JP2008113798A - クッション材 - Google Patents
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Abstract
【課題】マットレス等のクッション材として求められる十分なクッション性を有し、しかもソフトな弾性を有する感触に優れていて高級感を与えるクッション材を提供する。
【解決手段】袋状の表皮材に人体側の軟質ポリウレタンフォームからなる上層と高通気性クッション層からなる下層とを収容した複層クッション層を有するクッション材であって、
前記軟質ポリウレタンフォームが、密度が40kg/m3以上90kg/m3、25%硬さが100N/314cm2以下、反発弾性率が40%以上、厚さが10mm以上の連続気泡軟質ポリウレタンフォームであり、高通気性クッション層は、熱可塑性弾性樹脂の連続線条のランダムループからなり、前記連続線条の接触部の大部分が融着された見掛け密度が5〜100kg/m3、厚みが10mm以上の3次元立体構造網状体であるクッション材とする。
【選択図】図1
【解決手段】袋状の表皮材に人体側の軟質ポリウレタンフォームからなる上層と高通気性クッション層からなる下層とを収容した複層クッション層を有するクッション材であって、
前記軟質ポリウレタンフォームが、密度が40kg/m3以上90kg/m3、25%硬さが100N/314cm2以下、反発弾性率が40%以上、厚さが10mm以上の連続気泡軟質ポリウレタンフォームであり、高通気性クッション層は、熱可塑性弾性樹脂の連続線条のランダムループからなり、前記連続線条の接触部の大部分が融着された見掛け密度が5〜100kg/m3、厚みが10mm以上の3次元立体構造網状体であるクッション材とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、感触に優れ、むれ難く快適なクッション材に関するものであり、具体的には袋状表皮材に軟質ポリウレタンフォームに関するものである。一般家庭用、病院用及びホテル用等のベッドのマットレス、座蒲団等のクッション材にも適したクッション材に関するものであり、特にフローリング床などに直置きするマットレスに好適なクッション材に関するものである。
マットレスのクッション材としては、軟質ポリウレタンフォームが一般的に使用されており、より優れた特性を得るために2層構造としたマットレス用クッション材が公知である(例えば特許文献1など)。
特許文献1に開示されたマットレスクッション材は、腰部の沈み込みを抑制しつつ、良好な体圧分散性を有するだけでなく、比較的荷重の大きい腰部と比較的荷重の小さい腕部の混在する領域においても、比較的荷重の小さい腕部の蓐瘡予防効果等の体への抵抗緩和性を有するマットレスを得ることを目的としたものであり、2層からなるウレタンフォーム製のマットレス芯材を有するマットレスにおいて、表面層を厚さが10〜30mmで反発弾性率が1〜20%である低反発ウレタンフォーム、または硬さが30〜70Nであるソフトウレタンフォームとし、下面層を、厚さが40〜120mmで硬さが100〜300Nにするとともに、少なくとも頭部・胸部を支持する部分、腰部を支持する部分、脚部を支持する部分の三つの部分から構成するようにし、腰部を支持する部分が、頭部・胸部を支持する部分及び脚部を支持する部分よりも硬い軟質ウレタンフォームであるようにしたものである。
別のマットレスのクッション材としては、熱可塑性弾性樹脂の連続線条のランダムループからなり、前記連続線条の接触部の大部分が融着された見掛け密度が5〜100kg/m3、厚みが10mm以上3次元立体構造網状体とワディングと積層した2層構造のマットレス用クッション材が公知である(例えば特許文献2など)。
特許文献1に開示されたマットレスクッション材としては、人体に接する側にプロファイル加工により凹凸を形成した軟質ポリウレタンフォームを使用したクッション材が示されているが、下面層も軟質ポリウレタンフォームにて構成されているために、通気性の点ではまだ改善が求められるものであり、特にフローリング床などに直置きするマットレスとして使用し、敷いたままにしておくとかびが発生するという問題を有する。また人体側の軟質ポリウレタンフォームが低反発フォームであるために、弾性を有するソフトな感触という点では十分ではない。
これに対して特許文献2に開示のマットレスは、通気性、弾性に優れたものであるが、人体に接する上面層がワディングで構成されており、布団状の感触を有するものであって高級なマットレス等のクッション材として、なお感触の点で改善の余地を有するものである。
