JP2008039804A - 複合位相差板、その製造方法、複合光学部材及び液晶表示装置。 - Google Patents

複合位相差板、その製造方法、複合光学部材及び液晶表示装置。 Download PDF

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Abstract

【課題】液晶セルに貼り合わせて使用したときに、コーティング位相差層に微細な割れが生じにくく、光漏れの発生を抑制できる複合位相差板及びその簡便な製造方法を提供し、その複合位相差板を用いた複合光学部材及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】転写基材14上に、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂とを含むコーティング位相差層13を形成し、別途、透明樹脂からなる位相差板11の表面に乾式表面処理(例えばコロナ放電処理)を施し、その乾式表面処理が施された面に、前記転写基材14上に形成された位相差層13の露出面を貼合し、次いで転写基材14を位相差層13から剥離して、複合位相差板10′とする。位相差層13の外側に粘着剤層18を設けることができる。この複合位相差板は、偏光板など他の光学層に積層して複合光学部材とされ、それを液晶セルと組み合わせて液晶表示装置とされる。

【選択図】図2

Description

本発明は、液晶セルに貼り合わせて用いられる複合位相差板とその製造方法、それを用いた複合光学部材及び液晶表示装置に関するものである。本発明はまた、複合位相差板を構成するコーティング位相差層の割れを抑制する技術にも関係している。
近年、液晶表示装置は、低消費電力、低電圧動作、軽量、薄型などの特徴を生かして、携帯電話、携帯情報端末、コンピュータ用のモニター、テレビなど、情報用表示デバイスとして急速に普及してきている。液晶技術の発展に伴い、さまざまなモードの液晶表示装置が提案され、応答速度やコントラスト、狭視野角といった問題点が解消されつつある。しかしながら、依然として、陰極線管(CRT)に比べて視野角が狭いことが指摘され、視野角拡大のための各種の試みがなされている。
このような液晶表示装置の一つに、正又は負の誘電率異方性を有する棒状の液晶分子を基板に対して垂直に配向させた、垂直配向(VA)モードの液晶表示装置がある。かかる垂直配向モードは、非駆動状態においては、液晶分子が基板に対して垂直に配向しているため、光は偏光の変化を伴わずに液晶層を通過する。このため、液晶パネルの上下に互いに偏光軸が直交するように直線偏光板を配設することで、正面から見た場合にほぼ完全な黒表示を得ることができ、高いコントラスト比を得ることができる。
しかし、このような液晶セルに偏光板のみを備えたVAモードの液晶表示装置では、それを斜めから見た場合に、配設された偏光板の軸角度が90°からずれてしまうことと、セル内の棒状の液晶分子が複屈折を発現することに起因して、光漏れが生じ、コントラスト比が著しく低下してしまう。
かかる光漏れを解消するためには、液晶セルと直線偏光板の間に光学補償フィルムを配置する必要があり、従来は、二軸性の位相差板を液晶セルと上下の偏光板の間にそれぞれ1枚ずつ配設する仕様や、正の一軸性位相差板と完全二軸性の位相差板を、それぞれ1枚ずつ液晶セルの上下に、又は2枚とも液晶セルの片側に配設する仕様が採用されてきた。例えば、特開 2001-109009号公報(特許文献1)には、垂直配向モードの液晶表示装置において、上下の偏光板と液晶セルの間に、それぞれaプレート(すなわち、正の一軸性位相差板)及びcプレート(すなわち、完全二軸性の位相差板)を配置することが記載されている。
正の一軸性位相差板とは、面内の位相差値R0 と厚み方向の位相差値Rthとの比 R0/Rthが概ね2のフィルムであり、また完全二軸性の位相差板とは、面内の位相差値R0 がほぼ0のフィルムである。ここで、フィルムの面内遅相軸方向の屈折率をnx 、フィルムの面内進相軸方向(面内で遅相軸と直交する方向)の屈折率をny 、フィルムの厚み方向の屈折率をnz、フィルムの厚みをdとしたとき、面内の位相差値R0及び厚み方向の位相差値Rthは、それぞれ下式(I)及び(II)で定義される。
0 =(nx−ny)×d (I)
th=〔(nx+ny)/2−nz〕×d (II)
正の一軸性フィルムでは、nz≒nyとなるため、R0/Rth≒2 となる。正の一軸性フィルムであっても、R0/Rth は延伸条件の変動により、1.8〜2.2程度の間で変化することもある。完全二軸性のフィルムでは、nx≒nyとなるため、R0≒0 となる。完全二軸性のフィルムは、厚み方向の屈折率のみが異なる(小さい)ものであることから、負の一軸性を有し、光学軸が法線方向にあるフィルムとも呼ばれ、また前述のとおり、cプレートと呼ばれることもある。
上記のような完全二軸性のフィルム(cプレート)の一つとして、有機修飾粘土複合体を含むコーティング層で構成されるものがある。例えば、特開 2005-338215号公報(特許文献2)には、面内に配向している透明樹脂フィルムからなる位相差板に、粘着剤層を介して、屈折率異方性を有するコーティング位相差層を積層し、さらにそのコーティング位相差層の表面に粘着剤層を設けて複合位相差板とすることが開示されており、その樹脂位相差板側に偏光板を積層することも記載されている。また特開 2006-10912 号公報(特許文献3)には、脂肪族ジイソシアネートをベースとするウレタン樹脂をバインダーとし、これと有機修飾粘土複合体とを含む組成物をフィルム状に形成してなる位相差板が開示されており、その位相差板を、粘着剤層を介して偏光板に積層し、複合偏光板とすることも記載されている。具体的には、粘着剤付き偏光板の粘着剤層側にコーティング位相差層を転写し、その位相差層表面に第二の粘着剤層を設ける構成が示されている。
