JP4889442B2 - 外壁装飾用積層構造体及び外壁のリフォーム施工方法 - Google Patents

外壁装飾用積層構造体及び外壁のリフォーム施工方法 Download PDF

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Description

本発明は、外壁装飾用積層構造体及び外壁のリフォーム施工方法に関し、とりわけ、日光が当たる外壁の表面に簡単に貼り付け、その外観を装飾することを可能とする外壁装飾用積層構造体およびそれを用いるリフォーム施工方法に関するものである。
親水性を示す材料の一つである光触媒活性材料は、超親水化による表面浄化作用があることから、看板等の表面をメイテンナンスフリーで美麗に保つ、いわゆる防汚効果が期待されている。
外気に直接暴露又は長期間展示される印刷物において、少なくとも印刷層と、光活性を遮断する無機物からなる活性遮断層、及び光活性をもつ防汚層とから構成される保護層とを順次積層した積層体からなる耐候性印刷物が提案されている。(特許文献1参照)
この耐候性印刷物は、印刷面に粉塵や油分による汚れが付着しても、油分を分解し洗い流したり拭き取ることができ、表面の粉塵による汚染を防止し、紫外線遮蔽層との相乗作用で印刷物の光による変色や褪色を防止する効果を期待できる。
しかし、特許文献1の印刷物は、基材の表面に印刷を施し、その上層に活性遮断層、光活性層を塗り重ねて施すので、塗工時に使用する有機溶剤や加熱乾燥工程で印刷のにじみ、インクの蒸発・気化などの発生により印刷の鮮明さを損なう可能性があった。
また、基材の一方の面上に、光触媒機能を有する金属酸化物を含有する防汚層を少なくとも有し、かつ、昇華転写印刷法により、防汚層の表面から内部を透過して基材に画像を転写形成してなる印刷体が提案されている。(特許文献2参照)
しかし、特許文献2に記載の方法は、防汚層側から昇華転写印刷法により印刷を行うので、昇華インクが防汚層に残り、防汚性を初期的に低下させる、あるいは、昇華インクが経時的にブリードアウトして光触媒活性を低下させる危惧があった。
ところで、建築物の表面は野外暴露されているため、耐候性や汚染の影響で10年に1度程度の頻度で修復が必要となる。加えて建築物使用者のエクステリア装飾への関心の高まりや賃貸物件などの価値向上といった時代の要請もあって、外壁材などの修復頻度はより短期間になりはじめている。
一般的に外壁材の修復は、元の外壁材を剥がし基材を洗浄した後に新しい外壁材を貼り付ける必要がある。この工程は通常1週間以上の期間を必要とするため期間短縮が要請されている。加えて多量のゴミを排出するため、環境負荷も大きい。また、意匠性の選択肢も限られている。
これらの課題、要請を踏まえて、本出願人は、先に印刷可能な高耐久性防汚フィルムを特許出願した(特願2006−66613)。この先願で提案した防汚フィルムは、印刷可能な防汚フィルムであり、10年程度の優れた耐候性を有することが特徴の一つに挙げられる。所望の柄を裏面印刷した防汚フィルムを外壁に直接施工する工法は、煩雑な旧外壁の剥がし工程を必要としないことから、わずか1日の工程で施工できる施工の迅速性とゴミレス化、並びに意匠の選択の自由性が実現できる、優れたリフォーム工法である。しかしながら、本工法を質感良く行うためには、2つの問題点が存在する。
すなわち、当該防汚フィルムは、貼付ける外壁などの形状に対する追随性が少ないため、貼付け施工後のリフォーム外壁は、旧外壁にしばしば認められる凹凸構造を良く再現できないという第一の問題が判明した。
次に、表面が高屈折率な酸化チタンを含む当該防汚フィルムの表面は、一定の光沢を有することから高級な質感を演出できることがよく知られているが、同時に裏面の意匠性を良く再現できる高い透明性を有していることが災いして、下地の意匠、すなわち旧外壁材の意匠や汚染も透視されるという問題が発生した。これを解決する方法として、印刷済み防汚フィルムの印刷側裏面に白打ちを施す手法が考えられるが、この方法では下地の意匠を隠す効果は認められるものの、表面の光沢性という点においては不十分であるという第二の問題が判明した。
そこで、本発明者らは、形状追従性の欠如の第一の問題と、光沢等の質感の欠如の第二の問題を同時に解決できる方法を鋭意検討して本発明を完成した。
特開2000−117187号公報 特開2003−43960号公報
本発明は、貼り付け対象の外壁等の形状への追従性が良好で、かつ、貼り付け対象の外壁が透視されることなく光沢等の質感が得られる壁装飾用積層構造体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、防汚性フィルムの裏面に形状保持性(常温塑性変形性)を有する材料を複合化させた防汚性フィルムを用いることにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、
(1)一方の面側に防汚層を有し、他方の面側に印刷を施した防汚性プラスチックフィルムと金属フィルム又は金属メッシュから選択される金属層とを積層した積層構造体であって、金属層として下記条件による曲げ強度が100(g/5cm)未満であり、かつ防汚性プラスチックフィルムの戻り張力(g/5cm)よりも大きな形状保持力(g/5cm)を有するものを積層してなることを特徴とする外壁装飾用積層構造体、
a.金属層の曲げ強度:5cm×20cmに裁断したフィルムの一端を電子天秤上で固定し、他端を180°までゆっくりと曲げた時に、他端の下方へ発生する応力の最大値。
b.防汚性プラスチックフィルムの戻り張力:5cm×20cmに裁断したフィルムの一端を電子天秤上で固定し、他端を180°曲げた状態で静止した時の、他端の下方への応力値。
c.金属層の形状保持力:5cm×20cmに裁断したフィルムを二つ折りし、その一端をバネばかりに固定し、他端をゆっくり引き上げた時に発生する応力の平均値。
(2)防汚性プラスチックフィルムと金属層との積層に、初期並びにJIS K7350によるカーボンアーク式サンシャインウエザーメーターによる加速耐候試験3000時間後の状態において、全光線透過率が85%以上、曇り度(Hz)が5%以下、黄色み度(YI)が5以下である粘着剤シートを用いてなる前記(1)記載の外壁装飾用積層構造体、
(3)防汚性プラスチックフィルムが、暴露面から順に、防汚層としての光触媒活性層と活性遮断層、及び紫外線遮蔽層がプラスチックフィルム基材の一方の面側に積層された構造を有し、該活性遮断層が有機高分子化合物と金属酸化物系化合物とが化学的に結合した複合体を含み、かつ金属成分の含有率が該層の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有するものであって、実質上、光触媒活性層との界面では金属酸化物系化合物成分の濃度が高く、かつ、有機基材に当接している面では有機高分子化合物成分の濃度が高い有機−無機複合傾斜層からなり、該紫外線遮蔽層が380nm以下の紫外線を50%以上遮断する層であって、さらに、該プラスチックフィルム基材にも紫外吸収剤を配合されてなり、防汚層(光触媒活性層)からプラスチックフィルム基材の他方の面までの積層構造における、380nm以下の紫外線の遮断率が99%以上である前記(1)又は(2)に記載の外壁装飾用積層構造体、
(4)プラスチックフィルム基材がポリエチレンテレフタレートフィルムである前記(1)〜(3)のいずれか1に記載の外壁装飾用積層構造体、
(5)ラスチックフィルム基材の他方の面側にインク受容層を設けてなる前記(1)〜(4)のいずれか1に記載の外壁装飾用積層構造体、及び
(6)前記(1)〜(5)のいずれか1に記載の外壁装飾用積層構造体を用いることを特徴とする外壁のリフォーム施工方法、
を提供するものである。