本発明は、マットレス等のクッション材として求められる十分なクッション性を有し、しかもソフトな弾性を有する感触に優れていて高級感を与えるクッション材を提供することを目的とする。
本発明のクッション材は、袋状の表皮材に人体側の軟質ポリウレタンフォームからなる上層と高通気性クッション層からなる下層とを収容した複層クッション層を有するクッション材であって、
前記軟質ポリウレタンフォームが、密度が30kg/m3以上90kg/m3以下、25%硬さが100N/314cm2以下、反発弾性率が30%以上、厚さが10mm以上の連続気泡軟質ポリウレタンフォームであり、
前記高通気性クッション層は、熱可塑性弾性樹脂の連続線条のランダムループからなり、前記連続線条の接触部の大部分が融着された見掛け密度が5〜100kg/m3、厚みが10mm以上の3次元立体構造網状体であることを特徴とする。
前記軟質ポリウレタンフォームが、密度が30kg/m3以上90kg/m3以下、25%硬さが100N/314cm2以下、反発弾性率が30%以上、厚さが10mm以上の連続気泡軟質ポリウレタンフォームであり、
前記高通気性クッション層は、熱可塑性弾性樹脂の連続線条のランダムループからなり、前記連続線条の接触部の大部分が融着された見掛け密度が5〜100kg/m3、厚みが10mm以上の3次元立体構造網状体であることを特徴とする。
上記構成のクッション材は、マットレス等のクッション材として求められる十分なクッション性を有し、しかもソフトな弾性を有する感触に優れていて高級感を与えるクッション材である。また該クッション材をフローリング床などに直置きするマットレスとして使用し、敷いたままにしておいた場合においてかびの発生が抑制ないし防止できる。
軟質ポリウレタンフォームの密度(コア密度)が30kg/m3未満の場合、90kg/m3を超える場合のいずれにおいてもソフトな弾性を有する感触が低下する。軟質ポリウレタンフォームの反発弾性率が30%未満の場合には体圧分散には適しているがソフト感が低下する。25%硬さが100N/314cm2を超える場合においてもソフトな弾性を有する感触が低下する。上層の軟質ポリウレタンフォームの密度は50kg/m3以上であることが好ましく、60kg/m3以上であることがより好ましく、80kg/m3以下であることが好ましい。また25%硬さは20N/314cm2以上であることが好ましい。硬さが低すぎる場合には下層の感触が伝わって感触が低下する場合がある。
上記のクッション材においては、前記軟質ポリウレタンフォームは、通気度が2.0cfm(56.4L/min)以上であることが好ましい。
係る軟質ポリウレタンフォームを人体に接する上層として使用することにより、下層の3次元立体構造網状体の特性を生かした通気性に優れ、むれがより起こりにくいクッション材が得られる。軟質ポリウレタンフォームの通気度(DOW法)が2.5cfm(70.5L/min)未満の場合にはむれ感が発生し易くなる。通気度は、密度と反発弾性率を満たす範囲で高い方がよい。
上記のクッション材においては、前記軟質ポリウレタンフォームは、ポリウレタンを構成するポリオール化合物中のエチレンオキサイド重合単位が25〜80重量%であることが好ましい。
係る構成のクッション材は、上層を構成する連続気泡軟質ポリウレタンフォームが、連続気泡による通気性に加えて、ポリウレタンを構成するポリオール化合物中のエチレンオキサイド重合単位の割合が多いためにマットレスの使用時に人体から放散される水分を効果的に吸収すると共に不使用時や乾燥時には吸収した水分を急速に放出する優れた吸放湿性を有するために、極めて快適なクッション材である。ポリオール化合物中のエチレンオキサイド重合単位は36〜75重量%であることがより好ましい。
上述のクッション材においては、前記複層クッション層は、前記上層と前記下層の3次元立体構造網状体の間に、さらに25%硬さが100〜500N/314cm2、密度が15〜50kg/m3、通気度が3.0cfm(84.6L/min)以上、反発弾性率が15%以上の高硬度、高通気性の軟質ポリウレタンフォームからなる中間層が配設されていることが好ましい。
係る構成のマットレスは、上層の硬度の低い軟質ポリウレタンフォームと下層の3次元立体構造網状体の間の中間的な硬度を有する軟質ポリウレタンフォームの中間層の存在により、とりわけクッション性に優れたクッション材である。即ち該中間層を備えたクッション材は、体重の大きい人や幼児を抱いた人が使用する場合など、高荷重時においても優れたクッション性を奏する。
