JP2008158536A - 防眩性ハードコートフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 透明プラスチックフィルム基材に防眩性ハードコート層を形成した場合に、防眩性を維持しつつディスプレイの表示コントラストの低下を抑制することが可能な防眩性ハードコートフィルムを提供する。
【解決手段】 透明なフィルム基材1の少なくとも一方の面に、微粒子2bを含有し、表面が凹凸状のハードコート層2を備えた防眩性ハードコートフィルム4であって、前記微粒子2bの平均粒径が6μm〜15μmであり、かつ、前記微粒子2bにより形成される凹凸形状の平均傾斜角θaが0.4°以上1.5°以下であり、(コントラスト比)/(前記微粒子を含まないハードコートフィルムのコントラスト比)×100≧60%の関係を満たすことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 透明なフィルム基材1の少なくとも一方の面に、微粒子2bを含有し、表面が凹凸状のハードコート層2を備えた防眩性ハードコートフィルム4であって、前記微粒子2bの平均粒径が6μm〜15μmであり、かつ、前記微粒子2bにより形成される凹凸形状の平均傾斜角θaが0.4°以上1.5°以下であり、(コントラスト比)/(前記微粒子を含まないハードコートフィルムのコントラスト比)×100≧60%の関係を満たすことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、透明なフィルム基材の少なくとも片面にハードコート層を設けた防眩性ハードコートフィルムに関する。より詳細には、偏光板等の光学素子や、CRT(Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)及びエレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等の画像表示装置に好適に使用可能な防眩性ハードコートフィルム、それを備えた偏光板及びそれらを備えた画像表示装置に関する。
各種画像表示装置の一つにLCDがあるが、LCDの高視野角化、高精細化、高速応答性、色再現性等に関する技術革新に伴い、LCDを利用するアプリケーションもノート型パーソナルコンピュータやモニターからテレビへと変化しつつある。LCDの基本的な構成は、それぞれ透明電極を備えた平板状のガラス基板を、一定間隔のギャップとなる様にスペーサーを介して対向配置し、該ガラス基板間に液晶材料を注入し封止して液晶セルとし、更に一対のガラス基板の外側面にそれぞれ偏光板を設けたものとなっている。従来は、2枚の透明プラスチックフィルム基材に狭持された偏光板の表面にサンドブラストやエンボスロール、化学エッチング等の適宜な方式で粗面化処理して偏光板表面に微細凹凸構造を付与したり、別途透明プラスチックフィルム基材表面に設けられたハードコート層に微粒子を分散含有させて微細凹凸構造を付与する方法等で防眩処理を行ってきた。
透明プラスチックフィルム基材に防眩処理を行った防眩性ハードコートフィルムは、通常、熱硬化型樹脂や、紫外線硬化型樹脂等の電離放射線硬化型樹脂に粒径が数μmの球形又は不定形の無機又は有機微粒子を分散したものを、透明プラスチックフィルム基材上に2〜10μm程度の薄い塗膜を形成して得られる。
LCD等のフラットパネルディスプレイが家庭用のテレビに適用されることにより、高視野角化、高速応答化、高精細化等の表示品位の向上と共に、室内の蛍光灯や視聴者の像がディスプレイ表面に写りこむことを防止する防眩性の向上と、明所での表示コントラストの更なる向上、つまり黒表示時に於ける黒の濃さの向上が要求されている。
しかし、防眩性と明所での表示コントラストとはトレードオフの関係を有している。従って、表示コントラストを重要視するアプリケーションに於いては、防眩性を犠牲にして平滑な表面形状のハードコート層がディスプレイ表示面の最表面に配置される。また、防眩性を重要視するアプリケーションに於いては、凹凸形状のハードコート層(防眩層)がディスプレイ表示面の最表面に配置される。
明所で表示コントラストが低下する原因としては、平滑な表面形状のハードコート層又は防眩層表面での反射及び防眩層内部での光散乱による影響が考えられる。表面反射による表示コントラストの低減を抑制する為に、反射防止層をディスプレイ表示面の最表面に適宜設けることにより、外光が表示面で反射するのを低減させ、明所での表示コントラストの向上を図っている。
前記のトレードオフの関係は、ハードコート樹脂に微粒子を添加して得られる防眩性ハードコート層を単に用いたとしても回避できない。所定の防眩特性を得るために微粒子の添加量を適宜調整すると、表示コントラストが低下するからである。この様な防眩性ハードコートフィルムに於ける表示コントラストの低下に関する問題を解決する方法が、例えば下記特許文献1に開示されている。
特許文献1には、透明支持体上に、少なくとも1層の防眩性ハードコート層を有する防眩性反射防止フィルムが記載されている。前記の防眩性ハードコート層には、防眩性ハードコート層の層厚に対し60%以上95%未満の平均粒径を有する第1の透光性粒子を少なくとも1種と、同層厚に対し105%以上140%未満である平均粒径を有する第2の透光性粒子を少なくとも1種とが含まれている。しかし、前記構成の防眩性反射防止フィルムであると、ハードコート層の膜厚に対する透光性微粒子の平均粒径の規定のみでは、防眩性と表示コントラスト特性との両方を同時に向上させることは困難である。
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、フィルム基材上に防眩性ハードコート層を形成した場合に、防眩性を維持しつつディスプレイの表示コントラストの低下を抑制することが可能な防眩性ハードコートフィルムを提供することにある。また、前記防眩性ハードコートフィルムを備えた偏光板、及びそれらを備えた画像表示装置を提供することにある。
本願発明者等は、前記従来の問題点を解決すべく、防眩性ハードコートフィルム、それを備えた偏光板、又はそれらを備えた画像表示装置について検討した。その結果、下記構成を採用することにより前記目的を達成できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明に係る防眩性ハードコートフィルムは、前記の課題を解決する為に、透明なフィルム基材の少なくとも一方の面に、微粒子を含有し、表面が凹凸状のハードコート層を備えた防眩性ハードコートフィルムであって、前記微粒子の平均粒径が6μm〜15μmであり、かつ、前記微粒子により形成される凹凸形状の平均傾斜角θaが0.4°以上1.5°以下であり、表示コントラスト特性が60以上であることを特徴とする。
微粒子の平均粒径を6μm〜15μmにすることにより、防眩性ハードコートフィルム表面を非常に滑らかな凹凸形状にすることができる。また、前記凹凸形状の平均傾斜角θaを0.4°〜1.5°にすることで防眩性を良好なものにする。更に、表示コントラスト特性を60以上にすることで、明所での表示品位を良好なものにする。即ち、前記構成であると、防眩性及び表示コントラストを共に向上させた防眩性ハードコートフィルムを提供することができる。尚、表示コントラスト特性は、(防眩性ハードコートフィルムのコントラスト比)/(ハードコートフィルムのコントラスト比)×100で算出した値である。また、コントラスト比は、(白表示での輝度/黒表示での輝度)で表される値である。
前記防眩性ハードコートフィルムに於いては、前記ハードコート層の膜厚が15μm〜35μmであることが好ましい。ハードコート層の膜厚を15μm以上にすることにより、防眩性ハードコートフィルム自体の硬度が過度に低下するのを防止できる。その一方、膜厚を35μm以下にすることにより、防眩性ハードコートフィルムにクラックが発生するのを防止することができる。また、防眩性ハードコートフィルムの硬化収縮に起因して、ハードコート層側が内側となる様にカールすることも低減することができる。
また、前記防眩性ハードコートフィルムに於いては、前記微粒子が略球形状であることが好ましい。
本発明に係る偏光板は、前記の課題を解決する為に、前記に記載の防眩性ハードコートフィルムを備えたことを特徴とする。
これにより、防眩性及び表示コントラストが良好な偏光板を提供することができる。
本発明に係る画像表示装置は、前記の課題を解決する為に、前記に記載の防眩性ハードコートフィルム、又は前記に記載の偏光板を備えたことを特徴とする。
これにより、防眩性及び表示コントラストに優れ、表示品位の高い画像表示装置を提供することができる。
本発明は、前記に説明した手段により、以下に述べるような効果を奏する。
即ち、本発明によれば、微粒子の平均粒径を6μm〜15μmとし、ハードコート層に於ける凹凸形状の平均傾斜角θaを0.4°〜1.5°とし、更に表示コントラスト特性を60以上にすることで、防眩性と表示コントラストの両方が極めて良好な防眩性ハードコートフィルム、それを備えた偏光板及びそれらを備えた画像表示装置を提供することができる。
即ち、本発明によれば、微粒子の平均粒径を6μm〜15μmとし、ハードコート層に於ける凹凸形状の平均傾斜角θaを0.4°〜1.5°とし、更に表示コントラスト特性を60以上にすることで、防眩性と表示コントラストの両方が極めて良好な防眩性ハードコートフィルム、それを備えた偏光板及びそれらを備えた画像表示装置を提供することができる。
本発明の実施の形態について、図を参照しながら以下に説明する。図1は、本実施の形態に係る防眩性ハードコートフィルムの概略を示す断面模式図である。
同図に示すように、本実施の形態に係る防眩性ハードコートフィルム4は、透明性を有するプラスチックからなるフィルム基材1の一方の面に防眩性ハードコート層(以下、単にハードコート層と言う)2を積層した構成である。尚、図1には示していないが、ハードコート層2はフィルム基材1の両面に設けることも可能である。また、図1では、ハードコート層2が単層の場合を例示しているが、本発明のハードコート層を有するものであれば、これらは2層以上であってもよい。
前記フィルム基材1は、可視光の光線透過率に優れ(好ましくは光線透過率90%以上)、透明性に優れるもの(好ましくはヘイズ値1%以下)であれば特に制限はない。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムが挙げられる。また、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムも挙げられる。更に、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマーや前記ポリマーのブレンド物等の透明ポリマーからなるフィルム等も挙げられる。特に光学的に複屈折の少ないものが好適に用いられる。
本実施の形態に係る防眩性ハードコートフィルム4を保護フィルムとして偏光板に使用する場合には、フィルム基材1としては、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、アクリル系ポリマー、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン等が好適である。また、フィルム基材1は、後述の偏光子自体であってもよい。この様な構成であると、TAC等からなる保護層を不要とし偏光板の構造を単純化できるので製造工程数を減少させ、生産効率の向上が図れる。また、偏光板を一層薄層化することができる。尚、フィルム基材1が偏光子である場合には、ハードコート層2が従来の保護層としての役割を果たすことになる。また、防眩性ハードコートフィルムは、液晶セル表面に装着されるカバープレートとしての機能を兼ねることになる。
フィルム基材1の厚さについては適宜に決定しうるが、一般には強度や取り扱い性等の作業性、薄層性等の点を考慮し、10〜500μm程度である。特に20〜300μmが好ましく、30〜200μmがより好ましい。更に、フィルム基材1の屈折率としては特に制限されず、通常1.30〜1.80程度、特に1.40〜1.70であることが好ましい。
前記ハードコート層2は、樹脂バインダー2aに微粒子2bを添加して、その表層部分が凹凸状に形成された層である。
