JP5011896B2 - 内燃機関の失火判定装置および車両 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の失火判定装置および車両に関し、詳しくは、出力軸がねじれ要素を介して後段の入力軸に接続された複数気筒の内燃機関の失火を判定する内燃機関の失火判定装置およびこうした内燃機関の失火判定装置を備える車両に関する。
従来、この種の内燃機関の失火判定装置としては、モータによりエンジンのクランク軸のトルク変動を打ち消すよう制振制御を行なう車両において、モータによる制振制御のためにモータから出力するトルクを補正するトルク補正量を算出し、このモータのトルク補正量に基づいてエンジンの失火状態を検出するものも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−65402号公報
エンジンのクランク軸にダンパのようなねじれ要素を介して後段(例えば変速機構など)に接続されている車両などに搭載されている動力出力装置では、エンジンの爆発燃焼によるクランク軸のトルク変動がねじれ要素やこのねじれ要素を含む後段の共振を誘発し、共振によりクランク軸に回転変動が生じる結果、クランク角の回転変動に基づいてエンジンのいずれかの気筒の失火を検出しようとしても、精度良く検出することができない。モータによりエンジンのクランク角のトルク変動に対して制振制御を行なうと、ねじれ要素やねじれ要素を含む後段の共振を助長する場合も生じ、エンジンのいずれかの気筒の失火の検出の精度は更に低くなってしまう。
本発明の内燃機関の失火判定装置および車両は、出力軸がねじれ要素を介して後段の入力軸に接続された複数気筒の内燃機関の失火を精度良く判定することを目的とする。
本発明の内燃機関の失火判定装置および車両は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明の内燃機関の失火判定装置は、
出力軸がねじれ要素を介して後段の入力軸に接続された複数気筒の内燃機関の失火を判定する内燃機関の失火判定装置であって、
前記内燃機関の出力軸の回転角速度である出力軸角速度を検出する出力軸角速度検出手段と、
前記入力軸の回転角速度である入力軸角速度を検出する入力軸角速度検出手段と、
前記後段の慣性モーメントである後段慣性モーメントと前記検出した入力軸角速度とに基づいて前記ねじれ要素のねじれに基づいて前記出力軸に作用するトルクである影響トルクによって前記出力軸の回転角速度に与える影響成分を演算する影響成分演算手段と、
前記演算した出力軸角速度から前記演算した影響成分を減じて得られる判定用角速度に基づいて前記内燃機関の失火を判定する失火判定手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の内燃機関の失火判定装置では、ねじれ要素より後段の慣性モーメントである後段慣性モーメントと後段の入力軸の回転角速度である入力軸角速度とに基づいてねじれ要素のねじれに基づいて内燃機関の出力軸に作用するトルクである影響トルクによって出力軸の回転角速度に与える影響成分を演算し、内燃機関の出力軸の回転角速度である出力軸角速度から演算した影響成分を減じて得られる判定用角速度に基づいて内燃機関の失火を判定する。この結果、ねじれ要素のねじれに基づく共振が生じても、内燃機関の失火を精度良く判定することができる。
こうした本発明の内燃機関の失火判定装置において、前記影響成分演算手段は、前記後段慣性モーメントと前記入力軸角速度の微分値との積を含む第1演算項と前記影響トルクを含む第1影響トルク項とが等しいとする第1の関係式と前記出力軸より前記内燃機関側の慣性モーメントである機関側慣性モーメントと前記影響成分の微分値との積を含む第2演算項と前記影響トルクを含む第2影響トルク項とが等しいとする第2の関係式とを連立させて前記影響成分について得られる解として前記影響成分を演算する手段であるものとすることもできる。ここで、第1の関係式や第2の関係式は、運動方程式として導かれるものである。この場合であって、前記後段は前記入力軸へのトルクの作用が可能な電動機を有し、前記電動機の回転軸の回転角速度である電動機角速度を検出する電動機角速度検出手段を備える態様では、前記第1演算項は、前記入力軸の慣性モーメントと前記入力軸角速度の微分値との積と、前記電動機の慣性モーメントの前記入力軸への影響成分として換算される換算慣性モーメントと前記検出された電動機角速度の微分値との積と、の和であり、前記第1影響トルク項は、前記影響トルクと、前記電動機からの出力トルクの前記入力軸への作用分として換算される換算トルクと、の和である、ものとすることもできる。更に、この場合、前記入力軸角速度検出手段は、前記電動機角速度検出手段により検出された電動機角速度に基づいて前記入力軸角速度を演算する手段であるものとすることもできる。こうすれば、入力軸の角速度を検出するセンサを電動機の角速度を検出するセンサと兼ねることができる。また、前記後段は、前記入力軸と前記電動機の回転軸と駆動力の出力先である駆動軸との3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する遊星歯車機構を有する態様では、前記換算慣性モーメントは前記電動機の慣性モーメントと前記遊星歯車機構のギヤ比とを用いて演算されてなり、前記換算トルクは前記電動機からの出力トルクと前記遊星歯車機構のギヤ比とをを用いて演算されてなる、ものとすることもできる。
