JP2002325806A - 蓐瘡予防用寝具 - Google Patents

蓐瘡予防用寝具

Info

Publication number
JP2002325806A
JP2002325806A JP2001136542A JP2001136542A JP2002325806A JP 2002325806 A JP2002325806 A JP 2002325806A JP 2001136542 A JP2001136542 A JP 2001136542A JP 2001136542 A JP2001136542 A JP 2001136542A JP 2002325806 A JP2002325806 A JP 2002325806A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bedding
cover
pad portion
pressure ulcer
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001136542A
Other languages
English (en)
Inventor
Isao Tachibana
功 立花
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Viox Inc
Original Assignee
Viox Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Viox Inc filed Critical Viox Inc
Priority to JP2001136542A priority Critical patent/JP2002325806A/ja
Publication of JP2002325806A publication Critical patent/JP2002325806A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 病院や家庭等で使用される医療用の寝具にお
いて、長期の臥床により発生する蓐瘡を予防または改善
するための寝具を提供する。 【解決手段】 パット部10(a)とその下方に重ねて
配置されるマット部10(b)とを備え、パット部10
(a)は中わた20とそれを包むカバー30より構成さ
れ、カバー30の表面には防縮加工を施した動物繊維が
設けられている。また、マット部10(b)は弾力層4
0と、それを包むカバー50より構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、病院や家庭等で使
用される医療用の寝具に関し、更に詳しくは、長期の臥
床により発生する床擦れを予防または改善するためのマ
ット及びパットにに関する。
【0002】
【従来の技術】病人や寝たきり老人等が長期に臥床した
場合、寝姿勢を容易に変更できないために、いわゆる、
床擦れ又は蓐瘡と呼ばれる症状が発生する。この蓐瘡発
生の原因は、体重がベッドの一部分へ集中荷重すること
による血行不良や、発汗等によるムレなどが主な原因と
考えられている。そして、上記の問題を解決すべく従来
より各種の寝具が用いられている。
【0003】上記従来技術のうち、体重がベッドの一部
分へ集中荷重することによる血行不良を防止する観点か
らは、ウレタン等の発泡材料を用いたマットが従来より
一般的に使用されている。この場合、平面状の発泡シー
トのみならず、体圧分散効果を高めるために表面に凹凸
形状を設けたものや、異なる硬さの発泡材料を積層した
もの等も、例えば実開昭60−79357号公報等に開
示されている。
【0004】また、発泡樹脂材料以外にも、体圧分散効
果を高めるため、空気、水を体圧分散に利用した、いわ
ゆるエアーマットやウォーターマット等も蓐瘡予防効果
に優れることが知られており、更に流動性を制御したゲ
ル状物質等を内在させたマット等も知られている。
【0005】一方、皮膚接触面での発汗等によるムレな
どを解消する観点からの従来技術として、例えば特開平
10−257942号公報には、綿等の表素材と裏素材
の間に綿等の弾性素材を入れて周囲を縁取り加工し、全
面にキルティング加工を施すことにより、汗等を吸収し
て通気性を確保して蓐瘡を予防するとともに、寝具の汚
染を防止する技術が開示されている。
【0006】また、人体の皮膚表面との適合性という観
点からは、綿、絹、羊毛等の天然繊維のうち、特に羊毛
等の動物繊維が優れていることが知られており、表面に
キューティクルと呼ばれるスケールを有しておりその構
造が人体の毛の構造に極めて近く、このために吸湿のみ
ならず放湿性も有することから調湿機能があり、この性
質を利用して洋服生地等には広く製品化されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術のうち、ウレタン等の発泡材料を用いたマットに
おいては、体圧分散効果は優れるものの、発泡層の通気
性が不十分であり、単独では皮膚接触面付近でのムレ等
が有効に防止できないという問題がある。
【0008】また、発泡材料の代わりに、空気、水、ゲ
ル状物質を用いたものでは、全体的に嵩が大きくなるの
で取扱いに不便であり、また、水やゲル状物質を用いた
ものでは重量が重くなるので更に取り扱いが不便とな
る。また、空気、水、ゲル状物質等を密封する必要があ
