JP2007502318A - グリオキサールジアセタールを含む粗混合物からグリオキサールジアセタールを向流液液抽出により分離する方法 - Google Patents

グリオキサールジアセタールを含む粗混合物からグリオキサールジアセタールを向流液液抽出により分離する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、グリオキサールのジアセタールとグリオキサールのモノアセタールを含む原料混合物から向流液液抽出によりグリオキサールのジアセタールを分離する方法に関する。

Description

本発明は、グリオキサールジアセタールとグリオキサールモノアセタールと水を含む粗混合物からグリオキサールジアセタールを向流液液抽出により分離する方法に関する。
グリオキサールアセタールは、有機合成に都合よいシントン(synthon)であり(国際公開第02/42524号)、添加剤として使用できる(欧州特許出願公開第0855436号明細書及び欧州特許出願公開第0512501号明細書)。
グリオキサールジアセタールを製造するための最も広く知られている方法は、以下のスキームに従って酸触媒を用いてモノアルコールR−OHによりグリオキサールをアセタール化するものである。
Figure 2007502318
この反応は、平衡反応であり、グリオキサールとアルコールR−OHと水とグリオキサールモノアセタールとグリオキサールジアセタールを含む混合物をもたらす。
このアセタール化は、その間にモノアセタール及びジアセタールに加えて、様々な環状副生成物及び/又はオリゴマーが形成されるという複雑な反応である(例えば、J.M. Kliegmanら,J.Org.Chem.,Vol.38(1973),p.556−560;A.Stambouliら,Bull.Soc.Chimique France(1983),II,p.33−44参照)。
先行技術によれば、グリオキサールジアセタールを製造するための方法には、ジアセタール、すなわち1,1,2,2−テトラアルコキシエタンの収率が低い(例えば米国特許第2,360,959号に(テトラメトキシエタンについて38%)開示されているように)という欠点や、共沸溶剤の使用による反応水の除去を必要とし(例えば、英国特許第559,362号)、その結果、高いエネルギーコスト及びエンジニアリングコストをもたらすという欠点がある。
欧州特許第1300383号には、一価アルコールとの40〜75質量%の水性グリオキサールの反応によりグリオキサールジアセタールを製造する方法が開示されている。この方法において、アセタール化反応の間に形成された水を蒸留により分離する必要はない。
アルコールとのグリオキサールのアセタール化反応は、特に欧州特許出願公開第0607772号及び第0847976号に開示されている。欧州特許出願公開第0847976号において、反応の間に同時に生成したグリオキサールジアセタールの精製は、過剰のアルコールの第1の蒸留と、その後の、水とグリオキサールジアセタールとを含む共沸混合物の蒸留により行われ、水の添加を必要とし、最終的に、第3の共沸溶剤による水の共沸蒸留と蒸留塔の底部で無水グリオキサールジアセタールを回収することを必要とする。
しかしながら、先行技術文献に開示されているこれらの方法は、グリオキサールジアセタールとアセタール化反応のその他の反応物、すなわち、主にグリオキサールとグリオキサールモノアセタールとアルコールと水とを含む反応混合物から直接グリオキサールジアセタールを分離する工程を容易かつ定量的に実施することを可能にするものではない。
従って、解決すべき技術的課題は、グリオキサールジアセタールを高収率で得られるように、アセタール化反応の結果得られる混合物からグリオキサールジアセタールを選択的に分離することから成る。これは、製造コストを最適化するために、連続式と同様に十分に回分式でも実施できる方法によって達成される。
かかる分離が、アセタール化反応の結果及び過剰なアルコールの除去の結果得られた混合物(以下、「粗混合物」と呼ぶ)から、反応媒体と不混和性である抽出溶剤を使用して、グリオキサールジアセタールの選択的向流液液抽出によって実施できることが見出された。
都合よいことに、この分離方法は、実質的には定量的な収率でグリオキサールジアセタールを得ることを可能にするとともに、特に、粗混合物中に存在するグリオキサールジアセタールの量の少なくとも95%、さらには少なくとも98%で回収することを可能にする。
上記のように、本発明は、式(I):
Figure 2007502318
(式中、Rは線状又は分岐状のC1−C4アルキル基を表す)
のグリオキサールジアセタールを、前記グリオキサールジアセタールと、式(II):
Figure 2007502318
(式中、Rは上記定義のとおりである)