本発明の車両は、
出力軸がねじれ要素を介して車軸側である後段の入力軸に接続された複数気筒の内燃機関の失火を判定する内燃機関と、
前記内燃機関の失火を判定する上述のいずれかの態様の本発明の内燃機関の失火判定装置、即ち、基本的には、出力軸がねじれ要素を介して後段の入力軸に接続された複数気筒の内燃機関の失火を判定する内燃機関の失火判定装置であって、前記内燃機関の出力軸の回転角速度である出力軸角速度を検出する出力軸角速度検出手段と、前記入力軸の回転角速度である入力軸角速度を検出する入力軸角速度検出手段と、前記後段の慣性モーメントである後段慣性モーメントと前記検出した入力軸角速度とに基づいて前記ねじれ要素のねじれに基づいて前記出力軸に作用するトルクである影響トルクによって前記出力軸の回転角速度に与える影響成分を演算する影響成分演算手段と、前記演算した出力軸角速度から前記演算した影響成分を減じて得られる判定用角速度に基づいて前記内燃機関の失火を判定する失火判定手段と、を備える内燃機関の失火判定装置と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の車両では、上述のいずれかの態様の本発明の内燃機関の失火判定装置を備えるから、本発明の内燃機関の失火判定装置が奏する効果、例えば、ねじれ要素のねじれに基づく共振が生じても、内燃機関の失火を精度良く判定することができる効果などと同様な効果を奏することができる。
本発明の参考例としての内燃機関の失火判定方法は、
出力軸がねじれ要素を介して後段の入力軸に接続された複数気筒の内燃機関の失火を判定する内燃機関の失火判定方法であって、
前記後段の慣性モーメントと前記入力軸の回転角速度とに基づいて前記ねじれ要素のねじれに基づいて前記出力軸に作用するトルクである影響トルクによって前記出力軸の回転角速度に与える影響成分を演算し、前記内燃機関の出力軸の回転角速度から前記演算した影響成分を減じて得られる判定用角速度に基づいて前記内燃機関の失火を判定する、
ことを特徴とする。
この本発明の参考例としての内燃機関の失火判定方法では、ねじれ要素より後段の慣性モーメントと後段の入力軸の回転角速度とに基づいてねじれ要素のねじれに基づいて内燃機関の出力軸に作用するトルクである影響トルクによって内燃機関の出力軸の回転角速度に与える影響成分を演算し、内燃機関の出力軸の回転角速度から演算した影響成分を減じて得られる判定用角速度に基づいて内燃機関の失火を判定する。この結果、ねじれ要素のねじれに基づく共振が生じても、内燃機関の失火を精度良く判定することができる。

次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例である内燃機関の失火判定装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にねじれ要素としてのダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた2段変速の変速機35と、この変速機35に接続されたモータMG2と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、例えばガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力可能な8気筒の内燃機関として構成されており、図2に示すように、エアクリーナ122により清浄された空気をスロットルバルブ124を介して吸入すると共に気筒毎に設けられた燃料噴射弁126からガソリンを噴射して吸入された空気とガソリンとを混合し、この混合気を吸気バルブ128を介して燃料室に吸入し、点火プラグ130による電気火花によって爆発燃焼させて、そのエネルギにより押し下げられるピストン132の往復運動をクランクシャフト26の回転運動に変換する。エンジン22からの排気は、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する浄化装置(三元触媒)134を介して外気へ排出される。
エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により制御されている。エンジンECU24は、CPU24aを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU24aの他に処理プログラムを記憶するROM24bと、データを一時的に記憶するRAM24cと、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。エンジンECU24には、エンジン22の状態を検出する種々のセンサからの信号、クランクシャフト26の回転位置(クランク角CA)を検出するクランクポジションセンサ140からのクランクポジション(クランク角CA)やエンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ142からの冷却水温,燃焼室へ吸排気を行なう吸気バルブ128や排気バルブを開閉するカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ144からのカムポジション,スロットルバルブ124のポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサ146からのスロットルポジション,吸気管に取り付けられたエアフローメータ148からのエアフローメータ信号AF,同じく吸気管に取り付けられた温度センサ149からの吸気温,空燃比センサ135aからの空燃比AF,酸素センサ135bからの酸素信号などが入力ポートを介して入力されている。