るので、やはり通気性が不十分で皮膚接触面付近でのム
レ等が有効に防止できないという問題がある。
【0009】また、パット部を設けて表面に綿等の通気
性素材を用いる技術については以下の問題点が存在す
る。すなわち、蓐瘡予防及び改善という観点からは、通
気性のみでは不十分であり、皮膚環境を最適湿度に保つ
事も必須であり、このため吸水性や吸湿性のみならず、
放湿性をも有する繊維を直接皮膚に接触させることが必
要とされる。このような複雑な機能は、ほとんど吸湿性
を有しない化学繊維ではもちろんのこと、綿等の植物繊
維においても不十分であり、吸放湿性を有する羊毛等の
動物繊維を用いることが好ましいことになる。
【0010】しかしながら、蓐瘡予防に用いるために
は、患者の皮膚に直接動物繊維が長期間に渡って触れる
ことになり、衛生性等の観点から適宜交換して洗濯でき
ることが必須の条件である。しかし、前述の如く羊毛繊
維は表面にスケールを有しているため、これを洗濯する
とフェルト化して縮んでしまうために一般の羊毛繊維に
は洗濯適性がなく、蓐瘡予防用の寝具として繰返し長期
間に渡って使用することは従来行われていないのが現状
であった。
【0011】したがって、本発明の目的は、患者が長期
に渡って臥床した場合でも体圧を良好に分散して血行を
阻害ぜず、且つ皮膚表面の湿度を常時最適に維持するこ
とにより体表面の末梢血液の循環を良くして蓐瘡を予防
および改善し、しかも軽量で取扱い易く、パット部を容
易に取り外して洗濯可能で衛生的である蓐瘡予防寝具を
提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の蓐瘡予防寝具は、パット部とその下方に重
ねて配置されるマット部とを備え、前記パット部は中わ
たとそれを包むカバーより構成され、前記カバー表面に
は防縮加工を施した動物繊維が設けられており、前記マ
ット部は弾力層とそれを包むカバーより構成されている
ことを特徴とする。
【0013】本発明によれば、パット部のカバー面には
動物繊維を設けたので、動物繊維の吸放湿性を利用し
て、これに接する皮膚環境を最適に保つことができ、同
時にマット部の弾力層によって体圧分散効果を得ること
ができ、両者の相乗効果により優れた蓐瘡防止効果を発
揮することができる。また、マット部とパット部は分離
されているのでパット部のみを取り外すことが可能であ
り、この際、動物繊維が防縮加工されているのでフェル
ト化することがなく洗濯可能であり、パット部のみを適
宜交換、洗濯しながら長期間の連続使用をしても、表面
の風合いや通気性、吸放湿性を維持することができる。
【0014】本発明の好ましい態様によれば、前記弾力
層は、発泡樹脂シート層上にエラストマーからなる連続
繊維をランダムループ状に形成したクッション層が積層
されている。このようにマット部を2層構造としたの
で、前記ランダムループによるクッション層が体圧分散
効果を発揮するとともに、発泡樹脂シート層に比べて非
常に良好な通気性を確保することが可能となるので、パ
ット部を通過してきた水蒸気等によるムレ等の発生を抑
えて蓐瘡の予防効果を高めることができる。
【0015】また、本発明の好ましい態様によれば、前
記動物繊維が羊毛繊維である。羊毛繊維は前述のスケー
ルを有しており構造等が特に人体の毛に近く、柔らかい
ので接触感にも優れ、更に吸放湿性にも極めて優れるの
で特に本発明に好適に用いることができる。
【0016】更に、本発明の好ましい態様によれば、前
記動物繊維が前記中わたを包む片側のカバー上に立毛加
工されている。これにより、更に接触感を和らげるとと
もに、立毛部分の空間に空気層が形成されるので、特に
冬季においては保温性を高めることができる。また、カ
バーの反対側は夏季、空気の流れを良くし涼感を得る織
物構造となっており、季節によりカバー面の選択が可能
である。
【0017】また、本発明の好ましい態様によれば、前
記パット部分がキルティング加工されている。これによ
り、中わたの位置がずれて偏ることを防止できるので、
取り扱いが容易になるとともに、洗濯時にも中わたの偏
りを防止することができる。
【0018】更に、本発明の好ましい態様によれば、前
記中わたが、遠赤外線放射性の無機物を含有する。これ
により、遠赤外線放射効果が同時に得られるので血行が
良くなり、蓐瘡防止効果を向上させることができる。
【0019】また、本発明の好ましい態様によれば、前
記中わたが、抗菌防臭加工されている。これにより、発
汗による微生物の増殖を防止できるので衛生的であり、
長期間の使用が可能となる。
【0020】更に、本発明の好ましい態様によれば、前
記弾力層を包むカバーの前記パット部分に対向する面
が、撥水加工を施した通気性を有するシートである。撥
水加工によって、血液、尿、汗等の表面への付着を防止
できる一方、通気性は有するので、マット部のクッショ
ン層の存在により、通気性を確保することができるので
ムレが生じ難く、蓐瘡防止効果を高めることができる。
【0021】更に、本発明の更に好ましい態様によれ
ば、前記弾力層を包むカバーの前記パット部分に対向し
ない面に、滑り止め加工を施している。これにより、マ
ット部がベッド床に固定され、ズレ落ちることを有効に
防止することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を用いて更に
詳細に説明する。図1は本発明の寝具の斜視図を示し、
