JP4544354B2 - 内燃機関の失火判定装置および車両 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の失火判定装置および車両に関し、詳しくは、出力軸がねじれ要素を介して後段の後段軸に接続された複数気筒の内燃機関の失火を判定する内燃機関の失火判定装置およびこうした失火判定装置を備える車両に関する。
従来、この種の内燃機関の失火判定装置としては、モータによりエンジンのクランク軸のトルク変動を打ち消すよう制振制御を行なう車両において、モータによる制振制御のためにモータから出力するトルクを補正するトルク補正量を算出し、このモータのトルク補正量に基づいてエンジンの失火状態を検出するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−65402号公報
エンジンのクランク軸にダンパのようなねじれ要素を介して後段に接続されている車両などに搭載されている装置では、エンジンの爆発燃焼によるクランク軸のトルク変動がねじれ要素やこのねじれ要素を含む後段の共振を誘発し、共振によりクランク軸に回転変動が生じる結果、クランク角の回転変動に基づいてエンジンのいずれかの気筒の失火を検出しようとしても、精度良く検出することができない。モータによりエンジンのクランク角のトルク変動に対して制振制御を行なうと、ねじれ要素やねじれ要素を含む後段の共振を助長する場合も生じ、エンジンのいずれかの気筒の失火の検出の精度は更に低くなってしまう。
本発明の内燃機関の失火判定装置および車両は、出力軸がねじれ要素を介して後段の後段軸に接続された複数気筒の内燃機関の失火を精度良く判定することを目的とする。
本発明の内燃機関の失火判定装置および車両は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の内燃機関の失火判定装置は、
出力軸がねじれ要素を介して後段の後段軸に接続された複数気筒の内燃機関の失火を判定する内燃機関の失火判定装置であって、
前記出力軸の回転数である出力軸回転数を検出する出力軸回転数検出手段と、
前記後段軸の回転数である後段軸回転数を検出する後段軸回転数検出手段と、
前記検出された出力軸回転数と前記検出された後段軸回転数の少なくとも一方を通信を介して取得するよう構成され、前記取得した出力軸回転数に対して前記ねじれ要素のねじれに基づいて生じる共振の周波数成分を抽出すると共に前記取得した後段軸回転数に対して前記共振の周波数成分を抽出し、該抽出した両周波数成分の位相差と前記取得した出力軸回転数とに基づいて前記通信の遅れ時間を推定し、該推定した通信の遅れ時間に応じた時間差をもって前記出力軸回転数と前記後段軸回転数とを取得すると共に該取得した前記出力軸回転数と前記後段軸回転数とに基づいて前記共振が前記出力軸の回転数に影響を及ぼす共振影響成分を演算する共振影響成分演算手段と、
前記検出された出力軸回転数から前記演算された共振影響成分を減じて得られる検出用回転数に基づいて前記内燃機関の失火を判定する失火判定手段と
を備えることを要旨とする。
この本発明の内燃機関の失火判定装置では、出力軸の回転数として検出された出力軸回転数と後段軸の回転数として検出された後段軸回転数の少なくとも一方を通信により取得し、取得した出力軸回転数に対してねじれ要素のねじれに基づいて生じる共振の周波数成分を抽出すると共に取得した後段軸回転数に対して共振の周波数成分を抽出し、抽出した両周波数成分の位相差と取得した出力軸回転数とに基づいて通信の遅れ時間を推定し、推定した通信の遅れ時間に応じた時間差をもって出力軸回転数と後段軸回転数とを取得すると共に取得した出力軸回転数と後段軸回転数とに基づいて共振が出力軸の回転数に影響を及ぼす共振影響成分を演算し、出力軸回転数から演算された共振影響成分を減じて得られる検出用回転数に基づいて内燃機関の失火を判定する。この結果、ねじれ要素のねじれに基づく共振が生じても、出力軸回転数と後段軸回転数とに基づいて内燃機関の失火を精度良く判定することができる。また、出力軸回転数と後段軸回転数の少なくとも一方を通信により取得する場合に、その通信遅れが出力軸回転数と後段軸回転数とに基づいて内燃機関の失火を判定する際の判定精度に与える影響を少なくすることができる。ここで、「出力軸回転数と後段軸回転数の少なくとも一方を通信により取得する場合」には、出力軸回転数を通信によらずに直接取得すると共に後段軸回転数を通信により取得する場合の他、出力軸回転数を通信により取得すると共に後段軸回転数を通信によらずに直接取得する場合、出力軸回転数を通信により取得すると共に後段軸回転数も通信により取得する場合も含まれる。なお、後者の場合の通信の遅れ時間は、通信の遅れ時間差に相当するものとなる。ここで、出力軸回転数を通信によらずに直接取得すると共に後段軸回転数を通信により取得する場合、共振影響成分演算手段は、内燃機関の各気筒毎に点火可能な点火手段による点火時期が遅いほど長くなる傾向に通信の遅れ時間を推定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、通信の遅れ時間をより適正に推定することができる。
こうした本発明の内燃機関の失火判定装置において、前記共振影響成分演算手段は、前記共振の周波数成分として前記内燃機関の2回転に1回の成分を抽出する手段であるものとすることもできる。
また、本発明の内燃機関の失火判定装置において、前記共振影響成分演算手段は、前記共振の周波数は減衰せずに該共振の周波数以外の帯域については減衰するフィルタ処理を施すことにより該共振の周波数成分を抽出する手段であるものとすることもできる。こうすれば、出力軸回転数と後段軸回転数の共振の周波数成分のみを用いて位相差を検出できるから、より正確に通信の遅れ時間を推定することができる。この態様の本発明の内燃機関の失火判定装置において、前記フィルタ処理は、バンドパスフィルタを用いた処理であるものとすることもできる。
さらに、本発明の内燃機関の失火判定装置において、前記共振影響成分演算手段は、前記両周波数成分の位相差に対してなまし処理を施したなまし後位相差に基づいて前記通信の遅れ時間を推定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関の過渡状態にも対応することができる。
あるいは、本発明の内燃機関の失火判定装置において、前記共振影響成分演算手段は、前記内燃機関の燃焼状態に基づいて前記通信の遅れ時間を推定する手段であるものとすることもできる。ここで、「内燃機関の燃焼状態」には、内燃機関の各気筒毎に点火可能な点火手段による点火時期などが含まれる。
また、本発明の内燃機関の失火判定装置において、前記共振影響成分演算手段は、前記取得した出力軸回転数と前記取得した後段軸回転数とにより前記ねじれ要素のねじれ角を演算すると共に該演算したねじれ角と前記ねじれ要素のバネ定数と前記ねじれ要素より前記内燃機関側の慣性モーメントとに基づいて前記共振影響成分を演算する手段であるものとすることもできる。この場合、前記共振影響成分演算手段は、前記取得した出力軸回転数から前記取得した後段軸回転数を減じた値の積分計算に基づいて前記ねじれ角を演算し、前記バネ定数と前記慣性モーメントとの定数関係値に前記ねじれ角を乗じたものの積分計算に基づいて前記共振影響成分を演算する手段であるものとすることもできる。
本発明の車両は、
出力軸がねじれ要素を介して後段の後段軸に接続された複数気筒の内燃機関と、