前記ハードコート層2は、ウレタンアクリレート(A成分)、ポリオール(メタ)アクリレート(B成分)、及び水酸基及びアクリロイル基の少なくとも一方の基を有するアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートのポリマー、コポリマー又は前記ポリマーとコポリマーの混合物(C成分)を形成材料として構成される。
前記ウレタンアクリレート(A成分)としては、(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステル、ポリオール、ジイソシアネートを構成成分として含有するものが用いられる。例えば、(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステルとポリオールから、水酸基を少なくとも1つ有するヒドロキシ(メタ)アクリレートを作成し、これをジイソシアネートと反応させることによって製造したものが用いられる。(メタ)アクリル酸はアクリル酸及び/又はメタクリル酸であり、本発明に於いて(メタ)は同様の意味である。これら各構成成分は、1種でもよく、又は2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸のエステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記ポリオールは、水酸基を少なくとも2つ有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジオール、スピログリコール、トリシクロデカンジメチロール、水添ビスフェノールA、エチレンオキサイド付加ビスフェノールA、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールA、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グルコース類等が挙げられる。
前記ジイソシアネートとしては、芳香族、脂肪族又は脂環族の各種のジイソシアネート類を使用することができ、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3−ジメチル−4,4−ジフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等、更にはこれらの水添物等が挙げられる。
前記ウレタンアクリレート(A成分)の添加量については、少なすぎるとハードコート層の柔軟性及び密着性が低下し、多すぎると硬化後のハードコート層の硬度が低下する。この為、ハードコート形成材料の全樹脂成分(A〜C成分の合計量、又は添加樹脂材料等がある場合にはそれを含めた合計量)に対しウレタンアクリレート(A成分)は15重量%〜55重量%が好ましく、25重量%〜45重量%であるのがより好ましい。ウレタンアクリレート(A成分)の添加量をハードコート形成材料の全樹脂成分に対し55重量%を超えて添加するとハードコート性能が低下して好ましくない場合がある。また、15重量%未満の配合では柔軟性や密着性が向上せず、好ましくない場合がある。
前記ポリオール(メタ)アクリレート(B成分)の構成成分としては、例えば、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとを含む混合成分が特に好ましい。
ポリオール(メタ)アクリレート(B成分)の配合量は、ウレタンアクリレート(A成分)に対し70重量%〜180重量%の割合であることが好ましく、100重量%〜150重量%の割合であることがより好ましい。ポリオール(メタ)アクリレート(B成分)の配合量がウレタンアクリレート(A成分)に対し180重量%を超える割合にすると、ハードコート層の硬化収縮が大きくなり、その結果、ハードコートフィルムのカールが大きくなったり、屈曲性が低下して好ましくない場合がある。また、70重量%未満の割合では、ハードコート性、即ち硬度や耐擦傷性が低下して好ましくない場合がある。
前記C成分に於けるアルキル基としては特に限定されないが、例えば炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。また、アルキル基は直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。前記C成分は、例えば下記一般式(1)の繰り返し単位を含むポリマー、コポリマー又は前記ポリマーとコポリマーの混合物が挙げられる。より具体的には、例えば2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジアクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチル(メタ)アクリレート等のモノマーから形成されるポリマー、コポリマー又は前記ポリマーとコポリマーの混合物が挙げられる。
前記一般式(1)に於いて、R1はH基又はCH3基を表し、R2はCH2CH2X基又は下記一般式(2)で表される官能基を表す。
前記XはH基又は下記一般式(3)で表されるアクリロイル基を表し、各Xは同種であってもよく異種であってもよい。
前記C成分の添加量としては、ウレタンアクリレート(A成分)に対し、25重量%〜110重量%の割合であることが好ましく、45重量%〜85重量%の割合であることがより好ましい。配合量が110重量%を超える場合には、塗工性が低下し好ましくない場合がある。また、配合量が25%未満の場合には、カールの発生が著しく増大し好ましくない場合がある。
尚、本発明に於いては、このC成分を含有することによりハードコート層2の硬化収縮を抑制し、その結果カールの発生を防止するものである。ハードコートフィルム等の製造上の観点からは、カールの発生を少なくとも30mm以内に抑制するのが好ましく、その範囲内にカールの発生を抑制することにより作業性及び生産効率を一層向上させることができる。
前記ハードコート層2には、微粒子2bが含まれている。微粒子2bは主に防眩性を付与する防眩性微粒子として機能する。微粒子2bは、無機微粒子と有機微粒子に分類される。前記無機微粒子としては特に限定されず、例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化インジウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム等が挙げられる。また、有機微粒子としては特に限定されず、例えば、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、シリコーン系樹脂粉末、ポリスチレン樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、アクリル−スチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、更にポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリ弗化エチレン樹脂粉末、ポリエチレン樹脂粉末等が挙げられる。これらの無機微粒子及び有機微粒子は2種以上を併用してもよい。
前記微粒子2bの平均粒径は、ハードコート層2の膜厚の30%〜50%であることがより好ましい。平均粒径が30%未満であると、表面に十分な凹凸形状を形成できず、十分な防眩機能を付与することができないという不都合がある。その一方、平均粒径が50%を超えると、表面の凹凸差が大きくなりすぎて、見映えが悪化したり、反射光の散乱が強くなり白ボケしてしまうという不都合がある。
前記微粒子2bの配合量としては特に限定されず、適宜設定し得る。具体的には、ハードコート形成材料100重量部に対して2〜70重量部であることが好適であり、4〜50重量部であることがより好適であり、15〜40重量部であることが特に好適である。
微粒子2bの屈折率としては、前記ハードコート層2のバインダー成分2aの屈折率との関係で適宜選択する必要があるが、1.40以上1.70以下の範囲で適宜選択を行うことが好ましい。また、前記樹脂バインダー2aと微粒子2bとの界面に生じる光の散乱をできるだけ抑制するには、樹脂バインダー2aと微粒子2bとの屈折率差を小さくする必要がある。樹脂バインダー2aの屈折率は、一般に1.5〜1.6である。よって、微粒子2bとしては、有機樹脂バインダー2aの屈折率の値に近接した屈折率を有する有機物の微粒子や、酸化ケイ素等の無機物からなる微粒子が好ましく用いられる。ハードコート層2の屈折率に対する微粒子2bの屈折率差は、0.05未満であることが好ましい。屈折率差が0.05以上であると、光の散乱が強くなり、表示画像が不鮮明であったり、表示コントラストが低下するといった不具合を生じる場合がある。また、ハードコート層2の屈折率に対する微粒子2bの屈折率差は、より好ましくは0.03未満、特に好ましくは0.02未満である。
微粒子2bの平均粒径は、6μm〜15μmの範囲である。平均粒径が6μm未満であると、たとえハードコート層2の表面形状が後述の平均傾斜角θa値を満たす場合であっても、理由は明らかではないが、明所での表示コントラストが低下する傾向にある。また、平均粒径が15μmを超えると、ハードコート層2の膜厚と比較した微粒子2bのサイズが相対的に大きくなる。これにより、ハードコート層2の形成時に於いて、微粒子2bのハードコート層2内部への埋没の程度を制御することが困難となり、微粒子2bの重なり合い等してハードコート層2表面から微粒子2bが突出し、突起状の欠点が発生することがある。一般に、表面形状が平坦なハードコート層を用いた場合、これをディスプレイの表示画面に配置し、明所に於ける表示コントラストの値を測定すると、表示画面に映り込みは生じるものの、その値は最も高くなる(ハードコート層上に反射防止層を形成したときを除く)。しかし、平均粒径が6μm〜15μmの範囲の微粒子2bを含むハードコート層2を用いた場合、前記のハードコート層の場合よりも、明所に於ける表示コントラストの値が低下するものの、大幅に低下するのを抑制することができる。
また、微粒子2bとしては、アスペクト比が1.5以下の略球形状の粒子を用いることが好ましい。より好ましくは、真球状の微粒子を用いることが好ましい。アスペクト比が1.5を超える球形の粒子や多角形の粒子を用いた場合、微粒子により形成される凹凸形状のθaの制御が困難になる場合がある。
ハードコート層2の平均傾斜角θaは、0.4°以上1.5°以下であることが必要である。θaが0.4°未満であると、十分なアンチグレア性を発揮することができず、外光等の映り込みが生じるという不都合がある。その一方、θaが1.5°を超えると、ヘイズ値が増大するという不都合がある。前記範囲内であると、ハードコート層2の防眩効果を向上させることができ、外光等の映り込みを好適に防止することができる。
本発明に於いて、前記平均傾斜角θaは、下記数式(1)で定義される値である。
前記数式(1)に於いて、Δaは下記数式(2)に示すように、JIS B 0601(1994年度版)に規定される粗さ曲線の基準長さLに於いて、隣り合う山の頂点と谷の最下点との差(高さh)の合計(h1+h2+h3+…+hn)を前記基準長さLで除した値である。前記粗さ曲線は、断面曲線から所定の波長より長い表面うねり成分を位相差補償形広域フィルターで除去した曲線である。また、前記断面曲線とは対象面に直角な平面で対象面を切断したときに、その切り口に現れる輪郭である。図2に前記粗さ曲線、高さh及び基準線Lの一例を示す。
フィルム基材1の屈折率とハードコート層2の屈折率差をdとすると、dは0.04以下が好ましい。更に好ましくは、0.02以下である。フィルム基材1として、ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる場合、粒径が100nm以下の無機の超微粒子として酸化チタンをハードコート形成材料の全樹脂成分に対し約35%程度配合することで、ポリエチレンテレフタレートフィルムの屈折率約1.64に対しdを0.02以下に制御することができ、干渉縞の発生を抑制することができる。フィルム基材1として、トリアセチルセルロースフィルムを用いる場合、粒径が100nm以下の無機の超微粒子として酸化ケイ素をハードコート形成材料の全樹脂成分に対し約40%程度配合することで、トリアセチルセルロースフィルムの屈折率約1.48に対しdを前記と同様に0.02以下に制御することができ、干渉縞の発生を抑制することができる。