のグリオキサールモノアセタールとを含む混合物から、一方では前記グリオキサールジアセタールを含む軽相を得、他方では粗混合物のその他の構成成分を含む重相を得るために、反応媒体と不混和性であるエーテル、アルカン及び芳香族炭化水素から選ばれた溶剤を使用して、前記グリオキサールジアセタールの少なくとも1つの向流液液抽出工程によって分離する方法に関する。
「反応媒体と不混和性である溶剤」という語句は、反応媒体と均質混合物を形成しない溶剤を意味する。
かかる説明の続きとして、上記式(II)のグリオキサールモノアセタールは、下記式で表されるその水和した形態で存在していてもよい。
Figure 2007502318
「線状又は分岐状のC1−C4アルキル基」という語句は、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル又はブチル基を意味する。
式(I)のグリオキサールジアセタールが分離される粗混合物は、主に、前記ジアセタールと、式(II)のモノアセタールと、水とを含む。
この方法の好ましい態様によると、上記式(I)及び(II)中の置換基RはC1−C2アルキル基、特にメチル基を表す。
Rがメチル基を表す場合、式(I)のグリオキサールジアセタールは1,1,2,2−テトラメトキシエタン(TME)であり、式(II)のモノアセタールはジメトキシエタナール(DME)である。
この場合に、粗混合物は、具体的には、質量百分率で、約25〜60%のTME、約7〜35%のDME及び約20〜50%の水を含む。前記混合物は、質量百分率で、約0〜15%のグリオキサール、約0〜10%のメタノール及び約0〜5%の不純物も含むことがある。不純物は、基本的には、エチレングリコール、アセトアルデヒド、又はアセタール化反応からの副生成物、例えば環状アセタール、グリオキサールオリゴマー、DMEオリゴマー等から構成される。
抽出溶剤の選択は本方法の1つの重要な特徴である。
これは、驚くべきことに、グリオキサールジアセタール、特にTMEが、前記溶剤に対して、対応するグリオキサールモノアセタール(すなわち、TMEの場合にはDME)の分配挙動と非常に異なる分配挙動を、これらの2種の化合物が水相中に存在する場合に、示すことが見出されたからである。さらに、溶剤に対するグリオキサールジアセタール、特にTMEの分配は、それが水相中に単独で存在する場合と対応するグリオキサールモノアセタール(すなわち、TMEの場合にはDME)との混合物で存在する場合とで非常に異なる。
好ましくは、前記溶剤は、エーテル、アルカン及び芳香族炭化水素から選ばれる。
例として、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、メチルtert−アミルエーテル(TAME)、n−ヘキサン、メチルシクロヘキサン又はキシレンを挙げることができる。
本発明に対して特に都合よい溶剤はシクロヘキサン、n−ヘプタン及びトルエンである。
向流液液抽出工程は、特に、McGraw−Hillにより1997年に出版された”Perry’s Chemical Engineers’ Handbook”,7th Edition,chapter 15,pp.15−28〜15−31に記載されているもののように、直列又は並列に配置された1つ以上の抽出塔を使用して実施できる。
幾つかのミキサー−デカンターの組み合わせを使用することが好ましい。機械的攪拌なしに重力により動作する抽出機の部類の中で、例として、スプレー塔、充填塔又は多孔板塔が挙げられる。機械的攪拌なしに重力により動作する抽出機の中で、例えば、回転攪拌機又はパルス塔を使用することができる。
遠心抽出機も使用できる。
本発明に対し、回転攪拌機を備えた塔を使用することが好ましい。
本発明の分離方法によると、粗混合物は、液液抽出塔上に導入され、抽出溶剤の向流的流れを使用して抽出される。
式(I)のグリオキサールジセタールと抽出溶剤とを含む軽相は塔頂に集められる。この軽相が、粗混合物中に最初に存在していた式(I)のグリオキサールジアセタールの量の少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%と、粗混合物中に最初に存在していた式(II)のグリオキサールモノアセタールの10%未満、好ましくは1%未満を含むことが都合よい。
この目標を達成するために、溶剤の量は、式(I)のグリオキサールジアセタールの少なくとも95%を抽出するとともに残留する量ができる限り少なくなるように調節されることが好ましい。約0.3/1〜5/1の溶剤/粗混合物の質量比を用いることが好ましく、溶剤の最適な量は、使用される溶剤及び装置に応じて調節される。
抽出は、溶剤の沸点未満に保ちながら周囲温度未満の温度、周囲温度に等しい温度又は周囲温度を超える温度で行われる。好ましくは、抽出は、約10℃〜60℃の温度、好ましくは周囲温度で行われる。