前記内燃機関の失火を判定する上述した各態様のいずれかの本発明の内燃機関の失火判定装置、即ち、基本的には、出力軸がねじれ要素を介して後段の後段軸に接続された複数気筒の内燃機関の失火を判定する内燃機関の失火判定装置であって、前記出力軸の回転数である出力軸回転数を検出する出力軸回転数検出手段と、前記後段軸の回転数である後段軸回転数を検出する後段軸回転数検出手段と、前記検出された出力軸回転数と前記検出された後段軸回転数の少なくとも一方を通信を介して取得するよう構成され前記取得した出力軸回転数に対して前記ねじれ要素のねじれに基づいて生じる共振の周波数成分を抽出すると共に前記取得した後段軸回転数に対して前記共振の周波数成分を抽出し該抽出した両周波数成分の位相差と前記取得した出力軸回転数とに基づいて前記通信の遅れ時間を推定し該推定した通信の遅れ時間に応じた時間差をもって前記出力軸回転数と前記後段軸回転数とを取得すると共に該取得した前記出力軸回転数と前記後段軸回転数とに基づいて前記共振が前記出力軸の回転数に影響を及ぼす共振影響成分を演算する共振影響成分演算手段と、前記検出された出力軸回転数から前記演算された共振影響成分を減じて得られる検出用回転数に基づいて前記内燃機関の失火を判定する失火判定手段とを備える内燃機関の失火判定装置と
を備えることを要旨とする。
この本発明の車両では、上述のいずれかの態様の本発明の内燃機関の失火判定装置を備えるから、本発明の内燃機関の失火判定装置が奏する効果、例えば、ねじれ要素のねじれに基づく共振が生じても、内燃機関の失火を精度良く判定することができ、この際に出力軸回転数と後段軸回転数の少なくとも一方を通信により取得する場合に、その通信遅れが出力軸回転数と後段軸回転数とに基づいて内燃機関の失火を判定する際の判定精度に与える影響を少なくすることができる効果などと同様な効果を奏することができる。
こうした本発明の車両において、前記ねじれ要素より後段の前記後段軸側に動力を出力可能な電動機を備え、前記後段軸回転数検出手段は、前記電動機の回転数である電動機回転数を検出する手段を兼ねてなり、該検出した電動機回転数を換算することにより前記後段軸回転数を検出する手段であるものとすることもできる。こうすれば、後段軸回転数検出手段として電動機の回転数を検出する高精度のセンサを兼用することができる。しかも、電動機により車軸側のトルク変動に伴う振動を抑制する制振制御を行なっている場合でも、内燃機関の失火を精度良く判定することができる。
また、電動機を備える態様の本発明の車両において、前記後段軸と車軸側とに接続され、電力と動力の入出力を伴って前記後段軸と前記車軸側とに動力を入出力する電力動力入出力手段を備え、前記電動機は、前記車軸側に動力を出力可能に接続され、前記後段軸回転数検出手段は、前記電力動力入出力手段の駆動状態を検出する手段を兼ねてなり、前記検出した電動機回転数と前記検出した駆動状態とに基づく演算により前記後段軸回転数を検出する手段であるものとすることもできる。この場合、電力動力入出力手段により車軸側のトルク変動に伴う振動を抑制する制振制御を行なっている場合でも、内燃機関の失火を精度良く判定することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例である内燃機関の失火判定装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にねじれ要素としてのダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続されたリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。ここで、実施例の内燃機関の失火判定装置としては、主としてエンジン22を制御するエンジン用電子制御ユニット24と後述するエンジン22のクランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ140とモータMG1,モータMG2の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44などが該当する。
エンジン22は、例えばガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力可能な8気筒の内燃機関として構成されており、図2に示すように、エアクリーナ122により清浄された空気をスロットルバルブ124を介して吸入すると共に気筒毎に設けられた燃料噴射弁126からガソリンを噴射して吸入された空気とガソリンとを混合し、この混合気を吸気バルブ128を介して燃焼室に吸入し、点火プラグ130による電気火花によって爆発燃焼させて、そのエネルギにより押し下げられるピストン132の往復運動をクランクシャフト26の回転運動に変換する。エンジン22からの排気は、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する浄化装置(三元触媒)134を介して外気へ排出される。
エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により制御されている。エンジンECU24は、CPU24aを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU24aの他に処理プログラムを記憶するROM24bと、データを一時的に記憶するRAM24cと、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。エンジンECU24には、エンジン22の状態を検出する種々のセンサからの信号、クランクシャフト26の回転位置(クランク角CA)を検出するクランクポジションセンサ140からのクランクポジション(クランク角CA)やエンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ142からの冷却水温,燃焼室へ吸排気を行なう吸気バルブ128や排気バルブを開閉するカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ144からのカムポジション,スロットルバルブ124のポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサ146からのスロットルポジション,吸気管に取り付けられたエアフローメータ148からの吸入空気量Q,同じく吸気管に取り付けられた温度センサ149からの吸気温,空燃比センサ135aからの空燃比AF,酸素センサ135bからの酸素信号などが入力ポートを介して入力されている。また、エンジンECU24からは、エンジン22を駆動するための種々の制御信号、例えば、燃料噴射弁126への駆動信号や、スロットルバルブ124のポジションを調節するスロットルモータ136への駆動信号、イグナイタと一体化されたイグニッションコイル138への制御信号、吸気バルブ128の開閉タイミングの変更可能な可変バルブタイミング機構150への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。なお、エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータを出力する。なお、上述したクランクポジションセンサ140は、クランクシャフト26と回転同期して回転するように取り付けられて10度毎に歯が形成されると共に基準位置検出用に2つ分の欠歯を形成したタイミングローターを有する電磁ピックアップセンサとして構成されており、クランクシャフト26が10度回転する毎に整形波を生じさせる。