本発明の外壁装飾用積層構造体は、一方の面側に光触媒層を有し他方の面側に印刷を施した防汚性プラスチックフィルムと金属層とを積層した外壁装飾用積層構造体であって、所定の測定方法による物性値において、金属層として曲げ強度が100(g/5cm)未満であり、かつ曲げた防汚性プラスチックフィルムの戻り張力(g/5cm)よりも大きな形状保持力(g/5cm)を有するものを積層しているので、修復等のため貼付対象とする壁面等の凹凸、変曲等に追随でき、かつ金属層の材質を反映した重厚な光沢感を有する外壁装飾用積層構造体である。
また、本発明のリフォーム施工方法は、リフォーム対象の外壁等に本発明の外壁装飾用積層構造体を貼付ることによって達成できるので、旧壁材の剥離工事や、廃棄処理を要せず、簡易にリフォーム工事を行うことができる。
光触媒層を備えているので、降雨、簡単な散水等により外壁装飾用積層構造体の表面を自己浄化作用により美麗にすることができ、メンテナンスフリーで、奇麗な外観を維持することができる。
本発明に使用できる防汚性プラスチックフィルムとしては、印刷層の支持体として支障のない程度の強度を有するとともに、屋外や太陽光暴露に耐え得る劣化の少ない材料であって、すくなくとも、印刷内容が光触媒層側から視認できる程度の透明性を有し、印刷用インクとの化学吸着力、親和力、相溶性に優れるプラスチックフィルムが用いられる。
プラスチックフィルムとしては、例えばポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、ポリスチレンやABS樹脂などのスチレン系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、6−ナイロンや6,6−ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、セルロースアセテートなどのセルロース系樹脂などからなるプラスチックフィルムを挙げることができる。
これらのうち印刷時に受ける熱への耐性や、機械的強度等の点で、ポリエチレンテレフタレートフィルムがより好ましい。
本発明においては、防汚性プラスチックフィルムに耐候性向上の対策を施したものを用いることが望ましい。例えば、プラスチックフィルム中に、ベンゾフェノール系、ベンゾトリアゾール系、シュウ酸アニリド系、シアノアクリレート系、トリアジン系等の有機系紫外線吸収剤や、酸化亜鉛に代表される紫外線散乱剤、ヒンダードアミン系光安定剤、励起エネルギー吸収剤、ラジカル捕捉剤等の一種またはこれらを適宜組合せて含有させることを例示されるが、これらに限定されるものではない。耐候性向上剤は、透明基材フィルム中全体に含有させる代わりに、防汚性プラスチックフィルム上に耐候性向上層として一層を設けてもよく、この場合は、使用する耐候性向上剤の使用量を削減でき、コスト低減を図ることができる。すなわち、防汚性プラスチックフィルムの一方の面の表層に耐候性向上剤を含有させて紫外線遮蔽層を設け、紫外線による劣化や表面のひび割れ、脆性等による破壊を防止することができる。
防汚性プラスチックフィルムは、厚みが20μm〜300μm、好ましくは50〜250μmの範囲であることが、積層される金属層との関係から好ましい。
一方、本発明の外壁装飾用積層構造体に用いられる金属層は、曲げられた防汚性プラスチックフィルムが元の形状に戻ろうとする張力に耐え得る形状安定性が求められる。
防汚性プラスチックフィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記載することがある。)フィルムをその基材とする場合、基材の厚さはその用途によって異なり、前記のように、20〜300μm、好ましくは50〜250μmの範囲で任意に選択される。
PETフィルムが、折り曲げられた際に元に戻ろうとする張力は、5cm×20cmに裁断したフィルムの一端を図2に示すように、電子天秤上で固定し、他端を180°曲げ、50mmの間隔を保持した状態で静止し、他端の下方への応力を測定する方法で測定した場合、張力は図1に示す通りである。
一方、積層させる金属層は、積層されて凹凸又は湾曲状等の形状を保つためには、この戻り張力以上の形状保持力を有する必要がある。
金属層は、材質及びその厚みにより折り曲げ状態等の形状を保持する力、即ち形状保持力はことなるので、アルミフィルム、銅フィルム、ステンレスフィルムの場合において、金属層の形状保持力の厚さ依存性を測定し、図3に示す。
金属層の形状保持力は、図4に示すように、5cm×20cmに裁断した金属層を二つ折りし、その一端をバネばかりに固定し、他端をゆっくり引き上げた時に発生した応力の平均値を測定した。
防汚性プラスチックフィルムと金属層の積層構造に所望の形状安定性を付与させるためには、以下の式(1)の関係が必要である。例えば50μmのフィルムを基材に用いた防汚性プラスチックフィルムに積層させる金属層は、防汚性プラスチックフィルムの戻り張力:0.3g/5cmを超える金属層が好ましく、少なくとも0.1mm厚以上の金属層であればどれを選択しても問題ないが、例えば188μmのフィルムを基材に用いた防汚性プラスチックフィルムに積層させる金属層では、防汚性プラスチックフィルムの戻り張力が12.4g/5cmを超える形状保持力が必要となり、0.1mm厚のアルミフィルムや銅フィルムでは所望の効果が得られない。
この様に防汚性プラスチックフィルムの基材の戻り張力によって、複合化させる金属層の形状保持力の下限が決定される。複合化させる金属層の形状保持力は、式(1)の関係を満たすことが好ましく、式(2)の関係を満たすことがさらに好ましい。
・式(1)
防汚性プラスチックフィルムの戻り張力 < 金属層の形状保持力 (1)
・式(2)
2×防汚性プラスチックフィルムの戻り張力 < 金属層の形状保持力 (2)
一方、ロール上に巻き取られた本発明の外壁装飾用積層構造体を、修復すべき外壁に施工する際、ロールから引き出した本発明品を、旧外壁の形状に追随させるように折り曲げながら貼り付け施工することになるが、この際の施工の容易性も重要になる。
防汚性プラスチックフィルム/金属層積層フィルムが曲げ難い硬さを有している場合は、作業が不便になるばかりでなく、フィルム表面の防汚層を破壊してしまう可能性がある。この様な事情から、積層フィルムの曲げ強度は100g/5cm以下であることが好ましい。
積層フィルムの曲げに対する強度(曲げ強度)は、実質的には積層させた金属層の材質や厚みによって決まる。
そこで、図5に示すように、5cm×20cmに裁断した金属層の一端を電子天秤上で固定し、他端を180°までゆっくりと曲げ、間隔を50mmに保持したときに、他端の下方へ発生した応力の最大値を測定する方法によって曲げ強度を求めた。図6に各種金属層の厚みと曲げ強度の関係を示す。
これらの結果より、金属層の厚みは、その曲げ強度が100g/5cm以下となるように、その上限が制限される。例えばアルミフィルムの場合であれば、その厚さは0.22mm以下であれば良いが、銅フィルムであればその厚みは0.18mm以下に制約される。
またステンレスフィルムであれば、その厚みは0.12mm以下にまで制約される。
この様な事情を総合的に考慮すると、本発明において積層させることが可能な金属層は、その膜厚に大きな制約を受ける。表1に、アルミフィルム、銅フィルム、ステンレスフィルムを例に挙げ、防汚性プラスチックフィルムと組み合わせが可能な金属層の例を示す。
但し、本発明において積層可能な金属層はあくまでも式(1)と曲げ強度 < 100g/5cmの両方を兼ね備えたものであって、表1の事例に限られるものではない。
Figure 0004889442
また、防汚性プラスチックフィルムの高い透明性を活かすことで、表面の光沢を調整することができる。例えば褐色のレンガ調の印刷を施した防汚性プラスチックフィルムを金属層に貼り合わせる場合、いずれの金属層と貼り合わせても高級な光沢感を得ることができるが、特に黄金色の銅フィルムとの組み合わせが、好ましい組み合わせとして挙げられる。
一方、白色系の大理石調の印刷を施した防汚性プラスチックフィルムを金属層に貼り合わせる場合では、いずれの金属層と貼り合わせても高級な光沢感を得ることができるが、特に白色のアルミフィルムとの組み合わせが、好ましい組み合わせとして挙げられる。