本発明のクッション材を構成する複層クッション層の人体側の上層並びに必要に応じて使用する中間層を構成する連続気泡軟質ポリウレタンフォームは、常法によりポリオール化合物、発泡剤である水、触媒、整泡剤を含有するポリオール組成物とポリイソシアネート成分を混合して反応させることにより得られる。
上層の軟質ポリウレタンフォームを製造するためのポリオール組成物としては、例えば以下のポリオール化合物を含有するものを使用する。
(a)ポリオール化合物としてポリマーポリオールを含有するポリオール組成物。
(b)ポリオール化合物として、平均官能基数2〜4、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの共重合体であり、エチレンオキサイドの含有率が50〜90重量%、水酸基価が30〜70mgKOH/gのポリエーテルポリオール化合物(A)と平均官能基数2〜4、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの共重合体又はプロピレンオキサイドの重合体であり、エチレンオキサイドの含有率が50重量%以下、水酸基価が30〜70mgKOH/gのポリエーテルポリオール化合物(B)とを含有するポリオール組成物。
(a)ポリオール化合物としてポリマーポリオールを含有するポリオール組成物。
(b)ポリオール化合物として、平均官能基数2〜4、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの共重合体であり、エチレンオキサイドの含有率が50〜90重量%、水酸基価が30〜70mgKOH/gのポリエーテルポリオール化合物(A)と平均官能基数2〜4、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの共重合体又はプロピレンオキサイドの重合体であり、エチレンオキサイドの含有率が50重量%以下、水酸基価が30〜70mgKOH/gのポリエーテルポリオール化合物(B)とを含有するポリオール組成物。
これらの中でも上記の(b)のポリオール組成物を使用した軟質ポリウレタンフォームが好ましく、ポリエーテルポリオール化合物(A)の含有量がポリオール化合物100重量部中50〜90重量部であることが好ましい。
係る構成のポリオール組成物を使用して製造した軟質ポリウレタンフォームはしっとりした感触とソフトな弾性を有する感触とを併せ持つ優れた感触を有するフォームである。またポリウレタンを構成するポリオール化合物中のエチレンオキサイド重合単位を25〜80重量%の範囲に調整することが容易であり、優れた吸放湿性を有するポリウレタンフォームでもある。
上記の上層を構成する軟質ポリウレタンフォームは、さらにポリエーテルポリオール化合物として平均官能基数2〜4、水酸基価が300〜500mgKOH/gの低分子量ポリエーテルポリオール化合物(C)をポリオール化合物100重量部中に5〜15重量部含有するものであることが好ましい。
係る構成により、ソフトな感触を有しつつ高密度、高通気度で反発弾性率が高い連続気泡軟質ポリウレタンフォームからなる上層をより確実に形成することができる。ポリエーテルポリオール化合物(C)は、ポリエーテルポリオール化合物(A)ないし(B)の一部を置き換えることにより配合する。平均官能基数2〜4、水酸基価が300〜500mgKOH/gの低分子量ポリエーテルポリオール化合物(C)は、硬質ポリウレタンフォーム用のポリオール化合物であり、通常軟質ポリウレタンフォームには使用されないものであるが、係るポリオール化合物を一部使用することにより前述の特性を有する軟質ポリウレタンフォームが得られる。低分子量ポリエーテルポリオール化合物(C)は、プロピレンオキサイドの重合体であることが好ましい。
中間層を構成する軟質ポリウレタンフォームは、一般に使用され、市販されている軟質ポリウレタンフォームから選択して使用する。該軟質ポリウレタンフォームは、密度が15〜35kg/m3であることがより好ましく、一般の軟質ポリウレタンフォームであることから、反発弾性率は、40以下である。また25%硬さは300N/314cm2以下であることが好ましい。
上記(a)のポリオール組成物を使用したフォームは整泡剤の選択やクラッシング工程を設けることにより通気度を調整することができる。上記(b)のポリオール組成物を使用した軟質ポリウレタンフォームは、高密度、高通気度で反発弾性率が高い軟質ポリウレタンフォームであり、ポリエーテルポリオール化合物は(a)のフォームに使用するポリマーポリオールを含まない。この連続気泡軟質ポリウレタンフォームは、セルが弱いので破壊されやすく、特にクラッシング工程を設けなくても、一般的な裁断、運搬等の変形を伴う取扱いで所定の通気度が得られ、弾性あるソフトな感触を有する軟質ポリウレタンフォームである。
