JP2008105234A - 印刷媒体 - Google Patents

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Naoki Tanaka
尚樹 田中
Kazuyuki Takami
和之 高見
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Abstract

【課題】防汚性表面を有する印刷媒体の表面に、印刷時の擦りなどによる印刷媒体表面の傷付きや汚染を防止する保護フィルムを積層し、かつ、印刷後は裏面(既印刷面)に該保護フィルムを積層させることによって、被着体への貼り付けを可能とし、省材化、貼り付け作業の簡便化を図れる印刷媒体を提供すること。
【解決手段】基材シートの一方の面側に親水性の防汚層と、他方の面側に印刷面(インク受容層)を有し、かつ該防汚層の上面に保護フィルムを備える印刷媒体であって、該保護フィルムはフィルム基材と粘着剤層とを含み、該粘着剤層を、印刷後に防汚層から剥離して印刷面に貼着し、該フィルム基材を剥離して被着材に貼着可能とした印刷媒体である。
【選択図】図1

Description

本発明は、防汚性表面を有する印刷媒体の表面を保し、印刷後には、防汚性表面から剥離して裏面(印刷面)に貼着して被着体への貼り付けが可能な保護フィルムを備えた防汚性表面を有する印刷媒体に関する。
インクジェットプリンターやレーザープリンターは近年パーソナルユース、ビジネスユースを問わず、その普及は今も拡大中である。これらのプリンターの普及と相まって、印刷媒体もありとあらゆるものが販売されており、各種被着体に貼り付け可能なステッカーやラベル、シールタイプのものも多く見受けられる。
しかしながら、これらステッカーやラベル、シールタイプの印刷媒体の表面では、印字物の耐久性に劣る事が多く、例えば、屋外で使用する場合には降雨や日射光により短期間のうちにインクの退色や変色によって意匠性が損なわれたり、排気ガスや塵埃などによる汚れによって意匠性が損なわれるなどの問題があった。
印字面の耐水性や耐光性の向上に関しては、別に用意した透明ラミネートフィルムによって印刷面を保護するなどの対策が講じられることが多いが、別途、ラミネートフィルムが必要になり、部材が多くなることや費用的な点でマイナス面が大きい。
特許文献1には、インク受容層を設けた基材の反対面に貼り付け可能な透明保護フィルムを有し、印刷後に透明保護フィルムを基材から剥離し、印刷面上面に配設できる記録用貼着媒体を提案している。この発明によれば、その剥離機能を別部材と兼用にし、各媒体にそれぞれ付属していた剥離部材を省略可能であるとともに、印刷面の保護も達成可能である。しかし、特許文献1に記載されている透明保護フィルムは防汚性処理は施されていない為、やはり経時的な汚れの付着を回避できず、意匠性の保護は不十分である。
一方、先に本発明者らは、予め印刷体の一方の面側に親水性素材、一例として、活性遮断層を介して光触媒活性層を施し、他方の面側を印刷面とする防汚性印刷用シートを準備し、印刷面に粘着剤層を施して被着体に貼り付けることによって、印刷層を保護するためのラミネートフィルムが不要で、かつ、インクの耐水劣化や耐光劣化を防止することができ、さらに自己浄化作用による防汚性も兼ね備え、意匠性を長期に亘り維持しうる印刷体について特許出願した(特願2006−66613)。
この先願発明によれば、光触媒活性層、活性遮断層、紫外線遮蔽層等が施された基材シートの裏面に印刷されるため、印刷面を保護するためのラミネートフィルムが不要であり、かつ表面には光触媒による防汚性処理が施されているため、長期に渡り、意匠性を保護することが可能である。しかしながら、この場合、表面の防汚性処理層の硬度が十分でない場合は、搬送時や印刷時の表面の傷付き防止のため、予め保護フィルムが必要となる場合があり、また印刷物を被着体に貼り付けるための両面粘着シートが別途必要であるなど、省材化や費用面で改良する必要があった。
特開2004−345119号公報
本発明は、上記の背景によりなされたものであって、その目的は、防汚性表面を有する印刷媒体の表面に、印刷時の擦りなどによる印刷媒体表面の傷付きや汚染を防止する保護フィルムを積層し、かつ、印刷後は裏面(印刷面)に該保護フィルムを積層させることによって、被着体への貼り付けを可能とし、省材化、貼り付け作業の簡便化を図れる、保護フィルムを備えた防汚性表面を有する印刷媒体を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、基材シートの一方の面側に親水性の防汚層と、他方の面側に印刷面(インク受容層)を有し、かつ該防汚層の上面に保護フィルムを備える印刷媒体であって、該保護フィルムは、フィルム基材と粘着剤層とを含み、該粘着剤層を、印刷後に防汚層から剥離して印刷面に貼着し、該フィルム基材を剥離して被着材に貼着可能とした印刷媒体とすることによって上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、
(1)基材シートの一方の面側に親水性の防汚層と、他方の面側に印刷面(インク受容層)を有し、かつ該防汚層の上面に保護フィルムを備える印刷媒体であって、該保護フィルムはフィルム基材と粘着剤層とを含み、該粘着剤層を、印刷後に防汚層から剥離して印刷面に貼着し、該フィルム基材を剥離して被着材に貼着可能としたことを特徴とする印刷媒体、
(2)粘着剤層が、プラスチックフィルムからなる芯材を有し、該芯材の両面に粘着剤層を有するものである前記(1)記載の印刷媒体、
(3)少なくとも防汚層側の粘着力が、微ないし弱粘着力である前記(1)又は(2)記載の印刷媒体、
(4)粘着剤層が、芯材のないノンサポート型の粘着剤層である前記(1)記載の印刷媒体、
(5)粘着剤層の剥離力が、ソーダライムガラスに貼り付けた際に0.01〜4N/25mmである前記(1)〜(4)のいずれか1に記載の印刷媒体、
(6)フィルム基材の粘着剤層側の面が易剥離処理されたものである前記(1)〜(5)のいずれか1に記載の印刷媒体、
(7)基材シートの全光線透過率が70%以上である前記(1)〜(6)のいずれか1に記載の印刷媒体、
(8)防汚層の水接触角が10°以下であり、実表面積Sと見かけの表面積S0の比表面積Rf(Rf=S/S0)が1.1以下である前記(1)〜(7)のいずれか1に記載の印刷媒体、
(9)防汚層が、光触媒機能を有する微粒子及び/又はシリカ微粒子を含む組成物より形成されてなる光触媒活性層である前記(1)〜(8)のいずれか1に記載の印刷媒体、
(10)光触媒活性層と基材シートの間に活性遮断層を設け、該活性遮断層が有機高分子化合物と金属酸化物系化合物とが化学的に結合した複合体を含み、かつ金属成分の含有率が該活性遮断層の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有するものであって、実質上、光触媒活性層との界面では金属酸化物系化合物成分の濃度が高く、かつ有機基材に当接している面では有機高分子化合物成分の濃度が高い有機−無機複合傾斜性を有する前記(9)記載の印刷媒体、
(11)さらに、活性遮断層と基材シートの間に、380nm以下の紫外線を50%以上遮断する紫外線遮蔽層を設けてなる前記(10)記載の印刷媒体、
(12)さらに、基材シートに紫外線吸収剤が混錬されており、光触媒活性層から他方の面(印刷面)までの積層構造における、380nm以下の紫外線の遮断率が99%以上である前記(10)〜(11)のいずれか1に記載の印刷媒体、及び
(13)基材シートが、厚み25μm〜400μmのポリエチレンテレフタレートからなる前記(1)〜(12)いずれか1に記載の印刷媒体、
を提供するものである。
防汚性表面を有する印刷媒体の表面に、印刷時の擦りなどによる印刷媒体表面の傷付きや汚染を防止する保護フィルムを積層し、かつ、印刷後は裏面(印刷面)に該保護フィルムを積層させることによって、被着体への貼り付けを可能としている。このため、従来においては、防汚性表面を保護するための粘着剤つき保護フィルム、印刷物を被着体へ貼着するための両面粘着シートを要し、かつ、両面粘着シートには、剥離シートも積層されており、最終的には粘着剤つき保護フィルム及び剥離シートを廃棄処理する必要があったのに対して、本発明の印刷媒体では、保護フィルムのフィルム基材のみが最終的に剥離除去されるのみであり、粘着剤成分の省材化を図ることができる。
