JP2008177296A - 半導体装置、pnダイオード、igbt、及びそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】不純物を導入した半導体領域と所定範囲B1に結晶欠陥を形成した結晶欠陥領域とを備えている半導体装置10aを製造する方法であって、半導体基板を熱処理することによって前記所定範囲に含まれている不純物の少なくとも一部を半導体基板外に排出する排出工程S2と、排出工程S2を実施した半導体基板に不純物を導入して半導体領域を形成する導入工程S4〜S10と、排出工程S2を実施した半導体基板の前記所定範囲B1に荷電粒子を打ち込むことによって前記所定範囲B1に結晶欠陥を形成する打ち込み工程S14を備えている。
【選択図】図4
Description
また、バイポーラトランジスタであるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)においても、荷電粒子を打ち込むことによってドリフト領域内に結晶欠陥を形成し、それによってターンオフ時間を短縮化する技術が知られている。
上記に例示したように、半導体装置(例えば、PNダイオードやIGBT等)を構成する半導体結晶中に意図的に結晶欠陥を形成することによって、半導体装置の特性を調節する技術が知られている。
なお半導体結晶中には、結晶の成長時(結晶のインゴットの製造時)等に意図せずに形成された結晶欠陥が存在している。意図せず形成された結晶欠陥と、荷電粒子等を打ち込むことによって意図的に形成した結晶欠陥とを区別するため、以下の説明では、意図的に形成した結晶欠陥のことを形成欠陥という。
混入不純物が含まれている半導体結晶中に荷電粒子を打ち込むと、概して2種類の形成欠陥が形成される。すなわち、半導体結晶中の格子点(サイト)に原子が存在しない空孔型の欠陥と、半導体結晶中の混入不純物により形成される格子間型の欠陥が形成される。
例えば、炭素と酸素が混入しているシリコンの結晶中に荷電粒子を打ち込むと、以下の反応が起こる。まず、荷電粒子の打ち込みにより、格子点に存在していたシリコンが格子間位置にはじき出され、格子点に空孔が形成される。これによって、結晶中に多数の空孔型欠陥と格子間シリコンが生成される。生成された空孔型の欠陥は、他の空孔型の欠陥と所定の位置関係をとると安定な状態となる。これにより、2つの空孔型の欠陥により構成されるVV欠陥が形成される。また、格子間位置にはじき出されたシリコンは、結晶中の格子点に存在していた炭素と位置が入れ替わる。すなわち、格子点にあった炭素が格子間位置に移動し、格子間位置にあったシリコンが格子点に移動する。格子間位置にはじき出された炭素は、結晶中の格子間位置に存在している酸素と所定の位置関係をとると安定な状態となる。これにより、格子間位置の炭素と格子間位置の酸素によって構成されるCiOi欠陥が形成される。
なお、上述したように、本発明において「ドーパント不純物」とは半導体結晶中に意図的に導入した不純物を意味し、「混入不純物」とは半導体結晶中に意図せずに混入した不純物を意味する。
この製造方法では、不純物を導入する工程と荷電粒子を打ち込む工程を実施する前に、排出工程を実施する。排出工程では、半導体基板を熱処理する。半導体基板を熱処理すると、熱拡散によって半導体基板に含まれている不純物(混入不純物)の少なくとも一部が半導体基板外に排出され、混入不純物の濃度が低下する。排出工程の実施後に、結晶欠陥を形成する工程を実施する。結晶欠陥を形成する工程では、荷電粒子を打ち込む。このとき、排出工程で混入不純物の濃度が低下した範囲に荷電粒子を打ち込む。混入不純物の濃度が低下した範囲に荷電粒子を打ち込むと、混入不純物による形成欠陥が形成され難い。すなわち、この製造方法によると、形成される結晶欠陥(形成欠陥)の大部分が空孔型の欠陥となる。上述したように、空孔型の欠陥の形成量は、荷電粒子を打ち込む量によって正確に制御することができる。したがって、この製造方法によれば、半導体基板に含まれていた混入不純物の濃度のばらつきにもかかわらず、形成される結晶欠陥(形成欠陥)の量を安定化することができる。半導体装置毎の特性のばらつきが少ない半導体装置群を量産することができる。
