JP2005000192A - マットレス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マットレス11は、除膜処理が行われた樹脂発泡体からなる中層13の上面及び下面に、同じく除膜処理が行われた上層12及び下層14が設けられて、三層構造となっている。上層12及び下層14は、反発弾性が42〜85%に調整されている。中層13は上層12及び下層14よりも硬質であって、その硬さは8.5〜25kPaに調整されている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、寝具等に用いられるマットレスに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、マットレス等の寝具は、病院や介護施設等に対してレンタル販売されており、定期的に交換されて洗濯され、再使用されていた。また、従来一般的に、このマットレスには、線状繊維の表面を接着剤で賦形した繊維集合体からなる硬綿が使用されていた。硬綿製のマットレスは、耐久性及び乾燥性に優れており、洗濯した後に乾燥しやすい。しかし、この硬綿製のマットレスは、重量が大きいため、搬送、交換、又は洗濯等の作業性に劣り、作業者に負担をかける。
【0003】
そこで、作業性を向上させるため、マットレスに、比較的軽量なポリウレタン発泡体を使用することが試みられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この単層のポリウレタンから構成されるマットレスは、比較的軽いという利点を有する一方、硬綿製のマットレス等に比較して乾燥性に劣る。その結果、マットレスを乾燥させるために加熱する時間が長くなり、マットレスが変質劣化してしまうおそれが多分にある。また、乾燥性を向上させるためにマットレスを薄くすると、使用者が底突き感を覚える。
【0005】
本発明の目的は、乾燥効率がよく、底突き感を解消できる樹脂発泡体からなるマットレスを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、板状の樹脂発泡体からなる三層構造のマットレスであって、上層、中層及び下層を構成する樹脂発泡体は、気泡を連通化させる除膜処理が施されているとともに、前記中層は、前記上層及び下層よりも硬質であることを要旨とする。
【0007】
従って、上層と下層との間に設けられた中層が硬質であるため、使用者がマットレスに横臥したとき、その荷重は中層において分散されて下層に加えられる。このため、使用者に底突き感を与えることを防止できる。また、上層、中層、及び下層を構成する樹脂発泡体内の気泡が連通化されるので、マットレスの通気性を向上させることができる。その結果、マットレスの乾燥性が向上され、マットレスを洗濯した後の乾燥時間を短くすることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のマットレスにおいて、前記マットレスの厚みは40〜120mmであって、前記中層の厚みが前記マットレスの厚みに対して占める割合が1/3〜1/2であることを要旨とする。
【0009】
従って、三層構造のマットレスの厚みが40〜120mmであって、中層の厚みがマットレスの厚みに対して占める割合が1/3〜1/2であるため、使用者に対して底突き感を与えることを防止できる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のマットレスにおいて、前記上層、中層、及び下層は、散点状に付着された接着剤により互いに接着固定されることを要旨とする。
【0011】
従って、接着剤は、各層の一面に散点状に付着されるので、樹脂発泡体の接着面が接着剤により閉塞されることがなく、このためマットレスの通気性を確保できる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一つに記載のマットレスにおいて、前記中層を構成する樹脂発泡体の硬さは、8.5〜25kPaであることを要旨とする。
【0013】
従って、中層の硬さは8.5〜25kPaであるので、使用者の荷重がマットレスに加わった際に、中層により荷重を分散させることができる。このため、使用者に底突き感を与えることを防止できる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一つに記載のマットレスにおいて、前記上層及び下層を構成する樹脂発泡体の反発弾性は、42〜85%であることを要旨とする。