また、既印刷の印刷媒体に、これと同一の大きさの粘着剤層が貼着されているので、そのまま被着材へ貼り付ければよく、別途粘着剤の準備が不要であり、貼り付け作業の簡略化を図ることができる。
さらに、保護フィルムにより、印刷終了迄光触媒層を保護し、印刷後は、被着材へ簡易に貼り付けが可能なので、優れた印刷媒体としての利用を促進できる。
本発明に使用できる基材シートとしては、印刷層の支持体をなし、印刷物、印刷体として支障のない程度の強度を有するとともに、屋外や太陽光暴露に耐え得る劣化の少ない有機材料から選ばれる。
本発明の基材シートは、印刷用インクとの化学吸着力、親和力、相溶性に優れるプラスチック等が好ましく用いられる。
上記基材シートとしては、例えばポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、ポリスチレンやABS樹脂などのスチレン系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、6−ナイロンや6,6−ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、セルロースアセテートなどのセルロース系樹脂などからなるプラスチックシート、フィルムを挙げることができる。
これらのうち印刷時に受ける熱への耐性や、機械的強度等の点で、ポリエチレンテレフタレートシートがより好ましい。
本発明においては、基材シートに耐候性向上の対策を施したものを用いることが望ましい。例えば、基材シート中に、ベンゾフェノール系、ベンゾトリアゾール系、シュウ酸アニリド系、シアノアクリレート系、トリアジン系等の有機系紫外線吸収剤や、酸化亜鉛に代表される紫外線散乱剤、ヒンダードアミン系光安定剤、励起エネルギー吸収剤、ラジカル捕捉剤等の一種またはこれらを適宜組合せて含有させることを例示されるが、これらに限定されるものではない。耐候性向上剤は、基材シート中全体に含有させる代わりに、基材シート上に耐候性向上層として一層を設けてもよく、この場合は、使用する耐候性向上剤の使用量を削減でき、コスト低減を図ることができる。すなわち、基材シートの一方の面の表層に耐候性向上剤を含有させて紫外線遮蔽層を設け、紫外線による劣化や表面のひび割れ、脆性等による破壊を防止することができる。
基材シートは、厚みが25μm〜400μm、好ましくは70〜300μmの範囲であることが、汎用のプリンターや複写機への搬送適性等の点で好ましい。
また、基材シートの大きさは、汎用のプリンターや複写機への適性から、A3版
以下が一般的であり、汎用されているA4版がより好ましい。また、基材シートは、前述の単葉のものに限らず、所定の幅で連続したロール状等の印刷用基材であってもよい。
これらの基材シートは、活性遮断層あるいは印刷インクとの密着性をさらに向上させるために、所望により、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は基材の種類に応じて適宜選ばれる。
基材シートは、印刷層が視認できる程度の透明性が好適であるが、必ずしも無色透明である必要はなく、着色された透明であってもよい。
透明性としては、概ね全光線透過率が70%以上のものが使用できる。
しかし、ステンドグラスや電飾看板のごとく、裏面からの光を透過させて印刷物を視覚する場合は、可視光線透過率を5〜40%の範囲とすることが望ましい。可視光線透過率が5%より小さいと、裏面からの光が透過せず、また、40%を越えると、基材シートの透視性が発生し、印刷インクの発色性が十分でなくなる場合がある。
また、後述する様にガラスなどの透明性の高い被着体に表面の防汚層が屋外側に配置される場合において、特に視認する方向が印刷層側に限定される場合は、低透明あるいは不透明にすることが可能である。
親水性防汚層としては、光触媒作用を有するものが好適であるが、例えばシリカ粒子を含有する親水性ハイブリッド材料、ゾルゲル法で作製したシリカなどの親水性無機膜、PVAなどの親水性樹脂などを用いることも可能で、光触媒活性の無い該親水性防汚層の場合は、活性遮断層はあえて必要なく、場合によってはその代わりに親水性防汚層を基材に接着する為の接着層が必要な場合もある。
親水性防汚層の水接触角は10°以下であり、実表面積Sと見かけの表面積S0の比表面積Rf(Rf=S/S0)が1.1以下であることが好ましい。
比表面積Rfが1.0である完全な平滑面においては水接触角が25°以下であれば、防汚効果が発現しはじめ、水接触角10°以下の十分な親水性表面であれば、充分な防汚効果が得られる。
また、比表面積Rfが1.1以下であれば、塵埃が付着し難く、かつ、降雨時等に洗われ易い。ところで、比表面積Rfが1.0以上である粗面においては、その水接触角が見かけ以上低く見えてしまうことが報告されている。これはウエンツェルの式で表記される。
cosθ=Rf×cosθ0 (但し、θ0は平滑面であった場合の水接触角)
このような粗面表面でも防汚効果が発揮され始めるのは、やはりcosθ0がcos25°=0.906以上であるときである。従って、Rf=1.1である粗面において防汚効果が発現し始めるのは、見かけのその水接触角θにおいて、cosθが1.1×cos25°=0.985以上のとき、すなわち見かけの水接触角θが10°とならなければならない。
よって、本発明では、防汚性親水表面とは、具体的には、実表面積Sと見かけの表面積S0の比表面積Rf(Rf=S/S0)が1.1以下の平滑性と水接触角≦10°の親水性を満たす表面のことをいう。
光触媒層を防汚層として使用する際には、基材シートの一方の面側に設ける活性遮断層は、光触媒作用による基材シートの劣化を防止するためおよび印刷層への影響を阻止するために設けるもので、基材シートに対する密着性を向上させる機能も有しており、通常、光触媒フィルムの中間層として用いられるものを使用できる。
一般に中間層としては、シリコーン樹脂やアクリル変性シリコーン樹脂などからなる厚さ数μm程度のものが用いられており、本発明においてこれらのものも使用できる。
本発明において、前記従来の中間層を活性遮断層としてもよいが、その際、要すれば、基材シート表面には、前述の表面処理や変性材料によるラミネートを施してもよい。変性材料としては、ポリエステルや、エポキシ基、ウレタン基を含むものが好適に使用される。
屋外展示用等の印刷物としてより高い耐久性、耐候性を望む場合には、活性遮断層は、有機高分子化合物と金属酸化物系化合物とが化学的に結合した複合体を含み、かつ金属成分の含有率が該膜の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有するものであって、実質上、光触媒活性層との界面では金属酸化物系化合物成分の濃度が高く、かつ基材シートに当接している面では有機高分子化合物成分の濃度が高い有機−無機複合傾斜層とすることがより望ましい。
本発明に用いられる活性遮断層としては、一般式(I)で表される金属アルコキシドの加水分解縮合物(A)を少なくとも1種類以上含むコーティング組成物から形成されているものを挙げることができる。
MR1 x(OR2m-x ‥(I)
一般式(I)中、MはSi,Ti,Al,Zrの金属、R1はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基又はアシル基、R2は炭素数1〜6のアルキル基、mは金属Mの価数、xは0〜2の整数を示す。
このような、有機−無機複合傾斜層による前記活性遮断層を、金属アルコキシドの加水分解縮合物(A)および無機塩類、有機塩類、無機酸化物およびアルコキシド類の中から選ばれる少なくとも1種のチタン以外の金属の化合物(B)とを含むコーティング組成物から形成することが、耐久性、耐クラック性、耐候性の点でより望ましい。
前記金属アルコキシドの加水分解縮合物(A)としては、非晶質酸化チタン形成用化合物、すなわち(A)成分としては、例えば一般式(II)
TiR1 x(OR24-x …(II)
(式中、式中、R1、R2、xは前記一般式(I)に同じ。)