エンジンECU24では、このクランクポジションセンサ140からの整形波に基づいてクランクシャフト26が30度回転する毎の回転数をエンジン22の回転数Neとして計算している。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34に接続されたキャリア軸34aにはダンパ28を介してエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。回転位置検出センサ43,44は、レゾルバにより構成されており、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいて所定時間毎(例えば50μsec毎や100μsec毎など)にモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を計算している。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。実施例では、各ECU間の通信は、CAN(Controller Area Network)と呼ばれる通信規格を用いて行なわれている。なお、CANでは、フレームと呼ばれる単位でデータを送受信しており、各フレームには優先順位を定めるためのID番号が割り当てられ、各ECUはこのIDによってデータを受信するかどうかを判断している。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいてリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20に搭載されたエンジン22のいずれかの気筒が失火しているか否かを判定する際の動作について説明する。図3は、エンジンECU24により実行される失火判定処理の一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎に繰り返し実行される。
失火判定処理が実行されると、エンジンECU24のCPU24aは、まず、判定用回転数Nj(CA)を入力すると共に(ステップS100)、入力した判定用回転数Nj(CA)の逆数によりクランクシャフト26が30度回転するのに要する30度回転所要時間T30(CA)を計算する処理を実行する(ステップS110)。判定用回転数Nj(CA)は、エンジン22の回転数Neからダンパ28のねじれに基づく共振の影響成分(共振影響成分)Ndeを減じた回転数であり、図4に例示する判定用回転数演算処理により演算される。説明の容易のため、判定用回転数Nj(CA)の演算処理については後述する。
続いて、失火判定の対象となる気筒の圧縮行程の上死点から30度後(ATDC30)と90度後(ATDC90)の30度回転所要時間T30(ATDC30),T30(ATDC90)の差分[T30(ATDC30)−T30(ATDC90)]を所要時間差分TD30として計算し(ステップS120)、計算した所要時間差分TD30の360度前に所要時間差分TD30として計算される値との差(所要時間差分TD30の360度差)[TD30−TD30(360度前)]を判定用値J30として計算し(ステップS130)、計算した判定用値J30を閾値Jrefと比較し(ステップS140)、判定用値J30が閾値Jrefより大きいときには対象の気筒が失火していると判定して(ステップS150)、失火判定処理を終了し、判定用値J30が閾値Jref以下のときには対象の気筒は失火していないと判定して失火判定処理を終了する。ここで、所要時間差分TD30は、圧縮上死点からの角度から考えれば、エンジン22の燃焼(爆発)によるピストン132の加速の程度から、その気筒が正常に燃焼(爆発)していれば負の値となり、その気筒が失火していると正の値となる。このため、判定用値J30は、対象の気筒が正常に燃焼(爆発)していれば値0近傍の値となり、対象の気筒が失火していれば正常に燃焼している気筒の所要時間差分TD30の絶対値の値より大きな正の値となる。従って、閾値Jrefとして、正常に燃焼している気筒の所要時間差分TD30程度の絶対値の近傍の値として設定することにより、対象の気筒の失火を精度良く判定することができる。
次に、判定用回転数Nj(CA)の演算処理について説明する。判定用回転数Nj(CA)の演算処理では、図4の判定用回転数演算処理に示すように、エンジンECU24のCPU24aは、まず、通信遅れ時間Tdを入力し(ステップS200)、入力した通信遅れ時間Tdに基づいてクランク角30度毎のクランク角CAとエンジン22の回転数Ne(CA)とダンパ28の動力分配統合機構30側の回転数、即ち、キャリア軸34aの回転数であるダンパ後段回転数Nd(CA)を入力する(ステップS210)。ここで、ここで、通信遅れ時間Tdは、ステップS210でダンパ後段回転数Ndを入力するまでの通信の遅れ時間に相当するものであり、エンジン22の回転数Neとダンパ後段回転数Ndとに基づいて通信遅れ時間推定処理により推定される。また、エンジン22の回転数Ne(CA)については、クランクポジションセンサ140からの整形波に基づいてエンジンECU24によりクランクシャフト26が30度回転する毎に計算されるエンジン22の回転数Neのうちクランク角CAに対応するものを入力するものとし、ダンパ後段回転数Nd(CA)については、ハイブリッド用電子制御ユニット70によりダンパ後段回転数演算処理により演算されるもののうちクランク角CAに対応すると共にエンジン22の回転数Ne(CA)に対して通信遅れ時間Tdに相当する時間差だけ前のものを通信により入力するものとした。なお、エンジン22の回転数Neについては通信遅れ時間Tdの演算に用いられるエンジン22の回転数Neと同一のタイミングのものを入力することが望ましい。図5は、ダンパ後段回転数演算処理の一例を示すフローチャートであり、図6は、通信遅れ時間推定処理の一例を示すフローチャートである。以下、図5のダンパ後段回転数演算処理と図6の通信遅れ時間推定処理について順に説明する。
ダンパ後段回転数Ndの演算処理では、図5のダンパ後段回転数演算処理に示すように、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を入力し(ステップS300)、入力したモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2と動力分配統合機構30のギヤ比ρ(サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)と減速ギヤ35のギヤ比Grとを用いてダンパ後段回転数Ndを次式(1)により計算し(ステップS310)、計算したダンパ後段回転数NdをエンジンECU24に送信して(ステップS320)、本処理を終了する。ここで、回転数Nm1,Nm2については、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいて計算されたものを通信により入力するものとした。このため、ダンパ後段回転数Nd(CA)はモータECU40から通信により入力されたモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2に基づいてハイブリッド用電子制御ユニット70により演算されたものが通信によりエンジンECU24に入力されたものであるから、通信遅れが生じ、実際のダンパ後段回転数とは異なる回転数となる。
