JP2008199962A - 組織体形成用基材、組織体形成キット、それを用いた組織体形成法、及び該組織体形成法により形成された三次元組織体 - Google Patents

組織体形成用基材、組織体形成キット、それを用いた組織体形成法、及び該組織体形成法により形成された三次元組織体 Download PDF

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Abstract

【課題】三次元組織体が増殖性の細胞の培養においてもサイズの増加を抑制するとともに、代謝性の高い増殖細胞を長期にわたって細胞機能保持し得る効率的な三次元組織体形成用基材、及びそれを用いた組織体形成法を提供する。
【解決手段】増殖性の細胞を含む三次元組織体を形成する組織体形成用基材であって、貫通孔を有する多孔質フィルム1表面2に、細胞を保持しうる細胞接着性領域3aが、その周縁部が細胞非接着性領域4aとなるように配置されてなる組織体形成用基材である。該貫通孔を有する多孔質フィルム1における空孔の孔径0.01μm〜100μmのであることが好ましい態様である。
【選択図】図1

Description

本発明は、増殖性の細胞を含む三次元組織体の形成に有用な組織体形成用基材、該基材を含む組織体形成キット、それを用いた組織体形成法、及びそれにより得られた三次元組織体に関する。
培養細胞は、三次元的に集合して組織体を形成した場合には、例えば基材表面を二次元的に接着して、いわゆる単層を形成した場合に比べて、より長期間生存し、生体内における本来の機能をより高いレベルで発現することが報告されている。このため、培養細胞から三次元組織体を形成する技術は、例えば、生体の挙動を再現するシミュレータ、薬品開発における動物実験の代替技術、細胞移植による再生医療技術等への応用が期待されている。
このような培養細胞の三次元体を形成する技術として、従来、例えば、基材に形成され細胞非接着表面をもつウェル内で初代肝細胞を培養することにより、当該ウェル内で当該初代肝細胞が三次元的に集合した組織体を形成させる技術が提案されている(例えば、特許文献1、参照)。ここには、ウェル内に入れる細胞の数を変えることにより、組織体のサイズを制御することが記載されている。しかしながら、この技術においては、形成された三次元組織体が増殖性の細胞を含む場合には、当該細胞が増殖することにより、培養時間の経過に伴って当該三次元組織体のサイズが増加し続けるため、当該三次元組織体のサイズを一定に制御することは困難であった。
他の方法としては、基材の表面に規則的に配置された複数の小領域で内皮細胞を二次元的に培養した後、当該内皮細胞の単層上で初代肝細胞を培養することによって、当該単層上で当該初代肝細胞が三次元的に集合した組織体を形成させる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。ここでは、互いに隣接して形成される複数の組織体同士の接着を防止するために、複数の小領域の間隔を所定値以上にすべきことが記載されている。しかしながら、増殖性の細胞を含む三次元組織体のサイズの増加を抑制する方法については考慮されていない。
また、細胞増殖に良好な足場(scaffold)となり得る材料として、非水溶性ポリマーから形成されるハニカム多孔質体の使用が提案されているが(例えば、特許文献3参照)、この多孔質体は、ボトムが存在するハニカム構造、即ち、基底フィルムの表面に基底フィルムに垂直な隔壁で区画された複数の小空間が互いにヘキサゴナルに位置するように形成された構造を有するものであり、増殖した細胞がその機能を長期にわたって保持できるかどうか、またこのハニカム状多孔質体が長期にわたって細胞の機能を保持することのできるセルチップ用基板として利用できるか否かについては報告されていない。
他方で、例えばES細胞から胚様体を形成させる場合のように代謝の活発な増殖性細胞を長期にわたり培養する場合には、新鮮な培養液の供給や老廃物の排出をスムーズに行うことのできる組織体形成法や、それを達成し得る組織体形成キットの開発が求められていた。一般に、例えばES細胞からサイズの整った胚様体を多数形成させる場合には、ハンギングドロップ法が用いられているが(例えば、非特許文献1参照)、この方法を適用して組織体を形成するには手間がかかり、当観点からも効率的な三次元組織体形成法や、それを達成し得る組織体形成キットの開発が求められていた。
特許第3270286号公報 国際公開第03/010302号パンフレット 特開2001−157574号公報 Methods in Molecular Biology,vol.330:Embryonic Stem Cell Protocols:Second Edition Vol.2(Humana Press)
上記問題点を考慮してなされた本発明の目的は、増殖性の細胞を培養した場合においても、形成される三次元組織体のサイズの増加を抑制し得るとともに、代謝性の高い増殖細胞を用いても、長期にわたって該細胞機能を保持し得る、効率的な三次元組織体を形成するために有用な組織体形成用基材及びそれを含む組織体形成キットを提供することにある。
また、本発明のさらなる目的は、前記本発明の組織体形成用基材やそれを含むキットを用いることにより、増殖性の細胞を培養した場合においても、従来に比べて高活性かつ長時間活性を維持することが可能な、サイズの制御された三次元組織体を、効率よく形成することができる組織体形成法及びそれにより得られた細胞の三次元組織体を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討を行い、増殖性の細胞を培養する場合において、新鮮な培養液の供給や老廃物の排出をスムーズに行うことのできる貫通孔を有する多孔質フィルムを応用することで、上記目的を達成しうることを見出し、本発明に至った。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> 増殖性の細胞を含む三次元組織体の形成に用いる組織体形成用基材であって、貫通孔を有する多孔質フィルム表面に、細胞を保持しうる細胞接着性領域が、その周縁部が細胞非接着性領域となるように配置されてなる組織体形成用基材。
<2> 前記細胞接着性領域が複数個、隣接する細胞接着性領域との間に所定の間隔を介して配置されてなり、前記細胞非接着性領域が連続領域を形成してなる<1>に記載の組織体形成用基材。
<3> 前記貫通孔を有する多孔質フィルムが、孔径0.01μm〜100μmの空孔が互いに連通するように形成されてなる多孔質フィルムからなることを特徴とする<1>又は<2>に記載の組織体形成用基材。
<4> 前記貫通孔を有する多孔質フィルムが、三次元網目構造を有する多孔質フィルムであることを特徴とする<3>に記載の組織体形成用基材。
<5> 前記多孔質フィルムが、有機溶媒と高分子化合物を含む液を支持体上にキャストして製膜することで形成された、膜中に空隙が形成された多孔質フィルムからなることを特徴とする<1>乃至<4>のいずれか1項に記載の組織体形成用基材。
<6> <1>乃至<5>のいずれか1項に記載の組織体形成用基材を枠体で保持してなることを特徴とする、増殖性の細胞を含む三次元組織体の形成に用いる組織体形成キット。
<7> 前記枠体が、前記組織体形成用基材表面に形成された細胞接着性領域を分画するための、組織体形成用基材表面に垂直方向に設置された仕切りを有する枠体であることを特徴とする<6>に記載の組織体形成キット。
<8> <1>乃至<6>のいずれか1項に記載の組織体形成用基材を準備する基材準備工程と、該組織体形成用基材表面に増殖性の細胞を播種し、培養、増殖させて三次元組織体を形成させる培養工程とを含むことを特徴とする組織体形成法。
<9> 前記多孔質フィルムの播種面の裏面に、さらに、三次元組織体を形成させることを特徴とする<7>に記載の組織体形成法。
<10> <8>又は<9>に記載の組織体形成法により増殖性の細胞を培養して得られる三次元組織体。
本発明によれば、増殖性の細胞を培養した場合においても、形成される三次元組織体のサイズの増加を抑制し得るとともに、代謝性の高い増殖細胞を用いても、長期にわたって該細胞機能を保持し得る、効率的な三次元組織体を形成するために有用な組織体形成用基材及びそれを含む組織体形成キットを提供することができる。
また、本発明によれば、増殖性の細胞を培養した場合においても、従来に比べて高活性かつ長時間活性を維持することが可能な、サイズの制御された三次元組織体を、効率よく形成することができる組織体形成法及びそれにより形成された三次元組織体を提供することができる。
以下に、本発明の一実施形態に係る組織体形成用基材、組織体形成キットを、その使用法である組織体形成法とともに、図面を参照しつつ説明する。
本実施形態に係る組織体形成方法(以下、「本方法」という)は、特定の多孔質フィルムを用いた本発明の組織体形成用基材(以下、「本基材」と称することがある)を少なくとも1つ準備する工程(以下「準備工程」という)と、該組織体形成用基材表面に配置された細胞接着性領域に細胞を播種して、増殖性および非増殖性の細胞を培養することにより、当該各表面領域に当該細胞を含む三次元組織体(以下、「組織体」という)を形成させる工程(以下、「培養工程」という)と、を含む。
まず、本方法の準備工程について、本基材の詳細な構造とともに説明する。
図1は、この準備工程で準備する組織体形成基材を有する組織体形成キットの一態様を示す斜視図である。この組織体形成キットは、後述する多孔質フィルム1表面2上に細胞接着性領域3aを備えてなる組織体形成用基材と、その周縁を支持する枠状の保持材5aとを備える。また、図2は、この準備工程で準備する組織体形成基材を有する組織体形成キットの他の態様を示す斜視図である。この組織体形成キットは、後述する多孔質フィルム1表面2上に細胞接着性領域3bを備えてなる組織体形成用基材に、所定の間隔を介して形成された貫通孔を有し、その貫通孔が細胞接着性領域3bを有する領域を分画するように形成されてなる板状の保持材5bを積層、固定化してなる。
本発明の組織体形成キットは、少なくとも、微細な連通孔を有する多孔質フィルムからなる組織体形成用基材を備え、この可撓性の多孔質フィルムを使用に適する形状に保持し、ハンドリング性を向上するための保持材により保持されてなる態様であることが好ましい。
(1.保持材)
本発明の三次元組織体形成用基材において所望により設けられる保持材としては、後に説明する多孔質フィルムを固定、保持しうる部材として、安定した構造体として機能すれば、形態には制約はないが、例えば、図1に示す如く多孔質フィルム1の周囲に額縁状に設置してなる枠体5aの形状を有するものであってもよく、また、所定の間隔で互いに直行する枠材である格子状の保持材であってもよい。
また、枠体のように周縁部を保持するものでなくても、それ自体が安定した板状であって、後述する細胞接着性領域を中心に地位させるべく、所定の間隔をもって形成された貫通孔を有する保持材5bを、多孔質フィルム1の表面2に積層して固定化してなる、図2に示す如き形態をとってもよい。
この基材の材質は特に限られず、例えば、ガラス、合成樹脂、EPDM(Ethylene Propylene Diene Monomer)等の合成ゴム、天然ゴム、セラミック、ステンレス鋼等から成形される。合成樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニル、シリコーン等を好ましく用いることができる。
(2.多孔質フィルム)
本発明の組織体形成用基材に用いる多孔質フィルム、即ち、本発明における「貫通孔を有する多孔質フィルム」とは、フィルムの表裏面や、フィルム表面の細胞接着性領域及び細胞非接着性領域の如き異種領域間のいずれかあるいは双方における物質移動の透過パスとなる貫通孔或いは連通孔を有するフィルムのことを指す。基材フィルムとしては、このような貫通孔(連通孔である場合も包含する)を有するフィルムであって、かつ、細胞などの組織体を表面に保持できるものあれば、材質、構造、孔の形態および孔径、孔径分布、孔の位置の分布、開孔率(フィルム面積に対する表面開孔部総面積の割合)は特に限定されず、いずれのものも用いることができるが、より具体的な例として、下記の条件のものを例示することができる。
なお、本発明においては、細胞接着性領域とその周縁部の細胞非接着性領域との関係を「異種領域」と称することがある。