ポリエーテルポリオール化合物は、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等の多官能性アルコール系化合物を開始剤とし、これにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドのいずれか又は双方を付加させて得られる。
上記の軟質ポリウレタンフォームの製造に使用するポリイソシアネート成分としては、軟質ポリウレタンフォームの製造に通常使用される、イソシアネート基を2個以上有する芳香族系、脂環族系、脂肪族系の各種のポリイソシアネート化合物、さらにはこれらポリイソシアネート化合物を変性して得られる変性ポリイソシアネート化合物を使用できる。また、ポリイソシアネート化合物は2種以上を併用してもよい。
ポリイソシアネート成分の具体例としては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(精製ジフェニルメタンジイソシアネート(p−MDI)やクルードMDI(c−MDI)がある)、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートがあげられ、その変性物としては、ポリイソシアネート化合物のプレポリマー型変性体、イソシアヌレート型変性体、ウレア型変性体、カルボジイミド型変性体などがあげられる。これらのなかでも、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートが、反応性が高いこと、低コストであること等の理由で好ましい。トルエンジイソシアネートは、2,4−置換体と2,6−置換体とがあるが、これらの混合物の使用が好ましく、2,4−置換体/2,6−置換体混合比が90/10(TDI−90)〜60/40(TDI−60)の混合物の使用が好適である。ポリオール組成物とポリイソシアネート化合物との反応におけるNCO/OH当量比は、0.9〜1.2であることが好ましい。
本発明の上層を構成する軟質ポリウレタンフォームの製造方法においては、公知の水、HFC化合物、メチレンクロライドなどから選択される1種以上の発泡剤、第3級アミンなどの触媒、整泡剤を使用し、必要に応じてさらに着色剤、酸化防止剤などの成分を使用する。
本発明の上層を構成する軟質ポリウレタンフォームの硬さは、例えばフォームを構成するポリウレタン重合体におけるイソシアネート化合物単位の重量比率により調整することができ、密度は発泡剤の添加量により調整することができる。該軟質ポリウレタンフォームは、密度が40kg/m3以上であることがより好ましく、25%硬さは20〜80N/314cm2であることが好ましい。反発弾性率は50を超えるものを製造することは難しい。通気度の上限は一般の高通気性軟質ポリウレタンフォームと同程度である。
下層である高通気性クッション層を構成する熱可塑性弾性樹脂の連続線条のランダムループからなる3次元立体構造網状体は公知のものを使用する。係る3次元立体構造網状体の連続線条を構成する熱可塑性弾性樹脂としては、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマーを使用することが好ましい。
ポリエステル系エラストマーとしては、熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリアルキレンジオールをソフトセグメントとするポリエステルエーテルブロック共重合体、脂肪族ポリエステルをソフトセグメントとするポリエステルエステルブロック共重合体が例示できる。ポリアミド系エラストマーとしては、ハードセグメントとしてナイロン6、ナイロン66等及びこれらの共重合ナイロンを骨格とし、ソフトセグメントとして平均分子量が約300〜5000のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体からなるグリコール等のポリアルキレングリコールの少なくとも1種から構成されるブロック共重合体が例示できる。
上記の熱可塑性弾性樹脂の融点は耐熱耐久性が保持できる140℃以上であることが好ましく、160℃以上であることがより好ましい。熱可塑性弾性樹脂としては、市販品を使用してもよい。