図2は断面構成図を示している。
【0023】本発明の蓐瘡予防寝具10は、図1に示す
ようにパット部10(a)とマット部10(b)からな
り、これをパット部10(a)を上に、マット部10
(b)を下にして重ね合わせて使用することで、体圧分
散効果が得られ、かつ呼吸繊維と言われる羊毛が皮膚側
にくることで最適皮膚環境を生み出し、蓐瘡予防効果を
高めるものである。
【0024】まず、パット部10(a)について説明す
る。パット部10(a)は、中わた20およびそれを包
むカバー31および32で構成されており、パット部1
0(a)にはキルティング加工33が施されている。ま
た、パット部10(a)をマット部10(b)に固定す
るための押えバンド34が四隅に設けられている。
【0025】本実施形態においては、カバー31の表面
には防縮加工を施した羊毛繊維が立毛31(a)を形成
してカバー31上に設けられている。一方反対面のカバ
ー32においてはカバー32自体が羊毛繊維からなる布
地となっている。このように、本発明においては、カバ
ー自体が動物繊維からなる編地や織地であってもよく、
カバーを基布として、その上に動物繊維がパイル加工、
またはフロック加工等によって立毛されて設けられてい
てもよい。さらに動物繊維はパット部10(a)の片面
のみに設けられていてもよく、図2のように両面に設け
られていても良い。
【0026】本発明において用いる動物繊維は、防縮加
工されていることが必要である。ここで、防縮加工の方
法としては、繊維表面を塩素、過硫酸アンモン、過マン
ガン酸カリ、過酸化水素、膨潤剤等の薬剤で酸化あるい
は塩素化してスケールの尖った先端を化学的に削って丸
める脱スケール加工、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シ
リコーン樹脂等を架橋剤として用いる樹脂架橋加工、ビ
ニルモノマーなどを用いて繊維表面にグラフト重合を行
う方法、繊維表面にプラズマや電子線を照射して表面加
工する方法等、いずれも利用することができ特に限定さ
れないが、なかでも、塩素を使用しない酸化剤による脱
スケール加工が環境問題の点から好ましく、例えば特開
平8−209532号公報に開示された方法を用いるこ
とができる。上記防縮加工により、動物繊維が本来有す
る吸放湿性を損うことなく、洗濯してもフェルト化によ
り縮むことがなくなるので、皮膚接触面における湿度制
御が長期に渡り可能となり、適宜パット部を交換して洗
濯を繰返しても、長期間に渡り蓐瘡予防効果を持続でき
る。
【0027】また、本発明において使用可能な動物繊維
は獣毛の繊維であれば限定されず、羊毛、キャメル、カ
シミヤ、アルパカ、アンゴラなどが使用可能であるが、
吸放湿性に優れる羊毛を用いることが特に好ましい。ま
た、動物繊維は単独で用いても2種類以上を混紡しても
よく、更に、他の天然繊維や合成繊維との混紡してもよ
い。
【0028】本実施形態では、中わた20は遠赤外線放
射層21と抗菌加工層22の2層から構成されている。
遠赤外線放射層21は中わた20に遠赤外線放射性の無
機物を含有しており、これにより、遠赤外線を放射して
血行促進や水分発散促進により、蓐瘡予防やその改善に
効果を高めることができる。ここで、遠赤外線放射性の
無機物としては、4〜20μm以上の広い波長範囲にわ
たる遠赤外線を効率よく放射することができる無機物質
が例示でき、従来公知のアルミナ、二酸化チタン、炭化
チタン、ジルコニア、炭化ジルコニア、シリカ等の酸化
物の他、ネオジウム、ランタン、イットリウム等の希土
類金属の酸化物等の微粒子を用いることができ、特に限
定されない。これらの微粒子は合成繊維であれば紡糸時
に紡糸液中に分散させて紡糸してもよく、また、天然繊
維であれば紡績時、不織布等であれば、ウエブ形成時に
散布混入させてもよい。
【0029】抗菌防臭加工層22は中わた20に抗菌防
臭加工が施されている。これにより、発汗等による微生
物の増殖を防止でき、不快なアンモニア臭等も除去でき
るので衛生的であり、長期間の使用が可能となる。ここ
で、抗菌防臭加工としては従来公知の方法が適宜選択可
能であり、例えば中わた20にフェノール系抗菌剤、ハ
ロゲン系抗菌剤、第四級アンモニウム塩等の合成有機系
抗菌剤を練り込むことによって付与してもよく、また、
銀イオンを置換したゼオライトや、光触媒粒子による悪
臭の分解消臭効果を有する酸化チタン粒子等の無機充填
剤を練り込んでもよく、更にキトサン等の天然系抗菌剤
を用いても良い。
【0030】本発明においては、中わた20の素材は特
に限定されず、綿、毛、絹、麻等の天然繊維でもよく、
レーヨン、キュプラ、アセテート、ナイロン、ビニロ
ン、ポリエステル、アクリル、ビニリデン、ポリ塩化ビ
ニール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリクラール
等の合成繊維、ガラス、炭素繊維などの無機繊維等、従
来公知の材質の繊維から適宜選択して用いることができ
る。
【0031】また、本実施形態のように中わたを複数の
層にわけて各種機能を持たせてもよく、単独の層として
もよい。更に中わたの形態としては、いわゆる布団綿の
ように短繊維の塊でもよく、不織布のようなシート状の
形態であってもよい。また、本発明においてはパット部
10(a)がキルティング加工33が施されていること
が好ましい。これにより、特に洗濯時に中わた20が偏