材質については、例えば、ガラス、合成樹脂、EPDM(Ethylene Propylene Diene Monomer)等の合成ゴム、天然ゴム、セラミック、ステンレス鋼等から成形される。合成樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニル、シリコーン等を好ましく用いることができる。
構造については例えば、いわゆる多孔質有機樹脂製フィルム、セラミックなどの無機材料からなる無機多孔質フィルム、メッシュフィルム、任意の方法による微細加工フィルムなどが挙げられる。
なお、微細加工フィルムの例としては、光リソグラフィー技術を用いた、任意のサイズ・形・分布・パターンの孔(例えば10μm径の均一六角柱状孔をハニカムパターンに配置したフィルム、平均直径が1μm〜10μmのランダムな円柱多孔がランダムに配置したフィルムなど)を形成した多孔質フィルム、マイクロ打ち抜き加工や射出成形加工で同様に作製した多孔質フィルムなどが挙げられる。
孔の形態および孔径については、例えば、細胞の平均径の80%以下の円柱状や四角柱状の貫通孔、細胞の平均径よりも狭い孔径であって、表裏面を連通してなる孔を有する多孔構造などが挙げられる。
孔径分布や孔の位置の分布については例えば、精密メッシュフィルターのような単分散なもの、一般的な多孔質フィルムのような多分散なものが挙げられる。
開孔率については、精密メッシュフィルターのように80%を超えるもの、一般的な多孔質フィルムのように50%以下のものなど、いずれも目的に応じて使用することができる。
本発明に使用しうる多孔質フィルムにおける孔径としては、前記の如く細胞の平均径の80%以下の孔径、細胞の平均径よりも狭い孔径であることが三次元組織体の形成には好ましいが、より具体的には、孔径は0.01μm〜100μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.1μm〜50μm、さらに好ましくは1μm〜20μmの範囲である。
なお、この多孔質フィルムにおける空孔の孔径は、市販の高倍率顕微鏡やSEM表面観察によって測定することができる。
なお、以下に詳述するように、培養する細胞の平均径とこの空孔径との関係を制御することで、例えば、多孔質フィルムの表面のみならず、播種側の裏面にも組織体を形成することが可能となる。
即ち、図14(A)の模式図で示すように、多孔質フィルム1として孔径が細胞径よりも小さいものを使用してい場合には、細胞播種側の多孔質フィルム1表面2および細胞播種反対側の多孔質フィルム表面(裏面)の両面に組織体50を形成することができ、多孔質フィルム1を、その孔径が細胞径よりも大きいものを用いて同様の培養を行った場合を図14(B)に示すように、細胞播種した多孔質フィルム表面ではなく、その反対側の多孔質フィルム裏面上に組織体50が形成され、多孔質フィルム孔径を制御することで組織体の形成方向を制御できることが本発明者らの検討により明らかとなった。
多孔質フィルムの作製法については、ワイヤー状、フィラメント状の素材を高密度で編成或いは織成してシート状の織編体とする方法、繊維集合体を繊維の絡み合いや融着、バインダーなどにより成形してなて不織布とする方法、樹脂材料などに発泡、或いは加圧発泡等により連通孔構造を形成して多孔質フィルムや多孔質シートとする方法、有機溶媒と高分子化合物を含む液を支持体上にキャストするキャスト法により連通孔、貫通孔を形成したフィルムを形成する方法、パンチング等の方法で穿孔して多孔質フィルムを得る方法などが挙げられる。
前記多孔質フィルムのうち、最も好ましいのは、有機溶媒と高分子化合物を含む液を支持体上にキャストして膜を形成し、前記膜中に空隙が形成されたハニカム状や或いは任意の形状の連通孔が形成されてなる多孔質フィルムである。
このようなキャスト法を適用して、樹脂基材、溶剤、添加剤などの原料や製膜雰囲気における湿度、湿潤空気の供給条件などの諸条件を調整することにより、連通孔が形成されたフィルムは、形成された空孔が、貫通孔としてのみならず、フィルムの形成方向と平行な位置に隣接して存在する周囲の空孔と連通して、所謂三次元網目構造の如き空隙を有する多孔質フィルムを、複雑な工程を必要とせずに供給できるため、工程の簡易性からも好ましい態様である。本発明に用いられる多孔質フィルムが、フィルムの垂直方向(厚み方向)のみならず、平面方向へも連通する空孔を有することは、培養細胞の酸素や培養液の供給、老廃物等の排出などの物質交換にとって有利な構造であるといえる。
以下、最も好ましい態様である、三次元的に連通する空孔を有する多孔質フィルム(以下、適宜、特定多孔質フィルムと称する)について解説する。
−特定多孔質フィルム−
前記三次元的に連通する空孔を有する多孔質フィルムを始めとする多孔質フィルムの形成に用いる材料には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、疎水性ポリマー及び両親媒性化合物から選択される少なくとも1種が好適である。
多孔質フィルムを構成する疎水性ポリマーは、公知のもののなかから、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビニル重合ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロペン、ポリビニルエーテル、ポリビニルカルバゾール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリテトラフルオロエチレンなど)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸など)、ポリラクトン(例えばポリカプロラクトンなど)、ポリアミド又はポリイミド(例えば、ナイロンやポリアミド酸など)、ポリウレタン、ポリウレア、ポリカーボネート、ポリアロマティックス、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリシロキサン誘導体、などが挙げられる。これらは、溶解性、光学的物性、電気的物性、膜強度、弾性等の観点から、必要に応じてホモポリマーとしてもよいし、2種以上の構造単位を共重合させてなるコポリマーや2種以上のポリマーの混合物であるポリマーブレンドの形態をとってもよい。
多孔質フィルム形成に用いられる両親媒性化合物には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、両親媒性ポリマーが挙げられる。
両親媒性ポリマーは、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアクリルアミドを主鎖骨格とし、疎水性側鎖としてドデシル基、親水性側鎖としてカルボキシル基を併せ持つ両親媒性ポリマー、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロックコポリマー、などが挙げられる。
前記疎水性側鎖は、アルキレン基、フェニレン基等の非極性直鎖状基であり、エステル基、アミド基等の連結基を除いて、末端まで極性基やイオン性解離基などの親水性基を分岐しない構造であることが好ましい。該疎水性側鎖としては、例えば、アルキレン基を用いる場合には5つ以上のメチレンユニットからなることが好ましい。
前記親水性側鎖は、アルキレン基等の連結部分を介して末端に極性基やイオン性解離基、又はオキシエチレン基などの親水性部分を有する構造であることが好ましい。
両親媒性化合物としては、両親媒性ポリマー以外のものも挙げられる。両親媒性ポリマー以外の両親媒性化合物としては、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、界面活性剤などが好ましい。
両親媒性化合物として用いられる界面活性剤としては、例えば、下記一般式(I)で表される化合物などが挙げられる。
前記一般式(I)中、Rは脂肪族基、脂環式化合物基、芳香族基、又は、ヘテロ環を表し、Rは脂肪族基、脂環式化合物基、芳香族基、ヘテロ環、又は、−L−Zを表す。Q、Q、及びQはそれぞれ単結合、酸素原子、硫黄原子、又は、−N(R)−を表し、Rは水素原子、脂肪族基、脂環式化合物基、芳香族基、ヘテロ環、又は、−L−Zを表す。ここで、Lは2価の連結基を表し、Zはイオン性の基を表す。なお、単結合とは、元素が存在しないことを表し、例えば、Qが単結合を表すとは、PとRとが直接連結されていることを意味する。
前記一般式(I)中、Rで表される脂肪族基としては、例えば、直鎖又は分枝の炭素数1〜40の無置換アルキル基、直鎖又は分枝の炭素数1〜40の置換アルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜40の無置換アルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜40の置換アルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜40の無置換アルキニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜40の置換アルキニル基等が好ましい。
直鎖又は分枝の炭素数1〜40の無置換アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−アミル基、tert−アミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、セチル基、ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、2−オクチルドデシル基、ドコシル基、テトラコシル基、2−デシルテトラデシル基、トリコシル基等が挙げられる。
直鎖又は分枝の炭素数1〜40の置換アルキル基における置換基としては、例えば、アルコキシル基、アリール基、ハロゲン原子、カルボンエステル基、カルボンアミド基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、燐酸エステル基等が挙げられる。具体的には、例えば、ベンジル基、β−フェネチル基、2−メトキシエチル基、4−フェニルブチル基、4−アセトキシエチル基、6−フェノキシヘキシル基、12−フェニルドデシル基、18−フェニルオクタデシル基、ヘプタデシルフルオロオクチル基、12−(p−クロロフェニル)ドデシル基、2−(燐酸ジフェニル)エチル基等が挙げられる。
前記直鎖又は分枝の炭素数2〜40の無置換アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、4−ペンテニル基、3−ペンテニル基、3−メチル−3−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、7−オクテニル基、9−デセニル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基等が挙げられる。
前記直鎖又は分枝の炭素数2〜40の置換アルケニル基としては、例えば、2−フェニルビニル基、4−アセチル−2−ブテニル基、13−メトキシ−9−オクタデセニル基、9,10−ジブロモ−12−オクタデセニル基等が挙げられる。
前記直鎖又は分枝の炭素数2〜40の無置換アルキニル基としては、例えば、アセチレン基、プロパルギル基、3−ブチニル基、4−ペンチニル基、5−ヘキシニル基、4−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基等が挙げられる。
前記直鎖又は分枝の炭素数2〜40の置換アルキニル基における置換基としては、例えば、アルコキシル基、アリール基等が挙げられる。具体的には、例えば、2−フェニルアセチレン基、3−フェニルプロパルギル基等が挙げられる。
前記一般式(I)中、Rで表される脂環式化合物基としては、例えば、置換又は無置換の炭素数3〜40のシクロアルキル基、置換又は無置換の炭素数4〜40のシクロアルケニル基等が好ましい。
前記芳香族基としては、例えば、置換又は無置換の炭素数6〜50のアリール基等が好ましい。
