JP2002082388A - 透過型スクリーンの製造方法 - Google Patents

透過型スクリーンの製造方法

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JP2002082388A
JP2002082388A JP2000272844A JP2000272844A JP2002082388A JP 2002082388 A JP2002082388 A JP 2002082388A JP 2000272844 A JP2000272844 A JP 2000272844A JP 2000272844 A JP2000272844 A JP 2000272844A JP 2002082388 A JP2002082388 A JP 2002082388A
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light
resin plate
light diffusion
transmitting resin
film
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Makoto Matsumoto
誠 松本
Yoshiaki Murayama
義明 村山
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光拡散層の厚さコントロールが容易で、ぎら
つきがなく、解像度の高い高品位な透過型スクリーンを
生産性よく製造する方法を提供する。 【解決手段】 透光性樹脂板の一方の面に光拡散材を含
有する透光性樹脂からなる光拡散層が積層一体化された
透過型スクリーンの製造方法において、基板上に供給さ
れた透光性樹脂板原料の表面に光拡散材を含有する透光
性樹脂からなる光拡散シート状物を供給し、該シート状
物の少なくとも一部を前記透光性樹脂板原料にり膨潤お
よび/または溶解した後、前記透光性樹脂板原料を重合
して透光性樹脂板を形成するとともに、該透光性樹脂板
の一方の面に前記光拡散シート状物を積層一体化する透
過型スクリーンの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロジェクション
テレビやマイクロフィルムリーダーなどのスクリーンと
して好適な透過型スクリーンの製造方法に関する。さら
に詳しくは、光拡散層の厚さコントロールが容易で、ス
ペックルがなく、解像度の高い高品位な透過型スクリー
ンを生産性よく製造することができ、特に、LCD(液
晶)プロジェクターやDMD(デジタル・マイクロミラ
ー・デバイス)プロジェクター等のようにマトリックス
状に配置された画素表示部を有するライトバルブに形成
された光学像が投写される透過型スクリーンの製造に好
適な方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、背面投写型プロジェクションテレ
ビにおいては、投写された画像を観察側の広い角度範囲
で明るく観察することが要求されており、特に水平方向
に広く拡散し、垂直方向にはそれより狭い範囲ではある
が適度に拡散するようにした視野範囲に異方性のある透
過型スクリーンが用いられている。
【0003】このような透過型スクリーンとしては、シ
ートの片面または両面に垂直方向に延びたレンチキュラ
ーレンズを並設するとともに、このようにして光拡散性
を持たせた拡散シート中に更に光拡散材を含有させ、レ
ンチキュラーレンズにより光を水平方向には広く拡散
し、光拡散材により垂直方向にもある程度光拡散させる
ようにしたレンチキュラーレンズシートが一般的に用い
られている。
【0004】一方、透過型スクリーンと組み合わせて用
いられる投写像源としては、CRTに代わって、LCD
やDMDといったマトリックス状の画素構造を用いて表
示を行うデバイスを用いたプロジェクターが普及してき
ている。このようなプロジェクターは、その構造上、C
TRプロジェクターのように地磁気の影響を受けること
がなく、静止画を観察することの多いコンピューターの
表示装置のための画像光源としては極めて好ましい。こ
のようなLCDやDMDをプロジェクターとして用いる
透過型スクリーンにおいては、比較的近接した位置から
観察するモニターのような14〜40インチ程度の比較
的小さい面積のものに使用されるため、新たな性能が要
求されてきている。
【0005】すなわち、投写画素とレンチキュラーレ