で表されるチタンアルコキシドをそのまま含むものであってもよいし、その加水分解・縮合物を含むものであってもよく、あるいはその両方を含むものであってもよいが、加水分解・縮合物がより好ましい。
前記一般式(II)において、R1は非加水分解性基であって、そのうちのアルキル基は
、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、また、アルケニル基およびアルキニル基は、
炭素数2〜20のものが好ましい。アリール基は、炭素数6〜20、アラルキル基は、炭
素数7〜20のものが好ましい。さらに、アシル基としては、炭素数2〜20の脂肪族ア
シル基や、炭素数7〜20の芳香族アシル基(アロイル基)を好ましく挙げることができ
る。
一方、OR2は加水分解性基であって、R2で示される炭素数1〜6のアルキル基は、直
鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、その例としては、メチル基、エチル基、n
−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、te
rt−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが
挙げられる。xは0〜2の整数であり、R1が複数ある場合、各R1はたがいに同一であっ
てもよいし、異なっていてもよく、またOR2が複数ある場合、各OR2はたがいに同一で
もよいし、異なっていてもよい。
この一般式(II)で表されるチタンアルコキシドの中ではチタンテトラアルコキシドが
好ましく、該チタンテトラアルコキシドの例としては、チタンテトラメトキシド、チタン
テトラエトキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、
チタンテトラ−n−ブトキシド、チタンテトライソブトキシド、チタンテトラ−sec−
ブトキシドおよびチタンテトラ−tert−ブトキシドなどが好ましく挙げられる。これ
らは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の活性遮断層を形成する組成物において、加水分解・縮合に用いる溶媒としては、アルコール類が好ましく、炭素数3以上のエーテル系酸素を有するアルコール類が、加水分解−縮合反応の制御および縮合物の安定化の点からさらに好ましい。
この炭素数3以上のエーテル系酸素を有するアルコール類としては、チタンアルコキシドに対して相互作用を有する溶剤、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのセロソルブ系溶剤、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどを挙げることができる。これらの中で、特にセロソルブ系溶剤が好ましい。これらの溶剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
チタンテトラアルコキシドの加水分解・縮合物を用いる場合、チタンテトラアルコキシ
ドの加水分解−縮合反応は、チタンテトラアルコキシドに対し、好ましくは4〜20倍モ
ル、より好ましくは5〜12倍モルの前記アルコール類と、好ましくは0.5以上4倍モ
ル未満、より好ましくは1〜3.0倍モルの水を用い、塩酸、硫酸、硝酸などの酸性触媒
の存在下、通常0〜70℃、好ましくは20〜50℃の範囲の温度において行われる。酸
性触媒は、チタンテトラアルコキシドに対し、通常0.1〜1.0倍モル、好ましくは0
.2〜0.7倍モルの範囲で用いられる。
一方、(B)成分であるチタン以外の金属化合物は、非晶質酸化チタンの結晶化阻害化合物として機能するものであり、効果の点から、無機塩類、有機塩類およびアルコキシド類の中から選ばれる化合物、具体的には、硝酸、酢酸、硫酸、塩化アルミニウムならびにジルコニウムの各塩類、ならびに、これら無機塩類の水和物、アルミニウムトリアセチルアセトナートなどのアルミニウムキレート類、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシランなどの金属アルコキシド類、ならびにこれら化合物の加水分解物、あるいは、その縮合物を挙げることができる。これらの中で、チタン以外の金属がアルミニウムおよび/またはジルコニウムであるものが好ましく、特に硝酸アルミニウムならびにその水和物がより好ましい。前記金属化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この(B)成分であるチタン以外の金属化合物は、前記(A)成分を含む液にそのまま添加すればよく、その添加順序については特に制限はない。
本発明の活性遮断層の形成においては、(B)成分であるチタン以外の金属化合物の使用量は、チタン原子に対して、通常5〜50モル%の範囲で選定される。使用量が5モル%以上であれば、良好な結晶化阻害効果が得られ、また50モル%以下では非晶質酸化チタンが本来有する物理的性質が良好に発揮される。チタン以外の金属化合物として硝酸アルミニウムを用いる場合の特に好ましい使用量は10〜30モル%の範囲である。
このようにして得られた本発明の活性遮断層形成用コーティング組成物は、前述した性状を有するものであり、その固形分濃度は、通常0.1〜30質量%程度、好ましくは0.5〜20質量%程度である。このコーティング組成物を、所望の基材上に、乾燥厚さが0.01〜2μm程度、好ましくは0.02〜0.7μmになるように塗布し、例えば常温乾燥することにより、あるいは所望により、さらに加熱処理することにより、無色で透明性に優れ、50nm〜5μm程度の長さの微小なクラックなどが新たに発生しにくい非晶質酸化チタン複合塗膜を形成することができる。
本発明の活性遮断層形成用コーティング組成物は、さらに、(C)非晶質酸化チタンと化学結合し得る有機成分を含ませることにより、基材シート上に塗膜を設けた場合に、非晶質酸化チタン成分の含有率が、該塗膜の表面から基材に向かって傾斜する、自己傾斜性を有する組成物からなる塗膜とすることができる。
この(C)非晶質酸化チタンと化学結合し得る有機成分としては、例えば(a)金属を含まないエチレン性不飽和単量体と、(b)カップリング性ケイ素含有基を有するエチレン性不飽和単量体とを共重合させることにより得られる有機高分子化合物を好ましく挙げることができる。
上記(a)金属を含まないエチレン性不飽和単量体としては、例えば一般式(III)
Figure 2008105234
(式中、R3は水素原子またはメチル基、Xは一価の有機基である。)
で表されるエチレン性不飽和単量体、好ましくは一般式(III−a)
Figure 2008105234
(式中、R3は水素原子またはメチル基、R4は一価の炭化水素基またはエポキシ基、ハロゲン原子若しくはエーテル結合を有する炭化水素基を示す。)
で表されるエチレン性不飽和単量体を一種または二種以上混合して使用してもよい。
上記一般式(III−a)で表されるエチレン性不飽和単量体において、R4で示される炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基を好ましく挙げることができる。炭素数1〜10のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、および各種のブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などが挙げられる。炭素数3〜10のシクロアルキル基の例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロオクチル基などが、炭素数6〜10のアリール基の例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、メチルナフチル基などが、炭素数7〜10のアラルキル基の例としては、ベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