これら特許文献2や特許文献3に開示される構成では、コーティング位相差層は二つの粘着剤層に挟まれており、複合位相差板又は複合偏光板に物理的な外力が加わると、コーティング位相差層に応力が集中し、そこに割れが発生し、光漏れを生じることがある。
特開2001−109009号公報(請求項15及び段落0036) 特開2005−338215号公報 特開2006−10912号公報
本発明者らは、透明樹脂からなる位相差板と屈折率異方性を有するコーティング位相差層を積層して複合位相差板とする際、樹脂位相差板のコーティング位相差層が積層される側の表面に、コロナ放電処理などの乾式表面処理を施すことにより、接着剤を用いなくても両者が強固に接着し、簡便に複合位相差板が作製できるとともに、物理的な外力によって発生しやすいコーティング位相差層の割れ及びそれに伴う光漏れが抑えられることを見出し、本発明に至った。
そこで本発明の目的は、液晶セルに貼り合わせて使用したときに、コーティング位相差層に微細な割れが生じにくく、したがって光漏れの発生を抑制できる複合位相差板及びその簡便な製造方法を提供することにある。本発明のもう一つの目的は、この複合位相差板に偏光板の如き他の光学機能を示す光学層を積層し、液晶セルに貼り合わせて使用したときに光漏れの発生が抑制された複合光学部材を提供することにある。さらに本発明のもう一つ別の目的は、この複合光学部材を用いて、光漏れを顕著に抑制できる液晶表示装置を提供することにある。
すなわち本発明によれば、透明樹脂からなる位相差板の表面に乾式表面処理が施され、その表面処理が施された面に、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂とを含むコーティング位相差層が貼合されている複合位相差板が提供される。この複合位相差板において、コーティング位相差層の外側に粘着剤層を形成して、液晶セル等へ貼合できるようにしてもよい。
この複合位相差板は、次の各工程を経て製造することができる。
有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂とを有機溶媒中に含有してなる塗工液を転写基材に塗布し、そこから溶媒を除去してコーティング位相差層を形成するコーティング位相差層形成工程、
別途、透明樹脂からなる位相差板の表面に、コロナ放電処理に代表される乾式表面処理を施す表面処理工程、
その乾式表面処理が施された面に、前記コーティング位相差層形成工程で得られる転写基材上に形成されたコーティング位相差層の露出面を貼り合わせる貼合工程、及び
その後、前記転写基材をコーティング位相差層から剥離する転写基材剥離工程。
転写基材をコーティング位相差層から剥離した後は、前記コーティング位相差層の転写基材剥離面に、液晶セル等へ貼合するための粘着剤層を設けることができる。
また本発明によれば、上記の複合位相差板に、偏光板などの他の光学機能を示す光学層が積層された複合光学部材も提供される。さらに本発明によれば、この複合光学部材が、液晶セルの少なくとも一方の面に粘着剤層を介して配置されている液晶表示装置も提供される。
本発明の複合位相差板は、透明樹脂からなる位相差板に乾式表面処理を施し、そこに、別途形成されたコーティング位相差層を貼着することで、製造工程を簡素化できるとともに、それを液晶セルに貼り合わせて使用したときに、物理学的な外力により生じやすいコーティング位相差層の割れによる光漏れを効果的に抑制することができ、良好な表示状態が得られる。したがって、この複合位相差板を偏光板などの他の光学機能を示す光学層と組み合わせた複合光学部材を適用した液晶表示装置は、光漏れが抑えられ、表示状態に優れたものとなる。
以下、添付の図面も適宜参照しながら、本発明の実施形態を詳しく説明する。本発明では、図1に示すように、透明樹脂からなる位相差板11の表面に直接、すなわち接着剤などの他の層を介することなく、コーティング位相差層13を積層して、複合位相差板10とする。コーティング位相差層13の外側には、粘着剤層18を設けて、液晶セル等へ貼合できるようにしておいてもよい。
位相差板11は、透明樹脂からなり、一般には面内で配向しているもので構成される。これに用いる樹脂は、透明性に優れ、光学的に均一なものであればよいが、配向性を有するフィルムの製造のしやすさなどの点から、透明な熱可塑性樹脂の延伸フィルムが、好ましく用いられる。熱可塑性樹脂として具体的には例えば、ポリカーボネート、フルオレンなどで変性されたポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、セルロース系樹脂、プロピレンやエチレンの如きオレフィンを主要なモノマーとするポリオレフィン系樹脂、ノルボルネンの如き多環式の環状オレフィンを主要なモノマーとする環状ポリオレフィン系樹脂などを挙げることができる。なかでも、変性されていてもよいポリカーボネート系樹脂が好ましく用いられる。また、セルロース系樹脂などの透明樹脂基板に、液晶性物質などからなる塗布層を設け、位相差を発現させたものも、位相差板11として用いることができる。
