JP2008163445A - 自動車足回り部品およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高強度化、高靱性化および高耐食性化させた自動車足回り部品およびその製造方法を提供する。
【解決手段】特定成分と特定製造条件で製造され、比較的幅狭で厚い周縁部のリブ3 と、肉厚が10mm以下の薄肉で比較的広幅な中央部のウエブ4 とからなる略H型の断面形状のアーム部2 を有する自動車足回り部品1 の、リブ3aの最大応力発生部位における幅方向断面における、最大応力が発生する断面部位7 の組織で観察される晶出物密度、パーティングラインを含む断面部位8 の組織で観察される各粒界析出物同士の間隔と分散粒子のサイズとの密度、これらリブの断面組織7 、8 において観察される再結晶割合、更に、これらリブ3aの断面組織に隣接する前記ウエブ4aの幅方向の断面組織9 において観察される再結晶割合を規定し、自動車足回り部品を、高強度化、高靱性化および高耐食性化させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、高強度、高靱性であって、耐応力腐食割れ性などの耐食性にも優れる、アルミニウム合金鍛造材から構成された自動車足回り部品およびその製造方法 (以下、アルミニウムを単にAlとも言う) に関するものである。
近年、排気ガス等による地球環境問題に対して、自動車などの輸送機の車体の軽量化による燃費の向上が追求されている。このため、特に、自動車などの輸送機の構造材乃至構造部品、特にアッパーアーム、ロアーアームなどの足回り部品として、AA乃至JIS の規格で言う6000系(Al-Mg-Si 系) などのAl合金鍛造材が使用されている。6000系Al合金鍛造材は、高強度高靱性で、耐食性にも比較的優れている。また、6000系Al合金自体も、合金元素量が少なく、スクラップを再び6000系Al合金溶解原料として再利用しやすい点で、リサイクル性にも優れている。
これら6000系Al合金鍛造材は、Al合金鋳造材を均質化熱処理後、メカニカル鍛造、油圧鍛造などの熱間鍛造(型鍛造)を行い、その後、溶体化および焼き入れ処理と人工時効硬化処理との所謂調質処理が施されて製造される。なお、鍛造用の素材には、前記鋳造材の他に、鋳造材を一旦押出した押出材が用いられることもある。
サスペンションなどの足回り部品には、高強度・高靭性・高耐食性を実現する材料が要求されている。この点、アルミニウム合金鍛造材は、アルミニウム合金鋳造材等に比較して、強度的に優れ信頼性が高い。
近年、これら輸送機の構造材においても、自動車のより一層の軽量化のために、一層薄肉化させた上での高強度化や高靱性化が求められている。このため、Al合金鋳造材やAl合金鍛造材のミクロ組織を改善することが種々行われている。例えば、6000系Al合金鋳造材の晶析出物 (晶出物や析出物) の平均粒径を8 μm 以下と小さくし、かつデンドライト二次アーム間隔(DAS) を40μm 以下と細かくして、Al合金鍛造材をより高強度で高靱性化することが提案されている(特許文献1、2参照) 。
また、6000系Al合金鍛造材の結晶粒内や粒界の晶出物や晶析出物の平均粒径や平均間隔などを制御することで、Al合金鍛造材をより高強度で高靱性化することも提案されている。これらの制御は、粒界腐食や応力腐食割れなどに対しても高耐食性化できる。そして、これらの晶出物や晶析出物の制御に合わせて、Mn、Zr、Crなどの結晶粒微細化効果を有する遷移元素を添加して、結晶粒を微細化乃至亜結晶粒化させ、破壊靱性や疲労特性を向上させることもこれらの提案の中で記載されている(特許文献3、4、5参照) 。
しかし、これら6000系Al合金鍛造材には、上記鍛造および溶体化処理工程において、加工組織が再結晶して粗大結晶粒が発生する傾向がある。これら粗大結晶粒が発生した場合、上記ミクロ組織を制御しても、高強度化や高靱性化が果たせず、また、耐食性も低下する。しかも、これらの各特許文献では、鍛造における加工温度が450 ℃未満と比較的低く、このような低温の熱間鍛造では、目標としている結晶粒を微細化乃至亜結晶粒化させることが実際には困難である。
一方、前記加工組織が再結晶化した粗大結晶粒の発生を抑制するため、Mn、Zr、Crなどの結晶粒微細化効果を有する遷移元素を添加した上で、450 〜570 ℃の比較的高温の温度で熱間鍛造を開始することが知られている(特許文献6〜7、8〜10参照) 。
特開平07-145440 号公報 特開平06-256880 号公報 特開2000-144296 号公報(登録3684313) 特開2001-107168 号公報 特開2002-294382 号公報 特開平5-247574号公報 特開2002-348630 号公報 特開2004-43907号公報 特開2004- 292937号公報 特開2004- 292892号公報
サスペンションアームなどの自動車足回り部品は、アーム部とこのアーム部の一端側にボールジョイント部を有する構成からなる。これら自動車足回り部品は、所定の強度を出しつつ、軽量化を図るために、特にアーム部が、通常は、比較的幅狭で厚い周縁部のリブと、比較的薄肉な中央部のウエブとからなる略H型の断面形状からなっている。
前記した通り、自動車のより一層の軽量化のために、剛性等を維持しつつ、自動車足回り部品を一層薄肉化、軽量化させるためには、ウエブを一層薄肉化、また必要に応じて広幅化し、リブを一層幅狭化、厚肉化する、軽量化させた形状( 以下、軽量化形状とも言う) とする必要がある。このため、このウエブの肉厚が10mm以下の薄肉アーム部を有する自動車足回り部品も採用され始めている。
そして、サスペンションアームなどの自動車足回り部品では、使用時に、このようなリブと薄肉ウエブとが構成する略H型の断面からなるアーム部に、最大の応力が負荷される。この最大の応力が負荷されるアーム部の部位は、自動車足回り部品の全体形状や、肉厚などの形状要件によっても異なる。しかし、他のジョイント部などではなく、アーム部の、全体形状や形状要件によって定まる部位に、最大応力が発生する。
しかし、このような鍛造品の軽量化の形状化は、熱間鍛造における、鍛造品の部位による加工度のバラツキを大きくする。通常、再加熱無しで複数回行われるメカニカルプレスを用いた熱間金型鍛造などにおいては、元々、部位によって熱間鍛造時の加工率が大きく異なりやすい。
これによれば、前記一層薄肉化ウエブ部分や、一層幅狭化、厚肉化したリブ部分の加工度は、より大きく (厳しく) なる傾向となる。このため、熱間鍛造における温度では、前記一層薄肉化したウエブ部分や、一層幅狭化、厚肉化したリブ部分では、パーティングラインならびにその近傍で再結晶した粗大結晶粒 (結晶粒の粗大化) が、一層生じやすくなるという問題がある。
ここで、強度を有すべき、アーム部の最大応力発生部位であるウエブ部分やリブ部分の結晶粒の粗大化が生じやすくなると、アーム部、ひいては自動車足回り部品全体としての強度を高く維持しながら軽量化を図るのは困難となる。この点、前記した通り、これまでの6000系Al合金鍛造材の組織において、粗大結晶粒の発生を抑制し、結晶粒を微細化させる指向方向だけでは、軽量化形状した鍛造材自動車足回り部品を再現性良く、高強度化、高靱性化および高耐食性化させることには限界があったのが実情である。
この様な事情に鑑み、本発明は、軽量化形状した鍛造材自動車足回り部品であっても、高強度化、高靱性化および高耐食性化させることを目的とするものである。