また、重厚感のある御影石調の印刷を施した防汚性プラスチックフィルムを金属層に貼り合わせる場合では、いずれの金属層と貼り合わせても高級な光沢感を得ることができるが、特にステンレスフィルムとの組み合わせが、好ましい組み合わせとして挙げられる。
なお、金属層積層によるこれらの相乗効果は、人間の感性を刺激するものであるため、一般論として言及することは可能であるが、これによって印刷の色調が金属層の材質に制約を与えるものではない。
この様な色調の相乗効果を得るためには、防汚性プラスチックフィルムと金属層を貼り合わせる粘着シートには、初期的にも野外暴露10年後においても高い透明性が求められる。具体的には、初期並びにJIS K7350によるカーボンアーク式サンシャインウエザーメーター(SWM)(スガ試験機製、S300)による加速耐候試験(サンシャインウェザーメーター)3000時間後の状態において、全光線透過率が85%以上、曇り度(Hz)が5%以下、黄色み度(YI)が5以下であることが求められる。
一方、銅フィルムと外壁材を接着する粘着シートにおいては、高い透明性は特に必要ないが、5.0N/25mm以上の強い粘着力と、剥がしたときに外壁材に糊が残らない再剥離性が求められる。接着剤を外壁材に直接塗布しても良いが、あらかじめ本発明の外壁装飾用積層構造体に両面粘着シートを既設しておく方が、施工自体が簡便となり好ましい。
また、積層させる金属層は、全面がフィルム状であることが最も好ましいが、金属製メッシュに替えることも可能である。この場合であっても、本発明において積層させることが可能な金属メッシュは、その曲げ強度が100(g/5cm)未満であり、かつ式(1)を満たすことが求められる。
次いで、本発明の外壁装飾用積層構造体に用いられる防汚性プラスチックフィルムの構成について説明する。
防汚性プラスチックフィルムに用いられる透明基材フィルムには、フィルム自体の劣化及び印刷層の耐色を防ぐため光触媒活性遮断層、紫外線遮蔽層を配置し、あるいは印刷インクとの密着性をさらに向上させるために、所望により、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は基材の種類に応じて適宜選ばれる。
透明基材フィルムは、印刷内容が視認できる程度の透明性が必要であるが、必ずしも無色透明である必要はなく、着色された透明であってもよい。
透明性としては、概ね全光線透過率が70%以上のものが使用できる。
光触媒層を防汚層として使用する際には、透明基材フィルムの一方の面側に設ける活性遮断層は、光触媒作用による透明基材フィルムの劣化を防止するためおよび印刷層への影響を阻止するために設けるもので、透明基材フィルムに対する密着性を向上させる機能も有しており、通常、光触媒フィルムの中間層として用いられるものを使用できる。
一般に中間層としては、シリコーン樹脂やアクリル変性シリコーン樹脂などからなる厚さ数μm程度のものが用いられており、本発明においてこれらのものも使用できる。
本発明において、前記従来の中間層を活性遮断層としてもよいが、その際、要すれば、透明基材フィルム表面には、前述の表面処理や変性材料によるラミネートを施してもよい。
変性材料としては、ポリエステルや、エポキシ基、ウレタン基を含むものが好適に使用される。
外壁装飾用積層構造体として高い耐久性、耐候性を望む場合には、活性遮断層は、有機高分子化合物と金属酸化物系化合物とが化学的に結合した複合体を含み、かつ金属成分の含有率が該膜の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有するものであって、実質上、光触媒層との界面では金属酸化物系化合物成分の濃度が高く、かつ透明基材フィルムに当接している面では有機高分子化合物成分の濃度が高い有機−無機複合傾斜層とすることがより望ましい。
本発明に用いられる活性遮断層としては、一般式(I)で表される金属アルコキシドの加水分解縮合物(A)を少なくとも1種類以上含むコーティング組成物から形成されているものを挙げることができる。
MR1 x(OR2m-x ‥(I)
一般式(I)中、MはSi,Ti,Al,Zrの金属、R1はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基又はアシル基、R2は炭素数1〜6のアルキル基、mは金属Mの価数、xは0〜2の整数を示す。
このような、有機−無機複合傾斜層による前記活性遮断層を、金属アルコキシドの加水分解縮合物(A)および無機塩類、有機塩類、無機酸化物およびアルコキシド類の中から選ばれる少なくとも1種のチタン以外の金属の化合物(B)とを含むコーティング組成物から形成することが、耐久性、耐クラック性、耐候性の点でより望ましい。
前記金属アルコキシドの加水分解縮合物(A)としては、非晶質酸化チタン形成用化合物、すなわち(A)成分としては、例えば一般式(II)
TiR1 x(OR24-x …(II)
(式中、式中、R1、R2、xは前記一般式(I)に同じ。)
で表されるチタンアルコキシドをそのまま含むものであってもよいし、その加水分解・縮合物を含むものであってもよく、あるいはその両方を含むものであってもよいが、加水分解・縮合物がより好ましい。
前記一般式(II)において、R1は非加水分解性基であって、そのうちのアルキル基は
、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、また、アルケニル基およびアルキニル基は、
炭素数2〜20のものが好ましい。アリール基は、炭素数6〜20、アラルキル基は、炭
素数7〜20のものが好ましい。さらに、アシル基としては、炭素数2〜20の脂肪族ア
シル基や、炭素数7〜20の芳香族アシル基(アロイル基)を好ましく挙げることができ
る。
一方、OR2は加水分解性基であって、R2で示される炭素数1〜6のアルキル基は、直
鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、その例としては、メチル基、エチル基、n
−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、te
rt−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが
挙げられる。xは0〜2の整数であり、R1が複数ある場合、各R1はたがいに同一であっ
てもよいし、異なっていてもよく、またOR2が複数ある場合、各OR2はたがいに同一で
もよいし、異なっていてもよい。
この一般式(II)で表されるチタンアルコキシドの中ではチタンテトラアルコキシドが
好ましく、該チタンテトラアルコキシドの例としては、チタンテトラメトキシド、チタン
テトラエトキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、
チタンテトラ−n−ブトキシド、チタンテトライソブトキシド、チタンテトラ−sec−
ブトキシドおよびチタンテトラ−tert−ブトキシドなどが好ましく挙げられる。これ
らは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の活性遮断層を形成する組成物において、加水分解・縮合に用いる溶媒としては、アルコール類が好ましく、炭素数3以上のエーテル系酸素を有するアルコール類が、加水分解−縮合反応の制御および縮合物の安定化の点からさらに好ましい。
この炭素数3以上のエーテル系酸素を有するアルコール類としては、チタンアルコキシドに対して相互作用を有する溶剤、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのセロソルブ系溶剤、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどを挙げることができる。これらの中で、特にセロソルブ系溶剤が好ましい。これらの溶剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