前記脂環式化合物基における、置換又は無置換の炭素数3〜40のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、2,6−ジメチルシクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、4−フェニルシクロヘキシル基、3−メトキシシクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。
前記脂環式化合物基における、置換又は無置換の炭素数4〜40のシクロアルケニル基としては、例えば、1−シクロヘキセニル基、2−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基、2,6−ジメチル−3−シクロヘキセニル基、4−tert−ブチル−2−シクロヘキセニル基、2−シクロヘプテニル基、3−メチル−3−シクロヘプテニル基等が挙げられる。
前記芳香族基における、置換又は無置換の炭素数6〜50のアリール基の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシル基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。具体的には、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アントラニル基、o−クレジル基、m−クレジル基、p−クレジル基、p−エチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、p−n−アミルフェニル基、p−tert−アミルフェニル基、2,6−ジメチル−4−tert−ブチルフェニル基、p−シクロヘキシルフェニル基、オクチルフェニル基、p−tert−オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、p−n−ドデシルフェニル基、m−メトキシフェニル基、p−ブトキシフェニル基、m−オクチルオキシフェニル基、ビフェニル基、m−クロロフェニル基、ペンタクロロフェニル基、2−(5−メチルナフチル基)等が挙げられる。
前記一般式(I)中、ヘテロ環としては、例えば、置換又は無置換の炭素数4〜40の環状エーテル、置換又は無置換の炭素数4〜40の含窒素環等が好ましい。
前記置換又は無置換の炭素数4〜40の環状エーテルとしては、例えば、フリル基、4−ブチル−3−フリル基、ピラニル基、5−オクチル−2H−ピラン−3−イル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基等が挙げられる。
前記置換又は無置換の炭素数4〜40の含窒素環としては、例えば、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、インドリジニル基、モルホリル基等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数1〜24の、直鎖、環状、又は分枝の無置換アルキル基、置換基の炭素数を除いた炭素数が1〜24の、直鎖、環状、又は分枝の置換アルキル基、炭素数2〜24の、直鎖、環状、又は分枝の無置換アルケニル基、炭素数2〜24の、直鎖、環状、又は分枝の置換アルケニル基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリール基が特に好ましい。
前記炭素数1〜24の、直鎖、環状、又は分枝の無置換アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、セチル基、ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、2−オクチルドデシル基、ドコシル基、テトラコシル基、2−デシルテトラデシル基等が挙げられる。
前記置換基の炭素数を除いた炭素数が1〜24の、直鎖、環状、又は分枝の置換アルキル基としては、例えば、6−フェノキシヘキシル基、12−フェニルドデシル基、18−フェニルオクタデシル基、ヘプタデシルフルオロオクチル基、12−(p−クロロフェニル)ドデシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
前記炭素数2〜24の、直鎖、環状、又は分枝の無置換アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、2−メチル−2−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基、7−オクテニル基、9−デセニル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基等が挙げられる。
前記炭素数2〜24の、直鎖、環状、又は分枝の置換アルケニル基としては、例えば、2−フェニルビニル基、9,10−ジブロモ−12−オクタデセニル基等が挙げられる。
前記炭素数6〜30の置換又は無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、p−クレジル基、p−エチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−tert−アミルフェニル基、オクチルフェニル基、p−tert−オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、p−n−ドデシルフェニル基、m−オクチルオキシフェニル基、ビフェニル基、等が挙げられる。
前記一般式(I)中、Q、Q、及びQとしては、単結合、酸素原子、又は−N(R)−が好ましく、Q、Q、及びQの内の少なくとも2つ以上が酸素原子である
ことが特に好ましい。
前記一般式(I)中、Lとしては、下記一般式(II)で表される基が好ましい。
ただし、前記一般式(II)中、Y、Y、及びYは、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、炭素数1〜40の置換又は無置換のアルキレン基、或いは、炭素数6〜40の置換又は無置換のアリーレン基のいずれかを表す。J、J、及びJは、それぞれ同じであっても異なっていてもく、2価の結合ユニットを表す。p、q、及びrは、それぞれ独立に、0〜5の整数を表す。sは、1〜10の整数を表す。a及びbは、それぞれ独立に、0〜50の整数を表す。
前記Y、Y、及びYにおける置換基としては、例えば、前記一般式(I)におけるRで例示した基が挙げられる。具体的には、例えば、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、1,4−シクロヘキシレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、2−メトキシ−1,3−プロピレン基等が好ましく、アリーレン基としては、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、3−クロロ−1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基等が好ましい。これらの中でも、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、1,4−シクロヘキシレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基が特に好ましい。
前記J、J、及びJにおける2価の結合ユニットとしては、例えば、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CON(R)−、−N(R)CO−、−CON(R)CO−、−N(R)CON(R)−、−OCON(R)−、−N(R)COO−、−SO−、−SON(R)−、−N(R)SO−、−N(COR)−、−OP(=O)(OR)O−等が好ましい。なお、これらにおいて、Rは前記一般式(I)におけるのと同じ意を表し、Rは水素原子、炭素数1〜6の無置換アルキル基、及び置換基の炭素数を除いた炭素数が1〜6の置換アルキル基のいずれかを表し、RはRと同じ意を表すがそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
前記R及びRにおける置換基としては、アリール基、アルコキシル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
これらの中では、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CON(R)−(Rは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基を表す。)、−N(R)CO−、−SON(R)−、−N(R)SO−等が特に好ましい。
前記p、q、及びrとしては、それぞれ独立に、0〜3の整数が好ましく、0又は1の整数が特に好ましい。
前記sとしては、1〜5の整数が好ましく、1〜3の整数が特に好ましい。前記a及びbとしては、それぞれ独立に、0〜20の整数が好ましく、0〜10の整数が特に好ましい。
前記一般式(I)中、Zとしては、親水性のアニオン性又はカチオン性のイオン性基が好ましく、アニオン性基が特に好ましい。
前記アニオン性基としては、−COOM、−SOM、−OSOM、−PO(OM)−OPO(OM)が特に好ましい。なお、前記Mは、対カチオンを表し、アルカリ金属イオン(例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等)、及びアンモニウムイオンのいずれかが好ましい。これらの中でも、ナトリウムイオン、カリウムイオンが特に好ましい。
前記カチオン性基としては、例えば、−NH ・X、−NH(R・X、−NH(R ・X、−N(R ・Xが挙げられる。
前記Rは、炭素数1〜3のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基等)を表し、メチル基、2−ヒドロキシエチル基が好ましい。
前記Xとしては、対アニオンを表し、例えば、ハロゲンイオン(例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン等)、複合無機アニオン(例えば、水酸化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、燐酸イオン等)、及び有機化合物アニオン(例えば、シュウ酸イオン、蟻酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン等)が好ましく、塩素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオンが特に好ましい。
前記一般式(I)中、Rとしては、例えば、上記Rで例示した基、上記−L−Zで例示した基の中から選ばれる一価の基が挙げられる。Rで例示した基から選択される場合は、同一分子内に存在するRと同一構造であっても異なった構造であってもよい。また、−L−Zで例示した基から選択される場合も、同一分子内に存在する−L−Zと同一構造であっても異なった構造であってもよい。これらの中でも、Rで例示した基から選択される場合が特に好ましい。更に、RとRとの炭素数の合計が6以上80以下になることが好ましく、8以上50以下になる場合が特に好ましい。
前記界面活性剤の具体例〔例示化合物(PW−1)〜(PW−52)〕を以下に例示するが、これら具体例に限定されるものではない。
前記疎水性側鎖と前記親水性側鎖との比率は、分子の大きさや非極性、極性の強さ、疎水性有機溶媒の疎水性の強さなどに応じて異なり一概には規定できないが、ユニット比(疎水性側鎖/親水性側鎖)は9.9/0.1〜5.5/4.5が好ましい。また、コポリマーの場合、疎水性側鎖の親水性側鎖の交互重合体よりも、疎水性溶媒への溶解性に影響しない範囲で疎水性側鎖と親水性側鎖がブロックを形成するブロックコポリマーであることが好ましい。
多孔質フィルムの原料となる疎水性ポリマー及び両親媒性ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、10,000〜10,000,000が好ましく、50,000〜1,000,000がより好ましい。なお、この重量平均分子量は、GPC法により測定した値を採用している。
また、両親媒性化合物が界面活性剤の如き低分子量の化合物である場合の分子量としては、300〜600の範囲であることが好ましい。
