JP2008026352A - 複合偏光板、その製造方法、複合光学部材及び液晶表示装置 - Google Patents

複合偏光板、その製造方法、複合光学部材及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】光学性能を従来品と同等に保ちながら、従来よりも薄い複合偏光板及びその製造方法を提供し、その複合偏光板を用いた複合光学部材及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】偏光子11の一方の面に透明保護フィルム12が貼合され、他方の面には、透明樹脂フィルム13、プライマー層14、及び有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂とを含むコーティング位相差層15がこの順に形成された複合偏光板10が提供される。この複合偏光板は、透明樹脂フィルム13の表面にプライマー層14を設ける工程、そのプライマー層14の表面にコーティング位相差層15を形成する工程、及び、偏光子11の一方の面に透明保護フィルム12を、他方の面には前記コーティング位相差層15が形成された透明樹脂フィルム23をその透明樹脂フィルム13側で、それぞれ接着剤を介して貼合する工程を経て製造される。

【選択図】図2

Description

本発明は、液晶セルに貼り合わせて用いられる複合偏光板とその製造方法、その複合偏光板を用いた複合光学部材及び液晶表示装置に関するものである。
近年、液晶表示装置は、低消費電力、低電圧動作、軽量、薄型などの特徴を生かして、携帯電話、携帯情報端末、コンピュータ用のモニター、テレビなど、情報用表示デバイスとして急速に普及してきている。液晶技術の発展に伴い、さまざまなモードの液晶表示装置が提案され、応答速度やコントラスト、狭視野角といった問題点が解消されつつある。しかしながら、依然として、陰極線管(CRT)に比べて視野角が狭いことが指摘され、視野角拡大のための各種の試みがなされている。
このような液晶表示装置の一つに、正又は負の誘電率異方性を有する棒状の液晶分子を基板に対して垂直に配向させた、垂直配向(VA)モードの液晶表示装置がある。かかる垂直配向モードは、非駆動状態においては、液晶分子が基板に対して垂直に配向しているため、光は偏光の変化を伴わずに液晶層を通過する。このため、液晶パネルの上下に互いに偏光軸が直交するように直線偏光板を配設することで、正面から見た場合にほぼ完全な黒表示を得ることができ、高いコントラスト比を得ることができる。
しかし、このような液晶セルに偏光板のみを備えたVAモードの液晶表示装置では、それを斜めから見た場合に、配設された偏光板の軸角度が90°からずれてしまうことと、セル内の棒状の液晶分子が複屈折を発現することに起因して、光漏れが生じ、コントラスト比が著しく低下してしまう。
かかる光漏れを解消するためには、液晶セルと直線偏光板の間に光学補償フィルムを配置する必要があり、従来は、二軸性の位相差板を液晶セルと上下の偏光板の間にそれぞれ1枚ずつ配設する仕様や、正の一軸性位相差板と完全二軸性の位相差板を、それぞれ1枚ずつ液晶セルの上下に、又は2枚とも液晶セルの片側に配設する仕様が採用されてきた。例えば、特開 2001-109009号公報(特許文献1)には、垂直配向モードの液晶表示装置において、上下の偏光板と液晶セルの間に、それぞれaプレート(すなわち、正の一軸性位相差板)及びcプレート(すなわち、完全二軸性の位相差板)を配置することが記載されている。
正の一軸性位相差板とは、面内の位相差値R0 と厚み方向の位相差値Rthとの比 R0/Rthが概ね2のフィルムであり、また完全二軸性の位相差板とは、面内の位相差値R0 がほぼ0のフィルムである。ここで、フィルムの面内遅相軸方向の屈折率をnx 、フィルムの面内進相軸方向(面内で遅相軸と直交する方向)の屈折率をny 、フィルムの厚み方向の屈折率をnz、フィルムの厚みをdとしたとき、面内の位相差値R0及び厚み方向の位相差値Rthは、それぞれ下式(I)及び(II)で定義される。
0 =(nx−ny)×d (I)
th=〔(nx+ny)/2−nz〕×d (II)
正の一軸性フィルムでは、nz≒nyとなるため、R0/Rth≒2 となる。正の一軸性フィルムであっても、R0/Rth は延伸条件の変動により、1.8〜2.2程度の間で変化することもある。完全二軸性のフィルムでは、nx≒nyとなるため、R0≒0 となる。完全二軸性のフィルムは、厚み方向の屈折率のみが異なる(小さい)ものであることから、負の一軸性を有し、光学軸が法線方向にあるフィルムとも呼ばれ、また前述のとおり、cプレートと呼ばれることもある。
上記のような完全二軸性のフィルム(cプレート)の一つとして、有機修飾粘土複合体を含むコーティング層で構成されるものがある。例えば、特開 2005-309290号公報(特許文献2)には、偏光板、粘着剤層、及び屈折率異方性を有するコーティング層からなる位相差板がこの順に積層された複合偏光板が開示されており、そのコーティング層の例として、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂とを含む塗工液から形成されたものが挙げられている。この複合偏光板の製造法として、転写基材上にコーティング層を形成した後、粘着剤層を有する偏光板の粘着剤層側に、上記コーティング層の露出面を積層し、次いで転写基材をコーティング層から剥離する方法が開示されている。また、特開 2006-10912 号公報(特許文献3)には、脂肪族ジイソシアネートをベーストするウレタン樹脂をバインダーとし、これと有機修飾粘土複合体とを含む組成物をフィルム状に形成してなる位相差板が開示されており、その位相差板を、粘着剤層を介して偏光板に積層し、複合偏光板とすることも記載されている。これら特許文献2や特許文献3に開示される構成では、偏光板とコーティング層からなる位相差板とが、粘着剤層を介して貼着されている。
