JP2008106112A - ガラス窓外貼り用装飾性フィルム - Google Patents

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和之 高見
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Abstract

【課題】長期間において親水性作用による自己浄化性を有し、室内居住者に心理的効果を与えることのできるガラス窓外貼り用装飾性フィルムを提供すること。
【解決手段】一方の表面側に親水性の防汚層を有し、他方の表面側が印刷面である印刷用フィルムに、印刷による着色を施した後、着色側に粘着剤層を積層したフィルムであって、該フィルムの少なくとも一部に、一色以上で着色を施してなるガラス窓外貼り用装飾性フィルムである。
【選択図】図1

Description

本発明は、長期間において親水性作用による自己浄化性を有し、室内居住者に心理的効果を与えることのできるガラス窓外貼り用装飾性フィルムに関するものである。
日本人のインテリアに対する知識が深まる中で、リビング環境に対する考え方やこだわりに高い関心が集まっている。日本人は元来、家族が居間に集まって団欒するという文化を持ち合わせているが、囲炉裏を囲む居間が、現在ではソファーを中心としたリビングルームに形を変えている。この様な背景から、日本人のインテリアに対する関心は、リビングを中心に展開されている。
十分な居住空間が確保できる欧米とは異なり、居住空間が限られる日本の場合では、その限られた居住空間の中で、居心地の良いリビングを作り出すためには様々な工夫が必要となる。その工夫とは、(i)部屋の狭さを感じない空間演出、(ii)リラクゼーション効果、(iii)安全性と安心の確保、(iv)経済効果(節約効果・環境負荷の低減)等が挙げられる。加えて共働き家庭が増える昨今の家族事情等を鑑みると、これらの効果が簡便に維持できる、(V)メンテナンスフリーも求められる。
真に居心地に良い空間を生み出すためには、これらの機能が欠けることなく全て満たされなければならない。以下に本発明について、家庭用のリビングルームを具体的な活用例として挙げ、より詳細に説明するが、その使用用途は家庭用のリビングに限られることはなく、上記(i)〜(V)の機能が求められる場所に、それぞれに相応しいデザインを施して活用することが出来る。
この様な機能・演出をリビングに施すとき、インテリアデザインの観点に立てば、最初に取り組むべき、最も大きな課題となるのは窓の装飾である。これは、リビングに配置される構成要素の中で最も大きな比重を占めるものの一つであることに起因し、窓の大型化・多面積化が進む昨今の住宅事情を考慮すると、その傾向は更に顕著になると考えられる。ところが窓の演出においては、上記(i)〜(V)の全てを満たす装飾方法がなく、それぞれの機能を別々に用意することが必要であった。但しこの方法では、全ての機能を満たすことが経済的にも技術的にも難しく、また必ず何かしらの新たな問題を生み出す結果となった。この様な背景から、インテリアデザイナーの視点は、「窓とそこに見える風景を如何に装飾するか」ではなく、「カーテンやブラインドなどを上手く用いて、如何にして上手く窓を隠すか」という演出を施すことに終始していた。
窓ガラスそのものに装飾を施した装飾ガラスとして、装飾用の着色模様加工にフイルムを使用し、伸縮性のあるフイルムを中間膜として2枚のガラスに張り合わせるか、空間を隔てた2枚のガラス間の一方のガラスの内側に着色模様を施したフィルムを接着した装飾用ガラスが提案されている(例えば特許文献1)。
しかし、特許文献1記載の装飾ガラスでは、建築当初からかかる装飾ガラスを窓ガラスとして採用するか、ガラス全体を交換する必要があって、採用時期や交換方法に制限があった。
また、フィルムがガラスの内面にあるため、該フィルムに防汚性処理を施して窓ガラスの室外側に貼着し、降雨による自己浄化機能を利用するなどのメンテナンスフリー効果を得ることが困難である。
一方、親水性を示す材料の一つである光触媒活性材料は、超親水化による表面浄化作用があることから、表面をメイテンナンスフリーで美麗に保つ、いわゆる防汚効果が期待されている。
外気に直接暴露又は長期間展示される印刷物において、少なくとも印刷層と、光触媒活性を遮断する無機物からなる活性遮断層、及び光触媒活性をもつ防汚層とから構成される保護層とを順次積層した積層体からなる耐候性印刷物が提案されている。(特許文献2参照)
この耐候性印刷物は、印刷面に粉塵や油分による汚れが付着しても、油分を分解し洗い流したり、拭き取ることができ、表面の粉塵による汚染を防止し、紫外線遮断層との相乗作用で印刷物の光による変色や褪色を防止する効果を期待できる。
しかし、特許文献2に記載の印刷物は、基材の表面に印刷を施し、その上層に活性遮断層、光活性層を塗り重ねて施すので、塗工時に使用する有機溶剤や加熱乾燥工程で印刷のにじみ、インクの蒸発・気化などの発生により印刷の鮮明さを損なう可能性があった。
また、基材の一方の面上に、光触媒機能を有する金属酸化物を含有する防汚層を少なくとも有し、かつ、昇華転写印刷法により、防汚層の表面から内部を透過して基材に画像を転写形成してなる印刷体が提案されている。(特許文献3参照)
しかし、特許文献3に記載の印刷体は、防汚層側から昇華転写印刷法により印刷を行うので、昇華インクが防汚層に残り、防汚性能を初期的に低下させる、あるいは、昇華インクが経時的にブリードアウトして光触媒活性を低下させる危惧があった。
また、防汚層の形成において、ポーラスの層とするため、低温ゾル−ゲル法としているので、印刷方法も昇華転写印刷法に限定されるなど、技術的制限があり、広く一般の印刷に適応できないという問題があった。
このように、光触媒による防汚性を有する特許文献2又は3に記載の印刷物は、前述の問題を有しているため、窓張り用印刷着色フィルムにおいて、印刷層に影響を及ぼすことのない防汚処理を施せるものや、広く一般の印刷に適応できる実用性のある窓張り印刷用フィルムは、未だ開発されていない。
すなわち、着色又は画像を直接印刷して直ちに防汚性印刷物としてガラス窓に直接貼付けが可能であって、防汚性及び装飾性等に十分な性能を有するガラス窓外貼り用装飾性フィルムは、未だ得られていない。
特開2001−158200号公報 特開2000−117187号公報 特開2003− 43960号公報
本発明は、上記の背景によりなされたものであって、その目的は、長期間において親水性作用による自己浄化性を有し、窓ガラスの外側に簡単に貼り付けることで、重ね絵の技法や、色彩効果で窓から見える外景を装飾する上に、カラーセラピー効果で室内居住者に心理的効果を与え、かつ防犯性や、室内の耐候性をも向上し得るガラス窓外貼り用装飾性フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、一方の表面側に親水性の防汚層を有し、他方の表面側が印刷面である印刷用フィルムに、印刷による着色を施した後、着色側に粘着剤層を積層したフィルムであって、該フィルムの少なくとも一部に、一色以上で着色を施したものとすることにより、色彩効果で窓から見える外景を装飾する上に、カラーセラピー効果で室内居住者に心理的効果を与え、かつ防犯性や、室内の耐候性をも向上し得ることを見出し本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1)一方の表面側に親水性の防汚層を有し、他方の表面側が印刷面である印刷用フィルムに、印刷による着色を施した後、着色側に粘着剤層を積層したフィルムであって、該フィルムの少なくとも一部に、一色以上で着色を施してなることを特徴とするガラス窓外貼り用装飾性フィルム、
(2)着色部に該着色部より濃色あるいは異色で描写されたイラストを配してなる前記(1)記載のガラス窓外貼り用装飾性フィルム、
(3)着色がカラーセラピー効果に基づくものである前記(1)又は(2)記載のガラス窓外貼り用装飾性フィルム、
(4)着色部の面積の50%以上が青色系の色で着色されており、その平均全光線透過率が30〜90%であって、窓越しに見える外景の輪郭を視覚的に明瞭にしてなる前記(1)〜(3)のいずれか1に記載のガラス窓外貼り用装飾性フィルム、
(5)着色部の面積の50%以上が緑色系の色で着色されており、その平均全光線透過率が30〜90%であって、窓越しに見える外景の輪郭が視覚的に不明瞭にしてなる前記(1)〜(3)のいずれか1に記載のガラス窓外貼り用装飾性フィルム、
(6)防汚層からフィルムの他方の面までの積層構造における、380nm以下の紫外線の遮断率が99%以上である前記(1)〜(5)のいずれか1に記載のガラス窓外貼り用装飾性フィルム、
(7)防汚層の水接触角が10°以下であり、実表面積Sと見かけの表面積S0の比表面積Rf(Rf=S/S0)が1.1以下である前記(1)〜(6)のいずれか1に記載のガラス窓外貼り用装飾性フィルム、
(8)防汚層が、光触媒機能を有する微粒子及び/又はシリカ微粒子を含む組成物より形成されてなる光触媒活性層である前記(7)に記載のガラス窓外貼り用装飾性フィルム、
(9)フィルムが、暴露面から順に、防汚層としての光触媒活性層と活性遮断層、及び紫外線遮蔽層を有し、該活性遮断層が有機高分子化合物と金属酸化物系化合物とが化学的に結合した複合体を含み、かつ金属成分の含有率が該層の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有するものであって、実質上、光触媒活性層との界面では金属酸化物系化合物成分の濃度が高く、かつ有機基材に当接している面では有機高分子化合物成分の濃度が高い有機−無機複合傾斜層からなり、該紫外線遮蔽層が380nm以下の紫外線を50%以上遮断する層であって、さらにフィルムにも紫外吸収剤を練り込んでなる前記(1)〜(7)のいずれか1に記載のガラス窓外貼り用装飾性フィルム、
(10)フィルムが、初期並びにJIS K7350によるカーボンアーク式サンシャインウエザーメーターによる加速耐候試験3000時間後の状態において、全光線透過率が85%以上、曇り度(Hz)が5%以下、黄色み度(YI)が7以下である前記(1)〜(9)のいずれか1に記載のガラス窓外貼り用装飾性フィルム、