Nd=[Nm2・Gr+ρ・Nm1]/(1+ρ) (1)
通信遅れ時間推定処理では、図6の通信遅れ時間推定処理に示すように、エンジンECU24のCPU24aは、まず、エンジン22の回転数Neとダンパ後段回転数Ndを入力する(ステップS400)。エンジン22の回転数Neとダンパ後段回転数Ndの入力については前述した。続いて、入力したエンジン22の回転数Neに対してバンドパスフィルタを施してフィルタ後回転数FNeを演算すると共に入力したダンパ後段回転数Ndに対して同一のバンドパスフィルタを施してフィルタ後回転数FNdを演算する(ステップS410)。ここで、バンドパスフィルタは、エンジン22の回転数Neやダンパ後段回転数Ndからダンパ28のねじれに基づいて生じる共振の周波数成分を抽出するためのものである。バンドパスフィルタの一例を図7に示す。バンドパスフィルタとしては、ダンパ28のねじれに基づく共振が失火の周期、即ち、クランクシャフト26が2回転する周期(回転0.5次)で生じるものとすれば、エンジン22の回転数Neが1000rpmのときには共振の周波数としての8Hzを減衰せずにそれ以外の帯域を大幅(例えば、1/10以下)に減衰するフィルタを用いればよい。これにより、フィルタ後回転数FNe,FNdをノイズの少ないきれいな正弦波状の波形とすることができる。図8に、エンジン22の回転数Neとフィルタ後回転数FNeの一例を示す。
こうしてフィルタ後回転数FNe,FNdを演算すると、フィルタ後回転数FNeのピーク値とフィルタ後回転数FNdのピーク値とを比較して両者の位相差Δθを演算し(ステップS420)、演算した位相差Δθに対してなまし処理を施してなまし後位相差Δθsmoを演算し(ステップS430)、このなまし後位相差Δθsmoとエンジン22の回転数Neと負荷(エアフローメータ148からの吸入空気量Q)とに基づいて通信遅れ時間Tdを推定して(ステップS440)、本処理を終了する。フィルタ後回転数FNeとフィルタ後回転数FNdとの位相の関係の一例を図9に示す。クランクシャフト26はダンパ28を介してダンパ28の後段のキャリア軸34aに接続されているから、ダンパ28の物理的な遅れ特性により、ダンパ後段回転数Ndはエンジン22の回転数Neに対して位相遅れが生じる。一方、エンジンECU24は、エンジン22の回転数Neについてはクランクポジションセンサ140からの信号に基づいて直接演算し、ダンパ後段回転数NdについてはモータECU40から通信により入力されたモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2に基づいてハイブリッド用電子制御ユニット70により演算されたものを通信により入力するため、ダンパ後段回転数Ndを入力するまでの通信遅れにより、ダンパ後段回転数Ndはエンジン22の回転数Neに対して位相遅れが生じる。ダンパ28の物理的な遅れ特性はエンジン22の回転数Neに依存(場合によっては負荷にも依存)するだけであるから、エンジン22の回転数Neと負荷とに基づいて判定することができる。従って、エンジン22の回転数Neとダンパ後段回転数Ndとの位相差を検出することにより、この位相差とエンジン22の回転数Neと負荷とに基づいて通信遅れ時間Tdを推定することができる。実施例では、エンジン22の回転数Neとダンパ後段回転数Ndには、多くのノイズが含まれており、これらの回転数Ne,Ndの位相差を実際に検出することは極めて困難であることから、ダンパ28のねじれに基づいて生じる共振の周波数成分のみを抽出するバンドパスフィルタを用いてエンジン22の回転数Neとダンパ後段回転数Ndをノイズの少ないきれいな正弦波状の波形としてのフィルタ後回転数FNe,FNdに変換してから、両回転数FNe,FNdの位相差Δθを検出することにより通信遅れ時間Tdを推定している。通信遅れ時間Tdの推定は、実施例では、エンジン22の回転数Neと負荷(吸入空気量)とベース位相差Δθbとの関係を実験などにより求めてマップとしてROM24bに記憶しておき、エンジン22の回転数Neと負荷とが与えられるとマップから対応するベース位相差Δθbを導出し、導出したベース位相差Δθbと演算したなまし後位相差Δθsmoとの偏差に基づいて行なうものとした。このマップの一例を図10に示す。ここで、ベース位相差Δθbは、エンジン22が定常運転している最中に、ダンパ後段回転数NdがエンジンECU24が入力されるまでの平均的な通信遅れ時間としての平均通信遅れ時間を見込んだときに得られるフィルタ後回転数FNe,FNdの位相差として実験的に定められたものである。従って、ベース位相差Δθbとなまし後位相差Δθsmoとの偏差は、平均通信遅れ時間に対するズレ量として考えることができるから、このズレ量に相当する時間と平均通信遅れ時間との和により通信遅れ時間Tdを推定することができる。なお、通信遅れ時間Tdの推定になまし後位相差Δθsmoを用いるのは、ベース位相差Δθbをエンジン22が定常運転している最中を前提として定めているから、エンジン22の回転数Neの変化や負荷の変化に対して良好な追従特性が得られるようにするためである。
このように、図6の通信遅れ時間推定処理では、エンジン22の回転数Neとダンパ後段回転数Ndとに対してダンパ28のねじれに基づく共振の周波数成分を抽出したフィルタ後回転数FNe,FNdの位相差を用いて通信遅れ時間Tdを推定するものであり、共振はエンジン22が失火の周期で生じるため、判定用値J30が閾値Jref近傍にありエンジン22の失火の疑いがあるときに限って実行するものとしてもよい。この場合には、通信遅れ時間Tdとしては、上述した平均通信遅れ時間を設定するものとすればよい。
図4の判定用回転数演算処理のステップS210に戻って、こうしてクランク角CAとエンジン22の回転数Ne(CA)とこの回転数Ne(CA)に対して推定した通信遅れ時間Tdに相当する時間差だけ前のダンパ後段回転数Nd(CA)を入力すると、エンジン22の回転数Ne(CA)とダンパ後段回転数Nd(CA)とを用いてダンパ28のねじれ角θd(CA)を次式(2)により計算し(ステップS220)、ダンパ28のバネ定数Kとダンパ28よりエンジン22側の慣性モーメントJとの比である定数関係値(K/J)と計算したねじれ角θd(CA)とを用いてダンパ28の共振によるエンジン22の回転数に与える影響として低周波ノイズを含むノイズ含有共振影響成分Nden(CA)を計算する(ステップS230)。
θd(CA)=∫[Ne(CA)-Nd(CA)]dt (2)
Nden(CA)=(K/J)・∫θd(CA) dt (3)
そして、ノイズ含有共振影響成分Nden(CA)の低周波ノイズを除去するためハイパスフィルタをノイズ含有共振影響成分Nden(CA)に施して共振影響成分Nde(CA)を計算し(ステップS240)、エンジン22の回転数Ne(CA)から計算した共振影響成分Nde(CA)を減じて判定用回転数Nj(CA)を計算する(ステップS250)。ここで、ハイパスフィルタについては、ダンパ28の共振の周波数帯は減衰しないがそれより低周波の周波数帯を減衰するようカットオフ周波数を設定すればよい。こうしたハイパスフィルタを施すことにより、上述の式(2)や式(3)による積分計算により蓄積される低周波成分も除去することができる。