上記の熱可塑性弾性樹脂を使用して下層を構成する高通気性クッション材である3次元立体構造網状体を製造する方法は公知の方法による。例えば、複数のオリフィスを持つ多列ノズルより熱可塑性弾性樹脂をその融点より20〜80℃高い溶融温度で、該ノズルより下方に向けて吐出させ、溶融状態で連続線条のループを形成し、それぞれのループを互いに接触させて融着させ3次元構造を形成しつつ、引取り装置で挟み込み冷却槽で冷却せしめて3次元構造網状体とする方法(例えば特開平9−1708号公報)が挙げられる。係る3次元構造網状体は通気性が軟質ポリウレタンフォームと比較して極めて大きく、直置きのマットレスの下層のクッション材として使用することによりむれが効果的に防止され、マットレスを敷いたままにして長期に放置しても下面のかびの発生が効果的に抑制ないし防止することができる。
本発明の3次元構造網状体は、線径が5mm以下の熱可塑性弾性樹脂からなる連続した線条を曲がりくねらせ互いに接触させて該接触部の大部分、好ましくは全部を融着一体化した3次元立体構造体であり、両面が実質的にフラット化された構造を有する。このため、上部から与えられた変形、特には局部的に大きい変形応力が与えられた場合でも、(イ)フラット化された網状体の面で変形応力を受け止め変形応力を分散させる作用、並びに(b)熱可塑性弾性樹脂からなる連続線条が3次元立体構造体を形成し融着一体化されている構成により、構造体全体が変形してエネルギー変換により変形応力を吸収するゴム状弾性による低い反発力で変形応力を受け止める作用、により、極端な局部的沈み込みが防止され、人体に対し柔らかな把持力で体型を支えることができる。
本発明の3次元構造網状体を構成する連続線条の線径が5mmを越えると3次元構造網状体を構成する連続線条の構成本数が少なくなり、密度むらを生じて部分的に耐久性の悪い構造ができ、また応力集中による連続線条の疲労が大きくなり耐久性が低下するので好ましくない。連続線条の線径が細すぎると抗圧縮性が低くなり過ぎて変形による応力吸収性が低下する。連続線条の線径は0.01mm以上であることが好ましく、構成本数の低下による構造面の緻密性を損なわない3mm以下であることが好ましい。連続線条の線径は、より好ましくは0.05mm以上、2mm以下である。本発明の網状体を形成する連続線条のランダムループの平均直径は、好ましくは50mm以下、特に2〜25mmであることが好ましい。
3次元構造網状体の密度(見掛け密度)が5kg/m3未満の場合には反発力が失われ、変形応力吸収能力や振動吸収能力が不充分となりクッション機能を発現させにくくなる場合があり、100kg/m3を超える場合は反発力が高すぎてクッション性が低下する。3次元構造網状体の密度は、10〜80kg/m3であることがより好ましく、20〜60kg/m3であることがさらに好ましい。
3次元構造網状体を構成する連続線条の断面形状は特には限定されないが、円形は製造が容易である点で好ましく、中空断面や異形断面にすることは、好ましい抗圧縮性(反発力)や感触を付与することができる点で特に好ましい。抗圧縮性は線径や用いる素材のモジュラスにより調整して、線径を細くしたり、柔らかい素材では中空率や異形度を高くし初期圧縮応力の勾配を調整できるし、線径をやや太くしたり、ややモジュラスの高い素材では中空率や異形度を低くして寝心地が良好な抗圧縮性を付与する。中空断面や異形断面の他の効果として中空率や異形度を高くすることで、同一の抗圧縮性を付与した場合、より軽量化が可能となる。3次元構造網状体としては市販品の使用は好適な態様であり、例えば商品名ブレスエアー(東洋紡績社製)が例示され、使用可能である。
図1は、本発明のクッション材の好適な実施形態を例示した断面図を含む斜視図である。クッション材10は、人体側となる上層の連続気泡軟質ポリウレタンフォーム14と下層側の高通気性クッション層16とからなる2層構造の複層クッション層18が袋状に形成された表皮材12に収容された構造を有する。高通気性クッション層16は、熱可塑性弾性樹脂の連続線条のランダムループからなり、連続線条の接触部の大部分が融着された構造を有するものである。
表皮材を構成する材料は特に限定されず、マットレス、座布団などのクッション材の表皮材として使用される素材を使用することができる。袋状に形成された表皮材12は、全体が同一素材で形成されていてもよく、部分的に異なっていてもよい。人体側の反対面、即ち下層被覆面をメッシュ材にて形成することにより、下層の高通気性クッション材の通気性が阻害されないため、よりむれがなく、フローリング床などに直置きするマットレスとして放置してもかびの発生がより効果的に抑制ないし防止されたクッション材とすることができる。