特開2001−109009号公報(請求項15及び段落0036) 特開2005−309290号公報 特開2006−10912号公報
本発明者らは、偏光板と屈折率異方性を有するコーティング位相差層とを積層して複合偏光板とするにあたり、偏光板の一方の保護フィルムを構成する透明樹脂フィルムの表面にプライマー層を介してコーティング位相差層を形成し、それを透明樹脂フィルム側で偏光子に貼合するとともに、偏光子の他方の面には通常の透明保護フィルムを貼合することで、従来に比べてより薄い複合偏光板が作製できることを見出し、本発明に至った。
したがって、本発明の目的は、光学性能を従来品と同等に保ちながら、従来よりも薄い複合偏光板及びその製造方法を提供することにある。本発明のもう一つの目的は、この複合偏光板に他の光学機能を示す光学層を積層し、従来よりも薄い複合光学部材を提供することにある。さらに本発明のもう一つ別の目的は、これらの複合偏光板又は複合光学部材を用いて、一層の薄肉化が可能な液晶表示装置を提供することにある。
本発明によれば、偏光子の一方の面に透明保護フィルムが貼合されており、他方の面には、透明樹脂フィルム、プライマー層、及び有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂とを含むコーティング位相差層がこの順に形成されている複合偏光板が提供される。
この複合偏光板は、次の各工程を経て製造することができる。
透明樹脂フィルムの表面にプライマー層を設けるプライマー層形成工程、
そのプライマー層の表面に、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂とを有機溶媒中に含有してなる塗工液を塗工し、そこから溶媒を除去してコーティング位相差層を形成するコーティング位相差層形成工程、及び
別途、偏光子と透明保護フィルムを用意し、その偏光子の一方の面に透明保護フィルムを、他方の面には前記コーティング位相差層が形成された透明樹脂フィルムをその透明樹脂フィルム側で、それぞれ接着剤を介して貼合する貼合工程。
また本発明によれば、上記の複合偏光板に、他の光学機能を示す光学層が積層された複合光学部材も提供される。
さらに本発明によれば、上記の複合偏光板又は上記の複合光学部材が、液晶セルの少なくとも一方の面に配置されている液晶表示装置も提供される。
本発明の複合偏光板は、従来、偏光板と位相差板を積層するのに用いられていた粘着剤層を取り除き、透明樹脂フィルムに直接、プライマー層及びコーティング位相差層を形成したものを用意し、これと透明保護フィルムとを、偏光子の両面にそれぞれ貼り合わせたものであり、これにより、従来品に比べて薄くすることができる。したがって、この複合偏光板あるいはそれに他の光学機能を示す光学層を積層した複合光学部材を適用した液晶表示装置も、従来に比べて薄くすることができる。
以下、添付の図面も適宜参照しながら、本発明の実施形態を詳しく説明する。図1は、本発明に係る複合偏光板の層構成例を示す断面模式図である。本発明では、偏光子11の一方の面に透明保護フィルム12を貼合し、他方の面には、透明樹脂フィルム13、プライマー層14、及びコーティング位相差層15をこの順に形成して、複合偏光板10とする。コーティング位相差層15の外側には、液晶セル等へ貼合するための粘着剤層18を設けることができる。
偏光子11は、従来公知のポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムであることができる。具体的には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向した偏光フィルムや、ポリビニルアルコール系樹脂を部分的に脱水処理したポリエン系配向フィルムなどが挙げられる。なかでも、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたものが好ましく用いられる。二色性色素としてヨウ素を用いたヨウ素系偏光フィルムや、二色性色素として二色性有機染料を用いた染料系偏光フィルムがあるが、いずれも使用できる。偏光子11の厚みは、例えば、10〜50μm 程度である。偏光子11を構成するポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、ポリ酢酸ビニルのケン化物であるポリビニルアルコールのほか、ポリビニルアルコールをアルデヒド類で変性したポリビニルブチラールやポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、またポリ(エチレン−酢酸ビニル)共重合体ケン化物などでありうる。
偏光子11の両面に貼り合わされる透明保護フィルム12及び透明樹脂フィルム13は一般に偏光板の保護フィルムとして知られるものでよく、例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレートの如きセルロース系樹脂からなるフィルム、プロピレンやエチレンの如きオレフィンを主要なモノマーとする重合体であるポリオレフィン系樹脂からなるフィルム、ノルボルネンの如き多環式の環状オレフィンを主要なモノマーとする重合体である環状ポリオレフィン系樹脂からなるフィルム、ポリエチレンテレフタレートの如きポリエステルからなるフィルム、その他、ポリエーテルサルホン、アクリル系樹脂、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、(メタ)アクリロニトリルなどからなるフィルムが使用できる。なかでも、セルロース系樹脂からなるフィルムやポリオレフィン系樹脂からなるフィルムが、好ましいものとして挙げられる。セルロース系樹脂フィルムのなかでもトリアセチルセルロースフィルムは、光学的な透明性に優れ、偏光子と積層する際に有効な保護層ともなるので、好ましいフィルムの一つである。透明保護フィルム12及び透明樹脂フィルム13の厚みは、それぞれ例えば、10〜200μm 程度である。また、透明保護フィルム12の表面には、反射防止層、防眩層など、各種の表面処理層を有してもよい。