抽出の結果得られる軽相は、例えば減圧下での蒸留によって、分離にかけられ、分離の結果、一方では前記グリオキサールジアセタールは回収され、他方では抽出溶剤が回収され、回収された抽出溶剤を、液液抽出工程に再循環させることができる。
好ましくは、この蒸留は、減圧下、特に200〜300mbar程度の圧力で、行われる。蒸留ボトムの温度は、好ましくは120℃以下である。
主に水とグリオキサールモノアセタールとを含む重相は、塔底部で回収され、蒸発により濃縮され、この濃縮の結果、グリオキサールモノアセタールと、残留グリオキサールと残留グリオキサールジアセタールがそれらの再循環のために回収される。
粗混合物は、上記のアセタール化反応の結果得られる。
40〜75質量%、好ましくは60〜70質量%の濃度の水性グリオキサールを使用することが好ましく、このグリオキサールは、市販の水性グリオキサールの減圧下での濃縮により得られる。市販の水性グリオキサールの濃度は通常40%程度である。この水性グリオキサールは、使用直前に濃縮されることが好ましい。
グリオキサールの濃縮に関する実験条件及び設備は当業者に知られており、例えば欧州特許出願公開第1300383号明細書、並びにR.K.Shah及びA.C.Mueller,Heat Exchange,Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,6th editionのCD−ROM版,Wiley VCHを挙げることができる。
アルコールR−OH/グリオキサールのモル比は10/1〜50/1、好ましくは10/1〜30/1、特に15/1であることが好ましい。
メタノール、エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノール等の水に混和性のアルコールを使用することが好ましい。TME及びDMEを含む粗混合物は、メタノールによるグリオキサールのアセタール化によって得られる。
酸触媒として、ルイス酸もブレンステッド酸も同様に十分に使用することができる。触媒として、例えば、硫酸又はメタンスルホン酸若しくはp−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸等の、上記混合物に均一に溶解するものを使用することができる。例えば、硫酸ジルコニウムや、高度に酸性の、特にスルホン酸系のイオン交換体等の不均質触媒も使用できる。商品名Lewatit(登録商標)、BayKat(登録商標)(Bayer AG,Leverkusen)、Amberlite(登録商標)及びAmberlyst(登録商標)(Rohm & Haas)、並びにDowex(登録商標)(Dow Chemicals)で市販されているイオン交換樹脂は、好適なイオン交換体の例である。Lewatit(登録商標)S100、Lewatit(登録商標)K2431、(登録商標)、Lewatit(登録商標)K2621、Lewatit(登録商標)K2629、BayKat(登録商標)K2611、Amberlyst(登録商標)15、Amberlyst(登録商標)35及びDowex(登録商標)も市販されている高度に酸性のイオン交換体である。
固定触媒床の形態にある不均質触媒を都合よく使用することができ、上記アルコールと上記水性グリオキサールを含む上記液体混合物をかかる固定触媒床に導入する。望ましい接触時間又は滞留時間に達するまで、液体混合物を固定触媒床に1回又はそれより多くの回数で通すことができる。
アセタール化に使用される温度は、基本的には、周囲温度よりも高く、この反応は、60℃〜140℃程度の温度、好ましくは約80℃〜130℃の温度、より好ましくは100℃〜130℃程度の温度で行われることが好ましい。好ましくは、この反応は、大気圧以上の圧力、好ましくは大気圧以上かつ15bar以下の圧力で行われる。
アルコールとのグリオキサールの反応は、ほぼ平衡状態に達するまで、すなわち反応媒体中のジアセタールの濃度が、平衡時の濃度の少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、さらには少なくとも90%、より一層好ましくは95%になるまで行われる。
本発明の方法の有利な態様によると、粗混合物は、1時間以内、好ましくは40分間以内、特に20分間以内のアセタール化反応の結果得られる。
反応平衡に達した後、反応混合物を中和し、次に、大気圧下、110℃未満の底部温度で蒸留して、過剰なアルコールを除去し、除去したこの過剰なアルコールは、アセタール化塔に再循環する。
本発明の有利な態様によると、アセタール化反応、液液抽出工程及び粗混合物の様々な構成成分の回収は、連続的に行うことができる。この場合、グリオキサール、グリオキサールモノアセタール、アルコールR−OH及び抽出溶剤は再循環される。