また、エンジンECU24からは、エンジン22を駆動するための種々の制御信号、例えば、燃料噴射弁126への駆動信号や、スロットルバルブ124のポジションを調節するスロットルモータ136への駆動信号、イグナイタと一体化されたイグニッションコイル138への制御信号、吸気バルブ128の開閉タイミングの変更可能な可変バルブタイミング機構150への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。なお、エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータを出力する。なお、上述したクランクポジションセンサ140は、クランクシャフト26と回転同期して回転するように取り付けられて10度毎に歯が形成されると共に基準位置検出用に2つ分の欠歯を形成したタイミングローターを有する電磁ピックアップセンサとして構成されており、クランクシャフト26が10度回転する毎に整形波を生じさせる。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはキャリア軸34aとダンパ28とを介してエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して変速機35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、モータECU40は、所定タイミング毎(実施例では、クランクシャフト26が10度回転するタイミング毎)に回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2やこの回転数Nm1,Nm2に基づいてモータMG1,MG2のロータの回転角速度ωm1,ωm2を計算し、必要に応じてハイブリッド用電子制御ユニット70に送信してハイブリッド用電子制御ユニット70のRAM76に記憶するようにしている。
変速機35は、図示しないが、二つのプラネタリギヤと、二つのプラネタリギヤのリングギヤを回転不能にケースに固定する二つのブレーキと、二つのブレーキをオンオフする油圧回路とにより構成されており、二つのブレーキの一方をオンとすると共に他方をオフとすることによりモータMG2の回転数を減速してリングギヤ軸32aに伝達するLoギヤと、二つのブレーキの一方をオフとすると共に他方をオンとすることによりモータMG2の回転数を減速せずにリングギヤ軸32aに伝達するHiギヤと、二つのブレーキの双方をオフとすることによりモータMG2をリングギヤ軸32aから切り離すニュートラルと、の3つの状態を切り替えることができるニュートラル付きの2段変速機として構成されている。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、変速機35の二つのブレーキをオンオフする油圧回路に駆動信号が出力されている。また、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
ここで、実施例の内燃機関の失火判定装置としては、主として、クランクポジションセンサ140およびこのクランクポジションセンサ140からのエンジン22のクランクシャフト26の回転位置に基づいて後述するエンジン回転角速度ωeを演算したりエンジン22を制御するエンジンECU24と、回転位置検出センサ43,44およびこの回転位置検出センサ43,44からの回転位置に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2や回転角速度ωm1,ωm2を演算するモータECU40と、が該当する。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20に搭載されたエンジン22の各気筒の失火を判定する際の動作について説明する。図3は、エンジンECU24により実行される失火判定処理の一例を示すフローチャートである。このルーチンは、いずれかの気筒が圧縮行程の上死点から90度の位置を通過する毎に繰り返し実行される。