チタンテトラアルコキシドの加水分解・縮合物を用いる場合、チタンテトラアルコキシ
ドの加水分解−縮合反応は、チタンテトラアルコキシドに対し、好ましくは4〜20倍モ
ル、より好ましくは5〜12倍モルの前記アルコール類と、好ましくは0.5以上4倍モ
ル未満、より好ましくは1〜3.0倍モルの水を用い、塩酸、硫酸、硝酸などの酸性触媒
の存在下、通常0〜70℃、好ましくは20〜50℃の範囲の温度において行われる。酸
性触媒は、チタンテトラアルコキシドに対し、通常0.1〜1.0倍モル、好ましくは0
.2〜0.7倍モルの範囲で用いられる。
一方、(B)成分であるチタン以外の金属化合物は、非晶質酸化チタンの結晶化阻害化合物として機能するものであり、効果の点から、無機塩類、有機塩類およびアルコキシド類の中から選ばれる化合物、具体的には、硝酸、酢酸、硫酸、塩化アルミニウムならびにジルコニウムの各塩類、ならびに、これら無機塩類の水和物、アルミニウムトリアセチルアセトナートなどのアルミニウムキレート類、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシランなどの金属アルコキシド類、ならびにこれら化合物の加水分解物、あるいは、その縮合物を挙げることができる。これらの中で、チタン以外の金属がアルミニウムおよび/またはジルコニウムであるものが好ましく、特に硝酸アルミニウムならびにその水和物がより好ましい。前記金属化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この(B)成分であるチタン以外の金属化合物は、前記(A)成分を含む液にそのまま添加すればよく、その添加順序については特に制限はない。
本発明の活性遮断層の形成においては、(B)成分であるチタン以外の金属化合物の使用量は、チタン原子に対して、通常5〜50モル%の範囲で選定される。使用量が5モル%以上であれば、良好な結晶化阻害効果が得られ、また50モル%以下では非晶質酸化チタンが本来有する物理的性質が良好に発揮される。チタン以外の金属化合物として硝酸アルミニウムを用いる場合の特に好ましい使用量は10〜30モル%の範囲である。
このようにして得られた本発明の活性遮断層形成用コーティング組成物は、前述した性状を有するものであり、その固形分濃度は、通常0.1〜30質量%程度、好ましくは0.5〜20質量%程度である。このコーティング組成物を、所望の基材上に、乾燥厚さが0.01〜2μm程度、好ましくは0.02〜0.7μmになるように塗布し、例えば常温乾燥することにより、あるいは所望により、さらに加熱処理することにより、無色で透明性に優れ、50nm〜5μm程度の長さの微小なクラックなどが新たに発生しにくい非晶質酸化チタン複合塗膜を形成することができる。
本発明の活性遮断層形成用コーティング組成物は、さらに、(C)非晶質酸化チタンと化学結合し得る有機成分を含ませることにより、透明基材フィルム上に塗膜を設けた場合に、非晶質酸化チタン成分の含有率が、該塗膜の表面から基材に向かって傾斜する、自己傾斜性を有する組成物からなる塗膜とすることができる。
この(C)非晶質酸化チタンと化学結合し得る有機成分としては、例えば(a)金属を含まないエチレン性不飽和単量体と、(b)カップリング性ケイ素含有基を有するエチレン性不飽和単量体とを共重合させることにより得られる有機高分子化合物を好ましく挙げることができる。
上記(a)金属を含まないエチレン性不飽和単量体としては、例えば一般式(III)
Figure 0004889442
(式中、R3は水素原子またはメチル基、Xは一価の有機基である。)
で表されるエチレン性不飽和単量体、好ましくは一般式(III−a)
Figure 0004889442
(式中、R3は水素原子またはメチル基、R4は一価の炭化水素基またはエポキシ基、ハロゲン原子若しくはエーテル結合を有する炭化水素基を示す。)
で表されるエチレン性不飽和単量体を一種または二種以上混合して使用してもよい。
上記一般式(III−a)で表されるエチレン性不飽和単量体において、R4で示される炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基を好ましく挙げることができる。炭素数1〜10のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、および各種のブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などが挙げられる。炭素数3〜10のシクロアルキル基の例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロオクチル基などが、炭素数6〜10のアリール基の例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、メチルナフチル基などが、炭素数7〜10のアラルキル基の例としては、ベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
エポキシ基、ハロゲン原子若しくはエーテル結合を有する炭化水素基としては、これらの基、原子若しくは結合を有する炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基を好ましく挙げることができる。上記置換基のハロゲン原子としては、塩素原子等が挙げられる。
この一般式(III−a)で表されるエチレン性不飽和単量体の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3−グリシドキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、2−ブロモエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記一般式(III)で表されるエチレン性不飽和単量体としては、これら以外にもスチレン、α−メチルスチレン、α−アセトキシスチレン、m−、o−またはp−ブロモスチレン、m−、o−またはp−クロロスチレン、m−、o−またはp−ビニルフェノール、1−または2−ビニルナフタレンなど、さらにはエチレン性不飽和基を有する重合性高分子用安定剤、例えばエチレン性不飽和基を有する、酸化防止剤、紫外線吸収剤および光安定剤なども用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、前記(b)カップリング性ケイ素含有基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば一般式(IV)
Figure 0004889442
(式中、R5は水素原子またはメチル基、Aは炭素数1〜4のアルキレン基、R6はメチル基又はエチル基を示す。)
で表される化合物を好ましく挙げることができる。前記一般式(IV)において、3つの
6はたがいに同一でも異なっていてもよい。
この一般式(IV)で表されるエチレン性不飽和単量体の例としては、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
この(b)成分のカップリング性ケイ素含有基を有するエチレン性不飽和単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記(a)成分の金属を含まないエチレン性不飽和単量体と、(b)成分のカップリング性ケイ素含有基を有するエチレン性不飽和単量体とを、ラジカル重合開始剤の存在下、ラジカル重合させることにより、(C)成分の成分として用いられるカップリング性ケイ素含有基を有する有機高分子化合物からなる自己傾斜性を有する化合物が得られる。