ンズとの周期的構造どうしの干渉によって発生するモア
レ現象の解消、レンチキュラーレンズの内部に添加し
た光拡散材が投写光と干渉して発生するスペックルもし
くはシンチレーションと呼ばれるスクリーン表面の微細
凹凸や拡散材がぎらつく現象(以下、「スペックル」と
記載)の解消、そして、近年では従来のVGA、SV
GAから、XGA、SXGAなどの大高画素数のものを
鮮明に解像することなどが要求される。
【0006】このような要求性能に関して、特にLCD
やDMDを用いたプロジェクター用のスクリーンに限ら
ず、背面投写型プロジェクションテレビなどで使用され
ている透過型スクリーンとして、それぞれ次のような解
決策が提案されている。
【0007】上記に関しては、特開昭62−2362
86号公報、特開平3−168630号公報、特公平7
−117818号公報では、投写画素とレンチキュラー
レンズとのピッチ比を最適化させることでモアレ現象を
解消する方法が提案されており、特開平2−12334
2号公報、特開平2−212880号公報では、投写画
素に対してレンチキュラーレンズを傾斜させることによ
ってモアレ現象を解消させることが提案されている。
【0008】このように、レンチキュラーレンズの周期
的構造と投写画素ピッチとによって発生するモアレ現象
は、両者のピッチを最適化することによって解消させる
ことができるものの、XGAクラスやSXGAクラスの
高画素数の場合や14〜40インチ程度の比較的小さい
画面に投影する場合には、スクリーンに投写された画素
を構成する画素のピッチが非常に小さくなるため、モア
レ現象を解消させるためにはレンチキュラーレンズのピ
ッチを0.1mm以下程度に非常に細かくすることが必
要となり、このようなレンズ金型の製造が極めて困難と
なったり、精確なレンズ形状を転写することができない
などの問題点を有している。
【0009】上記に関しては、特開平8−31386
5号公報、米国特許第5675435号明細書、米国特
許第3712707号明細書、特開昭55−12980
号公報に、光拡散層を分割したり、板厚方向に光拡散材
の濃度勾配を設けたりすることによって、スペックルの
低減を図る方法が提案されている。また、上記に関し
ては、特開昭55−12980号公報に、人間の目の解
像力(5〜10本/mm)を上回る解像力のスクリーン
を得るためには、拡散層の厚みを100μm以下に薄く
形成することが開示されている。
【0010】しかし、上記のような従来技術において
は、前記〜の要求性能を全て満足できるものではな
かった。特に、特開昭55−12980号公報等のよう
にレンチキュラーレンズを使用せずに光拡散材を含有さ
せた光拡散層のみを用いるスクリーンでは、前記のモ
アレ現象は解消されるものの、前記およびのスペッ
クルの低減と高解像度とはドレードオフの関係にある要
求性能のであり、両者を共に満足することはできるもの
ではなかった。
【0011】そこで、本願発明者は、特願平11−70
818号等においてスクリーンの光拡散材の濃度と光拡
散層の厚さをコントロールすることによって、解像度を
出来る限り損なうことなくスペックルを効果的に低減で
きることを見出した。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】このように、高解像度
と低スペックルの双方を実現させるためには、比較的薄
い光拡散層を均一な厚さで安定して積層することが必要
である。
【0013】従来、このような光拡散層を有する積層体
の製造方法としては、特開平6−2733849号公報
や特開平7−140555号公報等に記載されているよ
うに基材と光拡散シートを積層して加圧加熱する熱プレ
ス法、光拡散材、バインダーと希釈剤等からなる混合液
を、スプレー法、回転塗布法、ロールコーティング法、
フローコーティング法等の方法により基材表面に塗布し
た後、乾燥、固化する塗布法、特開昭56−14852
5号公報や特開昭56−162619号公報に記載され
ているように光拡散材を含有させた熱可塑性樹脂を基材
と共に押出し成形する共押出し法等が行われていた。
【0014】しかし、熱プレス法では、エア抜きに起因
する気泡の残存等の欠陥が発生しやすいとともに、作業
効率が非常に悪く生産性に劣るものであった。また、塗
布法では、光拡散層の厚さコントロールが困難であると
ともに、光拡散層と基材との密着性に劣るという問題点
を有していた。さらに、共押出し法では、光拡散層の厚
さコントロールを精度よく行うことができないととも