エポキシ基、ハロゲン原子若しくはエーテル結合を有する炭化水素基としては、これらの基、原子若しくは結合を有する炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基を好ましく挙げることができる。上記置換基のハロゲン原子としては、塩素原子等が挙げられる。
この一般式(III−a)で表されるエチレン性不飽和単量体の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3−グリシドキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、2−ブロモエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記一般式(III)で表されるエチレン性不飽和単量体としては、これら以外にもスチレン、α−メチルスチレン、α−アセトキシスチレン、m−、o−またはp−ブロモスチレン、m−、o−またはp−クロロスチレン、m−、o−またはp−ビニルフェノール、1−または2−ビニルナフタレンなど、さらにはエチレン性不飽和基を有する重合性高分子用安定剤、例えばエチレン性不飽和基を有する、酸化防止剤、紫外線吸収剤および光安定剤なども用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、前記(b)カップリング性ケイ素含有基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば一般式(IV)
Figure 2008105234
(式中、R5は水素原子またはメチル基、Aは炭素数1〜4のアルキレン基、R6はメチル基又はエチル基を示す。)
で表される化合物を好ましく挙げることができる。前記一般式(IV)において、3つの
6はたがいに同一でも異なっていてもよい。
この一般式(IV)で表されるエチレン性不飽和単量体の例としては、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
この(b)成分のカップリング性ケイ素含有基を有するエチレン性不飽和単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記(a)成分の金属を含まないエチレン性不飽和単量体と、(b)成分のカップリング性ケイ素含有基を有するエチレン性不飽和単量体とを、ラジカル重合開始剤の存在下、ラジカル重合させることにより、(C)成分の成分として用いられるカップリング性ケイ素含有基を有する有機高分子化合物からなる自己傾斜性を有する化合物が得られる。
本発明の活性遮断層においては、このようにして得られた(C)成分であるカップリング性ケイ素含有基を有する有機高分子化合物をアルコール、ケトン、エーテルなどの適当な溶剤中に溶解させた溶液と、前述の(A)成分であるチタンアルコキシドの加水分解・縮合物と、(B)成分のチタン以外の金属化合物単体および/またはそれを含む反応液を必要により希釈した溶液とを混合することにより、前記有機高分子化合物中のカップリング性ケイ素含有基が加水分解し、(A)成分の反応液におけるチタンアルコキシドの加水分解縮合物と選択的に反応し、有機−無機複合傾斜膜形成用のコーティング組成物、すなわち本発明における印刷用基材の活性遮断層用組成物が得られる。
なお、この際、用いるチタンアルコキシドの加水分解縮合物を含む反応液の希釈溶媒としては、前述した理由により炭素数3以上のエーテル系酸素を有するアルコール類を含む溶媒を使用することが望ましい。
このようなコーティング組成物を用いることにより、基材シートに塗布、乾燥した際に、実質上基材シート側が有機高分子化合物成分で、その反対側が非晶質酸化チタン成分であって、両者の含有割合が膜厚方向に連続的に変化する良好な成分傾斜構造を有する有機−無機複合傾斜膜を、安定して形成することができる。そして、この有機−無機複合傾斜膜を活性遮断層とすることができる。
この複合傾斜性の活性遮断層は、無機成分として非晶質酸化チタン成分を含むことにより、促進耐候試験下に曝露されても、無機成分の結晶化が抑えられるため、機械的特性の低下、クラックの発生、透明性の低下などが抑制される。
なお、非晶質酸化チタン成分を含むコーティング組成物の、酸化チタンの非晶質の程度は、本出願人の先願である、特開2005−336334号公報記載の方法で測定することができる。
基材シート上に、活性遮断層としての複合傾斜膜を形成させるには、このようにして得られた本発明のコーティング組成物を、乾燥塗膜の厚さが、通常5μm以下、好ましくは0.01〜1.0μm、より好ましくは0.02〜0.7μmの範囲になるように、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などの公知の手段により塗布し、溶媒を揮散させて塗膜を形成させる。
また、活性遮断層の傾斜構造の確認は、例えば塗膜表面にスパッタリングを施して膜を削っていき、経時的に膜表面の炭素原子とチタン原子の含有率を、X線光電子分光法などにより測定することによって、行うことができる。
この活性遮断層としての複合傾斜膜における金属成分の含有量は、特に制限はないが、金属酸化物換算で、通常5〜98質量%、好ましくは20〜98質量%、特に好ましくは50〜95質量%の範囲である。有機高分子化合物の重合度や分子量としては、製膜化し得るものであればよく特に制限されず、高分子化合物の種類や所望の傾斜膜材料の物性などに応じて適宜選定すればよい。
本発明の印刷媒体に形成する光触媒活性層としては、一般的に光触媒層として用いられているアナターゼ型の酸化チタンをバインダーで固めた層でもよいが、耐久性、耐候性を考慮して、次の組成物により構成することが望ましい。
すなわち、本発明の改良された光触媒活性層のコーティング組成物としては、前記(A)、(B)に、さらに(D)光触媒機能を有する微粒子および/またはシリカ微粒子を含めることができる。
前記光触媒機能を有する微粒子としては、アナターゼ型結晶を主成分とする酸化チタン粒子を用いることができる。
前記アナターゼ型結晶を主成分とする酸化チタン微粒子(以下、アナターゼ結晶酸化チタン粒子と称すことがある。)は、光触媒粒子であり、少量のルチル型結晶が混在していてもよく、また、窒化チタンや低次酸化チタン等を一部含む可視光応答型の光触媒粒子も使用することができる。このアナターゼ結晶酸化チタン粒子の平均粒子径は、1〜500nmの範囲が好ましく、1〜100nmの範囲がより好ましく、1〜50nmの範囲が優れた光触媒機能を有するために最も好ましい。上記平均粒子径は、レーザー光を利用した散乱法によって測定することができる。
また、当該酸化チタン粒子の内部および/またはその表面に、第二成分として、V、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、PtおよびAuの中から選ばれる少なくとも1種の金属および/または金属化合物を含有させると、一層高い光触媒機能を有するため好ましい。前記の金属化合物としては、例えば、金属の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、硫酸塩、ハロゲン化物、硝酸塩、さらには金属イオンなどが挙げられる。
第二成分の含有量はその物質の種類に応じて適宜選定される。
このアナターゼ結晶酸化チタン粒子は、従来公知の方法によって製造することができるが、塗工液中に均質に分散させるために酸化チタンゾルの形態で用いるのが有利である。
該酸化チタンゾルを製造するには、例えば粉末状のアナターゼ結晶酸化チタンを酸やアルカリの存在下で解こうさせてもよいし、粉砕によって粒子径を制御してもよい。また、硫酸チタンや塩化チタンを熱分解あるいは中和分解して得られる含水酸化チタンを物理的、化学的な方法で結晶子径、粒子径の制御を行ってもよい。さらにゾル液中での分散安定性を付与するために、分散安定剤を使用することができる。
一方、コロイダルシリカは光触媒膜に、暗所保持時においても超親水性維持性能を発現させる作用を有している。
光触媒は、紫外線などの光の照射によって、その表面に存在する有機物質を分解する性質や、超親水化を発現するが、暗所では、一般にこのような光触媒機能が発現されない。
しかし、光触媒膜中にコロイダルシリカを含有させることにより、該光触媒膜は、暗所でも超親水性維持性能を発現する。