本発明の活性遮断層においては、このようにして得られた(C)成分であるカップリング性ケイ素含有基を有する有機高分子化合物をアルコール、ケトン、エーテルなどの適当な溶剤中に溶解させた溶液と、前述の(A)成分であるチタンアルコキシドの加水分解・縮合物と、(B)成分のチタン以外の金属化合物単体および/またはそれを含む反応液を必要により希釈した溶液とを混合することにより、前記有機高分子化合物中のカップリング性ケイ素含有基が加水分解し、(A)成分の反応液におけるチタンアルコキシドの加水分解縮合物と選択的に反応し、有機−無機複合傾斜膜形成用のコーティング組成物、すなわち本発明における外壁装飾用積層構造体用フィルム基材の活性遮断層用組成物が得られる。
なお、この際、用いるチタンアルコキシドの加水分解縮合物を含む反応液の希釈溶媒としては、前述した理由により炭素数3以上のエーテル系酸素を有するアルコール類を含む溶媒を使用することが望ましい。
このようなコーティング組成物を用いることにより、透明基材フィルムに塗布、乾燥した際に、実質上透明基材フィルム側が有機高分子化合物成分で、その反対側が非晶質酸化チタン成分であって、両者の含有割合が膜厚方向に連続的に変化する良好な成分傾斜構造を有する有機−無機複合傾斜膜を、安定して形成することができる。そして、この有機−無機複合傾斜膜を活性遮断層とすることができる。
この複合傾斜性の活性遮断層は、無機成分として非晶質酸化チタン成分を含むことにより、促進耐候試験下に曝露されても、無機成分の結晶化が抑えられるため、機械的特性の低下、クラックの発生、透明性の低下などが抑制される。
なお、非晶質酸化チタン成分を含むコーティング組成物の、酸化チタンの非晶質の程度は、本出願人の先願である、特開2005−336334号公報記載の方法で測定することができる。
透明基材フィルム上に、活性遮断層としての複合傾斜膜を形成させるには、このようにして得られた本発明のコーティング組成物を、乾燥塗膜の厚さが、通常5μm以下、好ましくは0.01〜1.0μm、より好ましくは0.02〜0.7μmの範囲になるように、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などの公知の手段により塗布し、溶媒を揮散させて塗膜を形成させる。
また、活性遮断層の傾斜構造の確認は、例えば塗膜表面にスパッタリングを施して膜を削っていき、経時的に膜表面の炭素原子とチタン原子の含有率を、X線光電子分光法などにより測定することによって、行うことができる。
この活性遮断層としての複合傾斜膜における金属成分の含有量は、特に制限はないが、金属酸化物換算で、通常5〜98質量%、好ましくは20〜98質量%、特に好ましくは50〜95質量%の範囲である。有機高分子化合物の重合度や分子量としては、製膜化し得るものであればよく特に制限されず、高分子化合物の種類や所望の傾斜膜材料の物性などに応じて適宜選定すればよい。
本発明の光触媒層としては、一般的に光触媒層として用いられているアナターゼ型の酸化チタンをバインダーで固めた層でもよいが、耐久性、耐候性を考慮して、次の組成物により構成することが望ましい。
すなわち、本発明の改良された光触媒層のコーティング組成物としては、前記(A)、(B)に、さらに(D)光触媒機能を有する微粒子および/またはシリカ微粒子を含めることができる。
前記光触媒機能を有する微粒子としては、アナターゼ型結晶を主成分とする酸化チタン粒子を用いることができる。
前記アナターゼ型結晶を主成分とする酸化チタン微粒子(以下、アナターゼ結晶酸化チタン粒子と称すことがある。)は、光触媒粒子であり、少量のルチル型結晶が混在していてもよく、また、窒化チタンや低次酸化チタン等を一部含む可視光応答型の光触媒粒子も使用することができる。このアナターゼ結晶酸化チタン粒子の平均粒子径は、1〜500nmの範囲が好ましく、1〜100nmの範囲がより好ましく、1〜50nmの範囲が優れた光触媒機能を有するために最も好ましい。上記平均粒子径は、レーザー光を利用した散乱法によって測定することができる。
また、当該酸化チタン粒子の内部および/またはその表面に、第二成分として、V、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、PtおよびAuの中から選ばれる少なくとも1種の金属および/または金属化合物を含有させると、一層高い光触媒機能を有するため好ましい。前記の金属化合物としては、例えば、金属の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、硫酸塩、ハロゲン化物、硝酸塩、さらには金属イオンなどが挙げられる。
第二成分の含有量はその物質の種類に応じて適宜選定される。
このアナターゼ結晶酸化チタン粒子は、従来公知の方法によって製造することができるが、塗工液中に均質に分散させるために酸化チタンゾルの形態で用いるのが有利である。
該酸化チタンゾルを製造するには、例えば粉末状のアナターゼ結晶酸化チタンを酸やアルカリの存在下で解こうさせてもよいし、粉砕によって粒子径を制御してもよい。また、硫酸チタンや塩化チタンを熱分解あるいは中和分解して得られる含水酸化チタンを物理的、化学的な方法で結晶子径、粒子径の制御を行ってもよい。さらにゾル液中での分散安定性を付与するために、分散安定剤を使用することができる。
一方、コロイダルシリカは光触媒膜に、暗所保持時においても超親水性維持性能を発現させる作用を有している。
光触媒は、紫外線などの光の照射によって、その表面に存在する有機物質を分解する性質や、超親水化を発現するが、暗所では、一般にこのような光触媒機能が発現されない。
しかし、光触媒膜中にコロイダルシリカを含有させることにより、該光触媒膜は、暗所でも超親水性維持性能を発現する。
このコロイダルシリカは、高純度の二酸化ケイ素(SiO2)を水またはアルコール系
溶剤に分散させてコロイド状にした製品であって、平均粒子径は、通常1〜200nm、好ましくは5〜50nmの範囲である。シリコンアルコキシドの加水分解・縮合物では、反応が終結していないので、水で溶出されやすく、それを含む光触媒膜は耐水性に劣る。
一方、コロイダルシリカは、反応終結微粒子であるため、水で溶出されにくく、それを含む光触媒膜は、耐水性が良好なものとなる。
さらに、防汚層の表面は、常に降雨に曝されうる環境にあることから、防汚層被膜には、高い耐水性が求められる。耐水性の評価としては、具体的には、80℃の温水に24時間浸漬した場合において、光触媒微粒子及び/またはシリカ粒子と耐水性バインダーの脱落が10質量%以下であり、その表面の組成・形状・特性が大きく変化しないことが一応の目安となる。
防汚層は、光触媒微粒子及び/又はシリカ粒子と耐水性バインダーを含む塗工液を成膜して得た薄膜であって、その耐水性バインダーは、活性遮断層に用いられた組成と同様に、前記金属アルコキシドの加水分解縮合物(A)または非晶質酸化チタン形成用化合物(B)、(C)成分であるチタン以外の金属化合物単体および/またはその反応液を含む液を含むものとすることができる。該耐水性バインダーに(E)所定量のアナターゼ結晶酸化チタンゾルと場合によりコロイダルシリカを加え、均質に分散させることにより、防汚層(光触媒層)用のコーティング組成物を調製することができる。
このようにして調製された光触媒機能を有するコーティング組成物を活性遮断層が形成された透明基材フィルム上に、公知の方法、例えばディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などにより塗布し、成膜したのち、自然乾燥または加熱乾燥することにより、所望の光触媒膜すなわち光触媒層が得られる。加熱乾燥する場合は、200℃以下の温度を採用することができる。
このように、成膜したのち、低温での保持処理により、形成された光触媒膜は、十分な光触媒機能を発現し得るので、本発明の装飾性フィルム用印刷フィルムとして、好適に用いることができる。
また、印刷インクの耐候性(耐退色性)を向上させるためには、防汚層(光触媒層)から透明基材フィルムの他方の面側までの積層構造における、380nm以下の紫外線の遮断率が99%以上の防汚性印刷用シートとすることが好ましい。これは、色素が380nm以下の紫外線で分解され、退色するのを極力抑止するためである。