この目的を達成するために、本発明自動車足回り部品の要旨は、質量% で、Mg:0.5〜1.25% 、Si:0.4〜1.4%、Cu:0.01 〜0.7%、Fe:0.05 〜0.4%、Mn:0.001〜1.0%、Cr:0.01 〜0.35% 、Ti:0.005〜0.1%を各々含み、かつZr:0.15%未満に規制し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金鍛造材から構成される自動車足回り部品であって、最大応力発生部位における幅方向断面組織において、最大応力が発生する断面部位の組織で観察される晶出物密度が平均面積率で1.5%以下であり、鍛造の際に生じるパーティングラインを含む断面部位の組織で観察される各粒界析出物同士の間隔が平均間隔で0.7 μm 以上であることとする。
また、この目的を達成するために、本発明自動車足回り部品は、比較的幅狭で厚い周縁部のリブと比較的広幅な中央部のウエブとからなる略H型の幅方向断面形状のアーム部を有し、前記した最大応力発生部位が前記リブにあることが好ましい。更に、上記要旨に加えて、リブの最大応力発生部位における幅方向断面組織において、最大応力が発生する断面部位の組織で観察される分散粒子のサイズが平均直径で1200Å以下であるとともに、これら分散粒子の密度が平均面積率で4%以上であり、これらリブの断面組織において観察される再結晶粒の占める面積割合が平均面積率で10% 以下であり、更に、これらリブの断面組織に隣接する前記ウエブの幅方向の断面組織において観察される再結晶粒の占める面積割合が平均面積率で20% 以下であることが好ましい。
ここで、上記した晶出物密度は平均面積率で1.0%以下であり、上記した各粒界析出物同士の間隔は平均間隔で1.6 μm 以上であることが好ましい。また、前記アルミニウム合金鍛造材や、後述するアルミニウム合金溶湯の成分組成において、質量% で、Mg:0.7〜1.25% 、Si:0.8〜1.3%、Cu:0.1〜0.6%、Fe:0.1〜0.4%、Mn:0.2〜0.6%、Cr:0.1〜0.3%、Ti:0.01 〜0.1%を各々含み、かつZr:0.15%未満に規制し、残部がAlおよび不可避的不純物からなることが好ましい。また、質量% で、Mg:0.9〜1.1%、Si:0.9〜1.1%、Cu:0.3〜0.5%、Fe:0.1〜0.4%、Mn:0.2〜0.6%、Cr:0.1〜0.2%、Ti:0.01 〜0.1%を各々含み、かつZr:0.15%未満に規制し、残部がAlおよび不可避的不純物からなることがより好ましい。更に、本発明は、上記したウエブの肉厚が10mm以下の薄肉である自動車足回り部品に適用されて好ましい。
前記した目的を達成するための、本発明自動車足回り部品の製造方法の要旨は、上記した各要旨の、あるいは後述する好ましい要旨の自動車足回り部品の製造方法であって、上記いずれかの組成を有するアルミニウム合金溶湯を平均冷却速度が100 ℃/s以上で鋳造し、この鋳造した鋳塊を460 〜570 ℃の温度範囲に10〜1500℃/hr の昇温速度で加熱して、この温度範囲に2 hr以上保持する均質化熱処理を施した後に40℃/hr 以上の冷却速度で室温まで冷却し、更に熱間鍛造開始温度まで再加熱して熱間金型鍛造するとともに、鍛造終了温度を350 ℃以上とし、この熱間鍛造後に、530 〜570 ℃の温度範囲に20分〜8hr保持する溶体化処理を施し、その後、平均冷却速度が200 〜300 ℃/sの範囲で焼き入れ処理を行ない、更に、人工時効硬化処理することである。ここで、前記熱間金型鍛造にて製造される自動車足回り部品が、比較的幅狭で厚い周縁部のリブと比較的広幅な中央部のウエブとからなる略H型の幅方向断面形状のアーム部を有することが好ましい。
本発明では、軽量化形状をした自動車足回り部品アーム部の、例えばリブにある最大応力発生部位におけるリブとウエブとの前記各特定部位の幅方向断面組織を、上記要旨のように規定する。また、鍛造後の自動車足回り部品のアーム部の、リブなどの最大応力発生部位におけるリブとウエブとの前記各特定部位の幅方向断面組織を、上記要旨の組織となるように、成分調整および製造する。
これによって、本発明では、軽量化形状をした自動車足回り部品アーム部の、特に最大応力が発生する特定部位の、鍛造中におけるリブ部分やウエブ部分の結晶粒の粗大化を抑制する。
本発明では、これによって、強度を有すべき、後述するアーム部の最大応力発生部位を高強度化、高靱性化および高耐食性化させる。そして、特に、肉厚が10mm以下の薄肉で比較的広幅な中央部のウエブからなる略H型の断面のアーム部を有するような自動車足回り部品であっても (軽量化形状した鍛造材自動車足回り部品であっても) 、高強度化、高靱性化および高耐食性化させる。
以下に、本発明自動車足回り部品および自動車足回り部品の製造方法の実施態様につき具体的に説明する。
(化学成分組成)
本発明自動車足回り部品、あるいは足回り部品を構成するAl合金鍛造材、この鍛造用の素材であるAl合金鋳造材、この鋳造用の素材であるAl合金溶湯における、Al合金化学成分組成について説明する。
本発明自動車足回り部品のAl合金化学成分組成は、アッパーアーム、ロアーアームなどの足回り部品として、高強度、高靱性および耐応力腐食割れ性などの高い耐食性乃至耐久性を保証する必要がある。このためのAl合金化学成分組成は、質量% で、Mg:0.5〜1.25% 、Si:0.4〜1.4%、Cu:0.01 〜0.7%、Fe:0.05 〜0.4%、Mn:0.001〜1.0%、Cr:0.01 〜0.35% 、Ti:0.005〜0.1%を各々含み、かつZr:0.15%未満に規制し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるものとする。なお、各元素量における% 表示はすべて質量% の意味である。
上記成分組成において、高強度、高靱性および耐応力腐食割れ性などの高い耐食性乃至耐久性を保証するには、より狭い組成範囲として、Mg:0.7〜1.25% 、Si:0.8〜1.3%、Cu:0.1〜0.6%、Fe:0.1〜0.4%、Mn:0.2〜0.6%、Cr:0.1〜0.3%、Ti:0.01 〜0.1%を各々含み、かつZr:0.15%未満に規制し、残部がAlおよび不可避的不純物からなることが好ましい。また、更に狭い組成範囲として、Mg:0.9〜1.1%、Si:0.9〜1.1%、Cu:0.3〜0.5%、Fe:0.1〜0.4%、Mn:0.2〜0.6%、Cr:0.1〜0.2%、Ti:0.01 〜0.1%を各々含み、かつZr:0.15%未満に規制し、残部がAlおよび不可避的不純物からなることがより好ましい。
なお、本発明の諸特性を阻害しない範囲で、他の元素を適宜含むことは許容される。また、溶解原料スクラップなどから必然的に混入される不純物も、本発明の特性を阻害しない範囲で許容される。次に、本発明Al合金鍛造材の各元素の含有量について、臨界的意義や好ましい範囲について説明する。
Mg:0.5〜1.25% 、好ましくは0.7 〜1.25% 、より好ましくは0.9 〜1.1%。
Mgは人工時効処理により、Siとともに、主として針状β' 相として結晶粒内に析出し、自動車足回り部品使用時の高強度 (耐力) を付与するために必須の元素である。Mgの含有量が少な過ぎると、人工時効処理時の時効硬化量が低下する。一方、Mgの含有量が多過ぎると、強度 (耐力) が高くなりすぎ、鍛造性を阻害する。また、溶体化処理後の焼き入れ途中に多量のMg2 Siや単体Siが析出しやすく、却って、強度、靱性、耐食性などを低下させる。したがって、Mg含有量は0.5 〜1.25% 、好ましくは0.7 〜1.25% 、より好ましくは0.9 〜1.1%の各範囲とする。
Si:0.4〜1.4%、好ましくは0.8 〜1.3%、より好ましくは0.9 〜1.1%。
