸の回転に同期して回転し、所定回転角毎に設けられた複数の歯を有する回転体を用いて該出力軸の回転位置を検出する回転位置検出手段と、
    前記検出された回転位置に基づいて前記所定回転角の所定整数倍毎の前記出力軸の回転変動を演算する回転変動演算手段と、
    前記演算された回転変動から少なくとも前記内燃機関における各気筒の燃焼の周波数成分より数倍以上大きな周波数成分を除去して判定用回転変動を取得する判定用回転変動取得手段と、
    前記取得した判定用回転変動に基づいて前記内燃機関の失火を判定する失火判定手段と、
    を備える内燃機関装置。
  2. 前記判定用回転変動取得手段は、前記出力軸の1回転に対して12回の割合の周波数以上の周波数成分を減衰除去するローパスフィルタを用いて前記判定用回転変動を取得する手段である請求項1記載の内燃機関装置。
  3. 前記判定用回転変動取得手段は、前記演算された回転変動から前記ねじれ要素の共振の周波数成分を除去して前記判定用回転変動を取得する手段である請求項1または2記載の内燃機関装置。
  4. 前記判定用回転変動取得手段は、前記出力軸の1回転に対して1回の割合の周波数未満の周波数成分を減衰除去するハイパスフィルタを用いて前記判定用回転変動を取得する手段である請求項3記載の内燃機関装置。
  5. 前記回転変動演算手段は、前記回転変動として前記出力軸が前記所定回転角だけ回転する毎に該出力軸が該所定回転角だけ回転するのに要する時間である単位回転角所要時間を演算する手段である請求項1ないし4いずれか記載の内燃機関装置。
  6. 請求項1ないし5いずれか記載の内燃機関装置であって、
    前記ねじれ要素を介して前記出力軸に接続されると共に前記駆動軸に接続され、電力と動力の入出力を伴って前記出力軸と前記駆動軸に動力を入出力可能な電力動力入出力手段と、
    前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、
    を備える内燃機関装置。
  7. 前記電力動力入出力手段は、動力を入出力可能な発電機と、前記出力軸と前記駆動軸と発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力された動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、を備える手段である請求項6記載の内燃機関装置。
  8. 請求項1ないし7いずれか記載の内燃機関装置を動力源として搭載し、車軸が前記駆動軸に連結されてなる車両。
  9. ねじれ要素を介して駆動軸に動力を出力可能な複数気筒の内燃機関と、前記内燃機関の出力軸の回転に同期して回転し所定回転角毎に設けられた複数の歯を有する回転体を用いて該出力軸の回転位置を検出する回転位置検出手段と、を備える内燃機関装置における該内燃機関の失火を判定する内燃機関の失火判定方法であって、
    (a)前記検出された出力軸の回転位置に基づいて前記所定回転角の所定整数倍毎の該出力軸の回転変動を演算し、
    (b)前記演算した回転変動から少なくとも前記内燃機関における各気筒の燃焼の周波数成分より数倍以上大きな周波数成分を除去して判定用回転変動を取得し、
    (c)前記取得した判定用回転変動に基づいて前記内燃機関の失火を判定する、
    ことを特徴とする内燃機関の失火判定方法。
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