透明保護フィルム12及び透明樹脂フィルム13の少なくとも一方をトリアセチルセルセルロースなどのセルロース系樹脂で構成する場合、透明保護フィルム12の偏光子11に貼り合わされる面や、透明樹脂フィルム13のプライマー層14が形成される面及び偏光子11に貼り合わされる面には、ケン化処理を施しておくことが好ましい。ケン化処理は一般に、アルカリ水溶液に浸漬することにより行われる。
一方の保護フィルムとなる透明樹脂フィルム13の表面には、プライマー層14及びコーティング位相差層15をこの順で形成する。プライマー層14は、塗布により形成される透明樹脂で構成するのが有利である。プライマーとは、一般に下塗りを意味するが、本発明におけるプライマー層14は、コーティングによって形成される位相差層15の下塗り層として機能する。また、プライマー層14の存在により、コーティング位相差層15用の塗工液を塗布した場合に、その塗工液中の有機溶媒による透明樹脂フィルム13への影響を防ぐことができる。プライマー層14は、粘着剤ほどの弾性を示さない樹脂で構成される。その樹脂の種類は特に限定されないが、塗工性に優れ、特に層形成後の透明性及び密着性に優れたものが好ましい。
プライマー層14を構成する樹脂は、溶媒に溶解した状態で用いてもよいし、また、それ自身でも層形成能を有するが、膜厚を調整するためにその樹脂を溶媒で希釈して用いてもよい。樹脂の溶解性により、ベンゼン、トルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンの如きケトン類、酢酸エチル、酢酸イソブチルの如きエステル類、塩化メチレン、トリクロロエチレン、クロロホルムの如き塩素化炭化水素類、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールの如きアルコール類など、一般的な有機溶媒を用いることができる。また水溶性の樹脂であれば、水を溶媒とすることができる。
プライマー層14を構成する樹脂の好適な例として、エポキシ樹脂を挙げることができる。エポキシ樹脂は、一液硬化型のものや二液硬化型のもののいずれも用いることができる。また、水溶性のエポキシ樹脂が特に好ましい。水溶性のエポキシ樹脂は、例えば、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミンのようなポリアルキレンポリアミンとアジピン酸のようなジカルボン酸との反応で得られるポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドエポキシ樹脂であることができる。かかるポリアミドエポキシ樹脂の市販品としては、住化ケムテックス(株)から販売されている“スミレーズレジン 650(30)”や“スミレーズレジン 675”(いずれも商品名)などがある。
プライマー層14を形成する樹脂として水溶性のエポキシ樹脂を用いる場合は、さらに塗工性を向上させるために、ポリビニルアルコール系樹脂などの他の水溶性樹脂を混合するのが好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコールや完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールのような、変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。適当なポリビニルアルコール系樹脂の市販品としては、(株)クラレから販売されているアニオン性基含有ポリビニルアルコールである“KL-318”(商品名)などがある。
水溶性のエポキシ樹脂を含む塗工液からプライマー層14を形成する場合、エポキシ樹脂は、水100重量部あたり0.2〜1.5重量部程度の範囲の濃度とするのが好ましい。また、この塗工液にポリビニルアルコール系樹脂を配合する場合、その量は、水100重量部あたり1〜6重量部程度とするのが好ましい。プライマー層14の厚みは、 0.1〜10μm 程度の範囲とするのが好ましい。
プライマー層14の形成にあたり、使用する塗工方式は特に制限されるものでなく、ダイレクト・グラビア法、リバース・グラビア法、ダイコート法、カンマコート法、バーコート法など、公知の各種コーティング法を用いることができる。
プライマー層14の上には、コーティング位相差層15を形成する。コーティング位相差層15は、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂とを有機溶媒中に含有してなる塗工液を塗布し、そこから溶媒を除去して形成される層である。
ここで有機修飾粘土複合体は、有機物と粘土鉱物との複合体であって、具体的には例えば、層状構造を有する粘土鉱物と有機化合物を複合化したものであることができ、有機溶媒に分散可能なものである。層状構造を有する粘土鉱物としては、スメクタイト族や膨潤性雲母などが挙げられ、その陽イオン交換能により有機化合物との複合化が可能となる。なかでもスメクタイト族は、透明性にも優れることから、好ましく用いられる。スメクタイト族に属するものとしては、ヘクトライト、モンモリロナイト、ベントナイトなどが例示できる。これらのなかでも化学合成されたものは、不純物が少なく、透明性に優れるなどの点で好ましい。特に、粒径を小さく制御した合成ヘクトライトは、可視光線の散乱が抑制されるために好ましく用いられる。