SiもMgとともに、人工時効処理により、主として針状β' 相として析出して、自動車足回り部品使用時の高強度 (耐力) を付与するために必須の元素である。Siの含有量が少な過ぎると、人工時効処理で十分な強度が得られない。一方、Siの含有量が多過ぎると、鋳造時および溶体化処理後の焼き入れ途中で、粗大な単体Si粒子が晶出および析出して、耐食性と靱性を低下させる。また、過剰Siが多くなって、高耐食性と高靱性、高疲労特性を得ることができない。更に伸びが低くなるなど、加工性も阻害する。したがって、Siの含有量はSi:0.4〜1.4%、好ましくは0.8 〜1.3%、より好ましくは0.9 〜1.1%の各範囲とする。
Mn:0.001〜1.0%、好ましくは0.2 〜0.6%。
Cr:0.01 〜0.35% 、好ましくは0.1 〜0.3%、より好ましくは0.1 〜0.2%。
Mn、Crは、均質化熱処理時およびその後の熱間鍛造時に、Fe、Mn、Cr、Si、Alなどがその含有量に応じて選択的に結合したAl-Mn 系、Al-Cr 系金属間化合物である (からなる) 分散粒子 (分散相) を生成する。Al-Mn 系、Al-Cr 系金属間化合物は、Al-(Fe、Mn、Cr)-Si化合物、(Fe 、Mn、Cr)3SiAl12などが代表的には例示される。
Mn、Crによる、これらの分散粒子は、製造条件にもよるが、微細で高密度、均一に分散して、再結晶後の粒界移動を妨げる効果があるため、結晶粒の粗大化を防止するとともに、結晶粒を微細化させる効果が高い。また、Mnはマトリックスへの固溶による強度およびヤング率の増大も見込める。
Mn、Crの含有量が少なすぎると、これらの効果が期待できず、結晶粒が粗大化して、強度や靱性が低下する。一方、これらの元素の過剰な含有は溶解、鋳造時に粗大な金属間化合物や晶出物を生成しやすく、破壊の起点となり、靱性や疲労特性を低下させる原因となる。このため、Mn、Crはともに含有させるとともに、Mnの含有量は0.001〜1.0%、好ましくは0.2 〜0.6%の各範囲、Crの含有量は0.01〜0.35% 、好ましくは0.1 〜0.3%、より好ましくは0.1 〜0.2%の各範囲各々含有させる。
(Zr)
Mn、Crと同様に分散粒子 (分散相) を生成するZrの場合、Tiを含む場合など鋳造の条件によっては、却って鋳塊の結晶粒微細化を阻害する要因となる。特にZrは、Ti-Zr の化合物を生成して、TiあるいはTi、B の結晶粒微細化を阻害し、結晶粒を粗大化させる要因となる。したがって、本発明では、Zrを使用せず、不純物として含まれるZrの含有量を極力抑制する。具体的には、Zrは0.15% 未満、好ましくは0.05% 未満とする。
Cu:0.01 〜0.7%、好ましくは0.1 〜0.6%、より好ましくは0.3 〜0.5%。
Cu は固溶強化にて強度の向上に寄与する他、時効処理に際して、最終製品の時効硬化を著しく促進する効果も有する。Cuの含有量が少な過ぎると、これらの効果が無い。一方、Cuの含有量が多過ぎると、Al合金鍛造材の組織の応力腐食割れや粒界腐食の感受性を著しく高め、Al合金鍛造材の耐食性や耐久性を低下させる。したがって、Cuの含有量は0.01〜0.7%、好ましくは0.1 〜0.6%、より好ましくは0.3 〜0.5%の各範囲とする。
Fe:0.05 〜0.4%、好ましくは0.1 〜0.4%。
Feは、Mn、Crとともに、分散粒子 (分散相) を生成し、再結晶後の粒界移動を妨げ、結晶粒の粗大化を防止するとともに、結晶粒を微細化させる効果がある。Feの含有量が少な過ぎると、これらの効果が無い。一方、Feの含有量が多過ぎると、Al-Fe-Si晶出物などの粗大な晶出物を生成する。これらの晶出物は、破壊靱性および疲労特性などを劣化させる。したがって、Feの含有量は0.05〜0.4%、好ましくは0.1 〜0.4%の各範囲とする。
Ti:0.005〜0.1%、好ましくは0.01〜0.1%。
Ti は、鋳塊の結晶粒を微細化し、鍛造材組織を微細な亜結晶粒とする効果がある。Tiの含有量が少な過ぎるとこの効果が発揮されない。しかし、Tiの含有量が多過ぎると、粗大な晶析出物を形成し、前記加工性を低下させる。したがって、Tiの含有量は0.005 〜0.1%、好ましくは0.01〜0.1%の各範囲とする。
この他、以下に記載する元素は不純物であり、各々、以下に各々記載する含有量まで許容される。
水素:0.25 ml/100g Al以下。水素(H2)は不純物として混入しやすく、特に、鍛造材の加工度が小さくなる場合、水素に起因する気泡が鍛造等加工で圧着せず、ブリスターが発生し、破壊の起点となるため、靱性や疲労特性を著しく低下させる。特に、高強度化した足回り部品などにおいては、この水素による影響が大きい。したがって、 Al 100g当たりの水素濃度は0.25ml以下の、できるだけ少ない含有量とすることが好ましい。
Zn、V 、Hfも不純物として混入しやすく、足回り部品の特性を阻害するので、これらの合計で0.3%未満とする。
また、B は不純物であるが、Tiと同様、鋳塊の結晶粒を微細化し、押出や鍛造時の加工性を向上させる効果もある。しかし、300ppmを越えて含有されると、やはり粗大な晶析出物を形成し、前記加工性を低下させる。したがって、B は300ppm以下の含有まで許容する。
(自動車足回り部品の最大応力が発生する特定部位)
本発明では、軽量化形状した鍛造材自動車足回り部品のアーム部の内、最大応力が発生する特定部位における、ウエブ部分やリブ部分の組織を、リブとウエブとの両方ともに、上記要旨のように規定する。したがって、本発明自動車足回り部品における最大応力が発生する特定部位の意味を先ず説明する。
先ず、本発明自動車足回り部品の、軽量化形状にした代表的な形状を図1(a)、(b) を用いて説明する。図1(a)は、自動車足回り部品1 の全体形状と最大応力が発生するアーム部特定部位を示す平面図、図1(b)は図1(a)のA-A 線断面図 (最大応力が発生するアーム部特定部位の幅方向の断面図) である。
図1(a)において、自動車足回り部品1 は、この形状にニアネットシェイプに鍛造されたアルミニウム合金鍛造材からなる。自動車足回り部品1 は、概ね図1(a)に示すような略三角形の全体形状からなり、各三角形の頂点部分に、ボールジョイントなどのジョイント部5a、5b、5cを有しており、これらをアーム部2a、2bで各々繋いだ形状を、自動車足回り部品は共通して有している。アーム部2a、2bは、その幅方向の各周縁部 (両側端部) に、アーム部の各長手方向に亙って延在するリブを必ず有する。アーム部2aはリブ3a、3bを有し、アーム部2bはリブ3a、3cを有している。また、アーム部2a、2bは、その幅方向の各中央部に、アーム部の各長手方向に亙って延在するウエブを必ず有する。アーム部2aはウエブ4aを有し、アーム部2bはウエブ4bを有している。
ここで、各リブ3a、3b、3cは、自動車足回り部品では共通して、比較的幅狭で、肉厚が厚い。これに比して、各ウエブ4a、4bは、自動車足回り部品では共通して、リブ3a、3b、3cよりも薄肉で、肉厚が10mm以下の比較的広幅である。このため、アーム部2a、2bは、その幅方向の断面では、自動車足回り部品では共通して、略H型の断面形状を有している。H型の、両縦壁部分がリブ3a、3b、3c、中央の横壁部分がウエブ4a、4bの意味である。
以上のような全体構造や形状を前提として、通常の自動車足回り部品では、使用中に最大応力が発生する (最大応力が負荷される) 特定部位が、リブ部のボールジョイント部側になるように、アーム部2a、2bとボールジョイント部5a、5b、5cとを構造設計する。この最大応力発生部位は、勿論、この構造設計条件によって異なるものの、いずれかのリブ部のボールジョイント部側に多くはなる。