図2は、本発明のクッション材の別の好適な実施形態を例示した断面図を含む斜視図である。クッション材20は、人体側となる上層の連続気泡軟質ポリウレタンフォーム14、下層側の高通気性クッション層16、及び上層の連続気泡軟質ポリウレタンフォーム14と下層側の高通気性クッション層16との間に高硬度、高通気性の連続気泡軟質ポリウレタンフォームからなる中間層22が配設された3層構造の複層クッション層24が袋状に形成された表皮材12に収容された構造を有する。高通気性クッション層16は、図1の場合と同様に熱可塑性弾性樹脂の連続線条のランダムループからなり、連続線条の接触部の大部分が融着された構造を有するものである。
本発明のクッション材においては、上層の連続気泡軟質ポリウレタンフォーム層の厚さは10mm以上であるが、20〜60mmであることが好ましく、20〜40mmであることがより好ましく、20〜35mmであることがさらに好ましい。また下層の高通気性クッション層の厚さは10mm以上であるが、20〜60mmであることが好ましく、30〜40mmであることがより好ましい。複層クッション層全体の厚さは60〜200mmであることが好ましい。
(上層の製造例)
(上層の製造例)
上層を構成する軟質ポリウレタンフォームを形成するポリオール組成物は、3官能で、水酸基価が52mgKOH/gのエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合ポリエーテルポリオールEP505SNB(EO=72重量%;三井タケダケミカル)60重量部、3官能で、水酸基価が56mgKOH/gのプロピレンオキサイド重合体ポリエーテルポリオールPPG−3000(ダウケミカル)30重量部、及び水酸基価が400mgKOH/gのプロピレンオキサイド重合体の3官能低分子量ポリオール化合物GR−09(三井タケダケミカル)10重量部からなるポリオール化合物(ポリオール化合物の全量100重量部:エチレンオキサイド含有率=52重量%)に触媒としてTEDA 33LV(東ソー)1.5重量部、整泡剤SF2904(東レダウコーニングシリコン)3重量部、発泡剤である水を1.2重量部混合して調製した。
イソシアネート成分としてTDI−80(2,4−TDI/2,6−TDI=80/20)を使用し、NCO/OH当量比が1/1となるようにポリオール組成物と混合して発泡原液組成物として使用し、スラブ状の軟質ポリウレタンフォームを製造した。得られた軟質ポリウレタンフォームは密度が70kg/m3、通気度が3.0cfm、反発弾性率が40%、25%硬度が50N/314cm2であり、ソフトで柔らかな弾性を有し、優れた感触を有するものであった。この軟質ポリウレタンフォームスラブを裁断して長さ2100mm,幅120mm,厚さ30mmにてマットAを作成し、上層構成材料とした。
(マットレスの製造例1)
綿製の生地とポリエステル繊維からなるメッシュ状の生地を縫製して長さ2100mm,幅120mm,厚さ60mmのクッション層を収容可能な袋状の表皮材を製造し、この内部に上記上層のマットA及びマットAと同じ長さと幅を有し、厚さ30mmの高通気性クッション層(商品名ブレスエアー:東洋紡績製)を積層して2層構造の複層クッション層として収容してマットレスを作製した。メッシュ状の生地は、下面側となるように使用した。このマットレスは、良好なクッション性を有し、しかもソフトな感触を有するとともに長時間使用してもむれのない快適なものであった。また裏面にかびの発生は認められなかった。
綿製の生地とポリエステル繊維からなるメッシュ状の生地を縫製して長さ2100mm,幅120mm,厚さ60mmのクッション層を収容可能な袋状の表皮材を製造し、この内部に上記上層のマットA及びマットAと同じ長さと幅を有し、厚さ30mmの高通気性クッション層(商品名ブレスエアー:東洋紡績製)を積層して2層構造の複層クッション層として収容してマットレスを作製した。メッシュ状の生地は、下面側となるように使用した。このマットレスは、良好なクッション性を有し、しかもソフトな感触を有するとともに長時間使用してもむれのない快適なものであった。また裏面にかびの発生は認められなかった。
(マットレスの製造例2)
マットレスの製造例と同じ生地を使用して長さ2100mm,幅120mm,厚さ120mmのクッション層を収容可能な袋状の表皮材を製造し、この内部に上記のマットA及びマットAと同じ長さと幅を有し、厚さ30mmの高通気性クッション層(商品名ブレスエアー:東洋紡績製:密度40kg/m3)並びに密度が22kg/m3、通気度が4.0cfm、反発弾性率が20%、25%硬度が180N/314cm2の高硬度・高通気性の厚さ60mmの軟質ポリウレタンフォーム(商品名ソフラン#XL−22HB:東洋ゴム工業)を中間層として積層して3層構造の複層クッション層として収容してマットレスを作製した。メッシュ状の生地は、下面側となるように使用した。このマットレスは、良好なクッション性を有し、しかもソフトな感触を有するとともに長時間使用してもむれのない快適なものであり、また裏面にかびの発生は認められなかった。