前記ハードコート層2の膜厚は、15〜35μmにすることが好ましく、より好ましくは20〜30μmである。膜厚の下限値を15μmとしても、ハードコート層2はポリオール(メタ)アクリレート(B成分)を含有するので、硬度を一定以上(例えば、鉛筆硬度で4H以上)に維持することができる。また、硬度を一層大きくする為に、膜厚の上限値を35μmとしても、ハードコート層2はウレタンアクリレート(A成分)及びC成分を含有するので、カールや割れ等の発生を十分に防止することができる。尚、膜厚が15μm未満の場合、下地であるフィルム基材1の影響を受け硬度が低下する場合がある。その一方、膜厚が35μmを超える場合、ハードコート層2自体にクラックが発生したり、ハードコート層2の硬化収縮によりハードコートフィルムがハードコート面にカールし、実用上問題となる場合がある。尚、JIS K−5400による鉛筆硬度試験で4H以上の硬度を得るためには、20μm以上の膜厚にするのが好ましい。
ハードコート形成材料の希釈溶媒として特に限定されず、種々のものを採用することができる。具体的には、例えば、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酢酸n−ペンチル、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、シク口へキサノール、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン、2−オクタノン、2−ペンタノン、2−へキサノン、2−へプタノン、3−へプタノン等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。酢酸エチルは全希釈溶媒に対し20重量%以上であることが好ましく、より好ましくは25重量%以上、特に好ましくは30重量%〜70重量%の範囲である。これにより、フィルム基材1としてトリアセチルセルロースを用いる場合には、特に密着性に優れたハードコート層2を形成することが可能になる。酢酸エチルの含有量が全希釈溶媒に対し70重量%を超えると、揮発速度が速いため、塗工ムラや乾燥ムラが生じやすくなり、20重量%未満の場合は、基材との密着性が低下することとなり好ましくない場合がある。
ハードコート層2に対しては、例えば、前記ハードコート層2の形成に用いたフィルムの表面を、予めサンドブラストやエンボスロール、化学エッチング等の適宜な方式で粗面化処理してフィルム表面に微細凹凸構造にすることにより、ハードコート層2を形成する材料そのものの表面を微細凹凸構造に形成する方法等を組み合わせて、ハードコート層2の表面の凹凸状態が不均一となる様にしてもよい。
ハードコート形成材料には、各種レベリング剤を添加することができる。レベリング剤としては、フッ素系又はシリコーン系のレベリング剤を適宜使用することができるが、より好ましくはシリコーン系のレベリング剤である。シリコーン系レベリング剤としては、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリメチルアルキルシロキサン等が挙げられる。これらのシリコーン系のレベリング剤のうち、反応性シリコーンが特に好ましい。反応性シリコーンを添加することにより、表面に滑り性が付与され耐擦傷性が持続する。更に、低屈折率層としてシロキサン成分を含有するものを用いた場合、反応性シリコーンとしてヒドロキシル基を有するものを用いると密着性が向上する。
前記反応性シリコーンのレベリング剤としては、例えば、シロキサン結合と、アクリレート基及びヒドロキシル基とを有するものが例示できる。より具体的には、
(1)(ジメチルシロキサン/メチル):(3−アクリロイル−2−ヒドロキシプロポキシプロピルシロキサン/メチル):(2−アクリロイル−3−ヒドロキシプロポキシプロピルシロキサン)=0.8:0.16:0.04のモル比の共重合物
(2)ジメチルシロキサン:ヒドロキシプロピルシロキサン:6−イソシアネートヘキシルイソシアヌル酸:脂肪族ポリエステル=6.3:1.0:2.2:1.0のモル比の共重合物
(3)ジメチルシロキサン:末端がアクリレートのメチルポリエチレングリコールプロピルエーテルシロキサン:末端がヒドロキシル基のメチルポリエチレングリコールプロピルエーテルシロキサン=0.88:0.07:0.05のモル比の共重合物等が挙げられる。
(1)(ジメチルシロキサン/メチル):(3−アクリロイル−2−ヒドロキシプロポキシプロピルシロキサン/メチル):(2−アクリロイル−3−ヒドロキシプロポキシプロピルシロキサン)=0.8:0.16:0.04のモル比の共重合物
(2)ジメチルシロキサン:ヒドロキシプロピルシロキサン:6−イソシアネートヘキシルイソシアヌル酸:脂肪族ポリエステル=6.3:1.0:2.2:1.0のモル比の共重合物
(3)ジメチルシロキサン:末端がアクリレートのメチルポリエチレングリコールプロピルエーテルシロキサン:末端がヒドロキシル基のメチルポリエチレングリコールプロピルエーテルシロキサン=0.88:0.07:0.05のモル比の共重合物等が挙げられる。
レベリング剤の配合量は、防眩性ハードコート形成材料の全樹脂成分100重量部に対して、5重量部以下、更には0.01〜5重量部の範囲とするのが好ましい。
ハードコート形成材料の硬化手段に紫外線を用いる場合に於いて、フッ素系又はシリコーン系のレベリング剤をハードコート形成材料に配合しておくと、予備乾燥及び溶媒乾燥時にフッ素系、シリコーン系のレベリング剤が空気界面にブリードしてくる。これにより、酸素による紫外線硬化型樹脂の硬化阻害を防ぐことができ、ハードコート層2の最表面に於いても十分な硬度を有するハードコート層2を得ることができる。また、シリコーン系のレベリング剤がハードコート層2表面へブリードすることにより、該ハードコート層2に滑り性が付与される。これにより、耐擦傷性も向上させることもできる。
前記ハードコート層2の形成材料には、必要に応じて、性能を損なわない範囲で、顔料、充填剤、分散剤、可塑剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、酸化防止剤、チクソトロピー化剤等が添加されてもよい。これらの添加剤は単独で使用してもよく、また2種類以上併用してもよい。
本実施の形態に係るハードコート形成材料には、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。例えば2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キサントン、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、その他チオキサント系化合物等が使用できる。
前記ハードコート層2を形成するには、ウレタンアクリレート(A成分)、ポリオール(メタ)アクリレート(B成分)及びC成分を少なくとも含むハードコート形成材料をフィルム基材1上に塗工し、その後硬化させる。ハードコート形成材料は、塗工にあたり、溶媒に溶解した溶液として塗工することができる。ハードコート形成材料を溶液として塗工した場合には、乾燥後に硬化する。
前記ハードコート形成材料をフィルム基材1上に塗工する方法としては、公知のファンテンコート、ダイコート、スピンコート、スプレーコート、グラビアコート、ロールコート、バーコート等の塗工法を用いることができる。
前記ハードコート形成材料の硬化手段は特に制限されないが、電離放射線硬化が好ましい。その手段には各種活性エネルギーを用いることができるが、紫外線が好適である。エネルギー線源としては、例えば、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、窒素レーザー、電子線加速装置、放射性元素などの線源が好ましい。エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、50〜5000mJ/cm2が好ましい。照射量が50mJ/cm2未満の場合は、硬化が不十分となるため、ハードコート層の硬度が低下する場合がある。また5000mJ/cm2を超えると、ハードコート層が着色して透明性が低下する場合がある。
本実施の形態に係る防眩性ハードコートフィルム4は、光の表面反射を低減させる反射防止層を設けなくても良好な表示コントラスト特性を示すことができる。但し、本発明の防眩性ハードコートフィルムに反射防止層を設けて、防眩性反射防止ハードコートフィルムとすることを妨げるものではない。
図3に、反射防止層を設けた防眩性反射防止ハードコートフィルムを示す。光は物体に当たるとその界面での反射、内部での吸収、散乱といった現象を繰り返して物体の背面に透過していく。画像表示装置にハードコートフィルムを装着した際、画像の視認性を低下させる要因のひとつに空気とハードコート層界面での光の反射が挙げられる。反射防止層5は、その表面反射を低減させるものである。尚、図3には示していないが、ハードコート層2及び反射防止層5はフィルム基材1の両面に設けることも可能である。また、図3では、ハードコート層2及び反射防止層5をそれぞれ1層ずつ設けた場合を例示しているが、本発明のハードコート層2を有するものであれば、反射防止層5は2層以上であってもよい。
反射防止層5としては、膜厚及び屈折率を厳密に制御した光学薄膜(反射防止層)をハードコート層2表面に積層したものが挙げられる。これは、光の干渉効果を利用した入射光と反射光の逆転した位相を互いに打ち消し合わせることで反射防止機能を発現させる方法である。
光の干渉効果に基づく反射防止層5の設計に於いて、その干渉効果を向上させる手段としては、反射防止層5とハードコート層2の屈折率差を大きくする方法がある。基材上に2〜5層の光学薄膜(前記膜厚及び屈折率を厳密に制御した薄膜)を積層する多層反射防止層では、屈折率の異なる成分を所定の厚さだけ複数層形成することで、反射防止層5の光学設計に自由度が増し、より反射防止効果を向上させ、分光反射特性も可視光領域でフラットにすることが可能になってくる。光学薄膜の各層の膜厚精度が要求される為、一般的にはドライ方式である真空蒸着、スパッタリング、CVD等で各層の形成が行われている。
反射防止層5としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、フッ化マグネシウム等が用いられるが、反射防止機能をより大きく発現させる為には、酸化チタン層と酸化ケイ素層との積層体を用いることが好ましい。前記積層体は、ハードコート層上に屈折率の高い酸化チタン層(屈折率:約1.8)が形成され、該酸化チタン層上に屈折率の低い酸化ケイ素層(屈折率:約1.45)が形成された2層積層体、更に、この2層積層体上に、酸化チタン層及び酸化ケイ素層がこの順序で形成された4層積層体が好ましい。このような2層積層体又は4層積層体の反射防止層を設けることにより、可視光線の波長領域(380〜780nm)の反射を均一に低減させることが可能である。
また、フィルム基材1上に単層の光学薄膜を積層することによっても反射防止効果を発現させることが可能である。反射防止層5を単層にする設計に於いても、反射防止機能を最大限引き出す為には、反射防止層5とハードコート層2の屈折率差を大きくする必要がある。前記反射防止層5の膜厚をd、屈折率をn、入射光の波長をλとすると、反射防止層5の膜厚とその屈折率との間でnd=λ/4なる関係式が成立する。反射防止層5は、その屈折率がフィルム基材1の屈折率よりも小さい様な、低屈折率層である場合は、前記関係式が成立する条件では反射率が最小となる。例えば、反射防止層5の屈折率が1.45である場合は、可視光線中の550nmの波長の入射光に対して、反射率を最小にする反射防止層5の膜厚は95nmとなる。
反射防止機能を発現させる可視光線の波長領域は、380〜780nmであり、特に視感度が高い波長領域は450〜650nmの範囲であり、その中心波長である550nmの反射率を最小にする設計を行なうことが一般的に行われている。