一方、防汚層(光触媒層)と透明基材フィルムの間に380nm以下の紫外線を少なくとも50%以上遮断する紫外線遮蔽層を介在させることが好ましく、より好ましくは、350nm以下の紫外線を少なくとも90%以上遮断する。この紫外線遮蔽層を介在させることによって、透明基材フィルム自体の黄変などの変色が防止される。
一例として、この紫外線遮蔽層を介在させることによって、透明基材フィルムへの380nm以下の紫外線の侵入をカットし、かつ、透明基材フィルム自体に配合した紫外線吸収剤とで380nm以下の紫外線の遮断率を99%とすれば、色素への紫外線の侵入も確実に阻止できる。
この種の紫外線遮蔽層としては、透明基材フィルムの一方の面側に紫外線吸収剤を含む紫外線遮蔽層を設けることができる。また、紫外線散乱剤、ヒンダードアミン系光安定剤や励起エネルギー吸収剤、ラジカル補足剤などの一種またはこれらを適宜組み合わせて含有させたものでも良い。該紫外線遮蔽層を形成した後の透明基材フィルムを含めた全光線透過率は、印刷後の印刷物の視認性の観点から80%以上であることが、好ましい。
なお、紫外線の遮断率は、UV−Vissスペクトルより簡便に測定できる。
また、本発明においては、紫外線吸収剤は380nm以下の紫外光を吸収する物質であれば特に制限はないが、好ましくは以下の化合物が好ましく挙げられる。
用いられる紫外線吸収剤の例としては、具体的には、2(2'−ヒドロキシー5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2'−ヒドロキシー3',5'−ジーt−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2'−ヒドロキシー3',5'−ジーt−ブチルフェニル)―5―クロロベンゾトリアゾール、2(2'−ヒドロキシー3'―t−ブチルー5'−メチルフェニル)―5―クロロベンゾトリアゾール、2(2'−ヒドロキシー3',5'−ジーt−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2'−ヒドロキシー5'−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2'−ヒドロキシー5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類;2,4−ジーt−ブチルフェニルー3,5−ジーt−ブチルー4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類、エチルー2−シアノー3,5−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート類;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシー4−アセトキシエトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシー4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシー4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシー4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシー4−o―オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−i−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシー4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシー4,4'−ジメトキシージスルホベンゾフェノンージーナトリウム塩、2−ヒドロキシー4−(2−ヒドロキシー3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシー4−オクタデシルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;フェニルサリチレート、p−t−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート等のサリチル酸エステル類、2−シアノー3,3−ジフェニルアクリル酸エチル、2−シアノー3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシルなどの置換アクリロニトリル類などが挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
光安定化剤の例としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノー1,3,5−トリアジンー2、4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルイミド]、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチルー4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(ミックスト2,2,6,6−テトラメチルー4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、N,N‘−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンー2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチルー4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、[N−(2,2,6,6−テトラメチルー4−ピペリジル)−2−メチルー2−(2,2,6,6、−テトラメチルー4−ピペリジル)イミノ]プロピオンアミド、TINUVIN770,123,144,622(以上、Ciba Geigy社製品名)、SANOL LS−770,765,292,2626(以上、三共(株)製品名)、アデカスタブ LA−52,57,62(以上、旭電化(株)製品名)等のヒンダードアミン類が使用可能である。これらの光安定化剤は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、前記紫外線吸収剤と併用することもできる。
紫外線散乱剤の例としては、主に金属酸化物粉末などの無機系材料を挙げることができ、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどを微粒子化した粉末、あるいは二酸化チタン微粒子を酸化鉄で複合化処理してなるハイブリッド無機粉末、酸化セリウム微粒子の表面を非晶質シリカで被覆してなるハイブリッド無機粉末などが挙げられる。紫外線散乱剤とは紫外線を散乱させることによって紫外線遮蔽効果をもたらす材料であるが、紫外線散乱効果は粒子径に大きく影響を受けるので、その平均粒径は5μm以下が好ましく、特に10nm〜2μmの範囲が好ましい。なお、この紫外線散乱剤が光触媒活性を有するものである場合には、粒子表面を水ガラスなどで薄く被覆して光触媒活性をなくしたものを用いることが好ましい。
本発明の外壁装飾用積層構造体のプラスチックフィルムの印刷面には、インク受容層を設けることができる。
単に表面を改質しただけのインク受容層は、印刷インクとの密着性を向上させるためのもので、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことにより設けることができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は透明基材フィルムの種類、印刷インクの種類に応じて適宜選ばれる。具体的なインク受容層は、例えば、オフセット印刷やシルクスクリーン印刷では、印刷インキ易接着層、インクジェット方式ではインク受容層、電子写真記録方式ではトナー受容層等である。
