JP5030554B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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このような欠点を解決すべく、ウイング部をサイドシートの延出領域の単層から形成した吸収性物品(生理用ナプキン)が開発されている(下記特許文献1参照)。特許文献1記載の吸収性物品によれば、ウイング部の身体へのフィット性、ウイング部の肌触り(柔らかさ)等が劣るという前記欠点は解消される。
本発明の第1実施形態の吸収性物品は、生理用ナプキン1であり、図1〜図4に示すように、表面シート2、裏面シート3及び両シート2,3間に介在配置された吸収体4を備えた吸収性本体10と、吸収性本体10の両側部それぞれから幅方向外方に延出する一対のウイング部5,5及び一対の後部フラップ7,7と、吸収性本体10の肌当接面側の両側部それぞれを被覆する一対のサイド防漏部6,6とを有している。
また、吸収性本体10において、排泄部対向部Aとは、図1に示すように、着用者の排泄部と対向する領域であり、本発明のようにウイング部5を有する吸収性物品においては、両側部にウイング部5を有する部分である。排泄部対向部Aよりも前方に位置する領域を前方部Bといい、排泄部対向部Aよりも後方に位置する領域を後方部Cという。
表面シート2は、図1、図3及び図4に示すように、吸収体4の上面の全域を被覆している。表面シート2の前後縁部は、丸みを帯びており、吸収体4の前後縁部それぞれから長手方向に延出している。表面シート2の両側縁部は、図3及び図4に示すように、長手方向に沿う直線状であり、吸収体4の両側縁部それぞれから幅方向に若干延出しているが、裏面シート3からは離間している。
図2〜図4に示すように、吸収性本体10の非肌当接面側には、詳細には、裏面シート3の非肌当接面側には、吸収性本体10とショーツのクロッチ部の上面(内面)とを止着するためのズレ止め剤11が設けられている。ズレ止め剤11は粘着剤等から形成される(後述のズレ止め剤55,75も同様)。
裏面シート3として、前記樹脂シートを用いると裏面シート3の非肌当接面側に設けられたズレ止め剤11の固定性がよい点から好ましく、また、前記複合不織布を用いると透湿性及び柔軟性がよい点から好ましい。
中央第1シール線12及び中央第2シール線13は、表面シート2と下部吸収体42とを接合しているが、表面シート2と上部吸収体41とは接合していない。従って、上部吸収体41は、表面シート2と下部吸収体42とからなる閉鎖空間に封入されている。
ウイング部5は、その基端部であるウイング基端部53が、ウイング上層51とウイング下層52との積層体からなり、ウイング基端部53以外の部分であるウイング先端部54が、ウイング上層51のみからなる。ウイング部5は、図1に示すように、平面視で、下底(上底よりも長い辺)が吸収性本体10の側部側に位置する略台形形状を有している。
ウイング基端部53は、その吸収性物品の幅方向に沿う長さが、2〜30mmであることが好ましく、3〜15mmであることが更に好ましい。ただし、ウイング基端部53は、ズレ止め剤55よりも吸収性物品の幅方向内方に位置させる。吸収性物品の幅方向に沿うウイング基端部53の長さが吸収性物品の長手方向に沿って一定ではないときは、最長の長さをウイング基端部53の長さとする。
後部フラップ7は、その基端部であるフラップ基端部73が、フラップ上層71とフラップ下層72との積層体からなり、フラップ基端部73以外の部分であるフラップ先端部74が、フラップ上層71のみからなる。後部フラップ7は、図1に示すように、平面視で、幅方向外方に凸に湾曲した形状を有している。
フラップ基端部73は、その吸収性物品の幅方向に沿う長さが、2〜30mmであることが好ましく、3〜15mmであることが更に好ましい。ただし、フラップ基端部73は、ズレ止め剤75よりも吸収性物品の幅方向内方に位置させる。吸収性物品の幅方向に沿うフラップ基端部73の長さが吸収性物品の長手方向に沿って一定ではないときは、最長の長さをフラップ基端部73の長さとする。
このように、ウイング部5と後部フラップ7とは、その設けられている位置(排泄部対向部A/後方部C)、その使用方法(折り返して使用する/折り返さずに使用する)等が異なるが、基本的な構成(特に厚み方向の構成)自体は同様となっている。従って、前述又は後述のウイング部5に関する説明は、後部フラップ7にも適宜適用される。