単層で反射防止層5を設計する場合、その膜厚精度は、多層反射防止層の膜厚精度ほど厳密ではなく、設計膜厚に対し±10%の範囲、つまり設計波長が95nmの場合は、86nm〜105nmの範囲であれば問題なく使用できる。このことより、一般的に単層の反射防止層5の形成には、ウェット方式であるファンテンコート、ダイコート、スピンコート、スプレーコート、グラビアコート、ロールコート、バーコート等の塗工法が採用される。
単層で反射防止層5を形成する材料としては、例えば、紫外線硬化型アクリル樹脂等の樹脂系材料、樹脂中にコロイダルシリカ等の無機微粒子を分散させたハイブリッド系材料、テトラエトキシシラン、チタンテトラエトキシド等の金属アルコキシドを用いたゾル−ゲル系材料等が挙げられる。また、それぞれの材料は、表面の防汚染性を付与するためフッ素基含有化合物を用いることができる。耐擦傷性の面からは、無機成分含有量が多い反射防止層材料が優れる傾向にあり、特にゾル−ゲル系材料が好ましい。ゾル−ゲル系材料は部分縮合して用いることができる。
前記フッ素基を含有するゾル−ゲル系材料としては、パーフルオロアルキルアルコキシシランを例示できる。パーフルオロアルキルアルコキシシランとしては、例えば、一般式:CF3(CF2)nCH2CH2Si(OR)3(式中、Rは、炭素数1〜5個のアルキル基を示し、nは0〜12の整数を示す)で表される化合物が挙げられる。具体的には、例えば、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらの化合物の中で前記nが2〜6のものが好ましい。
低屈折率層(反射防止層)として、特開2004−167827号公報に記載のエチレングリコール換算による数平均分子量が500〜10000であるシロキサンオリゴマーと、ポリスチレン換算による数平均分子量が5000以上であって、フルオロアルキル構造及びポリシロキサン構造を有するフッ素化合物とを含有するハードコート形成材料から構成されるものを好ましく用いることができる。
低屈折率層(反射防止層)には、膜強度を改善する為に無機のゾルを添加することができる。無機のゾルとしては特に限定されず、例えば、シリカ、アルミナ、フッ化マグネシウム等が挙げられるが、シリカゾルが特に好ましい。無機のゾルの添加量は、低屈折率形成材料の全固形分100重量部に対し10〜80重量部の範囲内で、適宜設定することができる。無機のゾルの粒径としては、2〜50nmの範囲内のものが好ましく、5〜30nmの範囲内のものがより好ましい。
反射防止層5には、屈折率の低減を目的として、中空で球状の酸化ケイ素超微粒子を含有させることができる。中空で球状の酸化ケイ素超微粒子は、平均粒子径が5nm〜300nm程度であることが好ましく、該超微粒子は細孔を有する外殻の内部に空洞が形成されてなる中空球状であり、該空洞内に該微粒子調製時の溶媒及び/又は気体を包含してなる。前記空洞を形成するための前駆体物質が該空洞内に残存してなることが好ましい。前記外殻の厚さは1nm〜50nm程度の範囲にあり、且つ平均粒子径の1/50〜1/5程度の範囲にあることが好ましい。前記外殻が複数の被覆層からなることが好ましい。前記細孔が閉塞され、前記空洞が前記外殻により密封されてなることが好ましい。反射防止層5中に於いて、多孔質又は空洞が維持されており、反射防止層5の屈折率を低減させることが可能なため、好ましく用いることができる。
前記酸化ケイ素超微粒子の平均粒子径は、前述の通り、5〜300nmの範囲であることが好ましい。平均粒子径が5nm未満では、球状微粒子に於ける外殻の体積割合が増加し、空洞の容積の割合が低下する傾向がある。他方、平均粒子径が300nmを超えると、安定した分散液が得られにくくなり、また、該超微粒子を含有する反射防止層の透明性が低下し易いからである。中空で球状の酸化ケイ素超微粒子の好ましい平均粒子径は10〜200nmの範囲である。尚、前記平均粒子径は動的光散乱法によって求めることができる。
中空で球状の酸化ケイ素超微粒子の製造方法は、例えば、下記工程(a)〜工程(c)を有する。
(a)珪酸塩の水溶液及び/又は酸性珪酸液と、アルカリ可溶の無機化合物水溶液とを、pH10以上のアルカリ水溶液又は、必要に応じて種粒子が分散したpH10以上のアルカリ水溶液中に同時に添加し、酸化ケイ素をSiO2で表し、酸化ケイ素以外の無機化合物をMOxで表したときのモル比(MOx/SiO2)が0.3〜1.0の範囲にある核粒子分散液を調製する工程。
(b)前記核粒子分散液に酸化ケイ素源を添加して、核粒子に第1酸化ケイ素被覆層を形成する工程。
(c)前記分散液に酸を加え、前記核粒子を構成する元素の一部又は全部を除去する工程。
(b)前記核粒子分散液に酸化ケイ素源を添加して、核粒子に第1酸化ケイ素被覆層を形成する工程。
(c)前記分散液に酸を加え、前記核粒子を構成する元素の一部又は全部を除去する工程。
前記の中空で球状の酸化ケイ素超微粒子分散液は各種マトリクス成分と混合することにより、反射防止形成用塗工液を作成することができる。各種マトリクス成分とは、ハードコート層2の表面に被膜を形成し得る成分をいい、基材との密着性や硬度、塗工性等の条件に適合する樹脂等から選択して用いることができる。具体的には、例えば、従来から用いられているポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニル樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、エマルジョン樹脂、水溶性樹脂、親水性樹脂、これら樹脂の混合物、更にはこれら樹脂の共重合体や変性体などの塗料用の有機樹脂が挙げられる。また、前記の単層で反射防止層5を形成する材料として例示したアルコキシシラン等の加水分解性有機珪素化合物等をマトリクス成分として用いることができる。
マトリクス成分として有機樹脂を用いる場合には、例えば、前記中空で球状の酸化ケイ素超微粒子の分散媒としての水をアルコール等の有機溶媒で置換した有機溶媒分散液、必要に応じて前記超微粒子を公知のカップリング剤で処理した後、有機溶媒に分散させた有機溶媒分散液とマトリクスとを適当な有機溶剤で希釈して、反射防止形成用塗工液とすることができる。
一方、マトリクス成分として加水分解性有機珪素化合物を用いる場合には、例えば、アルコキシシランとアルコールの混合液に、水及び触媒としての酸又はアルカリを加えることにより、アルコキシシランの部分加水分解物を得、これに前記分散液を混合し、必要に応じて有機溶剤で希釈して、塗布液とすることができる。
塗工液中の、前記酸化ケイ素超微粒子とマトリクス成分の重量割合は、酸化ケイ素超微粒子:マトリクス=1:99〜9:1の範囲が好ましい。前記重量割合が9:1を超えると反射防止層5の強度が不足して実用性に欠ける場合がある。一方、前記重量割合が1:99未満では前記酸化ケイ素超微粒子の添加効果が顕れにくい場合がある。
前記ハードコート層2の表面に形成される反射防止層5の屈折率は、酸化ケイ素超微粒子とマトリクス成分等の混合比率及び使用するマトリクスの屈折率によっても異なるが、1.2〜1.42と低屈折率となる。尚、本発明の酸化ケイ素超微粒子自体の屈折率は、1.2〜1.38である。
ハードコートフィルムのハードコート層2上に反射防止層5を設けた防眩性反射防止ハードコートフィルム6は、鉛筆硬度の点で好ましい。超微粒子を含有するハードコート層2表面には微小凹凸が形成されており、それが鉛筆の滑りに影響する(鉛筆が引っかかり易く力が伝わり易くなっている)。反射防止層5を設けた場合には、凹凸が滑らかになり、通常は、ハードコート層2の鉛筆硬度の3H程度のものは、4Hの鉛筆硬度とすることができる。
このような中空で球状の酸化ケイ素超微粒子の製造方法としては、例えば特開2000−233611号公報に開示されたシリカ系微粒子の製造方法が好適に採用される。
反射防止層(低屈折率層)5を形成させる際の乾燥及び硬化の温度は特に制限されず、通常60℃〜150℃、好ましくは70℃〜130℃に於いて、通常1分から30分、生産性を考えた場合には、1分から10分程度がより好ましい。また、乾燥及び硬化後、更に加熱処理を行うことでより高硬度の反射防止ハードコートフィルムが得られる。加熱処理の温度は特に制限されず、通常40℃〜130℃、好ましくは50℃〜100℃に於いて通常1分から100時間、より耐擦傷性を向上させるためには10時間以上行うことがより好ましい。尚、温度、時間は前記範囲に制限されず、適宜に調整できる。加熱は、ホットプレート、オーブン、ベルト炉などによる方法が適宜に採用される。
反射防止層5は画像表示装置の最表面に装着される頻度が高い為、外部環境からの汚染を受けやすい。特に、身近に於いては指紋や手垢、汗や整髪料等の汚染物が付着しやすく、その付着で表面反射率が変化したり付着物が白く浮きでて見えて表示内容が不鮮明になるなど、単なる透明板等の場合に比べて汚染が目立ちやすくなる。この様な場合は、前記付着防止性、易除去性に関する機能を付与する為に、フッ素基含有のシラン系化合物やフッ素基含有の有機化合物等を反射防止層5上に積層することが好ましい。
フィルム基材1、又はフィルム基材1上に塗工を行ったハードコート層2に各種表面処理を行うことによって、フィルム基材1とハードコート層2、フィルム基材1と偏光子又はハードコート層2と反射防止層5の接着性を向上させることができる。その表面処理としては、低圧プラズマ処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸又はアルカリ処理を用いることができる。また、トリアセチルセルロースをフィルム基材として用いた場合の表面処理として好ましく用いられるアルカリ鹸化処理を具体的に説明する。セルロースエステルフイルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの規定濃度は0.1N〜3.0Nであることが好ましく、0.5N〜2.0Nであることが更に好ましい。アルカリ溶液温度は、25℃〜90℃の範囲が好ましく、40℃〜70℃が更に好ましい。その後、水洗処理、乾燥処理を行い、表面処理を施したトリアセチルセルロースを得ることができる。
また、フィルム基材1の裏面(ハードコート層2の形成面とは反対側の面)に、カールの発生を防止することを目的として、次に述べる溶剤処理を行っても良い。溶剤処理は、フィルム基材1を溶解させ得る溶剤又は膨潤させ得る溶剤を含む組成物を、従来公知の方法により塗布して行われる。その様な溶剤を塗布することにより、フィルム基材1の裏面側に丸まろうとする性質を付与し、これにより、ハードコート層2を備えたフィルム基材1が、ハードコート層2の形成面側にカールしようとする力を相殺してカールの発生を防止するものである。
前記溶剤としては、溶解させる溶剤及び/又は膨潤させる溶剤の混合物の他に、更に溶解させない溶剤を含む場合もある。これらをフィルム基材1のカール度合や樹脂の種類によって適宜の割合で混合した組成物及び塗布量を用いて行う。
カール防止機能を更に向上させる場合は、用いる溶剤組成を溶解させ得る溶剤及び/又は膨潤させ得る溶剤の混合比率を大きくし、溶解させない溶剤の混合比率を小さくするのが効果的である。この混合比率は好ましくは(溶解させ得る溶剤及び/又は膨潤させ得る溶剤):(溶解させない溶剤)=10:0〜1:9で用いられる。このような混合組成物に含まれる、透明樹脂フィルムを溶解又は膨潤させる溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、トリクロロエチレン、メチレンクロライド、エチレンクロライド、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロホルムなどがある。溶解させない溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブタノールなどが挙げられる。
これらの溶剤組成物をグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター又は押し出しコーター等を用いて、フィルム基材1の表面にウェット膜厚(乾燥前の膜厚)が1〜100μm、より好ましくは5〜30μmとなる様に塗布する。