失火判定処理が実行されると、エンジンECU24のCPU24aは、まず、エンジン回転角速度ωeやキャリア軸回転角速度ωinp,モータMG1の回転角速度ωm1,モータMG1のトルクTm1を入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、エンジン回転角速度ωeは、実施例では、エンジンECU24により実行される図4のωe演算処理により、クランク角CAを入力すると共に(ステップS200)、クランクポジションセンサ140からの整形波から入力したクランク角CAが10度回転するまでの経過時間tを演算し、クランクシャフト26が10度回転する毎のエンジン回転角速度ωeを2π(10/360)/tにより演算し(ステップS210)、RAM24cに記憶されているものを入力するものとした。キャリア軸回転角速度ωinpは、実施例では、エンジンECU24により実行される図5のキャリア軸回転角速度演算処理により、モータECU40により計算されハイブリッド用電子制御ユニット70のRAM76に記憶されている所定タイミング毎(実施例ではクランクシャフト26が10度回転する毎)のモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を通信により入力し(ステップS300)、動力分配統合機構30のギヤ比ρ(サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)と変速機35のギヤ比Grとを用いて次式(1)によりキャリア軸回転数Ncを計算し(ステップS310)、キャリア軸回転数Ncから式(2)により所定タイミング毎のキャリア軸回転角速度ωinpとして演算し(ステップS320)、RAM24cに記憶されたものを入力するものとした。モータ回転角速度ωm1は、モータECU40により計算されハイブリッド用電子制御ユニット70のRAM76に記憶されている所定タイミング毎のモータMG1のモータ回転角速度ωm1を通信により入力するものとした。モータMG1のトルクTm1は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される図示しない駆動制御ルーチンによりアクセルペダルポジションセンサ84により検出されるアクセル開度Accと車速センサ88により検出される車速Vとに基づいて設定される車両要求トルクに対応する車両要求パワーをエンジン22から効率よく出力するための運転ポイントでエンジン22を運転するためにモータMG1から出力すべきトルクとして設定されるトルク指令Tm1*をトルクTm1としてハイブリッド用電子制御ユニット70から通信により入力するものとした。
続いて、入力したキャリア軸回転角速度ωinp,モータMG1の回転角速度ωm1,モータMG1のトルクTm1に基づいて次式(3)によりダンパ28のねじれを含むダンパ28より後段のトルクによりクランクシャフト26に影響を与える影響トルク成分Tdmpを計算する(ステップS110)。式(3)は、ダンパ28より後段側の運動方程式であり、左辺は、キャリア軸34a系の慣性モーメント(Iinp)とキャリア軸回転角速度ωinpの微分値の積と、モータMG1のロータ系の慣性モーメント(Img1)のキャリア軸34aに換算したものとモータ回転角速度ωm1の微分値との積と、の和として表わされ、右辺は、影響トルク成分Tdmpと、モータMG1のトルクTm1のキャリア軸34aに換算したものと、の和として表わされる。影響トルク成分Tdmpは、式(3)を影響トルク成分Tdmpについて解いて、変数としてのキャリア軸回転角速度ωinpの微分値とモータ回転角速度ωm1の微分値とモータMG1のトルクTm1とを代入して計算することにより得られる。なお、キャリア軸34a系の慣性モーメント(Iinp)やモータMG1のロータ系の慣性モーメント(Img1)については予め求めておくことができる。また、影響トルク成分Tdmpは、運動方程式的には、式(4)の右辺第1項に示すバネ定数によるトルク項と同式右辺第2項の減衰項との和として計算される。式(4)中の「Kdmp」はダンパ28のバネ定数であり、「Cdmp」は減衰項の定数であり、「Δθ」はクランクシャフト26とキャリア軸34aとにおけるねじれ角である。
次に、計算した影響トルク成分Tdmpをダンパ28よりエンジン22側の慣性モーメント(Ie)で除したものの積分計算(式(5))によりダンパ28より後段がクランクシャフト26の回転角速度に与える影響成分である影響成分ωdmpを計算する(ステップS120)。式(5)は、その微分表示した式(6)を変形したものであり、この式(6)は、ダンパ28よりエンジン22側の慣性モーメント(Ie)と影響成分ωdmpの微分値との積とダンパ28のねじれを含むダンパ28より後段のトルクによりクランクシャフト26に影響を与える影響トルク成分Tdmpとが等しいとする運動方程式に基づくものである。
こうして影響成分ωdmpを計算すると、入力したエンジン回転角速度ωeから計算した影響成分ωdmpを減じて判定用角速度ωjを計算する(ステップS130)。この判定用角速度ωjは、クランクポジションセンサ140からの回転位置に基づいて計算して得られたエンジン回転角速度ωeからダンパ28より後段がクランクシャフト26の回転角速度に与える影響成分である影響成分ωdmpを減じて得られるから、エンジン22の各気筒の爆発燃焼によって生じる回転角速度をより忠実に反映するものとなる。