樹脂位相差板11の面内位相差値は、複合位相差板の用途により、30〜300nm程度の範囲から適宜選択すればよい。例えば、携帯電話や携帯情報端末の如き比較的小型の液晶表示装置に複合位相差板を適用する場合、樹脂位相差板11は、1/4波長板であるのが有利である。
透明樹脂からなる位相差板11は、その表面に乾式表面処理を施したうえで、コーティング位相差層13と積層される。乾式表面処理は、樹脂の表面を活性化するために乾式で行われる処理であり、その例として、コロナ放電処理、グロー放電処理、プラズマ放電処理などを包含する放電処理のほか、火炎処理、オゾン処理、電離放射線照射処理、粗面化処理などを挙げることができる。これらはいずれも、樹脂の表面を活性化するための処理として公知のものであるが、本発明では、透明樹脂からなる位相差板11にこのような乾式表面処理を施すことで、特別な接着剤を用いなくても、コーティング位相差層13との接着が可能になることが見出された。
これら乾式表面処理のなかでも、取り扱いが簡便で、処理後の品質が比較的安定していることから、コロナ放電処理が好ましく用いられる。コロナ放電処理は、電極に高電圧をかけてコロナ放電を発生させ、その放電面に配置された樹脂フィルムを活性化する処理である。コロナ放電処理は、電極の種類、電極とフィルムの間隔、印加する電圧、処理される樹脂フィルムの移動速度、コロナ放電の出力などを変化させることで、最良の効果が得られるようにすればよい。例えば、フィルムの移動速度は3〜20m/分程度に設定するのが好ましい。また、コロナ出力の強度は 1,000W以下とするのが好ましく、とりわけ100W以上800W以下とするのがより好ましい。
乾式表面処理は、樹脂位相差板11の少なくともコーティング位相差層13と積層される側の表面に施されるが、樹脂位相差板11の両面に施されてもよい。特に、樹脂位相差板11のコーティング位相差層13側と反対側の表面に、後述する他の光学機能を示す光学層を、粘着剤を介して積層する場合は、そちら側の面にも乾式表面処理を施しておくことが有効である。
樹脂位相差板11に積層されるコーティング位相差層13は、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂とを含む層であって、一般には、これらの成分を有機溶媒中に含有してなる塗工液から溶媒を除去して形成される。
ここで有機修飾粘土複合体は、有機物と粘土鉱物との複合体であって、具体的には例えば、層状構造を有する粘土鉱物と有機化合物を複合化したものであることができ、有機溶媒に分散可能なものである。層状構造を有する粘土鉱物としては、スメクタイト族や膨潤性雲母などが挙げられ、その陽イオン交換能により有機化合物との複合化が可能となる。なかでもスメクタイト族は、透明性にも優れることから、好ましく用いられる。スメクタイト族に属するものとしては、ヘクトライト、モンモリロナイト、ベントナイトなどが例示できる。これらのなかでも化学合成されたものは、不純物が少なく、透明性に優れるなどの点で好ましい。特に、粒径を小さく制御した合成ヘクトライトは、可視光線の散乱が抑制されるために好ましく用いられる。
粘土鉱物と複合化される有機化合物としては、粘土鉱物の酸素原子や水酸基と反応しうる化合物、また交換性陽イオンと交換可能なイオン性の化合物などが挙げられ、有機修飾粘土複合体が有機溶媒に膨潤又は分散できるようになるものであれば特に制限はないが、具体的には含窒素化合物などを挙げることができる。含窒素化合物としては、例えば、1級、2級又は3級のアミン、4級アンモニウム化合物などが挙げられる。なかでも、陽イオン交換が容易であることなどから、4級アンモニウム化合物が好ましく用いられる。
有機修飾粘土複合体は、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。適当な有機修飾粘土複合体の市販品には、それぞれコープケミカル(株)から“ルーセンタイト STN”や“ルーセンタイト SPN”の商品名で販売されている合成ヘクトライトと4級アンモニウム化合物との複合体などがある。
このような有機溶媒に分散可能な有機修飾粘土複合体は、後述する転写基材へのコーティングのしやすさ、光学特性の発現性や力学的特性、さらには、前述の乾式表面処理が施された位相差板との接着性などの観点から、バインダー樹脂と組み合わせて用いられる。有機修飾粘土複合体と併用するバインダー樹脂は、トルエン、キシレン、アセトン、酢酸エチルなどの有機溶媒に溶解するもの、とりわけ、ガラス転移温度が室温以下(約20℃以下)であるものが、好ましく用いられる。また、液晶表示装置に適用する場合に必要とされる良好な耐湿熱性及びハンドリング性を得るためには、疎水性を有するものが望ましい。このような好ましいバインダー樹脂としては、ポリビニルブチラールやポリビニルホルマールの如きポリビニルアセタール樹脂、セルロースアセテートブチレートの如きセルロース系樹脂、ブチルアクリレートの如きアクリル系樹脂、ウレタン樹脂、メタアクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。
適当なバインダー樹脂の市販品としては、電気化学工業(株)から“デンカブチラール #3000-K”の商品名で販売されているポリビニルアルコールのアルデヒド変性樹脂、東亞合成(株)から“アロン S1601”の商品名で販売されているアクリル系樹脂、住化バイエルウレタン(株)から“SBU ラッカー 0866” の商品名で販売されているイソホロンジイソシアネートベースのウレタン樹脂などがある。