ドーパント不純物を導入する工程と、荷電粒子を打ち込む工程の前後関係は制約されない。前者を先に実施すれば、荷電粒子を打ち込む工程を実行する際にドーパント不純物が存在しているが、ドーパント不純物の導入量はコントロールされており、半導体基板毎にばらつくことが少ない。また、ドーパント不純物は結晶欠陥の形成にあまり関与しない。
排出工程では、半導体基板を熱処理することによって結晶欠陥領域を形成する範囲に含まれている炭素と酸素の少なくとも一方の濃度を低下させる。排出工程の実施後に、結晶欠陥形成工程を実施する。このとき、結晶欠陥領域を形成する範囲では、炭素と酸素の少なくとも一方の濃度が低下している。炭素と酸素と少なくとも一方の濃度が低下していると、炭素と酸素が組み合わさって形成されるCiOi欠陥が形成され難い。したがって、この製造方法によると、荷電粒子の打ち込み工程で形成される形成欠陥の多くが空孔型の欠陥となる。この製造方法によっても、形成欠陥の量を正確に制御することができ、ばらつきの少ない半導体装置群を量産することができる。
この製造方法によれば、形成欠陥の量を正確に制御することができ、ばらつきの少ないPNダイオード群を量産することができる。
この製造方法によれば、形成欠陥の量を正確に制御することができ、ばらつきの少ないIGBT群を量産することができる。
この製造方法によっても、ばらつきの少ないPNダイオード群を量産することができる。
この製造方法によっても、ばらつきの少ないIGBT群を量産することができる。
「結晶欠陥の実質的な全部が、炭素と酸素の少なくとも一方の濃度が減少している範囲内に存在している」とは、具体的には、「結晶欠陥(形成欠陥)のうち99.7%以上が前記範囲内に存在している」ことを意味する。半導体基板の目標位置(深さ)に荷電粒子を打ち込むと、形成欠陥はその目標位置(深さ)を中心とした正規分布にしたがって存在することとなる。したがって、前記範囲内に目標位置(深さ)を設定して荷電粒子を打ち込むと、形成欠陥の一部が前記範囲外に分布することがある。しかしながら、99.7%以上の形成欠陥が前記範囲内に存在していれば、前記範囲外に存在する0.3%未満の形成欠陥が半導体装置の特性に与える影響は無視できる。したがって、形成欠陥の99.7%が前記範囲内に存在していれば、形成欠陥の実質的な全部が前記範囲内に存在しているとしてよい。ばらつきの少ない半導体装置群が提供される。
なお、「炭素と酸素の少なくとも一方の濃度が減少している範囲」とは、炭素(または酸素)の濃度プロファイルが半導体基板の表面に接近するのにつれて減少する傾きを有している範囲を意味する。
このPNダイオードでは、荷電粒子を打ち込んで形成した結晶欠陥の実質的な全部が、炭素と酸素の少なくとも一方の濃度が減少している範囲内に存在している。したがって、ばらつきの少ないPNダイオード群が提供される。
このPNダイオードでは、荷電粒子を打ち込んで形成した結晶欠陥領域のうち結晶欠陥の濃度が最も高い領域が、半導体層内に存在している。したがって、ばらつきの少ないPNダイオード群が提供される。
このIGBTでは、荷電粒子を打ち込んで形成した結晶欠陥の実質的な全部が、炭素と酸素の少なくとも一方の濃度が減少している範囲内に存在している。したがって、ばらつきの少ないIGBT群が提供される。
このIGBTでは、荷電粒子を打ち込んで形成した結晶欠陥領域のうち結晶欠陥の濃度が最も高い領域が、ドリフト領域内の炭素と酸素の少なくとも一方の濃度が略一定値に収束している範囲内に存在している。したがって、ばらつきの少ないIGBT群が提供される。
このような構成によれば、IGBTの耐圧特性を向上させることができる。
(特徴1)荷電粒子を打ち込んで形成した結晶欠陥を含んでいるバイポーラ型の半導体装置であって、半導体基板の少なくとも一部に炭素濃度が、7×1014atoms/cm3以下であるという条件と、酸素濃度が、7×1017atoms/cm3以下であるという条件の少なくとも一方を満たす範囲が形成されており、荷電粒子を打ち込んで形成した結晶欠陥の実質的な全部が、前記範囲内に存在している。
本発明の第1実施例に係る半導体装置及びその製造方法について図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施例のPNダイオード10aの概略構成を示している。