そして、各気筒の圧縮行程の上死点から0度(TDC)と上死点から90度(ATDC90)の判定用角速度ωj(TDC),ωj(ATDC90)の差分[ωj(TDC)−ωj(ATDC90)]を角速度差分ωDとして計算すると共に(ステップS140)、計算した角速度差分ωDの360度前に角速度差分ωDとして計算される値との差(角速度差分ωDの360度差)[ωD−ωD(360度前)]を判定用値Jωとして計算し(ステップS150)、計算した判定用値Jωを閾値Jrefと比較し(ステップS160)、判定用値Jωが閾値Jrefより大きいときには、判定用値Jωの計算の対象となる気筒が失火していると判定して(ステップS170)、本処理を終了し、判定用値Jωが閾値Jrefより小さいときには失火していないと判定して本処理を終了する。ここで、クランク角90度毎に爆発燃焼を生じる8気筒のエンジン22であることを考慮すれば、若干の変動は生じるものの、角速度差分ωDおよび判定用値Jωは、全ての気筒が正常に燃焼(爆発)していれば値0となり、対象の気筒が失火していると正の値となる。したがって、閾値Jrefとして適当な正の値を設定することにより、判定用値Jωが閾値Jrefより大きいときに対応する気筒が失火していると判定することができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20に搭載された内燃機関の失火判定装置によれば、キャリア軸34a系の慣性モーメント(Iinp)やキャリア軸回転角速度ωinp,モータMG1のロータ系の慣性モーメント(Img1),モータMG1のトルクTm1を用いてダンパ28より後段側の運動方程式によりダンパ28のねじれを含むダンパ28より後段のトルクによりクランクシャフト26に影響を与える影響トルク成分Tdmpを演算すると共に演算した影響トルク成分Tdmpやダンパ28よりエンジン22側の慣性モーメント(Ie)とを用いてダンパ28のねじれに基づく運動方程式によりダンパ28より後段がクランクシャフト26の回転角速度に与える影響成分である影響成分ωdmpを演算し、クランクポジションセンサ140からの回転位置に基づいて演算したエンジン回転角速度ωeから影響成分ωdmpを減じて得られる判定用角速度ωjを用いてエンジン22の失火を判定するから、エンジン22の各気筒の爆発燃焼によって生じる回転角速度をより忠実に反映するものによってエンジン22の失火を判定することになり、ダンパ28のねじれに基づく影響が生じても、エンジン22の失火を精度良く判定することができる。しかも、モータMG1のロータ系の慣性モーメント(Img1)やモータMG1のトルクTm1も考慮しているから、モータMG1によりリングギヤ軸32aのトルク変動に伴う振動を抑制する制振制御を行なっている場合でも、エンジン22の失火を精度良く判定することができる。
上述した実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置における失火の判定処理では、モータMG1によりリングギヤ軸32aのトルク変動に基づく振動を抑制する制振制御を行なっている場合について説明したが、モータMG1による制振制御に加えてモータMG2による制振制御を行なっている場合にも適用することができる。その場合、式(3)にモータMG2のトルクが変速機35や動力分配統合機構30を介してキャリア軸34aに与える影響成分を加味すればよい。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、クランクポジションセンサ140からの整形波とクランク角CAとからクランクシャフト26が10度回転する毎のクランクシャフト26の回転角速度を演算してエンジン回転角速度ωeとすると共に同様にクランクシャフト26が10度回転する毎のモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,回転角速度ωm1,ωm2を計算してエンジン22の失火の判定に用いるものとしたが、クランクシャフト26が他の角度、例えば1度や5度,20度など回転する毎のエンジン回転角速度ωeやモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,回転角速度ωm1,ωm2を計算してエンジン22の失火の判定に用いるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、判定用角速度ωj(TDC),ωj(ATDC90)の差分により角速度差分ωDを計算すると共に計算した角速度差分ωDの360度差により判定用値Jωを計算し、この計算した判定用値Jωに基づいてエンジン22の失火を判定するものとしたが、判定用角速度ωjの他の角度における角速度差分を計算すると共に計算した角速度差分の360度差などにより判定用値を計算し、この計算した判定用値に基づいてエンジン22の失火を判定するものや、判定用角速度ωjの60度差分などの所定角度差分を判定用値として用いてエンジン22の失火を判定するものなど、エンジン回転角速度ωeから影響成分ωdmpを減じて得られる判定用角速度ωjを用いてエンジン22の失火を判定するものであれば、如何なる手法を用いてエンジン22の失火を判定するものとしても構わない。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2からキャリア軸回転数Ncを計算すると共にこのキャリア軸回転数Ncからキャリア軸回転角速度ωinpを計算するものとしたが、キャリア軸34aに回転数センサを取り付けて直接キャリア軸回転数Ncを検出すると共に検出したキャリア軸回転数Ncからキャリア軸回転角速度ωinpを計算するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、8気筒のエンジン22のいずれかの気筒の失火を判定するものとしたが、6気筒のエンジンのいずれかの気筒の失火を判定するものとしたり、4気筒のエンジンのいずれかの気筒の失火を判定するものとするなど、複数気筒のエンジンのいずれかの気筒の失火を判定するものであれば、気筒数はいくつでも構わない。