マットレスの製造例と同じ生地を使用して長さ2100mm,幅120mm,厚さ120mmのクッション層を収容可能な袋状の表皮材を製造し、この内部に上記のマットA及びマットAと同じ長さと幅を有し、厚さ30mmの高通気性クッション層(商品名ブレスエアー:東洋紡績製:密度40kg/m3)並びに密度が22kg/m3、通気度が4.0cfm、反発弾性率が20%、25%硬度が180N/314cm2の高硬度・高通気性の厚さ60mmの軟質ポリウレタンフォーム(商品名ソフラン#XL−22HB:東洋ゴム工業)を中間層として積層して3層構造の複層クッション層として収容してマットレスを作製した。メッシュ状の生地は、下面側となるように使用した。このマットレスは、良好なクッション性を有し、しかもソフトな感触を有するとともに長時間使用してもむれのない快適なものであり、また裏面にかびの発生は認められなかった。
10 クッション材
12 表皮材
14 上層
16 下層
18 複層クッション層
12 表皮材
14 上層
16 下層
18 複層クッション層
Claims (7)
- 袋状の表皮材に人体側の軟質ポリウレタンフォームからなる上層と高通気性クッション層からなる下層とを収容した複層クッション層を有するクッション材であって、
前記軟質ポリウレタンフォームが、密度が30kg/m3以上90kg/m3以下、25%硬さが100N/314cm2以下、反発弾性率が30%以上、厚さが10mm以上の連続気泡軟質ポリウレタンフォームであり、
前記高通気性クッション層は、熱可塑性弾性樹脂の連続線条のランダムループからなり、前記連続線条の接触部の大部分が融着された密度が5〜100kg/m3、厚みが10mm以上の3次元立体構造網状体であることを特徴とするクッション材。 - 前記軟質ポリウレタンフォームは、通気度が2.0cfm(56.4L/min)以上であることを特徴とする請求項1に記載のクッション材。
- 前記軟質ポリウレタンフォームは、ポリウレタンを構成するポリオール化合物中のエチレンオキサイド重合単位が25〜80重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のクッション材。
- 前記ポリオール化合物は、平均官能基数2〜4、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの共重合体であり、エチレンオキサイドの含有率が50〜90重量%、水酸基価が30〜70mgKOH/gのポリエーテルポリオール化合物(A)と平均官能基数2〜4、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの共重合体又はプロピレンオキサイドの重合体であり、エチレンオキサイドの含有率が50重量%以下、水酸基価が30〜70mgKOH/gのポリエーテルポリオール化合物(B)を含み、前記ポリエーテルポリオール化合物(A)の含有量がポリオール化合物100重量部中50〜90重量部であることを特徴とする請求項3に記載のクッション材。
- 前記ポリオール化合物は、さらにポリエーテルポリオール化合物として平均官能基数2〜4、水酸基価が300〜500mgKOH/gの低分子量ポリエーテルポリオール化合物(C)をポリオール化合物100重量部中に5〜15重量部含有することを特徴とする請求項4に記載のクッション材。
- 前記高通気性クッション層を構成する3次元立体構造網状体の連続線条は、線径が0.1mm〜2mmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のクッション材。
- 前記複層クッション層は、前記上層と前記下層の3次元立体構造網状体の間に、さらに25%硬さが100〜500N/314cm2、密度が15〜50kg/m3、通気度が3.0cfm(84.6L/min)以上、反発弾性率が15%以上の高硬度、高通気性の軟質ポリウレタンフォームからなる中間層が配設されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のクッション材。
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