図1 の自動車足回り部品では、使用中に最大応力が発生する (最大応力が負荷される) 特定部位は、図1(a)の斜線で示す、リブ部のボールジョイント部側の長手方向に延在する斜線部である。即ち、この図1(a)の例では、斜線で示す、ボールジョイント部5a側のアーム部2aにおける片側、リブ3aとウエブ4aとを部分的に含む部位である。そして、更に、このアーム部の部分における幅方向断面での最大応力発生部位は、断面で均一ではなく、図1(b)に○で囲って示す、リブ3aの上端側の6a部分である。また、使用中に最大応力が発生する特定部位がリブ3aだけでなく、リブ3b側にも及ぶ場合には、図1(b)に○で囲って示す、リブ3bの上端側の6bも使用中に最大応力が発生する部位となる。
自動車足回り部品では、勿論、他の部材とのジョイント部5a、5b、5cなどにも大きな応力が発生する (負荷される) ものの、最大応力ではない。自動車足回り部品における最大応力は、必ず、図1(a)のように、アーム部の全体形状や形状要件によって定まる、特定のリブ部のボールジョイント部側部位に最大応力が発生する。
ここで、強度を有すべき、アーム部の最大応力発生部位の特にリブ部分、あるいはこのリブ部分を含めたウエブ部分に、結晶粒の粗大化が生じやすくなると、アーム部、ひいては自動車足回り部品全体としての強度を高く維持しながら軽量化を図るのは困難となる。
このため、本発明では、図1(a)に斜線で示す、最大の応力が負荷されるアーム部の特定部位 (ボールジョイント部5a側のアーム部2aにおける片側:リブ3aとウエブ4aとを両者とも各々部分的に含む部位) の組織を上記要旨のように規定する。なお、製造可能であれば、この最大の応力が負荷されるアーム部の特定部位だけでなく、好ましくはアーム部2a、2b全体の組織を上記要旨のようにすることが好ましい。
(組織)
本発明では、自動車足回り部品における、前記図1 において説明したアーム部の最大応力発生部位である、リブ3a組織の、晶出物、粒界析出物を各々規定する。そして、好ましくは、金属間化合物である分散粒子、再結晶割合を更に各々規定する。また、好ましくは、アーム部の最大応力発生部位におけるウエブ4a組織の再結晶割合を更に規定する。但し、リブ3a組織の晶出物は幅方向断面における最大応力発生部位の組織によって規定する。また、リブ3a組織の粒界析出物、分散粒子は、幅方向断面におけるパーティングラインの組織において規定する。更に、リブ3a組織やウエブ4a組織の再結晶割合は、最大応力発生部位の幅方向断面おいて規定する。
(晶出物)
本発明では、最大応力が負荷されるアーム部2aにおける幅方向断面組織の晶出物を、幅方向断面での最大応力が負荷される部位である、図1(b)に○で囲ったリブ3aの上端側の6a部分で規定する。なお、前記した通り、使用中に最大応力が発生する特定部位がリブ3aだけでなく、リブ3b側にも及ぶ場合には、図1(b)に○で囲って示す、リブ3bの上端側の6bも晶出物規定部位とする。本発明では、このような最大応力が負荷されるアーム部 (特にリブ部) において、ごく特定の部位における粗大な晶出物を抑制して、破壊の起点となる晶出物を抑制し、自動車足回り部品の靱性を向上させる。
ここで、本発明で言う晶出物とはAl-Fe-Si系晶出物である。前記した通り、Feの含有量が多過ぎると、このAl-Fe-Si系晶出物など、破壊靱性および疲労特性などを劣化させる粗大な晶出物を生成する。しかし、Feは不純物として、スクラップなどの溶解原料から、特に混入しやすい元素である。このため、通常の不純物レベル程度の含有量でも、このAl-Fe-Si系晶出物などの粗大な晶出物を生成する可能性が高くなる。
このため、本発明では、Al-Fe-Si系晶出物の密度を規定し、前記組織におけるAl-Fe-Si系晶出物などの粗大な晶出物を抑制する。即ち、前記組織におけるAl-Fe-Si晶出物は、平均面積率で1.5%以下、好ましくは1.0%以下とする。前記組織の、Al-Fe-Si系晶出物の平均面積率が1.5%以下、好ましくは1.0%以下を越えた場合、粗大な晶出物が生成しており、自動車足回り部品の破壊靱性および疲労特性などを劣化させる。
(晶出物の平均面積率測定)
ここで、Al-Fe-Si系晶出物の平均面積率は、幅方向断面での最大応力が負荷される部位である、前記図1(b)に○で囲ったリブ3aの上端側の6a部分を含む7 の部位の幅方向断面組織を観察する。より具体的には、倍率500 倍のSEM(走査型電子顕微鏡) で、観察面積が合計で0.2mm2となるように、前記部分内の複数箇所を観察して撮影し、得られた画像をデジタル処理して算出した。測定に再現性を持たせるために、これらの観察は任意の測定箇所10箇所について行ない、これらを平均化して平均面積率を算出することとする。
(粒界析出物)
本発明では、粒界析出物を、最大応力が負荷されるアーム部2aにおける幅方向断面組織の内、図1(b)のリブ3aのパーティングラインPL (を含む) 部位である8 の部分で規定する。なお、前記した通り、使用中に最大応力が発生する特定部位がリブ3aだけでなく、リブ3b側にも及ぶ場合には、リブ3aの8 に相当するリブ3bのパーティングラインPL (を含む) 部位も粒界析出物規定部位とする。
図1(b)に示す、このパーティングラインPLは、型割り面であり、上型と下型の金型を用いた熱間金型鍛造においては、両金型の境界にできる境界面 (分割する面) として、必然的に生じる。仮に、前記した最大応力が負荷部位である、図1(b)のリブ3bの上端側6bに、晶出物を起点とした破壊が生じた場合には、破壊はこのパーティングラインPLに向かって粒界を伝播する。このパーティングラインPLに向かう破壊の粒界伝播は、粒界析出物の存在によって大きく変わる。即ち、本発明では、最大応力が負荷されるアーム部 (特にリブ部) における粒界上の析出物を低減することによって、破壊の粒界伝播を阻止乃至抑制し、自動車足回り部品の破壊靱性および疲労特性を向上させる。
本発明で言う粒界析出物とはMg2Si や単体Siである。Mg2Si は、本発明では、主としてβ' 相として結晶粒内に析出させ、自動車足回り部品の高強度 (耐力) を付与する。しかし、このMg2Si や単体Siが粒界に析出すると、破壊の起点となって、前記パーティングラインPLに向かう破壊の粒界伝播を助長し、自動車足回り部品の破壊靱性および疲労特性などを劣化させる。
なお、MgやSiの含有量が前記した規定範囲内で適正であっても、通常の製造工程では、鋳造、均質化熱処理、熱間鍛造、溶体化処理および焼入れ処理などの熱履歴において、昇温速度や冷却速度が小さ過ぎる場合に、Mg2Si や単体Siが粒界に粗大あるいは密に析出しやすくなる。
このため、本発明では、最大応力が負荷されるアーム部2aにおける幅方向断面組織の内、図1(b)のリブ3aのパーティングラインPL (を含む) 部位である8 の部分で粒界析出物を規定する。即ち、この組織粒界におけるMg2Si や単体Siなどの粒界析出物同士の平均間隔を0.7 μm 以上、好ましくは1.6 μm 以上と広くすることで、粒界上の析出物を低減する。前記組織の、Mg2Si や単体Si同士の平均間隔が0.7 μm 未満、好ましくは1.6 μm 未満である場合、これら粒界析出物が粒界に粗大あるいは密に析出しており、自動車足回り部品の破壊靱性および疲労特性などを劣化させる。
(粒界析出物の測定)
ここで、粒界析出物の平均間隔は、図1(b)のリブ3aのパーティングラインPL (を含む) 部位である8 の部分の組織(幅方向断面組織)を、倍率20000 倍のTEM(透過型電子顕微鏡) で10視野観察し、粒界の長さl 当たりの粒界析出物の個数n からl/n 算出した。測定に再現性を持たせるために、これらの観察は任意の測定箇所10箇所について行ない、これらを平均化して平均面積率を算出することとする。
(分散粒子)