【0015】
従って、上層及び下層を構成する樹脂発泡体の反発弾性が42〜85%であるので、弾力性を備えたマットレスを得ることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一つに記載のマットレスにおいて、前記上層、中層、及び下層を構成する樹脂発泡体の通気度は、80〜300L/minであることを要旨とする。
【0016】
従って、マットレスを構成する樹脂発泡体の通気度が80〜300L/minであるので、マットレスの乾燥性を向上させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施形態を図を参照しながら説明する。
図1及び図2に示すように、マットレス11は、中層13の上下面に上層12及び下層14が積層されて三層構造を成している。上層12、中層13、及び下層14は、ポリオレフィン発泡体、軟質スラブポリウレタン発泡体、モールド成形によるポリウレタン発泡体等の樹脂発泡体から形成される。
【0018】
上層12、中層13、及び下層14は、マットレス11の通気性等を向上させるために、各層12〜14内の気泡を連通するための除膜処理が施されている。その結果、マットレス11の乾燥性が向上し、マットレス11を洗濯した場合の乾燥時間を短くすることができる。乾燥時間が短くなると、マットレス11を加熱する時間を短くすることが可能になるため、マットレス11の加熱による変質劣化が防止され、マットレス11を洗濯して繰り返し利用できる。
【0019】
この除膜処理としては、等速二軸ロール間に各層12〜14をそれぞれ挿入し、ロールにより比較的大きな圧力を加えることによって気泡間の膜を物理的に破泡させるクラッシング法がある。また、各層12〜14をアルカリ溶液に浸漬して、各気泡の膜を溶解させるアルカリ処理法、密閉容器内に各層12〜14を設置し、同容器内に酸素及び可燃性ガスを充填して爆破させて気泡の膜を破壊する爆破方法がある。これらの方法のうち、いずれの方法を用いてもよいが、連通化された気泡の形状等の点で爆破方法が好ましい。
【0020】
この爆破方法について図3に従って説明する。爆破方法を行うための爆破処理装置30は、開閉可能な密閉装置31と、密閉装置31に接続されたコンプレッサ33とを備え、密閉装置31にはガスボンベ34a,34bが接続される。ガスボンベ34a,34bには、酸素ガス及び可燃性ガスがそれぞれ充填されている。この可燃性ガスとしては、水素ガスが好ましいが、これ以外にもプロパンガス、アセチレンガス等のガスでもよく、要は汎用の可燃性のガスであればよい。
【0021】
爆破方法を各層12〜14に施す際は、まず、密閉装置31内に、幅1100mm、長さ2100mm、厚さ600mmに裁断した、各層12,13を構成する樹脂発泡体32を一回の処理につき一枚収容する。そして、コンプレッサ33により密閉装置31内の空気を吸引して、密閉装置31内を666.5Pa程度の真空状態にする。さらに、内部が真空状態となった密閉装置31に酸素ガスと可燃ガスとの混合ガスを注入する。このとき、密閉装置31内の混合ガスの分圧が0.05〜0.3MPa、好ましくは0.1〜0.2MPa、より好ましくは0.14〜0.18MPaになるようにする。また、混合ガスを構成する酸素ガスと可燃ガスとの体積比が1:3になるようにする。そして、密閉装置31内で火花等により着火し、密閉装置31内で爆発を起こす。その結果、樹脂発泡体32内の気泡間の膜が爆破の衝撃によって破砕除去され、樹脂発泡体32内の気泡間が連通化される。このように爆破処理が施された樹脂発泡体32は、例えば幅850mm、長さ1950mm等に成形されて各層12,13となる。
【0022】
除膜処理を施した各層12〜14の通気度は、80〜300L/minであることが好ましい。通気度が80L/min未満である場合、マットレス使用時に蒸して、使用者に不快感を与える。また、通気度が低いと乾燥しにくいため、洗濯後の乾燥時間が従来に比べ長くなる。また、通気度が300L/minを超える場合、各層12〜14の反発弾性や硬さに支障が生じ、マットレスとして適さないことがあり、好ましくない。
【0023】
