JP2008136611A - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】サイド防漏部を形成するサイドシートからウイング部が形成されている吸収性物品において、着用時においてサイド防漏部の起立性に優れると共に、ウイング部がその基端部近傍において破断しにくい吸収性物品を提供する。
【解決手段】表面シート2、裏面シート3及びその間に介在配置された吸収体4を備えた吸収性本体10と、吸収性本体10の両側部それぞれから幅方向外方に延出する一対のウイング部5,5と、吸収性本体10の肌当接面側の両側部それぞれを被覆する一対のサイド防漏部6,6とを有する吸収性物品1であって、サイド防漏部6はサイドシート61からなり、サイドシート61は、吸収性本体10の両側部からそれぞれ延出して、ウイング部5の全部又は大部分を形成しており、サイド防漏部6及びウイング部5には、サイドシート61の素材よりも剛性の高い線状の高剛性部62が、サイド防漏部6からウイング部5に亘って連続的に又は非連続的に延びるように形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等の吸収性物品に関する。
生理用ナプキン等の吸収性物品には、表面シート、裏面シート及び両シート間に介在配置された吸収体を備えた吸収性本体の両側部それぞれから幅方向外方に延出する一対のウイング部を設けたものがある。このようなウイング部が設けられた吸収性物品は、吸収性本体をショーツのクロッチ部の上面(内面)に配設し、ウイング部をクロッチ部の下面(外面)側に折り返して、ウイング部をそれに設けられたズレ止め剤によってクロッチ部に止着することにより、吸収性物品の位置ズレを防止できるようになっている。
また、吸収性物品においては、吸収性本体の両側部からの横漏れ防止性を向上させるために、吸収性本体の肌当接面側の両側部それぞれを被覆する一対のサイド防漏部を設けたものがある。このようなサイド防漏部が設けられた吸収性物品にウイング部を併せて設ける場合には、例えば、サイド防漏部を形成するサイドシートを吸収性本体の幅方向外方に延出させ、サイドシートの延出領域からウイング部を形成する構成が採用されている(例えば、下記特許文献1参照)。
特開2002−272786号公報
しかし、特許文献1記載の吸収性物品においては、着用時におけるサイド防漏部の起立性を向上させることについて、特段の工夫はなされていない。また、ウイング部における基端部側以外のほぼ全域に面状のヒートエンボス加工を施して、ヒートエンボス加工が施された領域の剛性を高めているが、ヒートエンボス加工の施されていない基端部は剛性が低いため、例えば、使用後、吸収性物品をショーツから取り外して廃棄する際に、ウイング部がその基端部近傍において破断して、ウイング部の一部がショーツに付着したままとなる場合がある。
従って、本発明の目的は、吸収性本体、ウイング部及びサイド防漏部を有し、サイド防漏部を形成するサイドシートからウイング部が形成されている吸収性物品において、着用時においてサイド防漏部の起立性に優れると共に、ウイング部がその基端部近傍において破断しにくい吸収性物品を提供することにある。
本発明は、表面シート、裏面シート及び両シート間に介在配置された吸収体を備えた吸収性本体と、該吸収性本体の両側部それぞれから幅方向外方に延出する一対のウイング部と、該吸収性本体の肌当接面側の両側部それぞれを被覆する一対のサイド防漏部とを有する吸収性物品であって、前記サイド防漏部はサイドシートからなり、該サイドシートは、前記吸収性本体の両側部からそれぞれ延出して、前記ウイング部の全部又は大部分を形成しており、前記サイド防漏部及び前記ウイング部には、前記サイドシートの素材よりも剛性の高い線状の高剛性部が、該サイド防漏部から該ウイング部に亘って連続的に又は非連続的に延びるように形成されている吸収性物品を提供することにより、上記目的を達成したものである。
本発明の吸収性物品によれば、吸収性本体、ウイング部及びサイド防漏部を有し、サイド防漏部を形成するサイドシートからウイング部が形成されている吸収性物品において、着用時においてサイド防漏部の起立性に優れると共に、ウイング部がその基端部近傍において破断しにくい。
以下、本発明の吸収性物品について、その好ましい一実施形態(第1実施形態)に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の第1実施形態の吸収性物品は、生理用ナプキン1であり、図1〜図3に示すように、表面シート2、裏面シート3及び両シート2,3間に介在配置された吸収体4を備えた吸収性本体10と、吸収性本体10の両側部それぞれから幅方向外方に延出する一対のウイング部5,5と、吸収性本体10の肌当接面側の両側部それぞれを被覆する一対のサイド防漏部6,6とを有している。
