JP4924439B2 - 内燃機関の失火判定装置および車両並びに内燃機関の失火判定方法 - Google Patents

内燃機関の失火判定装置および車両並びに内燃機関の失火判定方法 Download PDF

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Description

本発明は、内燃機関の失火判定装置および失火判定方法並びに車両に関し、詳しくは、出力軸がねじれ要素を介して後段の後段軸に接続された複数気筒の内燃機関の失火を判定する内燃機関の失火判定装置およびこうした内燃機関の失火を判定する失火判定方法並びにこうした失火判定装置を備える車両に関する。
従来、この種の内燃機関の失火判定装置としては、モータによりエンジンのクランク軸のトルク変動を打ち消すよう制振制御を行なう車両において、モータによる制振制御のためにモータから出力するトルクを補正するトルク補正量を算出し、このモータのトルク補正量に基づいてエンジンの失火状態を検出するものも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−65402号公報
エンジンのクランク軸にダンパのようなねじれ要素を介して後段に接続されている車両などに搭載されている装置では、エンジンの爆発燃焼によるクランク軸のトルク変動がねじれ要素やこのねじれ要素を含む後段の共振を誘発し、共振によりクランク軸に回転変動が生じる結果、クランク角の回転変動に基づいてエンジンのいずれかの気筒の失火を検出しようとしても、精度良く検出することができない。
本発明の内燃機関の失火判定装置および失火判定方法並びに車両は、出力軸がねじれ要素を介して後段の後段軸に接続された複数気筒の内燃機関の失火を精度良く判定することを主目的とする。
本発明の内燃機関の失火判定装置および車両並びに内燃機関の失火判定方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の内燃機関の失火判定装置は、
出力軸がねじれ要素を介して後段の後段軸に接続された複数気筒の内燃機関の失火を判定する失火判定装置であって、
前記内燃機関の出力軸の回転数である出力軸回転数を検出する出力軸回転数検出手段と、
前記検出された出力軸回転数に対して前記ねじれ要素のねじれに基づいて生じる共振の周波数成分を抽出し、該抽出した周波数成分におけるゲインと位相を調整して前記共振が前記出力軸の回転数に影響を及ぼす共振影響成分を演算する共振影響成分演算手段と、
前記検出された出力軸回転数から前記演算された共振影響成分を減じて得られる検出用回転数に基づいて前記内燃機関の失火を判定する失火判定手段と
を備えることを要旨とする。
この本発明の内燃機関の失火判定装置では、内燃機関の出力軸の回転数である出力軸回転数に対してねじれ要素のねじれに基づいて生じる共振の周波数成分を抽出し、抽出した周波数成分におけるゲインと位相を調整して共振が出力軸の回転数に影響を及ぼす共振影響成分を演算し、出力軸回転数から演算した共振影響成分を減じて得られる検出用回転数に基づいて内燃機関の失火を判定する。したがって、ねじれ要素のねじれに基づく共振が生じても、内燃機関の失火を精度良く判定することができる。
こうした本発明の内燃機関の失火判定装置において、前記共振影響成分演算手段は、前記共振の周波数成分として前記内燃機関の2回転に1回の成分を抽出する手段であるものとすることもできる。
また、本発明の内燃機関の失火判定装置において、前記共振影響成分演算手段は、前記共振の周波数は減衰せずに該共振の周波数以外の帯域については減衰するフィルタ処理を施すことにより該共振の周波数成分を抽出する手段であるものとすることもできる。こうすれば、出力軸回転数の共振の周波数成分のみを用いるから、より正確に共振影響成分を演算することができる。この場合、前記フィルタ処理は、バンドパスフィルタを用いた処理であるものとすることもできる。
さらに、本発明の失火判定装置において、前記共振影響成分演算手段は、前記検出された出力軸回転数に基づいて前記抽出した周波数成分におけるゲインと位相を調整して前記共振影響成分を演算する手段であるものとすることもできる。こうすれば、出力軸回転数に拘わらず共振影響成分をより正確に演算することができる。この場合、前記共振影響成分演算手段は、前記検出された出力軸回転数が前記ねじれ要素の共振領域から離れるほどゲインが小さくなる傾向で且つ前記検出された出力軸回転数が大きいほど位相が遅れる傾向に前記ゲインと前記位相とを調整する手段であるものとすることもできる。