粘土鉱物と複合化される有機化合物としては、粘土鉱物の酸素原子や水酸基と反応しうる化合物、また交換性陽イオンと交換可能なイオン性の化合物などが挙げられ、有機修飾粘土複合体が有機溶媒に膨潤又は分散できるようになるものであれば特に制限はないが、具体的には含窒素化合物などを挙げることができる。含窒素化合物としては、例えば、1級、2級又は3級のアミン、4級アンモニウム化合物などが挙げられる。なかでも、陽イオン交換が容易であることなどから、4級アンモニウム化合物が好ましく用いられる。
有機修飾粘土複合体は、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。適当な有機修飾粘土複合体の市販品には、それぞれコープケミカル(株)から“ルーセンタイト STN”や“ルーセンタイト SPN”の商品名で販売されている合成ヘクトライトと4級アンモニウム化合物との複合体などがある。
このような有機溶媒に分散可能な有機修飾粘土複合体は、プライマー層14へのコーティングのしやすさ、光学特性の発現性や力学的特性などの点から、バインダー樹脂と組み合わせて用いられる。有機修飾粘土複合体と併用するバインダー樹脂は、トルエン、キシレン、アセトン、酢酸エチルなどの有機溶媒に溶解するもの、とりわけ、ガラス転移温度が室温以下(約20℃以下)であるものが、好ましく用いられる。また、液晶表示装置に適用する場合に必要とされる良好な耐湿熱性及びハンドリング性を得るためには、疎水性を有するものが望ましい。このような好ましいバインダー樹脂としては、ポリビニルブチラールやポリビニルホルマール、ポリビニルアセタールの如きアルデヒド変性ポリビニルアルコール系樹脂、セルロースアセテートブチレートの如きセルロース系樹脂、ブチルアクリレートの如きアクリル系樹脂、ウレタン樹脂、メタアクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。
適当なバインダー樹脂の市販品としては、電気化学工業(株)から“デンカブチラール #3000-K”の商品名で販売されているポリビニルアルコールのアルデヒド変性樹脂、東亞合成(株)から“アロン S1601”の商品名で販売されているアクリル系樹脂、住化バイエルウレタン(株)から“SBU ラッカー 0866” の商品名で販売されているイソホロンジイソシアネートベースのウレタン樹脂などがある。
有機溶媒に分散可能な有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂の割合は、前者:後者の重量比で1:2〜10:1の範囲、とりわけ1:1〜2:1の範囲にあることが、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂からなるコーティング位相差層15の割れ防止などの力学的特性向上のために好ましい。
有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂は、有機溶媒に含有させた状態で、プライマー層14上に塗布される。この際一般には、バインダー樹脂は有機溶媒に溶解され、そして有機修飾粘土複合体は有機溶媒中に分散される。この分散液の固形分濃度は、調製後の分散液が実用上問題ない範囲でゲル化したり白濁したりしなければ制限はないが、通常、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂の合計固形分濃度が3〜15重量%程度となる範囲で使用される。最適な固形分濃度は、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂それぞれの種類や両者の組成比により異なるため、組成毎に設定される。また、製膜する際の塗布性を向上させるための粘度調整剤や、疎水性及び/又は耐久性をさらに向上させるための架橋剤など、各種の添加剤を加えてもよい。
有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂を有機溶媒中に含有してなり、コーティング位相差層15を形成するための塗工液は、その塩素含有量を2,000ppm以下としておくのが好ましい。有機修飾粘土複合体には、その製造の際に用いられる原料に起因して、塩素を含む化合物が不純物として混入していることが多い。そのような塩素化合物の量が多いまま用いると、コーティングにより位相差層15とした後にフィルムからブリードアウトする可能性がある。その場合には、粘着剤層を介してその複合偏光板を液晶セルガラスに貼合したとき、粘着力が経時で大幅に低下してしまう。そこで有機修飾粘土複合体からは、洗浄により塩素化合物を除去しておくのが好ましく、その中の塩素含有量を2,000ppm以下としておけば、かかる粘着力の低下を抑えることができる。塩素化合物の除去は、有機修飾粘土複合体を水洗する方法により行うことができる。
また、このコーティング位相差層用塗工液は、カールフィッシャー水分計で測定される含水率を0.15〜0.35重量%の範囲としておくのが好ましい。この含水率が 0.35重量%を越えると、非水溶性有機溶媒中での相分離を生じ、塗工液が2層に分離してしまう傾向にある。一方、その含水率が 0.15重量%を下回ると、コーティング位相差層としたときに、ヘイズ値を高める傾向にある。水分の測定方法には、乾燥法、カールフィッシャー法、誘電率法などがあるが、ここでは、簡便かつ微量単位の測定が可能なカールフィッシャー法を採用する。
コーティング位相差層用塗工液の含水率を上記範囲に調整する方法は特に制限されないが、塗工液中に水を添加する方法が簡便で望ましい。本発明で用いるような、有機溶媒、有機修飾粘土複合体及びバインダー樹脂を、通常の方法で混合しただけでは、 0.15重量%以上の含水率を示すことはほとんどない。そこで、有機溶媒、有機修飾粘土複合体及びバインダー樹脂を混合した塗工液に少量の水を添加することにより、含水率を上記範囲とするのが好ましい。水を添加する方法は、塗工液の調製工程のいかなる時期の添加でも有効であり、特に制限はないが、塗工液の調製工程で一定時間経過後、サンプリングして含水率を測定したのち、所定量の水を添加する方法が、再現性及び精度よく含水率を制御できる点で好ましい。なお、添加された水の量が、カールフィッシャー水分計による測定結果と合わないこともある。その原因として、水が一部、有機修飾粘土複合体との相互作用(例えば、吸着)を起こしていることなどが考えられる。ただし、カールフィッシャー水分計で測定される水分率を0.15〜0.35重量%に保てば、得られるコーティング位相差層のヘイズ値が低く抑えられる。