に、ダイラインやバンクマーク等の欠陥の発生、延伸に
より複屈折率が生じるという問題点を有していた。
【0015】そこで、本発明は、比較的薄い光拡散層を
均一な厚で容易に積層でき、スペックルがなく、解像度
の高い高品位な透過型スクリーンを生産性よく製造でき
る透過型スクリーンの製造方法を提供することを目的と
するものである。
【0016】
【課題を解決させるための手段】本発明者等は、このよ
うな状況に鑑み、光拡散シート状物を透光性基材用モノ
マー混合液上に供給し重合一体化することによって、比
較的薄い光拡散層を均一な厚さで容易に製造できること
を見出し、本発明に到達したものである。
【0017】すなわち、本発明の透過型スクリーンの製
造方法は、透光性樹脂板の一方の面に光拡散材を含有す
る透光性樹脂からなる光拡散層が積層一体化された透過
型スクリーンの製造方法において、基板上に供給された
透光性樹脂板原料の表面に光拡散材を含有する透光性樹
脂からなる光拡散シート状物を供給し、該シート状物の
前記透光性樹脂板原料と接触した部分の少なくとも一部
を膨潤および/または溶解させ、前記透光性樹脂板原料
を重合して透光性樹脂板を形成するとともに、該透光性
樹脂板の一方の面に前記光拡散シート状物を積層一体化
することを特徴とするものである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明の製造方法について詳細に説明する。図1は、本発明
による透過型スクリーンの製造工程の一例を示す概略図
である。図1に示した製造工程では、上下に配置された
2つのエンドレスベルト1、1’が張力制御装置4、
4’によって張力を付与されながら、駆動ロール3、
3’によって同一方向へ同一速度で走行している。な
お、駆動ロール3、3’は駆動装置16(駆動ロール3
を駆動する駆動装置は図示していない。)によって駆動
し、対向する端部には非駆動ロール2、2’が設けられ
ている。このようなエンドレスベルト1、1’の相対す
るベルト面と、これらの両側端部付近でベルト面に挟ま
れた状態で走行する連続したガスケット18とで囲まれ
たエンドレスベルト1上の一端に、原料供給ライン6か
ら透光性樹脂板の原料が供給され、エンドレスベルト
1、1’の走行と共に加熱ゾーン8、9で加熱重合硬化
された後、冷却ゾーン10で冷却して他端よりエンドレ
スベルト1、1’から分離して積層体14として取り出
す連続製板法である。
【0019】本発明の製造方法においては、フィルム供
給装置15によって光拡散フィルム7(光拡散シート状
物)がエンドレスベルト1に連続的に供給される。光拡
散フィルム7は、ホールドタンク17からエントレスベ
ルト1の表面にあらかじめ適量塗布されたメチルメタク
リレート単量体、メチルメタクリレート部分重合体、必
要に応じて拡散剤懸濁液等からなる混合物によって、エ
ンドレスベルト1の表面に貼付けられ、エンドレスベル
ト1、1’の相対するベルト面とガスケット18とで形
成される空間部分に搬送される。
【0020】一方、透光性樹脂板の原料は、原料タンク
5から原料供給ライン6に搬送され、エンドレスベルト
1、1’の相対するベルト面とガスケット18とで形成
される空間部分のエンドレスベルト1’上に供給され
る。供給された透光性樹脂板原料は、その表面にエンド
レスベルト1によって搬送される光拡散フィルム7が供
給され、エンドレスベルト1、1’に挟まれた状態で第
1加熱ゾーン8に搬送される。第1加熱ゾーン8では、
例えば温水スプレー装置によって50〜95℃の温水を
エンドレスベルト1、1’の背面に散布する等の方法に
よって、透光性樹脂板原料の1次重合が行われる。次い
で、第2加熱ゾーン9に搬送され、遠赤外線ヒーター等
により115〜150℃に加熱され2次重合が行われ
る。その後、冷却ゾーン10に搬送され、105℃以
下、好ましくは50〜100℃まで冷却され、エンドレ
ンベルト1、1’の相対するベルト面とガスケットとで
囲まれた空間の末端から排出され、透光性樹脂板の一方
の面に光拡散層が積層一体化された積層体14が連続し
て製造される。なお、エンドレスベルト1、1’の走行
速度は、重合を完全に完結させるために0.5〜4m/
分とすることが好ましい。
【0021】本発明においては、光拡散フィルム7は、
上記工程中に透光性樹脂板原料により、その一部が膨潤
あるいは溶解されることにより、透光性樹脂板と強固に
接着一体化される。光拡散フィルム7は、その厚さが
1.5〜3倍となるように膨潤されることが好ましい。