このコロイダルシリカは、高純度の二酸化ケイ素(SiO2)を水またはアルコール系
溶剤に分散させてコロイド状にした製品であって、平均粒子径は、通常1〜200nm、好ましくは5〜50nmの範囲である。シリコンアルコキシドの加水分解・縮合物では、反応が終結していないので、水で溶出されやすく、それを含む光触媒膜は耐水性に劣る。
一方、コロイダルシリカは、反応終結微粒子であるため、水で溶出されにくく、それを含む光触媒膜は、耐水性が良好なものとなる。
さらに、防汚層の表面は、常に降雨に曝されうる環境にあることから、防汚層被膜には、高い耐水性が求められる。耐水性の評価としては、具体的には、80℃の温水に24時間浸漬した場合において、光触媒微粒子及び/またはシリカ粒子と耐水性バインダーの脱落が10質量%以下であり、その表面の組成・形状・特性が大きく変化しないことが一応の目安となる。
防汚層が、光触媒微粒子及び/又はシリカ粒子と耐水性バインダーを含む塗工液を成膜して得た薄膜であって、その耐水性バインダーは、活性遮断層に用いられた組成と同様に、前記金属アルコキシドの加水分解縮合物(A)または非晶質酸化チタン形成用化合物(B)、(C)成分であるチタン以外の金属化合物単体および/またはその反応液を含む液を含むものである。該耐水性バインダーに(E)所定量のアナターゼ結晶酸化チタンゾルと場合によりコロイダルシリカを加え、均質に分散させることにより、防汚層(光触媒活性層)用のコーティング組成物を調製することができる。
このようにして調製された光触媒機能を有するコーティング組成物を活性遮断層が形成された基材シート上に、公知の方法、例えばディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などにより塗布し、成膜したのち、自然乾燥または加熱乾燥することにより、所望の光触媒膜すなわち光触媒活性層が得られる。加熱乾燥する場合は、200℃以下の温度を採用することができる。
このように、成膜したのち、低温での保持処理により、形成された光触媒膜は、十分な
光触媒機能を発現し得るので、本発明の印刷媒体として、好適に用いることができる。
また、印刷インクの耐候性(耐退色性)を向上させるためには、防汚層(光触媒活性層)から基材シートの他方の面側までの積層構造における、380nm以下の紫外線の遮断率が99%以上の防汚性印刷用シートとすることが好ましい。これは、色素が380nm以下の紫外線で分解され、退色するのを極力抑止するためである。
一方、防汚層(光触媒活性層)と基材シートの間に380nm以下の紫外線を少なくとも50%以上遮断する紫外線遮蔽層を介在させることが好ましく、より好ましくは、350nm以下の紫外線を少なくとも90%以上遮断する。この紫外線遮蔽層を介在させることによって、基材シート自体の黄変などの変色が防止される。
一例として、この紫外線遮蔽層を介在させることによって、基材シートへの380nm以下の紫外線の侵入をカットし、かつ、基材シート自体に配合した紫外線吸収剤とで380nm以下の紫外線の遮断率を99%とすれば、色素への紫外線の侵入も確実に阻止できる。
この種の紫外線遮蔽層としては、基材シートの一方の面側に紫外線吸収剤を含む紫外線遮蔽層を設けることができる。また、紫外線散乱剤、ヒンダードアミン系光安定剤や励起エネルギー吸収剤、ラジカル補足剤などの一種またはこれらを適宜組み合わせて含有させたものでも良い。
なお、紫外線の遮断率は、UV−Vissスペクトルより簡便に測定できる。
また、本発明においては、紫外線吸収剤は380nm以下の紫外光を吸収する物質であれば特に制限はないが、好ましくは以下の化合物が好ましく挙げられる。
用いられる紫外線吸収剤の例としては、具体的には、2(2'−ヒドロキシー5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2'−ヒドロキシー3',5'−ジーt−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2'−ヒドロキシー3',5'−ジーt−ブチルフェニル)―5―クロロベンゾトリアゾール、2(2'−ヒドロキシー3'―t−ブチルー5'−メチルフェニル)―5―クロロベンゾトリアゾール、2(2'−ヒドロキシー3',5'−ジーt−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2'−ヒドロキシー5'−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2'−ヒドロキシー5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類;2,4−ジーt−ブチルフェニルー3,5−ジーt−ブチルー4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類、エチルー2−シアノー3,5−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート類;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシー4−アセトキシエトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシー4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシー4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシー4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシー4−o―オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−i−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシー4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシー4,4'−ジメトキシージスルホベンゾフェノンージーナトリウム塩、2−ヒドロキシー4−(2−ヒドロキシー3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシー4−オクタデシルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;フェニルサリチレート、p−t−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート等のサリチル酸エステル類、2−シアノー3,3−ジフェニルアクリル酸エチル、2−シアノー3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシルなどの置換アクリロニトリル類などが挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
光安定化剤の例としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノー1,3,5−トリアジンー2、4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルイミド]、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチルー4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(ミックスト2,2,6,6−テトラメチルー4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、N,N‘−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンー2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチルー4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、[N−(2,2,6,6−テトラメチルー4−ピペリジル)−2−メチルー2−(2,2,6,6、−テトラメチルー4−ピペリジル)イミノ]プロピオンアミド、TINUVIN770,123,144,622(以上、Ciba Geigy社製品名)、SANOL LS−770,765,292,2626(以上、三共(株)製品名)、アデカスタブ LA−52,57,62(以上、旭電化(株)製品名)等のヒンダードアミン類が使用可能である。これらの光安定化剤は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、前記紫外線吸収剤と併用することもできる。