このようにして塗布した各溶剤は乾燥後に飛散してもよく、また微量が残存していてもよいが、好ましくは塗布面に溶媒が残存していない状態が良い。
また、フィルム基材1の裏面(ハードコート層2の形成面とは反対側の面)に、カールの発生を防止することを目的として、次に述べる透明樹脂層を設けてもよい。前記透明樹脂層としては、例えば熱可塑性樹脂、放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、その他の反応型樹脂を主成分とする層が挙げられる。これらの内でも特に熱可塑性樹脂を主成分とする層が好ましい。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体あるいは共重合体、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート樹脂等のセルロース誘導体、マレイン酸及び/又はアクリル酸の共重合体、アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂の内、例えばジアセチルセルロース等を用いたセルロース系樹脂層が、透明樹脂層としては特に好ましい。
また防眩性ハードコートフィルム4、防眩性反射防止ハードコートフィルム6は、通常、そのフィルム基材1側を、粘着剤や接着剤を介して、LCDやELDに用いられている光学部材に貼り合せることができる。貼り合わせにあたり、フィルム基材1には、前記と同様の表面処理を施すことができる。
光学部材としては、例えば、偏光子又は偏光板が挙げられる。偏光板は、通常、偏光子の片側又は両側に透明保護フィルムを有するものが一般に用いられる。偏光子の両面に透明保護フィルムを設ける場合は、表裏の透明保護フィルムは、同じ材料であっても良いし、異なる材料であってもよい。偏光板は、通常、液晶セルの両側に配置される。通常、偏光板は、2枚の偏光板の吸収軸が互いに略直交するように配置される。
次に、本発明の防眩性ハードコートフィルム4又は防眩性反射防止ハードコートフィルム6を積層した光学素子について、偏光板を例にして説明する。本発明の防眩性ハードコートフィルム4又は防眩性反射防止ハードコートフィルム6は、接着剤や粘着剤などを用いて偏光子又は偏光板と積層することによって、本発明の機能を有した偏光板を得ることができる。偏光板は、通常、液晶セルの両側に配置される。通常、偏光板は、2枚の偏光板の吸収軸が互いに略直交するように配置される。偏光板は、通常、偏光子の片側又は両側に透明保護フィルムを有するものが一般に用いられる。偏光子の両面に透明保護フィルムを設ける場合は、表裏の透明保護フィルムは、同じ材料であっても良いし、異なる材料であってもよい。
前記偏光子としては、特に制限されず、各種のものを使用できる。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が、偏光二色比が高く特に好ましい。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、5〜80μm程度である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいてもよいヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。更に必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。
ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸してもよいし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
前記偏光子の片面又は両面に設けられる透明保護フィルムとしては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、位相差値の安定性などに優れるものが好ましい。前記透明保護フィルムを形成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体、スチレン樹脂、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、アクリロニトリル・エチレン・スチレン樹脂、スチレン・マレイミド共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体等のスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。また、シクロ系オレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系樹脂、芳香族ポリイミドやポリイミドアミド等のイミド系樹脂、スルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ビニルブチラール系樹脂、アリレート系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、エポキシ系樹脂又は前記樹脂のブレンド物等からなる高分子フィルムなども前記透明保護フィルムを形成する樹脂の例として挙げられる。また、前記透明保護フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載の高分子フィルム、例えば、(A)側鎖に置換及び/又は非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換及び/非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が挙げられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物の高分子フィルムが挙げられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。これらのフィルムは位相差が小さく、光弾性係数が小さいため偏光板等の保護フィルムに適用した場合には歪みによるムラなどの不具合を解消することができ、また透湿度が小さいため、加湿耐久性に優れる。
前記透明保護フィルムとして好ましくは、偏光特性や耐久性などの点より、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂及び、ノルボルネン系樹脂が用いられる。具体的には、富士写真フィルム(株)製 製品名「フジタック」や、日本ゼオン(株)製 製品名「ゼオノア」、JSR(株)製 製品名「アートン」などが挙げられる。
前記透明保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より1〜500μm程度である。より好ましくは、5〜200μmである。特に好ましくは、10〜150μmである。前記の範囲であれば、偏光子を機械的に保護し、高温高湿下に曝されても偏光子が収縮せず、安定した光学特性を保つことができる。
また、透明保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。従って、Rth=(nx−nz)・d(ただし、nxはフィルム平面内の遅相軸方向の屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルムの膜厚である)で表されるフィルムの膜厚方向の位相差値が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。膜厚方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。膜厚方向位相差値(Rth)は、更に好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
前記透明保護フィルムは、フィルム面内の位相差値及び膜厚方向の位相差値が液晶表示装置の視野角特性に影響を及ぼす場合があるので、位相差値が最適化されたものを用いることが好ましい。ただし、位相差値の最適化が望まれる透明保護フィルムとは、液晶セルに近い側の偏光子の表面に積層される透明保護フィルムであり、液晶セルに遠い側の偏光子の表面に積層される透明保護フィルムは、液晶表示装置の光学特性を変化させることはないので、この限りではない。
前記液晶セルに近い側の偏光子の表面に積層される透明保護フィルムの位相差値としては、フィルム面内の位相差値(Re:(nx−ny)・d)が0〜5nmであることが好ましい。より好ましくは、0〜3nmである。更に好ましくは、0〜1nmである。膜厚方向の位相差値(Rth)は、0〜15nmであることが好ましい。より好ましくは0〜12nmである。更に好ましくは0〜10nmである。特に好ましくは0〜5nmである。最も好ましくは、0〜3nmである。
防眩性ハードコートフィルム4等を積層した偏光板は、ハードコートフィルム等に透明保護フィルム、偏光子、透明保護フィルムを順次に積層したものでもよいし、防眩性ハードコートフィルム等に偏光子、透明保護フィルムを順次に積層したものでもよい。
その他、透明保護フィルムの偏光子を接着させない面は、ハードコート層やスティッキング防止や目的とした処理を施したものであってもよい。ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。尚、前記ハードコート層、スティッキング防止層等は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
また偏光板の層間へ、例えばハードコート層、プライマー層、接着剤層、粘着剤層、帯電防止層、導電層、ガスバリヤー層、水蒸気遮断層、水分遮断層等を挿入、又は偏光板表面へ積層しても良い。また。偏光板の各層を作成する段階では、例えば、導電性粒子あるいは帯電防止剤、各種微粒子、可塑剤等を各層の形成材料に添加、混合等することにより改良を必要に応じておこなっても良い。
前記透明保護フィルムの偏光子との積層方法は、特に限定されず、例えばアクリル系ポリマーやビニルアルコール系ポリマーからなる接着剤、あるいはホウ酸やホウ砂、グルタルアルデヒドやメラミンやシュウ酸等のビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤から少なくともなる接着剤等を介して行うことができる。これにより湿度や熱の影響で剥がれにくく光透過率や偏光度に優れるものとすることができる。前記接着剤としては、偏光子の原料であるポリビルアルコールとの接着性に優れる点より、ポリビニルアルコール系接着剤を用いることが好ましい。
前記ノルボルネン系樹脂を含む高分子フィルムを透明保護フィルムとして、偏光子と積層する場合の粘着剤としては、透明性に優れ、複屈折などが小さく、薄い層として用いても充分に粘着力を発揮できるものが好ましい。そのような粘着剤としては、例えば、ポリウレタン系樹脂溶液とポリイソシアネート樹脂溶液を混合するドライラミネート用接着剤、スチレンブタジエンゴム系接着剤、エポキシ系二液硬化型接着剤、例えば、エポキシ樹脂とポリチオールの二液からなるもの、エポキシ樹脂とポリアミドの二液からなるものなどを用いることができ、特に溶剤型接着剤、エポキシ系二液硬化型接着剤が好ましく、透明のものが好ましい。接着剤によっては、適当な接着用下塗り剤を用いることで接着力を向上させることができるものがあり、そのような接着剤を用いる場合は接着用下塗り剤を用いることが好ましい。
前記接着用下塗り剤としては、接着性を向上できる層であれば特に制限はないが、例えば、同一分子内にアミノ基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基、クロル基等の反応性官能基と加水分解性のアルコキシシリル基とを有するシラン系カップリング剤、同一分子内にチタンを含む加水分解性の親水性基と有機官能性基とを有するチタネート系カップリング剤、及び同一分子内にアルミニウムを含む加水分解性の親水性基と有機官能性基とを有するアルミネート系カップリング剤等のいわゆるカップリング剤、エポキシ系樹脂、イソシアネート系樹脂、ウレタン系樹脂、エステルウレタン系樹脂等の有機反応性基を有する樹脂を用いることができる。なかでも、工業的に取扱いやすいという観点から、シラン系カップリング剤を含有する層であることが好ましい。