判定用回転数演算処理により演算される判定用回転数Nj(CA)は、クランクポジションセンサ140により検出され計算された回転数、即ち、ダンパ28のねじれに基づく共振の影響を受けた回転数であるエンジン22の回転数Neからダンパ28のねじれに基づく共振の影響の成分である共振影響成分Nde(CA)を減じたものであるから、エンジン22の各気筒の爆発(燃焼)や失火により生じる回転変動のみが反映されたものとなる。従って、こうした判定用回転数Nj(CA)を用いてエンジン22の失火判定を行なうことにより、ダンパ28のねじれに基づく共振が生じていてもエンジン22の失火をより精度良く判定することができるのである。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置によれば、エンジン22の回転数Neとダンパ28の後段側のダンパ後段回転数Ndとからダンパ28のねじれに基づいて生じる共振の周波数成分を抽出するためのバンドパスフィルタを施してフィルタ後回転数FNe,FNdを演算し、演算したフィルタ後回転数FNe,FNdの位相差Δθとエンジン22の回転数Neとに基づいてダンパ後段回転数NdがエンジンECU24に入力されるまでの通信遅れ時間Tdを推定し、エンジン22の回転数Ne(CA)を演算すると共に推定した通信遅れ時間Tdに相当する時間差だけ前のダンパ後段回転数Nd(CA)を入力し、エンジン22の回転数Ne(CA)とダンパ後段回転数Nd(CA)とを用いて共振影響成分Nde(CA)を計算し、エンジン22の回転数Ne(CA)から共振影響成分Nde(CA)を減じて判定用回転数Nj(CA)を求め、この判定用回転数Nj(CA)に基づいてエンジン22の失火を判定するから、ダンパ後段回転数NdをエンジンECU24に入力するまでの通信遅れによる影響を除去してエンジン22の回転数Ne(CA)とダンパ後段回転数Nd(CA)とに基づいて共振影響成分Nde(CA)を計算することができ、この共振影響成分Nde(CA)を減じた判定用回転数Nj(CA)に基づいてエンジン22の失火を判定することによりダンパ28のねじれに基づく共振が生じていてもエンジン22の失火をより精度良く判定することができる。しかも、フィルタ後回転数FNe,FNdの位相差Δθに対してなまし処理を施したなまし後位相差Δθsmoを用いるから、エンジン22の定常状態だけでなく過渡状態においても精度よく通信遅れ時間Tdを推定することができる。
上述した実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置における失火の判定処理では、特に、車軸側に接続されるリングギヤ軸32aのトルク変動に基づく振動を抑制する制振制御をモータMG1やモータMG2により行なうことを前提としていないが、モータMG1やモータMG2による制振制御を行なうものとしても上述の失火判定処理によりエンジン22の失火を判定することができる。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、CANを用いてエンジンECU24とモータECU40とハイブリッド用電子制御ユニット70とが互いに通信可能に形成するものとしたが、用いる通信はCANに限られず、例えばDMA(Direct Memory Access)を用いた通信など他の如何なる通信手法を用いるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、エンジン22の回転数Neについてはクランクポジションセンサ140からの信号に基づいてエンジンECU24により直接演算し、ダンパ後段回転数NdについてはモータECU40から通信により入力されたモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2に基づいてハイブリッド用電子制御ユニット70により演算されたものを通信によりエンジンECU24に入力したものに基づいてエンジンECU24により判定用回転数Nj(CA)を計算するものとしたが、エンジン22の回転数Neを他のECUで演算して通信により入力すると共にダンパ後段回転数Ndを直接演算したものを用いるものとしてもよいし、エンジン22の回転数Neを他のECUで演算して通信により入力すると共にダンパ後段回転数Ndを回転数Neを演算するECUとは別のECUで演算して通信により入力したものを用いるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、通信遅れ時間Tdを推定する際に用いるベース位相差Δθbとしては、エンジン22が定常運転している最中に、ダンパ後段回転数NdがエンジンECU24が入力されるまでの平均通信遅れ時間を見込んだときに得られるフィルタ後回転数FNe,FNdの位相差として定めるものとしたが、エンジン22が定常運転している最中に、ダンパ後段回転数NdがエンジンECU24が入力されるまでの通信遅れを見込まないで得られるフィルタ後回転数FNe,FNdの位相差として定めるものとしてもよい。この場合、フィルタ後回転数FNe,FNdの位相差がそのまま通信遅れ時間Tdに相当するものとなる。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、フィルタ後回転数FNe,FNdの位相差とエンジン22の回転数Neと負荷(吸入空気量)とに基づいて通信遅れ時間Tdを推定するものとしたが、エンジン22の負荷を考慮しないでフィルタ後回転数FNe,FNdの位相差とエンジン22の回転数Neとに基づいて通信遅れ時間Tdを推定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、フィルタ後回転数FNe,FNdの位相差Δθに対してなまし処理を施したなまし後位相差Δθsmoを用いて通信遅れ時間Tdを推定するものとしたが、なまし処理を施さない位相差Δθを用いて通信遅れ時間Tdを推定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、なまし後位相差Δθsmoとエンジン22の回転数Neと負荷(エアフローメータ148からの吸入空気量Q)とに基づいて通信遅れ時間Tdを推定するものとしたが、これに加えて、エンジン22の燃焼状態(例えば、点火プラグ130による点火時期Tfなど)を考慮して通信遅れ時間Tdを推定するものとしてもよい。この場合、例えば、実施例と同様にエンジン22の回転数Neと負荷(吸入空気量Q)とに基づいてベース位相差Δθbを導出し、点火時期Tfに基づいて補正値Δθαを設定し、導出したベース位相差Δθbに補正値Δθαを加えたもの(Δθb+Δθα)となまし後位相差Δθsmoとの偏差(前述の平均通信遅れ時間に対するズレ量)に相当する時間と、平均通信遅れ時間と、の和により通信遅れ時間Tdを推定するものとしてもよい。ここで、補正値Δθαは、この変形例では、点火時期Tfと補正値Δθαとの関係を予め実験などにより定めて補正値設定用マップとして記憶しておき、点火時期Tfが与えられると記憶したマップから対応する補正値Δθαを導出して設定するものとした。補正値設定用マップの一例を図11に示す。図中、「Tf1」は、エンジン22からの出力トルクをできるだけ大きくするための点火時期である。図11の例では、補正値Δθαは、点火時期Tfが時期Tf1に比して遅いほど直線的に大きくなる傾向に設定される。通信遅れ時間Tdは、エンジン22の回転数Neや負荷だけでなくエンジン22の燃焼状態にも依存すると考えられるが、このように点火時期Tfを考慮して通信遅れ時間Tdを推定することにより、より精度よく通信遅れ時間Tdを推定することができる。