尚、本明細書において、「肌当接面側」とは、吸収性本体等の各部材の表裏両側(面)のうち、着用時に着用者の肌側に配される側(面)である。また、「非肌当接面側」とは、肌当接面側の反対側(面)である。特に明記のない限り、「長手方向」とは、吸収性物品の長手方向に沿う方向であり、「幅方向」とは、吸収性物品の幅方向に沿う方向である。
また、吸収性本体10において、排泄部対向部Aとは、図1に示すように、着用者の排泄部と対向する領域であり、本発明のようにウイング部5を有する吸収性物品においては、両側部にウイング部5を有する部分である。排泄部対向部Aよりも前方に位置する領域を前方部Bといい、排泄部対向部Aよりも後方に位置する領域を後方部Cという。
本実施形態の生理用ナプキン1について更に詳述する。吸収性本体10は、図1〜図3に示すように、液透過性の表面シート2、液不透過性又は撥水性の裏面シート3及び両シート2,3間に介在配置された液保持性の吸収体4を備えている。吸収体4は、平面視で、前後縁部が丸みを帯びた略長方形状を有している。
表面シート2は、図1及び図3に示すように、吸収体4の上面の全域を被覆している。表面シート2の前後縁部は、丸みを帯びており、吸収体4の前後縁部それぞれから長手方向に延出している。表面シート2の両側縁部は、長手方向に沿う直線状であり、図3に示すように、吸収体4の両側縁部それぞれから幅方向に若干延出しているが、裏面シート3からは離間している。
裏面シート3は、図2及び図3に示すように、吸収体4の下面の全域を被覆している。裏面シート3の前後縁部は、丸みを帯びており、吸収体4の前後縁部それぞれから長手方向に延出している。裏面シート3の両側縁部は、吸収体4の両側縁部それぞれから幅方向に延出している。
図2及び図3に示すように、吸収性本体10の非肌当接面側には、詳細には、裏面シート3の非肌当接面側には、吸収性本体10とショーツのクロッチ部の上面(内面)とを止着するためのズレ止め剤11が設けられている。ズレ止め剤11は粘着剤等から形成される(後述のズレ止め剤55も同様)。
表面シート2、裏面シート3及び吸収体4としては、生理用ナプキン等の吸収性物品において従来から用いられている各種材料を特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート2としては、液透過性を有する不織布や開孔フィルム等を用いることができる。裏面シート3としては、液不透過性又は撥水性のフィルム等を用いることができる。吸収体4としては、従来から使用されているパルプ繊維や短繊維又は長繊維のウエブ等の繊維集合体を主体とする吸収性コアを、被覆シートで被覆したものを用いることができる。吸収性コアは高吸収性ポリマーを含んでいてもよい。
裏面シート3は、吸収性本体10のムレを低減させる観点から、透湿性(通気性)を有していることが好ましい。透湿性のシートとしては、例えば、熱可塑性樹脂に無機化合物又は有機化合物のフィラーを添加したものを、Tダイやサーキュラーダイから溶融押出してフィルムを形成し、次いで、該フィルムを一軸延伸又は二軸延伸して得られる樹脂シート、スパンボンド不織布(S)とメルトブロー不織布(M)とが複合化された複合不織布(例えばSM、SMS、SMMS等)、エアスルー不織布や前記SMS等の複合不織布と前記樹脂シートとの複合シートが挙げられる。
裏面シート3として、前記樹脂シートを用いると裏面シート3の非肌当接面側に設けられたズレ止め剤11の固定性がよい点から好ましく、また、前記複合不織布を用いると透湿性及び柔軟性がよい点から好ましい。
吸収体4は、図3に示すように、上部吸収体41及び下部吸収体42からなる2層構造を有している。上部吸収体41は、平面視で、下部吸収体42よりも長さ及び幅が短くなっており、後述の中央第1シール線12よりも小さい形状を有しており、下部吸収体42には接合されていない。また、上部吸収体41は、下部吸収体42における長手方向及び幅方向に中央寄りに位置しており、延いては、吸収性本体10における長手方向及び幅方向に中央寄りに位置している。従って、上部吸収体41は、吸収性本体10におけるいわゆる中高領域を形成する。
表面シート2には、図1及び図3に示すように、表面シート2と下部吸収体42とが一体的に圧密化されて形成された中央第1シール線12及び中央第2シール線13が設けられている。中央第1シール線12は、平面視で上部吸収層41を包囲するように、表面シート2の上面におけるサイド防漏部6によって被覆されていない領域に、環状に設けられている。前後一対の中央第2シール線13,13は、略半円弧状であり、中央第1シール線12の前部及び後部よりもそれぞれ前方側及び後方側に、中央第1シール線12と連続的に設けられている。