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、2段変速の変速機35を介してモータMG2をリングギヤ軸32aに接続する構成におけるエンジン22の失火の判定を行なうものとしたが、3段以上の変速機や無段変速機を介してモータMG2をリングギヤ軸32aに接続する構成におけるエンジン22の失火の判定を行なうものとしてもよく、変速機35に代えて減速ギヤを介してモータMG2をリングギヤ軸32aに接続する構成におけるエンジン22の失火の判定を行なうものとしてもよい。また、変速機35や減速ギヤを介さずにモータMG2を直接リングギヤ軸32aに接続する構成におけるエンジン22の失火の判定を行なうものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、エンジン22のクランクシャフト26にねじれ要素としてのダンパ28を介して接続されると共にモータMG1の回転軸や駆動軸としてのリングギヤ軸32aに接続される動力分配統合機構30とリングギヤ軸32aに変速機35を介して接続されるモータMG2とを備える車両におけるエンジン22の失火を判定するものとしたが、エンジンのクランクシャフトがねじれ要素としてのダンパを介して後段に接続されているものであればよいから、図6の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図6における車輪64a,64bに接続された車軸)に接続するもののエンジン22の失火を判定するものとしてもよいし、図7の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26にダンパ28を介して接続されたインナーロータ232と駆動輪63a,63bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるもののエンジン22の失火を判定するものとしてもよい。この場合、モータMG2は変速機35や減速ギヤを介して車軸側に接続されていてもよいし、変速機35や減速ギヤを介さずに車軸側に接続されていてもよい。
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、クランクシャフト26にねじれ要素としてのダンパ28を介して後段の入力軸であるキャリア軸34aに接続された8気筒のエンジン22が「内燃機関」に相当し、クランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ140とこのクランクポジションセンサ140からのクランクシャフト26の回転位置に基づいてエンジン回転角速度ωeを演算するエンジンECU24とが「出力軸角速度検出手段」に相当し、回転位置検出センサ43,44とこの回転位置検出センサ43,44からの回転位置に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を演算するモータECU40とこのモータECU40により演算されたモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2に基づいて図5の処理によりキャリア軸回転角速度ωinpを演算するエンジンECU24とが「入力軸角速度検出手段」に相当し、キャリア軸34a系の慣性モーメント(Iinp)やキャリア軸回転角速度ωinp,モータMG1のロータ系の慣性モーメント(Img1),モータMG1のトルクTm1を用いてダンパ28より後段側の運動方程式によりダンパ28のねじれを含むダンパ28より後段のトルクによりクランクシャフト26に影響を与える影響トルク成分Tdmpを演算すると共に演算した影響トルク成分Tdmpやダンパ28よりエンジン22側の慣性モーメント(Ie)とを用いてダンパ28のねじれに基づく運動方程式によりダンパ28より後段がクランクシャフト26の回転角速度に与える影響成分である影響成分ωdmpを演算する図3の失火判定処理のS100〜S130の処理を実行するエンジンECU24が「影響成分演算手段」に相当し、エンジン回転角速度ωeから影響成分ωdmpを減じて得られる判定用角速度ωjを用いてエンジン22の失火を判定する図3の失火判定処理のS140〜S180の処理を実行するエンジンECU24が「失火判定手段」に相当する。また、モータMG1が「電動機」に相当し、回転位置検出センサ43とこの回転位置検出センサ43からの回転位置に基づいてモータMG1の回転角速度ωm1を演算するモータECU40とが「電動機角速度検出手段」に相当し、キャリア軸34aとリングギヤ軸32aとモータMG1の回転軸に接続された動力分配統合機構30が「遊星歯車機構」に相当する。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