本発明の特定多孔質フィルムを形成するに際しては、疎水性ポリマーのみを原料とすることもできるが、疎水性ポリマーと両親媒性化合物とを、共に用いることが好ましい。
疎水性ポリマーと両親媒性化合物との組成比率(質量比率)は、前記両親媒性化合物が両親媒性ポリマーである場合は、99.9:0.1〜50:50が好ましく、95:5〜75:25がより好ましい。前記両親媒性化合物の比率が上記範囲において、均一な連通多孔質構造体が得られ、且つ、膜の安定性、特に力学的な安定性を十分に得ることができる。
また、前記両親媒性化合物が両親媒性ポリマーでない場合は、前記疎水性ポリマーと前記両親媒性化合物との組成比率(質量比率)は、99.9:0.1〜80:20が好ましい。前記両親媒性化合物が両親媒性の低分子量化合物である場合、この組成比率において、均一な連通多孔質構造体が得られ、フィルム強度を適切に維持することができる。
なお、両親媒性化合物として、両親媒性ポリマーと両親媒性の低分子化合物を任意の比率で混合して用いてもよい。
多孔質フィルムの原料として用いる疎水性ポリマー及び両親媒性ポリマーは、分子内に重合性基を有する重合性(架橋性)ポリマーであることも好ましい態様である。また、疎水性ポリマー及び/又は両親媒性ポリマーとともに、重合性の多官能モノマーを配合し、この配合物により連通孔を有する多孔質構造体を形成した後、熱硬化法、紫外線硬化法、電子線硬化法等の公知の方法によって硬化処理を施すことも、多孔質フィルム強度向上の観点から好ましい。
疎水性ポリマー及び/又は両親媒性ポリマーと併用しうる多官能モノマーとしては、反応性の点から多官能(メタ)アクリレートが好ましい。前記多官能(メタ)アクリレートの例としては、ジペンタエリスリトールペンタアクリレ−ト、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加物へキサアクリレート又はこれらの変性物、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマ−、N−ビニル−2−ピロリドン、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、又はこれらの変性物などが使用できる。
これらの多官能モノマーは耐擦傷性と柔軟性のバランスから、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
疎水性ポリマー及び両親媒性ポリマーは、分子内に重合性基を有する重合性(架橋性)ポリマーである場合には、疎水性ポリマー及び両親媒性ポリマーの重合性基と反応しうる重合性の多官能モノマーを併用することも好ましい。
本発明においては、このような基材フィルムを用いて、キャスト法により、以下に示すような条件で製膜することで、貫通孔を有する多孔質フィルムを作製することができる。
このようなキャスト法により製膜した場合、空孔の配列状態が、平面視により互いにヘキサゴナル状に位置するように規則配列してハニカム状構造を形成する。また、隣接する空孔同士は、所定の距離よりも近接した場合、互いに接合して連通することがある。
空孔の大きさは使用する溶媒、疎水性ポリマー、両親媒性化合物の種類や量によって異なるが、主にキャスト雰囲気の湿度と湿潤空気の供給時間でコントロールすることができる。本発明におけるキャスト法によるフィルム形成は、キャスト液の気化熱により周囲の空気の温度低下にともなう凝結により生じた水滴を鋳型として利用しており、例えば相対的に湿度を高くすることで凝結水滴を大きくすることができ、すなわちフィルム形成後の空孔のサイズを大きくすることができる。また、溶媒が蒸発するまでの間は湿潤空気を水分子の供給源として凝結水の成長が進むことから、湿潤空気の供給時間を長くすることにより、凝結水滴を大きくすることができ、すなわち、フィルム形成後の空孔サイズを大きくすることができる。具体的には一般に、湿度60%RH〜95%RH、乾燥までの湿潤空気の供給時間を1分間から5分間の間でコントロールすることにより、空孔径1μmから30μmの空孔径を制御することができる。貫通構造の特徴を活かすには、やはり使用する溶媒、疎水性ポリマー、両親媒性化合物の種類や量によって異なるが、凝結水滴の集積を促す条件、具体的には、疎水ポリマーの濃度や溶剤選定によりキャスト液の粘度を下げたり、キャスト面を乱さぬ程度に乾燥風量を上げたり、基材を加温することにより対流を促進することが有効である。
具体的にはキャスト液粘度が0.1Pa・s以下、乾燥風はキャスト面と垂直方向に風速0.05〜0.3m/秒、基板温度をキャスト液の表面温度(市販の放射温度計で測定可能)に対し1〜10℃高く保持することで、本発明に好ましい貫通孔構造を有する多孔質フィルムを形成することができる。
(3.細胞接着性領域の形成)
次に、前記多孔質フィルムの表面に細胞接着性の領域を形成する方法について説明する。
図1に示す多孔質フィルム1の表面2には細胞接着性領域3aを有する。ここで、細胞接着性領域3aとは、培養しようとする細胞に対して親和性を有する領域を指し、このような細胞接着性領域3aを形成することで、例えば、培養液等の溶液中において、該細胞接着性領域3aに沈降した細胞は、その形状を、培養時間の経過に伴って、球形から比較的扁平な形状に変化させつつ、当該領域3aに接着することになる。
具体的に、このような細胞接着性領域3aを形成するためには、多孔質フィルム1の表面2に、培養液等の溶液中において、細胞が接着可能な荷電状態や親水性・疎水性を示す領域を形成すればよい。より具体的には、該多孔質フィルム1の表面2の所定領域に、生体から取得された細胞接着性物質、もしくは、合成された細胞接着性物質やその誘導体を固定することで形成することができる。
細胞接着性領域3aを形成するために用いられる細胞接着性物質としては、例えば、培養しようとする細胞の細胞膜に存する細胞表面分子(例えば、インテグリンや糖鎖受容体等)のうち特定のものに対して結合し得る物質を用いることができる。具体的には、生体から取得された細胞接着性物質としては、例えばコラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン等の細胞外マトリックスを好ましく用いることができる。
また、合成された細胞接着性物質としては、例えば、細胞接着性を示す特定のアミノ酸配列(例えば、アルギニン・グリシン・アスパラギン酸配列(いわゆるRGD配列)等)や特定の糖鎖配列(例えば、ガラクトース側鎖等)を有する化合物等を好ましく用いることができる。
これら細胞接着性物質の誘導体としては、例えば、当該細胞接着性物質に任意の官能基や高分子鎖等を、所定の化学反応(例えば、カルボキシル基やアミノ基等の間の縮合反応)等によって結合させたものを好ましく用いることができる。
これら細胞接着性物質またはその誘導体は、例えば、当該細胞接着性物質またはその誘導体を含む水溶液を、多孔質フィルム表面の細胞接着性領域3aを形成させる部分に付着させ、乾燥させることにより、当該各部分に固定することができ、このようにして任意の領域を細胞接着性領域3aとすることができる。また、これらの細胞接着性物質またはその誘導体は、例えば、当該細胞接着性物質またはその誘導体を含む水溶液中において、当該細胞接着性物質またはその誘導体が有する官能基と、多孔質フィルム表面2のうち各表面領域3aを形成させる部分に露出している官能基と、を所定の化学反応(例えば、チオール基と金表面等との化学吸着反応や、カルボキシル基やアミノ基等の間の縮合反応)等によって結合させることによっても当該部分に固定できる。
図1に示す多孔質フィルム1の表面2のうち、複数の細胞接着性領域3aを周辺部は、細胞非接着性領域(周辺表面)4aである。すなわち、細胞接着性領域3aは、細胞非接着性の領域4aにより周辺を囲まれており、隣接する細胞接着性領域3aは細胞非接着性の領域4aにより隔てられて存在することを要する。このとき、細胞非接着性領域4aは連続領域として存在することができる。
また、図2は、所定の深さをもつ複数の貫通孔が形成されてなる板状の基材5bと前記細胞接着性領域3aが形成された多孔質フィルム1との積層体からなる組織体形成用基材であり、この多孔質フィルムが底面を構成する有底孔(以下「キャビティ100」という)が規則的に配置するよう形成されており、この有孔底の略中央には細胞接着性領域3aが形成され、その周辺部は細胞非接着性領域4bで囲まれており、各キャビティ100の底面として形成されている。即ち、図2に示す底面の細胞接着性領域3aを除く、多孔質フィルム1の表面2は、細胞非接着性領域4bであり、且つ、積層された板状の基材5b自体も特に細胞接着性を有しない細胞非接着性の表面を有する。
ここで、細胞非接着面の表面とは、例えば、培養液等の水溶液中において、細胞の接着に不適切な特性を示す表面である。したがって、例えば、培養液中において図1における周辺の細胞非接着性領域4a表面、或いは、図2におけるキャビティの細胞接着性領域3aの周辺領域(細胞非接着性領域)4aに沈降した細胞は、その形状を球状からほとんど変化させず、当該周辺表面4aまたは周辺領域4b表面には実質的に接着できない。すなわち、周辺表面4aまたは周辺領域4bに沈降した細胞は、当該周辺表面4aまたは表面領域4bに全く接着できずに培養液中で浮遊し、またはいったん接着したとしても、所定の培養時間経過後には培養液の流れ等によって容易に脱着する。
この細胞非接着性物質としては、例えば、細胞接着性領域3aで培養する細胞の細胞膜に存する細胞表面分子に対して結合しない物質を用いることができる。具体的に、生体から取得された細胞非接着性物質としては、例えば、アルブミン等の高い親水性を示すたんぱく質等を好ましく用いることができる。また、合成された細胞非接着性物質としては、例えば、ポリエチレングリコール等の極めて高い親水性を示す高分子鎖を含む化合物や、MPC(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)、poly−HEMA(ポリヒドロキシエチルメタクリレート)、SPC(セグメント化ポリウレタン)等を好ましく用いることができる。また、これら細胞非接着性物質の誘導体としては、例えば、当該細胞非接着性物質に任意の官能基や高分子鎖を、所定の化学反応等によって結合したものを好ましく用いることができる。
これら細胞非接着性物質またはその誘導体は、例えば、当該細胞非接着性物質またはその誘導体を含む水溶液を、図1に示す多孔質フィルム表面2のうち細胞接着性領域3aを囲む部分4a、または図2に示す周辺領域4bおよび枠体5b表面に固定することができる。
細胞非接着性物質またはその誘導体は、例えば、当該細胞非接着性物質またはその誘導体を含む水溶液中において、当該細胞非接着性物質またはその誘導体が有する官能基と、多孔質フィルム表面2のうち細胞接着性領域3aを囲む部分(4a)、または図2に示す各細胞非接着性領域4bおよび周辺の枠体5b表面に露出している官能基とを所定の化学反応等によって結合させることにより、当該細胞接着性領域3aを囲む部分(4a)、または図2における当該各周辺領域4bおよび枠体5b表面に固定できる。
また、図2に示す貫通孔を有する板状の基材(保持材)5bに形成されたキャビティ100は、当該保持材5bの材質等に応じて選択される公知の加工方法を用いて、形成することができる。具体的に、例えば、このキャビティ100は、マシニングセンタ等を用いた穿孔加工、レーザー等を用いた光微細加工、エッチング加工、エンボス加工等により多孔質フイルム表面2に形成し、または射出成形、プレス成形、ステレオリソグラフィ等による基材5bの成形時に形成することができる。
このような加工方法により、キャビティ100は、例えば、所定厚さの基材5bの表面2に、貫通孔として形成することができる。また、このキャビティ100は、例えば基材5bに貫通する孔を形成した後に、当該基材5bの片面に当該多孔質フィルム1を貼り合わせて底面としてとすることにより有底孔として形成することができる。
また、複数のキャビティ100は、例えばCAD(Computer Aided Design)プログラムにより河口位置を精密に制御するマシニングセンタ等を用いることにより、図2に示すように、基材5bの上に、円形の底面の中心間の距離が一定の間隔となるよう規則的に形成することができる。