中央第1シール線12及び中央第2シール線13は、表面シート2と下部吸収体42とを接合しているが、表面シート2と上部吸収体41とは接合していない。従って、上部吸収体41は、表面シート2と下部吸収体42とからなる閉鎖空間に封入されている。
ウイング部5は、図1及び図3に示すように、排泄部対向部Aにおいて吸収性本体10の両側部から延出している。ウイング部5は、ショーツ等の下着のクロッチ部の下面(外面)側に折り返されて用いられるものである。本発明においては、ウイング部5の両付け根を結ぶ直線が、吸収性本体10とウイング部5との境界線となる。ウイング部5は、図1に示すように、平面視で、下底(上底よりも長い辺)が吸収性本体10の側部側に位置する略台形状を有している。
図2及び図3に示すように、ウイング部5の非肌当接面側には、ズレ止め剤55が設けられている。ズレ止め剤55によって、使用時に、ショーツのクロッチ部の下面(外面)側に折り返されたウイング部5を、クロッチ部に止着できるようになっている。
サイド防漏部6は、図1及び図3に示すように、吸収性本体10の肌当接面側の両側部それぞれを被覆する構成部位で、吸収性本体10の肌当接面側における両側部それぞれに、吸収性本体10の長手方向に沿ってその略全長に亘るように設けられている。
サイド防漏部6はサイドシート61からなる。サイドシート61は、幅方向に2つ折りにされて、サイド防漏部6の内側縁部において折り返し部を形成し、2層領域を形成している。本実施形態においては、サイド防漏部6の平面視面積の80%以上が2層領域となっている。サイド防漏部6の内側縁部は、吸収性本体10の長手方向に沿う直線状になっている。
サイドシート61としては、生理用ナプキン等の吸収性物品において従来から用いられている各種材料を特に制限なく用いることができ、撥水性及び/又は透湿性を有していることが更に好ましい。サイドシート61は、液不透過性であってもよい。サイトシート61の材料としては、例えば、スパンボンド不織布、スパンボンド不織布(S)とメルトブロー不織布(M)とが複合化されたシート(例えばSM、SMS、SMMS等)、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、エアスルー不織布等の撥水性(疎水性)不織布が挙げられる。SM、SMS、SMMS等の複合化されたシートを用いると、該シートの表面の平滑性による滑らかな感触及び該シートの物性(強度等)が良好であるため、ウイング部5における耐引き裂き性やズレ止め剤55の転着性が良好となる点で好ましい。また、エアスルー不織布を用いると、低坪量でも厚みが得られ易く、風合い(クッション感)や肌触りが良好となる点で好ましい。
サイトシート61は、嵩高性を有する不織布から形成されていることが好ましい。嵩高性を有する不織布としては、0.49cN/cm2加重時の厚みが0.5〜5mm、好ましくは0.7〜4.5mm、より好ましくは1〜4mmであるものが挙げられる。該厚みは、錘としてアルミニウム製のφ25mmの円形プレートを用い、株式会社キーエンス製:LK−085 レーザー変位計により計測される。また、不織布の坪量は、40g/m2以上であることが好ましいが、例えば、不織布を折り返し部で折り返し、積層することによって40g/m2以上とすることもできる。
また、サイドシート61は、吸収性本体10の長手方向に伸長性を有する不織布から形成されていることが好ましい。該不織布は、非伸長状態の長さに対して15%以上伸長することが好ましく、30%以上伸長することが更に好ましい。
伸長性を有する不織布としては、繊維同士の結合を有さないスパンレース不織布や、平面的に粗密構造(開孔を含む)を有するエアスルー不織布、複数層の不織布を伸長方向に弛せて接合したシート(例えば、ひだ形状を有するシート)が好ましく、また、ウレタン系やエステル系エラストマーの弾性シート、熱捲縮性を有する繊維ウェブに熱が付与されて形成された伸縮性を有する不織布等のような、伸縮機能により伸長性を有する不織布も好ましい。
サイドシート61は、吸収性本体10の両側部からそれぞれ延出して、ウイング部5の全部を形成している。