コーティング位相差層15を形成するのに使用する塗工方式も特に制限されるものでなく、ダイレクト・グラビア法、リバース・グラビア法、ダイコート法、カンマコート法、バーコート法など、公知の各種コーティング法を用いることができる。
位相差層15の厚み方向の屈折率異方性は、前記式(II)により定義される厚み方向の位相差値Rthで表され、この値は、面内の遅相軸を傾斜軸として40度傾斜させて測定される位相差値R40と面内の位相差値R0 とから算出できる。すなわち、式(II)による厚み方向の位相差値Rthは、面内の位相差値R0 、遅相軸を傾斜軸として40度傾斜させて測定した位相差値R40、フィルムの厚みd、及びフィルムの平均屈折率n0 を用い、以下の式 (III)〜(V)から数値計算によりnx、ny及びnz を求め、これらを前記式(II)に代入して、算出することができる。
0 =(nx−ny)×d (III)
40=(nx−ny')×d/cos(φ) (IV)
(nx+ny+nz)/3=n0 (V)
ここで、
φ=sin-1〔sin(40°)/n0
y'=ny×nz/〔ny 2×sin2(φ)+nz 2×cos2(φ)〕1/2
位相差層15の厚み方向位相差値Rthは、40〜300nm程度の範囲から、その用途、特に液晶セルの特性に合わせて、適宜選択するのが好ましい。その厚み方向位相差値Rthは、有利には50nm以上、また有利には200nm以下である。
偏光子11と透明保護フィルム12との間、また偏光子11と透明樹脂フィルム13との間は、接着剤を介して接合される。このために用いる接着剤は、透明なものであればよい。好適な接着剤の例として、この分野で一般的に用いられているポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を挙げることができる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、先にプライマー層14の説明で挙げたのと同様のものを例示することができる。先にプライマー層14を形成するための塗工液の例として示した水溶性エポキシ樹脂とポリビニルアルコール系樹脂を含む水溶液は、ここでの接着剤として用いることもできる。
コーティング位相差層15の上に必要に応じて形成される粘着剤層18は、感圧接着剤とも呼ばれ、アクリル系ポリマーや、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルなどをベースポリマーとするもので構成することができる。なかでも、アクリル系粘着剤のように、光学的な透明性に優れ、適度の濡れ性や凝集力を保持し、基材との接着性にも優れ、さらには耐候性や耐熱性などを有し、加熱や加湿の条件下で浮きや剥がれ等の剥離問題を生じないものを選択して用いることが好ましい。アクリル系粘着剤においては、メチル基やエチル基、ブチル基等の炭素数が20以下のアルキル基を有するアクリル酸のアルキルエステルと、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどからなる官能基含有アクリル系モノマーとを、ガラス転移温度が好ましくは25℃以下、さらに好ましくは0℃以下となるように配合した、重量平均分子量が10万以上のアクリル系共重合体が、ベースポリマーとして有用である。
粘着剤層18は、上記のようなベースポリマーを主体とする粘着剤溶液を塗布し、乾燥する方法によって形成できるほか、離型処理が施されたフィルムの離型処理面に粘着剤層が形成されたもの(粘着剤付きフィルム)を用意し、それを粘着剤層側でコーティング位相差層15の表面に貼り合わせる方法によっても形成できる。
次に、本発明による複合偏光板の製造方法について説明する。前述したとおり、本発明の複合偏光板は、次の各工程を経て製造することができる。
透明樹脂フィルム13の表面にプライマー層14を設けるプライマー層形成工程、
そのプライマー層14の表面に、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂とを有機溶媒中に含有してなる塗工液を塗工し、そこから溶媒を除去してコーティング位相差層15を形成するコーティング位相差層形成工程、及び
別途、偏光子11と透明保護フィルム12を用意し、偏光子11の一方の面に透明保護フィルム12を、他方の面には前記コーティング位相差層15が形成された透明樹脂フィルム13をその透明樹脂フィルム13側で、それぞれ接着剤を介して貼合する貼合工程。
この後、コーティング位相差層15の外側には、液晶セル等へ貼合するための粘着剤層18を設けることができる。
この製造方法の例を、工程毎又は使用部材に分けて、図2に断面模式図で示した。まずプライマー層形成工程では、図2の(A)に示すように、透明樹脂フィルム13の表面にプライマー層14を形成して、プライマー層付き透明樹脂フィルム21とする。この際、透明樹脂フィルム13は、その表面をアルカリ水溶液でケン化しておくのが望ましい。その後コーティング位相差層形成工程では、図2の(B)に示すように、プライマー層14の表面にコーティング位相差層15を形成して、コーティング位相差層付き透明樹脂フィルム23とする。次に貼合工程では、図2の(C)に示す偏光子11及び同(D)に示す透明保護フィルム12を用意し、同(E)に示すように、偏光子11の一方の面に透明保護フィルム12を、他方の面にはコーティング位相差層付き透明樹脂フィルム23の透明樹脂フィルム13側を、それぞれ接着剤を介して貼合し、複合偏光板10とする。さらに必要に応じて、図2の(F)に示すように、コーティング位相差層15の外側に粘着剤層18を形成することができる。