(11)フィルムが厚み25μm〜400μmのポリエチレンテレフタレートフィルムである前記(1)〜(10)いずれか1に記載のガラス窓外貼り用装飾性フィルム、
(12)フィルムが、厚みが50μm〜400μmのポリエチレンテレフタレートフィルムであり、印刷による着色層側に施される粘着剤層の接着力が10N/25mm以上であって、ガラスの飛散防止機能を有する前記(1)〜(11)のいずれか1に記載のガラス窓外貼り用装飾性フィルム、及び
(13)フィルムの厚みが188μm〜400μmのポリエチレンテレフタレートフィルムであり、印刷による着色層側に施される粘着剤層の接着力が10N/25mm以上であって、ガラスの防犯機能を有する前記(12)記載のガラス窓外貼り用装飾性フィルム、
を提供する。
本発明のガラス窓外貼り用装飾性フィルムの効果について、色彩による心理的効果と防汚性、防犯性、耐破損性等の機能的効果に分けて説明する。
本発明のガラス窓外貼り用装飾性フィルムは、一方の表面側に防汚層を有し他方の面側が印刷面である印刷用フィルムに、印刷による着色を施した後、粘着剤層を積層したガラス窓外貼り用フィルムであって、着色は少なくとも一色系で施され、一色系の着色が、窓張りシート全体の大きさの一部(過半を含む)としているので、室内から見る外景が窓枠内で異なった色調で視認され、室内の居住感を変化させることができる。
また、異なる二色系を用い、窓ガラスの中心側から上方及び下方に向かって濃色となる、各色系のグラデーション状着色を施してなるガラス窓外貼り用装飾性フィルムでは、その二色系を色彩デザインに基づき選択し、さらにグラデーション状着色を施せば、例えば、下半分は外景をはっきり視認するようにし、上半分は柔らかく視認できるようにしたり、その逆になるようにしたり、居住空間の立地、環境に応じて設定できる。
さらに、着色をカラーセラピー効果に基づくものとすれば、落ち着きと癒しの効果が同時に得ることができる。
また、着色部に該着色部より濃色のイラストを配置すれば、一層落ち着きと癒しの効果が得られる空間を演出することができる。
一方、本発明のガラス窓外貼り用装飾性フィルムは、一方の表面側に防汚層を有しているので、表側に面した防汚層、例えば、光触媒活性層が自己浄化作用を有しているので、降雨又は散水により、自己浄化できるので、メンテナンスフリーでフィルムを美麗な状態に保つことができる。
また、防汚層(光触媒活性層)から透明基材フィルムの他方の面までの積層構造における、380nm以下の紫外線の遮断率を99%以上とすると、インク色素に380nm以下の紫外線が到達しないので、インク色素の退色、劣化を有効に阻止でき、印刷物を長期間、美麗に保持できるとともに、カーテンや床材、家具など室内物品の変退色、劣化等をも有効に阻止することができる。
さらに、ガラス窓外貼り用装飾性フィルムは、ガラス窓に直接貼り付けてあるので、万一外部又は内部からの衝撃で破損したとしても、ガラス片が直接飛散することがなく、ガラス片の落下、飛散等による傷害を防ぐことができる。
また、フィルムの厚みをある程度厚いものとすれば、外側からガラス窓を破壊しようとしても一撃で破損することはなく、防犯性も期待できる。
さらに、本発明の装飾性フィルムをガラス窓に貼り付けることにより、外気との断熱性が向上するので、空調機の電力を節減でき、また、室内の結露も防止できるなど、電力び燃料等の節約と環境負荷の低減を図ることもできる。
本発明のガラス窓外貼り用装飾性フィルム(以下、単に「装飾性フィルム」ということがある。)は、一方の表面側に親水性の防汚層を有し、他方の表面側が印刷面である印刷用フィルムに、印刷による着色を施した後、着色側に粘着剤層を積層したフィルムであって、該フィルムの少なくとも一部に、一色以上で着色を施してなることを特徴とするガラス窓外貼り用装飾性フィルムである。
本発明の装飾性フィルムは、着色は一色以上で施され、着色部分が窓張りシート全体の大きさの少なくとも一部である様に施される。
例えば、赤色系、青色系、緑色系、灰色系、黄色系などの色で、淡い濃度〜濃い濃度を選択して上記の印刷用フィルムに印刷される。
例えば、風景(外景)を楽しみたいのであれば、全体的に青色系のデザインを施せばよい。青色に装飾した本発明品を介して見る外景は、その色の濃淡にはあまり依存せず、輪郭が明瞭に見える効果が認められる。結果として外景を室内からはっきりと視認することが可能となり、外景を楽しみやすくなる。逆に外景を、柔らかく演出したいのであれば、全体的に緑色系のデザインを施せばよい。緑色に装飾した本発明品を介して見る外景は、その色の濃淡にはあまり依存せず、輪郭がぼやけて見える効果が認められる。結果として室内から見た外景は、少しかすんだ様に視認される様になり、外景を柔らかくすることができる。
着色は、ガラス窓への貼付単位の大きさにおいて、必ずしも全面に施す必要はなく、上部、下部、中央部などの適宜箇所を無着色としてもよく、又は異なる色としてもよい。
本発明の装飾性フィルムは、着色部に該着色部より濃色あるいは異色で描写されたイラストを配することができる。
まず、部屋の狭さを感じない空間演出の機能について説明する。空間演出の方法は至って簡単である。窓の外景をインテリア装飾に取り込んでしまえば良く、欧米では良く用いられている演出技法である。この演出技法が日本国内で用いられない理由は、外の外観が部屋を装飾するのに相応しく無いことに起因する。従って本発明の窓用装飾性フィルムにおいては、外の景色が楽しめる様なデザイン上の工夫が必要となる。
しかし、そのデザインの事例を具体的に挙げることは難しい。例えば窓の外景がモノトーンで色彩に欠ける場合であれば、窓フィルムに色彩を施したイラストなどを加えればよいし、人工的な外観に不満を持つ様な風景であれば、自然豊かな風景をデザインしても良い。また窓の外景が見苦しいと感じる場合であれば、全光線透過率を50%程度に抑えるような、透明度の低い絵を印刷すれば良く、逆になるべく外景を活かしたいのであれば、シンプルなデザインを施しながらも、その全光線透過率が80%前後になるようにすればよい。
さらに、本発明の装飾性フィルムは、着色をカラーセラピー効果に基づくものとすることができる。
色がそれを見る人に与える影響については、既に医学や心理学の研究によって明らかにされつつある。例えば赤色は交感神経を刺激し、見るものに活力を与える効果がある。黄色も同様に希望の心象に多大な影響を与える。一方青色は心象を落ち着かせる効果があり、緑色は副交感神経を最大に刺激し見るものにリラクゼーション効果を与える効果がある。この様な効果をカラーセラピー効果と言い、昨今注目を集めている精神治療効果の一つに挙げられる。
本発明では、この精神治療効果を空間演出に活用する。これらの効果は、空間全体にその色を配色する必要はなく、フォーカルポイントにその配色を施すだけで、好ましい効果が得られる。フォーカルポイントとは、その空間に浸入した人が最初に目に付くポイントのことを差し、一般的には、以下のいずれかの装飾品がそれに当てはまる。
(1)その人の視界に入る装飾品であって、他の色相と大きく異なる色を配色されたもの。
(2)その人の視界に入る装飾品であって、他の装飾品よりも大きいもの。
日本人は一般的に、同一空間内では、比較的同色系で統一して、トーンの変化を楽しむ演出を好む傾向が強く、特に意図して演出した場合を除き、先の(1)がフォーカルポイントになることは少ない。結果として(2)に該当するリビング窓がフォーカルポイントになることが多い。この様な背景から、窓に配色された色は、そこにいる人の精神状況に少なからず影響を与えることとなる。リビングの使用方法を鑑みると、求められるカラーセラピー効果は、落ち着きかリラックス効果であることが多いと思われる。他の事例として、例えば希望の心象を演出したい幼児施設などでは黄色が、活力を獲得したいスポーツ施設などでは赤色の演出が好ましい事例の一つとしてあげられる。
そこで本発明の装飾性フィルムにおいては、単純に外の景色が楽しめる様なデザイン上の工夫を施すのではなく、カラーセラピー効果に考慮した演出を施すことができる。
カラーセラピー効果は、見る人にその色相が、特に明瞭に認識される必要はない。従って、期待するカラーセラピー効果を生み出す色をベースに、そのトーン調整を用いてデザインを設計すればよい。
なお、これらの効果は一つに限定する必要はなく、組み合わせることによって更に好適に演出することも出来る。例えば、「落ち着き」の青色と「癒し」の緑色を組み合わせることによって、より効果的な演出も可能となる。例えば、平均全光線透過率が80%に調整し、上方に青色、下方に緑色の色を配したグラデーションの下地に、その下方に濃色の緑色で、上方に濃色の青色でイラストを配した窓装飾は、リビング用装飾窓フィルムに好ましい演出方法の一つに挙げられる。カラーセラピー効果としては、落ち着きと癒しの効果が同時に得られる上、窓の上方は外景の輪郭が明瞭となる青色を配してあることから外景を楽しみやすく、窓の下方をベランダの風景の輪郭が曖昧になる緑色を配していることから、より外景を楽しみやすく演出することができる。
また、本発明の装飾性フィルムは、色部の面積の50%以上が青色系の色で着色されており、その平均全光線透過率が30〜90%のフィルムとすることによって、窓越しに見える外景の輪郭を視覚的に明瞭にすることができる。
青色系が、輪郭が明瞭に見える色彩効果を利用するものであって、青色系の着色部は、当該装飾性フィルムの全体的な青色系の印象を保持するため、着色された面積全体の50%以上であることが望ましい。
室内からの外景の見易さの点から、着色部の平均全光線透過率は、30〜90%であることが好ましい。
また、本発明の装飾性フィルムは、着色部の面積の50%以上が緑色系の色で着色されており、その平均全光線透過率が30〜90%のフィルムとすることによって、窓越しに見える外景の輪郭が視覚的に不明瞭にすることができる。
緑色系が、輪郭が不明瞭に見える色彩効果を利用するものであって、緑色系の着色部は、当該装飾性フィルムの全体的な緑色系の印象を保持するため、着色された面積全体の50%以上であることが望ましく、その平均全光線透過率も前述同様、30〜90%であることが好ましい。