サイド防漏部6及びウイング部5には、図1及び図4に示すように、サイドシート61の素材よりも剛性の高い線状の高剛性部62が、サイド防漏部6からウイング部5に亘って連続的に延びるように形成されている。高剛性部62は、ウイング部5において、少なくともウイング部5の両付け根近傍にそれぞれ設けられている。以下、ウイング部5の両付け根近傍に設けられた高剛性部62を「高剛性部62A」ともいう。ウイング部5の両付け根近傍に設けられた高剛性部62Aは、吸収性本体10の幅方向に沿って延びている。「ウイング部5の付け根近傍」とは、ウイング部5の付け根から半径6mm以内の領域を意味し、「ウイング部5の付け根近傍に設けられている」とは、高剛性部62の一部が、ウイング部5の付け根近傍に存在していることを意味する。
ウイング部5において、1つの付け根あたりのその近傍に設けられた高剛性部62Aの本数は、第1実施形態のように、好ましくは1本であるが、後述する第5実施形態のように2本の場合もあり、また3本以上の場合もある。
本実施形態においては、高剛性部62は、ウイング部5の両付け根近傍に設けられた長手方向に一対の高剛性部62A,62Aに加えて、一対の該高剛性部62Aの間の領域に、吸収性本体10の幅方向に沿って延びるように、吸収性本体10の長手方向に離間して複数本(具体的には5本)設けられている。一対の前記高剛性部62Aの間の領域に設けられた高剛性部62については、他の高剛性部62と区別する場合には「高剛性部62B」という。
ウイング部5の付け根近傍に設けられた一対の高剛性部62A、及び一対の該高剛性部62Aの間の領域に設けられた高剛性部62Bは、その外端部がウイング部5の周縁部まで延びている。また、高剛性部62A,62Bの内端部は、サイド防漏部6の内側縁部までは延びていない。
本実施形態においては、ウイング部5に複数本の高剛性部62A,62Bが設けられることにより、高剛性部62は、ウイング部5において、ウイング部5の全域に亘って設けられることになる。「高剛性部62がウイング部5の全域に亘って設けられている」とは、ウイング部5に、前記高剛性部62A,62Bが、長手方向間隔:15mm以内で設けられていることを意味する。
高剛性部62は、更に、サイド防漏部6におけるウイング部5よりも前方側及び後方側それぞれの領域に、吸収性本体10の幅方向に沿って延びるように、吸収性本体10の長手方向に離間して複数本(本実施形態においてはそれぞれ2本)設けられている。サイド防漏部6におけるウイング部5よりも前方側及び後方側の領域に設けられた高剛性部62については、他の高剛性部62と区別する場合には「高剛性部62C」という。該高剛性部62Cは、サイド防漏部6の幅方向全域に亘っている。
前記高剛性部62Aにおけるサイド防漏部6側に位置する部分の長さ(吸収性本体10の幅方向に沿う長さ)L1(図4参照)は、サイド防漏部6の起立性を考慮すると、好ましくは12〜18mm、更に好ましくは14〜16mmである。同じ理由より、前記長さL1は、高剛性部62Aが設けられている位置におけるサイド防漏部6の幅(吸収性本体10の幅方向に沿う幅)Wの好ましくは60〜90%、更に好ましくは70〜80%である。
また、前記高剛性部62Bにおけるサイド防漏部6側に位置する部分の長さ(吸収性本体10の幅方向に沿う長さ)L2(図4参照)は、サイド防漏部6の起立性を考慮すると、好ましくは2〜14mm、更に好ましくは4〜12mmである。同じ理由より、前記長さL2は、高剛性部62Bが設けられている位置におけるサイド防漏部6の幅(吸収性本体10の幅方向に沿う幅)Wの好ましくは10〜80%、更に好ましくは20〜60%である。
本実施形態における高剛性部62は、サイドシート61の素材にヒートエンボス加工を施すことにより形成されている。高剛性部62の凹みの断面形状は、個装形状やショーツへのウイング部5の折り畳みによって生じる外力によっても凹みが潰れにくい観点から、円弧状又はそれに類似した曲線状であることが好ましく、半円弧状であることが更に好ましい。一般的なヒートエンボス加工によれば、サイドシート61の上下両面に凹みが形成されるが、少なくともサイド防漏部6及びウイング部5の状態において肌当接面となる面側の凹みは、半円弧状であることが好ましい。高剛性部62の凹みがこのような形状を有していると、個装状態においてウイング部5が、ウイング部5とサイド防漏部6との境界線を折り線として折り畳まれていたとしても、高剛性部62は凹みの潰れがなく途切れにくいため、ウイング部5は、高剛性部62におけるその延びる方向の剛性に従って、吸収性本体10の幅方向に展開しやすく、折り線近傍の皺も付きにくい。このような傾向は、ウイング部5が表面シート2側に畳まれている個装状態において、詳細には、吸収体4の厚み及び高剛性部62の凹みによる剛性によって前記境界線による折り線が形成されにくく且つウイング部5及びサイド防漏部6が境界線近傍においても湾曲する前記個装状態において、より効果を有する。