本発明では、好ましくは分散粒子も、前記粒界析出物と同様に、最大応力が負荷されるアーム部2aにおける幅方向断面組織の内、図1(b)のリブ3aのパーティングラインPL (を含む) 部位である8 の部分で規定する。なお、前記した通り、使用中に最大応力が発生する特定部位がリブ3aだけでなく、リブ3b側にも及ぶ場合には、リブ3aの8 に相当するリブ3bのパーティングラインPL (を含む) 部位も粒界析出物規定部位とする。
このパーティングラインPLでは、鍛造における加工率が最も大きくなり、再結晶しやすい部位である。このため、この最も再結晶しやすい部位の再結晶を阻止することが重要となる。したがって、本発明では、この最も再結晶しやすい部位における、再結晶を抑制する分散粒子を規定して、再結晶を抑制し、再結晶による結晶粒の粗大化を抑制する。これによって、最大応力が負荷されるアーム部( 特にリブ部) における再結晶化、結晶粒の粗大化による粒界破断を抑制して、自動車足回り部品の強度、靱性を向上させる。
本発明で言う分散粒子とはAl-Mn 系、Al-Cr 系、Al-Zr系の金属間化合物である。これら分散粒子は、前記した通り、微細で高密度、均一に分散すれば、再結晶後の粒界移動を妨げる効果があるため、結晶粒の再結晶化や粗大化を防止するとともに、結晶粒を微細化させる効果が高い。しかし、通常の製造工程では、鋳造、均質化熱処理、熱間鍛造、溶体化処理および焼入れ処理などの熱履歴において、昇温速度や冷却速度が小さ過ぎる場合に、製造条件によっては、粗大化しやすい。このため、再結晶抑制 (結晶粒微細化) 効果が失われ、却って、自動車足回り部品の破壊靱性および疲労特性を劣化させる可能性もある。
このため、本発明では、前記組織における上記分散粒子を微細、均一に分散させるようにし、粗大化させないために、分散粒子のサイズとして平均直径と、密度として平均面積率を規定することが好ましい。即ち、前記したリブ3a組織の晶出物、粒界析出物の各規定のように必須では無いが、好ましくは、上記分散粒子の平均直径が1200Å以下で、上記分散粒子の密度が平均面積率で4%以上であることとする。
前記組織の、上記分散粒子の平均直径が1200Åを越えるか、上記分散粒子の密度が平均面積率で4%を下回るかの、いずれかの場合、微細均一に分散させることができていない。このため、自動車足回り部品の破壊靱性および疲労特性などを劣化させる可能性がある。
(分散粒子の測定)
ここで、分散粒子の平均直径と平均面積率は、図1(b)のリブ3aのパーティングラインPL (を含む) 部位である8 の部分の組織(幅方向断面組織)を、倍率20000 倍のTEM(透過型電子顕微鏡) で10視野観察する。これを画像解析して、各分散粒子の最大長さを直径として、観察される分散粒子でのこの最大長さの平均を分散粒子の平均直径として算出する。また、同じく画像解析によって、観察される分散粒子の合計面積を求め、これの観察視野面積に対する割合を算出して、分散粒子の平均面積率とする。測定に再現性を持たせるために、これらの観察は任意の測定箇所10箇所について行ない、これらを平均化して算出することとする。
(再結晶面積割合)
本発明では、最大応力が負荷されるアーム部2aにおける幅方向断面組織の内、前記した最も再結晶しやすいパーティングラインPL部位を含む、図1(b)のリブ3aの幅方向断面における組織全般と、これに隣接するウエブ4aの幅方向断面における組織全般との二つの部位の再結晶粒の占める面積割合 (再結晶面積割合とも言う) を規制することが好ましい。これによって、リブとウエブとを合わせたアーム部の再結晶面積割合を規制することが好ましい。
ウエブ4aでも、リブ3aと同様に、パーティングラインPL部位を含んでおり、再結晶しやすい。そして、このウエブの結晶粒の大きさ (再結晶面積割合) も疲労強度に大きく影響する。また、ウエブはリブとは鍛造の加工度が違うゆえに、リブの再結晶面積割合が、リブのそれと異なる可能性が高い。したがって、最大応力が負荷されるアーム部の再結晶面積割合を規定する場合には、ウエブとリブとの両方を規定する必要がある。
これによって、最大応力が負荷されるアーム部 (特にリブ部とウエブ部) における再結晶を抑制して亜結晶粒を増し、結晶粒を10μm 以下程度に微細化させ、このアーム部における粒界破断を抑制して、自動車足回り部品の強度、靱性を向上させることが好ましい。
リブの規定部位は、図1(b)のリブ3aの幅方向断面における組織全般としては、幅方向断面での最大応力が負荷される部位である、前記図1(b)に○で囲ったリブ3aの上端側の6a部分を含む7 と、前記した最も再結晶しやすいパーティングラインPL部位を含む8 の各部分との2 箇所で規定 (測定) する。即ち、これら測定2 箇所7 、8 の再結晶粒の占める面積割合を、リブの幅方向断面における組織全般における組織を代表して、平均面積率で10% 以下に規制し、亜結晶粒を増し、平均結晶粒を10μm 以下程度に微細化させる。これによって、リブ部の粒界破断を抑制して、自動車足回り部品の強度、靱性を向上させる。
また、ウエブの規定部位は、図1(b)のウエブ4aの幅方向断面における組織全般としては、前記した最も再結晶しやすいパーティングラインPL部位を含む9 の部位で規定 (測定) する。即ち、これら測定2 箇所9 の再結晶粒の占める面積割合を、ウエブの幅方向断面における組織全般における組織を代表して、平均面積率で20% 以下に規制し、亜結晶粒を増し、平均結晶粒を10μm 以下程度に微細化させる。これによって、ウエブの粒界破断を抑制して、自動車足回り部品の強度、靱性を向上させる。
(再結晶面積割合の測定)
再結晶が占める面積割合は、リブおよびウエブの前記各観察部位 (断面組織) 試料を0.05〜0.1mm 機械研磨した後電解エッチングして鏡面化した表面を、400 倍程度の光学顕微鏡で観察して画像処理して、観察視野面積に対する再結晶面積の割合を算出する。再結晶粒はサイズが大きいために、光を反射しやすく色が淡く、その他の亜結晶を含めた結晶粒はサイズが小さいために色が濃い。これによって、前記した互いのサイズの違いとともに、この色の濃淡の違いによって識別可能であり、画像処理が可能である。測定に再現性を持たせるために、これらの観察は任意の測定箇所10箇所について行ない、これらを平均化して算出することとする。
以上の組織規定によって、特に最大応力発生部位であるアーム部のリブ部分やウエブ部分 (要はアーム部の最大応力発生部位) を高強度化、高靱性化させる。そして、肉厚が10mm以下の薄肉で比較的広幅な中央部のウエブからなる略H型の断面のアーム部を有する自動車足回り部品であっても (軽量化形状した鍛造材自動車足回り部品であっても) 、高強度化、高靱性化および高耐食性化させる。
(製造方法)
次に、本発明におけるAl合金鍛造材の製造方法について述べる。本発明におけるAl合金鍛造材の製造工程自体は、常法により製造が可能である。但し、軽量化形状した鍛造材自動車足回り部品であっても、前記した組織を有する自動車足回り部品とし、高強度化、高靱性化および高耐食性化させるためには、以下に説明する各製造工程における、特定条件での製造が必要となる。
(鋳造)
前記特定Al合金成分範囲内に溶解調整されたAl合金溶湯を鋳造する場合には、連続鋳造圧延法、半連続鋳造法(DC鋳造法)、ホットトップ鋳造法等の通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。
但し、前記特定Al合金成分範囲からなるアルミニウム合金溶湯を鋳造する際には、自動車足回り部品の前記アーム部の少なくとも最大応力発生部位の組織 (最大応力発生部位のリブ3aとウエブ4aとの両組織、以下同じ意味) におけるAl-Fe-Si晶出物の微細化と、デンドライト二次アーム間隔(DAS) を20μm 以下に微細化させるために、平均冷却速度を100 ℃/s以上とする。