また、本発明の内燃機関の失火判定装置において、前記後段軸の回転数である後段軸回転数検出手段を備え、前記共振影響成分演算手段は、前記後段軸回転数検出手段が正常に機能し得るときには前記検出された出力軸回転数と前記検出された後段軸回転数とに基づいて前記共振影響成分を演算し、前記後段軸回転数検出手段が正常に機能し得ないときには前記検出された出力軸回転数に対して前記ねじれ要素のねじれに基づいて生じる共振の周波数成分を抽出し該抽出した周波数成分におけるゲインと位相を調整して前記共振影響成分を演算する手段であるものとすることもできる。こうすれば、後段軸回転数検出手段が正常に機能し得るときであっても正常に機能し得ないときであっても共振影響成分を演算して内燃機関の失火を精度良く判定することができる。この場合、前記共振影響成分演算手段は、前記検出された出力軸回転数と前記検出された後段軸回転数とにより前記ねじれ要素のねじれ角を演算すると共に該演算したねじれ角と前記ねじれ要素のバネ定数と前記ねじれ要素より前記内燃機関側の慣性モーメントとに基づいて前記共振影響成分を演算する手段であるものとすることもできる。さらにこの場合、前記共振影響成分演算手段は、前記検出された出力軸回転数から前記検出された後段軸回転数を減じた値の積分計算に基づいて前記ねじれ角を演算し、前記バネ定数と前記慣性モーメントとの定数関係値に前記ねじれ角を乗じたものの積分計算に基づいて前記共振影響成分を演算する手段であるものとすることもできる。
本発明の車両は、
出力軸がねじれ要素を介して後段の後段軸に接続された複数気筒の内燃機関と、
前記内燃機関の失火を判定する上述した各態様のいずれかの本発明の内燃機関の失火判定装置、即ち、基本的には、出力軸がねじれ要素を介して後段の後段軸に接続された複数気筒の内燃機関の失火を判定する失火判定装置であって、前記内燃機関の出力軸の回転数である出力軸回転数を検出する出力軸回転数検出手段と、前記検出された出力軸回転数に対して前記ねじれ要素のねじれに基づいて生じる共振の周波数成分を抽出し該抽出した周波数成分におけるゲインと位相を調整して前記共振が前記出力軸の回転数に影響を及ぼす共振影響成分を演算する共振影響成分演算手段と、前記検出された出力軸回転数から前記演算された共振影響成分を減じて得られる検出用回転数に基づいて前記内燃機関の失火を判定する失火判定手段とを備える内燃機関の失火判定装置と、を備える
ことを要旨とする。
この本発明の車両では、上述した各態様のいずれかの本発明の内燃機関の失火判定装置を備えるから、本発明の内燃機関の失火判定装置が奏する効果と同様の効果、例えば、ねじれ要素のねじれに基づく共振が生じても、内燃機関の失火を精度良く判定することができる効果などを奏することができる。
本発明の内燃機関の失火判定方法は、
出力軸がねじれ要素を介して後段の後段軸に接続された複数気筒の内燃機関の失火を判定する失火判定方法であって、
前記内燃機関の出力軸の回転数である出力軸回転数に対して前記ねじれ要素のねじれに基づいて生じる共振の周波数成分を抽出し、該抽出した周波数成分におけるゲインと位相を調整して前記共振が前記出力軸の回転数に影響を及ぼす共振影響成分を演算し、前記出力軸回転数から前記演算した共振影響成分を減じて得られる検出用回転数に基づいて前記内燃機関の失火を判定する
ことを特徴とする。
この本発明の内燃機関の失火判定方法によれば、内燃機関の出力軸の回転数である出力軸回転数に対してねじれ要素のねじれに基づいて生じる共振の周波数成分を抽出し、抽出した周波数成分におけるゲインと位相と調整して共振が出力軸の回転数に影響を及ぼす共振影響成分を演算し、出力軸回転数から演算した共振影響成分を減じて得られる検出用回転数に基づいて内燃機関の失火を判定する。したがって、ねじれ要素のねじれに基づく共振が生じても、内燃機関の失火を精度良く判定することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例である内燃機関の失火判定装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にねじれ要素としてのダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続されたリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。ここで、実施例の内燃機関の失火判定装置としては、主としてエンジン22を制御するエンジン用電子制御ユニット24と後述するエンジン22のクランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ140などが該当する。
エンジン22は、例えばガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力可能な8気筒の内燃機関として構成されており、図2に示すように、エアクリーナ122により清浄された空気をスロットルバルブ124を介して吸入すると共に気筒毎に設けられた燃料噴射弁126からガソリンを噴射して吸入された空気とガソリンとを混合し、この混合気を吸気バルブ128を介して燃料室に吸入し、点火プラグ130による電気火花によって爆発燃焼させて、そのエネルギにより押し下げられるピストン132の往復運動をクランクシャフト26の回転運動に変換する。エンジン22からの排気は、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する浄化装置(三元触媒)134を介して外気へ排出される。
エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により制御されている。エンジンECU24は、CPU24aを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU24aの他に処理プログラムを記憶するROM24bと、データを一時的に記憶するRAM24cと、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。エンジンECU24には、エンジン22の状態を検出する種々のセンサからの信号、クランクシャフト26の回転位置(クランク角CA)を検出するクランクポジションセンサ140からのクランクポジション(クランク角CA)やエンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ142からの冷却水温,燃焼室へ吸排気を行なう吸気バルブ128や排気バルブを開閉するカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ144からのカムポジション,スロットルバルブ124のポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサ146からのスロットルポジション,吸気管に取り付けられたエアフローメータ148からの吸入空気量,同じく吸気管に取り付けられた温度センサ149からの吸気温,空燃比センサ135aからの空燃比AF,酸素センサ135bからの酸素信号などが入力ポートを介して入力されている。また、エンジンECU24からは、エンジン22を駆動するための種々の制御信号、例えば、燃料噴射弁126への駆動信号や、スロットルバルブ124のポジションを調節するスロットルモータ136への駆動信号、イグナイタと一体化されたイグニッションコイル138への制御信号、吸気バルブ128の開閉タイミングの変更可能な可変バルブタイミング機構150への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。なお、エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータを出力する。なお、上述したクランクポジションセンサ140は、クランクシャフト26と回転同期して回転するように取り付けられて10度毎に歯が形成されると共に基準位置検出用に2つ分の欠歯を形成したタイミングローターを有する電磁ピックアップセンサとして構成されており、クランクシャフト26が10度回転する毎に整形波を生じさせる。エンジンECU24では、このクランクポジションセンサ140からの整形波に基づいてクランクシャフト26が30度回転する毎の回転数をエンジン22の回転数Neとして計算している。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34に接続されたキャリア軸34aにはダンパ28を介してエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。回転位置検出センサ43,44は、レゾルバにより構成されており、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいて所定時間毎(例えば50μsec毎や100μsec毎など)にモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を計算している。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいてリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20に搭載されたエンジン22のいずれかの気筒が失火しているか否かを判定する際の動作について説明する。図3は、エンジンECU24により実行される失火判定処理の一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎に繰り返し実行される。
失火判定処理が実行されると、エンジンECU24のCPU24aは、まず、判定用回転数Nj(CA)を入力すると共に(ステップS100)、入力した判定用回転数Nj(CA)の逆数によりクランクシャフト26が30度回転するのに要する30度回転所要時間T30(CA)を計算する処理を実行する(ステップS110)。判定用回転数Nj(CA)は、エンジン22の回転数Neからダンパ28のねじれに基づく共振の影響成分(共振影響成分)Ndeを減じた回転数であり、図4に例示する判定用回転数演算処理により演算される。説明の容易のため、判定用回転数Nj(CA)の演算処理については後述する。
続いて、失火判定の対象となる気筒の圧縮行程の上死点から30度後(ATDC30)と90度後(ATDC90)の30度回転所要時間T30(ATDC30),T30(ATDC90)の差分[T30(ATDC30)−T30(ATDC90)]を所要時間差分TD30として計算し(ステップS120)、計算した所要時間差分TD30の360度前に所要時間差分TD30として計算される値との差(所要時間差分TD30の360度差)[TD30−TD30(360度前)]を判定用値J30として計算し(ステップS130)、計算した判定用値J30を閾値Jrefと比較し(ステップS140)、判定用値J30が閾値Jrefより大きいときには対象の気筒が失火していると判定して(ステップS150)、失火判定処理を終了し、判定用値J30が閾値Jref以下のときには対象の気筒は失火していないと判定して失火判定処理を終了する。ここで、所要時間差分TD30は、圧縮上死点からの角度から考えれば、エンジン22の燃焼(爆発)によるピストン132の加速の程度から、その気筒が正常に燃焼(爆発)していれば負の値となり、その気筒が失火していると正の値となる。このため、判定用値J30は、対象の気筒が正常に燃焼(爆発)していれば値0近傍の値となり、対象の気筒が失火していれば正常に燃焼している気筒の所要時間差分TD30の絶対値の値より大きな正の値となる。従って、閾値Jrefとして、正常に燃焼している気筒の所要時間差分TD30程度の絶対値の近傍の値として設定することにより、対象の気筒の失火を精度良く判定することができる。