また、本発明の装飾性フィルムは、異なる二色系を用い、窓ガラスの中心側から上方及び下方に向かって濃色となる、各色系のグラデーション状着色を施すことができる。
このように二色系とすること及び各色にグラデーション状着色を施すことによって、窓からの景色の輪郭や色調が変化した状態で視認できる。
防汚層(光触媒活性層)から透明基材フィルムの他方の面側までの積層構造における、380nm以下の紫外線の遮断率が99%以上の装飾性フィルムとすることが好ましい。
これは、色素が380nm以下の紫外線で分解され、退色するのを極力抑止するためである。
例えば強い西日が入る部屋の家具の色褪せを防止するためには、カーテンを閉めなければならない。カーテンはデザイン性よりも色褪せしにくい機能を最優先に選定し、かつ色褪せすることを前提に安価なものを頻繁に交換することが必要となる。家具の色褪せやカーテンの交換は、本質的に不経済であり回避したいというニーズが多い。またショーウィンドウなどの商品陳列スペースにおいては、同様の問題が更に強く指摘されている。そこで本発明では、UV吸収層の紫外線遮断機能に加え、透明基材フィルム自体にUV吸収剤を加え、以下のように設計することにより達成される。
このため、防汚層(光触媒活性層)と透明基材フィルムの間に380nm以下の紫外線を少なくとも50%以上遮断する紫外線遮断層を介在させることが好ましく、より好ましくは、350nm以下の紫外線を少なくとも90%以上遮断する。この紫外線遮断層を介在させることによって、透明基材フィルム自体の黄変などの変色が防止される。
一例として、この紫外線遮断層を介在させることによって、透明基材フィルムへの380nm以下の紫外線の侵入をカットし、かつ、透明基材フィルム自体に配合した紫外線吸収剤とで380nm以下の紫外線の遮断率を99%とすれば、色素への紫外線の侵入も確実に阻止できる。
この種の紫外線遮断層としては、透明基材フィルムの一方の面側に紫外線吸収剤を含む紫外線遮断層を設けることができる。また、紫外線散乱剤、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)や励起エネルギー吸収剤、ラジカル補足剤などの一種またはこれらを適宜組み合わせて含有させたものでも良い。該紫外線遮断層を形成した後の透明基材フィルムを含めた全光線透過率は、印刷後の印刷物の視認性の観点から80%以上であることが、好ましい。
なお、紫外線の遮断率は、UV−Vissスペクトルより簡便に測定できる。
また、本発明においては、紫外線吸収剤は380nm以下の紫外光を吸収する物質であれば特に制限はないが、好ましくは以下の化合物が好ましく挙げられる。
用いられる紫外線吸収剤の例としては、具体的には、2(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2'−ヒドロキシ−5'−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類;2,4−ジ−t−ブチルフェニルー3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類、エチル−2−シアノ−3,5−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート類;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アセトキシエトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−o―オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−i−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシ−ジスルホベンゾフェノン−ジ−ナトリウム塩、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;フェニルサリチレート、p−t−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート等のサリチル酸エステル類、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシルなどの置換アクリロニトリル類などが挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
光安定化剤の例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2、4−ジイル][(2,2,6,6−テトラ−メチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルイミド]、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(ミックスト2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、N,N‘−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、[N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2−メチル−2−(2,2,6,6、−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]プロピオンアミド、TINUVIN770,123,144,622(以上、Ciba Geigy社製品名)、SANOL LS−770,765,292,2626(以上、三共(株)製品名)、アデカスタブ LA−52,57,62(以上、旭電化(株)製品名)等のヒンダードアミン類が使用可能である。これらの光安定化剤は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、前記紫外線吸収剤と併用することもできる。
紫外線散乱剤の例としては、主に金属酸化物粉末などの無機系材料を挙げることができ、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどを微粒子化した粉末、あるいは二酸化チタン微粒子を酸化鉄で複合化処理してなるハイブリッド無機粉末、酸化セリウム微粒子の表面を非晶質シリカで被覆してなるハイブリッド無機粉末などが挙げられる。紫外線散乱剤とは紫外線を散乱させることによって紫外線遮蔽効果をもたらす材料であるが、紫外線散乱効果は粒子径に大きく影響を受けるので、その平均粒径は5μm以下が好ましく、特に10nm〜2μmの範囲が好ましい。なお、この紫外線散乱剤が光触媒活性を有するものである場合には、粒子表面を水ガラスなどで薄く被覆して光触媒活性をなくしたものを用いることが好ましい。
本発明の装飾性フィルムは、外景を楽しむことを前提とし、様々な色彩効果を活用しているが、この効果を長期間にわたって活用するためには、メンテナンスフリーで初期の状態を高度に維持する必要がある。しかしながらこれらのフィルムは実際には以下の幾つかの要因によって、その初期の効果が失われる傾向にある。
(1)本発明品の構成部材の経時的な汚染
(2)本発明品の構成部材の経時的な黄変
(3)本発明品の構成部材の経時的な白濁
(4)本発明品の印刷物の経時的な退色
そこで、本発明では、これらの諸問題に対しても対策を施している。まず問題(1)の経時的な汚染に対して、その最表層に親水性防汚層を設けることで、簡単な水洗で高度に洗浄できる易洗性の機能を付与した。
本発明の装飾性フィルムは、防汚層の水接触角が10°以下であり、実表面積Sと見かけの表面積S0の比表面積Rf(Rf=S/S0)が1.1以下であるものとすることができる。
親水性防汚層としては、光触媒作用を有するものが好適であるが、例えばシリカ粒子を含有する親水性ハイブリッド材料、ゾルゲル法で作製したシリカなどの親水性無機膜、PVAなどの親水性樹脂などを用いることも可能で、光触媒活性の無い該親水性防汚層の場合は、活性遮断層はあえて必要なく、場合によってはその代わりに親水性防汚層を基材に接着する為の接着層が必要な場合もある。
親水性防汚層の水接触角は10°以下であり、実表面積Sと見かけの表面積S0の比表面積Rf(Rf=S/S0)が1.1以下であることが好ましい。
比表面積Rfが1.0である完全な平滑面においては水接触角が25°以下であれば、防汚効果が発現しはじめ、水接触角10°以下の十分な親水性表面であれば、充分な防汚効果が得られる。
また、比表面積Rfが1.1以下であれば、塵埃が付着し難く、かつ、降雨時等に洗われ易い。ところで、比表面積Rfが1.0以上である粗面においては、その水接触角が見かけ以上低く見えてしまうことが報告されている。これはウエンツェルの式で表記される。
cosθ=Rf×cosθ0 (但し、θ0は平滑面であった場合の水接触角)
このような粗面表面でも防汚効果が発揮され始めるのは、やはりcosθ0がcos25°=0.906以上であるときである。従って、Rf=1.1である粗面において防汚効果が発現し始めるのは、見かけのその水接触角θにおいて、cosθが1.1×cos25°=0.985以上のとき、すなわち見かけの水接触角θが10°とならなければならない。
よって、本発明では、防汚性親水表面とは、具体的には、実表面積Sと見かけの表面積S0の比表面積Rf(Rf=S/S0)が1.1以下の平滑性と水接触角≦10°の親水性を満たす表面のことをいう。
さらに、本発明の装飾性フィルムにおいて、防汚層を光触媒機能を有する微粒子及び/又はシリカ微粒子を含む組成物より形成した光触媒活性層とすることができる。
光触媒活性層としては、一般的に光触媒層として用いられているアナターゼ型の酸化チタンをバインダーで固めた層でもよいが、耐久性、耐候性を考慮して、次の組成物により構成することが望ましい。
すなわち、本発明の装飾性フィルムに好適な改良された光触媒活性層のコーティング組成物としては、光触媒機能を有する微粒子及び/又はシリカ微粒子に、さらに後記の活性遮断層で詳しく説明する、金属アルコキシドの加水分解縮合物(A)または非晶質酸化チタン形成用化合物(B)を含めることができる。