鋳造の際の平均冷却速度が100 ℃/s未満に小さ過ぎた場合には、自動車足回り部品の前記アーム部の少なくとも最大応力発生部位の組織 (最大応力発生部位のリブ3aかウエブ4aのいずれか、または両方の組織、以下同じ意味) におけるAl-Fe-Si晶出物が粗大化し、平均面積率で0.1%以下とすることができなくなる。また、デンドライト二次アーム間隔(DAS) を20μm 以下と細かくできず、DAS が大きくなる。これらの結果、軽量化形状した鍛造材自動車足回り部品では、高強度化、高靱性化および高耐食性化させることができない。
(均質化熱処理)
鋳造した鋳塊の均質化熱処理は、460 〜570 ℃、好ましくは460 〜520 ℃の温度範囲に、10〜1500℃/hr 、好ましくは20〜1000℃/hr の昇温速度で加熱して、この温度範囲に2 hr以上保持する。そして、更に、均質化熱処理後の冷却速度は40℃/hr 以上とし、この冷却速度で一旦室温まで冷却する。
均質化熱処理の際の昇温速度が速過ぎるかあるいは遅過ぎても、分散粒子が粗大化して、微細均一分散できず、微細均一分散による結晶粒微細化効果が損なわれる。
均質化熱処理温度が高過ぎると、晶出物は溶け込みやすいものの、分散粒子が粗大化して微細均一分散できず、微細均一分散による結晶粒微細化効果が損なわれる。一方、均質化熱処理温度が低過ぎると、晶出物の溶け込みが不足して、粗大な晶出物が残存し、自動車足回り部品を高強度化、高靱性化することが難しくなる。
この均質化熱処理温度範囲での保持時間が2 hr未満では、均質化時間が不足し、晶出物の溶け込みが不足して、粗大な晶出物が残存し、自動車足回り部品を高強度化、高靱性化することが難しくなる。
均質化熱処理後の冷却速度が40℃/hr 未満では、溶体化処理前にMg2Si が結晶粒内に析出してしまう。このため、溶体化処理で析出させるMg2Si が不足し、結果として溶体化処理が不十分となって、自動車足回り部品を高強度化、高靱性化することが難しくなる。
(熱間鍛造)
均質化熱処理後に、上記冷却速度で一旦室温まで冷却された鋳塊は、熱間鍛造開始温度まで再加熱される。そして、メカニカルプレスによる鍛造や油圧プレスによる鍛造等により熱間鍛造して、自動車足回り部品の最終製品形状 (ニアネットシェイプ) に鍛造加工される。この形状とは、前記した軽量化形状であり、比較的幅狭で厚い周縁部のリブと、肉厚が10mm以下の薄肉で比較的広幅な中央部のウエブとからなる略H型の断面形状のアーム部を有する自動車足回り部品に加工される。
この熱間鍛造の際の終了温度は350 ℃以上とし、鍛造開始温度は、特に再加熱無しで、複数回行われる熱間鍛造の回数などの条件によって、終了温度を350 ℃以上とできる温度とする。自動車足回り部品は、特に再加熱無しで、荒鍛造、中間鍛造、仕上げ鍛造と、熱間鍛造が複数回行われ、熱間鍛造開始温度が350 ℃未満であれば、終了温度を350 ℃以上のより高温に保証することが困難となる。
熱間鍛造の際の終了温度が350 ℃未満では、分散粒子が微細に均一分散できないために、自動車足回り部品のアーム部の最大応力発生部位におけるAl合金の平均結晶粒径を、軽量化形状した鍛造材自動車足回り部品であっても、50μm 以下に微細化できなくなる。また、亜結晶粒の割合も小さくなる。この結果、自動車足回り部品を高強度化、高靱性化および高耐食性化できなくなる。
この分散粒子の効果を保証するために、熱間鍛造の際に、加熱する場合には、昇温速度を100 ℃/hr 以上と速くし、また、熱間鍛造終了後の冷却速度は100 ℃/hr 以上と速くすることが好ましい。
(調質処理)
この熱間鍛造後に、自動車足回り部品としての必要な強度および靱性、耐食性を得るためのT6、T7、T8等の調質処理を適宜行う。T6は、溶体化および焼き入れ処理後、最大強さを得る人工時効硬化処理である。T7は、溶体化および焼き入れ処理後、最大強さを得る人工時効硬化処理条件を超えて過剰時効硬化処理である。T8は、溶体化および焼き入れ処理後、冷間加工を行い、更に最大強さを得る人工時効硬化処理である。
この調質処理によって、前記アーム部の少なくとも最大応力発生部位の組織を本発明で規定するように最終的に最適化する。即ち、Al-Fe-Si晶出物の密度が平均面積率で1.0%以下、各Mg2Si 粒界析出物の最大直径の平均が2 μm 以下で、各Mg2Si 粒界析出物同士の平均間隔が1.6 μm 以上、Al-Mn 系あるいはAl-Cr 系金属間化合物である分散粒子の平均直径が1200Å以下で、密度が平均面積率で5%以下であることとする。
なお、溶体化および焼き入れ処理後の人工時効硬化処理の違いにおいて、T7調質材では、過剰時効硬化処理であるため、粒界上に析出するβ相の割合が高くなる。このβ相は腐食環境下で溶出しにくく、粒界腐食感受性を低くし、耐応力腐食割れ性を高める。一方、前記調質処理の内、T6調質材では、最大強さを得る人工時効硬化処理であり、β' 相が多く析出する。このβ' 相は腐食環境下で溶出しやすく、粒界腐食感受性を高くし、耐応力腐食割れ性を低める。したがって、Al合金鍛造材を前記T7調質材とすることで、耐力は若干低くなるものの、他の調質処理に比して、耐食性はより高くなる。
溶体化処理は、530 〜570 ℃の温度範囲に20分〜8hr保持する。この溶体化処理温度が低過ぎるか、あるいは時間が短過ぎると、溶体化が不足して、Mg2Si の固溶が不十分となり、強度が低下する。また、溶体化処理温度まで加熱する場合には、分散粒子の粗大化を防止し、その効果を保証するために、昇温速度を100 ℃/hr 以上と速くすることが好ましい。
この溶体化処理後、平均冷却速度が200 〜300 ℃/sの範囲で焼き入れ処理を行なう。この平均冷却速度を確保するためには、焼き入れ処理時の冷却は水冷により行なうことが好ましい。この焼き入れ処理時の冷却速度が低くなると、粒界上にMg2Si 、Si等が析出し、人工時効後の製品において、粒界破壊が生じ易くなり、靱性ならびに疲労特性を低くする。また、冷却途中に、粒内にも、安定相Mg2Si 、Siが形成され、人工時効時に析出するβ相、β' 相の析出量が減るため、強度が低下する。
ただ、一方で、冷却速度が高くなると、焼入歪み量が多くなり、焼入後に、矯正工程が新たに必要となったり、矯正工程の工数が増す問題も新たに生じる。また残留応力も高くなり、製品の寸法、形状精度が低下する問題も新たに生じる。この点、製品製造工程を短縮し、低コスト化するためには、焼入歪みが緩和される50〜85℃の温湯焼入が好ましい。ここで、温湯焼入温度が50℃未満では焼入歪みが大きくなり、85℃を越えると冷却速度が低くなりすぎ、靱性ならびに疲労特性、強度が低くなる。
溶体化および焼き入れ処理後の人工時効硬化処理は、530 〜570 ℃の温度範囲と、20分〜8hrの保持時間の範囲から、前記T6、T7、T8等の調質処理の条件を選択する。なお、前記した、均質化熱処理、溶体化処理には空気炉、誘導加熱炉、硝石炉などが適宜用いられる。更に、人工時効硬化処理には空気炉、誘導加熱炉、オイルバスなどが適宜用いられる。本発明自動車足回り部品は、これら調質処理の前後に、自動車足回り部品として必要な、機械加工や表面処理などが適宜施されても良い。
(H型断面形状以外の断面形状)
ここで、本発明自動車足回り品は、例えば中実製品などの、主に説明したリブとウエブからなるH型断面形状以外の任意の断面形状であっても、本発明の主にリブにて説明した前記組織の規定を適用してもよい。例えば、中実製品などのミクロ組織で、その中実製品の最大応力発生部位における横方向断面組織において、本発明の前記組織の規定を適用してもよい。具体的には、中実製品の最大応力が発生する断面部位の組織で観察される晶出物密度が平均面積率で1.5%以下であり、鍛造の際に生じるパーティングラインを含む断面部位の組織で観察される各粒界析出物同士の間隔が0.7 μm以上であることとすれば、中実製品でも、その最大応力発生部位の強度、靱性を向上させることができる。