この結果、浄化装置134の三元触媒の暖機を目的として最も遅い時期またはそれよりも若干早い時期に点火プラグ130による点火を行なう場合などでも、より精度よく通信遅れ時間Tdを推定することができる。この変形例では、図11に例示したように、点火時期Tfが遅いほど直線的に大きくなる傾向に補正値Δθαを設定するものとしたが、点火時期Tfが遅いほど曲線的にまたは1以上の段数をもって段階的に大きくなる傾向に補正値Δθαを設定するものとしてもよい。この変形例では、ベース位相差Δθbと補正値Δθαとの和(Δθb+Δθα)となまし後位相差Δθsmoとの偏差(前述の平均通信遅れ時間に対するズレ量)に相当する時間と平均通信遅れ時間との和により通信遅れ時間Tdを推定するものとしたが、これ以外の手法により、例えば、実施例のステップS440の処理と同様になまし後位相差Δθsmoとエンジン22の回転数Neと負荷(吸入空気量Q)とに基づいて通信遅れ時間Tdを推定し、点火時期Tfに基づく補正値ΔTdを設定し、推定した通信遅れ時間Tdに対して補正値ΔTdを加えることにより通信遅れ時間Tdを再度推定するものとしてもよい。この場合、補正値ΔTdは、点火時期が遅いほど大きくなる傾向に設定されるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、エンジン22の回転数Ne(CA)とダンパ28の後段側のダンパ後段回転数Nd(CA)とからダンパ28のねじれ角θd(CA)を計算すると共にダンパ28のバネ定数Kと定数関係値(K/J)とねじれ角θd(CA)とからノイズ含有共振影響成分Nden(CA)を計算し、これにハイパスフィルタ処理を施して共振影響成分Nde(CA)を計算し、エンジン22の回転数Ne(CA)から共振影響成分Nde(CA)を減じて判定用回転数Nj(CA)を求め、この判定用回転数Nj(CA)に基づいてエンジン22の失火を判定するものとしたが、エンジン22の回転数Ne(CA)とダンパ28の後段側のダンパ後段回転数Nd(CA)とを用いて共振影響成分Nde(CA)を計算するものであれば、如何なる計算手法を用いるものでもよい。また、ノイズ含有共振影響成分Nden(CA)にハイパスフィルタ処理を施して共振影響成分Nde(CA)を計算しないものとしても構わない。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2からダンパ後段回転数Ndを計算するものとしたが、キャリア軸34aに回転数センサを取り付けて直接キャリア軸34aの回転数を検出してダンパ後段回転数Ndとするものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、判定用回転数Nj(CA)の演算処理として、エンジン22の回転数Ne(CA)とダンパ後段回転数Nd(CA)とを用いて計算されるダンパ28のねじれ角θd(CA)とダンパ28のバネ定数Kとダンパ28よりエンジン22側の慣性モーメントJとの比である定数関係値(K/J)とを用いて上述の式(3)によりノイズ含有共振影響成分Nden(CA)を計算するものとしたが、式(3)により計算されるダンパ28のバネ力項にダンパ28の減衰力項がバネ力項に与える影響としてのゲインgと位相βとを反映させて得られる成分をノイズ含有共振影響成分Nden(CA)として計算するものとしてもよい。この場合の判定用回転数演算処理のフローチャートを図12に示す。この判定用回転数演算処理では、ダンパ28のねじれ角θd(CA)を計算すると、式(3)の左辺をダンパ28のバネ力項Nkとして計算されるバネ力項Nkを計算し(ステップS232)、エンジン22の回転数Ne(CA)に基づいてダンパ28の減衰力項がバネ力項Nkに与える影響としてのゲインgと位相βとを次式(4)および式(5)により計算し(ステップS234)、計算したゲインgと位相βをバネ力項Nkに反映させてノイズ含有共振影響成分Nden(CA)を計算する(ステップS236)。そして、ノイズ含有共振影響成分Nden(CA)の低周波ノイズを除去するためにハイパスフィルタをノイズ含有共振影響成分Nden(CA)に施して共振影響成分Nde(CA)を計算し(ステップS240)、エンジン22の回転数Ne(CA)から計算した共振影響成分Nde(CA)を減じて判定用回転数Nj(CA)を計算する(ステップS250)。次に、ダンパ28の減衰力項がバネ力項Nkに与える影響としてのゲインgと位相βとについて説明する。
Figure 0004544354
ダンパ28のクランクシャフト26への影響成分としての回転角速度をωe-damp、クランクシャフト26の回転角速度をωe、ダンパ28の後段のシャフトの回転角速度をωinp、クランクシャフト26の回転角度をθe、ダンパ28の後段のシャフトの回転角度をθinp、ダンパ28のバネ定数をKdamp、ダンパ28の減衰力項における定数をCdamp、ダンパ28よりエンジン22側の慣性モーメントをIe、とすると、ダンパ28のクランクシャフト26への影響成分ωe-dampは、式(6)として表わすことができ、式(7)のように変形することができる。ここで、式(6)の右辺第1項がバネ力項であり、右辺第2項が減衰力項である。
Figure 0004544354
ここで、エンジン22のいずれかの気筒が失火したときの失火の周波数をfとすると共にダンパ28のねじれ角速度の振幅をαとしてダンパ28のねじれ角速度を式(8)とおけば、式(7)は、式(9)のように変形することができる。ここで式(9)の第2式の右辺第1項のバネ力項と第3式とを比較すれば、上述の式(4)および式(5)を求めることができる。
(ωinp-ωe)=α・sin(2πf) (8)
Figure 0004544354
ここで、失火の周波数fは、エンジン22のいずれかの気筒が連続して失火するときを考えれば、クランクシャフト26の2回転に対して1回の割合で失火するから、周波数fはエンジン22の回転数Neに対してf=Ne/120として計算することができる。したがって、エンジン22の回転数Neにより計算した失火の周波数fと、定数関係値(K/J)に予め実験などにより求めた慣性モーメントJを乗じて得られるバネ定数Kdampと、実験などにより予め求めた定数Cdampと、を式(4)および式(5)に用いることにより、ダンパ28の減衰力項がバネ力項Nkに与える影響としてのゲインgと位相βとを計算することができる。ここで、エンジン22の回転数Neとダンパ後段回転数Ndは、2π/60などの換算係数を乗じることによりクランクシャフト26の回転角速度ωeとダンパ28の後段のシャフトの回転角速度ωinpとに置き換えることができるのは言うまでもない。