除膜処理が施された各層12〜14を積層させて構成されるマットレス11の厚みは、40〜120mmの範囲にあることが好ましい。40mm未満になると、使用者がマットレス11の上に横たわり、荷重がマットレス11に加わったときに、マットレス11が部分的に圧縮されて押し潰され、使用者に底突き感を与える可能性がある。120mmを超えると、厚すぎ、マットレス11の重量が増加するため、搬送、洗濯等の作業の際に取り扱い作業性に劣ることがある。
【0024】
また、マットレス11の表側に設けられる上層12及び下層14は、反発弾性が42〜85%であることが好ましい。反発弾性が42〜85%だと、反発弾性が比較的大きいため、使用者が上層12に横たわったときに良好な感触を得ることができる。また、このような上層12及び下層14をマットレス11の両面に設けることで、マットレス11の両面を裏表なく使用することができる。
【0025】
上層12及び下層14の反発弾性が42%未満であると、耐久性に劣り、洗濯により弾性力が失われ、いわゆるヘタリが生じやすくなる。尚、上層12及び下層14の硬さは、汎用のポリウレタン発泡体が備える硬さ、すなわち4〜8kPaであれば支障がないが、特に制限はない。
【0026】
上層12及び下層14の間に設けられた中層13は、使用者が横臥することによって加わる荷重によりマットレス11が押し潰されることがないように、上層12及び下層14よりも硬質となっている。このとき、中層13の硬さは8.5〜25kPaであることが好ましい。その結果、マットレス11に比較的大きな荷重が加えられても、中層13においてその荷重が分散され、分散された荷重が下層14に加えられる。このため、下層14が押し潰されず、使用者に底付き感を与えるのを防止できる。中層13の硬さが8.5kPa未満の場合、ヘタリが生じやすいとともに、底突き感が生じやすい。また、中層13の硬さが25kPaを超えると、マットレス11内に備えるものとしては硬すぎて弾力性に欠け、使用者に底突き感を与える。尚、中層13の反発弾性は、汎用のポリウレタン発泡体の反発弾性である、12〜85%であれば支障がなく、特に制限はない。
【0027】
また、この中層13の厚みが、マットレス11の厚みに占める割合は、マットレス11の厚みの1/3〜1/2が好ましい。1/3未満の割合だと、上層12を介して荷重を受けた中層13が荷重を分散できないことがある。その結果、下層14が押し潰されてしまい、使用者に底付き感を与える。1/2を超える割合だと、厚すぎて弾力性に欠け、使用者に底突き感を与えることがある。
【0028】
これらの各層12〜14は、接着剤により互いに接着固定される。接着剤は、耐加水分解性に優れた物が好ましい。また、洗濯時に各層12〜14が互いに剥離しない程度の接着力を有するものが必要で、特にウレタン系接着剤が好ましい。本実施形態では、ウレタン系の2液反応型の接着剤が使用される。この接着剤は二種類の液から構成されており、ウレタンポリマー等からなる主液に反応液を接触させることによって反応硬化して、接着固定機能を発揮するものである。
【0029】
ところで、接着剤を構成する主液は、各層12〜14の間に介在されてもマットレス11の通気性を妨害しないが、反応液は塗布方法によっては通気性を妨害することがある。このため、接着剤を付着させる際は、主液を接着面にロール等によって全体的に薄く塗布した後、この面に、反応液を全体的に塗布せずに、散点状に付着させる。反応液を散点状に付着させる方法としては、カーテンフローコータ等を利用する方法が好ましいが、要は反応液を散点状に付着させる方法であればよい。その結果、反応液が散点状に付着されることにより接着剤が各層12〜14の一面を閉塞するようなことがなく、マットレス11の通気性を妨げない。
【0030】
このカーテンフローコータ35について、図4に従って説明する。カーテンフローコータ35は、反応液Sを貯留した貯留タンク36と、供給管37と、ヘッド部38と、搬送部39とからなる。貯留タンク36内に挿入された供給管37の一端部には、貯留タンク36内の反応液Sを吸い上げるポンプ40が設けられている。このポンプ40から吸い上げられた反応液Sは、供給管37内に導出され、供給管37の途中に設けられた濾過部41によって濾過された後、供給管37の他端部に設けられたヘッド部38に一時貯留される。このヘッド部38の下面には複数のノズル38aが形成されており、ヘッド部38は導出された反応液Sをノズル38aから規則的かつ断続的に滴下するようになっている。