前記光触媒機能を有する微粒子としては、アナターゼ型結晶を主成分とする酸化チタン粒子を用いることができる。
前記アナターゼ型結晶を主成分とする酸化チタン微粒子(以下、アナターゼ結晶酸化チタン粒子と称すことがある。)は、光触媒粒子であり、少量のルチル型結晶が混在していてもよく、また、窒化チタンや低次酸化チタン等を一部含む可視光応答型の光触媒粒子も使用することができる。このアナターゼ結晶酸化チタン粒子の平均粒子径は、1〜500nmの範囲が好ましく、1〜100nmの範囲がより好ましく、1〜50nmの範囲が優れた光触媒機能を有するために最も好ましい。上記平均粒子径は、レーザー光を利用した散乱法によって測定することができる。
また、当該酸化チタン粒子の内部及び/又はその表面に、第二成分として、V、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Pt及びAuの中から選ばれる少なくとも1種の金属及び/又は金属化合物を含有させると、一層高い光触媒機能を有するため好ましい。前記の金属化合物としては、例えば、金属の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、硫酸塩、ハロゲン化物、硝酸塩、さらには金属イオンなどが挙げられる。
第二成分の含有量はその物質の種類に応じて適宜選定される。
このアナターゼ結晶酸化チタン粒子は、従来公知の方法によって製造することができるが、塗工液中に均質に分散させるために酸化チタンゾルの形態で用いるのが有利である。
該酸化チタンゾルを製造するには、例えば粉末状のアナターゼ結晶酸化チタンを酸やアルカリの存在下で解こうさせてもよいし、粉砕によって粒子径を制御してもよい。また、硫酸チタンや塩化チタンを熱分解あるいは中和分解して得られる含水酸化チタンを物理的、化学的な方法で結晶子径、粒子径の制御を行ってもよい。さらにゾル液中での分散安定性を付与するために、分散安定剤を使用することができる。
一方、コロイダルシリカは光触媒膜に、暗所保持時においても超親水性維持性能を発現させる作用を有している。
光触媒は、紫外線などの光の照射によって、その表面に存在する有機物質を分解する性質や、超親水化を発現するが、暗所では、一般にこのような光触媒機能が発現されない。
しかし、光触媒膜中にコロイダルシリカを含有させることにより、該光触媒膜は、暗所でも超親水性維持性能を発現する。
このコロイダルシリカは、高純度の二酸化ケイ素(SiO2)を水又はアルコール系
溶剤に分散させてコロイド状にした製品であって、平均粒子径は、通常1〜200nm、好ましくは5〜50nmの範囲である。シリコンアルコキシドの加水分解・縮合物では、反応が終結していないので、水で溶出されやすく、それを含む光触媒膜は耐水性に劣る。
一方、コロイダルシリカは、反応終結微粒子であるため、水で溶出されにくく、それを含む光触媒膜は、耐水性が良好なものとなる。
さらに、防汚層の表面は、降雨に曝され得る環境にあることから、防汚層被膜には、高い耐水性が求められる。耐水性の評価としては、具体的には、80℃の温水に24時間浸漬した場合において、光触媒微粒子及び/又はシリカ粒子と耐水性バインダーの脱落が10質量%以下であり、その表面の組成・形状・特性が大きく変化しないことが一応の目安となる。
防汚層が、光触媒微粒子及び/又はシリカ粒子と耐水性バインダーを含む塗工液を成膜して得た薄膜であって、その耐水性バインダーは、後に詳しく説明する活性遮断層に用いられる組成と同様に、金属アルコキシドの加水分解縮合物(A)または非晶質酸化チタン形成用化合物(B)、(C)成分であるチタン以外の金属化合物単体および/またはその反応液を含む液を含むものである。該耐水性バインダーに(E)所定量のアナターゼ結晶酸化チタンゾルと場合によりコロイダルシリカを加え、均質に分散させることにより、防汚層(光触媒活性層)用のコーティング組成物を調製することができる。
このようにして調製された光触媒機能を有するコーティング組成物を、後に説明する活性遮断層が形成された透明基材フィルム上に、公知の方法、例えばディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などにより塗布し、成膜したのち、自然乾燥または加熱乾燥することにより、所望の光触媒膜すなわち光触媒活性層が得られる。加熱乾燥する場合は、200℃以下の温度を採用することができる。
このように、成膜したのち、低温での保持処理により、形成された光触媒膜は、十分な光触媒機能を発現し得るので、本発明の装飾性フィルム用印刷フィルムとして、好適に用いることができる。
本発明の装飾性フィルムは、フィルムが、暴露面から順に、防汚層としての光触媒活性層と活性遮断層、及び紫外線遮蔽層を有し、該活性遮断層が有機高分子化合物と金属酸化物系化合物とが化学的に結合した複合体を含み、かつ金属成分の含有率が該層の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有するものであって、実質上、光触媒活性層との界面では金属酸化物系化合物成分の濃度が高く、かつ有機基材に当接している面では有機高分子化合物成分の濃度が高い有機−無機複合傾斜層からなり、該紫外線遮蔽層が380nm以下の紫外線を50%以上遮断する層であって、さらにフィルムにも紫外吸収剤を練り込んだものとすることができる。
光触媒活性層の光触媒作用により、表面に付着した油汚れ等を分解したり、親水性の機能を付与する反面、下層にある有機フィルム自体の劣化や、印刷層等の劣化をも惹起するので、光触媒活性層の下側には、活性遮断層を設けることが好ましい。
光触媒層を防汚層として使用する際に、透明基材フィルムの一方の面側に設ける活性遮断層は、光触媒作用による透明基材フィルムの劣化を防止するため及び印刷層への影響を阻止するために設けるもので、透明基材フィルムに対する密着性を向上させる機能も有しており、通常、光触媒フィルムの中間層として用いられるものを使用できる。
一般に中間層としては、シリコーン樹脂やアクリル変性シリコーン樹脂などからなる厚さ数μm程度のものが用いられており、本発明においてこれらのものも使用できる。
本発明において、前記従来の中間層を活性遮断層としてもよいが、その際、要すれば、透明基材フィルム表面には、前述の表面処理や変性材料によるラミネートを施してもよい。
変性材料としては、ポリエステルや、エポキシ基、ウレタン基を含むものが好適に使用される。
そして、活性遮断層は、有機高分子化合物と金属酸化物系化合物とが化学的に結合した複合体を含み、かつ金属成分の含有率が該層の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有するものであって、実質上、光触媒活性層との界面では金属酸化物系化合物成分の濃度が高く、かつ有機基材に当接している面では有機高分子化合物成分の濃度が高い有機−無機複合傾斜層であることが、装飾性フィルムの耐久性等の観点から望ましい。
かかる有機−無機複合傾斜層を形成できる活性遮断層としては、一般式(I)で表される金属アルコキシドの加水分解縮合物(A)を少なくとも1種類以上含むコーティング組成物から形成されているものを挙げることができる。
MR1 x(OR2m-x ‥(I)
一般式(I)中、MはSi,Ti,Al,Zrの金属、R1はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基又はアシル基、R2は炭素数1〜6のアルキル基、mは金属Mの価数、xは0〜2の整数を示す。
このような、有機−無機複合傾斜層による前記活性遮断層を、金属アルコキシドの加水分解縮合物(A)及び無機塩類、有機塩類、無機酸化物及びアルコキシド類の中から選ばれる少なくとも1種のチタン以外の金属の化合物(B)とを含むコーティング組成物から形成することが、耐久性、耐クラック性、耐候性の点でより望ましい。
前記金属アルコキシドの加水分解縮合物(A)としては、非晶質酸化チタン形成用化合物、すなわち(A)成分としては、例えば一般式(II)
TiR1 x(OR24-x …(II)
(式中、式中、R1、R2、xは前記一般式(I)に同じ。)
で表されるチタンアルコキシドをそのまま含むものであってもよいし、その加水分解・縮合物を含むものであってもよく、あるいはその両方を含むものであってもよいが、加水分解・縮合物がより好ましい。
前記一般式(II)において、R1は非加水分解性基であって、そのうちのアルキル基は
、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、また、アルケニル基及びアルキニル基は、
炭素数2〜20のものが好ましい。アリール基は、炭素数6〜20、アラルキル基は、炭
素数7〜20のものが好ましい。さらに、アシル基としては、炭素数2〜20の脂肪族ア
シル基や、炭素数7〜20の芳香族アシル基(アロイル基)を好ましく挙げることができ
る。
一方、OR2は加水分解性基であって、R2で示される炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。xは0〜2の整数であり、R1が複数ある場合、各R1はたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよく、またOR2が複数ある場合、各OR2はたがいに同一でもよいし、異なっていてもよい。
この一般式(II)で表されるチタンアルコキシドの中ではチタンテトラアルコキシドが
好ましく、該チタンテトラアルコキシドの例としては、チタンテトラメトキシド、チタン
テトラエトキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、
チタンテトラ−n−ブトキシド、チタンテトライソブトキシド、チタンテトラ−sec−
ブトキシド及びチタンテトラ−tert−ブトキシドなどが好ましく挙げられる。これ