このようにダンパ28の減衰力項がバネ力項Nkに与える影響としてのゲインgと位相βとを計算し、計算したゲインgと位相βをバネ力項Nkに反映させてノイズ含有共振影響成分Nden(CA)を計算することにより、ノイズ含有共振影響成分Nden(CA)をより適正に計算することができ、判定用回転数Nj(CA)をより適正に計算することができる。この結果、エンジン22の失火をより精度良く判定することができる。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、クランク角30度毎のクランク角CAとエンジン22の回転数Ne(CA)とモータMG1,MG2の回転数Nm1(CA),Nm2(CA)を入力してダンパ後段回転数Nd(CA)を計算すると共に共振影響成分Nde(CA)を計算し、判定用回転数Nj(CA)を計算したが、判定用回転数Nj(CA)を計算するクランク角は何度でもよいから、クランク角10度毎や5度毎に共振影響成分Nde(CA)や判定用回転数Nj(CA)を計算するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、判定用回転数Nj(CA)から30度回転所要時間T30(CA)を求め、対象の気筒の圧縮行程の上死点から30度後(ATDC30)と90度後(ATDC90)の30度回転所要時間T30(ATDC30),T30(ATDC90)の差分として所要時間差分TD30を計算し、更に所要時間差分TD30の360度差による判定用値J30を計算してエンジン22の失火を判定したが、判定用回転数Nj(CA)を用いてエンジン22の失火を判定するものであれば、如何なる計算手法によりエンジン22の失火を判定するものとしても構わない。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、8気筒のエンジン22のいずれかの気筒の失火を判定するものとしたが、6気筒のエンジンのいずれかの気筒の失火を判定するものとしたり、4気筒のエンジンのいずれかの気筒の失火を判定するものとするなど、複数気筒のエンジンのいずれかの気筒の失火を判定するものであれば、気筒数はいくつでも構わない。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、減速ギヤ35を介してモータMG2をリングギヤ軸32aに接続する構成におけるエンジン22の失火の判定を行なうものとしたが、減速ギヤ35に代えて変速機を介してモータMG2をリングギヤ軸32aに接続する構成におけるエンジン22の失火の判定を行なうものとしてもよい。減速ギヤ35や変速機を介さずにモータMG2を直接リングギヤ軸32aに接続する構成におけるエンジン22の失火の判定を行なうものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、エンジン22のクランクシャフト26にねじれ要素としてのダンパ28を介して接続されると共にモータMG1の回転軸やリングギヤ軸32aに接続される動力分配統合機構30とリングギヤ軸32aに減速ギヤ35を介して接続されるモータMG2とを備える車両におけるエンジン22の失火を判定するものとしたが、エンジンのクランクシャフトがねじれ要素としてのダンパを介して後段に接続されているものであればよいから、図13の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図13における車輪64a,64bに接続された車軸)に接続するもののエンジン22の失火を判定するものとしてもよいし、図14の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26にダンパ28を介して接続されたインナーロータ232と駆動輪63a,63bに動力を出力する車軸側に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を車軸側に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるもののエンジン22の失火を判定するものとしてもよい。この場合、モータMG2は減速ギヤ35や変速機を介して車軸側に接続されていてもよいし、減速ギヤ35や変速機を介さずに車軸側に接続されていてもよい。
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、クランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ140とこのクランクポジションセンサ140からの整形波に基づいてクランクシャフト26が30度回転する毎の回転数をエンジン22の回転数Neとして計算するエンジンECU24が「出力軸回転数検出手段」に相当し、モータMG1,MG2のロータの回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44とこの回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を計算するモータECU40とモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2に基づいてダンパ28の後段のキャリア軸34a(後段軸に相当)の回転数としてのダンパ後段回転数Ndを計算するハイブリッド用電子制御ユニット70とが「後段軸回転数検出手段」に相当し、エンジン22の回転数Neとダンパ後段回転数Ndとに対してバンドパスフィルタによりダンパ28のねじれに基づく共振の周波数成分を抽出したフィルタ後回転数FNe,FNdを演算し、演算したフィルタ後回転数FNe,FNdの位相差とエンジン22の回転数Neとに基づいてダンパ後段回転数Ndを通信によりエンジンECU24に入力するまでの通信遅れ時間Tdを推定する図6の通信遅れ時間推定処理を実行し、エンジン22の回転数Neを入力すると共にエンジン22の回転数Neに対して推定した通信遅れ時間Tdに相当する時間差だけ前のダンパ後段回転数Ndを入力し、入力したエンジン22の回転数Neとダンパ後段回転数Ndとを用いてダンパ28のねじれ角θdを式(2)により計算すると共にダンパ28のバネ定数Kとダンパ28よりエンジン22側の慣性モーメントJとの比である定数関係値(K/J)とねじれ角θdとを用いてダンパ28の共振によるエンジン22の回転数に与える影響として低周波ノイズを含むノイズ含有共振影響成分Nden(CA)を計算し更にハイパスフィルタにより低周波ノイズを除去して共振影響成分Nde(CA)を計算する図4のS200〜S240の処理を実行するエンジンECU24が「共振影響成分演算手段」に相当し、エンジン22の回転数Ne(CA)から共振影響成分Nde(CA)を減じて判定用回転数Nj(CA)を計算する図4のS250の処理とこの判定用回転数Nj(CA)を用いてエンジン22の失火を判定する図3の失火判定処理を実行するエンジンECU24が「失火判定手段」に相当する。また、ダンパ28の後段のキャリア軸34a側、即ち、更に後段のリングギヤ軸32aに減速ギヤ35を介して出力するモータMG2が「電動機」に相当し、ダンパ28の後段のキャリア軸34aと車軸側のリングギヤ軸32aとに接続された動力分配統合機構30とこの動力分配統合機構30のサンギヤ31に接続されたモータMG1とが「電力動力入出力手段」に相当する。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
実施例では、ハイブリッド自動車20に搭載された内燃機関の失火判定装置として説明したが、走行用の電動機や発電機などを備えない自動車に搭載された内燃機関の失火判定装置に適用するものとしてもよい。また、自動車以外の車両や船舶,航空機などの移動体に搭載される内燃機関の失火判定装置に適用してもよいし、移動しない設備に組み込まれた内燃機関の失火判定装置に適用するものとしても構わない。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、内燃機関の失火判定装置およびこれを備える車両の製造産業に利用可能である。