このために、得られたグリオキサール及び重相の濃縮から得られたグリオキサールモノアセタールを、アセタール化が行われる塔の供給ラインに再導入される。代わりに、重相を、濃縮前に、グリオキサールを濃縮するために使用される蒸発器に直接供給することができる。
軽相の分離、特に蒸留による軽相の分離によって得られた抽出溶剤は、都合よいことに実質的に完全に回収され、液液抽出塔の供給材料中に再導入される。
本発明を以下の実施例により例示する。
実施例1:
89g/hの70%グリオキサール水溶液に686g/hのメタノールを加えることにより得られた、質量割合で88%のメタノール、8%のグリオキサール及び4%の水を含む混合物785g/hを、大気圧下で一定速度で塔R1に通した。塔R1は、内径12cm及び高さ130cmのジャケットを備え、このジャケット内に熱水を循環させることにより68±2℃にサーモスタット制御され、そして3±2eq/lの交換能を有する酸型のスルホン酸基を含むカチオン交換樹脂13リットルを含んでいた。
塔出口で、質量で74%のメタノール、13%のTME、8%の水、4.5%のDME及び0.5%未満の未転化グリオキサールを含む中和された反応溶液を、塔C1内で大気圧で連続的に蒸留して、存在するメタノールの99%超を回収した。塔C1は、還流比2/1で20の理論段数(DN50)を有していた。回収されたメタノールは、2%未満の水を伴って集められた。
回収されたメタノールをR1の供給材料中に再循環させた。約30の攪拌区画を有するRushton−Oldshue型の液液抽出塔C2内で300±10g/hの流れによって、蒸留ボトム分(200±10g/h)を周囲温度で向流的に連続的に抽出した。塔頂部で、98%超の出発TME及び1%未満の出発DMEを含む軽相(シクロヘキサン73.5%、TME25.1%、DME0.5%、水0.9%)400±10g/hを集めた。塔底部で、およそ58%の水、36%のDME、3.5%のグリオキサール、1%のTME、0.8%のシクロヘキサン及び0.7%のメタノールを含む約100±10g/hの重相を集めた。
軽相を、還流比1/1で10の理論段数を有する塔C3(DN50)により200mbarの圧力下で連続的に蒸留して、存在するシクロヘキサンの99%超及びDMEを回収し、底部で、純度99%超のTMEを100g/hで得た。塔C2から得られた重抽出相を、200mbarの圧力下、約60℃〜80℃で、蒸発器C4により濃縮し、75%のDME、17%の水、7%のグリオキサール及び1%のTMEを含む50±5g/hの混合物を得た。この混合物は、塔R1の供給材料混合物に再循環される275g/hのメタノールと混合した。
上記反応プロセスは図1に表されている。
実施例2:
60%の水、25%のグリオキサール及び15%のDMEを含む混合物170g/hを100mbarで実験用薄層蒸発器E1により濃縮した。ジャケット内を循環する熱交換流体の温度を112±2℃に調節し、85±5g/hの水を蒸発させた。50%のグリオキサール、30%のDME及び20%の水を含む濃縮物(85±5g/h)を615g/hのメタノールと合わせて混合した。この混合物を、塔R1に供給した。この塔R1は、内径12cm及び高さ130cmのジャケットを備え、このジャケット内に熱水を循環させることにより68±2℃にサーモスタット制御され、そして3±2eq/lの交換能を有する酸型のスルホン酸基を含むカチオン交換樹脂13リットルを含んでいた。
塔出口で、質量で74.5%のメタノール、14.5%のTME、6.5%の水、4%のDME及び0.3%未満の未転化グリオキサールを含む中和された反応溶液を、塔C1内で大気圧で連続的に蒸留して、存在するメタノールの99%超を回収した。塔C1は、還流比2/1で20の理論段数(DN50)を有していた。回収されたメタノールは、2%未満の水を伴って集められた。回収されたメタノールは、蒸発器E1から得られた濃縮物との混合物として再循環させた。
約30の攪拌区画を有するRushton−Oldshue型の液液抽出塔C2内の260g/hの流れによって、蒸留ボトム分(175±10g/h)を周囲温度で向流的に連続的に抽出した。塔頂部で、98%超の出発TME及び1%未満の出発DMEを含む軽相(シクロヘキサン73.5%、TME25.1%、DME0.5%、水0.9%)360±10g/hを集めた。塔底部で、およそ59%の水、38%のDME及び3%のグリオキサールを含む重相70±5g/hを集めた。
軽相を、還流比1/1で10の理論段数を有する塔C3(DN50)により200mbarの圧力下で連続的に蒸留して、存在するシクロヘキサンの99%超及びDMEを回収し、底部で、純度99%超のTMEを約100g/hで得た。
塔C2から得られた重い抽出相を100g/hの40%グリオキサール水溶液と混合して、60%の水、25%のグリオキサール及び15%のDMEを含む混合物を生じさせ、これをR1の供給材料として使用した。