ることを防止できるので、取り扱いが容易になる。
【0032】次に、マット部10(b)について説明す
る。図1に示すように、マット部10(b)は弾力層4
0とそれを包むカバー50からなり、更に弾力層40は
クッション層41と発泡樹脂シート層42の2層から構
成されている。また、カバー50はパット部10(a)
に対向する面である表面カバー51及び床面に接する裏
面カバー52より構成されている。
【0033】弾力層40のうち、クッション層41は体
圧分散効果を最大に発揮する部分で、エラストマーから
なる連続繊維をランダムループ状に形成したクッション
層が好ましい。この場合、エラストマーの材料としては
ポリエステル系、ナイロン系、ウレタン系、オレフィン
系等を使用することができる。このように連続モノフィ
ラメントを3次元ループ状に形成することによって、そ
のスプリング効果によって、ウレタンフォーム等の発泡
シートと同等の弾力性、体圧分散効果が得られることに
加え、前記ランダムループ構造により空隙率が非常に向
上するので通気性を向上させることができる。これによ
り、パット部10(a)を通過してくる水蒸気をクッシ
ョン層41で逃がすことができるので、マット部10
(b)でのムレが生じ難いので衛生的であり、また蓐瘡
防止効果を高めることができる。このような連続繊維を
ランダムループ状に形成したクッション層としては、例
えば東洋紡株式会社のブレスエアー(商品名)が好適に
使用可能である。
【0034】発泡樹脂シート層42としては、従来公知
の発泡樹脂シートを用いることができ、軟質ウレタンフ
ォーム等のウレタン系、ポリエチレンやポリプロピレン
等のオレフィン系の発泡樹脂シートのいずれも好適に用
いることができ特に限定されない。また、発泡の程度や
シートの厚み等も適宜選択可能であり、シートは平面で
もよく、表面に凹凸が設けられていてもよい。更に単独
の1層でもよく、硬さの異なる2種以上の層を積層した
ものでもよい。この発泡樹脂シート層42により、マッ
ト部10(b)全体としての剛性を高めることができ
る。
【0035】なお、本発明においては、上記の効果を損
わない範囲で、マット部10(b)中に遠赤外線放射
性、抗菌防臭性等の機能を付与してもよい。例えば、備
長炭等の活性脱臭素材を弾力層40内に分散させて設け
ることにより、備長炭の有する吸湿効果、マイナスイオ
ン効果、脱臭効果によって更に消臭衛生性を向上させる
ことができる。
【0036】表面カバー51は、パット部10(a)を
通過してくる水分をマット部10(b)内に侵入させな
いよう撥水加工が施されていることが好ましく、且つ水
蒸気は透過する生地を使用することが好ましい。これに
より、パット部10(a)を通過する水蒸気はクッショ
ン層31bへ到達するので通気性は確保できる一方、尿
や血液等の侵入を阻止できるので衛生性を維持すること
ができる。このような表面カバー51としては、例えば
撥水処理を施したナイロン織地等が好適に使用できる。
【0037】一方裏面カバー52は、床面とマット部1
0(b)がズレて不必要に移動しないよう滑り止め加工
を施されていることが好ましい。滑り止め加工としては
従来公知のものが使用可能であり特に限定されないが、
エンボス加工で凹凸形状を裏面カバー52上に設けても
よく、他に発泡ウレタンやエラストマー、ゴム等を滑り
止めとして裏面カバー32b上に点状にコーティングす
ること等によっても設けることができる。
【0038】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。
【0039】実施例1 消臭処理されたアクリレート系わた(東洋紡株式会社
製、商品名「ディスメル」)180g上に、遠赤外線放
射性である希土類金属酸化物を含有したポリエステル系
のわた(ニチメン株式会社製、商品名「レイアース」)
420gを積層し、計600gの中わた層を得た。
【0040】次に、これを包むカバーとして、一方の面
にはアクリル織地表面に防縮加工した羊毛を400g/
2、パイル長5.5mmでパイル加工した生地を、他
方の面には同じく防縮加工を施した羊毛を200g/m
2で平織りした羊毛生地を用い、図1に示すような構成
で上記中わた層を包み、幅100×長さ200cmのパ
ット部を得た後、キルティング加工して実施例1のパッ
ト部を得た。
【0041】次に、厚さ20mmの軟質発泡ウレタンシ
ート上に、ポリエステル系の熱可塑性エラストマーから
なる連続繊維をランダムループ状に形成したクッション
層(東洋紡株式会社製、商品名「ブレスエアー」)30
mmを積層し、これを包むカバーとして、パット部に接
する面には撥水加工を施したナイロンを、他方の面には
ゴムを点状にコーティングして滑り止め加工を施したポ
リエステル製のシートを用い、図1に示すような構成
で、幅100×長さ200cmの実施例1のマット部を
得た。
【0042】上記パット部及びマット部を、羊毛のパイ
ル加工を施した面を皮膚接触面側として重ね合わせて、
実施例1の蓐瘡予防用寝具を得た。
【0043】実施例2 実施例1のパット部の表裏を逆にして、平織りした羊毛
生地面を皮膚接触面側とした以外は実施例1と同様にし
て実施例2の蓐瘡予防用寝具を得た。
【0044】比較例 表地、裏地ともに綿100%のカバーを用い、中芯材と
して従来公知のポリエステル固綿を2000g、中わた
として羊毛100%を1000gの計3000gを用