紫外線散乱剤の例としては、主に金属酸化物粉末などの無機系材料を挙げることができ、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどを微粒子化した粉末、あるいは二酸化チタン微粒子を酸化鉄で複合化処理してなるハイブリッド無機粉末、酸化セリウム微粒子の表面を非晶質シリカで被覆してなるハイブリッド無機粉末などが挙げられる。紫外線散乱剤とは紫外線を散乱させることによって紫外線遮蔽効果をもたらす材料であるが、紫外線散乱効果は粒子径に大きく影響を受けるので、その平均粒径は5μm以下が好ましく、特に10nm〜2μmの範囲が好ましい。なお、この紫外線散乱剤が光触媒活性を有するものである場合には、粒子表面を水ガラスなどで薄く被覆して光触媒活性をなくしたものを用いることが好ましい。
本発明の印刷媒体の印刷面とする面には、インク受容層を設けることができる。
単に表面を改質しただけのインク受容層は、印刷インクとの密着性を向上させるためのもので、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことにより設けることができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は基材シートの種類、印刷インクの種類に応じて適宜選ばれる。具体的なインク受容層は、例えば、オフセット印刷やシルクスクリーン印刷では、印刷インキ易接着層、インクジェット方式ではインク受容層、電子写真記録方式ではトナー受容層等である。
家庭用プリンターに適したインクジェット用のインク受容層としては、シリカやアルミナを含有した多孔質のハイブリッド膜や、三菱樹脂株式会社のホットメルト式のインクジェットメディア“プリメイクHL”と同様の特殊親水性樹脂などを必要に応じて適宜選択できる。
本発明の印刷媒体において、防汚層の上面には、保護フィルムを備えている。保護フィルムは、フィルム基材と粘着剤層とを含み、該粘着剤層は、印刷後に防汚層から剥離して印刷面に貼着し、さらに、フィルム基材を剥離して被着材に貼着可能としている。
防汚層の上面に保護フィルムを積層するのは、防汚層として例えば、光触媒活性層を積層した場合、摩耗、擦過に弱い光触媒活性層表面を、光触媒活性作用を発現させて使用を開始するまで保護する目的と、印刷工程において、擦過などから保護し、かつ印刷機内で複数枚まとまって搬送される重ね送り現象を起こることなく、単葉で印刷媒体を搬送可能とする等の目的である。
保護フィルムのフィルム基材としては、プラスチック製でも紙製でもよく、その透明性や着色の有無に限定はない。なお、印刷媒体自身および両面粘着シートが共に透明性を有する場合は、印刷時の印字が見やすいという点で、不透明なフィルム基材を使用することもできる。また、フィルム基材に文字などが刻印・印刷等が施されていても何ら支障はない。
保護フィルムのフィルム基材の膜厚としては、特に限定されないが、好ましい下限は10μm、好ましい上限は100μmである。10〜100μmの範囲であれば、保護機能と再剥離使用時の取扱い性を満足できる。
本発明の印刷媒体において、保護フィルムの粘着剤層は、防汚層表面及びフィルム基材面の両面に粘着し、かつ、印刷後には、フィルム基材とともに防汚層表面から剥離して印刷面(既印刷面)に貼着し、しかる後、フィルム基材を剥離して、がラス窓等の被着体へ貼着できる粘着力を必要とする。
なお、粘着剤層の透明性は、表面の防汚層が屋外側(外貼り)に配置される場合において、特に表面側(防汚層側)からのみ視認する用途においては、白色や乳白色など透明性が低い、あるいは透明性が無い粘着剤層を、インクの鮮明さを引き立たせるために用いることができる(白打ちを兼ねることができる)。一方、視認する方向に限定がない(防汚層側からも印刷層側からも視認する)場合には、粘着剤層も透明性の高いものを使用するのがよい。なお、この場合、視認する方向が印刷層側に限定される場合には、印刷媒体自身を白色などの不透明にすることも可能である。
また、本発明の保護フィルムの粘着剤層は、粘着剤層の強度保持と2つの粘着力の異なる粘着剤層を形成し易い等の観点から、プラスチックフィルムからなる芯材を有し、該芯材の両面に粘着剤層を有する両面粘着剤層とすることができる。
プラスチックフィルムからなる芯材としては、厚み10〜100μmのプラスチックフィルムであって、印刷時の熱や、日射熱などへの耐性や、耐候処方のしやすさ、透明性や着色の選択のし易さなどからPETフィルムが好ましい。
プラスチックフィルムからなる芯材の透明性は、印刷物を、防汚層と印刷側の両面から見えるようにする場合は、全光線透過率が70%程度以上の透明性を有することが好ましいが、白色などに着色して、透明性を低下させて、印刷内容を鮮明に引き立たせることもできる。
粘着剤としては、光触媒活性層、既印刷層及び被着材との粘着性、影響度、粘着力等を勘案して、選択される。使用できる粘着剤としては、例えば従来から一般的に使用されているアクリル系、ウレタン系、シリコーンゴム系、合成ゴム(SRB)系、変性オレフィン系、エチレン酢ビ共重合体系、などの粘着剤を適宜使用でき、特に限定されるものでない。
また、両面粘着シートは、両面で同じ物性を有する粘着剤を用いることもでき、その場合、芯材のないノンサポート型の粘着剤層とすることもできる。さらに、粘着剤層の粘着力が、フィルム基材側が強粘着力で、防汚層側が弱粘着力であるなど、芯材を介して両側で粘着物性が異なる粘着剤層を有するものも使用できる。なお、少なくとも防汚層側の粘着力が、微ないし弱粘着力であることが好ましい。
一方、被着体に貼り付ける側の粘着剤も特にその材質や粘着力は限定されないが、貼り剥がしなどのリワーク性付与や易解体性(剥がした後の糊残りのしにくさ)の観点から再剥離型の粘着剤を用いることができ、また、施工時におけるスキージ操作不要の面で、自己吸着型やエンボス加工を施した様なエア抜けの良いものを使うことができる。
なお、剥離後の再粘着等のリワーク性を重視する場合は、両面粘着剤層の剥離力が、ソーダライムガラスに貼り付けた際に0.01〜4N/25mmであることが好ましい。
0.01〜4N/25mmの範囲は微又は弱粘着性であり、とりわけ、防汚層側の粘着剤の剥離力は、防汚層の破壊や汚染を防止する上で、この範囲とすることが好ましい。
剥離力はJIS Z0237に準拠し、ソーダライムガラスに25mm幅で長さ250mmの粘着剤シートサンプルを貼り付け、粘着剤シートの一端側をソーダライムガラスから剥離して、未剥離の粘着剤シートの基材側へ180度折り曲げて速度300mm/minで剥離する際の最大応力により測定されるものである。
また、防汚層側と接している粘着材は、防汚層側と接している時はフィルム基材との剥離力よりも防汚層側との剥離強力が小さく、一方、既印刷面側に積層させた後は、保護フィルムのフィルム基材との剥離力よりも既印刷面との剥離強力が大きい方が、フィルム基材の誤剥離(保護フィルム全体を剥離してしまうこと。)を防ぐ上で好ましい。
また、本発明において、保護フィルムのフィルム基材の粘着剤層側の面が易剥離処理されたものとすることができる。
フィルム基材は、印刷媒体を被着体へ貼着するに際しては剥離されるセパレーターの機能を有するものである。そのため、フィルム基材の粘着剤積層面側表面には、凹凸処理や、離型剤処理などの各種処理を施すことが望ましい。
また、保護フィルムを、防汚層から剥離した後、印刷面に再度貼着(積層)させる際、フィルム基材を剥離して反転させ、防汚層と接していない粘着剤面を印刷面に積層させてもよい。