このように、適度の厚さに膨潤されることによって、透
光性樹脂板と光拡散層との界面近傍に数μmから数十μ
mの厚さで光拡散層から透光性樹脂板に向かって光拡散
材の濃度が徐々に減少する光拡散材の濃度勾配が形成さ
れ、これによってスペックルの低減等の光学特性が向上
する。
【0022】本発明において、光拡散層を形成する光拡
散フィルム7は、そのマトリックスを構成する透光性樹
脂と、透光性樹脂中に分散された光拡散材とからなる。
透光性樹脂としては、(メタ)アクリル系樹脂、スチレ
ン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリメチルペンテ
ン系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メチルメタク
リレート/スチレン共重合樹脂などの透光性を有する熱
可塑性樹脂や活性エネルギー線硬化型樹脂を使用するこ
とができる。このうちで、LCDプロジェクター等の透
過型スクリーンとして使用する場合には、LCDからの
投写光の偏光特性を低下させない複屈折率の小さい(メ
タ)アクリル系樹脂が好ましく、特に耐衝撃性の高いメ
タアクリル系樹脂を使用することが好ましい。
【0023】光拡散フィルム7に含有される光拡散材と
しては、シリカ、アルミナ、ガラスビーズなどの無機物
からなるものや、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系
樹脂、シリコーン樹脂、メチルメタクリレート/スチレ
ン共重合樹脂等の有機物からなるもの(特に架橋された
ものが好ましい)を適宜選択して使用することができ
る。中でも、光拡散フィルム7の製造の際に、透光性樹
脂中での光拡散材の沈降などを防止し、光拡散材の分散
の均一性を高めるためには、比重が透光性樹脂に近い有
機物からなるものを使用することが好ましい。特に、光
拡散性に優れ、高い色温度が得られることから、シリコ
ーン樹脂からなるものが好ましい。
【0024】本発明においては、光拡散材として体積平
均粒子径の1〜8μmであるものが好ましい。これは、
光拡散材の体積平均粒子径が1μmより小さい場合に
は、散乱により透過光が黄色く着色したり透けが発生す
る傾向があり、逆に、体積平均粒子径が8μmより大き
い場合には光拡散性が低下して透過型スクリーンとして
十分な視野角度が得られないとともに、所要の光拡散性
を得ようとすると必要となる添加量が多くなり過ぎて光
拡散層自体の強度が低下したり、光拡散フィルム7の製
造が困難になると共に、投写画像の解像度が低下する傾
向にあるためである。光拡散材の体積平均粒子径のより
好ましい範囲は、2〜6μmであり、さらに好ましくは
2.5〜5μmの範囲である。
【0025】また、光拡散フィルム7において、光拡散
材と透光性樹脂との屈折率差は0.05以上とすること
が好ましい。これは、屈折率差が0.05より小さい場
合には、光拡散性が弱くなるために拡散半値角が狭くな
り、所要の光拡散性を得ようとすると必要となる添加量
が多くなり過ぎて光拡散層自体の強度が低下したり、光
拡散フィルム7の製造や取扱が困難になると共に、投写
画像の解像度が低下する傾向にあるためである。一方、
透光性樹脂と光拡散材との屈折率差は0.15まであれ
ば十分であり、より好ましくは0.05〜0.15であ
り、さらに好ましくは0.06〜0.1の範囲である。
【0026】なお、本発明において使用される光拡散材
の形状としては、不定形、球形、扁平形状、回転楕円体
形状などが可能であるが、LCDプロジェクターの透過
型スクリーンとして使用する場合には、LCDの偏光特
性を低下させることの少ない球形や回転楕円体形状のも
のが好ましい。
【0027】また、光拡散フィルム7中に含有される光
拡散材の含有量は20〜60g/m であることが好ま
しい。これは、光拡散材の含有量が20g/mより少
ない場合には、光拡散性が低下し十分な視野角を得るこ
とができなくなる傾向にあるためである。また、60g
/mより多い場合には、光拡散性が強くなり過ぎて全
光線透過率が低下する傾向にあり、また、光拡散層自体
の強度が低下したり、光拡散フィルム7の製造が困難に
なる傾向にあると共に、投写画像の解像度が低下する傾
向にあるためである。光拡散材の含有量は25〜50g
/mの範囲であることが好ましく、より好ましくは3
0〜45g/mの範囲である。
【0028】また、光拡散フィルム7の厚さは、膨潤し
て透光性樹脂板に積層された光拡散層の厚さを考慮し