有機溶媒に分散可能な有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂の割合は、前者:後者の重量比で1:2〜10:1の範囲、とりわけ1:1〜2:1の範囲にあることが、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂からなる層の割れ防止などの力学的特性向上のために好ましい。
コーティング位相差層13は、後述するように、別途転写基材上に形成しておき、これを、乾式表面処理が施された位相差板11の表面に転写するのが好ましい。具体的には、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂を有機溶媒に含有させた状態で、転写基材上に塗布される。この際一般には、バインダー樹脂は有機溶媒に溶解され、そして有機修飾粘土複合体は有機溶媒中に分散される。この分散液の固形分濃度は、調製後の分散液が実用上問題ない範囲でゲル化したり白濁したりしなければ制限はないが、通常、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂の合計固形分濃度が3〜15重量%程度となる範囲で使用される。最適な固形分濃度は、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂それぞれの種類や両者の組成比により異なるため、組成毎に設定される。また、製膜する際の塗布性を向上させるための粘度調整剤や、疎水性及び/又は耐久性をさらに向上させるための架橋剤など、各種の添加剤を加えてもよい。
コーティング位相差層の厚み方向の屈折率異方性は、前記式(II)により定義される厚み方向の位相差値Rthで表され、この値は、面内の遅相軸を傾斜軸として40度傾斜させて測定される位相差値R40と面内の位相差値R0 とから算出できる。すなわち、式(II)による厚み方向の位相差値Rthは、面内の位相差値R0 、遅相軸を傾斜軸として40度傾斜させて測定した位相差値R40、フィルムの厚みd、及びフィルムの平均屈折率n0 を用い、以下の式 (III)〜(V)から数値計算によりnx、ny及びnz を求め、これらを前記式(II)に代入して、算出することができる。
0 =(nx−ny)×d (III)
40=(nx−ny')×d/cos(φ) (IV)
(nx+ny+nz)/3=n0 (V)
ここで、
φ=sin-1〔sin(40°)/n0
y'=ny×nz/〔ny 2×sin2(φ)+nz 2×cos2(φ)〕1/2
コーティング位相差層の厚み方向位相差値Rthは、40〜300nm程度の範囲から、その用途、特に液晶セルの特性に合わせて、適宜選択するのが好ましい。その厚み方向位相差値Rthは、有利には50nm以上、また有利には200nm以下である。
コーティング位相差層13の外側には、必要に応じて粘着剤層18を設けることができる。粘着剤層18は、アクリル系ポリマーや、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルなどをベースポリマーとするもので構成することができる。なかでも、アクリル系粘着剤のように、光学的な透明性に優れ、適度の濡れ性や凝集力を保持し、基材との接着性にも優れ、さらには耐候性や耐熱性などを有し、加熱や加湿の条件下で浮きや剥がれ等の剥離問題を生じないものを選択して用いることが好ましい。アクリル系粘着剤においては、メチル基やエチル基、ブチル基等の炭素数が20以下のアルキル基を有するアクリル酸のアルキルエステルと、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどからなる官能基含有アクリル系モノマーとを、ガラス転移温度が好ましくは25℃以下、さらに好ましくは0℃以下となるように配合した、重量平均分子量が10万以上のアクリル系共重合体が、ベースポリマーとして有用である。
粘着剤層18は、上記のようなベースポリマーを主体とする粘着剤溶液を塗布し、乾燥する方法によって形成できるほか、離型処理が施されたフィルムの離型処理面に粘着剤層が形成されたもの(粘着剤付きフィルム)を用意し、それを粘着剤層側でコーティング位相差層13の表面に貼り合わせる方法によっても形成できる。
次に、本発明の複合位相差板の製造方法について説明する。前述したとおり、本発明の複合位相差板は、次の工程を経て製造することができる。
有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂とを有機溶媒中に含有してなる塗工液を転写基材に塗布し、そこから溶媒を除去してコーティング位相差層13を形成するコーティング位相差層形成工程、
別途、透明樹脂からなる位相差板11の表面に、コロナ放電処理に代表される乾式表面処理を施す表面処理工程、
その乾式表面処理が施された面に、前記コーティング位相差層形成工程で得られる転写基材上に形成されたコーティング位相差層13の露出面を貼り合わせる貼合工程、及び
その後、前記転写基材をコーティング位相差層13から剥離する転写基材剥離工程。
コーティング位相差層13から転写基材を剥離した後は、その転写基材剥離後のコーティング位相差層13の露出面に、液晶セル等へ貼合するための粘着剤層18を設けることができる。