図示するように、PNダイオード10aは、半導体基板12と、半導体基板12の上面12aに形成されたアノード電極20と、下面12bに形成されたカソード電極22により構成されている。半導体基板12は、主にシリコンからなっている。半導体基板12の、上面12a側には、p型不純物(本実施例ではボロン)を含有するp型拡散層(アノード領域:p+層)14が形成されている。p型拡散層14は、アノード電極20とオーミック接触している。p型拡散層14の下面12b側には、n型不純物(本実施例ではリン)を含有するn型ドリフト層(n−層)16が形成されている。p型拡散層14とn型ドリフト層16の界面がpn接合界面30となっている。n型ドリフト層16の下面12b側には、n型不純物を高濃度に含有するn型拡散層(カソード領域:n+層)18が形成されている。n型拡散層18は、カソード電極22とオーミック接触している。
図2(a)は、半導体基板12中の厚み方向(図1の矢印V1の方向)における炭素の濃度N1及び酸素の濃度N2の分布を示している。すなわち、図2(a)の横軸は、半導体基板12aの厚み方向の位置(深さ)を示しており、原点は半導体基板12の上面12aの位置、横軸の右端は半導体基板12の下面12bの位置を示している。カーブD1は炭素の濃度分布(濃度プロファイル)を示しており、そのスケールは左側の縦軸に示されている。カーブD2は酸素の濃度分布を示しており、そのスケールは右側の縦軸に示されている。図示するように、半導体基板12の厚み方向の中間部近傍では、炭素及び酸素の濃度は略一定(本実施例では、炭素は約1×1015atoms/cm3、酸素は約1×1018atoms/cm3)である。半導体基板12の上面12a側では、上面12aに向かうにしたがって炭素及び酸素の濃度が低下している。また、半導体基板12の下面12b側では、下面12bに向かうにしたがって炭素及び酸素の濃度が低下している。本実施例では、炭素と酸素の少なくとも一方の濃度が、半導体表面(上面12aまたは下面12b)に接近するのにつれて減少している領域を低濃度化フィールドという。すなわち、濃度分布(プロファイル)が半導体表面に接近するのにつれて減少する傾きを有している領域を低濃度化フィールドという。したがって、位置A1よりも上面12a側の領域は低濃度化フィールドB1であり、位置A2よりも下面12b側の領域は低濃度化フィールドB2である。また、図2の位置A3は、PNダイオード10aのpn接合界面30の位置を示している。図示するように、pn接合界面30(位置A3)は、低濃度化フィールドB1内に位置している。
第1の欠陥は、CiOi欠陥である。CiOi欠陥は、結晶中の格子間位置に存在する炭素(以下では、格子間炭素Ciという)と、格子間位置に存在する酸素(以下では、格子間酸素Oiという)によって構成される。格子間炭素Ciと格子間酸素Oiが特定の位置関係となっているとCiOi欠陥となる。CiOi欠陥は、キャリアの再結合中心となる性質を有する。また、CiOi欠陥は、結晶中でホールをトラップする性質を有する。
第2の欠陥は、VV欠陥である。VV欠陥は、結晶中の格子点(サイト)の空孔により構成される。2つの空孔が特定の位置関係となっているとVV欠陥となる。VV欠陥は、キャリアの再結合中心となる性質を有する。VV欠陥は、半導体基板12中の電子をトラップし、ホールをトラップしない性質を有する。
本実施例のPNダイオード10aでは、形成欠陥が低濃度化フィールドB1内に形成されているので、形成欠陥の大部分は、VV欠陥である。
PNダイオードの特性は、逆電流のピーク値が低く、逆電流回復時の電流変化率が小さいことが好ましい。逆電流のピーク値が低いと、PNダイオードのターンオフ時の損失を低減させることができる。逆電流回復時の電流変化率が小さいと、その電流変化率と寄生インダクタンスの影響によってpn接合界面30に印加されるサージ電圧を低減させることができる。本実施例のPNダイオード10aは、製造時に適切な量の形成欠陥が形成されている。したがって、逆電流のピーク値は適切な値に抑えられており、逆電流回復時の電流変化率も適切な変化率となっている。したがって、逆電流による損失がそれほど大きくならず、逆電流回復時にpn接合界面30に過大なサージ電圧が印加されることも抑制されている。