て、0.05〜0.6mmであることが好ましい。光拡
散フィルム7の厚さが0.05mm未満であると、スペ
ックルが強く発生する傾向にあり、逆に、厚さが1.5
mmを超えると、スクリーンの解像度が低下する傾向に
あるためである。光拡散フィルム7の厚みの好ましい範
囲は0.05〜0.55mmであり、より好ましくは
0.1〜0.5mmの範囲である。
【0029】さらに、このような光拡散フィルム7とし
ては、その表面に微細な凹凸が形成されているような表
面構造であることが好ましい。この微細凹凸は、シート
内部に添加された微粒子によって形成されていてもよい
し、サンドブラストなどの表面処理を施すことによって
形成されていてもよい。特に、光拡散フィルム7が最も
光源側に配置される場合には、光源側表面に微細凹凸が
形成されてることが好ましい。これは、光拡散フィルム
7の光源側を微細凹凸面とすることにより、スクリーン
装置の筐体内部への正反射光を抑制することが可能とな
って、スクリーンとしてのコントラストをより高めるこ
とができるとともに、観察側面から入射した外光が光拡
散フィルム7と空気層での界面で発生する反射光を抑制
することができるためである。微細凹凸は、例えば表面
粗さの平均傾斜角(Δa)で示した時に0.3度以上で
あることが好ましく、より好ましくは0.5度以上であ
る。
【0030】また、透過型スクリーンのコントラストを
さらに高めことを目的として、光拡散フィルム7にカー
ボンブラック、ネオジウム化合物のような顔料や染料な
どの特定の波長の光を吸収するような光吸収剤を添加し
てもよい。
【0031】本発明において、透光性樹脂板の原料は、
モノマーおよび/または部分重合体からなり、さらに可
視光線を吸収する光吸収剤や光拡散材等の添加材も必要
に応じて含有してもよい。透光性樹脂板を構成する樹脂
としては、光拡散層を構成する透光性樹脂と同様の熱可
塑性樹脂を使用することができる。特に、光拡散層2と
透光性樹脂板4とを同一材質の樹脂から構成すること
が、温度や湿度などの環境変化に伴う材質の相違に基づ
く特性の相違による透過型スクリーンの反り、変形や剥
離などの発生を効果的に抑止でき、高い信頼性を維持す
ることができることから好ましい。添加される光吸収剤
は、透過型スクリーン1のコントラストをさらに高めこ
とを目的とするもので、カーボンブラック、ネオジウム
化合物のような顔料や染料などの特定の波長の光を吸収
するようなものが挙げられる。また、光拡散材として
は、光拡散層2に分散させる光拡散材2bと同様の光拡
散材等が挙げられ、このように透光性樹脂板に光拡散材
を含有させることによって、透過型スクリーンの光拡散
作用を光拡散層と透光性樹脂板とに分けて付与すること
ができ、光拡散層を構成する光拡散材の含有量を減らし
たり、光拡散層の厚さを薄くすこともできる。
【0032】上記のようにして製造された透光性樹脂板
と光拡散層の積層体14は、必要に応じて偏光、ハード
コート、反射低減等の種々の機能を付与するために、偏
向フィルム、反射低減フィルム、ハードコートフィル
ム、レンズフィルム等の機能性フィルムをラミネートし
てもよい。この場合、図1に示したように、積層体14
の製造に引き続き、ラミネート装置12によって機能性
フィルムを連続してラミネートすることができる。
【0033】ラミネート装置12は、機能性フィルム1
3を積層体14にラミネートするラミネートロールと機
能性フィルムの走行安定性を向上させるニップロールか
ら構成される。ラミネートは、機能性フィルム13と積
層体14とを上下から挟み込む形で設けられた2本のラ
ミネートロールによって行われる。ラミネートロールと
しては、ラミネート時に材料の自重によるロールのたわ
みを防ぐため、十分な剛性を持つ金属製ロールを用い、
その表面にゴム硬さ50〜80IRHD(国際ゴム硬さ
単位)の薄いシリコンゴム層が形成されたものが好まし
い。ラミネートの圧力は、機能性フィルム13をラミネ
ートする粘着剤にもよるが、一般に用いられている感圧
型粘着剤では0.05MPa〜0.5MPa程度とする
ことが好ましい。また、ラミネートロールは、初期タッ
ク性の向上やエアーの混入を防止するために、少なくと
も一方のロールを加熱してもよい。ニップロールは、材
料の厚みに充分追従するようラミネートロールに比べて
ゴム硬度が柔らかく、若干厚めのシリコンゴム層が形成
されたものが好ましい。
【0034】機能性フィルム13を積層体14にラミネ
ートする粘着剤としては、上記の感圧型粘着剤の他に、