また、中実製品でも、好ましくは、分散粒子のサイズが平均直径で1200Å以下であるとともに、これら分散粒子の密度が平均面積率で4%以上であり、断面組織において観察される再結晶粒に占める面積割合が平均面積率で10%以下とすることも、H型断面形状と同様に適用でき、効果を発揮する。更に、好ましくは、最大応力が発生する断面部位の組織で観察される晶出物密度が平均面積率で1.0%以下であり、鍛造の際に生じるパーティングラインを含め断面部位の組織で観察される各粒界析出物同士の間隔が1.6 μm以上であることも、H型断面形状と同様に適用でき、効果を発揮する。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
次に、本発明の実施例を説明する。条件を変えて種々製造した各自動車足回り部品 (鍛造材) の組織、機械的特性、耐食性を測定し、評価した。
表1 に示す合金番号A 〜R およびS 〜Y の化学成分組成のAl合金鋳塊 (Al合金鋳造材、いずれも直径φ82mmの鋳造棒) を、半連続鋳造法により、表2 に示す比較的高速の冷却速度により鋳造した。表1 に示す合金番号の内、A 〜C およびD 、F 、H 、L 、M 、N 、Q は発明例、E 、G 、I 、J 、K 、O 、P 、R およびS 〜Y は比較例である。なお、表1 に示す各Al合金例の、その他の不純物含有量につき、Zrなど特定の不純物含有量が高過ぎる比較例P を除いて、各Al合金例のZn、V 、Hfは合計で0.2%未満、B は300ppm以下であった。また、各Al合金例の、100gのAl中の水素濃度は全て0.10〜0.15mlであった。
これら化学成分組成の各Al合金鋳塊の外表面を厚さ3mm 面削して、長さ500mm に切断後、各々表2 、3 に示す各条件で、均質化熱処理、メカニカルプレスを用いた熱間金型鍛造、溶体化焼入れ処理、時効硬化処理を行い、図1 に示した形状の自動車足回り部品を製造した。ここで、均質化熱処理は、昇温速度、冷却速度、均質化温度での保持時間を各々変化させた。熱間鍛造は終了温度を変化させた。溶体化焼入れ処理は、溶体化温度、溶体化温度での保持時間、冷却速度を各々変化させた。時効硬化処理は、時効温度、時効温度での保持時間を各々変化させた。
製造した自動車足回り部品は、肉厚が30mmである比較的狭幅の周縁部のリブ3a、3b、3cと、肉厚が10mmである比較的広幅な (幅:60mm)中央部のウエブ4a、4bとからなる略H型の断面形状のアーム部2a、2bを有していた。
ここで、均質化熱処理の際の冷却速度は、出炉後の冷却ファンの使用の有無により制御した。冷却速度が100 ℃/hr のものはファンを使用して強制空冷し、20℃/hr のものは常法通りファンを使用せずに放冷した。
メカニカルプレスを用いた鍛造は、上下金型を用い、フラッシュランドの隙間1.5 〜3mm で、再加熱なしに3 回鍛造した。自動車足回り部品 (鍛造材) の合計加工率は、歪み量(%) で、自動車足回り部品のリブ3a、3b、3cで50〜80% 、ウエブ4a、4bで60〜90% である。
これら熱間鍛造の歪み量(%)Cは、アーム部の最大応力発生部位 (図1 の斜線部) における平均結晶粒間隔A と鋳塊の平均セル層サイズB とを用い、C=[(B-A)/B] ×100%の式により算出した。鋳塊の平均セル層サイズB は鋳塊の面削前において、鋳込み方向に対する垂直面で、鋳塊外表面から中心部までを4 等分し、この鋳塊外表面から中心部への計5 箇所での平均値を用いた。この際、歪み量が小さく、明瞭なフローラインを形成しない場合には、鍛造した材料に残存する鋳塊セル層の大きさ( 最小長方向) E を用いて、C=[(B-E)/B] ×100%の式により算出した。
溶体化処理は、空気炉を用い、溶体化処理後は水焼入れを行い、この水の温度を調整して、表2 、3 に示すように、水焼入れ時の冷却速度を制御した。冷却速度が200 ℃/sのものは60℃の温水に焼入れを行い、冷却速度が250 ℃/sものは40℃の温水に焼入れを行い、冷却速度が300 ℃/sものは室温約20℃の水に焼入れを行った。なお、冷却速度が20℃/sのものは空冷した。
これら製造した各自動車足回り部品の前記したアーム部の最大応力発生部位 (図1 の斜線部) における、図1(b)のリブ3aの幅方向断面における部位7 の晶出物、部位8 の粒界析出物と分散粒子の状態、部位7 、8 の再結晶面積割合、を各々表4 、5 に示す。また、このリブ3aに隣接する図1(b)のウエブ4aの部位9 の組織の再結晶面積割合を表4 、5 に示す。
また、これら各自動車足回り部品のリブ3aの幅方向断面における前記部位7 を含む引張試験片の特性も各々表4 、5 に示す。また、ウエブ4aの幅方向断面における前記部位9 を含む引張試験片の特性も各々表4 、5 に示す。なお、表2 〜5 のAl合金番号は表1 のAl合金番号と各々対応し、表4 は表2 の続きで表2 の番号は表5 の番号と各々対応し、表5 は表3 の続きで表3 の番号は表5 の番号と各々対応する。
(機械的特性)
各々引張試験片A (L方向) とシャルピー試験片B (LT 方向) を、前記リブ3aとウエブ4aの各部位を含む、長手方向の任意箇所から各2 個づつ採取し、引張強度(MPa) 、0.2%耐力(MPa) 、伸び(%) 、シャルピー衝撃値、等を各々測定し、各平均値を求めた。
(粒界腐食感受性)
粒界腐食感受性試験は、各自動車足回り部品の前記したアーム部の少なくとも最大応力発生部位 (図1 の斜線部) より、前記リブ3aの部位7 、8 を両者含むように、試験片を採取した。粒界腐食感受性試験条件は、旧JIS-W1103 の規定に準じて行った。この状態で、規定時間の6hr浸漬後、試料を引き上げ、その後、試験片の断面を切断・研磨し、光学顕微鏡を用いて、試料表面からの腐食深さを測定した。倍率は×100 とした。腐食深さが200 μm 以下までを軽微な腐食として「○」と評価した。また、200 μm を超える場合を大きな腐食として「×」と評価した。
(応力腐食割れ性)
応力腐食割れ試験は、各自動車足回り部品の前記したアーム部の少なくとも最大応力発生部位 (図1 の斜線部) より、前記リブ3aの部位7 、8 を両者含むように、試験片を採取し、C リング状の試験片に加工して行った。応力腐食割れ試験条件は、前記 Cリング試験片をASTM G47の交互浸漬法の規定に準じて行った。但し、試験条件は、更に、自動車足回り部品に引張応力が付加されて使用されることを模擬して、C リング試験片のST方向に、前記機械的特性の試験片のL 方向の耐力の75% の応力を負荷した、実際の使用状態よりも厳しい状態とした。
この状態で、C リング試験片の塩水への浸漬と引き上げを繰り返して行い、試験片に応力腐食割れが発生するまでの時間を測った。これらの結果を表4 、5 に示す。応力腐食割れが発生するまでの時間が200 時間以上は、自動車足回り部品としての耐食性が良好であるが、200 時間未満は耐食性が劣っていると評価できる。これらの結果も表4 、5 に示す。
表4 、5 から明らかな通り、各発明例は、組成と製造条件が好ましい範囲内である。この結果、発明例は、自動車足回り部品のアーム部の最大応力発生部位の組織が本発明規定を満足する。即ち、リブの最大応力発生部位における幅方向断面組織で観察される、晶出物密度が平均面積率で1.5%以下であり、各粒界析出物同士の間隔が平均間隔で0.7 μm 以上である。この結果、発明例はリブ、ウエブとも引張強度が350MPa以上およびリブのシャルピー衝撃値が10J/cm2 以上である。また、発明例は、最大応力発生部位におけるリブ部の粒界腐食感受性および耐応力腐食割れ性にも優れている。