次に、判定用回転数Nj(CA)の演算処理について説明する。判定用回転数Nj(CA)の演算処理では、図4の判定用回転数演算処理に示すように、エンジンECU24のCPU24aは、まず、クランク角30度毎のクランク角CAとエンジン22の回転数Ne(CA)とダンパ28の動力分配統合機構30側の回転数、即ち、キャリア軸34aの回転数であるダンパ後段回転数Nd(CA)などの必要なデータを入力する(ステップS200)。ここで、ダンパ後段回転数Ndは、ハイブリッド用電子制御ユニット70により図5のダンパ後段回転数演算処理により演算されたものを通信により入力するものとした。ダンパ後段回転数Ndの演算処理では、図5のダンパ後段回転数演算処理に示すように、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を入力し(ステップS300)、入力したモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2と動力分配統合機構30のギヤ比ρ(サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)と減速ギヤ35のギヤ比Grとを用いてダンパ後段回転数Ndを次式(1)により計算し(ステップS310)、計算したダンパ後段回転数NdをエンジンECU24に送信する(ステップS320)、ことにより行なわれる。モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、レゾルバにより構成された回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータECU40により計算されたものを通信により入力するものとした。
Nd=[Nm2・Gr+ρ・Nm1]/(1+ρ) (1)
こうしてデータを入力すると、入力したデータに基づいて図6に示す共振影響成分演算処理により共振影響成分Nde(CA)を演算し(ステップS210)、エンジン22の回転数Ne(CA)から計算した共振影響成分Nde(CA)を減じて判定用回転数Nj(CA)を計算して(ステップS220)、本処理を終了する。共振影響成分Ndeは、図6の共振影響成分演算処理に示すように、エンジンECU24のCPU24aは、まず、回転位置検出センサ43,44(レゾルバ)のいずれかに異常が生じているか否かを判定する(ステップS400)。この判定は、例えば、回転位置検出センサ43,44から一定時間以上に亘って信号が入力されていない状態を検出するなどにより行なうことができる。回転位置検出センサ43,44のいずれにも異常が生じていないときにはエンジン22の回転数Ne(CA)とダンパ後段回転数Nd(CA)とを用いてダンパ28のねじれ角θd(CA)を次式(2)により計算し(ステップS410)、ダンパ28のバネ定数Kとダンパ28よりエンジン22側の慣性モーメントJとの比である定数関係値(K/J)と計算したねじれ角θd(CA)とを用いてダンパ28の共振によるエンジン22の回転数に与える影響として低周波ノイズを含むノイズ含有共振影響成分Nden(CA)を計算し(ステップS420)、ノイズ含有共振影響成分Nden(CA)の低周波ノイズを除去するためハイパスフィルタをノイズ含有共振影響成分Nden(CA)に施して共振影響成分Nde(CA)を計算する(ステップS430)。ここで、ハイパスフィルタについては、ダンパ28の共振の周波数帯は減衰しないがそれより低周波の周波数帯を減衰するようカットオフ周波数を設定すればよい。こうしたハイパスフィルタを施すことにより、式(2)や式(3)による積分計算により蓄積される低周波成分も除去することができる。
θd(CA)=∫[Ne(CA)-Nd(CA)]dt (2)
Nden(CA)=(K/J)・∫θd(CA) dt (3)
一方、回転位置検出センサ43,44のいずれかに異常が生じているときには、エンジン22の回転数Neに対してバンドパスフィルタを施してフィルタ後回転数FNeを演算する(ステップS440)。ここで、バンドパスフィルタは、エンジン22の回転数Neからダンパ28のねじれに基づいて生じる共振の周波数成分を抽出するためのものである。バンドパスフィルタの一例を図7に示す。バンドパスフィルタとしては、ダンパ28のねじれに基づく共振が失火の周期、即ち、クランクシャフト26が2回転する周期(回転0.5次)で生じるものとすれば、エンジン22の回転数Neが1000rpmのときには共振の周波数としての8Hzを減衰せずにそれ以外の帯域を大幅(例えば、1/10以下)に減衰するフィルタを用いればよい。これにより、フィルタ後回転数FNeをノイズの少ないきれいな正弦波状の波形とすることができる。図8に、エンジン22の回転数Neとフィルタ後回転数FNeの一例を示す。