この製造方法の例を、工程毎に分けて図2に断面模式図で示した。まず、コーティング位相差層形成工程では、図2の(A)に示すように、転写基材14の表面にコーティング位相差層13を形成して、転写基材付きコーティング位相差層15とする。次の表面処理工程では別途、図2の(B)に示すように、透明樹脂からなる位相差板11の表面に、乾式表面処理を施す。次に貼合工程では、図2の(C)に示すように、乾式表面処理が施された位相差板11と転写基材付きコーティング位相差層15とが、コーティング位相差層13を貼着面として貼合され、位相差板11/コーティング位相差層13/転写基材14からなる層構成の半製品16となる。さらに剥離工程では、図2の(D)に示すように、同(C)の半製品16から転写基材14を剥離除去して、位相差板11/コーティング位相差層13からなる層構成の複合位相差板10′とする。この状態で最終製品とすることもできるが、通常はその後、図2の(E)に示すように、粘着剤層形成工程を設けて、コーティング位相差層13の転写基材14を剥離した後の面に粘着剤層18を形成し、複合位相差板10とする。
コーティング位相差層13を形成するのに用いる転写基材14は、その表面に形成された層を容易に剥離できるような処理が施されたフィルムであればよい。一般に、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂フィルムの表面にシリコーン樹脂やフッ素樹脂などの離型剤を塗布して離型処理されたフィルムが販売されているので、これをそのまま用いることができる。転写基材14は、その上にコーティング位相差層13を形成することから、コーティング位相差層を形成する面の水接触角が90〜130°の範囲にあることが好ましく、さらには100°以上、また120°以下の水接触角であるのがより好ましい。表面の水接触角が90°未満では、コーティング位相差層形成後の剥離性が悪く、転写基材剥離後のコーティング位相差層13に位相差ムラなどの欠陥を生じやすい。また、その水接触角が130°より大きいと、その上に形成される乾燥前の塗工液にハジキが発生しやすく、面内に斑点状の位相差ムラが発生することがある。ここで、水接触角とは、液体として水を用いたときの接触角であり、その値が大きいほど(上限180°)、水に濡れにくいことを意味する。
コーティング位相差層13の形成は、具体的には、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂とを有機溶媒中に含有してなる塗工液を転写基材14に塗布し、そこから溶媒を除去することにより行われる。コーティング位相差層13を形成するのに使用する塗工方式は特に制限されるものでなく、ダイレクト・グラビア法、リバース・グラビア法、ダイコート法、カンマコート法、バーコート法など、公知の各種コーティング法を用いることができる。また、溶媒の除去は通常、転写基材14上に塗布された塗工液に対して、加熱乾燥処理する方法により行われる。
有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂を有機溶媒中に含有してなるコーティング位相差層用塗工液は、その塩素含有量を2,000ppm以下としておくのが好ましい。有機修飾粘土複合体には、その製造の際に用いられる原料に起因して、塩素を含む化合物が不純物として混入していることが多い。そのような塩素化合物の量が多いまま用いると、コーティングにより形成された位相差層からブリードアウトする可能性がある。その場合には、粘着剤層を介してその位相差層を含む複合位相差板を液晶セルガラスに貼合したときに、粘着力が経時で大幅に低下してしまう。そこで、有機修飾粘土複合体からは、洗浄により塩素化合物を除去しておくのが好ましく、その中に含まれる塩素の量を2,000ppm以下としておけば、かかる粘着力の低下を抑えることができる。塩素化合物の除去は、有機修飾粘土複合体を水洗する方法により行うことができる。
また、このコーティング位相差層用塗工液は、カールフィッシャー水分計で測定される含水率を0.15〜0.35重量%の範囲としておくのが好ましい。この含水率が 0.35重量%を越えると、非水溶性有機溶媒中での相分離を生じ、塗工液が2層に分離してしまう傾向にある。一方、その含水率が 0.15重量%を下回ると、コーティング位相差層としたときに、ヘイズ値を高める傾向にある。水分の測定方法には、乾燥法、カールフィッシャー法、誘電率法などがあるが、ここでは、簡便かつ微量単位の測定が可能なカールフィッシャー法を採用する。
コーティング位相差層用塗工液の含水率を上記範囲に調整する方法は特に制限されないが、塗工液中に水を添加する方法が簡便で、望ましい。本発明で用いるような有機溶媒、有機修飾粘土複合体及びバインダー樹脂を、通常の方法で混合しただけでは、 0.15重量%以上の含水率を示すことはほとんどない。そこで、有機溶媒、有機修飾粘土複合体及びバインダー樹脂を混合した塗工液に少量の水を添加することにより、含水率を上記範囲とするのが好ましい。水を添加する方法は、塗工液の調製工程のいかなる時期の添加でも有効であり、特に制限はないが、塗工液の調製工程で一定時間経過後、サンプリングして含水率を測定したのち、所定量の水を添加する方法が、再現性及び精度よく含水率を制御できる点で好ましい。なお、添加された水の量が、カールフィッシャー水分計による測定結果と合わないこともある。その原因として、水が一部、有機修飾粘土複合体との相互作用(例えば、吸着)を起こしていることなどが考えられる。ただし、カールフィッシャー水分計で測定される水分率を0.15〜0.35重量%に保てば、得られるコーティング位相差板のヘイズ値が低く抑えられる。
本発明の方法により、ロール状の複合位相差板を製造し、さらに粘着剤層を設ける場合の例を、工程順に分けて図3及び図4に断面模式図で示した。ここでは、乾式表面処理としてコロナ放電処理を採用する場合を例に説明する。