第1実施例のPNダイオード10aでは、低濃度化フィールドB1に形成欠陥が形成されており、それらの形成欠陥の大部分がVV欠陥である。すなわち、CiOi欠陥が非常に少ない。したがって、PNダイオード10aは、ターンオフ時にアバランシェ降伏し難い。
ステップS10では、シリコンウエハを熱処理する。これによって、シリコンウエハ中に注入されたボロンが拡散し、活性化する。すなわち、ステップS8でボロンを注入した領域近傍にボロンが拡散し、活性化する。これによって、ボロンが拡散した領域がp型拡散層14となる。p型拡散層14とn型拡散層18の間の領域は、キャリア濃度が低いn型ドリフト層16となる。上述したように、ステップS8では、低濃度化フィールドB1の上面12a近くの領域のボロン濃度を上昇させている。したがって、p型拡散層14は低濃度化フィールドB1の上面12a側に形成される。すなわち、低濃度化フィールドB1内にpn接合界面30が形成される。
(反応1) Sis → V+Sii
(反応2) V+V → VV欠陥
(反応3) Sii+Cs → Ci
(反応4) Ci+Oi → CiOi欠陥
(反応1)では、結晶格子中の格子点に存在するシリコン(Sis)がヘリウムイオンの打ち込みにより格子点から格子間位置にはじき出される。これによって、格子間位置に存在するシリコン(Sii)が生成されるとともに、シリコンがはじき出された後の格子点が空孔(V)となる。格子間位置のシリコン(Sii)と空孔(V)は、エネルギー状態が不安定であるので、(反応2)及び(反応3)が起こる。
(反応2)では、(反応1)によって生成された2つの空孔(V)が結晶格子内で所定の位置関係をとり、安定した状態となる。すなわち、VV欠陥が形成される。
(反応3)では、結晶格子中の格子点に混入不純物として存在する炭素(Cs)と(反応1)で生成された格子間位置のシリコン(Sii)との位置が入れ替わる。これによって、格子間位置に存在する炭素(Ci)が生成される。格子間位置の炭素(Ci)は、エネルギー状態が不安定であるので、(反応4)が起こる。
(反応4)では、(反応3)で生成された格子間位置の炭素(Ci)と、結晶格子中の格子間位置に混入不純物として存在する酸素(Oi)とが所定の位置関係をとり、安定した状態となる。すなわち、CiOi欠陥が形成される。
以上に説明したように、シリコンウエハにヘリウムイオンを打ち込むと、シリコンウエハ中にVV欠陥とCiOi欠陥が形成される。
なお、シリコンウエハにヘリウムイオンを打ち込むと、VV欠陥及びCiOi欠陥が形成されると共に、エネルギー状態が不安定な種々の形成欠陥も形成される。
また、この製造方法によれば、CiOi欠陥をあまり形成することなく、VV欠陥を形成することができる。したがって、逆電流回復時の特性が適切な特性に調整されているとともに、ターンオフ時にアバランシェ降伏し難いPNダイオード10aを製造することができる。
また、シリコンウエハ中に窒素、ゲルマニウム、フッ素等の不純物が混入している場合には、形成欠陥を形成するときに、これらの元素に起因した欠陥が形成される場合がある。これらの元素に起因する欠陥も、再結合中心となるので、製造する素子の特性に影響を与える。また、これらの元素に起因する欠陥が形成される量は、これらの元素のシリコンウエハ中における濃度によって左右される。形成欠陥を形成する量(VV欠陥と前記元素に起因する欠陥の総量)が正確に制御できない場合には、窒素、ゲルマニウム、フッ素等の濃度を低下させ、その濃度を低下させたフィールドに形成欠陥を形成するようにしてもよい。
次に、第2実施例のPNダイオード10b及びその製造方法について説明する。なお、PNダイオード10bの各部の説明においては、第1実施例のPNダイオード10aと同様の構成を有するものについては、同じ参照番号を用いて説明する。
次に、第3実施例のトレンチゲート電極を有するIGBT50aについて説明する。図8は、IGBT50aの概略構成を示している。図示するように、IGBT50aは、半導体基板51と、エミッタ電極70と、コレクタ電極72と、により構成されている。コレクタ電極72は、半導体基板51の下面51bに形成されている。エミッタ電極70は、半導体基板51の上面51aに形成されている。