また、サイド防漏部6は、図1〜図5に示すように、排泄部対向部Aにおいて、その外側縁部側が、排泄部対向部シール線81によって吸収性本体10の裏面シート3に接合されている。排泄部対向部シール線81は、ウイング部5の一方の付け根から他方の付け根との間に連続的に亘って、幅方向内方に凸に湾曲して設けられている。ウイング部5の付け根は、吸収性本体10とウイング部5との境界線(詳細は後述)の前端部及び後端部に位置する。
また、サイド防漏部6は、図1及び図2に示すように、後方部Cにおいて、その外側縁部側及び後端部側が、後方部シール線83によって、吸収性本体10の裏面シート3又は表面シート2に接合されている。後方部シール線83は、後方部Cに位置するサイド防漏部6における前端部側及び後端部側に長手方向に離間して設けられている。
吸収性本体10と後部フラップ7との境界線は、吸収性本体10とウイング部5との境界線の最も後方部C寄りの位置から長手方向に沿って吸収性本体10の後端部に向けて伸びる直線である。
サイド防漏部第1シール線63は、折り返し誘導線である排泄部対向部シール線81の幅方向内方側に近接して、サイド防漏部6を表面シート2に接合している。
尚、サイド防漏部シール線62は、サイド防漏部6を表面シート2と共に吸収体4に固定するように設けることができ、また、表面シート2を介在させずに、サイド防漏部6を吸収体4に直接固定するように設けることができる。
接着剤は、例えば、ウイング上層51とウイング下層52との間、フラップ上層71とフラップ下層72との間、吸収体4と裏面シート3との間、サイド防漏部6と表面シート2との間に設けられる。接着剤は、連続的に(面状に)塗工されていてもよい(いわゆるベタ塗り)が、塗工された領域の通気性を考慮すると、間欠的に塗工されていることが好ましい。間欠的な塗工形態としては、例えば、スパイラル状、幅方向に延びるストライプ状、Ω状、ドット状が挙げられる。
ウイング基端部53及びウイング先端部54を、長さ30mm以上、幅10mmに切り出し、サンプルとする。テンシロン引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、RTC−1210A)にて、チャック間20mmでサンプルを把持し、サンプルをその長さ方向に100cNの荷重/10mm幅で引っ張り、伸長後のサンプルの長さをAとすると、そのときの伸長率は、次の通り定義される。
(A/20)×100。
つまり、伸長率(%)は、(伸長後のサンプルの長さ)/(伸長前のサンプルの長さ)×100である。例えば、伸長後のサンプルの長さが30mmであれば、伸長率は150%であり、伸長後のサンプルの長さが40mmであれば、伸長率は200%である。
〔厚みの測定方法〕
製品(吸収性物品全体)を平らな場所にシワや折れ曲がりがないように静置し、吸収性本体の排泄部対向部又は前方部若しくは後方部における吸収体が配されている領域の上面に、5cN/cm2の荷重を掛け、その状態下での厚みを測定する。製品装着時の装着圧は、身体の部位、個人差、状態(座っている/動いている)等により異なるが、排泄部対向部の中央域(排泄ポイント付近)では、ショーツ等の衣類を着用する以外に外圧が掛らない状態において、無荷重〜5cN/cm2の荷重となるため、この荷重(5cN/cm2)での測定を行なった。厚みの測定には、厚み計 PEACOCK DIAL PRIGHT GAUGES R5-C(OZAKI MFG.CO.LTD.製)を用いた。このとき、厚み計の先端部と製品との間の測定部分にプレート(厚さ5mm程度のアクリル板)を配置して、荷重が5cN/cm2となるようにプレートの大きさを調整する。プレートの形状は、円形又は正方形とする。
〔引き裂き強度の測定方法〕
JIS K7128(プラスチック−フィルム及びシートの引裂強さ試験方法)に規定されたA法(トラウザー引裂法)を参考に、テンシロン引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、RTC−1210A)を使用し、上下チャック間の距離を5mm(試験片を挿入可能な程度の間隔)に調整したチャックの上側に製品の吸収性本体、下側にウイング部を挟み、上側のチャックに挟んだ製品の吸収性本体を一定速度200mm/minで上昇させ、試験片を製品長手方向に沿って引き裂いた時の最高値(cN)を読み取る。測定は5回行い、その平均値を算出して引き裂き強度とした。
テンシロン引張試験機の上側のチャックに、得られた試験片における吸収性本体の部分を挟み(ウイング部は挟まない)、下側のチャックに、切り込みを入れて下方に折り返したウイング部の折り返し部を挟み、測定を行った。
また、後部フラップ7も、ウイング部5と同様の構成を有しているため、同様の効果を奏する。
ウイング基端部53がウイング先端部54よりも伸長性が低いので、前述のウイング部5の破断防止効果が向上している。