上記反応プロセスは図2に表されている。
実施例3:粗混合物の調製
470gのメタノールと70.5%水溶液としての120gのグリオキサールとを混合して、質量百分率で79.6%のメタノール、14.4%のグリオキサール及び6.0%の水を含む溶液、すなわち、グリオキサール1モル当たりメタノールが10モルとなるモル比(ガスクロマトグラフィーにより分析した場合)の溶液590gを得た。
この溶液を、1リットルの作業容量を有し、ジャケットと攪拌装置、温度プローブ及び試料を引き出すための装置を備えたオートクレーブ内に周囲温度で入れた。
予めメタノールですすぎ、そしてブフナー漏斗上で乾燥させた200gのAmberlyte(登録商標)C35樹脂を上記媒体に加えた、オートクレーブをその後閉じて、その気体ヘッドスペースを窒素でパージし、次いで、150回転/分で攪拌を開始した。この閉じた系を次に、オートクレーブのジャケット内の120℃の恒温流体を循環させることにより加熱した。20分間で、内部温度は、約3barの圧力下で少なくとも95℃に達した。30分間で、内部温度は、約3.8barの圧力下で少なくとも105℃に達した。40分間後、媒体は、反応平衡の少なくとも90%に達した。媒体は、1.4%のグリオキサール、15.5%のTME及び9.5%のDMEを含んでいた。
オートクレーブを、ジャケット内の熱交換流体を循環させることにより25℃に冷却した。反応媒体を引き出し、そしてブフナー漏斗に通してろ過し、Amberlyst(登録商標)C35樹脂を回収した。回収したこのAmberlyst(登録商標)C35樹脂は、再利用することができる。
得られた混合物を、精製前に、上記実施例1及び2に記載した条件(これらの条件は、反応混合物の量に応じて調節した)下での蒸留及び抽出により中和した。
実施例4:
25℃でのシクロヘキサンを含む軽相と水を含む重相の間でのTMEの分配について調べた。
TME及びDMEの50gの水溶液を調製し、そして250ml丸底フラスコ内で25℃及び大気圧で攪拌した。50gの溶剤を加えた。媒体を30分間攪拌し続け、次に、250mlの分液漏斗に移し入れた。デカンテーション後、重相及び軽相の重さを計り、次に、クロマトグラフィーにより分析した。
下記表1に報告する結果は、TME及びDMEの50gの水溶液を50gのシクロヘキサンを用いて抽出することにより得られたものである。
Figure 2007502318
これらの結果から、出発TME水溶液がDMEを含まない場合(試験1)には、TMEの分配係数(有機相中のTMEの質量%/水相中のTMEの質量%)は0.5に等しいことが判る。
出発水溶液中にDMEが存在すると(試験2〜3)、驚くべきことに、TMEの分配係数が増加する。特に、重相中のTMEがおよそ一定量である場合(18.6〜23.6%)に、TMEの分配係数は、DMEが存在しない場合の0.5から、15.3%のDMEが存在する場合には1.1に変化し、32.4%のDMEが存在する場合には1.5に変化した。
(原文に記載無し)

Claims (26)

  1. 式(I):
    Figure 2007502318
    (式中、Rは線状又は分岐状のC1−C4アルキル基を表す)
    のグリオキサールジアセタールを、前記グリオキサールジアセタールと、式(II):
    Figure 2007502318
    (式中、Rは上記定義のとおりである)
    のグリオキサールモノアセタールとを含む粗水性混合物から分離する方法であって、前記グリオキサールジアセタールの少なくとも1つの向流液液抽出工程が、一方では前記グリオキサールジアセタールを含む軽相を得、他方では前記粗混合物のその他の構成成分を含む重相を得るために、反応媒体と不混和性である溶剤を使用して行われることを特徴とする、グリオキサールジアセタールの分離方法。
  2. 前記粗混合物が、主に、請求項1に規定した式(I)のグリオキサールジアセタールと、請求項1に規定した式(II)のグリオキサールモノアセタールと、水とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記溶剤が、エーテル、アルカン及び芳香族炭化水素から選ばれることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記溶剤が、シクロヘキサン、n−ヘプタン及びトルエンから選ばれることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 溶剤/粗混合物の質量比が0.3/1〜5/1であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記抽出が約10℃〜60℃、好ましくは周囲温度で行われることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 式(I)のグリオキサールジアセタールと前記溶剤とを含む軽相が分離にかけられ、この分離の結果、前記グリオキサールジアセタールが回収されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記分離が、減圧下での蒸留により行われることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. 