前記偏光板は、液晶セルへの積層を容易にするため、両面又は片面に接着剤層や粘着剤層を設けておくことが好ましい。
前記接着剤層又は粘着剤層に用いられる接着剤又は粘着剤としては、特に制限されない。例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、光学的透明性に優れ、適度なぬれ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるという点で、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。
前記接着剤又は粘着剤にはベースポリマーに応じた架橋剤を含有させることができる。また、粘着剤層には必要に応じて例えば天然物や合成物の樹脂類、ガラス繊維やガラスビーズ、金属粉やその他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤や酸化防止剤などの適宜な添加剤を配合することもできる。また透明微粒子を含有させて光拡散性を示す粘着剤層とすることもできる。
尚、前記の透明微粒子には、例えば平均粒径が0.5〜20μmのシリカや酸化カルシウム、アルミナやチタニア、ジルコニアや酸化錫、酸化インジウムや酸化カドミウム、酸化アンチモン等の導電性の無機系微粒子や、ポリメチルメタクリレートやポリウレタンの如き適宜なポリマーからなる架橋又は未架橋の有機系微粒子など適宜なものを1種又は2種以上用いることができる。
前記接着剤又は粘着剤は、通常、ベースポリマー又はその組成物を溶剤に溶解又は分散させた固形分濃度が10〜50重量%程度の接着剤溶液として用いられる。前記溶剤としては、トルエンや酢酸エチル等の有機溶剤や水等の接着剤の種類に応じたものを適宜に選択して用いることができる。
前記接着剤又は粘着剤は、組成又は種類が異なったものを積層物として偏光板や光学フィルムの片面又は両面に設けることもできる。前記接着剤又は粘着剤の膜厚は、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1〜500μmであり、5〜200μmが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。
前記接着剤層又は粘着剤層等の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的に剥離紙又は離型フィルム(セパレータともいう)が仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で接着剤層又は粘着剤層に接触することを防止できる。前記セパレータとしては、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いることができる。
次に、本実施の形態に係る偏光板と併用して用いられる他の光学部材について説明する。上記他の光学部材については特に限定はないが、例えば、楕円偏光板又は円偏光板に、更に反射板又は半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板又は半透過型偏光板が挙げられる。また、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と、位相差板とを組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板等であってもよい。また、本実施の形態に係る防眩性ハードコートフィルム4若しくは防眩性反射防止ハードコートフィルム6、又は偏光板を、透過型又は半透過型の液晶表示装置に用いる場合には、市販の輝度向上フィルム(偏光選択層を有する偏光分離フィルム、例えば住友3M(株)製のD−BEFなど)と併用することにより、さらに表示特性の高い表示装置を得ることができる。
前記防眩性ハードコートフィルム4又は防眩性反射防止ハードコートフィルム6と、偏光板等とは、画像表示装置の製造過程で順次別個に積層することよっても形成することができる。しかし、予め積層しておくほうが、品質の安定性や積層作業性等に優れ、画像表示装置などの製造効率を向上させることができるため好ましい。
本実施の形態に係る防眩性ハードコートフィルム4、防眩性反射防止ハードコートフィルム6又はそれらを備えた偏光板は、液晶表示装置、有機EL表示装置等の各種画像表示装置に実装することができる。
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されている材料や配合量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例に過ぎない。また、「部」「%」は特記しない限り、重量基準である。
(実施例1)
下記に示すA成分、B成分及びC成分と、光重合開始剤とを含む樹脂成分を、酢酸エチル及び酢酸ブチルの混合溶媒に固形分濃度66%で含む樹脂原料(大日本インキ(株)製、商品名;GRANDIC PC1071)を準備した。この樹脂原料100部に平均粒子径8μmのアクリル樹脂粒子(屈折率1.49)30部及び反応性レベリング剤0.5部を加え、更に酢酸ブチル:酢酸エチル(重量比)=46:54(全溶媒に対する酢酸エチル比率54%)で、固形分濃度が55%となる様に、酢酸エチルを用いて希釈することにより、ハードコート形成材料を調製した。尚、前記反応性レベリング剤は、ジメチルシロキサン:ヒドロキシプロピルシロキサン:6−イソシアネートヘキシルイソシアヌル酸:脂肪族ポリエステル=6.3:1.0:2.2:1.0のモル比で共重合させた共重合物である。
下記に示すA成分、B成分及びC成分と、光重合開始剤とを含む樹脂成分を、酢酸エチル及び酢酸ブチルの混合溶媒に固形分濃度66%で含む樹脂原料(大日本インキ(株)製、商品名;GRANDIC PC1071)を準備した。この樹脂原料100部に平均粒子径8μmのアクリル樹脂粒子(屈折率1.49)30部及び反応性レベリング剤0.5部を加え、更に酢酸ブチル:酢酸エチル(重量比)=46:54(全溶媒に対する酢酸エチル比率54%)で、固形分濃度が55%となる様に、酢酸エチルを用いて希釈することにより、ハードコート形成材料を調製した。尚、前記反応性レベリング剤は、ジメチルシロキサン:ヒドロキシプロピルシロキサン:6−イソシアネートヘキシルイソシアヌル酸:脂肪族ポリエステル=6.3:1.0:2.2:1.0のモル比で共重合させた共重合物である。
A成分:ペンタエリスリトール系アクリレートと水添キシレンジイソシアネートから成るウレタンアクリレート(100部)
B成分:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(49部)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(24部)及びペンタエリスリトールテトラアクリレート(41部)
C成分:前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマー及びコポリマーの混合物(59部)
光重合開始剤:イルガキュア184(商品名、チバ・スペシャリティーケミカルズ(株)製)
混合溶剤:酢酸ブチル:酢酸エチル(重量比)=89:11
B成分:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(49部)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(24部)及びペンタエリスリトールテトラアクリレート(41部)
C成分:前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマー及びコポリマーの混合物(59部)
光重合開始剤:イルガキュア184(商品名、チバ・スペシャリティーケミカルズ(株)製)
混合溶剤:酢酸ブチル:酢酸エチル(重量比)=89:11
前記ハードコート形成材料を、フィルム基材として厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(屈折率:1.48)上に、バーコーターを用いて塗工し、100℃で1分間加熱することにより塗膜を乾燥させた。その後、メタルハライドランプにて積算光量300mJ/cm2の紫外線を照射し、硬化処理して膜厚25μmのハードコート層を形成し、本実施例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。ハードコート層の屈折率は1.52であった。また、ほとんどの微粒子のアスペクト比が1.05であった。
(実施例2)
本実施例に於いては、微粒子として平均粒子径10μm、屈折率1.49のアクリル樹脂粒子を用い、その添加量を全樹脂成分に対し15部とし、更に膜厚を22μmに変更したこと以外は実施例1と同様な方法にて、本実施例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。また、ほとんどの微粒子のアスペクト比が1.05であった。
本実施例に於いては、微粒子として平均粒子径10μm、屈折率1.49のアクリル樹脂粒子を用い、その添加量を全樹脂成分に対し15部とし、更に膜厚を22μmに変更したこと以外は実施例1と同様な方法にて、本実施例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。また、ほとんどの微粒子のアスペクト比が1.05であった。
(実施例3)
本実施例に於いては、アクリル樹脂粒子の添加量を全樹脂成分に対し30部に変更し、ハードコート層の膜厚を33μmに変更したこと以外は、実施例2と同様にして本実施例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。
本実施例に於いては、アクリル樹脂粒子の添加量を全樹脂成分に対し30部に変更し、ハードコート層の膜厚を33μmに変更したこと以外は、実施例2と同様にして本実施例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。
(実施例4)
本実施例に於いては、ハードコート層の膜厚を31μmに変更したこと以外は、実施例3と同様にして本実施例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。
本実施例に於いては、ハードコート層の膜厚を31μmに変更したこと以外は、実施例3と同様にして本実施例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。
(実施例5)
本実施例に於いては、ハードコート層の膜厚を24μmに変更したこと以外は、実施例2と同様にして本実施例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。
本実施例に於いては、ハードコート層の膜厚を24μmに変更したこと以外は、実施例2と同様にして本実施例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。
(実施例6)
本実施例に於いては、ハードコート層の膜厚を26μmに変更したこと以外は、実施例2と同様にして本実施例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。
本実施例に於いては、ハードコート層の膜厚を26μmに変更したこと以外は、実施例2と同様にして本実施例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。
(実施例7)
本実施例に於いては、ハードコート層の膜厚を21μmに変更したこと以外は、実施例2と同様にして本実施例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。
本実施例に於いては、ハードコート層の膜厚を21μmに変更したこと以外は、実施例2と同様にして本実施例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。
(実施例8)