サイド防漏部6は、図1に示すように、前方部Bにおいて、その前端部側及び外側縁部側が、前側のエンドシール部14によって、吸収性本体10の表面シート2又は裏面シート3に接合されている。同様に、サイド防漏部6は、後方部Cにおいて、その後端部側及び外側縁部側が、後側のエンドシール部15によって、吸収性本体10の表面シート2又は裏面シート3に接合されている。エンドシール部14,15はヒートシールにより形成される。
エンドシール部14は、吸収性本体10の前方部Bの左側縁部から前端縁部を経由して右側縁部に亘って、略半円弧状に連続的に延びており、同様に、エンドシール部15は、吸収性本体10の後方部Cの左側縁部から前端縁部を経由して右側縁部に亘って、略半円弧状に連続的に延びている。表面シート2と裏面シート3とは、図1に示すように、エンドシール部14,15によって接合されている。
サイド防漏部6の下面は、サイド防漏部6の外側縁部近傍においては、高剛性部62又はその他のシール部(図示せず)によって、表面シート2又は裏面シート3に接合されているが、それ以外の領域においては、表面シート2又は裏面シート3に接合されておらず、表面シート2との間でポケットを形成している。サイド防漏部6の下面のうち、表面シート2及び裏面シート3に接合されていない領域の比率は、面積比で15%以上であることが好ましく、50%以上であることが更に好ましい。サイド防漏部6の下面のうち、平面視で吸収体4に重なる部分は、表面シート2に接合されていない。
前記ポケットは、着用時に開口し、その開口したポケットに、幅方向外方へ移動した体液を捕捉できるため、防漏性を向上させることができる。前記ポケットで捕捉された体液は、該ポケットの手前から奥へ移動する間に吸収体4に吸収されるか、又は該ポケットの奥に到達した後、吸収体4側に戻って吸収される。
また、前記ポケットが形成されると、視覚的にも幅方向の防漏性が高いことを容易に理解できるため、着用者に安心感を与える点でも好ましい。
本実施形態の生理用ナプキン1の各構成部材は、前述の高剛性部62及びエンドシール部14,15以外にも、ホットメルト型接着剤等の各種接着剤(図示せず)により更に接合されていてもよい。
接着剤は、例えば、吸収体4と裏面シート3との間に設けられる。また、接着剤は、ウイング部5の両付け根間において、サイドシート61と裏面シート3との間に設けることが好ましい。接着剤は、連続的に(面状に)塗工されていてもよい(いわゆるベタ塗り)が、塗工された領域の通気性を考慮すると、間欠的に塗工されていることが好ましい。間欠的な塗工形態としては、例えば、スパイラル状、幅方向に延びるストライプ状、Ω状、ドット状が挙げられる。
高剛性部62は、サイドシート61を吸収性本体10に接合し、サイド防漏部6及びウイング部5を形成してから、このサイド防漏部6及びウイング部5に形成することもできるが、サイド防漏部6及びウイング部5が形成される前のサイドシート61に高剛性部62を形成してから、このサイドシート61を吸収性本体10に接合する方が好ましい。このようにすると、高剛性部62によってサイド防漏部6と吸収性本体10とが接合されにくく、サイド防漏部6の起立が阻害されにくくなる点で好ましい。
高剛性部62は、ヒートエンボス加工以外にも、例えば、超音波エンボス加工より形成することができる。
吸収性本体10の厚みは、排泄部対向部Aにおいて、好ましくは5mm以下、更に好ましくは3.5mm以下である。また、吸収性本体10の厚みは、前方部B及び後方部Cにおいて、好ましくは3mm以下、更に好ましくは2mm以下である。吸収性本体10の厚みがこのような範囲に設定されていると、装着時に違和感が生じにくく、身体の前後方向に沿って更にフィットし、装着時に前記ポケットが開口しやすく、横モレ防止性が一層向上するので好ましい。
吸収性本体10の厚みは、以下の測定方法により測定される。
〔厚みの測定方法〕
製品(吸収性物品全体)を平らな場所に皺や折れ曲がりがないように静置し、吸収性本体の排泄部対向部又は前方部若しくは後方部における吸収体が配されている領域の上面に、5cN/cm2の荷重を掛け、その状態下での厚みを測定する。製品装着時の装着圧は、身体の部位、個人差、状態(座っている/動いている)等により異なるが、排泄部対向部の中央域(排泄ポイント付近)では、ショーツ等の下着を着用する以外に外圧が掛らない状態において、無荷重〜5cN/cm2の荷重となるため、この荷重(5cN/cm2)での測定を行なった。厚みの測定には、厚み計 PEACOCK DIAL PRIGHT GAUGES R5-C(OZAKI MFG.CO.LTD.製)を用いた。このとき、厚み計の先端部と製品との間の測定部分にプレート(厚さ5mm程度のアクリル板)を配置して、荷重が5cN/cm2となるようにプレートの大きさを調整する。プレートの形状は円形又は正方形とする。