さらに、防汚層から剥離した後、防汚層と接していた粘着剤面を被着材に直接貼着し、フィルム基材を剥離して、フィルム基材に接していた側の粘着剤層に印刷面を貼着してもよいし、フィルム基材を剥離して反転させて被着材に直接貼着し、防汚層と接していた粘着剤面に印刷面を貼着してもよい。
以下、本発明を実施例及び比較例により説明するが、本発明は、以下の例によってなんら限定されるものではない。
なお、成分傾斜性及び粘着剤の剥離力は、以下に記載の方法で測定した。
(成分傾斜性:X線光電子分光測定法による測定)
XPS装置「PHI−5600」[アルバックファイ(株)製]を用い、アルゴンスパッタリング(4kV)を3分間隔で施して膜を削り、膜表面の炭素原子と各金属原子の含有率を測定し、傾斜性を調べた。
(粘着剤の剥離力の測定)
剥離力はJIS Z0237に準拠し、ソーダライムガラスに25mm幅で長さ250mmの粘着剤シートサンプルを貼り付け、粘着剤シートの一端側をソーダライムガラスから剥離して、未剥離の粘着剤シートの基材側へ180度折り曲げて速度300mm/minで剥離する際の最大応力を剥離長20mm毎に5点計測し、その平均値を求めた。
実施例1
(光触媒層つきフィルムの作成)
(1)活性遮断層の成膜
1Lセパラブルフラスコに窒素雰囲気下でメチルイソブチルケトン424.0g、メタクリル酸メチル200.0g、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン23.5gを添加し、60℃まで昇温した。この混合溶液にアゾビスイソブチロニトリル1.9gを溶かしたメチルイソブチルケトン溶液を滴下し重合反応を開始し、30時間攪拌し有機成分溶液(a)を得た。
チタンテトライソプロポキシド35.55gをエチルセルソルブ70.02gに溶解した溶液に、60質量%硝酸5.94g、水2.14gとエチルセロソルブ27.39gの混合溶液を攪拌しながらゆっくりと滴下し、その後30℃で4時間攪拌し混合溶液(b)を得た。
次いで、上記混合溶液(b)とエチルセルソルブおよび異種金属化合物として硝酸アルミニウムを用いて、硝酸アルミニウムの添加量がTi原子に対して15モル%、溶液全体の固形分濃度が5質量%になるように調製し、複合金属化合物の溶液(c)を得た。
次いで、上記溶液(a)1.46g、メチルイソブチルケトン47.15g、エチルセルソルブ19.01g、溶液(c)29.60gおよびコロイダルシリカ分散液2.78gを混合し、15分間攪拌した。その後5〜10℃で一晩保管し、有機―無機成分傾斜溶液(e)を得た。
次に、この有機―無機成分傾斜溶液(e)を図1に示す基材シート2として、A4サイズのPETフィルムベースのカラーレーザー用OHPシート(Docu Centre Color f360用OHPシート V516)の反対面にバーコートにより膜厚が100nmになるように成膜して、活性遮断層3を形成した。
前記のXPS測定法により、この活性遮断層3の成分傾斜性を調べたところ、有機成分と無機成分の成分傾斜が確認された。XPS測定結果を図2に示す。
(2)光触媒活性層の成膜ならびに保護フィルム貼着による印刷媒体の作製
エチルセルソルブ40.63g、1−プロパノール44.50gの混合溶媒に、60質量%硝酸0.34g、水6.84g、光触媒分散液(チタン工業社製「PC−201、固形分濃度20.7重量%」)0.483gおよびコロイダルシリカ分散液(日産化学社製「スノーテックス IPA−ST、固形分濃度30重量%」)2.167gを添加し、さらに上記溶液(b)5.00gを加え、全体の固形分濃度が1質量%になるように調製し、光触媒液(f)を作製した。
この光触媒溶液を、上記活性遮断層3を備えたインクジェットOHPシートにバーコートにて膜厚が40nmになるように成膜して、光触媒活性層4を形成した。
(保護フィルムの積層)
次いで、厚み25μmの透明なPETフィルム基材6に、厚み25μmの透明なPET芯材7を介して片面にソーダライムガラスに対する剥離力が0.06N/25mmである自己吸着型微粘着剤8A、もう一方の面にソーダライムガラスに対する剥離力が25N/25mmである粘着剤8Bが積層されている両面粘着シート(フジコピアン社製、商品名「FIXFILM-DSP」)を保護フィルム5として、自己吸着型微粘着剤8A側を光触媒活性層4上にラミネートして目的の印刷媒体1とした。
(3)印刷および評価
前記(2)で得られた印刷媒体1の裏面(印刷面)に、フジゼロックス社製レーザープリンター(Docu Centre Color f360)を用いて任意の画像を印刷した。印刷後に光触媒層4を確認したが、光触媒層にスクラッチ痕などは確認されなかった。
印刷後、自己吸着型粘着剤8Aと光触媒層4の間で両面粘着シートを剥がし、その面を印刷面にラミネートした後、保護フィルム5のフィルム基材6を剥がして、国道に面した透明なガラス窓に光触媒層が屋外に向くように貼り付けた。
6ヶ月経過後、汚れのつき具合、意匠性の変化を確認したが、汚れはほとんど付いておらず、意匠性も維持されていた。
実施例2
透明なPET芯材7を介して片面にソーダライムガラスに対する剥離力が0.06N/25mmである自己吸着型微粘着剤8A、もう一方の面にソーダライムガラスに対する剥離力がである0.5N/25mmの同じく自己吸着型微粘着剤8Bが積層されている両面粘着シート(フジコピアン社製、「両面FIXタイプ」)の自己吸着型微粘着剤8B側を光触媒活性層4上にラミネートした以外は、実施例1と同じである。印刷後に光触媒層を確認したが、光触媒層にスクラッチ痕などは確認されなかった。
印刷後、自己吸着型粘着剤8Bと光触媒層の間で両面粘着シートを剥がし、その面を印刷面にラミネートした後、自己吸着型微粘着剤8A側のフィルム基材6(セパレーター)を剥がして、国道に面した透明なガラス窓に光触媒層が屋外に向くように貼り付けた。
6ヶ月経過後、汚れのつき具合、意匠性の変化を確認したが、汚れはほとんど付いておらず、意匠性も維持されていた。
実施例3
透明なPET芯材7を介して両面ともにソーダライムガラスに対する剥離力が0.06N/25mである自己吸着型微粘着剤8Aが積層されている両面粘着シート(フジコピアン社製、「両面FIXタイプ」)の自己吸着型微粘着剤側をラミネートした以外は、実施例1と同じである。印刷後に光触媒層を確認したが、光触媒層にスクラッチ痕などは確認されなかった。
印刷後、自己吸着型粘着剤8Aと光触媒層4の間で両面粘着シートを剥がし、その面を印刷面にラミネートした後、もう一方の自己吸着型微粘着剤8A側のフィルム基材(セパレーター)を剥がして、国道に面した透明なガラス窓に光触媒層が屋外に向くように貼り付けた。
6ヶ月経過後、汚れのつき具合、意匠性の変化を確認したが、汚れはほとんど付いておらず、意匠性も維持されていた。
実施例4
実施例1の基材シートに替えて、水性インクジェットプリンター用受容層が塗布されたPETフィルムベースのOHPシート(サンワサプライ社製、JP−OHP10A)を用いた以外は、実施例1と同様の両面粘着シートをラミネートした印刷媒体を作成した。
その後、この裏面(印刷面)にセイコーエプソン社製の家庭用インクジェットプリンター(PX-G920)を用いて任意の画像を印刷した。印刷後に光触媒層4を確認したが、光触媒層4にスクラッチ痕などは確認されなかった。
印刷後、自己吸着型粘着剤8Aと光触媒層4の間で両面粘着シートを剥がし、その面を印刷面にラミネートした後、強粘着剤層8B側のフィルム基材6を剥がして、国道に面した透明なガラス窓に光触媒層4が屋外に向くように貼り付けた。
6ヶ月経過後、汚れのつき具合、意匠性の変化を確認したが、汚れはほとんど付いておらず、意匠性も維持されていた。
実施例5
図3に示すように、基材シート本体12aとして、紫外線吸収剤を練り込んだポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポンフィルム製、HB−3 厚み100μm)12aの上面にHALSがハイブリッドされた紫外線吸収性コーティング剤(日本触媒(株)製、ユーダブルシリーズUV−G301)100質量部とイソシアネート系硬化剤(住友バイエルウレタン(株)製、デスモジュールN3200)を12質量部の割合で混合したコーティング液を塗布した後、熱架橋させた紫外線遮蔽膜12bを5μm厚みで設けた全厚み105μmPETフィルムを用いた以外は、実施例1と同様の両面粘着シートをラミネートした印刷媒体10を作製した。その後、該両面粘着シートをラミネートした印刷媒体10の裏面(印刷面)にフジゼロックス社製レーザープリンター(DocuCentre Color f360)を用いて任意の画像を印刷した。印刷後に光触媒層4を確認したが、光触媒層4にスクラッチ痕などは確認されなかった。