ウイング部5の両付け根近傍のみ設けられた排泄部対向部シール線81からなる折り返し誘導線によれば、第2実施形態におけるウイング部5の両付け根に亘って延びる排泄部対向部シール線81と同様に、湾曲した折り返し線を形成できるため、第3実施形態の生理用ナプキン1によっても、第2実施形態の生理用ナプキン1と同様の効果が奏される。また、ウイング部5の両付け根近傍のみにシール線81を設けることにより、ショーツに巻き込んだ場合におけるウイング部5の折り返し部分の柔軟性を維持し、しわにもなりにくくなるため、使用感を損ねることがない。
ウイング部5の両付け根から離間した排泄部対向部シール線81からなる折り返し誘導線によれば、大部分が湾曲した折り返し線を形成できるため、第4実施形態の生理用ナプキン1によっても、第1実施形態の生理用ナプキン1と同様の効果が奏される。また、ウイング部5の両付け根から離間したシール線81を設けることにより、ショーツに巻き込んだ場合におけるウイング部5の折り返し部分において最も歪みが生じやすいウイング部5の両付け根近傍のしわを低減することが可能となり、ショーツへのフィット性をより高めることが可能となる。
例えば、サイド防漏部6の2層領域は、前記実施形態のように1枚のサイドシート61を幅方向に折り返して形成されたものに制限されず、2枚のシートを積層して形成することもできる。また、サイド防漏部6は、2層領域を有していなくてもよい。つまり、サイド防漏部6は、折り返されていない1枚のサイドシート61から形成することができる。
前記各実施形態における各構成は、他の実施形態に適宜組み合わせることができる。
本発明の吸収性物品は、生理用ナプキンに制限されず、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等にも適用することができる。装着される下着は、ショーツに制限されない。
10 吸収性本体
11 ズレ止め剤
12 中央第1シール線
13 中央第2シール線
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
41 上部吸収体
42 下部吸収体
5 ウイング部
51 ウイング上層
52 ウイング下層
53 ウイング基端部
54 ウイング先端部
55 ズレ止め剤
6 サイド防漏部
61 サイドシート
62 サイド防漏部シール線
63 サイド防漏部第1シール線
64 サイド防漏部第2シール線
7 後部フラップ
71 フラップ上層
72 フラップ下層
73 フラップ基端部
74 フラップ先端部
75 ズレ止め剤
81 排泄部対向部シール線(折り返し線、折り返し誘導線)
82 ウイング基端部シール線
83 後方部シール線
84 前方部シール線
A 排泄部対向部
B 前方部
C 後方部
Claims (3)
- 表面シート、裏面シート及び両シート間に介在配置された吸収体を備えた吸収性本体と、該吸収性本体の両側部それぞれから幅方向外方に延出する一対のウイング部と、該吸収性本体の肌当接面側の両側部それぞれを被覆する一対のサイド防漏部とを有する吸収性物品であって、
前記ウイング部はウイング上層及びウイング下層からなり、
前記サイド防漏部は撥水性のサイドシートからなり、該サイドシートは、前記吸収性本体の両側部からそれぞれ延出して、前記ウイング上層を形成しており、
前記裏面シートは、前記吸収性本体の両側部からそれぞれ延出して、前記ウイング下層を形成しており、
前記ウイング部は、その基端部であるウイング基端部が、前記ウイング上層と前記ウイング下層との積層体からなり、該ウイング基端部以外の部分であるウイング先端部が、該ウイング上層からなり、
前記ウイング部を前記吸収性本体の前記裏面シート側に折り返したときに形成される折り返し線が、該吸収性本体と該ウイング部との境界線となり、該境界線よりも吸収性物品の幅方向外方において、前記積層体を構成する前記ウイング上層と前記ウイング下層とが接合され、該積層体からなる前記ウイング基端部は、前記ウイング先端部よりも伸長性が低く且つその吸収性物品の幅方向に沿う長さが2〜30mmである吸収性物品。 - 前記吸収体の幅方向外方には、幅方向内方に凸に湾曲した折り返し誘導線が設けられており、
前記ウイング部を前記吸収性本体の前記裏面シート側に折り返したときに、前記折り返し線が前記折り返し誘導線に沿って湾曲して形成される請求項1記載の吸収性物品。 - 前記サイド防漏部には、前記折り返し誘導線の幅方向内方側に近接して、該サイド防漏部を前記表面シートに接合するサイド防漏部シール線が設けられている請求項2記載の吸収性物品。
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