また、ウイング部5の付け根における引き裂き強度は、500〜1000cNであることが好ましく、使用後にウイング部5のズレ止め剤55をショーツのクロッチ部から引き剥がしても、ウイング部5の付け根を起点する引き裂きが生じにくいことをより確実なものにするために、650cN以上であることが更に好ましい。
ウイング部5の引き裂き強度は、以下の測定方法により測定される。
〔引き裂き強度の測定方法〕
JIS K7128−1(1998、プラスチック−フィルム及びシートの引裂強さ試験方法)に規定された第1部 トラウザー引裂法を参考に、テンシロン引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、RTC−1210A)を使用し、上下チャック間の距離を5mm(試験片を挿入可能な程度の間隔)に調整したチャックの上側に製品の吸収性本体、下側にウイング部を挟み、上側のチャックに挟んだ製品の吸収性本体を一定速度500mm/minで上昇させ、試験片を製品長手方向に沿って引き裂いたときの最高値(cN)を読み取る。測定は5回行い、その平均値を算出して引き裂き強度とした。
本実施形態においては、伸長性(伸縮性)を有するウイング部5が使用可能であるため、トラウザー引裂法による引き裂き強度には、伸長性(伸縮性)の要因が含まれる場合もあるが、「ウイング部5の引き裂き強度」においては、伸長性(伸縮性)の要因も含めて引き裂き強度とする。測定環境は、20℃、65%RHである。
尚、試験片は、製品形態の吸収性物品における長手方向のウイング部の中心を基準に、前後75mm(計150mm:ウイング部の付け根部分が確実に残る長さ)になるように、製品形態の吸収性物品を幅方向に裁断してサンプルとなし、更に、ウイング部の付け根部分から長手方向に15mmの長さで長手方向に切り込みを入れ、これを試験片とした。
テンシロン引張試験機の上側のチャックに、得られた試験片における吸収性本体の部分を挟み(ウイング部は挟まない)、下側のチャックに、切り込みを入れて下方に折り返したウイング部の折り返し部を挟み、測定を行った。
本実施形態の生理用ナプキン1は、吸収性本体10をショーツのクロッチ部(図示せず)の上面(内面)に配設し、ズレ止め剤11によってクロッチ部に固定する。そして、図5に示すように、ウイング部5をクロッチ部の下面(外面)側に折り返して、ズレ止め剤55によってウイング部5をクロッチ部の外面に止着することにより、位置ズレを防止しながら装着することができる。
以上の構成を有する第1実施形態の生理用ナプキン1においては、サイド防漏部6及びウイング部5には、サイドシート61の素材よりも剛性の高い線状の高剛性部62が、サイド防漏部6からウイング部5に亘って連続的に延びるように形成されている。そのため、ウイング部5を吸収性本体10の非肌当接面側に折り返して着用形態を形成すると、ウイング部5からサイド防漏部6に亘る高剛性部62が起立し、それに従って、高剛性部62の近傍のサイド防漏部6(高剛性部62以外の領域)も起立する。従って、着用時においてサイド防漏部6の起立性に優れている。
また、高剛性部62がサイド防漏部6からウイング部5に亘って、つまりサイド防漏部6とウイング部5との境界を跨って設けられているため、例えば、着用後、生理用ナプキン1をショーツから取り外すときに、ウイング部5がその基端部近傍において破断しにくい。
更に、ウイング部5の剛性が高くなるため、生理用ナプキンをショーツに装着する際に、ウイング部5の操作性に優れていると共に、生理用ナプキンを個装状態から取り出すとき等において、ウイング部5の折れやヨレが生じにくく、誤ってウイング部5のズレ止め剤55同士が付着することが発生しにくい。また、ウイング部5の下面へのズレ止め剤55の転着性に優れる。
サイド防漏部6及びウイング部5に、吸収性本体10の幅方向に沿って延びる高剛性部62が複数本設けられているため、サイド防漏部6及びウイング部5の上面において、吸収性本体10の長手方向に沿って流れる体液を堰き止める効果が奏される。
高剛性部62がウイング部5においてウイング部5の全域に亘って設けられているため、ウイング部5の幅方向の剛性が一層向上している。
サイド防漏部6におけるウイング部5よりも前方側及び後方側それぞれの領域に、高剛性部62Cが、吸収性本体10の幅方向に沿って延びるように、吸収性本体10の長手方向に離間して複数本設けられているため、個装状態において高剛性部62Cが折り線として機能し、サイド防漏部6に、折り線に起因する皺が形成されにくい。また、個装状態から取り出した後において、吸収性本体10の長手方向の展開状態が容易に形成される。