この方法でロール状の複合偏光板を製造する場合の例を、図3に断面模式図で示した。この例ではまず、透明樹脂フィルム送り出しロール30から繰り出された透明樹脂フィルム13の表面に、プライマー層塗工機31を介してプライマー層用塗工液が塗布され、引き続きプライマー層乾燥ゾーン33を通って乾燥された後、コーティング位相差層の形成に供される。すなわち、プライマー層付き透明樹脂フィルム21〔図2の(A)参照〕のプライマー層表面に、コーティング層塗工機36を介して位相差層用塗工液が塗布され、引き続きコーティング層乾燥ゾーン38を通って乾燥されて、コーティング位相差層付き透明樹脂フィルム23〔図2の(B)参照〕が得られる。この状態で巻廻ロール40を通った後、偏光子との貼合に供される。
貼合工程では、図示を省略する偏光子製造ラインから送られてくる偏光子11の一方の面に、送り出しロール50から繰り出された透明保護フィルム12が、そして偏光子11の他方の面には、先の巻廻ロール40を通った後のコーティング位相差層付き透明樹脂フィルム23の透明樹脂フィルム側(コーティング位相差層と反対側)が、それぞれ貼合される。貼合に先立って、透明保護フィルム12の表面、及びコーティング位相差層付き透明樹脂フィルム23の透明樹脂フィルム側表面には、それぞれ接着剤塗工機51,52を介して接着剤が塗布されるようになっている。そして、透明保護フィルム12及び、コーティング位相差層付き透明樹脂フィルム23により偏光子11の両面を挟んだ状態で、貼合ロール53,54により貼合される。引き続き偏光板乾燥ゾーン55を通って乾燥された後、送り出しロール57から繰り出された粘着剤付きフィルム19(前述のとおり、離型フィルムの上に粘着剤層が設けられたもの)がその粘着剤層側で、コーティング位相差層に貼合され、粘着剤付きの複合偏光板10となって、製品ロール60に巻き取られる。
図3には、粘着剤付きの複合偏光板を得るまでを一貫したラインで行う例を示したが、このラインは、必要に応じて適宜の数に分割することもできる。例えば、透明樹脂フィルム上にプライマー層及びコーティング位相差層をこの順に形成したコーティング位相差層付き透明樹脂フィルム23の段階で、一旦ロールに巻き取ることができる。また例えば、このコーティング位相差層付き透明樹脂フィルム23を得るまでの間に、透明樹脂フィルム上にプライマー層を形成したプライマー層付き透明樹脂フィルム21の段階で、一旦ロールに巻き取ることもできる。さらに、粘着剤層を設ける前の複合偏光板を一旦ロールに巻き取り、その後別工程で粘着剤層を設けることもできる。
なお、図3において、曲線矢印は、ロールの回転方向を表す。また、粘着剤層は、粘着剤付きフィルム20をその粘着剤層側で貼り合わせる形態を示したが、粘着剤塗工液を塗工する方法によって粘着剤層を設けることもできる。
以上のようにして得られる複合偏光板は、他の光学機能を示す光学層に積層して、複合光学部材とすることができる。複合光学部材の層構成の例を図4に断面模式図で示した。この例では、図1に示した複合偏光板10の透明保護フィルム12側に、他の光学機能を示す光学層71が積層され、複合光学部材70となっている。両者の積層には、例えば粘着剤を用いることができ、図4ではこれを粘着剤層72として表示している。他の光学機能を示す光学層71として、例えば輝度向上フィルムなど、液晶表示装置等の形成に従来から用いられているものを挙げることができる。輝度向上フィルムとは、液晶表示装置におけるバックライト光の利用効率を高めることのできる光学フィルムである。輝度向上フィルムとして例えば、Minnesota Mining and Manufacturing社(3M社)〔日本では住友スリーエム(株)〕から販売されている反射型偏光分離フィルムである“DBEF”、同じく3M社から販売されている上向きプリズムシートである“BEF”などを挙げることができる。他の光学層71の貼合に粘着剤を用いる場合、その粘着剤には、先に図1を参照して同図中の粘着剤層18について説明したのと同様のものを用いることができる。
また、図1に示した複合偏光板10において、粘着剤層18の外側に、他の光学機能を示す層、例えば、正の一軸性又は二軸性の位相差板を配置することもできる。この場合は通常、さらにその外側にもう一層粘着剤層が設けられ、例えば、粘着剤層付きの位相差板をその粘着剤層が外側となるように、図1に示した複合偏光板10の粘着剤層18の外側に積層すればよい。
図1に示すような複合偏光板10や図4に示すような複合光学部材70は、液晶セルの少なくとも一方の面に配置して、液晶表示装置とすることができる。液晶セルの両面に複合偏光板10を配置することもできる。また、液晶セルの一方の面に複合偏光板10を、他方の面に複合光学部材70を配置することもできる。液晶セルの片面に複合偏光板10又は複合光学部材70を配置し、液晶セルのもう一方の面には、別の偏光板を、必要に応じて位相差板を介在させて配置することもできる。液晶セルは、背景技術の項で述べた如く、垂直配向(VA)モードのものが好ましいが、その他、ベンド配向(ECB)モードなど、他の方式の液晶セルに対しても、本発明の複合偏光板又は複合光学部材は、有効に機能する。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ない限り重量基準である。以下の例で用いたプライマー層用塗工液及び位相差層用塗工液の組成は、それぞれ次のとおりである。
[プライマー層用塗工液]