第一工程では、転写基材14上に有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂とを含むコーティング位相差層13を形成し、そのコーティング位相差層13の空気への露出面に、乾式表面処理が施された透明樹脂からなる位相差板11を貼合する。図3を参照してさらに詳しく説明すると、転写基材送り出しロール30から繰り出された転写基材14の表面に、コーティング層塗工機31を介して位相差層用塗工液が塗布され、引き続きコーティング層乾燥ゾーン32を通って乾燥され、転写基材付きコーティング位相差層15とされる。別途、位相差板送り出しロール35から繰り出される位相差板11に、コロナ放電処理装置36でコロナ放電処理を施し、その位相差板11と先の転写基材付きコーティング位相差層15とが、転写基材付きコーティング位相差層15のコーティング位相差層側を貼着面として、貼合ロール37,38で挟むことにより貼り合わされ、位相差板/コーティング位相差層/転写基材からなる層構成の半製品16となり、半製品ロール40に巻き取られる。
図3には、位相差板11の片面にコロナ放電処理を施す例を示したが、位相差板11の両面にコロナ放電処理を施す場合は、コロナ放電処理装置をもう1台設け、位相差板11のもう一方の面にもコロナ放電処理が施されるようにすればよい。また別法として、位相差板11をコロナ放電処理装置に通過させてその片面を処理した後、放電処理が施される面を逆にしてもう一度コロナ放電処理装置に通過させることにより、両面にコロナ放電処理が施された位相差板をロール状で用意し、そこから繰り出して図3における貼合ロール37に供給することもできる。
第二工程では、第一工程で得られる半製品16から転写基材14を剥離しながら、剥離後のコーティング位相差層13の表面に粘着剤層18を形成する、すなわち粘着加工を施す。図4を参照してさらに詳しく説明すると、図3に示す第一工程で一旦、半製品ロール40に巻き取られた位相差板/コーティング位相差層/転写基材からなる層構成の半製品16は、同じロール40から繰り出され、転写基材剥離ロール42で転写基材14が剥離されて、位相差板/コーティング位相差層の層構成からなる複合位相差板10′となった後、剥離によって露出したコーティング位相差層の表面に、送り出しロール45から繰り出される粘着剤付きフィルム19が、その粘着剤層側を内側にして供給され、貼合ロール47,48で挟むことにより両者が貼り合わされて、製品ロール50に巻き取られるようになっている。剥離後の転写基材14は、転写基材巻き取りロール43に巻き取られる。これらの工程を経て、位相差板/コーティング位相差層/粘着剤層の順に積層された複合位相差板10が得られる。
なお、図3及び図4において、曲線矢印は、ロールの回転方向を表す。また、粘着剤層は、粘着剤付きフィルム19をその粘着剤層側で貼り合わされる形態を示したが、粘着剤塗工液を塗工する方法によって粘着剤層を設けることもできる。
本発明によれば、透明樹脂からなる位相差板11に対して、コロナ放電処理などの乾式表面処理を施すことで、特別な接着剤を用いなくても、その位相差板11とコーティング位相差層13とが強固に接着する。その理由として、コーティング位相差層13に含まれるバインダー樹脂が、位相差板11の乾式表面処理と相俟って、接着力向上に寄与しているものと考えられる。またこれにより、コーティング位相差層13は、片面が透明樹脂からなる位相差板11に直接接し、他面が粘着剤層18に接する状態となるので、外力が加わってもコーティング位相差層13への応力集中が起こりにくくなり、コーティング位相差層13に発生しやすい割れが抑制される。
以上のようにして得られる複合位相差板は、偏光板など、他の光学機能を示す光学層に積層して、複合光学部材とすることができる。複合光学部材の層構成の例を図5に断面模式図で示した。この例では、図1に示した複合位相差板10の樹脂位相差板11側に、他の光学機能を示す光学層21が積層され、複合光学部材20となっている。両者の積層には、例えば、粘着剤を用いることができ、図5ではこれを粘着剤層22として表示している。他の光学機能を示す光学層21は、少なくとも偏光板を含むことが好ましいが、その他に例えば、輝度向上フィルムなど、液晶表示装置等の形成に従来から用いられているものを貼合することもできる。
他の光学層21として用いる偏光板は、面内の一方向に振動面を有する直線偏光を透過し、面内でそれと直交する方向に振動面を有する直線偏光を吸収するものであればよい。具体的には、ポリビニルアルコールフィルムに二色性色素が吸着配向している偏光子の少なくとも片面(片面又は両面)に保護フィルムが貼合されたものを用いることができる。二色性色素として、ヨウ素を用いたヨウ素系偏光板や、二色性有機染料を用いた染料系偏光板があるが、いずれも使用することができる。また保護フィルムとしては、トリアセチルセルロースのようなセルロース系樹脂や、ノルボルネンの如き多環式の環状オレフィンを主要なモノマーとした環状ポリオレフィン系樹脂などが用いられる。他の光学層21が偏光板を含む場合は、図5に示すように、複合位相差板10の樹脂位相差板11側に、この偏光板を含む他の光学層21を積層するのが好ましい。
他の光学層21の貼合に粘着剤22を用いる場合、その粘着剤は、先に図1を参照して同図中の粘着剤層18について説明したのと同様のものを用いることができる。