本発明の外壁装飾用積層構造体においては、防汚性プラスチックフィルムの段階において、前記光触媒層の表面に保護剥離フィルムを積層することができる。
光触媒層の表面に保護剥離フィルムを設けるのは、摩耗、擦過に弱い光触媒層を、光触媒活性作用を発現させて使用を開始するまで保護する目的であり、特に外壁への貼付施工の際の摩耗、擦過を防ぐためである。
このため、光触媒層の剥離シート表面には、凹凸処理や、各種処理を施すことが望ましい。
さらに、光触媒層の表面剥離シートの他方の面側には、粘着剤層を形成することが、剥離シートの取付や、最終段階での剥離に便利である。
上記粘着剤としては、光触媒層との粘着性、影響度、粘着力等を勘案して、選択される。使用できる粘着剤としては、例えば従来から一般的に使用されているアクリル系、ウレタン系、シリコーンゴム系、ゴム系などの粘着剤を適宜使用でき、特に限定されるものでないが、粘着力と再剥離性を設計しやすいアクリル系粘着剤がより好ましい。
また、本発明の外壁のリフォーム施工方法は、外壁装飾用積層構造体を修復すべき外壁面の凹凸、湾曲等に応じて、金属層が積層された外壁装飾用積層構造体を変形させつつ、粘着剤等によって貼着することにより達成される。
以下、本発明を実施例及び比較例により説明するが、本発明は、以下の例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例に示す全光線透過率、ヘイズ、成分傾斜性は、以下に示す要領に従って求めた。
〔塗膜の全光線透過率及び曇り度(Hz)〕
JIS K7361−1に準拠し、下記の装置、測定サンプルを用いて、全光線透過率と曇り度(Hz)を測定した。
装置名; 日本電色(株)製 Haze Mater NDH2000
(成分傾斜性:X線光電子分光測定法による測定)
XPS装置「PHI−5600」[アルバックファイ(株)製]を用い、アルゴンスパッタリング(4kV)を3分間隔で施して膜を削り、膜表面の炭素原子と各金属原子の含有率を測定し、傾斜性を調べた。
〔黄色み度=色相(YI)〕
下記の装置を用いて測定した。
装置名;(株)島津製作所製、紫外可視分光光度計「UV-2100」
積分球反射装置;「ISR-210」を装着
測定条件;測定値:反射率、測定波長範囲:380〜780nm、スリット幅:5nm、試料面への入射角:8度、ベースライン:空気
測定方法;反射試料側に位置しているBaSO4標準白板の前面に防汚層面が入射側になるように測定試料を設置して測定した。
実施例1
(光触媒層つきフィルムの作成)
(1)高耐候高耐退色性PETフィルムの作成
紫外線吸収剤を練り込んだポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基材(帝人デュポンフィルム製、HB−3 厚み100μm、幅1600mm)2aの上面にHALSがハイブリッドされた紫外線吸収性コーティング剤(日本触媒(株)製、ユーダブルシリーズUV−G301)100重量部とイソシアネート系硬化剤(住友バイエルウレタン(株)製、デスモジュールN3200)を12重量部の割合で混合したコーティング液を塗布した後、熱架橋させた紫外線遮蔽2bを5μm厚みで設けた全厚み105μmPETフィルム(a)を作成した。
(2)活性遮断層の成膜
1Lセパラブルフラスコに窒素雰囲気下でメチルイソブチルケトン424.0g、メタクリル酸メチル200.0g、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン23.5gを添加し、60℃まで昇温した。この混合溶液にアゾビスイソブチロニトリル1.9gを溶かしたメチルイソブチルケトン溶液を滴下し重合反応を開始し、30時間攪拌し有機成分溶液(b)を得た。
チタンテトライソプロポキシド35.55gをエチルセルソルブ70.02gに溶解した溶液に、60質量%硝酸5.94g、水2.14gとエチルセロソルブ27.39gの混合溶液を攪拌しながらゆっくりと滴下し、その後30℃で4時間攪拌し混合溶液(c)を得た。
次いで、上記混合溶液(c)とエチルセルソルブおよび異種金属化合物として硝酸アルミニウムを用いて、硝酸アルミニウムの添加量がTi原子に対して15モル%、溶液全体の固形分濃度が5質量%になるように調製し、複合金属化合物の溶液(d)を得た。
次いで、上記溶液(b)1.46g、メチルイソブチルケトン47.15g、エチルセルソルブ19.01g、溶液(d)29.60gおよびコロイダルシリカ分散液2.78gを混合し、15分間攪拌した。その後5〜10℃で一晩保管し、有機―無機成分傾斜溶液(f)を得た。
次に、この有機―無機成分傾斜溶液(f)を図7に示す透明基材フィルム2としての高耐候高耐退色性PETフィルムの紫外線遮蔽層2b上にバーコートにより膜厚が100nmになるように成膜して、活性遮断層3を形成した。
前記のXPS測定法により、この活性遮断層3の成分傾斜性を調べたところ、有機成分と無機成分の成分傾斜が確認された。XPS測定結果を図8に示す。
(3)光触媒層の成膜ならびに粘着処理による印刷用基材の作製、印刷
エチルセルソルブ40.63g、1−プロパノール44.50gの混合溶媒に、60質量%硝酸0.34g、水6.84g、光触媒分散液(チタン工業社製「PC−201、固形分濃度20.7重量%」)0.483gおよびコロイダルシリカ分散液(日産化学社製「スノーテックス IPA−ST、固形分濃度30重量%」)2.167gを添加し、さらに上記溶液(c)5.00gを加え、全体の固形分濃度が1質量%になるように調製し、光触媒液(g)を作製した。
この光触媒溶液を、上記活性遮断層3を備えたPETフィルムにバーコートにて膜厚が40nmになるように成膜して、光触媒層4を形成した。さらに、この光触媒層の上に厚さ30μmのPET製剥離フィルム5をコールドラミネートし、目的の防汚性PETフィルムの未印刷フィルムとした。
前記(3)で得られた防汚性PETフィルムの印刷側にUVインク印刷法にて褐色レンガ調の印刷を施した。印刷面6にさらに透明な両面粘着シート7(PD−S1 パナック社製)を貼り合わせ、次いで銅フィルム8(0.05mm厚、アジヤアルミ(株)製)を貼り、その上に、強粘着再剥離型両面粘着シート9(DIC8612DFT 大日本インキ化学社製)の強粘着側を銅フィルムに貼り合わせた(再剥離粘着材側は、外壁面に接する側となる)。
得られた外壁装飾用積層構造体を、一片が108mm×60mmのタイル地の外壁(10m2)に、その凹凸に追従させながら施工した結果、2時間の工程でその作業を終了することができた。
そのまま1年間暴露試験を行った後も、形状追随性、色褪せ、汚れ付着などの異常は見あたらなかった。
実施例2〜5、比較例1〜4
PETフィルムの厚みを50、100、188及び250μmとし、実施例1と同様に褐色のレンガ調印刷を施した防汚性PETフィルムを準備した。
これらの厚みの異なる印刷済み防汚性PETフィルムに、表2に示すように、厚み0.02、0.05、0.18、0.20mmの銅フィルムを張り合わせ、実施例1と同様に
一片が108mm×60mmのタイル地の外壁(10m2)に、その凹凸に追従させながら施工した。
これらの評価結果は、実施例2〜5は、施工性に問題なく、そのまま1年間暴露試験を行った後も、形状追随性、色褪せ、汚れ付着などの異常は見あたらなかった。
一方、PETフィルムの戻り張力よりも小さな形状保持力の銅フィルムを張り合わせた比較例1〜3は、タイル壁面の凹凸部で部分的に経時剥がれが発生した。
また、曲げ強度が120g/5cmの厚み0.2mmの銅フィルムでは、タイルの凹凸に追随して施工しようとすると、防汚性PETフィルムの光触媒層が破壊され、経時的に白濁が増加した。
Figure 0004889442
実施例6〜12、比較例5〜9