ホットメルト粘着剤や紫外線(UV)硬化型接着剤等、
種々の粘着剤を目的に応じて使用することができる。粘
着剤は、機能性フィルム7の一方の表面に予め塗布して
おいてもよいし、工程上に粘着剤の塗布工程を設けても
よい。
【0035】ラミネート装置12に装着された機能性フ
ィルムロール11は、ラミネート時の皺や気泡の混入を
防ぐために、テンションコントローラーによってバック
テンションをコントロールし、巻径に依存せず常に一定
のテンションを保持するようにすることが好ましい。付
与するテンションはラミネートする機能性フィルム13
の幅等によっても異なるが、幅1mのものに対して10
0N以下程度の機能性フィルム13にダメージを与え
ず、積層板14の光拡散層に変形を与えない程度のテン
ションとすることが好ましい。
【0036】なお、機能性フィルム13をラミネートす
る前に、除塵装置および除電装置によって積層体14の
埃や塵等を除くとともに、静電気を除去することが好ま
しい。除塵装置としては、接触式、非接触式のいずれで
のよいが、接触式のシリコン製粘着ロールを使用する場
合には、積層体14へのシリコンの移行等の基材への影
響に十分考慮する必要がある。また、非接触式の除塵装
置の場合、基材を固定するために真空チャックなどの付
加装置が設置することが好ましい。
【0037】図2に、本発明によって製造される透過型
スクリーンの構造例を示した。(a)は、光源側から光
拡散層20、透光性樹脂板21、偏光フィルム22、反
射低減層23の順番で積層され一体化された透過型スク
リーンである。(b)は、光源側から光拡散層20、透
光性樹脂板21、反射低減層23の順番で積層され一体
化された透過型スクリーンである。
【0038】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。光拡散フィルムの製造 メタクリル樹脂(屈折率1.49)中に、光拡散材とし
て屈折率1.42、平均粒子径4.5μmのシリコーン
樹脂ビーズ(東芝シリコーン社製トスパール145)を
47.6g/mの濃度となるように添加した後、押出
し成形により厚さ200μm、幅1000mmのメタク
リル樹脂製光拡散フィルムを得た。
【0039】透過型スクリーンの製造 図1に示した製造装置を用いて、透過型スクリーンの製
造を行った。メチルメタクリレートを予備重合して得た
ポリメチルメタクリレートを30重量%含むモノマー混
合物をホールドタンク17から適量塗布したエンドレス
ベルト1上に、得られたメタクリル樹脂製光拡散フィル
ム7をフィルム供給装置15を用いて連続的に供給し、
ラミネートロールにおよりエンドレスベルト1表面に貼
付けた。
【0040】一方、メチルタクリレートあるいはその部
分重合体を主成分とし、重合触媒としてのアゾビスジメ
チルバレロニトリル650ppm、離型剤としてのジオ
クチルスルホンサクシネート30ppmおよびシアニン
ブルー10ppmを含有する透光性樹脂板の原料を、原
料タンク5から原料供給ライン6に搬送し、幅1500
mmのエンドレスベルト1、1’の相対するベルト面と
ガスケット18とで囲まれたエンドレスベルト1’上に
供給した。供給された透光性樹脂板原料は、その表面に
エンドレスベルト1によって搬送された光拡散フィルム
7が供給され、エンドレスベルト1、1’に挟まれた状
態で第1加熱ゾーン8に搬送された。第1加熱ゾーン8
では、温水スプレー装置によって80℃の温水をエンド
レスベルト1、1’の背面に散布し透光性樹脂板原料の
1次重合を行った。次いで、第2加熱ゾーン9に搬送
し、遠赤外線ヒーターにより130℃に加熱し2次重合
を行った。その後、冷却ゾーン10に搬送し90℃まで
冷却を行い、エンドレンベルト1、1’の相対するベル
ト面とガスケットとで囲まれた空間の末端から、透光性
樹脂板の一方の面に光拡散層が積層一体化された積層体
14を連続して排出した。なお、エンドレスベルト1、
1’の走行速度は2.0m/分とした。得られた積層体
14は、厚さ3.0mmの透光性樹脂板に厚さ550μ
mの光拡散層が積層一体化されており、透光性樹脂板と
光拡散層の界面近傍の10μmの範囲で光拡散層から透
光性樹脂板に向かって光拡散材の濃度が徐々に減少する
濃度勾配が形成されていた。
【0041】得られた積層体14は、除塵装置および除
電装置によって表面の埃や塵等を除くとともに、静電気
を除去した後、その表面に厚さ100μmの片面に感圧
型粘着剤が塗布された反射防止フィルムをラミネート装