また、図1に示す表面2は、各細胞接着性領域3aと周辺部の細胞非接着性表面4aとを含むその全体が実質的に平坦な表面となっている。すなわち、細胞接着性領域3aおよび周辺表面4aはそれぞれ実質的に平坦な表面であるとともに、多孔質フイルム表面2の全体が実質的に平坦な表面を構成するように互いに連なっている。ここで、実質的に平坦な表面とは、例えば、当該表面の凹凸(例えば、細胞接着性領域3aと周辺表面4aとの段差)が細胞1個分の厚みより小さい程度に小さい表面をいう。また、図2に示す多孔質フイルム1表面2のうち、各細胞接着性領域3aおよび周辺の細胞非接着性領域4bもまたそれぞれ実質的に平坦な表面として形成されている。
また、各細胞接着性領域3aの面積は、培養する細胞のサイズがその種類や状態等によって異なるため一概に言えないが、例えば、300〜1×10μmの範囲であることが好ましく、特に5000〜2×10μmの範囲であることが好ましい。すなわち、図1および図2に示す各細胞接着性領域3aの直径は、当該細胞接着性領域3aで培養する細胞の直径の2〜50倍程度の範囲であることが好ましく、特に5倍〜30倍程度の範囲であることが好ましい。これは、細胞は各細胞接着性領域3a上で三次元的に集合して組織体を形成することから、これらの面積が、当該組織体に含まれる細胞の数を規定するためである。すなわち、各細胞接着性領域3aの面積を300μmまたは細胞の直径の2倍以上とすることで、例えば、組織体を形成するために必要な数の細胞が当該各表面領域3aに十分に接着することができ、また、必要な数の細胞を各細胞接着性領域3a上に保持することができるとともに、細胞接着性領域3aの面積を1×10μmまたは細胞の直径の50倍以下とすることにより、この領域3aで形成される組織体のサイズが適性に保たれ、例えば、当該組織体の深部に含まれる細胞が、当該組織対外の培養液等から栄養や酸素を十分に受けることができずに死滅し、またはその機能を失ってしまうような事態の発生を抑制することができる。
また、図2に示す貫通孔を有する板状の基材5bのキャビティ100の深さ、すなわち板状の基材5bの厚みは、用いる細胞の径の1〜200倍程度の範囲であることが好ましく、特に2倍〜100倍程度の範囲であることが好適である。即ち、キャビティ100の深さを上記下限値以上とすることで当該キャビティ100内から細胞がこぼれることを抑制することができ、細胞を細胞接着性領域3a上に確実に保持することが可能となり、また、その深さを上記上限値以下とすることで、当該キャビティ100内の表面領域3a上で保持されている細胞を始点として形成される組織体が、組織体形成基材に形成された有底孔の表面近傍の位置に存在するため、培養工程以降の操作、例えば観察・評価・採取の作業性が良好となる。
また、多孔質フイルム1表面2は、本方法において組織体のサイズを制御するために必要な最低限の数の細胞接着性領域3aの一部分である、1つの特定の表面領域(以下、「特定領域」という)と、当該特定領域の周辺に、当該特定領域に隣接して配置される複数の表面領域(以下、「隣接領域」という)とを有する。
本発明においては、多孔質フィルム1表面2に、細胞非接着性領域4aに囲まれて細胞接着性領域3aが1つのみ存在すればよいが、細胞培養や三次元組織体の形成、或いは、それらを評価するという目的を考慮すれば、多孔質フィルム表面には複数の細胞接着性領域3aが形成されることが好ましく、培養や評価の効率といった観点からは、その細胞接着性領域3aは等間隔で複数個設けられることが好ましい。
このような複数の細胞接着性領域3aとその周辺部の細胞非接着性領域4からなる領域を、以下、領域セットと称する。領域セットに含まれる複数の隣接する細胞接着性領域3aは、その各々の重心点(円形の隣接領域における円の中心点、四角形の隣接領域における対角線の交点等)から、当該領域セットに含まれる特定領域の重心点までの距離(以下、「重心間隔」という)が互いに等しくなるように配置されている。
ここで、本方法に特徴的なことの一つは、準備工程で準備する多孔質フイルム表面2に含まれる領域セットの重心間隔を変化させることによって、培養工程で特定領域に形成される、増殖性の細胞を含む三次元組織体のサイズを、当該重心間隔に応じて制御できる点である。すなわち、例えば、準備工程において所定の重心間隔の領域セットを含む多孔質フイルム表面2を準備することによって、培養工程において、少なくとも当該領域セットの特定領域に、当該重心間隔によって規定される所定のサイズの組織体を形成できる。
具体的に、例えば、準備工程において特定領域と各隣接領域とが第一の重心間隔で互いに離間して配置された領域セットを含む第一の多孔質フイルム表面を準備した場合には、培養工程において当該第一の重心間隔に応じた第一のサイズの組織体を形成でき、準備工程において特定領域と各隣接領域とが当該第一重心間隔より小さい第二の重心間隔で互いに離間して配置された領域セットを含む第二の多孔質フイルム表面を準備した場合には、培養工程において、当該第二の重心間隔と当該第一の重心間隔との比率に応じた、当該第一のサイズにより小さい第二のサイズの組織体を形成できる。したがって、例えば、準備工程において互いに重心間隔が一定の規則に従って段階的に変化する複数の多孔質フイルム表面を準備した場合には、培養工程において、当該複数の多孔質フイルム表面の複数の特定領域に、当該一定の規則に従って当該複数の多孔質フイルム表面間で段階的に変化するサイズの組織体を形成できる。ここで、重心間隔が一定の規則に従って変化する場合としては、例えば、1つの多孔質フイルム表面の重心間隔に対して、他の1または複数の多孔質フイルム表面の重心間隔が、所定の長さずつ変化し、所定の倍率で変化し、または所定の関数に従って変化する場合等を挙げることができる。
このように、本方法によれば、例えば、重心間隔によって規定される所望サイズの複数の組織体が規則的かつ高密度に配置された組織体アレイチップを得ることができる。また、本方法によれば、例えば、培養する細胞の種類ごとに、所望のサイズの組織体を形成するために設定すべき重心間隔をスクリーニングすることができる。
なお、特定領域の辺縁部と各隣接領域の辺縁部との最短距離(すなわち、例えば、円形状の表面領域3aおよび表面領域3bについては、特定領域の演習部と各隣接領域の円周部との最短距離)は、当該特定領域および各隣接領域で培養する細胞のサイズがその種類や状態等によって異なるため一概には言えないが、50〜1000μmの範囲であることが好ましく、特に100〜700μmの範囲であることが好ましい。これは、この最短距離が50μmより小さい場合には、例えば、特定領域に形成される組織体と隣接領域に形成される組織体との間で融合や架橋が起こり、当該複数の組織体が互いに接着した組織体が形成されることにより、組織体のサイズを厳密に制御できない場合があるためである。また、最短距離が1000μmより大きい場合には、特定領域に形成される組織体と隣接領域に形成される組織体との距離が大きいために、例えば、複数の組織体を高密度に配置した組織体アレイを得ることができない。
図3は、図1および図2に示す組織体形成用基材表面に形成された領域セット10についての説明図である。この領域セット10は、多孔質フイルム表面2に形成された複数の表面領域3a(図1および図2参照)のうちの1つである特定領域11(図3においてハッチングを施して示す領域)と、当該複数の細胞接着性領域3aまたは周辺の細胞非接着性領域4a、4bのうち他の一部であって、当該特定領域11を囲むように配置された6つの隣接領域12とを有している。特定領域11および各隣接領域12は、互いに等しい直径D1の円形状である。そして、特定領域11の中心点11cと、各隣接領域12の中心点12cとの間の距離(以下「中心間隔」という)は、互いに等しい一定値L1となっている。また、特定領域11は、その中心点11cが6つの隣接領域12の各々の中心点12cを結んで形成される正六角形P1の重心点と一致するよう、その全体が問うが正六角形P1の中に位置するよう配置されている。また、この領域セット10においては、正六角形P1の6つの変の各々の長さM1は、中心間隔L1と同一になっている。
図4は、重心間隔が互いに異なる複数の領域セットの一例についての説明である。図4Aに示す第一領域セット20は、互いに等しい一定の直径D2の円形状領域として形成された1つの特定領域21および6つの隣接領域22を有している。特定領域21と各隣接領域22との中心間距離L2は、互いに等しくなっている。また、図4Bに示す第二領域セット30は、第一領域セット20に含まれる特定領域21および各隣接領域22と同一の直径D2の円形状領域として形成された1つの特定領域31および6つの隣接領域32を有し、当該特定領域31と各隣接領域32との中心間隔L3は、当該第一領域セット20の中心間隔L2より大きくなっている。また図4Cに示す第三領域セット40は、第一領域セット20に含まれる特定領域21および各隣接領域22と同一の直径D2の円形状領域として形成された1つの特定領域41および6つの隣接領域42を有し、当該特定領域41と各隣接領域42との中心間距離L4は、第二領域セット30の中心間隔L3よりさらに大きくなっている。
準備工程においては、例えば、図4に示すような、互いに等しい直径D2の特定領域21、31,41および隣接領域22、32,42を有し、各隣接領域22,32,42の中心点22c、32c、42cを結んで形成される正六角形P2、P3、P4が互いに掃除となる第一領域セット20、第二領域セット30、または第三領域セット40のうち、互いに異なるいずれか1つの領域セットが形成された複数の多孔質フイルム表面を準備する。すなわち、この準備工程においては、例えば、第一領域セット20が少なくとも1つ形成された第一多孔質フイルム表面と、第二領域セット30が少なくとも一つ形成された第二多孔質フイルム表面と、第三領域セット40が少なくとも一つ形成された第三多孔質フイルム表面とを準備する。なお、この場合の第一多孔質フイルム表面、第二多孔質フイルム表面、および第三多孔質フイルム表面は、例えば、互いに別体に成形された3つの多孔質フイルムの各々の表面として準備されてもよいし、1つの多孔質フイルムの1つの表面のうち互いに異なる3つの部分として準備されてもよい。
なお、領域セットは、複数の表面領域のうちの1つを特定領域として着目することによって便宜的に特定される。したがって、ある領域セットの特定領域が、他の領域セットの複数の隣接領域のうちの1つである場合もある。図5は、多孔質フイルム表面2に形成された複数の表面領域3cのうち、複数の領域セットを含む一部分についての説明図である。図5Aに示す領域セット50は、複数の表面領域3cのうち、ハッチングを施して示す1つの表面領域51を特定領域として着目するとともに、当該表面領域51に隣接する6つの表面領域52a、52b、52c、52d、52e、52fのうち、黒塗りで示す1つの表面領域52aを特定領域として着目した場合には、図5Aに示す領域セットの特定領域51を6つの隣接領域のうちの1つとして含む他の領域セット55が特定される。
また、領域セットに含まれる隣接領域の数や特定領域と隣接領域との位置関係は図1〜図5に示すものに限られない。図6は、領域セットの他の例についての説明図である。図6に示す領域セット60は、互いに等しい直径D6の円形状に形成された1つの特定領域61(図6においてハッチングを施して示す領域)と、当該特定領域61の周辺に配置された3つの隣接領域62とを有し、当該特定領域61と当該隣接領域62との中心間隔L6は互いに等しくなっている。そして、特定領域61は、その中心点61cが、3つの隣接領域62の各々の中心点62cを結んで形成される正三角形P6の重心に一致するよう当該正三角形P6の中に配置されている。また、この領域セット60において、正三角形P6の3つの辺の各々の長さM6は、中心間隔L6より大きくなっている。
また、図7は、領域セットのさらに他の例についての説明図である。図7Aに示す領域セット70は、互いに等しい直径D7の円形状に形成された1つの特定領域71(図7Aおよび図7Bにおいてハッチングを施して示す領域)と、当該特定領域71の周辺に配置された4つの隣接領域72とを有し、当該特定領域71と当該各隣接領域72との中心間隔L1は互いに等しくなっている。そして、特定領域71は、その中心点71cが、4つの隣接領域72の各々の中心点72cを結んで形成される当該四角形P7の中に配置されている。また、この領域セット70において、正方形P7の4つの辺の各々の長さM7は、中心間隔L7より大きくなっている。また、この場合、準備工程においては、例えば、図7Bに示すように、その一部に図7Aに示す領域セット70を含むよう、縦横に一定の中心間隔L7で規則的に配置される複数の表面領域3dが形成された多孔質フイルム表面を準備する。