本実施例に於いては、微粒子として平均粒子径10μm、屈折率1.51のアクリル−スチレン樹脂粒子を用い、その添加量を全樹脂成分に対し20部とし、更に膜厚を22μmに変更したこと以外は実施例1と同様な方法にて、本実施例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。尚、ほとんどの微粒子のアスペクト比が1.05であった。アクリル−スチレン樹脂粒子は、アクリルモノマーとスチレンモノマーを乳化重合させて得たものである。また、屈折率はアクリルモノマーとスチレンモノマーとの配合比率を変更することにより調整した。
本実施例に於いては、微粒子として平均粒子径10μm、屈折率1.51のアクリル−スチレン樹脂粒子を用い、その添加量を全樹脂成分に対し20部とし、更に膜厚を22μmに変更したこと以外は実施例1と同様な方法にて、本実施例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。尚、ほとんどの微粒子のアスペクト比が1.05であった。アクリル−スチレン樹脂粒子は、アクリルモノマーとスチレンモノマーを乳化重合させて得たものである。また、屈折率はアクリルモノマーとスチレンモノマーとの配合比率を変更することにより調整した。
(実施例9)
本実施例に於いては、微粒子として平均粒子径10μm、屈折率1.52のアクリル−スチレン樹脂粒子を用い、その添加量を全樹脂成分に対し20部とし、更に膜厚を22μmに変更したこと以外は実施例1と同様な方法にて、本実施例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。尚、ほとんどの微粒子のアスペクト比が1.05であった。
本実施例に於いては、微粒子として平均粒子径10μm、屈折率1.52のアクリル−スチレン樹脂粒子を用い、その添加量を全樹脂成分に対し20部とし、更に膜厚を22μmに変更したこと以外は実施例1と同様な方法にて、本実施例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。尚、ほとんどの微粒子のアスペクト比が1.05であった。
(実施例10)
本実施例に於いては、微粒子として平均粒子径10μm、屈折率1.53のアクリル−スチレン樹脂粒子を用い、その添加量を全樹脂成分に対し20部とし、更に膜厚を23μmに変更したこと以外は実施例1と同様な方法にて、本実施例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。尚、ほとんどの微粒子のアスペクト比が1.05であった。
本実施例に於いては、微粒子として平均粒子径10μm、屈折率1.53のアクリル−スチレン樹脂粒子を用い、その添加量を全樹脂成分に対し20部とし、更に膜厚を23μmに変更したこと以外は実施例1と同様な方法にて、本実施例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。尚、ほとんどの微粒子のアスペクト比が1.05であった。
(実施例11)
本実施例に於いては、微粒子として平均粒子径10μm、屈折率1.54のアクリル−スチレン樹脂粒子を用い、その添加量を全樹脂成分に対し20部とし、更に膜厚を22μmに変更したこと以外は実施例1と同様な方法にて、本実施例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。尚、ほとんどの微粒子のアスペクト比が1.05であった。
本実施例に於いては、微粒子として平均粒子径10μm、屈折率1.54のアクリル−スチレン樹脂粒子を用い、その添加量を全樹脂成分に対し20部とし、更に膜厚を22μmに変更したこと以外は実施例1と同様な方法にて、本実施例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。尚、ほとんどの微粒子のアスペクト比が1.05であった。
(実施例12)
本実施例に於いては、微粒子として平均粒子径15μm、屈折率1.49のアクリル樹脂粒子を用い、その添加量を全樹脂成分に対し25部とし、ハードコート形成材料の固形分濃度を35%にし、更に膜厚を20μmに変更したこと以外は実施例1と同様な方法にて、本実施例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。尚、ほとんどの微粒子のアスペクト比が1.05であった。
本実施例に於いては、微粒子として平均粒子径15μm、屈折率1.49のアクリル樹脂粒子を用い、その添加量を全樹脂成分に対し25部とし、ハードコート形成材料の固形分濃度を35%にし、更に膜厚を20μmに変更したこと以外は実施例1と同様な方法にて、本実施例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。尚、ほとんどの微粒子のアスペクト比が1.05であった。
(比較例1)
本比較例に於いては、微粒子として平均粒子径3μm、屈折率1.49のアクリル樹脂粒子を用い、その添加量を全樹脂成分に対し30部とし、更に膜厚を23μmに変更したこと以外は実施例1と同様な方法にて、本比較例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。尚、ほとんどの微粒子のアスペクト比が1.05であった。
本比較例に於いては、微粒子として平均粒子径3μm、屈折率1.49のアクリル樹脂粒子を用い、その添加量を全樹脂成分に対し30部とし、更に膜厚を23μmに変更したこと以外は実施例1と同様な方法にて、本比較例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。尚、ほとんどの微粒子のアスペクト比が1.05であった。
(比較例2)
本比較例に於いては、微粒子として平均粒子径5μm、屈折率1.49のアクリル樹脂粒子を用い、その添加量を全樹脂成分に対し30部とし、更に膜厚を20μmに変更したこと以外は実施例1と同様な方法にて、本比較例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。尚、ほとんどの微粒子のアスペクト比が1.05であった。
本比較例に於いては、微粒子として平均粒子径5μm、屈折率1.49のアクリル樹脂粒子を用い、その添加量を全樹脂成分に対し30部とし、更に膜厚を20μmに変更したこと以外は実施例1と同様な方法にて、本比較例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。尚、ほとんどの微粒子のアスペクト比が1.05であった。
(比較例3)
紫外線硬化型樹脂100部、レベリング剤(ディフェンサMCF323)0.5部、平均粒子径1.3μmの酸化ケイ素粒子(サイロホービック100、富士シリシア化学製)6.5部、平均粒子径2.5μmの酸化ケイ素粒子(サイロホービック702、富士シリシア化学製)7.5部、重合開始剤(商品名;イルガキュア184)5重量部をトルエンにより固形分濃度が45%となる様に希釈して作製した。尚、前記紫外線硬化型樹脂は、ウレタンアクリレート40%、ポリエステルアクリレート40%、酢酸ブチル20%からなる。
紫外線硬化型樹脂100部、レベリング剤(ディフェンサMCF323)0.5部、平均粒子径1.3μmの酸化ケイ素粒子(サイロホービック100、富士シリシア化学製)6.5部、平均粒子径2.5μmの酸化ケイ素粒子(サイロホービック702、富士シリシア化学製)7.5部、重合開始剤(商品名;イルガキュア184)5重量部をトルエンにより固形分濃度が45%となる様に希釈して作製した。尚、前記紫外線硬化型樹脂は、ウレタンアクリレート40%、ポリエステルアクリレート40%、酢酸ブチル20%からなる。
前記ハードコート形成材料を、フィルム基材として厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(屈折率:1.48)上に、バーコーターを用いて塗工し、100℃で3分間加熱することにより塗膜を乾燥させた。その後、メタルハライドランプにて積算光量300mJ/cm2の紫外線を照射し、硬化処理して膜厚3μmのハードコート層を形成し、本実施例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。ハードコート層の屈折率は1.53であった。また、ほとんどの微粒子のアスペクト比が1.6以上であった。
(比較例4)
本比較例に於いては、微粒子として平均粒子径1.8μmの酸化ケイ素粒子(サイロホービック200、富士シリシア化学製)6.5部と、平均粒子径2.5μmの酸化ケイ素粒子(サイロホービック702、富士シリシア化学製)6.5部とを用い、更に膜厚を8μmに変更したこと以外は、比較例3と同様にして、本比較例に係る防眩性ハードコートフィルム作製した。尚、それぞれの微粒子のアスペクト比はほとんど1.6以上であった。
本比較例に於いては、微粒子として平均粒子径1.8μmの酸化ケイ素粒子(サイロホービック200、富士シリシア化学製)6.5部と、平均粒子径2.5μmの酸化ケイ素粒子(サイロホービック702、富士シリシア化学製)6.5部とを用い、更に膜厚を8μmに変更したこと以外は、比較例3と同様にして、本比較例に係る防眩性ハードコートフィルム作製した。尚、それぞれの微粒子のアスペクト比はほとんど1.6以上であった。
(比較例5)
本比較例に於いては、微粒子として平均粒子径1.3μmの酸化ケイ素粒子(サイロホービック200、富士シリシア化学製)13部を用い、ハードコート形成材料の固形分濃度を40%とし、更に膜厚を6μmに変更したこと以外は、比較例3と同様にして、本比較例に係る防眩性ハードコートフィルム作製した。尚、それぞれの微粒子のアスペクト比はほとんど1.6以上であった。
本比較例に於いては、微粒子として平均粒子径1.3μmの酸化ケイ素粒子(サイロホービック200、富士シリシア化学製)13部を用い、ハードコート形成材料の固形分濃度を40%とし、更に膜厚を6μmに変更したこと以外は、比較例3と同様にして、本比較例に係る防眩性ハードコートフィルム作製した。尚、それぞれの微粒子のアスペクト比はほとんど1.6以上であった。
(比較例6)
本比較例に於いては、微粒子として平均粒子径3.5μmのポリスチレン粒子(商品名;SX350H、総研化学製)14部を用い、膜厚を5μmに変更したこと以外は、比較例3と同様にして、本比較例に係る防眩性ハードコートフィルム作製した。尚、それぞれの微粒子のアスペクト比はほとんど1.6以上であった。
本比較例に於いては、微粒子として平均粒子径3.5μmのポリスチレン粒子(商品名;SX350H、総研化学製)14部を用い、膜厚を5μmに変更したこと以外は、比較例3と同様にして、本比較例に係る防眩性ハードコートフィルム作製した。尚、それぞれの微粒子のアスペクト比はほとんど1.6以上であった。
(比較例7)
本比較例に於いては、微粒子として平均粒子径10μm、屈折率1.49のアクリル樹脂粒子を用い、その添加量を全樹脂成分に対し3部とし、膜厚を20μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、本比較例に係る防眩性ハードコートフィルム作製した。尚、それぞれの微粒子のアスペクト比はほとんど1.6以上であった。
本比較例に於いては、微粒子として平均粒子径10μm、屈折率1.49のアクリル樹脂粒子を用い、その添加量を全樹脂成分に対し3部とし、膜厚を20μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、本比較例に係る防眩性ハードコートフィルム作製した。尚、それぞれの微粒子のアスペクト比はほとんど1.6以上であった。
(参考例1)
比較例6にて得られた防眩性ハードコートフィルム上に、以下の反射防止層形成材料を塗工し、乾燥、硬化処理を経て、厚さ100nmの反射防止層を有する防眩性反射防止ハードコートフィルムを作製した。
比較例6にて得られた防眩性ハードコートフィルム上に、以下の反射防止層形成材料を塗工し、乾燥、硬化処理を経て、厚さ100nmの反射防止層を有する防眩性反射防止ハードコートフィルムを作製した。