らは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の活性遮断層を形成する組成物において、加水分解・縮合に用いる溶媒としては、アルコール類が好ましく、炭素数3以上のエーテル系酸素を有するアルコール類が、加水分解−縮合反応の制御及び縮合物の安定化の点からさらに好ましい。
この炭素数3以上のエーテル系酸素を有するアルコール類としては、チタンアルコキシドに対して相互作用を有する溶剤、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのセロソルブ系溶剤、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどを挙げることができる。
これらの中で、特にセロソルブ系溶剤が好ましい。これらの溶剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
チタンテトラアルコキシドの加水分解・縮合物を用いる場合、チタンテトラアルコキシ
ドの加水分解−縮合反応は、チタンテトラアルコキシドに対し、好ましくは4〜20倍モ
ル、より好ましくは5〜12倍モルの前記アルコール類と、好ましくは0.5以上4倍モ
ル未満、より好ましくは1〜3.0倍モルの水を用い、塩酸、硫酸、硝酸などの酸性触媒
の存在下、通常0〜70℃、好ましくは20〜50℃の範囲の温度において行われる。酸
性触媒は、チタンテトラアルコキシドに対し、通常0.1〜1.0倍モル、好ましくは0
.2〜0.7倍モルの範囲で用いられる。
一方、(B)成分であるチタン以外の金属化合物は、非晶質酸化チタンの結晶化阻害化合物として機能するものであり、効果の点から、無機塩類、有機塩類及びアルコキシド類の中から選ばれる化合物、具体的には、硝酸、酢酸、硫酸、塩化アルミニウムならびにジルコニウムの各塩類、ならびに、これら無機塩類の水和物、アルミニウムトリアセチルアセトナートなどのアルミニウムキレート類、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシランなどの金属アルコキシド類、ならびにこれら化合物の加水分解物、あるいは、その縮合物を挙げることができる。これらの中で、チタン以外の金属がアルミニウム及び/又はジルコニウムであるものが好ましく、特に硝酸アルミニウムならびにその水和物がより好ましい。前記金属化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この(B)成分であるチタン以外の金属化合物は、前記(A)成分を含む液にそのまま添加すればよく、その添加順序については特に制限はない。
本発明の活性遮断層の形成においては、(B)成分であるチタン以外の金属化合物の使用量は、チタン原子に対して、通常5〜50モル%の範囲で選定される。使用量が5モル%以上であれば、良好な結晶化阻害効果が得られ、また50モル%以下では非晶質酸化チタンが本来有する物理的性質が良好に発揮される。チタン以外の金属化合物として硝酸アルミニウムを用いる場合の特に好ましい使用量は10〜30モル%の範囲である。
このようにして得られた本発明の活性遮断層形成用コーティング組成物は、前述した性状を有するものであり、その固形分濃度は、通常0.1〜30質量%程度、好ましくは0.5〜20質量%程度である。このコーティング組成物を、所望の基材上に、乾燥厚さが0.01〜2μm程度、好ましくは0.02〜0.7μmになるように塗布し、例えば常温乾燥することにより、あるいは所望により、さらに加熱処理することにより、無色で透明性に優れ、50nm〜5μm程度の長さの微小なクラックなどが新たに発生しにくい非晶質酸化チタン複合塗膜を形成することができる。
本発明の活性遮断層形成用コーティング組成物は、さらに、(C)非晶質酸化チタンと化学結合し得る有機成分を含ませることにより、透明基材フィルム上に塗膜を設けた場合に、非晶質酸化チタン成分の含有率が、該塗膜の表面から基材に向かって傾斜する、自己傾斜性を有する組成物からなる塗膜とすることができる。
この(C)非晶質酸化チタンと化学結合し得る有機成分としては、例えば(a)金属を含まないエチレン性不飽和単量体と、(b)カップリング性ケイ素含有基を有するエチレン性不飽和単量体とを共重合させることにより得られる有機高分子化合物を好ましく挙げることができる。
上記(a)金属を含まないエチレン性不飽和単量体としては、例えば一般式(III)
Figure 2008106112
(式中、R3は水素原子又はメチル基、Xは一価の有機基である。)
で表されるエチレン性不飽和単量体、好ましくは一般式(III−a)
Figure 2008106112
(式中、R3は水素原子又はメチル基、R4は一価の炭化水素基又はエポキシ基、ハロゲン原子若しくはエーテル結合を有する炭化水素基を示す。)
で表されるエチレン性不飽和単量体を一種又は二種以上混合して使用してもよい。
上記一般式(III−a)で表されるエチレン性不飽和単量体において、R4で示される炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基を好ましく挙げることができる。炭素数1〜10のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、及び各種のブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などが挙げられる。炭素数3〜10のシクロアルキル基の例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロオクチル基などが、炭素数6〜10のアリール基の例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、メチルナフチル基などが、炭素数7〜10のアラルキル基の例としては、ベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
エポキシ基、ハロゲン原子若しくはエーテル結合を有する炭化水素基としては、これらの基、原子若しくは結合を有する炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基を好ましく挙げることができる。上記置換基のハロゲン原子としては、塩素原子等が挙げられる。
この一般式(III−a)で表されるエチレン性不飽和単量体の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3−グリシドキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、2−ブロモエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記一般式(III)で表されるエチレン性不飽和単量体としては、これら以外にもスチレン、α−メチルスチレン、α−アセトキシスチレン、m−、o−又はp−ブロモスチレン、m−、o−又はp−クロロスチレン、m−、o−又はp−ビニルフェノール、1−又は2−ビニルナフタレンなど、さらにはエチレン性不飽和基を有する重合性高分子用安定剤、例えばエチレン性不飽和基を有する、酸化防止剤、紫外線吸収剤及び光安定剤なども用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、前記(b)カップリング性ケイ素含有基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば一般式(IV)
Figure 2008106112
(式中、R5は水素原子又はメチル基、Aは炭素数1〜4のアルキレン基、R6はメチル基又はエチル基を示す。)
で表される化合物を好ましく挙げることができる。前記一般式(IV)において、3つの
6はたがいに同一でも異なっていてもよい。
この一般式(IV)で表されるエチレン性不飽和単量体の例としては、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
この(b)成分のカップリング性ケイ素含有基を有するエチレン性不飽和単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記(a)成分の金属を含まないエチレン性不飽和単量体と、(b)成分のカップリング性ケイ素含有基を有するエチレン性不飽和単量体とを、ラジカル重合開始剤の存在下、ラジカル重合させることにより、(C)成分の成分として用いられるカップリング性ケイ素含有基を有する有機高分子化合物からなる自己傾斜性を有する化合物が得られる。
本発明の活性遮断層においては、このようにして得られた(C)成分であるカップリング性ケイ素含有基を有する有機高分子化合物をアルコール、ケトン、エーテルなどの適当な溶剤中に溶解させた溶液と、前述の(A)成分であるチタンアルコキシドの加水分解・縮合物と、(B)成分のチタン以外の金属化合物単体及び/又はそれを含む反応液を必要により希釈した溶液とを混合することにより、前記有機高分子化合物中のカップリング性ケイ素含有基が加水分解し、(A)成分の反応液におけるチタンアルコキシドの加水分解縮合物と選択的に反応し、有機−無機複合傾斜膜形成用のコーティング組成物、すなわち本発明における印刷用基材の活性遮断層用組成物が得られる。
なお、この際、用いるチタンアルコキシドの加水分解縮合物を含む反応液の希釈溶媒としては、前述した理由により炭素数3以上のエーテル系酸素を有するアルコール類を含む溶媒を使用することが望ましい。
このようなコーティング組成物を用いることにより、透明基材フィルムに塗布、乾燥した際に、実質上透明基材フィルム側が有機高分子化合物成分で、その反対側が非晶質酸化チタン成分であって、両者の含有割合が膜厚方向に連続的に変化する良好な成分傾斜構造を有する有機−無機複合傾斜膜を、安定して形成することができる。そして、この有機−無機複合傾斜膜を活性遮断層とすることができる。
この複合傾斜性の活性遮断層は、無機成分として非晶質酸化チタン成分を含むことにより、促進耐候試験下に曝露されても、無機成分の結晶化が抑えられるため、機械的特性の低下、クラックの発生、透明性の低下などが抑制される。