半導体基板51は、主にシリコンからなっている。半導体基板51のコレクタ電極72と接する領域には、p型コレクタ層52が形成されている。p型コレクタ層52は、コレクタ電極72とオーミック接触している。p型コレクタ層52の上側には、n型ドリフト層54が形成されている。n型ドリフト層54は、n型不純物の濃度が高い第1ドリフト層(バッファ層)54aと、n型不純物の濃度が低い第2ドリフト層54bにより形成されている。第1ドリフト層54aは、p型コレクタ層52の上側に形成されており、第2ドリフト層54bは、その第1ドリフト層54aの上側に形成されている。n型ドリフト層54の上側には、p型ボディ層56が形成されている。p型ボディ層56の上側には、n型エミッタ領域58とp型ボディコンタクト領域60が形成されている。半導体基板51の上面51aには複数のトレンチが形成されている。各トレンチは、半導体基板51の上面51aからn型ドリフト層54の上端に接する深さまで伸びている。各トレンチの壁面(側面、底面)には、SiO2の絶縁膜が形成されている。各トレンチ内には、ゲート電極74が形成されている。n型エミッタ領域58は、半導体基板51の上面51a側の表面部分のうち、各トレンチ(トレンチの絶縁膜)と接する領域にそれぞれ形成されている。n型エミッタ領域58は、エミッタ電極70とオーミック接触している。p型ボディコンタクト領域60は、半導体基板51の上面51a側の表面部分のうち、n型エミッタ領域58が形成されていない領域に形成されている。p型ボディコンタクト領域60は、p型ボディ層56よりもp型不純物の濃度が高い。p型ボディコンタクト領域60は、エミッタ電極70とオーミック接触している。
図9(a)は、半導体基板51中の厚み方向(図8の矢印V3の方向)における炭素の濃度N1及び酸素の濃度N2の分布を示している。図9(a)のカーブD5は炭素の濃度分布を示しており、そのスケールは左側の縦軸に示されている。図9(a)のカーブD6は酸素の濃度分布を示しており、そのスケールは右側に縦軸に示されている。図9(a)の位置A6は、p型コレクタ層52と、n型ドリフト層54の界面の位置を示している。また、位置A7は、第1ドリフト層54aと第2ドリフト層54bの界面の位置を示している。位置A8は、n型ドリフト層54とp型ボディ層56の界面の位置を示している。図示するように、半導体基板51の厚み方向の中間部近傍では、炭素及び酸素の濃度は略一定(本実施例では、炭素は約1×1015atoms/cm3、酸素は約1×1018atoms/cm3)である。半導体基板51の上面51a側では、上面51aに向かうにしたがって炭素及び酸素の濃度が低下している。また、半導体基板51の下面51b側では、下面51bに向かうにしたがって炭素及び酸素の濃度が低下している。したがって、位置A9よりも上面51a側の領域は低濃度化フィールドB3となっており、位置A10よりも下面51b側の領域は低濃度化フィールドB4となっている。図示するように、p型コレクタ層52とn型ドリフト層54の界面(位置A6)は、低濃度化フィールドB4内に位置している。
本実施例のIGBT50aでは、低濃度化フィールドB4内の形成欠陥は大部分がVV欠陥であり、CiOi欠陥が非常に少ない。したがって、IGBT50aは、アバランシェ降伏し難い。
ステップS54では、シリコンウエハの下面51bから、注入深さを調整してボロンを注入する。これによって、p型コレクタ層52に対応する領域に、ボロンが注入される。
次に、第4実施例のIGBT50bについて説明する。なお、IGBT50bの各部の説明においては、第3実施例のIGBT50aと同様の構成を有するものについては、同じ参照番号を用いて説明する。
エピタキシャル成長によると、炭素及び酸素の濃度が低い層を成長させることができる。また、エピタキシャル成長により第1ドリフト層54aを成長させる際には、シリコンウエハ(p型コレクタ層52)中の炭素及び酸素の一部が第1ドリフト層54a中に拡散する。したがって、p型コレクタ層52との界面近傍の第1ドリフト層54aでは、炭素と酸素の濃度が若干上昇する。また、第1ドリフト層54aとの界面近傍のシリコンウエハ(p型コレクタ層52)では、炭素と酸素の濃度が若干低下する。これによって、第1ドリフト層54a及び第2エピタキシャル層を含むシリコンウエハの厚さ方向における炭素と酸素の濃度分布が、図12(a)と略同じ濃度分布となる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10b:PNダイオード