サイドシート61が吸収性本体10の長手方向に伸長性を有する不織布から形成されているため、サイドシート61(ウイング部5)に、吸収性本体10の幅方向に沿って複数本の高剛性部62が設けられていても、長手方向に隣接する高剛性部62,62の間の領域において、サイドシート61が伸長し得る。そのため、着用時においてウイング部5がショーツにフィットしやすい。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。他の実施形態については、上述した第1実施形態と異なる点を主として説明し、同様の点は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用される。他の実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が奏される。
図6は、本発明の吸収性物品の第2実施形態の生理用ナプキンにおけるウイング部5及びその近傍の排泄部対向部Aを示している。第2実施形態の生理用ナプキン1は、第1実施形態の生理用ナプキン1に比して、サイド防漏部6におけるウイング部5よりも前方側及び後方側の領域に、高剛性部62Cが設けられていない点が異なる。
図7は、本発明の吸収性物品の第3実施形態の生理用ナプキンにおけるウイング部5及びその近傍の排泄部対向部Aを示している。第3実施形態の生理用ナプキン1は、第2実施形態の生理用ナプキン1に比して、ウイング部5の付け根近傍に設けられた長手方向に一対の高剛性部62A,62Aの間の領域に、吸収性本体10の長手方向に離間して複数本設けられた高剛性部62Bの内端部の位置が異なる。具体的には、該高剛性部62Bの内端部(サイド防漏部6側の端部)は、サイド防漏部6に亘っておらず、従って、高剛性部62Bは、ウイング部5において、ウイング部5の内側縁部(サイド防漏部6との境界)から幅方向外方に離間した位置と、ウイング部5の周縁部との間にのみ存在している。
図8は、本発明の吸収性物品の第4実施形態の生理用ナプキンにおけるウイング部5及びその近傍の排泄部対向部Aを示している。第4実施形態の生理用ナプキンは、図8に示すように、第3実施形態に比して、ウイング部5の付け根近傍に設けられた長手方向に一対の高剛性部62A,62Aの間の領域に、吸収性本体10の長手方向に離間して複数本設けられた高剛性部62Bが設けられていない点が異なる。つまり、高剛性部62は、ウイング部5の付け根近傍のみに設けられている。
図9は、本発明の吸収性物品の第5実施形態の生理用ナプキンにおけるウイング部5及びその近傍の排泄部対向部Aを示している。第5実施形態の生理用ナプキンは、図9に示すように、第2実施形態に比して、ウイング部5の付け根近傍に設けられた高剛性部62Aの延びる方向が異なる。具体的には、ウイング部5の両付け根近傍に設けられた高剛性部62Aは、略台形状のウイング部5における斜辺に沿って延びている。略台形状のウイング部5は、上底よりも長い下底がサイド防漏部6側に位置している。該高剛性部62Aは、一方の斜辺につき、平行に2本設けられている。
第5実施形態によれば、高剛性部62Aが吸収性本体10の幅方向に対して傾斜して延びているため、サイド防漏部6の起立性及びウイング部5の破断強度が一層向上している。
本発明の吸収性物品は、前述した実施形態に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
例えば、ウイング部5は、前記実施形態のように、その全部がサイドシート61から形成されていることが好ましいが、その大部分(面積基準で60%以上)がサイドシート61のみから形成されていれば、その他の部分がサイドシート61以外のシートから形成されていてもよい。例えば、ウイング部5における吸収性本体10側の領域が、吸収性本体10の両側部から延出した裏面シート3と、サイドシート61との積層体から形成されていてもよい。
サイド防漏部6からウイング部5に亘る高剛性部62の内端部は、サイド防漏部6の内側縁部まで延びていてもよい。
高剛性部62は、非連続的に延びていてもよい。非連続的に延びる高剛性部62は、例えば、点線状(ドット状エンボスの集合体)、破線状(短い線分状のエンボスの集合体)である。
サイド防漏部6の2層領域は、前記実施形態のように1枚のサイドシート61を幅方向に折り返して形成されたものに制限されず、2枚のシートを積層して形成することもできる。また、サイド防漏部6は、2層領域を有していなくてもよい。つまり、サイド防漏部6は、折り返されていない1枚のサイドシート61から形成することができる。