い、幅100×長さ200cmの比較例の寝具を得た。
【0045】試験例1 実施例1、2及び比較例1の寝具について、身長170
cm、体重65kg、BMI指数22.49(BMI指
数=体重(kg)/身長2(m))の被験者を用いて、
体圧分散測定システム(FSAシステム、Vista Medica
l Ltd.製)により体圧分散を測定した。その結果を図3
〜図8及び表1に示す。
【0046】ここで、図3、5、7はそれぞれ実施例
1、実施例2、比較例の測定時の体圧分散を表す図であ
り、図4、6、8は、それぞれ図3、5、7の測定結果
を3次元の等高線図で表示した図である。
【0047】
【表1】
【0048】図3〜図8の結果より、実施例1、2の寝
具は比較例の寝具に比べて体圧分散効果に優れることが
わかる。すなわち、図7、図8より、比較例においては
特に胸部、臀部、左肘部において圧力が高いことが認め
られるのに対し、図3〜図6の実施例1、2においては
前記いずれの部分においても圧力が平均化されており、
本実施例においては体圧分散効果が優れることがわか
る。
【0049】このことは表1の結果からも裏付けられ、
実施例1、2においては最大圧力がそれぞれ6300、
7300Paであるのに対して、比較例においては12
000Paと大きく、また、標準偏差においても実施例
1、2においてはそれぞれ、11、13であるのに対し
て比較例においては16と大きい。よって、比較例にく
らべて実施例のほうが体圧を平均化しており、体圧分散
効果に優れることがわかる。
【0050】試験例2 実施例1の寝具について、蓐瘡は発生していないが将来
の発生率が非常に高い患者に対する予防効果、及び既に
蓐瘡の発生が確認されている患者に対する治療効果を目
的とした使用試験を行った。
【0051】経過観察方法としては、蓐瘡の発生の有
無、並びに蓐瘡の治癒変化を、看護婦が毎日の全身皮膚
観察により判定することにより、予防及び治療効果を評
価した。予防効果試験の結果については表2に、治療効
果試験の結果については表3に、まとめて結果を示す。
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】なお、蓐瘡の発生可能性は事前に日本語版
ブレーデンスケールによる聞き取り調査で評点が17点
以下の患者を対象とした。ここで、ブレーデンスケール
とは蓐瘡の発生の危険性において、患者がどのような危
険度にあるか、患者の活動性や栄養状態などの諸要素を
観察し評価することにより、危険の度合いを点数で表す
スケールであり(Therapeutic Research vol,16 no,
4 1995、金沢大学医療技術短期大学部紀要第15巻1
991年、102頁)、14〜11点までが蓐瘡発生危
険率が高く、11点より小さい場合には蓐瘡必発の状況
である。
【0055】また、表3における蓐瘡分類はIAET分
類の蓐瘡ステージを表し、ステージIはごく初期の症状
で、圧迫された部分の皮膚がうっすらと赤くなる状態を
表し、ステージIIは水泡を伴う状態を意味する。
【0056】表2の結果より、13症例にて調査を実施
した結果、23日〜56日間の連続使用下において、ブ
レーデンスケールが9〜17点で蓐瘡発生危険度が高い
患者にもかかわらず、いずれの症例においても蓐瘡の発
生を全く認めず、本実施例の寝具が蓐瘡発生の予防に有
効であることがわかる。
【0057】また、表3の結果より、あらかじめステー
ジI又はIIの蓐瘡が発生していた患者7例について
も、ステージIでは6〜12日で、ステージIIでも2
1〜56日で蓐瘡が治癒しており、本実施例の寝具が蓐
瘡の治療についても有効であることがわかる。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
パット部表層の動物繊維による吸放湿性により最適湿度
を維持できるとともに、マット部による体圧分散も同時
に図ることができるので、両者の相乗効果によって優れ
た蓐瘡の予防、改善効果を発揮することが可能である。
また、パット部とマット部に分離されており、動物繊維
には防縮加工が施されているいるので洗濯してもフェル
ト化することがなく、簡単にパット部を取り外して洗濯
が可能であるので、衛生性にも優れ、繰返して長期間の
使用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による蓐瘡予防用寝具の一実施形態を
示す斜視図である。
【図2】 本発明による蓐瘡予防用寝具の一実施形態を
示す断面構成図である。
【図3】 試験例1における実施例1の体圧分散測定結
果を示す図表である。
【図4】 試験例1における実施例1の体圧分散測定結
果を示す図表である。
【図5】 試験例1における実施例2の体圧分散測定結
果を示す図表である。
【図6】 試験例1における実施例2の体圧分散測定結
果を示す図表である。
【図7】 試験例1における比較例の体圧分散測定結果
を示す図表である。
【図8】 試験例1における比較例の体圧分散測定結果
を示す図表である。
【符号の説明】
10 寝具 10(a) パット部 10(b) マット部 20 中わた 21 遠赤外線放射層 22 抗菌防臭加工層 30、31、32 カバー 31(a) 立毛 33 キルティング加工 34 押えバンド 40 弾力層 41 クッション層 42 発泡樹脂シート層 50 カバー 51 表面カバー 52 裏面カバー