本発明の一実施例である内燃機関の失火判定装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 エンジン22の構成の概略を示す構成図である。 エンジンECU24により実行される失火判定処理の一例を示すフローチャートである。 エンジンECU24により実行される判定用回転数演算処理の一例を示すフローチャートである。 ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるダンパ後段回転数演算処理の一例を示すフローチャートである。 エンジンECU24により実行される通信遅れ時間推定処理の一例を示すフローチャートである。 バンドパスフィルタの特性の一例を示す説明図である。 エンジン22の回転数Neとフィルタ後回転数FNeとの関係の一例を示す説明図である。 フィルタ後回転数FNeとフィルタ後回転数FNdの位相の関係を示す説明図である。 ベース位相差設定用マップの一例を示す説明図である。 補正値設定用マップの一例を示す説明図である。 判定用回転数演算処理の一例を示すフローチャートである。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。 変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、24a CPU、24b ROM、24c RAM、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、34a キャリア軸、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、122 エアクリーナ、124 スロットルバルブ、126 燃料噴射弁、128 吸気バルブ、130 点火プラグ、132 ピストン、134 浄化装置、135a 空燃比センサ、135b 酸素センサ、136 スロットルモータ、138 イグニッションコイル、140 クランクポジションセンサ、142 水温センサ、144 カムポジションセンサ、146 スロットルバルブポジションセンサ、148 エアフローメータ、149 温度センサ、150 可変バルブタイミング機構、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ、234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ。

Claims (13)

  1. 出力軸がねじれ要素を介して後段の後段軸に接続された複数気筒の内燃機関の失火を判定する内燃機関の失火判定装置であって、
    前記出力軸の回転数である出力軸回転数を検出する出力軸回転数検出手段と、
    前記後段軸の回転数である後段軸回転数を検出する後段軸回転数検出手段と、
    前記検出された出力軸回転数と前記検出された後段軸回転数とのうち一方を通信により取得すると共に前記検出された出力軸回転数と前記検出された後段軸回転数とのうち他方を通信によらずに直接取得するよう構成されまたは前記検出された出力軸回転数と前記検出された後段軸回転数との両方を通信により取得するよう構成され、前記取得した出力軸回転数に対して前記ねじれ要素のねじれに基づいて生じる共振の周波数成分を抽出すると共に前記取得した後段軸回転数に対して前記共振の周波数成分を抽出し、該抽出した両周波数成分の位相差と前記取得した出力軸回転数とに基づいて前記通信の遅れ時間を推定し、該推定した通信の遅れ時間に応じた時間差をもって前記出力軸回転数と前記後段軸回転数とを取得すると共に該取得した前記出力軸回転数と前記後段軸回転数とに基づいて前記共振が前記出力軸の回転数に影響を及ぼす共振影響成分を演算する共振影響成分演算手段と、
    前記検出された出力軸回転数から前記演算された共振影響成分を減じて得られる検出用回転数に基づいて前記内燃機関の失火を判定する失火判定手段と
    を備える内燃機関の失火判定装置。
  2. 前記共振影響成分演算手段は、前記共振の周波数成分として前記内燃機関の2回転に1回の成分を抽出する手段である請求項1記載の内燃機関の失火判定装置。
  3. 前記共振影響成分演算手段は、前記共振の周波数は減衰せずに該共振の周波数以外の帯域については減衰するフィルタ処理を施すことにより該共振の周波数成分を抽出する手段である請求項1または2記載の内燃機関の失火判定装置。
  4. 前記フィルタ処理は、バンドパスフィルタを用いた処理である請求項3記載の内燃機関の失火判定装置。
  5. 前記共振影響成分演算手段は、前記両周波数成分の位相差に対してなまし処理を施したなまし後位相差に基づいて前記通信の遅れ時間を推定する手段である請求項1ないし4いずれか1項に記載の内燃機関の失火判定装置。
  6. 請求項1ないし5いずれか1項に記載の内燃機関の失火判定装置であって、
    前記後段軸回転数検出手段は、前記演算した後段軸回転数を前記共振影響成分演算手段に通信により出力する手段であり、
    前記共振影響成分演算手段は、前記出力軸回転数検出手段により検出された出力軸回転数を通信によらずに直接取得すると共に前記後段軸回転数検出手段により検出された後段軸回転数を通信により取得する手段である
    内燃機関の失火判定装置。
  7. 前記共振影響成分演算手段は、前記内燃機関の各気筒毎に点火可能な点火手段による点火時期が遅いほど長くなる傾向に前記通信の遅れ時間を推定する手段である請求項6記載の内燃機関の失火判定装置。
  8. 前記共振影響成分演算手段は、前記内燃機関の燃焼状態に基づいて前記通信の遅れ時間を推定する手段である請求項1ないし6いずれか1項に記載の内燃機関の失火判定装置。
  9. 前記共振影響成分演算手段は、前記取得した出力軸回転数と前記取得した後段軸回転数とにより前記ねじれ要素のねじれ角を演算すると共に該演算したねじれ角と前記ねじれ要素のバネ定数と前記ねじれ要素より前記内燃機関側の慣性モーメントとに基づいて前記共
    振影響成分を演算する手段である請求項1ないし8いずれか1項に記載の内燃機関の失火判定装置。
  10. 前記共振影響成分演算手段は、前記取得した出力軸回転数から前記取得した後段軸回転数を減じた値の積分計算に基づいて前記ねじれ角を演算し、前記バネ定数と前記慣性モーメントとの定数関係値に前記ねじれ角を乗じたものの積分計算に基づいて前記共振影響成分を演算する手段である請求項9記載の内燃機関の失火判定装置。
  11. 出力軸がねじれ要素を介して後段の後段軸に接続された複数気筒の内燃機関と、
    前記内燃機関の失火を判定する請求項1ないし10いずれか1項に記載の内燃機関の失火判定装置とを備える車両。
  12. 請求項11記載の車両であって、
    前記ねじれ要素より後段の前記後段軸側に動力を出力可能な電動機を備え、
    前記後段軸回転数検出手段は、前記電動機の回転数である電動機回転数を検出する手段を兼ねてなり、該検出した電動機回転数を換算することにより前記後段軸回転数を検出する手段である
    車両。
  13. 請求項12記載の車両であって、
    前記後段軸と車軸側とに接続され、電力と動力の入出力を伴って前記後段軸と前記車軸側とに動力を入出力する電力動力入出力手段を備え、
    前記電動機は、前記車軸側に動力を出力可能に接続され、
    前記後段軸回転数検出手段は、前記電力動力入出力手段の駆動状態を検出する手段を兼ねてなり、前記検出した電動機回転数と前記検出した駆動状態とに基づく演算により前記後段軸回転数を検出する手段である
    車両。

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