フィルタ後回転数FNeを演算すると、エンジン22の回転数Neに対応する調整用のゲインKと位相θとを設定し(ステップS450)、設定したゲインKと位相θとを用いてフィルタ後回転数FNeを調整したものを共振影響成分Nde(CA)として設定する(ステップS460)。ここで、ゲインKの設定は、実施例では、エンジン22の回転数NeとゲインKとの関係を予め実験などにより求めてマップとしてROM24bに記憶しておき、エンジン22の回転数Neが与えられるとマップから対応するゲインKを導出することにより行なうものとし、位相θの設定は、実施例では、エンジン22の回転数Neと位相θとの関係を予め実験などにより求めてマップとしてROM24bに記憶しておき、エンジン22の回転数Neが与えられるとマップから対応する位相θを導出することにより行なうものとした。ゲイン設定用マップを図9に示し、位相設定用マップを図10に示す。図示するように、ゲイン設定用マップでは、エンジン22の回転数Neがダンパ28を含む後段の共振領域から離れるほどゲインKが小さくなるよう作成されており、位相設定用マップでは、エンジン22の回転数Neが大きくなるほど位相θの遅れが大きくなるよう作成されている。共振影響成分Ndeは、演算されたフィルタ後回転数FNeにゲインKを乗じると共に位相θだけ位相を変更することにより得ることができる。これにより、回転位置検出センサ43,44のいずれかに異常が生じてダンパ後段回転数Ndを用いることができないときであっても、エンジン22の回転数Neだけに基づいて共振影響成分Ndeを演算することができる。なお、図11に、フィルタ後回転数FNeと共振影響成分Ndeとクランク角CAとの関係を示す。
判定用回転数演算処理により演算される判定用回転数Nj(CA)は、クランクポジションセンサ140により検出され計算された回転数、即ち、ダンパ28のねじれに基づく共振の影響を受けた回転数であるエンジン22の回転数Neからダンパ28のねじれに基づく共振の影響の成分である共振影響成分Nde(CA)を減じたものであるから、エンジン22の各気筒の爆発(燃焼)や失火により生じる回転変動のみが反映されたものとなる。従って、こうした判定用回転数Nj(CA)を用いてエンジン22の失火判定を行なうことにより、ダンパ28のねじれに基づく共振が生じていてもエンジン22の失火をより精度良く判定することができるのである。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置によれば、エンジン22の回転数Neに対してバンドパスフィルタを施してフィルタ後回転数FNeを演算し、エンジン22の回転数Neに対応する調整用のゲインKと位相θとを設定し、設定したゲインKと位相θとを用いてフィルタ後回転数FNeを調整したものを共振影響成分Nde(CA)に設定し、エンジン22の回転数Ne(CA)から共振影響成分Nde(CA)を減じて判定用回転数Nj(CA)を求め、この判定用回転数Nj(CA)に基づいてエンジン22の失火を判定するから、ダンパ28のねじれに基づく共振が生じていてもエンジン22の回転数Ne(CA)だけを用いてエンジン22の失火をより精度良く判定することができる。しかも、回転位置検出センサ43,44のいずれにも異常が生じていないときにはエンジン22の回転数Ne(CA)とダンパ後段回転数Nd(CA)とを用いてダンパ28のねじれ角θd(CA)を計算し定数関係値(K/J)と計算したねじれ角θd(CA)とを用いてノイズ含有共振影響成分Nden(CA)を計算しハイパスフィルタをノイズ含有共振影響成分Nden(CA)に施して共振影響成分Nde(CA)を演算し、回転位置検出センサ43,44のいずれかに異常が生じているときにエンジン22の回転数Ne(CA)だけを用いて上述した処理により共振影響成分Nde(CA)を演算するから、回転位置検出センサ43,44のいずれかに異常が生じていても異常が生じていなくてもエンジン22の失火を精度良く判定することができる。
上述した実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置における失火の判定処理では、特に、車軸側に接続されるリングギヤ軸32aのトルク変動に基づく振動を抑制する制振制御をモータMG1やモータMG2により行なうことを前提としていないが、モータMG1やモータMG2による制振制御を行なうものとしても上述の失火判定処理によりエンジン22の失火を判定することができる。