12:半導体基板
12a:上面
12b:下面
14:p型拡散層
16:n型ドリフト層
16a:第1ドリフト層
16b:第2ドリフト層
18:n型拡散層
20:アノード電極
22:カソード電極
30:pn接合界面
50a:IGBT
50b:IGBT
51:半導体基板
51a:上面
51b:下面
52:p型コレクタ層
54:n型ドリフト層
54a:第1ドリフト層
54b:第2ドリフト層
56:p型ボディ層
58:n型エミッタ領域
60:p型ボディコンタクト領域
70:エミッタ電極
72:コレクタ電極
74:ゲート電極
Claims (13)
- ドーパント不純物を導入した半導体領域と所定範囲に結晶欠陥を形成した結晶欠陥領域とを備えている半導体装置を製造する方法であって、
半導体基板を熱処理することによって前記所定範囲に含まれている混入不純物の少なくとも一部を半導体基板外に排出する排出工程と、
排出工程を実施した半導体基板にドーパント不純物を導入して半導体領域を形成する導入工程と、
排出工程を実施した半導体基板の前記所定範囲に荷電粒子を打ち込むことによって前記所定範囲に結晶欠陥を形成する打ち込み工程と、
を備えている半導体装置の製造方法。 - ドーパント不純物を導入した半導体領域と所定範囲に結晶欠陥を形成した結晶欠陥領域とを備えている半導体装置を製造する方法であって、
半導体基板を熱処理することによって前記所定範囲に含まれている炭素と酸素の少なくとも一方の濃度を低下させる排出工程と、
排出工程を実施した半導体基板にドーパント不純物を導入して半導体領域を形成する導入工程と、
排出工程を実施した半導体基板の表面から前記所定範囲に打ち込まれるエネルギーで荷電粒子を打ち込むことによって前記所定範囲に結晶欠陥を形成する打ち込み工程と、
を備えている半導体装置の製造方法。 - 所定範囲に結晶欠陥を形成した結晶欠陥領域を備えているPNダイオードを製造する方法であって、
半導体基板を熱処理することによって前記所定範囲に含まれている混入不純物の少なくとも一部を半導体基板外に排出する排出工程と、
排出工程を実施した半導体基板にドーパント不純物を導入して、前記所定範囲内にpn接合を形成する導入工程と、
排出工程を実施した半導体基板の前記所定範囲に荷電粒子を打ち込むことによって前記所定範囲に結晶欠陥を形成する打ち込み工程と、
を備えているPNダイオードの製造方法。 - 所定範囲に結晶欠陥を形成した結晶欠陥領域を備えているIGBTを製造する方法であって、
半導体基板を熱処理することによって前記所定範囲に含まれている混入不純物の少なくとも一部を半導体基板外に排出する排出工程と、
排出工程を実施した半導体基板の上面側からドーパント不純物を導入して、ボディ領域とエミッタ領域を形成する上面側導入工程と、
排出工程を実施した半導体基板の下面側からドーパント不純物を導入して、コレクタ領域を形成するにあたって、コレクタ領域とドリフト領域の界面が前記所定範囲に含まれるようにコレクタ領域を形成する下面側導入工程と、
排出工程を実施した半導体基板の前記所定範囲に荷電粒子を打ち込むことによって前記所定範囲に結晶欠陥を形成する打ち込み工程と、
を備えているIGBTの製造方法。 - 所定範囲に結晶欠陥を形成した結晶欠陥領域を備えているPNダイオードを製造する方法であって、
半導体基板上にエピタキシャル層を成長させる結晶成長工程と、
エピタキシャル層の表面からエピタキシャル層内に留まるエネルギーで荷電粒子を打ち込むことによってエピタキシャル層内の前記所定範囲に結晶欠陥を形成する打ち込み工程と、
を備えているPNダイオードの製造方法。 - 所定範囲に結晶欠陥を形成した結晶欠陥領域を備えているIGBTを製造する方法であって、
半導体基板を熱処理することによって半導体基板の表面部分に含まれている混入不純物の少なくとも一部を半導体基板外に排出する排出工程と、
排出工程を実施した半導体基板上にエピタキシャル層を成長させる結晶成長工程と、