図5に示すような複合光学部材20は、液晶セルの少なくとも一方の面に配置して、液晶表示装置とすることができる。液晶セルへの貼合は、粘着剤層18を介して行われる。液晶セルの両面に、このような複合光学部材を配置することもできる。液晶セルの片面にこの複合光学部材を配置した場合、液晶セルのもう一方の面には、他の偏光板が、必要に応じて位相差板を介在させて配置される。液晶セルは、背景技術の項で述べた如く、垂直配向(VA)モードのものが好ましいが、その他、ベンド配向(ECB)モードなど、他の方式の液晶セルに対しても、本発明の複合位相差板又は複合光学部材は、有効に機能する。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ない限り重量基準である。また、以下の例で用いたコーティング位相差層用塗工液の組成は、次のとおりである。
[コーティング位相差層用塗工液]
有機修飾粘土複合体として、合成ヘクトライトとトリオクチルメチルアンモニウムイオンとの複合体であるコープケミカル(株)製の“ルーセンタイト STN”(商品名)を、またバインダー樹脂として、イソホロンジイソシアネートベースのポリウレタン樹脂で固形分濃度30%の樹脂ワニスである住化バイエルウレタン(株)製“SBU ラッカー 0866” (商品名)を用い、以下の組成で配合したもの。
Figure 2008039804
ここで用いた有機修飾粘土複合体は、メーカーにて、有機修飾前の合成ヘクトライト製造後に酸洗浄し、それを有機修飾し、さらに水洗した状態で入手したものである。そこに含まれる塩素量は1,111ppmであった。また、この塗工液は、上記組成で混合し、攪拌後、孔径1μm のフィルターで濾過して調製したものであり、カールフィッシャー水分計で測定される含水率は 0.25%であった。この塗工液における有機修飾粘土複合体/バインダー樹脂の固形分重量比は6/4である。
[実施例1]
(a)複合位相差板の作製
まず、変性ポリカーボネートの一軸延伸フィルムである位相差板〔帝人化成(株)製の“WRF-S-141” 、面内位相差値141nm〕を、ラインスピード10m/分で移動させながら、その両面に出力強度600Wでコロナ放電処理を施した。別途、離型処理が施された厚さ38μm のポリエチレンテレフタレートフィルム(離型処理面の水接触角110°)を転写基材として、その離型処理面に前記コーティング位相差層用塗工液を塗工し、その後90℃で3分間乾燥してコーティング位相差層を形成した。先のコロナ放電処理が施された樹脂位相差板の表面に、転写基材上に形成されたコーティング位相差層を貼合した。その後、コーティング位相差層から転写基材を剥離し、その転写基材剥離後のコーティング位相差層表面に、アクリル系粘着剤〔リンテック(株)製の“P-3132”〕を貼着して、樹脂位相差板/コーティング位相差層/粘着剤層の順に積層された複合位相差板を作製した。この複合位相差板の層構成は、図1に示したとおりである。
(a1)樹脂位相差板とコーティング位相差層の密着力の評価1:剥離試験
この複合位相差板を、幅25mm、長さ約250mmに切断し、粘着剤層側でソーダガラス板に貼合した後、オートクレーブ中、圧力5kgf/cm2、温度50℃で20分間の加圧処理を行い、次に(株)島津製作所製の測定器“オートグラフ AG-1” を用いて、180°剥離、引張り速度300mm/分で密着力を測定し、樹脂位相差板とコーティング位相差層の密着力の評価を行った。その結果、試験途中に粘着剤層が 7.0Nで破断したため、樹脂位相差板とコーティング位相差層の密着力は、 7.0N以上であると見積もられる。その後同速度で剥離を続けると、ソーダガラス面に粘着剤層とコーティング位相差層がガラス貼合面積の39%残った。
(a2)樹脂位相差板とコーティング位相差層の密着力の評価2:クロスハッチ試験
上記(a)で得られた複合位相差板をその粘着剤層側でソーダガラス板に貼合し、JIS D 0202-1988 に準拠したクロスハッチ試験(JISでは「碁盤目付着性試験」と記載されているもの)を行い、碁盤目100個あたりの剥がれた碁盤目の数で密着力を評価した。その結果、剥がれた碁盤目は0/100であった。
(b)複合光学部材の作製
上記(a)で得られた複合位相差板の樹脂位相差板側表面に、粘着剤付きのポリビニルアルコール/ヨウ素系偏光板〔住友化学(株)製の“SRW062AP6-HC2”〕 をその粘着剤層側で貼合し、偏光板/粘着剤層/樹脂位相差板/コーティング位相差層/粘着剤層の順に積層された複合光学部材を作製した。この複合光学部材の層構成は、図5に示したとおりである。
(b1)外力によるコーティング位相差層の割れに起因する光漏れの評価
この複合光学部材をソーダガラス板にその最外面粘着剤層側で貼合した後、鉛筆硬度試験装置を用いて、複合光学部材の偏光板側から硬度Hの鉛筆で押圧し、鉛筆への荷重を増やしていって、光漏れが生じる荷重を記録し、外力によるコーティング位相差層の割れに起因する光漏れの評価を行った。この際、複合光学部材の偏光板とクロスニコル状態になるよう、新たな偏光板をソーダガラスの複合光学部材が貼合されている面と反対の面に配置し、ライトボックス上で光漏れを確認した。その結果、荷重限界である 2.0kgの荷重を加えても、光漏れは生じなかった。
(b2)切断によるコーティング位相差層の割れに起因する端部の光漏れ評価
(株)荻野精機製作所製の切断機“スーパーカッター NS-1200”を用いて、上記(b)で得られた複合光学部材を、縦41.42〜56.40mm、横31.34〜43.00mmの長方形のチップに切断し、チップ端部に光漏れが生じているかどうかを確認した。この際、複合光学部材の偏光板とクロスニコル状態になるよう、新たな偏光板を複合光学部材の偏光板が配置されている面と反対の面に配置し、ライトボックス上で光漏れを確認した。その結果、チップの4辺いずれの端部にも光漏れは生じなかった。