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、回転位置検出センサ43,44のいずれにも異常が生じていないときにはエンジン22の回転数Ne(CA)とダンパ後段回転数Nd(CA)とを用いてダンパ28のねじれ角θd(CA)を計算し定数関係値(K/J)と計算したねじれ角θd(CA)とを用いてノイズ含有共振影響成分Nden(CA)を計算しハイパスフィルタをノイズ含有共振影響成分Nden(CA)に施して共振影響成分Nde(CA)を計算する図6のステップS410〜S430の処理を実行するものとし、回転位置検出センサ43,44のいずれかに異常が生じているときにはエンジン22の回転数Neに対してバンドパスフィルタを施してフィルタ後回転数FNeを演算しエンジン22の回転数Neに対応する調整用のゲインKと位相θとを設定し設定したゲインKと位相θとを用いてフィルタ後回転数FNeを調整したものを共振影響成分Nde(CA)に設定する図6のステップS440〜S460の処理を実行するものとしたが、回転位置検出センサ43,44のいずれにも異常が生じていないときにエンジン22の回転数Ne(CA)とダンパ後段回転数Nd(CA)とを用いて図6のステップS410〜S430により共振影響成分Ndeを演算して判定用回転数Nj(CA)の計算にこの共振影響成分Ndeを用いると共にエンジン22の回転数Ne(CA)を用いて図6のステップS440〜S460により共振影響成分Ndeを演算し演算した2つの共振影響成分Ndeとの差分が打ち消されるように調整用のゲインKと位相θとを学習しておき、回転位置検出センサ43,44のいずれかに異常が生じたときに学習した調整用のゲインKと位相θを用いてフィルタ後回転数FNeから共振影響成分Ndeを設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、回転位置検出センサ43,44のいずれにも異常が生じていないときにはエンジン22の回転数Ne(CA)とダンパ後段回転数Nd(CA)とを用いて図6のステップS410〜S430の処理を実行するものとし、回転位置検出センサ43,44のいずれかに異常が生じているときにはエンジン22の回転数Neを用いて図6のステップS440〜S460の処理を実行するものとしたが、回転位置検出センサ43,44に異常が生じているか否かに関係なくエンジン22の回転数Ne(CA)を用いてステップS440〜S460により共振影響成分Ndeを設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2からダンパ後段回転数Ndを計算するものとしたが、キャリア軸34aに回転数センサを取り付けて直接キャリア軸34aの回転数を検出してダンパ後段回転数Ndとするものとしてもよい。この場合、図6の共振影響成分演算処理のステップS400は、キャリア軸34aに取り付けられた回転数センサに異常が生じているか否かを判定するものとすればよい。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、クランク角30度毎のクランク角CAとエンジン22の回転数Ne(CA)とを入力すると共に共振影響成分Nde(CA)を計算し、判定用回転数Nj(CA)を計算したが、判定用回転数Nj(CA)を計算するクランク角は何度でもよいから、クランク角10度毎や5度毎に共振影響成分Nde(CA)や判定用回転数Nj(CA)を計算するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、判定用回転数Nj(CA)から30度回転所要時間T30(CA)を求め、対象の気筒の圧縮行程の上死点から30度後(ATDC30)と90度後(ATDC90)の30度回転所要時間T30(ATDC30),T30(ATDC90)の差分として所要時間差分TD30を計算し、更に所要時間差分TD30の360度差による判定用値J30を計算してエンジン22の失火を判定したが、判定用回転数Nj(CA)を用いてエンジン22の失火を判定するものであれば、如何なる計算手法によりエンジン22の失火を判定するものとしても構わない。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、8気筒のエンジン22のいずれかの気筒の失火を判定するものとしたが、6気筒のエンジンのいずれかの気筒の失火を判定するものとしたり、4気筒のエンジンのいずれかの気筒の失火を判定するものとするなど、複数気筒のエンジンのいずれかの気筒の失火を判定するものであれば、気筒数はいくつでも構わない。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、減速ギヤ35を介してモータMG2をリングギヤ軸32aに接続する構成におけるエンジン22の失火の判定を行なうものとしたが、減速ギヤ35に代えて変速機を介してモータMG2をリングギヤ軸32aに接続する構成におけるエンジン22の失火の判定を行なうものとしてもよい。減速ギヤ35や変速機を介さずにモータMG2を直接リングギヤ軸32aに接続する構成におけるエンジン22の失火の判定を行なうものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、エンジン22のクランクシャフト26にねじれ要素としてのダンパ28を介して接続されると共にモータMG1の回転軸やリングギヤ軸32aに接続される動力分配統合機構30とリングギヤ軸32aに減速ギヤ35を介して接続されるモータMG2とを備える車両におけるエンジン22の失火を判定するものとしたが、エンジンのクランクシャフトがねじれ要素としてのダンパを介して後段に接続されているものであればよいから、図12の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図12における車輪64a,64bに接続された車軸)に接続するもののエンジン22の失火を判定するものとしてもよいし、図13の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26にダンパ28を介して接続されたインナーロータ232と駆動輪63a,63bに動力を出力する車軸側に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を車軸側に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるもののエンジン22の失火を判定するものとしてもよい。