【0031】
ヘッド部38の下方に設けられた搬送部39は、ベルトコンベア42,43と、これらを駆動する図示しない駆動部からなり、ベルト42a,43aの上に下層14等を載せて図中矢印方向に搬送する。各層12〜14を互いに接着固定する際は、まずベルトコンベア43のベルト43a上に下層14を載せる。そして、下層14が搬送されてヘッド部38の下方を通過する際、ヘッド部38からカーテン状の反応液Sを断続的に滴下する。又は、ヘッド部38から粒状の反応液Sを不規則にスプレー散布してもよい。その結果、図5に示すように、下層14の接着面14aに、反応液Sが規則的な散点状に付着される。反応液Sをスプレー散布させた場合は、細かい粒状の反応液Sが不規則に付着される。
【0032】
そして、反応液Sが付着された下層14の接着面14aに、中層13を積層し、図示しない等速二軸ロールの間に中層13及び下層14を挿入する。さらに、中層13の上に、カーテンフローコータ35により同様に反応液Sを散点状に付着した後、上層12を積層し、再び等速二軸ロール間を通過させる。そして、積層した各層12〜14を約140℃で熱プレスすることにより、各層12〜14を互いに固定する。このとき、固定されたマットレス11は、各層12〜14の間に介在した反応液Sによって通気性が妨げられるようなことがなく、繰り返し洗濯をしても各層12〜14が剥がれにくくなっている。
【0033】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、上層12、中層13、及び下層14に、各層12〜14内の気泡を連通化させる除膜処理を施した。そして、除膜処理を施すことにより、各層12〜14の通気度を80〜300L/minの範囲にした。従って、マットレス11の通気性を向上させることができる。その結果、マットレス11の乾燥性が向上し、マットレス11を洗濯した後の乾燥時間を短縮化することができる。従って、乾燥させるために加熱する時間が短くなり、マットレス11の変質劣化を防止することができる。このため、マットレス11を洗濯して多数回繰り返し再利用することができる。
【0034】
(2)上記実施形態では、上層12及び下層14よりも硬質である中層13を、上層12及び下層14の間に設けた。そして、上層12及び下層14の反発弾性を42〜85%とするとともに、中層13の硬さを8.5〜25kPaとした。
【0035】
このため、比較的高い反発弾性を有する上層12及び下層14を表側にすることで、マットレスの感触を良好にすることができ、裏表なく使用することができる。また、使用者が上層12(又は下層14)に横臥した際、硬質の中層13において荷重を分散することができ、荷重によって下層14(又は上層12)が押し潰されることを防止できる。その結果、使用者に、良好な感触を与えるとともに、底突き感を与えることが防止される。
【0036】
(3)上記実施形態では、マットレス11の厚みを40〜120mmとし、中層13の厚みがマットレス11の厚みに対して占める割合を1/3〜1/2とした。このため、マットレス11に使用者が横臥したときに、使用者に底突き感を与えることが防止される。また、マットレス11の重さが比較的軽くなるため、取り扱い作業者の負担を軽減化することができる。
【0037】
(4)上記実施形態によれば、各層12〜14は、接着面に接着剤を散点状に付着されて互いに接着固定されるようにした。このため、各層12〜14の接着面を閉塞するようなことがない。このため、マットレスの通気性を妨げない。
【0038】
【実施例】
以下に、本発明の実施例及び本発明の効果を示す試験例を挙げ、具体的に説明するが、本発明はこの実施例及び試験例に何ら制限されるものではない。
【0039】
(通気性の評価)
上層12及び下層14を構成する樹脂発泡体と、中層13を構成する樹脂発泡体とから、板状の樹脂発泡体を作成し爆破方法に基づく除膜処理を施して、それぞれ第1及び第2の発泡体とした。
【0040】
第1の発泡体;商品名「モルトフィルター CF−ERG−H」、イノアックコーポレーション製。
第2の発泡体;商品名「モルトフィルター CF−EMO」、イノアックコーポレーション製。
【0041】