なお、各表面領域の形状は、上述のような円形状に限られず、例えば、楕円形状や多角形であってもよい。また、隣接領域の重心点を結んで形成される多角形は、正多角形に限られず、例えば、その他の多角形であってもよい。また、各表面領域が形成される多孔質フイルムは、平板に限られず、例えば、可撓性の高いフィルムや膜等であってもよい。また、細胞非接着性の周辺表面に囲まれた細胞接着性の表面領域は、図2に示すようなキャビティの底面の一部として形成されてもよい。すなわち、例えば、キャビティの円形底面の一部であって、その中央部分に細胞接着性の表面領域を形成するとともに、当該表面領域を囲む当該円形底面の他の一部または残りの部分全体を細胞非接着性の周辺表面として形成することもできる。
このようにして、多孔質フィルム1の表面2に細胞接着性領域3aを形成することで、本発明の組織体形成用基材を得ることができる。
この組織体形成用基材は、細胞培養における三次元組織体の形成に有用である。
次に、本発明の組織体形成用基材を用いた培養工程について説明する。
この培養工程においては、多孔質フィルム1表面2のうち、各領域セット10に含まれる複数の細胞接着性領域3aで増殖性の細胞を培養する。ここで、培養する細胞としては、所定の培養条件下で、細胞同士が三次元的に集合して立体的な組織体を形成するものであれば、由来する動物種や臓器・組織の種類等や、細胞の増殖性・非増殖性を問わず任意の細胞を用いることができる。具体的な例としては、ヒトまたはヒト以外の動物(例えば、サル、ブタ、イヌ、ラット、マウス等)由来の肝臓、膵臓、腎臓、神経、皮膚等から採取される初代細胞、未分化な幹細胞、胚由来のES細胞(Embryonic Stem Cell)、樹立されている株化細胞、またはこれらに遺伝子操作等を施した細胞等であって、増殖可能な細胞を好ましく用いることができる。また、一種類の細胞を単独で用いることもできるし、二種類以上の細胞を任意の比率で混在させて用いることもできる。
また、細胞を培養する際に用いる培養液としては、当該細胞の生存状態や機能等を維持することができるよう、必要な塩類や栄養成分等を適切な濃度で含む水溶液であれば任意の組成のものを用いることができる。具体定期に、例えば、この培養液としては、ダルベッコ改変イーグル培地(Dulvecco’s Modified Eagle’s Medium:DMEM)等の基礎培地に、増殖因子や抗生物質等を添加した培養培地や、いわゆる生理的食塩水等を好ましく用いることができる。
この培養工程において、図1に示す細胞接着性領域3aとして形成された領域および各隣接領域に接着することにより保持された細胞、および図2に示す細胞接着性領域3aとして形成された特定領域および各隣接領域に接着することにより保持された細胞は、培養時間の経過に伴って、当該特定領域および各隣接領域で次第に重なり合い、三次元的に集合して、立体的な組織体を形成する。すなわち、細胞接着性の表面領域3aに係る特定領域および各隣接領域に接着した細胞は、例えば、まず当該特定領域および当該各隣接領域で二次元的に増殖し、その後、さらに互いに積み重なるように三次元的に増殖することにより、所定の厚みを持った組織体を形成する。
この特定領域および各隣接領域で形成される組織体のサイズは、当該組織体に含まれる細胞が増殖することによって、培養時間の経過に伴い増加し得る。しかしながら、本方法においては,少なくとも特定領域に形成された組織体のサイズは、当該特定領域と各隣接領域との重心間隔に応じた一定値に維持される。すなわち、例えば、培養工程において特定領域で形成される組織体のサイズは、培養開始後、所定の期間内は次第に増加するが、当該特定領域と各隣接領域との重心間隔によって規定される所定値に到達した後は、その増加が制限されて、その後の培養器官を通じて当該所定値に維持される。
したがって、例えば、準備工程において、重心間隔が第一の値である領域セットが形成された第一の多孔質フイルム表面と、重心間隔が当該第一の値の所定倍である第二の多孔質フイルム表面とを準備した場合には、培養工程において、第二の多孔質フイルム表面の特定領域には、第一の多孔質フイルム表面の特定領域に形成される組織体のサイズの当該所定倍のサイズの組織体を形成できる。具体的に、例えば、準備工程において、図4Aに示す第一の領域セット20が形成された第一の多孔質フイルム表面と、図4Bを示す第二の領域セット30が形成された第二の表面とを準備した場合には、培養工程において、当該第二の領域セット30に含まれる第二の特定領域31に形成される組織体のサイズの、当該第一の領域セット20に含まれる第一の特定領域21に形成される組織体のサイズに対する比率は、当該第二の領域セット20の重心間隔L2に対する比率とほぼ等しくなる。
なお、組織体のサイズとは、例えば、当該組織体の外形を多孔質フイルム表面に投影した場合の形状の代表長さや、多孔質フイルム表面における組織体の厚みである。すなわち、例えば、組織体がほぼ球形状である場合(組織体が細胞接着性の表面領域3aに接着したドーム状またはほぼ球形状である場合、組織体が細胞非接着性の表面領域4aで培養液中に浮遊したほぼ球形状である場合を含む)には、当該組織体のサイズは、当該組織体の外形を多孔質フイルム表面に投影した円形状の直径である。このようなほぼ球形状の組織体は、細胞接着性の表面領域3aの形状に関わらず形成できるが、円形状または多角形状の表面領域3aで好ましく形成でき、特に円形状の表面領域3aで好ましく形成できる。また、例えば、組織体の外形を多孔質フイルム表面に投影した形状が楕円体である場合には、当該組織体のサイズは、当該楕円体の長軸又は短軸である。また、例えば、組織体が多孔質フイルム表面に沿ってひも状に延びる場合には、当該ひも状の組織体のサイズは、その長軸方法の長さである。また、例えば、組織体が半球形状等のドーム状である場合には、当該組織体のサイズは、当該組織体の外形を多孔質フイルム表面に投影した円形状の直径または当該多孔質フイルム表面に盛り上がったドーム形状の厚みである。
また、本方法は、準備工程で準備する多孔質フイルム表面の重心間隔と、培養工程で形成される組織体のサイズとの相関関係を示す検量を取得する工程(以下、「データ取得工程」という)を含むこととしてもよい。このデータ取得工程においては、まず培養工程で形成された組織体のサイズを測定する。すなわち、例えば、位相差顕微鏡、蛍光顕微鏡、電子顕微鏡等を用いて、多孔質フイルム表面で形成された組織体を撮影した画像を取得し、当該画像を所定の画像解析ソフトウェアを備えたコンピュータ上で解析することにより、当該組織体のサイズを定量的に測定する。
そして、このデータ取得工程においては、測定された組織体のサイズと、当該組織体が形成された特定領域と各隣接領域との重心間隔とを関連付けた検量データを作成する。すなわち、例えば、図4Aに示す第一特定領域21で第一の直径の球状組織体が形成され、図4Bに示す第二の特定領域31では当該第一の直径と、当該第一の特定領域21に係る第一の重心間隔L2とを関係付けるとともに、当該第二の直径と、当該第二の特定領域31にかかる第二の重心間隔L3とを関連付ける。
この検量データは、例えば所定のサイズの組織体を形成するために設定すべき重心間隔を規定するデータである。すなわち、この検量データは、例えば、組織体のサイズと、当該サイズの組織体を形成するための重心間隔とを互いに対応付けたデータテーブルや関数等である。
また、本方法は、検量データ取得工程において取得された検量データに基づいて、所望のサイズの組織体を形成させるための重心間隔を決定する工程(以下、「決定工程」という)を含むこととしてもよい。この決定工程においては、例えば、既に取得されている検量データによって規定される組織体のサイズと重心間隔との相関関係から、所望のサイズに関連付けられている重心間隔を決定する。すなわち、例えば、検量データにおいて、図4Aで示す第一の特定領域21に係る第一の重心間隔を当該第一の重心間隔L2に決定する。この場合、準備工程において、各隣接領域との重心間隔が決定工程で決定された第一の重心間隔L2である特定領域を含む領域セットが複数形成された多孔質フイルム表面を準備する。そして、培養工程において、特定領域および各隣接領域のそれぞれで増殖性の細胞を培養することによって、当該特定領域に、そのサイズが第一のサイズに制御された複数の組織体を形成できる。
また、例えば、組織体のサイズと重心間隔との比例関係を規定する検量データが取得されている場合には、決定工程において、当該比例関係を規定する関係式に基づいて、所望のサイズに対応する重心間隔を決定できる。また、所望のサイズの組織体を形成するための重心間隔が、既に取得されている検量データを基づいて決定できない場合には、例えば、上述のように、重心間隔が互いに異なる複数の領域セットの各特定領域で組織体を形成することにより、当該所望サイズの組織体を形成するための重心間隔をスクリーニングする。そして、決定工程では、このスクリーニングにおけるデータ取得工程において得られた検量データに基づいて、所望のサイズの組織体が形成された領域セットの重心間隔を当該所望のサイズに対応する重心間隔として決定する。
なお、本方法においては重心間隔が互いに異なる複数の多孔質フイルム表面について一度に各工程を実施してもよいし、または、重心間隔が互いに異なる複数の多孔質フイルム表面のうち、各重心間隔の多孔質フイルム表面にについて各工程を繰り返してもよい。すなわち、例えば、第一の重心間隔の第一の多孔質フイルム表面を準備して、当該第一の多孔質フイルム表面で組織体を形成させる第一のサイクルを実施した後、当該第一の重心間隔とは異なる第二の重心間隔の第二の多孔質フイルム表面を準備して、当該第二の多孔質フイルム表面で組織体を形成させる第二のサイクルをさらに実施することとしてもよい。
また、本実施形態に係る組織体形成キット(以下、「本キット」という)は、重心間隔が第一の距離となるよう特定領域および複数の隣接領域が形成された第一の多孔質フイルムと、重心間隔が当該第一の距離と異なる第二の距離となるよう特定領域および複数の隣接領域が形成された第二の多孔質フイルムと、を含む。すなわち、本キットは重心間隔が互いに異なる複数の領域セットのうち、互いに異なるいずれか一つの領域セットが毛製された複数の多孔質フイルム表面を含む。具体的に、例えば、本キットは図4Aに示す第一の領域セット20が形成された第一の多孔質フイルム表面と、図4Bに示す第二の領域セット30が形成された第二の多孔質フイルム表面と、図4Cに示す第三の領域セット40が形成された第三の多孔質フイルム表面とを含む。
本キットは、領域セットの重心間隔が互いに異なる複数の多孔質フイルムを、一つの多孔質フイルムのうち互いに異なる部分として含むこととしても良い。すなわち、本キットに含まれる、領域セットの重心間隔が互いに異なる複数の多孔質フイルム表面の各々は、一つの多孔質フイルムの表面のうち、互いに異なる部分であってもよい。具体的に、例えば、本キットに含まれる多孔質フイルムの表面の一部には、図4Aに示す第一の領域セット20が少なくとも一つ形成され、当該表面のさらに他の一部には、図4Bに示す第二の領域セット30が少なくとも一つ形成され、当該表面のさらに他の一部には、図4Cに示す第三の領域セット40が少なくとも一つが互いに異なる表面部分に形成された多孔質フイルムを、複数含むこととしてもよい。
また、本キットに含まれる、形成されている領域セットの重心間隔が互いに異なる複数の多孔質フイルム表面の各々は、互いの別体に成形された複数の多孔質フイルムの各々の表面であってもよい。すなわち、この場合、例えば、本キットは、図4Aに示す第一の領域セット20が少なくとも一つ形成された表面を有する第一の多孔質フイルムと、当該第一の多孔質フイルムとは別体に成形され、図4Bに示す第二の領域セット30が少なくとも一つ形成された表面を有する第二の多孔質フイルムと、当該第一の多孔質フイルムおよび当該第二の多孔質フイルムとは別体に成形され、図4Cに示す第三の領域セット40が少なくとも一つ形成された表面を有する第三の多孔質フイルムとを含むこととなる。