反射防止層の形成は次の様にして行った。先ず、反射防止層の形成材料として、エチレングリコール換算による平均分子量が500〜10000であるシロキサンオリゴマー(コルコートN103(コルコート(株)製、固形分2重量%))を用意し、その数平均分子量を測定した。その結果、数平均分子量は950であった。また、ポリスチレン換算による数平均分子量が5000以上であって、フルオロアルキル構造及びポリシロキサン構造を有するフッ素化合物として、オプスターJTA105(商品名、JSR(株)製、固形分5重量%)とを用意し、このフッ素化合物の数平均分子量について測定すると、ポリスチレン換算による数平均分子量は8000であった。また、硬化剤としては、JTA105A(JSR(株)製、固形分5重量%)を用いた。
次に、オプスターJTA105を100部、JTA105Aを1部、コルコートN103を590部、及び酢酸ブチルを151.5部混合して、反射防止層形成材料を調製した。反射防止層形成材料をハードコート層上にダイコーターにて、ハードコート層と同じ幅となる様にして塗工した。更に、120℃で3分間加熱することにより乾燥・硬化して反射防止層(低屈折率層、厚さ0.1μm、屈折率1.43)を形成した。これにより、反射率が2.2%の防眩性反射防止ハードコートフィルムを作製した。
(透明プラスチックフィルム基材及びハードコート層の屈折率)
透明プラスチックフィルム基材及びハードコート層の屈折率は、アタゴ社製のアッベ屈折率計を用いて行った。即ち、透明プラスチックフィルム基材及びハードコート層の測定面に対して測定光を入射させるようにして、該装置に示される規定の測定方法により測定を行った。
透明プラスチックフィルム基材及びハードコート層の屈折率は、アタゴ社製のアッベ屈折率計を用いて行った。即ち、透明プラスチックフィルム基材及びハードコート層の測定面に対して測定光を入射させるようにして、該装置に示される規定の測定方法により測定を行った。
(微粒子の屈折率)
各微粒子の屈折率は、次の通りにして測定した。即ち、微粒子をスライドガラス上に載せ、屈折率標準液を微粒子上に滴下し、カバーガラスを被せ試料を作製する。その試料を顕微鏡にて観察し、微粒子の輪郭が屈折率標準液との界面で最も視認し難くなる屈折率標準液の屈折率を微粒子の屈折率とした。
各微粒子の屈折率は、次の通りにして測定した。即ち、微粒子をスライドガラス上に載せ、屈折率標準液を微粒子上に滴下し、カバーガラスを被せ試料を作製する。その試料を顕微鏡にて観察し、微粒子の輪郭が屈折率標準液との界面で最も視認し難くなる屈折率標準液の屈折率を微粒子の屈折率とした。
(ハードコート層の膜厚)
ハードコート層の膜厚は、(株)ミツトヨ製のマイクロゲージ式厚み計で測定することにより求めた。透明プラスチックフィルム基材に防眩性のハードコート層を設けた防眩性ハードコートフィルムの厚みを測定し、基材の厚みを差し引くことでハードコート層の膜厚を算出した。結果を表1、2に示す。
ハードコート層の膜厚は、(株)ミツトヨ製のマイクロゲージ式厚み計で測定することにより求めた。透明プラスチックフィルム基材に防眩性のハードコート層を設けた防眩性ハードコートフィルムの厚みを測定し、基材の厚みを差し引くことでハードコート層の膜厚を算出した。結果を表1、2に示す。
(反射防止層の膜厚)
反射防止層の膜厚は、大塚電子製の瞬間マルチ測光システムであるMCPD2000(商品名)を用い、干渉スペクトルよりの波形より算出した。
反射防止層の膜厚は、大塚電子製の瞬間マルチ測光システムであるMCPD2000(商品名)を用い、干渉スペクトルよりの波形より算出した。
(反射率)
透明プラスチックフィルム基材に於いて、ハードコート層が形成されていない面側(裏面)に三菱レイヨン製黒色アクリル板(2.0mmt)を厚さ約20μmの粘着材にて貼り合わせ、裏面に於いて光反射をなくした。次に、島津製作所製UV2400PC(80傾斜積分球付き)分光光度計にて分光反射率(鏡面反射率+拡散反射率)を測定し、C光源/20視野の全反射率(Y値)を計算により求めた。
透明プラスチックフィルム基材に於いて、ハードコート層が形成されていない面側(裏面)に三菱レイヨン製黒色アクリル板(2.0mmt)を厚さ約20μmの粘着材にて貼り合わせ、裏面に於いて光反射をなくした。次に、島津製作所製UV2400PC(80傾斜積分球付き)分光光度計にて分光反射率(鏡面反射率+拡散反射率)を測定し、C光源/20視野の全反射率(Y値)を計算により求めた。
(鉛筆硬度)
鉛筆硬度試験は、得られたハードコートフィルムをガラス板に厚さ約20μmの粘着材にて貼り付け、JIS K−5400記載の鉛筆硬度試験に従い(但し、荷重500g)試験を実施した。結果を表1、2に示す。
鉛筆硬度試験は、得られたハードコートフィルムをガラス板に厚さ約20μmの粘着材にて貼り付け、JIS K−5400記載の鉛筆硬度試験に従い(但し、荷重500g)試験を実施した。結果を表1、2に示す。
(ヘイズ)
へイズの測定方法は、JIS−K7136へイズ(曇度)に準じ、ヘイズメーターHR300(村上色彩技術研究所社製)を用いて測定した。結果を表1、2に示す。
へイズの測定方法は、JIS−K7136へイズ(曇度)に準じ、ヘイズメーターHR300(村上色彩技術研究所社製)を用いて測定した。結果を表1、2に示す。
(光沢度)
光沢度については、測定角度を60°として、JIS K7105−1981に準じて、スガ試験機(株)製(デジタル変角光沢計UGV−5DP)を用いて測定した。
光沢度については、測定角度を60°として、JIS K7105−1981に準じて、スガ試験機(株)製(デジタル変角光沢計UGV−5DP)を用いて測定した。
(算術平均表面粗さRa及び平均傾斜角θa)
防眩性ハードコートフィルムの防眩性ハードコート層が形成されていない面に、MATSUNAMI製のガラス(膜厚1.3mm)を粘着材で貼り合わせた。高精度微細形状測定器(商品名:サーフコーダET4000、(株)小阪研究所)にて測定し、JIS B0601−1994記載の算術平均表面粗さRa値、凹凸の平均間隔Sm値を求めた。また、平均傾斜角θa値も同測定器にて自動算出により求めた。
防眩性ハードコートフィルムの防眩性ハードコート層が形成されていない面に、MATSUNAMI製のガラス(膜厚1.3mm)を粘着材で貼り合わせた。高精度微細形状測定器(商品名:サーフコーダET4000、(株)小阪研究所)にて測定し、JIS B0601−1994記載の算術平均表面粗さRa値、凹凸の平均間隔Sm値を求めた。また、平均傾斜角θa値も同測定器にて自動算出により求めた。
(表示コントラスト)
(1)作製した防眩性ハードコートフィルムは、防眩性ハードコート層が形成されていない面に膜厚約20μmのアクリル系粘着材を貼りつけ、表面が平滑な偏光板に貼り合わせた(50mm×50mm)。
(1)作製した防眩性ハードコートフィルムは、防眩性ハードコート層が形成されていない面に膜厚約20μmのアクリル系粘着材を貼りつけ、表面が平滑な偏光板に貼り合わせた(50mm×50mm)。
(2)防眩性ハードコートフィルム付き偏光板を、シャープ(株)製パネル(パネル型番:LQ150X1LAJO)の中央部分に貼り付けた。
(3)実装したパネルに対して、受光機(MINOLTA製、SPECTRORADIOMETER CS1000A)を50cm上方に平行になるように設定し、リング照明(直径37mm:MORITEX製 MHF−G150LR)を高さ27mmに位置に設定した。この設定位置でのリング照明光からパネルに照射される光の照射角度を角度30°とした。
(4)照度計(TOPCOM製、ILLUMINANCE METER)を使用し、照度1000Lxになるように調節した。
(5)パネルの画像を黒表示及び白表示にそれぞれ切り替え、偏光板の中央部分に於ける黒表示での輝度、白表示での輝度をそれぞれ黒輝度・白輝度とし測定を行った。その値を基にコントラスト比(白輝度/黒輝度)を算出した。
(6)基準値として微粒子を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして作製したハードコートフィルムを用いて、そのコントラスト比を前記(1)〜(5)の方法にて測定し、その値を100(実測値:312)として規格化した。尚、前記基準ハードコートフィルムの表面粗さに関する特性値として、Ra値0.003μm、θa値0.06°であった。
(防眩性)
(1)防眩性ハードコートフィルムのハードコート層が形成されていない面側に三菱レイヨン製黒色アクリル板(2.0mmt)を粘着剤にて貼り合わせ、裏面に於ける光反射をなくした。
(1)防眩性ハードコートフィルムのハードコート層が形成されていない面側に三菱レイヨン製黒色アクリル板(2.0mmt)を粘着剤にて貼り合わせ、裏面に於ける光反射をなくした。
(2)一般的にディスプレイを用いるオフィス環境下(約1000Lx)にて前記で作成したフィルムサンプルの防眩性を目視にて確認した。目視の際の判定基準は、像の写り込みがほとんどない場合を◎、像の写り込みはあるが、視認性への影響は小さい場合を○、像の写り込みはあるが、実用上問題はない場合を△、像の写り込みがある場合を×とした。
(黒の濃さ)
(1)作製した防眩性ハードコートフィルムの防眩性ハードコート層が形成されていない面に膜厚約20μmのアクリル系粘着剤を貼りつけ、表面が平滑な偏光板に貼り合わせた。
(1)作製した防眩性ハードコートフィルムの防眩性ハードコート層が形成されていない面に膜厚約20μmのアクリル系粘着剤を貼りつけ、表面が平滑な偏光板に貼り合わせた。
(2)防眩性ハードコートフィルム付き偏光板を、シャープ(株)製パネル(パネル型番:LQ150X1LAJO)に実装した。
(3)一般的にディスプレイを用いるオフィス環境下(約1000Lx)にてパネルを黒表示にて駆動させて黒の濃さを目視にて確認した。目視の際の判定基準は、黒の程度が非常に良好な場合を◎、黒の程度が良好な場合を○、若干白っぽくなっているものの、実用上問題はない場合を△、白ボケが発生している場合を×とした。
以上説明したとおり、本発明の防眩性ハードコートフィルムは、フィルム基材の少なくとも片面に、微粒子とハードコート樹脂とを主成分とする防眩性ハードコート層を有する防眩性ハードコートフィルムであって、平均粒径が6μm〜15μmの微粒子により凹凸形状を形成し、凹凸形状の平均傾斜角θaを0.4°〜1.5°の範囲にすることにより、実使用環境に於ける明所でのディスプレイの表示コントラストを60以上にすることができる。更に、本発明のハードコートフィルムは、粘着材又は接着材により偏光板等の光学フィルムに好適に用いることができ、その偏光板を装着したLCDは、家庭用テレビとして使用した場合でも十分な防眩性、表示コントラスト特性を有する為、好適に用いることができる。
1 フィルム基材
2 ハードコート層
2a 樹脂バインダー
2b 微粒子
4 防眩性ハードコートフィルム
5 反射防止層
6 防眩性反射防止ハードコートフィルム
2 ハードコート層
2a 樹脂バインダー
2b 微粒子
4 防眩性ハードコートフィルム
5 反射防止層
6 防眩性反射防止ハードコートフィルム
Claims (5)
- 透明なフィルム基材の少なくとも一方の面に、微粒子を含有し、表面が凹凸状のハードコート層を備えた防眩性ハードコートフィルムであって、
前記微粒子の平均粒径が6μm〜15μmであり、
かつ、前記微粒子により形成される凹凸形状の平均傾斜角θaが0.4°以上1.5°以下であり、
表示コントラスト特性が60以上であることを特徴とする防眩性ハードコートフィルム。 - 前記ハードコート層の膜厚が15μm〜35μmであることを特徴とする請求項1に記載の防眩性ハードコートフィルム。
- 前記微粒子が略球形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の防眩性ハードコートフィルム。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載の防眩性ハードコートフィルムを備えたことを特徴とする偏光板。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載の防眩性ハードコートフィルム、又は請求項4に記載の偏光板を備えたことを特徴とする画像表示装置。
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