後方部Cには、吸収性本体10の両側部から延出した後部フラップを設けることができる。後部フラップは、吸収性本体10から延出した状態で折り返されることなく、ショーツ等の下着に装着されて用いられるものである。
前記各実施形態における各構成は、他の実施形態に適宜組み合わせることができる。
本発明の吸収性物品は、生理用ナプキンに制限されず、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等にも適用することができる。装着される下着は、ショーツに制限されない。
図1は、本発明の吸収性物品の第1実施形態としての生理用ナプキンを示す平面図である。 図2は、図1に示す生理用ナプキンを示す底面図である。 図3は、図1に示すIII−III線断面図である。 図4は、図1に示す生理用ナプキンにおけるウイング部及びその近傍の排泄部対向部を示す部分拡大平面図である。 図5は、図1に示す生理用ナプキンの装着状態を示す斜視図(下着省略)である。 図6は、本発明の吸収性物品の第2実施形態としての生理用ナプキンにおけるウイング部及びその近傍の排泄部対向部を示す部分拡大平面図(図4対応図)である。 図7は、本発明の吸収性物品の第3実施形態としての生理用ナプキンにおけるウイング部及びその近傍の排泄部対向部を示す部分拡大平面図(図4対応図)である。 図8は、本発明の吸収性物品の第4実施形態としての生理用ナプキンにおけるウイング部及びその近傍の排泄部対向部を示す部分拡大平面図(図4対応図)である。 図9は、本発明の吸収性物品の第5実施形態としての生理用ナプキンにおけるウイング部及びその近傍の排泄部対向部を示す部分拡大平面図(図4対応図)である。
符号の説明
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
10 吸収性本体
11 ズレ止め剤
12 中央第1シール線
13 中央第2シール線
14,15 エンドシール
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
41 上部吸収体
42 下部吸収体
5 ウイング部
55 ズレ止め剤
6 サイド防漏部
61 サイドシート
62,62A,62B,62C 高剛性部
A 排泄部対向部
B 前方部
C 後方部

Claims (9)

  1. 表面シート、裏面シート及び両シート間に介在配置された吸収体を備えた吸収性本体と、該吸収性本体の両側部それぞれから幅方向外方に延出する一対のウイング部と、該吸収性本体の肌当接面側の両側部それぞれを被覆する一対のサイド防漏部とを有する吸収性物品であって、
    前記サイド防漏部はサイドシートからなり、該サイドシートは、前記吸収性本体の両側部からそれぞれ延出して、前記ウイング部の全部又は大部分を形成しており、
    前記サイド防漏部及び前記ウイング部には、前記サイドシートの素材よりも剛性の高い線状の高剛性部が、該サイド防漏部から該ウイング部に亘って連続的に又は非連続的に延びるように形成されている吸収性物品。
  2. 前記サイド防漏部から前記ウイング部に亘る前記高剛性部は、その外端部が該ウイング部の周縁部まで延びている請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記高剛性部は、前記ウイング部において、少なくとも該ウイング部の両付け根近傍にそれぞれ設けられている請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記高剛性部は、前記ウイング部において、該ウイング部の全域に亘って設けられている請求項3記載の吸収性物品。
  5. 前記高剛性部は、更に、前記サイド防漏部における前記ウイング部よりも前方側及び後方側それぞれの領域に、前記吸収性本体の幅方向に沿って延びるように、該吸収性本体の長手方向に離間して複数本設けられている請求項1〜4の何れかに記載の吸収性物品。
  6. 前記ウイング部の付け根近傍に設けられた前記高剛性部は、前記吸収性本体の幅方向に沿って延びている請求項1〜5の何れかに記載の吸収性物品。
  7. 前記ウイング部は略台形状を有しており、該ウイング部の両付け根近傍に設けられた前記高剛性部は、略台形状の該ウイング部における斜辺に沿って延びている請求項1〜5の何れかに記載の吸収性物品。
  8. 前記高剛性部は、前記サイドシートの素材にヒートエンボス加工を施すことにより形成されている請求項1〜7の何れかに記載の吸収性物品。
  9. 前記サイドシートは、前記吸収性本体の長手方向に伸長性を有する不織布から形成されている請求項1〜8の何れかに記載の吸収性物品。
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