なお、非晶質酸化チタン成分を含むコーティング組成物の、酸化チタンの非晶質の程度は、本出願人の先願である、特開2005−336334号公報記載の方法で測定することができる。
透明基材フィルム上に、活性遮断層としての複合傾斜膜を形成させるには、このようにして得られた本発明のコーティング組成物を、乾燥塗膜の厚さが、通常5μm以下、好ましくは0.01〜1.0μm、より好ましくは0.02〜0.7μmの範囲になるように、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などの公知の手段により塗布し、溶媒を揮散させて塗膜を形成させる。
また、活性遮断層の傾斜構造の確認は、例えば塗膜表面にスパッタリングを施して膜を削っていき、経時的に膜表面の炭素原子とチタン原子の含有率を、X線光電子分光法などにより測定することによって、行うことができる。
この活性遮断層としての複合傾斜膜における金属成分の含有量は、特に制限はないが、金属酸化物換算で、通常5〜98質量%、好ましくは20〜98質量%、特に好ましくは50〜95質量%の範囲である。有機高分子化合物の重合度や分子量としては、製膜化し得るものであればよく特に制限されず、高分子化合物の種類や所望の傾斜膜材料の物性などに応じて適宜選定すればよい。
本発明の装飾性フィルムは、紫外線遮蔽層が380nm以下の紫外線を50%以上遮断する層であって、さらにフィルムにも紫外線吸収剤を練り込んだものとすることができる。
紫外線遮蔽層は、前述の通りであり、フィルム基材自体の耐候性高めるためには、フィルム基材に対して有効な、前述の紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤を、樹脂原料段階又はフィルムの製造段階で適宜配合して混練すればよい。
本発明のガラス窓外貼り用装飾フィルムに用いられる印刷用フィルムとしては、装飾性フィルムとして印刷層の支持体をなし、ガラス窓貼り用装飾フィルムとして防犯、耐破損の機能を有する程度の強度を有するとともに、屋外や太陽光暴露に耐え得る劣化の少ない材料であって、すくなくとも、印刷により着色された色調を通して外景等が視認できる程度の透明性を有する有機材料(透明基材フィルム)から選ばれる。
本発明のガラス窓貼り用装飾フィルムの印刷用フィルムに用いられる透明基材フィルムは、透明性を有し、印刷用インクとの化学吸着力、親和力、相溶性に優れるプラスチック等が好ましく用いられる。
上記透明基材フィルムとしては、印刷時に受ける熱への耐性や、機械的強度、ガラス窓に直接貼り合わせて使用されるための耐候性処方等から、ポリエチレンテレフタレートが最も好ましい。
本発明においては、透明基材フィルムに耐候性向上の対策を施したものを用いることが望ましい。例えば、透明基材フィルム中に、ベンゾフェノール系、ベンゾトリアゾール系、シュウ酸アニリド系、シアノアクリレート系、トリアジン系等の有機系紫外線吸収剤や、酸化亜鉛に代表される紫外線散乱剤、ヒンダードアミン系光安定剤、励起エネルギー吸収剤、ラジカル捕捉剤等の一種又はこれらを適宜組合せて含有させることを例示されるが、これらに限定されるものではない。耐候性向上剤は、透明基材フィルム中全体に含有させる代わりに、透明基材フィルム上に耐候性向上層として一層を設けてもよく、この場合は、使用する耐候性向上剤の使用量を削減でき、コスト低減を図ることができる。すなわち、透明基材フィルムの一方の面の表層に耐候性向上剤を含有させて紫外線遮断層を設け、紫外線による劣化や表面のひび割れ、脆性等による破壊を防止することができる。
本発明の装飾性フィルムは、実用性の点から、初期並びにJIS K7350によるカーボンアーク式サンシャインウエザーメーターによる加速耐候試験3000時間後の状態において、耐候、耐変色性の観点から、フィルム自体の全光線透過率が85%以上、曇り度(Hz)が5%以下、黄色み度(YI)が7以下のものとすることが実用上好ましい。
本発明の装飾性フィルムは、フィルムの厚みが50μm〜400μmのポリエチレンテレフタレートフィルムであり、印刷による着色層側に施される粘着剤層の接着力が10N/25mm以上であって、ガラスの飛散防止機能を有するものとすることができる。
日本はたびたび震災に遭遇する地域であるため、居住空間には震災に対する安全性を確保する必要があり、またその社会需要も増加する傾向にある。リビング環境に於いて最も大きな家具とは窓とその周辺であり、これらに防災加工を施すとことは極めて重要である。
窓ガラスの耐震設計とは、第一がガラスの破壊防止であると考えられるが、ガラス自体の基本物性を考慮すると、この機能を実現することは極めて難しい。この様な背景から、ガラスの飛散防止性能を確保することが最も好ましい耐震設計であると考えられる。ガラスの飛散防止性能は、一般的にフィルムの強度とフィルムとガラスの接着力で決まり、概ね、以下の条件を満たせばよい。
PETの破断強度 > 200N/20mm
フィルムの接着強度 > 10N/25mm ・・・・(1)
また、本発明の装飾性フィルムは、フィルムの厚みが188μm〜400μmのポリエチレンテレフタレートフィルムであり、印刷による着色層側に施される粘着剤層の接着力が10N/25mm以上であって、ガラスの防犯機能を有するものとすることができる。
昨今の空き巣被害は、窓を侵入経路にした事例が過半数を占めている。しかも当該犯罪の凶暴化も伝えられるようになって久しい。家族の生命と財産との安全を守るためには、窓の防犯性能を向上させることが必須となりつつある。しかも、リビングの窓が大きくなるにつれて、当該犯罪に対するリスクは更に悪化しており、窓に対する防犯機能は、今後益々必要になると考えられる。防犯機能に対する考え方は警視庁を中心に様々な提案が行われているが、窓の防犯に関しては、防犯フィルムを施工することが最も好ましい。
特にその防犯フィルムにおいては、機能として、(i)防犯施工が施されていることが一目瞭然であること(予防の第一効果)、(ii)窓の破壊と浸入に5分以上の時間がかかること(予防の第二効果)の二つの効果を有することが好ましい。窓に複雑なデザインを提供する本発明品は、それ自体で既に第一の予防効果を得ることが出来る。加えて、窓フィルムの積層構造を最適化することで、第二の予防効果も獲得できる。防犯フィルムの防犯性能もまた、一般的にフィルムの強度とフィルムとガラスの接着力で決まり、概ね、以下の条件を満たせばよい。
PETの破断強度 > 750N/20mm
フィルムの接着強度 > 10N/25mm ・・・・(2)
この様な背景から、防災性・防犯性の両方を兼備するためには、(2)の条件を満たせばよい。
そのためには、本発明の透明基材フィルム、並びに高耐候再剥離性強粘着層は、以下の条件を満たすことが好ましい。
A)透明基材フィルムの厚みを188〜400ミクロンとする。
B)高耐候再剥離性強粘着層の接着力を10N/25mm以上とする。
但し、これらの強度は、単に初期的に満たせば良いわけではなく、通常、5年以上の長期に渡って維持されなければならない。しかしながら一般的に使用されるアクリルフィルムやPETフィルムなどのプラスチックフィルムや、各種接着剤にはそのような高い耐候性を有することは少なく、多くの場合、半年から1年で貼り替えをしなければならないことが多い。これらの耐候劣化は、プラスチック基材や粘着材が紫外線、水、オゾン(酸素)に暴露されていることに起因する。この様な背景から本発明品では、これらの劣化因子のうち紫外線を遮断する機能を、その積層構造内に配したことを特徴としている(高耐候層)。
また、透明基材フィルムの大きさは、ガラス窓の大きさに対応し、例えば、一般住居用等では、1.8m×2.2m、0.9m×1.8m、0.9m×1.2m、0.9m×0.9m、1.2m×1.8m等である。
これらの透明基材フィルムは、活性遮断層あるいは印刷インクとの密着性をさらに向上させるために、所望により、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は基材の種類に応じて適宜選ばれる。
透明基材フィルムは、外景が視認できる程度の透明性が必要であるが、必ずしも無色透明である必要はなく、着色された透明であってもよい。
透明性としては、概ね全光線透過率が70%以上のものが使用できる。
ガラス窓外貼り用装飾性フィルムとしてより高い耐久性、耐候性を望む場合には、活性遮断層は、有機高分子化合物と金属酸化物系化合物とが化学的に結合した複合体を含み、かつ金属成分の含有率が該膜の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有するものであって、実質上、光触媒活性層との界面では金属酸化物系化合物成分の濃度が高く、かつ透明基材フィルムに当接している面では有機高分子化合物成分の濃度が高い有機−無機複合傾斜層とすることがより望ましい。
本発明の装飾性フィルムの印刷面とする面には、インク受容層を設けることができる。
単に表面を改質しただけのインク受容層は、印刷インクとの密着性を向上させるためのもので、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことにより設けることができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は透明基材フィルムの種類、印刷インクの種類に応じて適宜選ばれる。具体的なインク受容層は、例えば、オフセット印刷やシルクスクリーン印刷では、印刷インキ易接着層、インクジェット方式ではインク受容層、電子写真記録方式ではトナー受容層等である。
本発明のガラス窓外貼り用装飾性フィルムにおいて、ガラス窓に貼り付け使用する前においては、前記光触媒活性層の表面に保護剥離フィルムを積層することができる。
光触媒活性層の表面に保護剥離フィルムを設けるのは、摩耗、擦過に弱い光触媒活性層を、光触媒活性作用を発現させて使用を開始するまで保護する目的と、印刷工程において、印刷機内で複数枚まとまって搬送される重ね送り現象を起こることなく、単葉で印刷フィルムを搬送可能とする目的を有する。
このため、光触媒活性層の剥離シート表面には、凹凸処理や、各種処理を施すことが望ましい。