また、除膜処理を施していない樹脂発泡体を比較例1とした。尚、比較例1の樹脂発泡体は第1の発泡体と、ほぼ同じ硬さ、反発弾性を有するものであって、第1の発泡体に除膜処理を施していない点のみ異なる樹脂発泡体である。
【0042】
比較例1;商品名「カラーフォーム ERG−H」、イノアックコーポレーション製。
さらに、第1及び第2の発泡体と、比較例との硬さ(kPa)、及び通気度(L/min)を測定した(ASTM D3574に準拠)。また、反発弾性(%)、を測定した(JIS K6400に準拠)。その結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
除膜処理を施していない比較例1の樹脂発泡体では、硬さ及び反発弾性が第1の発泡体とほぼ同じ値であるのに対し、通気度が低い。第1及び第2の発泡体では、通気度が100L/min以上となり、乾燥性の向上が見られる。
【0044】
(乾燥時間の評価)
除膜処理を施した第1及び第2の発泡体を、下記の大きさ及び厚みに切り出して、第1及び第2の層をそれぞれ作成した。
【0045】
第1の層;幅850mm、長さ1950mm、厚み20mm。
第2の層;幅850mm、長さ1950mm、厚み20mm。
そして、第1の発泡体からなる第1の層の一面にカーテンフローコータにより接着剤を散点状に付着した。さらに、第1の層の接着剤を付着した面に第2の発泡体からなる第2の層の一面を重ねて積層し、等速二軸ロール間を通過させ仮接着させた。そして、第2の層の他面にカーテンフローコータにより接着剤を散点状に付着した後、別の第1の層を第2の層の接着面に積層した。また、積層したものを等速二軸ロール間を通過させ仮接着し、約140℃で熱プレスした後、厚み60mmの三層構造のマットレス1を得た。
【0046】
また比較例2として、マットレス1と同じ厚みと面積とを有する、全厚み60mmの硬綿のマットレスを作成した。比較例3として、第1及び第2の発泡体と除膜処理を施していない点のみ異なる板状の樹脂発泡体を、マットレス1と同様に積層して、三層構造のマットレスを作成した。
【0047】
これらのマットレスを、洗濯機(霧重力、三菱電機株式会社製)で10分間水洗いし、水を三回交換してすすいだ後、7分間遠心脱水を行って、80℃の乾燥炉内に放置して乾燥させた。そして、マットレス中の含水量が重量測定により平衡に達するまでの時間を測定した。その結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
その結果、実施例のマットレス1の乾燥時間は、乾燥時間が短い硬綿のマットレスと同じであって、除膜処理を施していないマットレスよりも乾燥時間が短くなった。
【0049】
(三層構造のマットレスの底突き感の評価)
上記した第1及び第2の層と厚みのみ異なる樹脂発泡体の層をそれぞれ作成した。そして、マットレス1と同じように接着固定して、第2の層の両面に第1の層を積層した、下記のような三層構造のマットレス2〜4を作成した。
【0050】
マットレス2;上層の厚み13mm、中間層の厚み14mm、下層の厚み13mm、全厚み40mm。
マットレス3;上層の厚み20mm、中間層の厚み20mm、下層の厚み20mm、全厚み60mm。
【0051】
マットレス4;上層の厚み30mm、中間層の厚み60mm、下層の厚み30mm、全厚み120mm。
また、比較例として、マットレスの全厚みが35、120mmであって、マットレスを構成する各層の厚みが下記の厚みである三層構造のマットレスを作成した。比較例の各層は、実施例のマットレスの各層と厚みのみが異なる。
【0052】
比較例4;上層の厚み11mm、中間層の厚み13mm、下層の厚み11mm、全厚み35mm。
比較例5;上層の厚み35mm、中簡層の厚み55mm、下層の厚み35mm、全厚み125mm。
【0053】
さらに、耐圧分散性測定器「ビジュアルマット」(ニッタ株式会社製)を利用して、各マットレス11に身長175センチメートル、体重62kgの男性が10分間仰臥したときの底突きについて評価した。尚、測定器はマットレスにかかる圧力を測定するものであり、測定器のディスプレイに、5.39kPa以上の圧力が検出されたことを示す、赤く表示された領域が視認されたときに底突きがあると判断した。これらの結果を表3に示す。尚、括弧内の値は、各層の厚みがマットレスの全厚みに対して占める割合を示す。
【0054】
【表3】