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パット部とその下方に重ねて配置される
    マット部とを備え、前記パット部は中わたとそれを包む
    カバーより構成され、前記カバー表面には防縮加工を施
    した動物繊維が設けられており、前記マット部は弾力層
    とそれを包むカバーより構成されていることを特徴とす
    る蓐瘡予防用寝具。
  2. 【請求項2】 前記弾力層は、発泡樹脂シート層上にエ
    ラストマーからなる連続繊維をランダムループ状に形成
    したクッション層が積層されている請求項1記載の蓐瘡
    予防用寝具
  3. 【請求項3】 前記動物繊維が羊毛繊維である請求項1
    又は2記載の蓐瘡予防用寝具。
  4. 【請求項4】 前記動物繊維が前記中わたを包む片側の
    カバー上に立毛加工されている請求項1〜3のいずれか
    一つに記載の蓐瘡予防用寝具。
  5. 【請求項5】 前記パット部がキルティング加工されて
    いる請求項1〜4のいずれか一つに記載の蓐瘡予防用寝
    具。
  6. 【請求項6】 前記中わたが、遠赤外線放射性の無機物
    を含有する請求項1〜5のいずれか一つに記載の蓐瘡予
    防用寝具。
  7. 【請求項7】 前記中わたが、抗菌防臭加工されている
    請求項1〜6のいずれか一つに記載の蓐瘡予防用寝具。
  8. 【請求項8】 前記弾力層を包むカバーの前記パット部
    に対向する面が、撥水加工を施した通気性を有するシー
    トである請求項1〜7のいずれか一つに記載の蓐瘡予防
    用寝具。
  9. 【請求項9】 前記弾力層を包むカバーの前記パット部
    に対向しない面に、滑り止め加工を施した請求項1〜8
    のいずれか一つに記載の蓐瘡予防用寝具。
JP2001136542A 2001-05-07 2001-05-07 蓐瘡予防用寝具 Pending JP2002325806A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001136542A JP2002325806A (ja) 2001-05-07 2001-05-07 蓐瘡予防用寝具