置12によってラミネートを行い、図2(a)に示した
構造の透過型スクリーンを得た。ラミネート装置12と
しては、金属製ロールの表面にゴム硬さ80IRHDシ
リコン層が形成された2本のラミネートロールと金属製
ロールの表面にゴム硬さ50IRHDシリコン層が形成
されたものを用い、ラミネートロールを50℃に加熱
し、ラミネート圧力0.1MPaでラミネートを行っ
た。また、機能性フィルムロール11には、テンション
コントローラーによってテンションが5Nで一定となる
ように維持しながらラミネートを行った。
【0042】得られた透過型スクリーンは、光拡散層が
均一な厚さで形成され、透光性樹脂板との密着性にも優
れており、背面投写型LCDプロジェクションモニター
のスクリーンとして使用したところ、高い解像度を有
し、スペックルもほとんど観察されなかった。
【0043】
【発明の効果】本発明は、光拡散層の厚さコントロール
が容易で、ぎらつきがなく、解像度の高い高品位な透過
型スクリーンを生産性よく製造することができ、LCD
(液晶)プロジェクターやDMD(デジタル・マイクロ
ミラー・デバイス)プロジェクター等のようにマトリッ
クス状に配置された画素表示部を有するライトバルブに
形成された光学像が投写される透過型スクリーンに好適
な製造方法を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による透過型スクリーンの製造装置の概
略示す模式的部分断面図である。
【図2】本発明による透過型スクリーンの構成を示す模
式的部分断面図である。
【符号の説明】
1、1’ エンドレスベルト 5 原料タンク 6 原料供給ライン 7 透拡散フィルム 8 1次加熱ゾーン 9 2次加熱ゾーン 10 冷却ゾーン 12 ラミネート装置 13 機能性フィルム 14 積層体 15 フィルム供給装置 18 ガスケット 20 光拡散層 21 透光性樹脂板 22 偏向フィルム 23 反射防止フィルム

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透光性樹脂板の一方の面に光拡散材を含
    有する透光性樹脂からなる光拡散層が積層一体化された
    透過型スクリーンの製造方法において、基板上に供給さ
    れた透光性樹脂板原料の表面に光拡散材を含有する透光
    性樹脂からなる光拡散シート状物を供給し、該シート状
    物の前記透光性樹脂板原料と接触した部分の少なくとも
    一部を膨潤および/または溶解させ、前記透光性樹脂板
    原料を重合して透光性樹脂板を形成するとともに、該透
    光性樹脂板の一方の面に前記光拡散シート状物を積層一
    体化することを特徴とする透過型スクリーンの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 透光性樹脂板の一方の面に光拡散シート
    状物を積層一体化した後、該積層体の少なくとも一方の
    表面に機能性フィルムを積層一体化することを特徴とす
    る請求項1記載の透過型スクリーンの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記透光性樹脂板原料が、光吸収剤、光
    拡散材の少なくとも1つを含有することを特徴とする請
    求項1または2記載の透過型スクリーンの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記光拡散シート状物が、厚さが0.0
    5〜0.6mmで、体積平均粒径1〜8μmの光拡散材
    が20〜60g/mの濃度で含有することを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載の透過型スクリーンの
    製造方法。
  5. 【請求項5】 前記光拡散シート状物を、厚さが1.5
    〜5倍となるように膨潤させることを特徴とする請求項
    1〜4のいずれかに記載の透過型スクリーンの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記機能性フィルムとして、偏光フィル
    ム、ハードコートフィルム、反射低減フィルム、レンズ
    フィルムの少なくとも1種が積層されることを特徴とす
    る透過型スクリーンの製造方法。
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