上記粘着剤としては、光触媒活性層との粘着性、影響度、粘着力等を勘案して、選択される。使用できる粘着剤としては、例えば従来から一般的に使用されているアクリル系、ウレタン系、シリコーンゴム系、ゴム系などの粘着剤を適宜使用でき、特に限定されるものでないが、粘着力と再剥離性を設計しやすいアクリル系粘着剤がより好ましい。
上記の印刷用フィルムとして準備された透明基材フィルムに着色を施して本発明のガラス窓外貼り用装飾性フィルムを得る。
本発明の装飾性フィルム得るための印刷用フィルムへの印刷方法は、特に限定されないが、被印刷体に適応した印刷方法を採用できる。例えば、平版方式のオフセット印刷、凹版式のグラビア印刷、凸版印刷、シルクスクリーン印刷などの版式や、インクジェットプリンター、静電プリンター、昇華性インク転写、レーザー印刷等任意の印刷手段により行うことができる。
印刷は、窓ガラスの外側に本発明の印刷物を貼付し、主として室内から視覚する目的のなので、反転させることなく通常の印刷を行えばよい。
また、本発明の装飾性フィルムにおいて、印刷による着色層側に施される粘着剤層を、強粘着再剥離型とすることがより好ましい。
装飾性フィルムを永久的に使用することは叶わず、必ず貼り替えメンテナンスを行う必要に迫られる。フィルムを剥がした際に、再剥離性強粘着層が窓側に残ってしまうと、外観が損なわれるのみでなく、新たに施工した窓フィルムに所望の接着力が得られない可能性もある。窓に残った糊は、洗浄に多大の手間がかかることから、再剥離性強粘着層には、10年使用後に剥がした場合でも、糊が残らない再剥離性が求められる。再剥離性強粘着層の再剥離性は概ね以下の条件を満たせばよい。
幅25mm、長さ250mmの粘着剤付きプラスチックフィルムをソーダライムガラスに貼り付けたのち、JIS K7350によるカーボンアーク式サンシャインウエザーメーターによる加速耐候試験を3000時間行い、その後、JIS Z0237に準拠の180℃剥離試験(剥離速度:300mm/min)を実施し、25mm×100mmの範囲における糊残りの面積が10%以下であること。
なお、この場合のプラスチックフィルムは、例えば、380nm以下の紫外線を50%以上遮断する紫外線遮断層、紫外吸収剤を練り込んだ高耐候PETフィルムからなる構造をなし、長時間の加速耐候試験後におけるフィルムが脆性破壊を起こしにくいものを使用するのが好ましい。
この様な光触媒防汚層をプラスチックフィルムに施工する場合、光触媒反応に起因する分解とそれに伴う経時的な白濁を生じることがない無機接着剤を利用することになるが、これに加えて120℃未満の低温処理で施工する必要に迫られる。一方、この防汚層は水洗によって機能を発揮することになるため、高い耐水性も求められる。
なお、光触媒膜を防汚膜として利用する場合は、光触媒層を直接プラスチック基材に塗布させると、直ちに経時的な白濁を生じる。本発明品では、JIS K7350によるカーボンアーク式サンシャインウエザーメーターによる加速耐候試験3000時間でのヘイズ値が5%未満であることが必須であり、これを実現するために、光触媒防汚層とPET基布の間には成分傾斜性中間層を介在させることが好ましい。
また経時的な黄変に関しては、これまでに言及した条件を満たすUV吸収層、PET基材、再剥離性強粘着層の積層構造に於いて、JIS K7350によるカーボンアーク式サンシャインウェザーメーター(SWM)(スガ試験機製、S300)による加速耐候試験3000時間でYI値が7以下であることを特徴とする。
加えて、本発明品の印刷物にも高い退色防止性能が求められる。本発明品の高いUV遮断機能によって、印刷面の耐候性はこれだけでも既に大幅に向上しているが、更に高い耐退色性を確保するために、耐候性の優れた印刷塗工を行うことが好ましい。耐退色性で最も好ましいのがUV硬化印刷法による印刷であるが、高精細と耐退色性を求める場合は、ソルベント印刷法が好ましく挙げられる。簡便に印刷するためにはレーザー印刷も好ましい印刷方法としてあげられる。また昨今で技術進歩の著しい、水溶性顔料インクによるインクジェット印刷法も好ましい印刷法の一つに挙げられる。これらの印刷方法のうち、ソルベント印刷法やインクジェット印刷法を採用する場合は、印刷面にあらかじめ専用のインク受容層を設けることが好ましい。
以下、本発明を実施例及び比較例により説明するが、本発明は、以下の例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例に示す全光線透過率、ヘイズは、成分傾斜性、飛散防止性能、防犯性能は、以下に示す要領に従って求めた。
(塗膜の全光線透過率)
JIS K7361−1に準拠し、下記の装置、測定サンプルを用いて、全光線透過率とヘイズを測定した。
装置名; 日本電色(株)製 Haze Mater NDH2000
(成分傾斜性:X線光電子分光測定法による測定)
XPS装置「PHI−5600」[アルバックファイ(株)製]を用い、アルゴンスパッタリング(4kV)を3分間隔で施して膜を削り、膜表面の炭素原子と各金属原子の含有率を測定し、傾斜性を調べた。
〔黄色み度=色相(YI)〕
装置名;(株)島津製作所製、紫外可視分光光度計「UV-2100」
積分球反射装置;「ISR-210」を装着
測定条件;測定値:反射率、測定波長範囲:380〜780nm、スリット幅:5nm、試料面への入射角:8度、ベースライン:空気
測定方法;反射試料側に位置しているBaSO4標準白板の前面に防汚層面が入射側になるように測定試料を設置して測定。
(飛散防止性能)
JIS A5759に従って評価した。
(防犯性能)
装飾性フィルムを貼った厚さ5mmのソーダライムガラス、1m×1mの試験片を立てて固定し、バールで繰り返し叩きつけて、試験片に腕が通る大きさ(約100mmφ)に貫通するまでに必要な時間を測定した。貫通までに要した時間が5分以上であった場合は、防犯性ありと判断した。
実施例1
(1)高耐候高耐退色性PETフィルムの作成
紫外線吸収剤を練り込んだポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基材(帝人デュポンフィルム製、HB−3 厚み50μm、幅1600mm)2aの上面にHALSがハイブリッドされた紫外線吸収性コーティング剤(日本触媒(株)製、ユーダブルシリーズUV−G301)100重量部とイソシアネート系硬化剤(住友バイエルウレタン(株)製、デスモジュールN3200)を12重量部の割合で混合したコーティング液を塗布した後、熱架橋させた紫外線遮蔽膜2bを5μm厚みで設けた全厚み55μmのPET製透明基材フィルム2を作製した。
(2)活性遮断層の成膜
1Lセパラブルフラスコに窒素雰囲気下でメチルイソブチルケトン424.0g、メタクリル酸メチル200.0g、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン23.5gを添加し、60℃まで昇温した。この混合溶液にアゾビスイソブチロニトリル1.9gを溶かしたメチルイソブチルケトン溶液を滴下し重合反応を開始し、30時間攪拌し有機成分溶液(b)を得た。
チタンテトライソプロポキシド35.55gをエチルセルソルブ70.02gに溶解した溶液に、60質量%硝酸5.94g、水2.14gとエチルセロソルブ27.39gの混合溶液を攪拌しながらゆっくりと滴下し、その後30℃で4時間攪拌し混合溶液(c)を得た。
次いで、上記混合溶液(c)とエチルセルソルブおよび異種金属化合物として硝酸アルミニウムを用いて、硝酸アルミニウムの添加量がTi原子に対して15モル%、溶液全体の固形分濃度が5質量%になるように調製し、複合金属化合物の溶液(d)を得た。
次いで、上記溶液(b)1.46g、メチルイソブチルケトン47.15g、エチルセルソルブ19.01g、溶液(d)29.60gおよびコロイダルシリカ分散液2.78gを混合し、15分間攪拌した。その後5〜10℃で一晩保管し、有機―無機成分傾斜溶液(f)を得た。
次に、この有機―無機成分傾斜溶液(f)を、図1に示す透明基材フィルム2としの高耐候高耐退色性PET製フィルム基材にバーコートにより膜厚が100nmになるように成膜して、活性遮断層3を形成した。
前記のXPS測定法により、この活性遮断層3の成分傾斜性を調べたところ、有機成分と無機成分の成分傾斜が確認された。XPS測定結果を図2に示す。
(3)光触媒層の成膜ならびに粘着処理による印刷用フィルムの作製、印刷
エチルセルソルブ40.63g、1−プロパノール44.50gの混合溶媒に、60質量%硝酸0.34g、水6.84g、光触媒分散液(チタン工業社製「PC−201、固形分濃度20.7重量%」)0.483gおよびコロイダルシリカ分散液(日産化学社製「スノーテックス IPA−ST、固形分濃度30重量%」)2.167gを添加し、さらに上記溶液(c)5.00gを加え、全体の固形分濃度が1質量%になるように調製し、光触媒液(g)を作製した。
この光触媒溶液を、上記活性遮断層3を備えたPETフィルムにバーコートにて膜厚が40nmになるように成膜して、光触媒層4を形成した。さらに、この光触媒層の上に厚さ30μmのPET製剥離フィルム5をコールドラミネートし、防汚性PETフィルムの印刷用フィルムとした。
(4)印刷及び評価
前記(3)で得られた縦2.2m×横1.8mの大きさの防汚性印刷用フィルム1の裏面にUV印刷法にて、上端から中央に向けて0.7mの位置まで、その仕上がりが三原色表示で(R=169,G=255,B=169)〜(R=255,G=255,B=255)に濃度および色調のグラデーションを有する緑色系の背景イメージを、また下端から中央に向けて1.5mの位置まで、その仕上がりが同表示で(R=100,G=100,B=255)〜(R=255,G=255,B=255)に濃度および色調のグラデーションを有する青色系の背景イメージに着色印刷(印刷層7)した。この印刷に際して、前記の上半部の印刷時に右上端近傍に大、中、小の透かし状の星のイラストを配置し、左下側には、犬のシルエットのイラスト及び文字を印刷し、光触媒活性層4を有する印刷物を得た。この印刷物に、剥離シート付き透明強粘着再剥離型粘着剤シート(東洋包材(株)社・試作品、剥離力=10.7N/25mm)10を貼着し装飾性フィルム20を得た。印刷層7側の粘着剤剥離シート8を剥がし、これを、集合住居(マンション)のベランダ側(日当たり良好な南向き)のガラス窓に貼り合わせた後、表面の光触媒活性層の保護シート5を剥がして装飾性フィルムの機能を発現させた。