水溶性エポキシ樹脂として、住化ケムテックス(株)製のポリアミドエポキシ樹脂である“スミレーズレジン 650(30)”(商品名、固形分濃度30%の水溶液)を、またポリビニルアルコール系樹脂として、(株)クラレ製のアニオン性基含有ポリビニルアルコールである“KL-318”(商品名)を用い、以下の組成で配合したもの。
プライマー層用塗工液の組成:
水 100部
ポリアミドエポキシ樹脂“スミレーズレジン 650(30)” 1.5部
アニオン性基含有ポリビニルアルコール“KL-318” 3部
この塗工液は、水を100℃に温めながらポリビニルアルコール“KL-318”と混合し、攪拌後、室温まで冷却し、さらにポリアミドエポキシ樹脂“スミレーズレジン 650(30)”と混合し、攪拌して調製した。ここで調製された塗工液は、透明保護フィルムと偏光子、透明樹脂フィルムと偏光子の接着剤としても用いることができる。
[位相差層用塗工液]
有機修飾粘土複合体として、合成ヘクトライトとトリオクチルメチルアンモニウムイオンとの複合体であるコープケミカル(株)製の“ルーセンタイト STN”(商品名)を、またバインダー樹脂として、イソホロンジイソシアネートベースのポリウレタン樹脂で固形分濃度30%の樹脂ワニスである住化バイエルウレタン(株)製“SBU ラッカー 0866” (商品名)を用い、以下の組成で配合したもの。
位相差層用塗工液の組成:
ウレタン樹脂ワニス“SBU ラッカー 0866” 16.0部
有機修飾粘土複合体“ルーセンタイト STN” 7.2部
トルエン 76.8部
水 0.3部
ここで用いた有機修飾粘土複合体は、メーカーにて、有機修飾前の合成ヘクトライト製造後に酸洗浄し、それを有機修飾し、さらに水洗した状態で入手したものである。そこに含まれる塩素量は1,111ppmであった。また、この塗工液は、上記組成で混合し、攪拌後、孔径1μm のフィルターで濾過して調製したものであり、カールフィッシャー水分計で測定される含水率は 0.25%であった。この塗工液における有機修飾粘土複合体/バインダー樹脂の固形分重量比は6/4である。
[実施例1]
(a)位相差層の形成
両面にケン化処理が施されたトリアセチルセルロースからなる厚さ40μm の透明樹脂フィルムの片面に前記プライマー層用塗工液を塗布し、80℃で約1分間乾燥して、含水率が約20%のプライマー層を形成した。次に、そのプライマー層の上に前記位相差層用塗工液を塗布し、その後90℃で3分間乾燥して、コーティング位相差層を形成した。
(b)偏光子の作製
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上で厚さ75μm のポリビニルアルコールフィルムを、乾式で約5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、60℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が 0.05/5/100の水溶液に28℃で60秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が 8.5/8.5/100 の水溶液に72℃で300秒間浸漬した。引き続き26℃の純水で20秒間洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光子を得た。
(c)複合偏光板の作製
上記(b)で得た偏光子の片面に、上記(a)で作製したトリアセチルセルロースフィルム/プライマー層/コーティング位相差層からなる積層フィルムをトリアセチルセルロースフィルム側で、また偏光子の他面にはトリアセチルセルロースフィルムを、それぞれ接着剤を介して貼合し、複合偏光板を作製した。すなわち、上記(a)で作製したトリアセチルセルロースフィルム/プライマー層/コーティング位相差層からなる積層フィルムのトリアセチルセルロースフィルム側表面、及び、表面にケン化処理が施されたトリアセチルセルロースからなる厚さ40μm の透明保護フィルムのケン化処理面に、それぞれ前記プライマー層用塗工液を塗布し、それぞれの塗布層側で上記(b)で得た偏光子に貼合して、80℃で7分間乾燥した。その後、コーティング位相差層側表面にアクリル系粘着剤〔リンテック(株)製の“P-3132”〕を貼着し、透明保護フィルム/偏光子/透明樹脂フィルム/プライマー層/コーティング位相差層/粘着剤層の順に積層された複合偏光板を得た。この例で作製した複合偏光板の層構成は、図1に示すとおりである。
(d)複合偏光板の厚み測定
(c)で得られた粘着剤層付き複合偏光板を、幅25mm、長さ約850mmに切断し、
(株)ニコン製のデジタル測長器“MH-15M”を用いて長さ方向に9点の厚みを測定した。9点平均の結果を表1に示した。
(e)複合偏光板の光学性能評価
(c)で得られた粘着剤層付き複合偏光板を25mm角に切断し、その粘着剤層側でソーダガラスに貼合した後、オートクレーブ中、圧力5kgf/cm2、温度50℃で20分間の加圧処理を行い、次に以下の方法で、厚み方向の位相差値、偏光度及びヘイズ値を測定し、結果を表1に示した。
(e1)厚み方向の位相差値:王子計測機器(株)製の位相差測定装置“KOBRA-WR”を用いて測定した。
(e2)偏光度:(株)島津製作所製の分光光度計“UV-2400”を用いて測定した。
(e3)ヘイズ値:スガ試験機(株)製のヘイズメーター“HZ-1”を用いて測定した。
[比較例1]
(a)複合偏光板の作製