実施例1と同様に光触媒層の成膜ならびに粘着処理による印刷用PETフィルム基材を準備し、実施例1の褐色のレンガ調印刷に変えて、大理石調の印刷を施した。
PETフィルムの厚み及び積層するアルミフィルム〔アジヤアルミ(株)製〕の厚みを表3の様に代えて、積層した外壁装飾用積層構造体を得、実施例1と同様に施工テスト、経時評価を行った。
これらの評価結果は、実施例6〜12は、施工性に問題なく、そのまま1年間暴露試験を行った後も、形状追随性、色褪せ、汚れ付着などの異常は見あたらなかった。
一方、PETフィルムの戻り張力よりも小さな形状保持力のアルミフィルムを張り合わせた比較例5、6、8は、タイル壁面の凹凸部で部分的に経時剥がれが発生した。
また、曲げ強度が200g/5cmの厚み0.3mmのアルミフィルムでは、250μmのPETフィルムを積層した比較例7、300μmのPETフィルムを積層した比較例9共に、タイルの凹凸に追随して施工しようとすると、防汚性PETフィルムの光触媒層が破壊され、経時的に白濁が増加した。
Figure 0004889442
実施例13〜18、比較例10〜13
実施例1と同様に光触媒層の成膜ならびに粘着処理による印刷用PETフィルム基材を準備し、実施例1の褐色のレンガ調印刷に変えて、御影石調の印刷を施した。
PETフィルムの厚み及び積層するステンレスフィルム(アジヤアルミ(株)製)の厚みを表4の様に代えて、積層した外壁装飾用積層構造体を得、実施例1と同様に施工テスト、経時評価を行った。
これらの評価結果は、実施例13〜18は、施工性に問題なく、そのまま1年間暴露試験を行った後も、形状追随性、色褪せ、汚れ付着などの異常は見あたらなかった。
一方、PETフィルムの戻り張力よりも小さな形状保持力のステンレスフィルムを張り合わせた比較例10及び12は、タイル壁面の凹凸部で部分的に経時的に剥がれが発生した。
また、曲げ強度が115g/5cmの厚み0.15mmのステンレスフィルムでは、188μmのPETフィルムを積層した比較例11、250μmのPETフィルムを積層した比較例13共に、タイルの凹凸に追随して施工しようとすると、防汚性PETフィルムの光触媒層が破壊され、経時的に白濁が増加した。
Figure 0004889442
実施例19
実施例1の銅フィルム(0.10mm厚)の替わりにステンレス製メッシュ(目付:700g/m2、曲げ強度38g/5cm、形状保持力9g/5cm)に替えたこと以外は、実施例1に同様にして外壁装飾用積層構造体を得、実施例1と同様に一片が108mm×60mmのタイル地の外壁(10m2)に、その凹凸に追従させながら施工した結果、2時間の工程でその作業を終了することができた。
そのまま1年間暴露試験を行った後も、形状追随性、色褪せ、汚れ付着などの異常は見あたらなかった。
本発明の外壁装飾用積層構造体は、一方の面側に光触媒層を有し他方の面側に印刷を施した防汚性プラスチックフィルムと金属層とを積層した外壁装飾用積層構造体であって、所定の測定方法による物性値において、金属層として曲げ強度が100(g/5cm)未満であり、かつ曲げた防汚性プラスチックフィルムの戻り張力(g/5cm)よりも大きな形状保持力(g/5cm)を有するものを積層しているので、修復等のため貼付対象とする壁面等の凹凸、湾曲等に追随でき、かつ金属層の材質を反映した重厚な光沢感を有する外壁装飾材として利用できる。
また、本発明のリフォーム施工方法は、リフォーム対象の外壁等に本発明の外壁装飾用積層構造体を貼付ることによって達成できるので、旧壁材の剥離工事や、廃棄処理を要せず、簡易にリフォーム工事を行うことができる。
さらに、光触媒層を備えているので、降雨、簡単な散水等により外壁装飾用積層構造体の表面を自己浄化作用により美麗にすることができ、メンテナンスフリーで、奇麗な外観を維持できる外壁装飾材として利用できる。
プラスチック(PET)フィルムの厚みと曲げたフィルムの戻り張力との関係を示すグラフである。 プラスチックフィルムの戻り張力の測定方法の説明図である。 金属フィルムの厚みと形状保持力との関係を示すグラフである。 金属フィルムの形状保持力の測定方法の説明図である。 金属フィルムの曲げ強度の説明図である。 金属フィルムの厚みと曲げ強度との関係を示すグラフである。 本発明の実施例1の外壁装飾用積層構造体の模式断面図である。 本発明の実施例で得られた活性遮断層用塗膜のXPSの測定結果を示すグラフである。
符号の説明
1. 外壁装飾用積層構造体
2. 高耐候・高耐退色性透明基材フィルム
2a. 透明基材フィルム
2b. 紫外線遮蔽層
3. 活性遮断層(傾斜膜層)
4. 光触媒層
5. PET製剥離フィルム
6. 印刷層
7. 透明粘着シート
8. 銅フィルム
9. 粘着剤付き剥離フィルム
10、14. 電子天秤
11. プラスチックフィルム
12. バネ秤
13. 2つ折りした金属フィルム
15. 金属フィルム

Claims (6)

  1. 一方の面側に防汚層を有し、他方の面側に印刷を施した防汚性プラスチックフィルムと金属フィルム又は金属メッシュから選択される金属層とを積層した積層構造体であって、金属層として下記条件による曲げ強度が100(g/5cm)未満であり、かつ防汚性プラスチックフィルムの戻り張力(g/5cm)よりも大きな形状保持力(g/5cm)を有するものを積層してなることを特徴とする外壁装飾用積層構造体。
    a.金属層の曲げ強度:5cm×20cmに裁断したフィルムの一端を電子天秤上で固定し、他端を180°までゆっくりと曲げた時に、他端の下方へ発生する応力の最大値。
    b.防汚性プラスチックフィルムの戻り張力:5cm×20cmに裁断したフィルムの一端を電子天秤上で固定し、他端を180°曲げた状態で静止した時の、他端の下方への応力値。
    c.金属層の形状保持力:5cm×20cmに裁断したフィルムを二つ折りし、その一端をバネばかりに固定し、他端をゆっくり引き上げた時に発生する応力の平均値。
  2. 防汚性プラスチックフィルムと金属層との積層に、初期並びにJIS K7350によるカーボンアーク式サンシャインウエザーメーターによる加速耐候試験3000時間後の状態において、全光線透過率が85%以上、曇り度(Hz)が5%以下、黄色み度(YI)が5以下である粘着剤シートを用いてなる請求項1記載の外壁装飾用積層構造体。
  3. 防汚性プラスチックフィルムが、暴露面から順に、防汚層としての光触媒活性層と活性遮断層、及び紫外線遮蔽層がプラスチックフィルム基材の一方の面側に積層された構造を有し、該活性遮断層が有機高分子化合物と金属酸化物系化合物とが化学的に結合した複合体を含み、かつ金属成分の含有率が該層の厚み方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有するものであって、実質上、光触媒活性層との界面では金属酸化物系化合物成分の濃度が高く、かつ、有機基材に当接している面では有機高分子化合物成分の濃度が高い有機−無機複合傾斜層からなり、該紫外線遮蔽層が380nm以下の紫外線を50%以上遮断する層であって、さらに、該プラスチックフィルム基材にも紫外吸収剤を配合されてなり、防汚層(光触媒活性層)からプラスチックフィルム基材の他方の面までの積層構造における、380nm以下の紫外線の遮断率が99%以上である請求項1又は2に記載の外壁装飾用積層構造体。
  4. プラスチックフィルム基材がポリエチレンテレフタレートフィルムである請求項1〜3のいずれか1項に記載の外壁装飾用積層構造体。
  5. プラスチックフィルム基材の他方の面側にインク受容層を設けてなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の外壁装飾用積層構造体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の外壁装飾用積層構造体を用いることを特徴とする外壁のリフォーム施工方法。
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