本実施例の装飾性フィルム20を貼着したことにより、ベランダに陳列された花壇の花卉類が明瞭に見える一方、窓上方に映える隣接のビルの輪郭が不明瞭になり、圧迫感が軽減した。また室内空間の癒し効果も得られ、生活の充足感も増した。
また、本実施例の装飾性フィルムの表面には、防汚層として光触媒活性層を有しているので、吹きかかった雨や簡単な散水で表面を美麗に保つて、メンテナンスフリーであった。
また3年間経過した段階でも色相の変化や退色は認められなかった。
なお、得られた装飾性フィルムは、飛散防止性能は認められたが、防犯性能は認められなかった。
比較例1
実施例1と同様に光触媒層の成膜ならびに粘着処理による印刷用PETフィルム基材を準備し、縦2.2m×横1.8mの大きさの防汚性印刷フィルム1の裏面にUV印刷法にて、上端から中央に向けて0.7mの位置まで、その仕上がりが三原色表示で(R=255,G=169,B=169)〜(R=255,G=255,B=255)に濃度および色調のグラデーションを有する赤色系の背景イメージを、また下端から中央に向けて1.5mの位置まで、その仕上がりが同表示で(R=240,G=0,B=120)〜(R=255,G=255,B=255)に濃度および色調のグラデーションを有する紫色系の背景イメージに着色印刷(印刷層7)した。この印刷に際して、前記の上半部の印刷時に右上端近傍に大、中、小の透かし状の星のイラストを配置し、左下側には、犬のシルエットのイラスト及び文字を印刷し、光触媒活性層4つきの印刷物を得た。この印刷物に、剥離シート付き透明強粘着再剥離型粘着剤シート(東洋包材(株)社・試作品)10を貼着し装飾性フィルム20を得た。印刷層7側の粘着剤剥離シート9を剥がし、これを、集合住居(マンション)のベランダ側のガラス窓に貼り合わせた後、表面の光触媒活性層の保護シート5を剥がして装飾性フィルムの機能を発現させた。
本実施例の装飾性フィルム20を貼着したことにより、室内空間が居心地も悪く、生活の不満感も増した。
一方、本実施例の装飾性フィルムの表面には、防汚層として光触媒活性層を有しているので、吹きかかった雨や簡単な散水で表面を美麗に保つて、メンテナンスフリーであった。
比較例2
縦2.2m×横1.8mの大きさの市販PETフィルム(東レ(株)製、ルミラーT−60 厚み50μm)にUV印刷法にて、実施例1と同じ印刷を施し、剥離シート付き透明強粘着再剥離型粘着剤シート(東洋包材(株)社・試作品、剥離力=10.7N/25mm)を貼着し装飾性フィルムを得た。印刷層側の粘着剤剥離シートを剥がし、これを、集合住居(マンション)のベランダ側のガラス窓に貼り合わせた後、表面の光触媒活性層の保護シートを剥がして装飾性フィルムの機能を発現させた。
本実施例の装飾性フィルムを貼着したことにより、ベランダに陳列された花壇の花卉類が明瞭に見える一方、窓上方に映える隣接のビルの輪郭が不明瞭になり、圧迫感が軽減した。また室内空間の癒し効果も得られ、生活の充足感も増した。しかしながら、本比較例の装飾性フィルムの表面は、1ヶ月ほどで次第に汚染され、色彩効果がもたらす癒し効果が認められにくくなった。また3ヶ月経過した段階でPETフィルムが黄変し、色相が変化した結果として、所望の癒し効果が全く得られなくなった。更に2年経過した段階で、明確な退色も認められた。
実施例2
塗工するプラスチックフィルムに、紫外線吸収剤を練り込んだポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基材(帝人デュポンフィルム製、HB−3 厚み188μm、幅1600mm)を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法で装飾性フィルムを得た。得られたフィルムは、飛散防止性能、防犯性能ともに認められた。
比較例3
塗工するプラスチックフィルムに、紫外線吸収剤を練り込んだポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基材(帝人デュポンフィルム製、HB−3 厚み25μm、幅1600mm)を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法で装飾性フィルムを得た。得られたフィルムは、飛散防止性能、防犯性能ともに認められなかった。
比較例4
剥離シート付き透明強粘着再剥離型粘着剤シートに(東洋包材(株)社・試作品、剥離力=4.9
N/25mm)を貼着し装飾性フィルムを得たこと以外は、実施例2と同じ方法で装飾性フィルムを得た。得られたフィルムは、飛散防止性能、防犯性能ともに認められなかった。
本発明のガラス窓外貼り用装飾性フィルムは、透明基材フィルムの一方の面側に耐候性及び耐クラック性を改良した活性遮断層及び光触媒活性層を形成し、透明基材フィルムの他方の表面側を印刷面とし、これに着色やイラスト等の印刷を施す構成なので、光触媒層からの印刷層に対する悪影響のなく、印刷層の退色を抑制して、部屋の空間の演出、リラクゼーション、耐破損、防犯性、断熱等による環境負荷の軽減、メンテナンスフリーなどの効果を有しており、家庭用リビング、オフィス等のガラス窓外貼り用装飾性フィルムとして有効に利用できる。
本発明の実施例1による装飾性フィルムの模式断面図である。 実施例で得られた活性遮断層用塗膜のXPSの測定結果を示すグラフである。 本発明の実施例1による着色、イラストの配置状況の説明である。
符号の説明
1. 防汚性印刷フィルム
2. 透明基材フィルム
2a. フィルム基材
2b. 紫外線遮蔽層
3. 活性遮断層(傾斜膜層)
4. 光触媒活性層
5. PET製剥離フィルム
6. インク受容層
7. 印刷層
8. 剥離フィルム
9. 粘着剤層
10. 粘着剤付き剥離フィルム
20. ガラス窓外貼り用装飾性フィルム

Claims (13)

  1. 一方の表面側に親水性の防汚層を有し、他方の表面側が印刷面である印刷用フィルムに、印刷による着色を施した後、着色側に粘着剤層を積層したフィルムであって、該フィルムの少なくとも一部に、一色以上で着色を施してなることを特徴とするガラス窓外貼り用装飾性フィルム。
  2. 着色部に該着色部より濃色あるいは異色で描写されたイラストを配してなる請求項1に記載のガラス窓外貼り用装飾性フィルム。
  3. 着色がカラーセラピー効果に基づくものである請求項1又は2記載のガラス窓外貼り用装飾性フィルム。
  4. 着色部の面積の50%以上が青色系の色で着色されており、その平均全光線透過率が30〜90%であって、窓越しに見える外景の輪郭を視覚的に明瞭にしてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス窓外貼り用装飾性フィルム。
  5. 着色部の面積の50%以上が緑色系の色で着色されており、その平均全光線透過率が30〜90%であって、窓越しに見える外景の輪郭が視覚的に不明瞭にしてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス窓外貼り用装飾性フィルム。
  6. 防汚層からフィルムの他方の面までの積層構造における、380nm以下の紫外線の遮断率が99%以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス窓外貼り用装飾性フィルム。
  7. 防汚層の水接触角が10°以下であり、実表面積Sと見かけの表面積S0の比表面積Rf(Rf=S/S0)が1.1以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラス窓外貼り用装飾性フィルム。
  8. 防汚層が、光触媒機能を有する微粒子及び/又はシリカ微粒子を含む組成物より形成されてなる光触媒活性層である請求項7に記載のガラス窓外貼り用装飾性フィルム。
  9. フィルムが、暴露面から順に、防汚層としての光触媒活性層と活性遮断層、及び紫外線遮蔽層を有し、該活性遮断層が有機高分子化合物と金属酸化物系化合物とが化学的に結合した複合体を含み、かつ金属成分の含有率が該層の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有するものであって、実質上、光触媒活性層との界面では金属酸化物系化合物成分の濃度が高く、かつ有機基材に当接している面では有機高分子化合物成分の濃度が高い有機−無機複合傾斜層からなり、該紫外線遮蔽層が380nm以下の紫外線を50%以上遮断する層であって、さらにフィルムにも紫外吸収剤を練り込んでなる請求項1〜7のいずれか1項に記載のガラス窓外貼り用装飾性フィルム。
  10. フィルムが、初期並びにJIS K7350によるカーボンアーク式サンシャインウエザーメーターによる加速耐候試験3000時間後の状態において、全光線透過率が85%以上、曇り度(Hz)が5%以下、黄色み度(YI)が7以下である請求項1〜9のいずれか1項に記載のガラス窓外貼り用装飾性フィルム。
  11. フィルムが厚み25μm〜400μmのポリエチレンテレフタレートフィルムである請求項1〜10いずれか1項に記載のガラス窓外貼り用装飾性フィルム。
  12. フィルムが、厚みが50μm〜400μmのポリエチレンテレフタレートフィルムであり、印刷による着色層側に施される粘着剤層の接着力が10N/25mm以上であって、ガラスの飛散防止機能を有する請求項1〜11のいずれか1項に記載のガラス窓外貼り用装飾性フィルム。
  13. フィルムの厚みが188μm〜400μmのポリエチレンテレフタレートフィルムであり、印刷による着色層側に施される粘着剤層の接着力が10N/25mm以上であって、ガラスの防犯機能を有する請求項12に記載のガラス窓外貼り用装飾性フィルム。
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