この発明例の内でも、発明例1 〜3 は組成 (各元素含有量) が好ましい範囲内である。また、この組織における分散粒子のサイズが平均直径で1200Å以下であるとともに、これら分散粒子の密度が平均面積率で4%以上の好ましい範囲内である。更に、これらリブの断面組織において観察される再結晶粒の占める面積割合が平均面積率で10% 以下である。しかも、これらリブの断面組織に隣接するウエブの幅方向の断面組織において観察される再結晶粒の占める面積割合が平均面積率で20% 以下である。
この結果、発明例1 〜3 は、リブ、ウエブとも引張強度が400MPa以上およびリブのシャルピー衝撃値が15J/cm2 以上である。また、発明例1 〜3 は、更に、最大応力発生部位におけるリブ部の粒界腐食感受性および耐応力腐食割れ性にも優れている。
これに対し、最適製造条件から外れて製造された比較例4 、5 、9 〜16は、本発明範囲内のB の組成のAl合金を用いてはいるが、自動車足回り部品のアーム部の最大応力発生部位の組織の方が本発明規定を満足しない。この結果、自動車足回り部品のアーム部の最大応力発生部位の、強度、靱性、耐食性のいずれかが、発明例に比して著しく劣る。
比較例4 は鋳造冷却速度が過小である。比較例5 は均熱温度が低過ぎる。比較例9 は均熱冷却速度が過小である。比較例10は鍛造終了温度が低過ぎる。比較例11は溶体化温度が低過ぎる。比較例12は溶体化温度が高過ぎる。比較例13は焼入の際の冷却速度が小さ過ぎる。比較例14は均熱温度が高過ぎるために、鋳塊にバーニング (局部溶融) が生じ、以後の製造、特性評価が不可能であった。比較例15は均熱昇温速度が過小である。比較例16は均熱昇温速度が過大である。
また、本発明範囲外の組成のAl合金E 、G 、I 、J 、K 、O 、P 、R およびS 〜Y を用いた比較例18、20、22〜24、28、29、31〜38は、最適製造条件内で製造されているものの、自動車足回り部品のアーム部の最大応力発生部位の、強度、靱性、耐食性のいずれかが、発明例に比して著しく劣る。
比較例32はMg過少である。比較例18はMg過多である。比較例33はSi過少である。比較例20はSi過多である。比較例34はCu過少である。比較例22はCu過多である。比較例23はFe過少である。比較例24はFe過多である。比較例35はMn過少である。比較例36はMn過多である。比較例37はCr過少である。比較例28はCr過多である。比較例29はZr過多である。比較例38はTi過少である。比較例31はTi過多である。
以上の結果から、本発明組成、最適製造条件、組織規定の、自動車足回り部品のアーム部の最大応力発生部位の強度、靱性、耐応力腐食割れ性を向上させる臨界的な意義が分かる。
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本発明によれば、高強度化、高靱性化および高耐食性化させた自動車足回り部品およびその製造方法を提供することができる。したがって、Al-Mg-Si系アルミニウム合金鍛造材の輸送機用への用途の拡大を図ることができる点で、多大な工業的な価値を有するものである。
Al合金鍛造材製自動車足回り部品を示す平面図である。
符号の説明
1:自動車足回り部品、2:アーム部、3:リブ、4:ウエブ、
5:ジョイント部、6:最大応力発生部位 (断面方向) 、
7 、8 、9:試料採取部位

Claims (9)

  1. 質量% で、Mg:0.5〜1.25% 、Si:0.4〜1.4%、Cu:0.01 〜0.7%、Fe:0.05 〜0.4%、Mn:0.001〜1.0%、Cr:0.01 〜0.35% 、Ti:0.005〜0.1%を各々含み、かつZr:0.15%未満に規制し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金鍛造材から構成される自動車足回り部品であって、最大応力発生部位における幅方向断面組織において、最大応力が発生する断面部位の組織で観察される晶出物密度が平均面積率で1.5%以下であり、鍛造の際に生じるパーティングラインを含む断面部位の組織で観察される各粒界析出物同士の間隔が平均間隔で0.7 μm 以上であることを特徴とする自動車足回り部品。
  2. 前記自動車足回り部品が、比較的幅狭で厚い周縁部のリブと比較的広幅な中央部のウエブとからなる略H型の幅方向断面形状のアーム部を有し、前記した最大応力発生部位が前記リブにある、請求項1に記載の自動車足回り部品。
  3. 前記リブの最大応力発生部位における幅方向断面組織において、最大応力が発生する断面部位の組織で観察される分散粒子のサイズが平均直径で1200Å以下であるとともに、これら分散粒子の密度が平均面積率で4%以上であり、これらリブの断面組織において観察される再結晶粒の占める面積割合が平均面積率で10% 以下であり、更に、これらリブの断面組織に隣接する前記ウエブの幅方向の断面組織において観察される再結晶粒の占める面積割合が平均面積率で20% 以下である請求項2に記載の自動車足回り部品。
  4. 前記最大応力が発生する断面部位の組織で観察される晶出物密度が平均面積率で1.0%以下であり、鍛造の際に生じるパーティングラインを含む断面部位の組織で観察される各粒界析出物同士の間隔が平均間隔で1.6 μm 以上である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自動車足回り部品。
  5. 前記アルミニウム合金鍛造材の組成が、質量% で、Mg:0.7〜1.25% 、Si:0.8〜1.3%、Cu:0.1〜0.6%、Fe:0.1〜0.4%、Mn:0.2〜0.6%、Cr:0.1〜0.3%、Ti:0.01 〜0.1%を各々含み、かつZr:0.15%未満に規制し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自動車足回り部品。
  6. 前記アルミニウム合金鍛造材の組成が、質量% で、Mg:0.9〜1.1%、Si:0.9〜1.1%、Cu:0.3〜0.5%、Fe:0.1〜0.4%、Mn:0.2〜0.6%、Cr:0.1〜0.2%、Ti:0.01 〜0.1%を各々含み、かつZr:0.15%未満に規制し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自動車足回り部品。
  7. 前記ウエブの肉厚が10mm以下の薄肉である請求項2乃至6のいずれか1項に記載の自動車足回り部品。
  8. 請求項1および請求項7のいずれかの自動車足回り部品の製造方法であって、請求項1、5、6のいずれかに記載の組成を有するアルミニウム合金溶湯を平均冷却速度が100 ℃/s以上で鋳造し、この鋳造した鋳塊を460 〜570 ℃の温度範囲に10〜1500℃/hr の昇温速度で加熱して、この温度範囲に2 hr以上保持する均質化熱処理を施した後に40℃/hr 以上の冷却速度で室温まで冷却し、更に熱間鍛造開始温度まで再加熱して熱間金型鍛造するとともに、鍛造終了温度を350 ℃以上とし、この熱間鍛造後に、530 〜570 ℃の温度範囲に20分〜8hr保持する溶体化処理を施し、その後、平均冷却速度が200 〜300 ℃/sの範囲で焼き入れ処理を行ない、更に、人工時効硬化処理することを特徴とする自動車足回り部品の製造方法。
  9. 前記熱間金型鍛造にて製造される自動車足回り部品が、比較的幅狭で厚い周縁部のリブと比較的広幅な中央部のウエブとからなる略H型の幅方向断面形状のアーム部を有する、請求項8に記載の自動車足回り部品の製造方法。
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