エピタキシャル層の表面からエピタキシャル層内に留まるエネルギーで荷電粒子を打ち込むことによってエピタキシャル層内の前記所定範囲に結晶欠陥を形成する打ち込み工程と、
を備えているIGBTの製造方法。 - 所定範囲に荷電粒子を打ち込んで形成した結晶欠陥領域を備えている半導体装置であって、
炭素と酸素の少なくとも一方の濃度が半導体基板の表面に接近するのにつれて減少する濃度プロファイルが形成されており、
荷電粒子を打ち込んで形成した結晶欠陥の実質的な全部が、炭素と酸素の少なくとも一方の濃度が減少している範囲内に存在していることを特徴とする半導体装置。 - アノード領域と、アノード領域と接しているドリフト領域と、ドリフト領域と接しているカソード領域を備えており、ドリフト領域のドーパント不純物濃度はアノード領域とカソード領域のドーパント不純物濃度よりも低く、所定範囲に荷電粒子を打ち込んで形成した結晶欠陥領域を備えているPNダイオードであって、
炭素と酸素の少なくとも一方の濃度が半導体基板の表面に接近するのにつれて減少する濃度プロファイルが形成されており、
pn接合が、炭素と酸素の少なくとも一方の濃度が減少している範囲内に形成されており、
荷電粒子を打ち込んで形成した結晶欠陥の実質的な全部が、炭素と酸素の少なくとも一方の濃度が減少している範囲内に存在していることを特徴とするPNダイオード。 - アノード領域と、アノード領域と接しているドリフト領域と、ドリフト領域と接しているカソード領域を備えており、ドリフト領域のドーパント不純物濃度はアノード領域とカソード領域のドーパント不純物濃度よりも低く、所定範囲に荷電粒子を打ち込んで形成した結晶欠陥領域を備えているPNダイオードであって、
半導体基板と、
半導体基板上に形成されており、炭素と酸素の少なくとも一方の濃度が半導体基板における濃度よりも低い半導体層を有しており、
荷電粒子を打ち込んで形成した結晶欠陥領域のうち結晶欠陥の濃度が最も高い領域が、半導体層内に存在していることを特徴とするPNダイオード。 - アノード領域とドリフト領域の界面が、半導体層内に形成されていることを特徴とする請求項9に記載のPNダイオード。
- 所定範囲に荷電粒子を打ち込んで形成した結晶欠陥領域を備えているIGBTであって、
第1導電型のコレクタ領域と、
コレクタ領域に接している第2導電型のドリフト領域と、
ドリフト領域に接している第1導電型のボディ領域と、
ボディ領域によってドリフト領域から離間されている第2導電型のエミッタ領域と、
エミッタ領域とドリフト領域を離間させているボディ領域に絶縁膜を介して対向しているゲート電極を備えており、
炭素と酸素の少なくとも一方の濃度がコレクタ領域側の半導体基板の表面に接近するのにつれて減少する濃度プロファイルが形成されており、
コレクタ領域とドリフト領域の界面が、炭素と酸素の少なくとも一方の濃度が減少している範囲内に形成されており、
荷電粒子を打ち込んで形成した結晶欠陥の実質的な全部が、炭素と酸素の少なくとも一方の濃度が減少している範囲内に存在していることを特徴とするIGBT。 - 所定範囲に荷電粒子を打ち込んで形成した結晶欠陥領域を備えているIGBTであって、
第1導電型のコレクタ領域と、
コレクタ領域に接している第2導電型のドリフト領域と、
ドリフト領域に接している第1導電型のボディ領域と、
ボディ領域によってドリフト領域から離間されている第2導電型のエミッタ領域と、
エミッタ領域とドリフト領域を離間させているボディ領域に絶縁膜を介して対向しているゲート電極を備えており、
コレクタ領域とドリフト領域内には、炭素と酸素の少なくとも一方の濃度が、コレクタ領域側からドリフト領域側に向かうのにつれて減少して略一定値に収束する濃度プロファイルが形成されており、
荷電粒子を打ち込んで形成した結晶欠陥領域のうち結晶欠陥の濃度が最も高い領域が、ドリフト領域内の炭素と酸素の少なくとも一方の濃度が略一定値に収束している範囲内に存在していることを特徴とするIGBT。 - ドリフト領域のうちコレクタ領域と接する領域に、その領域外のドリフト領域よりも第2導電型の不純物の濃度が高いバッファ領域が形成されていることを特徴とする請求項11又は12に記載のIGBT。
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