この場合、モータMG2は減速ギヤ35や変速機を介して車軸側に接続されていてもよいし、減速ギヤ35や変速機を介さずに車軸側に接続されていてもよい。
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、クランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ140とこのクランクポジションセンサ140からの整形波に基づいてクランクシャフト26が30度回転する毎の回転数をエンジン22の回転数Neとして計算するエンジンECU24が「出力軸回転数検出手段」に相当し、エンジン22の回転数Neに対してバンドパスフィルタを施してダンパ28のねじれに基づく共振の周波数成分を抽出したフィルタ後回転数FNeを演算し、エンジン22の回転数Neに対応する調整用のゲインKと位相θとを設定し、設定したゲインKと位相θとを用いてフィルタ後回転数FNeを調整したものを共振影響成分Nde(CA)に設定する図6のステップS440〜S460の処理を実行するエンジンECU24が「共振影響成分演算手段」に相当し、エンジン22の回転数Ne(CA)から共振影響成分Nde(CA)を減じて判定用回転数Nj(CA)を計算する図4のS220の処理とこの判定用回転数Nj(CA)を用いてエンジン22の失火を判定する図3の失火判定処理を実行するエンジンECU24が「失火判定手段」に相当する。また、モータMG1,MG2のロータの回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44とこの回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を計算するモータECU40とモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2に基づいてダンパ28の後段のキャリア軸34a(後段軸に相当)の回転数としてのダンパ後段回転数Ndを計算する図5のダンパ後段回転数演算処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70とが「後段軸回転数検出手段」に相当する。また、ダンパ28の後段のキャリア軸34a側、即ち、更に後段のリングギヤ軸32aに減速ギヤ35を介して出力するモータMG2が「電動機」に相当し、ダンパ28の後段のキャリア軸34aと車軸側のリングギヤ軸32aとに接続された動力分配統合機構30とこの動力分配統合機構30のサンギヤ31に接続されたモータMG1とが「電力動力入出力手段」に相当する。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
実施例では、ハイブリッド自動車20に搭載された内燃機関の失火判定装置として説明したが、走行用の電動機や発電機などを備えない自動車に搭載された内燃機関の失火判定装置に適用するものとしてもよい。また、自動車以外の車両や船舶,航空機などの移動体に搭載される内燃機関の失火判定装置に適用してもよいし、移動しない設備に組み込まれた内燃機関の失火判定装置に適用するものとしても構わない。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、内燃機関の失火判定装置およびこれを備える車両の製造産業に利用可能である。
本発明の一実施例である内燃機関の失火判定装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 エンジン22の構成の概略を示す構成図である。 エンジンECU24により実行される失火判定処理の一例を示すフローチャートである。 エンジンECU24により実行される判定用回転数演算処理の一例を示すフローチャートである。 ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるダンパ後段回転数演算処理の一例を示すフローチャートである。 エンジンECU24により実行される共振影響成分演算処理の一例を示すフローチャートである。 バンドパスフィルタの特性の一例を示す説明図である。 エンジン22の回転数Neとフィルタ後回転数FNeとの関係の一例を示す説明図である。 ゲイン設定用マップの一例を示す説明図である。 位相設定用マップの一例を示す説明図である。 フィルタ後回転数FNeと共振影響成分Ndeとクランク角CAとの関係を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。 