印刷後、自己吸着型粘着剤8Aと光触媒層4の間で保護フィルム5の両面粘着シートを剥がし、その面を印刷面にラミネートした後、粘着剤層8B側のフィルム基材6を剥がして、国道に面した透明なガラス窓に光触媒層が屋外に向くように貼り付けた。
6ヶ月経過後、汚れのつき具合、意匠性の変化を確認したが、汚れはほとんど付いておらず、意匠性も維持されていた。
実施例6
保護フィルム5としての両面粘着シートを被着体に貼り付ける際に、粘着剤層を反転させ、8B側を既印刷面に貼着したこと以外は、実施例5と同様とした。なお、印刷後に光触媒層4を確認したが、光触媒層4にスクラッチ痕などは確認されなかった。
国道に面した透明なガラス窓に光触媒層が屋外に向くように貼り付けてから6ヶ月経過後、汚れのつき具合、意匠性の変化を確認したが、汚れはほとんど付いておらず、意匠性も維持されていた。
実施例7
粘着剤層の芯材7が白色のPET芯材を用いたこと以外は、実施例2と同様とした。印刷後に光触媒層4を確認したが、光触媒層4にスクラッチ痕などは確認されなかった。
印刷後、自己吸着型粘着剤8Bと光触媒層の間で両面粘着シートを剥がし、その面を印刷面にラミネートした後、自己吸着型微粘着剤8A側のフィルム基材6を剥がして、国道に面した透明なガラス窓に光触媒層が屋外に向くように貼り付けた。
6ヶ月経過後、汚れのつき具合、意匠性の変化を確認したが、汚れはほとんど付いておらず、意匠性も維持されていた。
実施例8
印刷媒体10の基材シート本体12aに乳白色のPETフィルム(帝人デュポンフィルム社製、U4−50μm)を用いた以外は、実施例5と同様とした。印刷後に光触媒層4を確認したが、光触媒層4にスクラッチ痕などは確認されなかった。
印刷後、自己吸着型粘着剤8Aと光触媒層4の間で保護フィルム(両面粘着シート)を剥がし、その面を印刷面にラミネートした後、粘着剤層8B側のフィルム基材を剥がして、国道に面した透明なガラス窓に光触媒層4が屋外に向くように貼り付けた。
6ヶ月経過後、汚れのつき具合を確認したが、煤などの汚れはほとんど付いていなかった。また、意匠性も同様に維持されていると共に、煤などの汚れがついていなかったため、屋内側(粘着剤層側)から観察した際に、暗くなることなく初期的な透光性が維持されていた。
実施例9
保護フィルム5の粘着剤層にソーダライムガラスに対する剥離力が2N/25mmである東洋包材(株)製の光学実装用ノンサポート型アクリル系粘着剤8Cを用いた以外は、実施例5と同様に
して印刷媒体20を作製した。
印刷後、微粘着剤8Cと光触媒層4の間で保護フィルム(両面粘着シート)5を剥がし、その面を印刷面にラミネートした後、反対側の微粘着剤層8Cのフィルム基材を剥がして、国道に面した透明なガラス窓に光触媒層4が屋外に向くように貼り付けた。
6ヶ月経過後、汚れのつき具合、意匠性の変化を確認したが、汚れはほとんど付いておらず、意匠性も維持されていた。
防汚性表面を有する印刷媒体の表面に、印刷時の擦りなどによる印刷媒体表面の傷付きや汚染を防止する保護フィルムを積層し、かつ、印刷後は裏面(印刷面)に該保護フィルムを積層させることによって、被着体への貼り付けを可能としている。このため、従来においては、防汚性表面を保護するための粘着剤つき保護フィルム、印刷物を被着体へ貼着するための両面粘着シートを要し、かつ、両面粘着シートには、剥離シートも積層されており、最終的には粘着剤つき保護フィルム及び剥離シートを廃棄処理する必要があったのに対して、本発明の印刷媒体では、保護フィルムのフィルム基材のみが最終的に剥離除去されるのみであり、粘着剤成分の省材化を図ることができる印刷媒体として利用できる。
また、保護フィルムにより、印刷終了迄光触媒層を保護し、印刷後は、被着材へ簡易に貼り付けが可能なので、優れた印刷媒体としての利用を促進できる。
本発明の実施例1〜4及び実施例7による印刷媒体の模式断面図である。(A)印刷媒体構成を示す、(B)印刷後、被着体への貼着前の状態を示す。 実施例で得られた活性遮断層用塗膜のXPSの測定結果を示すグラフである。 本発明の実施例5、6及び8による印刷媒体の模式断面図である。(A)印刷媒体構成を示す、(B)印刷後、被着体への貼着前の状態を示す。 本発明の実施例9による印刷媒体の模式断面図である。(A)印刷媒体構成を示す、(B)印刷後、被着体への貼着前の状態を示す。
符号の説明
1、10、20. 印刷媒体
2、12. 基材シート
12a. 基材シート本体
12a. 紫外線遮蔽層
3. 活性遮断層(傾斜膜層)
4. 光触媒活性層
5. 保護フィルム
6. フィルム基材
7. 芯材
8A、8B、8C 粘着剤層

Claims (13)

  1. 基材シートの一方の面側に親水性の防汚層と、他方の面側に印刷面(インク受容層)を有し、かつ該防汚層の上面に保護フィルムを備える印刷媒体であって、該保護フィルムはフィルム基材と粘着剤層とを含み、該粘着剤層を、印刷後に防汚層から剥離して印刷面に貼着し、該フィルム基材を剥離して被着材に貼着可能としたことを特徴とする印刷媒体。
  2. 粘着剤層が、プラスチックフィルムからなる芯材を有し、該芯材の両面に粘着剤層を有するものである請求項1に記載の印刷媒体。
  3. 少なくとも防汚層側の粘着力が、微ないし弱粘着力である請求項1又は2記載の印刷媒体。
  4. 粘着剤層が、芯材のないノンサポート型の粘着剤層である請求項1に記載の印刷媒体。
  5. 粘着剤層の剥離力が、ソーダライムガラスに貼り付けた際に0.01〜4N/25mmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷媒体。
  6. フィルム基材の粘着剤層側の面が易剥離処理されたものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷媒体。
  7. 基材シートの全光線透過率が70%以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載の印刷媒体。
  8. 防汚層の水接触角が10°以下であり、実表面積Sと見かけの表面積S0の比表面積Rf(Rf=S/S0)が1.1以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の印刷媒体。
  9. 防汚層が、光触媒機能を有する微粒子及び/又はシリカ微粒子を含む組成物より形成されてなる光触媒活性層である請求項1〜8のいずれか1項に記載の印刷媒体。
  10. 光触媒活性層と基材シートの間に活性遮断層を設け、該活性遮断層が有機高分子化合物と金属酸化物系化合物とが化学的に結合した複合体を含み、かつ金属成分の含有率が該活性遮断層の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有するものであって、実質上、光触媒活性層との界面では金属酸化物系化合物成分の濃度が高く、かつ有機基材に当接している面では有機高分子化合物成分の濃度が高い有機−無機複合傾斜性を有する請求項9記載の印刷媒体。
  11. さらに、活性遮断層と基材シートの間に、380nm以下の紫外線を50%以上遮断する紫外線遮蔽層を設けたことを特徴とする請求項10記載の印刷媒体。
  12. さらに、基材シートに紫外線吸収剤が混錬されており、光触媒活性層から他方の面(印刷面)までの積層構造における、380nm以下の紫外線の遮断率が99%以上である請求項10〜11のいずれか1項に記載の印刷媒体。
  13. 前記基材シートが厚み25μm〜400μmのポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とする請求項1〜12いずれか1項に記載の印刷媒体。
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