離型処理が施された厚さ38μm のポリエチレンテレフタレートフィルム(離型処理面の水接触角110°)の離型処理面に、前記位相差層用塗工液を塗工し、その後90℃で3分間乾燥して、コーティング位相差層を形成した。別途用意した住友化学(株)製の粘着剤付き偏光板“SRW062AP6-HC2” (ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光子の両面をそれぞれ厚さ40μm のトリアセチルセルロースフィルムで挟み、さらにその一方の面に粘着剤層を形成したもの)の粘着剤層側に、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成されたコーティング位相差層を貼合し、そこからポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がした後、その剥離面に、実施例1で用いたのと同じアクリル系粘着剤〔リンテック(株)製の“P-3132”〕を貼着して、複合偏光板を得た。この例で得られた複合偏光板の層構成を図5に断面模式図で示す。すなわち、この複合偏光板80は、(偏光子81の両面をトリアセチルセルロースフィルム82,82で挟んだ偏光板83)/粘着剤層84/コーティング位相差層85/粘着剤層88の層構成となっている。
(b)複合偏光板の厚み測定
(a)で得られた粘着剤層付き複合偏光板を、幅25mm、長さ約850mmに切断し、
(株)ニコン製のデジタル測長器“MH-15M”を用いて長さ方向に9点の厚みを測定した。9点平均の結果を表1に示した。
(c)複合偏光板の光学性能評価
(a)で得られた粘着剤層付き複合偏光板を25mm角に切断し、その粘着剤層側でソーダガラスに貼合した後、オートクレーブ中、圧力5kgf/cm2、温度50℃で20分間の加圧処理を行い、次に、実施例1の(e1)〜(e3)と同様の方法で、厚み方向の位相差値、偏光度及びヘイズ値を測定し、結果を表1に示した。
Figure 2008026352
以上の実施例と比較例の対比から明らかなように、本発明の複合偏光板は、従来品(比較例1)と同等の光学性能を示しながら、それに比べて一層薄肉化することができる。
本発明に係る複合偏光板の層構成例を示す断面模式図である。 複合偏光板の製造方法の例を、工程毎又は使用部材に分けて示す断面模式図である。 複合偏光板をロール状で製造する場合の例を示す断面模式図である。 複合光学部材の層構成例を示す断面模式図である。 比較例1で作製した複合偏光板の層構成を示す断面模式図である。
符号の説明
10……複合偏光板、
11……偏光子、
12……透明保護フィルム、
13……透明樹脂フィルム、
14……プライマー層、
15……コーティング位相差層、
18……粘着剤層、
19……粘着剤付きフィルム、
21……プライマー層付き透明樹脂フィルム、
23……コーティング位相差層付き透明樹脂フィルム、
30……透明樹脂フィルム送り出しロール、
31……プライマー層塗工機、
33……プライマー層乾燥ゾーン、
36……コーティング層塗工機、
38……コーティング層乾燥ゾーン、
40……巻廻ロール、
50……透明保護フィルム送り出しロール、
51,52……接着剤塗工機、
53,54……貼合ロール、
55……偏光板乾燥ゾーン、
57……粘着剤付きフィルム送り出しロール、
60……製品ロール、
70……複合光学部材、
71……他の光学機能を示す光学層、
72……粘着剤層、
80……比較例1の複合偏光板、
81……偏光子、
82……トリアセチルセルロースフィルム、
83……偏光板、
84……粘着剤層、
85……コーティング位相差層、
88……粘着剤層。

Claims (12)

  1. 偏光子の一方の面に透明保護フィルムが貼合されており、他方の面には、透明樹脂フィルム、プライマー層、及び有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂とを含むコーティング位相差層がこの順に形成されていることを特徴とする複合偏光板。
  2. 偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向したものである請求項1に記載の複合偏光板。
  3. 偏光子の一方の面に貼合される保護フィルムは、セルロース系樹脂又はポリオレフィン系樹脂からなる請求項1又は2に記載の複合偏光板。
  4. プライマー層が形成される透明樹脂フィルムは、セルロース系樹脂又はポリオレフィン系樹脂からなる請求項1〜3のいずれかに記載の複合偏光板。
  5. プライマー層は、透明樹脂からなる請求項1〜4のいずれかに記載の複合偏光板。
  6. プライマー層は、エポキシ樹脂を含有する請求項5に記載の複合偏光板。
  7. プライマー層は、水溶性エポキシ樹脂及びポリビニルアルコール系樹脂を含有する組成物から形成されている請求項5に記載の複合偏光板。
  8. 水溶性エポキシ樹脂は、ポリアミドエポキシ樹脂である請求項7に記載の複合偏光板。
  9. 透明樹脂フィルムの表面にプライマー層を設けるプライマー層形成工程、
    該プライマー層の表面に、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂とを有機溶媒中に含有してなる塗工液を塗工し、そこから溶媒を除去してコーティング位相差層を形成するコーティング位相差層形成工程、及び
    別途、偏光子と透明保護フィルムを用意し、その偏光子の一方の面に透明保護フィルムを、他方の面には前記コーティング位相差層が形成された透明樹脂フィルムをその透明樹脂フィルム側で、それぞれ接着剤を介して貼合する貼合工程
    を備えることを特徴とする複合偏光板の製造方法。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の複合偏光板に、他の光学機能を示す光学層が積層されていることを特徴とする複合光学部材。
  11. 液晶セルの少なくとも一方の面に、請求項1〜8のいずれかに記載の複合偏光板が配置されていることを特徴とする液晶表示装置。
  12. 液晶セルの少なくとも一方の面に、請求項10に記載の複合光学部材が配置されていることを特徴とする液晶表示装置。
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