[比較例1]
(a)複合位相差板の作製
実施例1で用いたのと同じポリエチレンテレフタレートフィルムからなる転写基材に、前記コーティング位相差層用塗工液を塗工し、その後実施例1と同じ条件で乾燥して、コーティング位相差層を形成した。そのコーティング位相差層表面に、実施例1で用いた樹脂位相差板と同じ材質でかつ同じ面内位相差値を有し、片面に粘着剤層が設けられた位相差板〔帝人化成(株)製の“WRF-S-141-P8”〕を、その粘着剤層側で貼合した。転写基材をコーティング位相差層から剥離した後、そのコーティング位相差層の表面にアクリル系粘着剤〔リンテック(株)製の“P-3132”〕を貼着して、複合位相差板を作製した。図6の(A)に断面模式図で示すとおり、ここで得られた複合位相差板65は、樹脂位相差板11/粘着剤層61/コーティング位相差層13/粘着剤層18の順に積層されたものである。
(b)複合光学部材の作製と評価
(a)で得られた複合位相差板の樹脂位相差板側表面に、実施例1の(b)で用いたのと同じ粘着剤付き偏光板“SRW062AP6-HC2” をその粘着剤層側で貼合して、複合光学部材を作製した。図6の(B)に断面模式図で示すとおり、ここで得られた複合光学部材66は、偏光板21/粘着剤層22/樹脂位相差板11/粘着剤層61/コーティング位相差層13/粘着剤層18の順に積層されたものである。
この複合光学部材について、実施例1の(b1)と同様の方法で、外力によるコーティング位相差層の割れに起因する光漏れの評価を行った。その結果、700gの荷重を加えた時点で光漏れが観察された。
またこの複合光学部材について、実施例1の(b2)と同様の方法で、切断によるコーティング位相差層の割れに起因する端部の光漏れ評価を行った。その結果、長さ500μm 以上の割れがチップの4辺いずれかの端部に発生しているものが、100枚中17枚確認された。
複合位相差板の層構成を示す断面模式図である。 複合位相差板の製造方法の一例を、工程毎又は使用部材に分けて示す断面模式図である。 複合位相差板をロール状で製造する場合の、第一工程の例を示す断面模式図である。 複合位相差板をロール状で製造する場合の、第二工程の例を示す断面模式図である。 複合光学部材の層構成例を示す断面模式図である。 (A)は比較例1の(a)で作製した複合位相差板の層構成を、(B)は比較例1の(b)で作製した複合光学部材の層構成をそれぞれ示す断面模式図である。
符号の説明
10,10′……複合位相差板、
11……透明樹脂からなる位相差板、
13……コーティング位相差層、
14……転写基材、
15……転写基材付きコーティング位相差層、
16……転写基材付きの半製品、
18……粘着剤層、
19……粘着剤付きフィルム、
20……複合光学部材、
21……他の光学機能を示す光学層、
22……粘着剤層、
30……転写基材送り出しロール、
31……コーティング層塗工機、
32……コーティング層乾燥ゾーン、
35……位相差板送り出しロール、
36……コロナ放電処理装置、
37,38……貼合ロール、
40……半製品ロール、
42……転写基材剥離ロール、
43……転写基材巻き取りロール、
45……粘着剤付きフィルム送り出しロール、
47,48……貼合ロール、
50……製品ロール、
61……粘着剤層、
65……比較例の複合位相差板、
66……比較例の複合光学部材。

Claims (9)

  1. 透明樹脂からなる位相差板の表面に乾式表面処理が施され、その表面処理が施された面に、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂とを含むコーティング位相差層が貼合されていることを特徴とする複合位相差板。
  2. 透明樹脂からなる位相差板は、面内で配向している透明樹脂フィルムからなる請求項1に記載の複合位相差板。
  3. 透明樹脂フィルムは、ポリカーボネート系樹脂である請求項2に記載の複合位相差板。
  4. 有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂とを有機溶媒中に含有してなる塗工液を転写基材に塗布し、そこから溶媒を除去してコーティング位相差層を形成し、
    別途、透明樹脂からなる位相差板の表面に乾式表面処理を施し、
    その乾式表面処理が施された面に、前記転写基材上に形成されたコーティング位相差層の露出面を貼合し、次いで
    転写基材をコーティング位相差層から剥離する
    ことを特徴とする複合位相差板の製造方法。
  5. 乾式表面処理は、少なくともコロナ放電処理を含む請求項4に記載の方法。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の複合位相差板に、他の光学機能を示す光学層が積層されていることを特徴とする複合光学部材。
  7. 他の光学層は、少なくとも偏光板を含む請求項6に記載の複合光学部材。
  8. 複合位相差板の透明樹脂からなる位相差板側に偏光板が積層されている請求項7に記載の複合光学部材。
  9. 液晶セルの少なくとも一方の面に、請求項6〜8のいずれかに記載の複合光学部材が粘着剤層を介して配置されていることを特徴とする液晶表示装置。
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