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001136542A JP2002325806A (ja) 2001-05-07 2001-05-07 蓐瘡予防用寝具

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002325806A true JP2002325806A (ja) 2002-11-12

Family

ID=18983800

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001136542A Pending JP2002325806A (ja) 2001-05-07 2001-05-07 蓐瘡予防用寝具

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002325806A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007098119A (ja) * 2005-09-06 2007-04-19 Akira Sueda 遠赤外線放射クッション材及びその製造方法
JP2008113798A (ja) * 2006-11-02 2008-05-22 Toyo Tire & Rubber Co Ltd クッション材
JP2010220899A (ja) * 2009-03-24 2010-10-07 Toshiro Kishi 吸湿脱臭敷きマットとその製造方法
KR20210142301A (ko) * 2020-05-18 2021-11-25 호승문 욕창 예방용 매트리스
KR102505427B1 (ko) * 2022-12-05 2023-03-06 주식회사 우성바이오텍 매트리스

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007098119A (ja) * 2005-09-06 2007-04-19 Akira Sueda 遠赤外線放射クッション材及びその製造方法
JP2008113798A (ja) * 2006-11-02 2008-05-22 Toyo Tire & Rubber Co Ltd クッション材
JP2010220899A (ja) * 2009-03-24 2010-10-07 Toshiro Kishi 吸湿脱臭敷きマットとその製造方法
KR20210142301A (ko) * 2020-05-18 2021-11-25 호승문 욕창 예방용 매트리스
KR102505427B1 (ko) * 2022-12-05 2023-03-06 주식회사 우성바이오텍 매트리스

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US3859678A (en) Disposable bed covering
US6028241A (en) Patient underpad
JP2002325806A (ja) 蓐瘡予防用寝具
JP4269068B2 (ja) 患者用敷布
KR20170139910A (ko) 에어룸 인견 메쉬 토퍼
JP2002209679A (ja) 薄厚クッション積層体
JP3094910U (ja) 人体部位支持体
KR100536623B1 (ko) 쿳션, 통풍 및 위생기능 등 다기능을 수행하는 의료용보조 매트리스
KR200331819Y1 (ko) 쿳션, 통풍 및 위생기능 등 다기능을 수행하는 의료용보조 매트리스
JP3063034B2 (ja) 褥瘡の防止及び治療具
JP3055006U (ja) 褥瘡防止用寝具
JP4120866B2 (ja) 寝装具
JP2886073B2 (ja) 敷 物
JP4159225B2 (ja) 掌握クッション
JP2004049352A (ja) 敷物装置
JPS6113821B2 (ja)
KR20050013746A (ko) 쿳션, 통풍 및 위생기능 등의 다기능 의료용 방석
JP3097192U (ja) 座面・背面一連式褥瘡(床ずれ)治療・改善・予防用マット
KR20160041586A (ko) 의료용 친환경 매트리스
JPH0342827Y2 (ja)
JPH11169261A (ja) オゾン浴マット
JP2001161530A (ja) 介護用マット
JPH114856A (ja) 床ずれ防止介護用マットレス
JP3102134U (ja) 要介護者用消臭調湿シーツ
JP3025223U (ja) 健康寝具

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040914