実施例では、ハイブリッド自動車20に搭載された内燃機関の失火判定装置として説明したが、走行用の電動機や発電機などを備えない自動車に搭載された内燃機関の失火判定装置に適用するものとしてもよい。また、自動車以外の車両や船舶,航空機などの移動体に搭載される内燃機関の失火判定装置に適用してもよいし、移動しない設備に組み込まれた内燃機関の失火判定装置に適用するものとしても構わない。また、内燃機関の失火判定装置やこれを搭載する車両の形態ではなく、内燃機関の失火判定方法の形態としてもよい。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、内燃機関の失火判定装置およびこれを備える車両の製造産業に利用可能である。
本発明の一実施例である内燃機関の燃焼状態判定装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 エンジン22の構成の概略を示す構成図である。 失火判定処理の一例を示すフローチャートである。 ωe演算処理の一例を示すフローチャートである。 キャリア軸回転角速度演算処理の一例を示すフローチャートである。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。 変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、24a CPU、24b ROM、24c RAM、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、34a キャリア軸、35 変速機、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、122 エアクリーナ、124 スロットルバルブ、126 燃料噴射弁、128 吸気バルブ、130 点火プラグ、132 ピストン、134 浄化装置、135a 空燃比センサ、135b 酸素センサ、136,スロットルモータ、138 イグニッションコイル、140 クランクポジションセンサ、142 水温センサ、144 カムポジションセンサ、146 スロットルバルブポジションセンサ、148 エアフローメータ、149 温度センサ、150 可変バルブタイミング機構、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ、234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ。

Claims (4)

  1. 出力軸がねじれ要素としてのダンパを介して、入力軸と該入力軸へのトルクの作用が可能な電動機とを有する後段の該入力軸に接続された複数気筒の内燃機関の失火を判定する内燃機関の失火判定装置であって、
    前記内燃機関の出力軸の回転角速度である出力軸角速度を検出する出力軸角速度検出手段と、
    前記入力軸の回転角速度である入力軸角速度を検出する入力軸角速度検出手段と、
    前記電動機の回転軸の回転角速度である電動機角速度を検出する電動機角速度検出手段と、
    前記後段の慣性モーメントである後段慣性モーメントと前記検出した入力軸角速度の微分値との積を含む第1演算項と前記ダンパのねじれに基づいて前記出力軸に作用するトルクである影響トルクを含む第1影響トルク項とが等しいとする第1の関係式と、前記出力軸より前記内燃機関側の慣性モーメントである機関側慣性モーメントと前記影響トルクによって出力軸の回転角速度に与える影響成分の微分値との積を含む第2演算項と前記影響トルクを含む第2影響トルク項とが等しいとする第2の関係式と、を連立させて前記影響成分について得られる解として該影響成分を演算する影響成分演算手段と、
    前記演算した出力軸角速度から前記演算した影響成分を減じて得られる判定用角速度に基づいて前記内燃機関の失火を判定する失火判定手段と、
    を備え
    前記第1演算項は、前記入力軸の慣性モーメントと前記入力軸角速度の微分値との積と、前記電動機の慣性モーメントの前記入力軸への影響成分として換算される換算慣性モーメントと前記検出された電動機角速度の微分値との積と、の和であり、
    前記第1影響トルク項は、前記影響トルクと、前記電動機からの出力トルクの前記入力軸への作用分として換算される換算トルクと、の和である、
    内燃機関の失火判定装置。
  2. 前記入力軸角速度検出手段は、前記電動機角速度検出手段により検出された電動機角速度に基づいて前記入力軸角速度を演算する手段である請求項1記載の内燃機関の失火判定装置。
  3. 請求項1または2記載の内燃機関の失火判定装置であって、
    前記後段は、前記入力軸と前記電動機の回転軸と駆動力の出力先である駆動軸との3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する遊星歯車機構を有し、
    前記換算慣性モーメントは、前記電動機の慣性モーメントと前記遊星歯車機構のギヤ比とを用いて演算されてなり、
    前記換算トルクは、前記電動機からの出力トルクと前記遊星歯車機構のギヤ比とをを用いて演算されてなる、
    内燃機関の失火判定装置。
  4. 出力軸がねじれ要素を介して車軸側である後段の入力軸に接続された複数気筒の内燃機関の失火を判定する内燃機関と、
    前記内燃機関の失火を判定する請求項1ないし3いずれか記載の内燃機関の失火判定装置と、
    を備える車両。
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