そして、本キットに含まれる複数の多孔質フイルム表面に形成された特定領域および書く隣接領域において増殖性の細胞を培養することによって、当該各多孔質フイルム表面の特定領域に、当該各機材表面の重心間隔によって規定されるサイズの組織体を形成させることができる。すなわち、上述のように、例えば、本キットが、重心間隔が複数の多孔質フイルム表面間で規則的に変化するよう、当該複数の多孔質フイルム表面を含む場合には、当該複数の多孔質フイルム表面の各々の特定領域に形成される組織体のサイズは、当該複数の多孔質フイルム表面間で、当該重心間隔に応じて規則的に変化することとなる。具体的に、例えば、本キットが、図4Aに示す第一の領域セット20が形成された第一の多孔質フイルム表面と、図4Bに示す第二の領域セット30が形成された第二の多孔質フイルム表面と、図4Cに示す第三の領域セット40が形成された第三の多孔質フイルム表面とを含み、当該第一の領域セット20の中心間隔L2、当該第二の領域セット30の中心間隔L3、当該第三の領域セット40の中心間隔L4が一定の割合で順次増加する場合には、当該第一領域セット20に形成される第一の組織体、当該第二の領域セット30で形成さえる第二の組織体、当該第三の領域セット40で形成される第三の組織体のサイズもまた、当該一定の割合で順次増加するものとすることができる。
したがって、本キットによれば、例えば、各多孔質フイルム方面に、その重心間隔に応じて制御されたサイズの組織体が規則的かつ高密度に配置された組織体アレイチップを得ることができる。そして、このような組織体アレイチップを用いることにより、例えば、細胞の薬剤に対する応答性(感受性、毒性等)と、当該細胞から形成された組織体のサイズとの相関関係を簡便かつ長時間にわたって精度よく検討することができる。具体的に、例えば、本キットの多孔質フイルム上に癌由来細胞からなり、重心間隔に応じてサイズが一定の割合で変化する複数の組織を形成させ、抗癌剤を含む培養液中における当該組織の応答性(各組織に含まれる細胞の増殖速度、生存率、形態の変化等)を測定することにより、生体における腫瘍塊のサイズと、当該抗癌剤の薬効との相関関係を適切に予測評価することができる。
本発明の組織体形成キットの他の適用態様について述べれば、例えば、本キットによれば、所望のサイズの組織体を形成するための重心間隔を簡便かつ正確にスクリーニングできる。また、本キットにおける多孔質フイルムの細胞接着性の表面領域に組織体を接着させた状態で保持することができる。さらに、本キットに含まれる多孔質フィルムを回収してシート試料として扱うこともできる。多孔質フィルムは従来セルチップに比較して相対的に細胞接着性が低いので、各表面領域で形成された組織体は溶液中に浮遊させることにより容易に回収して取り扱うことも可能である。
さらに、発明者らは、多孔質フィルムを基材として用いることにより、初めて細胞播種側の多孔質フィルム表面のみならず、細胞播種反対側の多孔質フィルム表面にもスフェロイドが形成できることを本発明に関わる検討を通じて見出した。即ち、図14(A)、図14(B)の模式図に示すように、多孔質フィルム孔径と培養しようとする細胞の大きさとの関係を制御することにより、当該多孔質フィルムの片面のみならず、両面、即ち、播種反対面にも選択的にスフェロイド形成を促すことができることを見出した。このことにより、培養環境の異方性に関する研究や共培養システムの開発などにも本発明の組織体形成キットを応用しうるものであり、その応用範囲は広い。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<多孔質フィルムの作製>
ポリ(ε―カプロラクトン)(PCL、Wako製 重量平均分子量 70,000から100,000)と両親媒性ポリアクリルアミドポリマー(下記構造、重量平均分子量 49,000)を重量比10:1で0.5mg/mLとなるように塩化メチレンに溶解した。この溶液をガラスシャーレ(Φ90)上にキャストし、相対湿度80%の雰囲気下で塩化メチレンを蒸発させることで、開孔径7〜15μmのフィルム表裏面で貫通した孔がハニカム状に配置された貫通型ハニカム状多孔質フィルムAを得た。
得られた貫通型ハニカム状フィルムAの構造を電界放出走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー社製、S4300)で観察したところ、平面視によれば、平均開孔径11μmの空孔同士がヘキサゴナル状に規則配列したハニカム状構造を確認できた。隣接する空孔の中心間の間隔は、ほぼ16μm前後であった。空孔は膜の表面から裏面へ単―層を形成しており、個々の空孔は球形状で、隣接空孔同士が互いに連通した構造であった。また、空孔の上下面は何れも開孔しており、フィルムの表裏面が貢通している構造であった。空孔はキャストした周辺の一部を除き、ほぼ全面にわたって分布していた。
<比較例1用の多孔質フィルムの作製>
また比較試料として、以下のフィルムを作製した。
直径10μm、高さ15μmの円柱が、隣接する円柱同士の中心間距離15μm間隔でヘキサゴナル状に規則配列した平板金型(サイズ20mm×20mm)を作製し、前記フラットフィルムに40℃に保温しながら前記平板金型を0.1Paの荷重で30秒間押し当て、前記金型から剥がすことで、表面に直径約10μm、深さ約15μmの有底キャビティ(非貫通空孔)が中心間距離約15μmでヘキサゴナル状に配置された非貫通型ハニカム状フィルムBを得た。
<組織体形成キットの作製>
ポリメチルメタクリレート(Poly Methyl MethAcrylate:PMMA)製の平板(24mm×24mm、厚さ400μm)を保持材5bとして用い、図2に示すような組成体形成キットAを作製した。すなわち、キャビティ100の底面が細胞接着性領域3aおよび細胞非接着性領域4bからなる六角セットが複数形成された多孔質フィルムからなるプレキットAを作製した。
具体的に、このポリメチルメタクリレート平板の表面の一部に、10mm角の矩形範囲にわたって、マシニングセンタ(卓上型NC微細加工機、株式会社ピーエムティー製)を用いた穿孔加工処理を施すことにより、直径300μmの円形状が、隣接孔中心間距離が400μmで規則的に配置して貫通孔を作製した(保持材A)。
次に前記、貫通型ハニカム状多孔質フィルムAと保持材Aを熱圧着して固定し、プレキットAを得た。
次にこの貫通型ハニカム状多孔質フィルムを固定したプレキットAの表面全体(保持材A面側)に、スパッタリング装置(E−1030、日立株式会社)を用いて、厚さ9nmのプラチナ(Pt)薄膜を形成した。一方、直径が100μmであって、長さが200μmの円筒状突起を複数有するポリジメチルシロキサン(Poly(Dimethyl Siloxane):PDMS)製のスタンプをモールド成形により作製した。すなわち、10mm×10mmの矩形範囲に、六角セットの各表面領域の位置に対応して、その先端の直径100μmの円筒断面の中心間距離が、400μmとなるようスタンプを作製した。
そして、前記スタンプを用いてマイクロコンタクトプリンティング法により多孔質フイルム表面に細胞接着性領域3aを作製した。すなわち、各表面領域に固定する細胞接着物質として準備したコラーゲン(Cellmatrix、新田ゼラチン株式会社)を1.5mg/mLの濃度で含むコラーゲン溶液を調製し、前記スタンプの円筒状突起の先端を前記コラーゲン溶液に浸すことにより、前記円筒状突起の円形先端面に前記コラーゲン溶液を塗布した。そして、スタンプの円筒状突起の先端を、上記プラチナが蒸着された多孔質フイルム表面に押し当てることにより、前記円筒状突起の先端に塗布されていたコラーゲン溶液を前記多孔質フイルム表面に塗布した。さらに、この多孔質フイルム表面に塗布したコラーゲン溶液を窒素雰囲気下において乾燥させることにより、スタンプの円筒状突起の先端に対応した位置に、コラーゲンが固定された細胞接着性領域3aを形成した。すなわち、直径300μmの各マイクロキャビティの中心にそれぞれ直径100μmのコラーゲンが設置された。
また、多孔質フイルム表面のうち、表面領域以外の部分3bには、次のようにして細胞非接着性物質を固定した。すなわち、各表面領域を囲む表面に固定する細胞非接着性物質として、重量平均分子量30,000のポリエチレングリコール(PEG)鎖とチオール基を有する合成高分子(下記構造:日本油脂株式会社)を準備した。
そして、上述のように表面領域を形成した多孔質フイルム表面を、この細胞非接着性物質を5mMの濃度で含むエタノール溶液中に浸漬し、窒素雰囲気下において当該細胞非接着性物質のチオール基と、多孔質フイルム表面に形成したプラチナ薄膜のうち露出している部分(すなわち、多孔質フイルム表面のうち表面領域以外の部分)との間に特異的な化学結合を形成させることにより、当該プラチナ薄膜表面に当該細胞非接着性物質を固定した。その後、窒素雰囲気下において、この細胞非接着性物質を固定した多孔質フイルム表面を十分に乾燥させ、次いで、当該多孔質フイルム表面を、70%エタノール中に浸漬することにより、余剰の細胞非接着物質を当該多孔質フイルム表面から除去するとともに、当該多孔質フイルム表面を滅菌した。
次に初代ラット肝細胞の調製、および培養を以下のように行った。
まず、初代ラット肝細胞を調製するために0.5mg/mLのコラゲナーゼ(和光純薬工業社製)溶液150mLを用意した。7週齢の雄ウィスター系ラット(体重250g)の門脈(肝臓に入る血管)にカニューレを導入し、脱血液を30mL/minで5分間流した後、37℃に加温したコラゲナーゼ溶液を15mL/minで10分間流した。コラゲナーゼによって処理された肝臓を培養液に入れ、メスとピペットを使って肝細胞を分散させた。得られた肝細胞懸濁液を3回洗浄し、肝細胞以外の細胞を取り除いた(95%以上の純度)。このようにして単離した肝細胞を以下の培養実験の種細胞として使用した。
肝細胞の培養には、ダルベッコ改変イーグル培地(ギブコ社製:dulbecco’s modified eagle medium)13.5g/Lに、60mg/Lプロリン、50mg/mL上皮細胞成長因子(フナコシ社製:EGF)、10mg/Lインシュリン(シグマ社製)、7.5mg/Lヒドロコルチゾン(和光純薬工業社製)、0.1μM硫酸銅・5水和物(和光純薬工業社製)、3μg/Lセレン酸(和光純薬工業社製)、50pM硫酸亜鉛・7水和物(和光純薬工業社製)、50μg/Lリノール酸(シグマ社製)、58.8mg/Lペニシリン(明治製菓社製)、100mg/Lストレプトマイシン(明治製菓社製)、1.05g/L炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業社製)、1.19g/Lの2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸(同人堂社製:HEPES、2−[4−(2−hydroxyethyl)−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid)を加えた無血清培地を用いた。なお、本実験系においてラット肝細胞は増殖しない。
ポリスチレン製の培養容器(直径35mm、ファルコン社製)の底部に上記滅菌処理後の前記各組織体形成キットAを載置し、当該培養容器内の当該組織体形成キットの表面に、1.7×10個のラット肝細胞を播種した。培養は、5%炭酸ガス、95%大気の雰囲気下で行い、上記2mLの新鮮培地を用い、2日毎に培地交換を行った。
得られた肝細胞の培養状態を評価するために、培養の各期間において、位相差顕微鏡による細胞形態を観察した。また、スフェロイドが形成された条件においてはその粒径を測定し、スフェロイド粒径分布を評価した。ここで、スフェロイド粒径の測定は、画像解析ソフトWinROOF(三谷商事社製)を用い、1条件当たり100個のスフェロイド粒径を測定し、粒径分布を求めた。培養初期に分散状態であった細胞が徐々に集合化し、細胞同士が結合、凝集化して三次元的な細胞集合体であるスフェロイドを形成することを確認した。
培養7日目に肝細胞の機能であるアルブミン分泌能を以下の方法にて評価した。培養培地中に分泌されたアルブミンを酵素標識免疫測定法により定量し、単位細胞数あたりのアルブミン分泌速度(μg/10cells/day)に換算した。細胞数の測定は、DNA−DAPI (4, 6−diaminodino−2−phenylindole、和光純薬工業社製)蛍光法を用いた。すなわち、一定細胞から抽出したDNAとDNA−DAPIの蛍光強度間の検量線を作製し、この関係をもとに培養した細胞の細胞数を算出した。この細胞数をもとに、上記の細胞(10Cells)当たりのアルブミン分泌速度を算出した。