前記分離が、周囲温度〜約120℃の温度で行われることを特徴とする請求項7及び8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記溶剤が前記液液抽出工程に再循環されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記粗混合物が、酸触媒の存在下で、40〜75質量%水性グリオキサールを、式R−OH(式中、Rは請求項1に定義したとおり)のアルコールにより、10/1〜50/1、好ましくは10/1〜30/1のR−OH/グリオキサールのモル比で、アセタール化反応させ、その後、過剰のアルコールR−OHを除去するために得られた反応混合物を蒸留することにより得られることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 式(I)及び(II)において、RがC1−C2アルキル基であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. Rがメチル基であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. 前記アルコールがメタノールであることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記粗混合物が、主に、1,1,2,2−テトラメトキシエタン(TME)、ジメトキシエタナール(DME)及び水を含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記混合物が、質量百分率で、約25〜60%のTME、約7〜35%のDME及び約20〜50%の水を含むことを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記混合物が、質量百分率で、約0〜15%のグリオキサール、約0〜10%のメタノール及び約0〜5%の不純物も含むことを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記アセタール化反応において使用されるグリオキサールが約60〜70%に濃縮されることを特徴とする請求項11〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記グリオキサールが水溶液から濃縮されることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
  20. 前記アセタール化反応が、1時間以内、好ましくは40分間以内の時間で行われることを特徴とする、請求項11〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記反応の前記時間が20分間以内であることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
  22. 前記アセタール化反応が、60℃〜140℃程度の温度、好ましくは約80℃〜130℃の温度で行われることを特徴とする、請求項11〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記温度が100〜130℃程度であることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
  24. 前記アセタール化反応が大気圧以上の圧力で行われることを特徴とする、請求項11〜23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 前記圧力が15バール以下であることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
  26. 前記アセタール化反応、前記液液抽出工程及び前記粗混合物の前記各種構成成分の回収が連続的に行われ、前記グリオキサール、前記グリオキサールモノアセタール、前記アルコールR−OH及び前記抽出溶剤が再循環されることを特徴とする、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
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