変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、24a CPU、24b ROM、24c RAM、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、34a キャリア軸、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、122 エアクリーナ、124 スロットルバルブ、126 燃料噴射弁、128 吸気バルブ、130 点火プラグ、132 ピストン、134 浄化装置、135a 空燃比センサ、135b 酸素センサ、136 スロットルモータ、138 イグニッションコイル、140 クランクポジションセンサ、142 水温センサ、144 カムポジションセンサ、146 スロットルバルブポジションセンサ、148 エアフローメータ、149 温度センサ、150 可変バルブタイミング機構、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ、234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ。

Claims (9)

  1. 出力軸がねじれ要素を介して後段の後段軸に接続された複数気筒の内燃機関の失火を判定する失火判定装置であって、
    前記内燃機関の出力軸の回転数である出力軸回転数を検出する出力軸回転数検出手段と、
    前記検出された出力軸回転数に対して前記ねじれ要素のねじれに基づいて生じる共振の周波数成分を抽出し、該抽出した周波数成分におけるゲインと位相前記検出された出力軸回転数が前記ねじれ要素の共振領域から離れるほど該ゲインが小さくなる傾向で且つ前記検出された出力軸回転数が大きいほど該位相が遅れる傾向にそれぞれ調整して前記共振が前記出力軸の回転数に影響を及ぼす共振影響成分を演算する共振影響成分演算手段と、
    前記検出された出力軸回転数から前記演算された共振影響成分を減じて得られる検出用回転数に基づいて前記内燃機関の失火を判定する失火判定手段と
    を備える内燃機関の失火判定装置。
  2. 前記共振影響成分演算手段は、前記共振の周波数成分として前記内燃機関の2回転に1回の成分を抽出する手段である請求項1記載の内燃機関の失火判定装置。
  3. 前記共振影響成分演算手段は、前記共振の周波数は減衰せずに該共振の周波数以外の帯域については減衰するフィルタ処理を施すことにより該共振の周波数成分を抽出する手段である請求項1または2記載の内燃機関の失火判定装置。
  4. 前記フィルタ処理は、バンドパスフィルタを用いた処理である請求項3記載の内燃機関の失火判定装置。
  5. 請求項1ないしいずれか1項に記載の内燃機関の失火判定装置であって、
    前記後段軸の回転数である後段軸回転数検出手段を備え、
    前記共振影響成分演算手段は、前記後段軸回転数検出手段が正常に機能し得るときには前記検出された出力軸回転数と前記検出された後段軸回転数とに基づいて前記共振影響成分を演算し、前記後段軸回転数検出手段が正常に機能し得ないときには前記検出された出力軸回転数に対して前記ねじれ要素のねじれに基づいて生じる共振の周波数成分を抽出し該抽出した周波数成分におけるゲインと位相を調整して前記共振影響成分を演算する手段である
    内燃機関の失火判定装置。
  6. 前記共振影響成分演算手段は、前記検出された出力軸回転数と前記検出された後段軸回転数とにより前記ねじれ要素のねじれ角を演算すると共に該演算したねじれ角と前記ねじれ要素のバネ定数と前記ねじれ要素より前記内燃機関側の慣性モーメントとに基づいて前記共振影響成分を演算する手段である請求項記載の内燃機関の失火判定装置。
  7. 前記共振影響成分演算手段は、前記検出された出力軸回転数から前記検出された後段軸回転数を減じた値の積分計算に基づいて前記ねじれ角を演算し、前記バネ定数と前記慣性モーメントとの定数関係値に前記ねじれ角を乗じたものの積分計算に基づいて前記共振影響成分を演算する手段である請求項記載の内燃機関の失火判定装置。
  8. 出力軸がねじれ要素を介して後段の後段軸に接続された複数気筒の内燃機関と、
    前記内燃機関の失火を判定する請求項1ないしいずれか1項に記載の内燃機関の失火判定装置と、
    を備える車両。
  9. 出力軸がねじれ要素を介して後段の後段軸に接続された複数気筒の内燃機関の失火を判定する失火判定方法であって、
    前記内燃機関の出力軸の回転数である出力軸回転数に対して前記ねじれ要素のねじれに基づいて生じる共振の周波数成分を抽出し、該抽出した周波数成分におけるゲインと位相前記検出された出力軸回転数が前記ねじれ要素の共振領域から離れるほど該ゲインが小さくなる傾向で且つ前記検出された出力軸回転数が大きいほど該位相が遅れる傾向にそれぞれ調整して前記共振が前記出力軸の回転数に影響を及ぼす共振影響成分を演算し、前記出力軸回転数から前記演算した共振影響成分を減じて得られる検出用回転数に基づいて前記内燃機関の失火を判定する
    ことを特徴とする内燃機関の失火判定方法。
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