(比較例1)
また、比較用試料として貫通型多孔質フィルムAの代わりに前記のようにして得られた非貫通型フラットフィルムBを用いた以外はまったく同じ方法で作製した組織体形成キットBを使って同様の実験を行った。
図8(A)に形成されたラット肝細胞スフェロイドの形態、図9にスフェロイド粒径の変化、図10にラット肝細胞のアルブミン分泌活性の結果を示す。組成体形成キットA上においてラット肝細胞は規則的に配列したスフェロイドを形成し〔図8(A)参照〕、その粒径は一定に維持された(図9)。また、図10より、本発明の組織体形成法は、多孔質フィルムを用いない場合に比べてスフェロイド培養した肝細胞のアルブミン分泌活性が高いことが示された。
(実施例2)
増殖性の細胞として、ヒト肝芽腫由来の細胞株であるHepG2細胞(RCB1648、理化学研究所セルバンク)を用いた。また、培養液としては、ウィリアムズE培地(Williams’s Medium E、シグマ社製)10.8g/Lに、58.8mg/Lのペニシリン(明治製菓社製)、100mg/Lのストレプトマイシン(明治製菓社製)、2.2g/Lの炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業社製)、10%の牛胎児血清(FBS、インビトロジェン社製)、を加えた血清添加培養液を調製して用いた。
ポリスチレン製の培養容器(直径35mm、ファルコン社製)の底部に上記滅菌処理後の前記各組織体形成キットAを載置し、当該培養容器内の当該組織体形成キットの表面に、1.0×10個のHepG2細胞を播種した。培養は、5%炭酸ガス、95%大気の雰囲気下で行い、上記2mLの新鮮培地を用い、2日毎に培地交換を行った。
上記の点以外は、実施例1と同じ方法にて培養および評価実験を実施した。また、上記の点以外は、比較例1と同じ方法にて比較用の培養および評価実験を実施した。
図8(B)に形成されたHepG2スフェロイドの形態、図9にスフェロイド粒径の変化、図11にHepG2細胞のアルブミン分泌活性の結果を示す。組成体形成キットA上においてHepG2細胞は規則的に配列したスフェロイドを形成した〔図8(B)参照〕。また、培養初期は細胞の増殖に伴ってスフェロイド粒径が増加するが、培養10日目以降は一定に維持された(図9)。さらに、図11より、本発明の組織体形成法は、多孔質フィルムを用いない場合に比べてスフェロイド培養したHepG2細胞のアルブミン分泌活性が高いことがわかった。
(実施例3)
増殖性の細胞として、ヒト肝ガン由来細胞株のHuH7細胞(RCB1366、理化学研究所セルバンク)を用いた以外は(実施例2)と同じ方法にて培養および評価実験を実施した。また、上記の点以外は(比較例2)と同じ方法にて比較用の培養および評価実験を行った。
図8(C)に形成されたHuH7スフェロイドの形態、図9にスフェロイド粒径の変化、図12にHuH7細胞のアルブミン分泌活性の結果を示す。組成体形成キットA上においてHuH7細胞は規則的に配列したスフェロイドを形成した〔図8(C)参照〕。また、培養初期は細胞の増殖に伴ってスフェロイド粒径が増加するが、培養10日目以降は一定に維持された(図9)。さらに、図12より、本発明の組織体形成法は、多孔質フィルムを用いない場合に比べてスフェロイド培養したHuH7細胞のアルブミン分泌活性が高いことがわかった。
(実施例4)
膵臓系の増殖性細胞として、ラットランゲルハンス島由来の細胞株であるRIN−5F細胞(大日本住友製薬社)を用いた。また、培養液としては、RPMI−1640培地(シグマ社製)8.4g/Lに、58.8mg/Lのペニシリン(明治製菓社製)、100mg/Lのストレプトマイシン(明治製菓社製)、2.2g/Lの炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業社製)、10%の牛胎児血清(FBS、インビトロジェン社製)、を加えた血清添加培養液を調製して用いた。実施例1と同じ方法にて細胞形態およびスフェロイド粒径の変化を評価した。
図8(D)に形成されたRIN−5Fスフェロイドの形態、図9にスフェロイド粒径の変化を示す。組成体形成キットA上においてRIN−5F細胞は規則的に配列したスフェロイドを形成した〔図8(D)参照〕。また、培養初期は細胞の増殖に伴ってスフェロイド粒径が増加するが、培養10日目以降は一定に維持されることが示された(図9)。
(実施例5)
未分化細胞として、マウスES細胞株である129SV細胞(大日本住友製薬社)を用いた。また、培養液としては、ES細胞用培地(大日本住友製薬社)を用いた。実施例1と同じ方法にて細胞形態およびスフェロイド粒径の変化を評価した。
図8(E)に形成されたマウスESスフェロイドの形態、図9にスフェロイド粒径の変化を示す。組成体形成キットA上においてマウスES細胞は規則的に配列したスフェロイドを形成した〔図8(E)参照〕。また、培養初期は細胞の増殖に伴ってスフェロイド粒径が増加するが、培養5日目以降は一定に維持されることが示された(図9)。
(実施例6)
ポリメチルメタクリレート(Poly Methyl MethAcrylate:PMMA)製の平板(24mm×24mm、厚さ400μm)を保持材5aとして用い、図1に示すようなプレキットCを作製した。すなわち、5mm×5mmのサイズで格子状に打ち抜き、実施例1と同じ方法で作製した多孔質フィルムを熱圧着した。多孔質フィルムの表面に細胞接着性領域3aを以下のように形成しうる六角セットが複数形成されたプレキットCを作製した。
このプレキットCにおいては、多孔質フィルム1は、保持材5aの高さ方向の中興近傍に固定化されることにより、多孔質フィルム1の裏面に空間が形成されるように保持される。
まず、プレキットCの表面に、実施例1と同じ方法でプラチナ薄膜の設置を行った。さらに、実施例1におけるのと同じ方法で作製したスタンプを用い、直径100μm、中心点の位置が、6つの隣接領域の中心点を結んで形成される正六角形の重心点の位置と一致するようにコラーゲン塗布を行うことにより細胞接着性領域3aを形成し、組織体形成キットCを作製した。
組織体形成キットAの代わりに組織体形成キットCを用いる以外は、実施例2と同じ方法にてHepG2の培養実験を行い位相差顕微鏡にてスフェロイド形成状態を観察した。この顕微鏡写真を図13(A)、(B)に示す。
また、このときのスフェロイド50の形成状態を図14の模式図で示す。HepG2の細胞径は約10μmであるが、図14(A)に示すように、多孔質フィルム1として孔径が細胞径よりも小さいものを使用している場合には、細胞播種側の多孔質フィルム1表面2および細胞播種反対側の多孔質フィルム表面(裏面)の両面にスフェロイド50が形成された。このときの表面(細胞播種面)におけるスフェロイド形成状態を図13(A)に示す。
このとき、多孔質フィルム1を、その孔径が細胞径よりも大きいものを用いて同様の培養を行った場合を図14(B)に示す。このときの表面(細胞播種面)におけるスフェロイド形成状態を図13(B)に示す。この場合には、細胞播種した多孔質フィルム1表面2ではなく、その反対側の多孔質フィルム表面(裏面)上にスフェロイド50が形成された。これらの結果は、多孔質フィルム孔径によってスフェロイド50の形成方向を制御できることを示し、培養環境の異方性に関する研究や共培養システムへの応用が可能である。
本発明の組織体形成法は、増殖性の細胞の培養においてもサイズの増加を抑制された三次元組織体を形成でき、かつ代謝性の高い増殖細胞を長期にわたって細胞機能保持し得る効率的な三次元組織体形成法を提供できる。このため精度の高く効率的な増殖性細胞の三次元培養研究用キットを提供し、さらには生体の挙動を再現するシミュレータ、薬品開発における動物実験の代替技術、細胞移植による再生医療技術等への応用が可能である。
多孔質フィルムの周囲を枠状の保持材で保持してなる本発明の組織体形成キットの一態様を示す斜視図である。 多孔質フィルムに有孔保持材を積層してなる本発明の組織体形成法の他の態様を示す斜視図及びそこに形成された細胞接着性領域を有するキャビティの部分拡大図である。 本実施形態に係る組織体形成法において用いられる領域セットの一例についての説明図である。 本実施形態に係る組織体形成法において用いられる、重心間隔が互いに異なる複数の領域セットの一例についての説明図である。 本実施形態に係る組織体形成法において用いられる領域セットが形成された多孔質フィルム表面の一例についての説明図である。 本実施形態に係る組織体形成法において用いられる領域セットの他の例についての説明図である。 本実施形態に係る組織体形成法において用いられる領域セットのさらに他の例についての説明図である。 (A)〜(E)実施例1乃至実施例5において形成されたスフェロイドの形態を示す光学顕微鏡写真である。 実施例1乃至実施例5において形成されたスフェロイド粒径の経時変化を表したものである。 実施例1および比較例1において形成された組織体のアルブミン分泌活性を示すグラフである。 実施例2および比較例2において形成された組織体のアルブミン分泌活性を示すグラフである。 実施例3および比較例3において形成された組織体のアルブミン分泌活性を示すグラフである。 (A),(B)実施例6において形成された組織体の光学顕微鏡写真である。 (A)、(B)実施例6において形成された組織体の形成状況を示す模式図である。
符号の説明
1 多孔質フィルム
2 多孔質フィルム表面
3a 細胞接着性領域
4a、4b 細胞接着性領域周辺に位置する細胞非接着性領域
5a、5b 保持材
10 領域セット表面
50 組織体(スフェロイド)
100 キャビティ

Claims (10)

  1. 増殖性の細胞を含む三次元組織体の形成に用いる組織体形成用基材であって、
    貫通孔を有する多孔質フィルム表面に、細胞を保持しうる細胞接着性領域が、その周縁部が細胞非接着性領域となるように配置されてなる組織体形成用基材。
  2. 前記細胞接着性領域が複数個、隣接する細胞接着性領域との間に所定の間隔を介して配置されてなり、前記細胞非接着性領域が連続領域を形成してなる請求項1に記載の組織体形成用基材。
  3. 前記貫通孔を有する多孔質フィルムが、孔径0.01μm〜100μmの空孔が互いに連通するように形成されてなる多孔質フィルムからなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の組織体形成用基材。
  4. 前記貫通孔を有する多孔質フィルムが、三次元網目構造を有する多孔質フィルムであることを特徴とする請求項3に記載の組織体形成用基材。
  5. 前記多孔質フィルムが、有機溶媒と高分子化合物を含む液を支持体上にキャストして製膜することで形成された、膜中に空隙が形成された多孔質フィルムからなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の組織体形成用基材。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の組織体形成用基材を枠体で保持してなることを特徴とする、増殖性の細胞を含む三次元組織体の形成に用いる組織体形成キット。
  7. 前記枠体が、前記組織体形成用基材表面に形成された細胞接着性領域を分画するための、組織体形成用基材表面に垂直方向に設置された仕切りを有する枠体であることを特徴とする請求項6に記載の組織体形成キット。
  8. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の組織体形成用基材を準備する基材準備工程と、該組織体形成用基材表面に増殖性の細胞を播種し、培養、増殖させて三次元組織体を形成させる培養工程とを含むことを特徴とする組織体形成法。
  9. 前記多孔質フィルムの播種面の裏面に、さらに、三次元組織体を形成させることを特徴とする請求項7に記載の組織体形成法。
  10. 請求項8又は請求項9に記載の組織体形成法により増殖性の細胞を培養して得られる三次元組織体。
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