マットレスの厚みが35mmである比較例4は、底突きがあった。また、マットレスの厚みが125mmである比較例5は、底突きがなかったが、マットレスとして厚すぎて適さない。マットレスの全厚みが40〜120mmであって、中間層の厚みの全厚みに対する割合が0.33〜0.5(1/3〜1/2)の範囲にある場合は、底突きがなく、マットレスとして良好であった。
【0055】
(作業性の評価)
比較例2と同様な硬綿からなるマットレスと、除膜処理を施した第1及び第2の層からなるマットレス1との重量を比較した。硬綿マットレスとマットレス1とは幅、長さ、厚みは同じにしてある。硬綿マットレスは、重量が7kgであった。同サイズの三層構造のマットレス1は、重量が5kgとなり、硬綿マットレスより軽くなった。
【0056】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、各層12〜14を、接着面に接着剤を散点状に付着して接着固定したが、接着剤を線状に付着してもよい。このようにすると、効率よく塗布することができる。
【0057】
・上記実施形態では、三層構造のマットレス11を形成する際に、接着面14aに接着剤が付着された下層14に中層13を積層した。さらに、積層された中層13の上面に接着剤を付着し、上層12を積層して、各層12〜14を接着した。これ以外に、中層13に接着剤を付着して、上層12及び下層14を積層するようにしてもよい。又は、接着面に接着剤が付着された上層12に中層13を積層し、さらに中層13の他面に接着剤を付着させて下層14を接着させるようにしてもよい。
【0058】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(a)前記上層、中層、及び下層は、各層の一面に線状に付着された接着剤により互いに接着固定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のマットレス。
【0059】
従って、この(a)に記載の発明によれば、各層に接着剤が線状に付着されることにより、上層、中層及び下層が接着固定される。このため、接着剤が各層の接着面を閉塞して、マットレスの通気性を妨げるようなことがない。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、乾燥効率がよく、底突き感を解消できる樹脂発泡体からなるマットレスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のマットレスの斜視図。
【図2】同マットレスの断面図。
【図3】爆破処理装置の簡略断面図。
【図4】カーテンフローコータの簡略断面図。
【図5】下層の接着面の平面図。
【符号の説明】
11…マットレス、12…第1の樹脂発泡体としての上層、13…第2の樹脂発泡体としての中層、14…第1の樹脂発泡体としての下層、S…接着剤を構成する反応液。
Claims (6)
- 板状の樹脂発泡体からなる三層構造のマットレスであって、上層、中層及び下層を構成する樹脂発泡体は、気泡を連通化させる除膜処理が施されているとともに、
前記中層は、前記上層及び下層よりも硬質であることを特徴とするマットレス。 - 前記マットレスの厚みは40〜120mmであって、前記中層の厚みが前記マットレスの厚みに対して占める割合が1/3〜1/2であることを特徴とする請求項1に記載のマットレス。
- 前記上層、中層、及び下層は、散点状に付着された接着剤により互いに接着固定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のマットレス。
- 前記中層を構成する樹脂発泡体の硬さは、8.5〜25kPaであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のマットレス。
- 前記上層及び下層を構成する樹脂発泡体の反発弾性は、42〜85%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のマットレス。
- 前記上層、中層、下層を構成する樹脂発泡体の通気度は、80〜300L/minであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のマットレス。
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