JP2007302466A - シート供給装置および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ユーザの手間を要することなく、連れ送りされた記録シートを確実にシートトレイまで押し戻し、紙詰まりや重送を生じることなく記録シートの安定搬送を可能とする。
【解決手段】シート供給装置は、ピックアップロール51により2枚以上の記録シートPが重なった状態で搬送した場合、連れ送りされた他の記録シートPを分離作用点Sまで逆搬送する分離ロール64と、分離作用点Sまで逆搬送された記録シートPをシートトレイ5の端点Eまで押し戻す押し戻し部材65を備える。分離ロール64および押し戻し部材65により搬送と逆方向に加えられる力は、1枚目の記録シートPの搬送力より小さく、連れ送りされた記録シートPの搬送力より大きいため、1枚目の記録シートPの搬送を継続しつつ、連れ送りされた記録シートPをシートトレイ5に押し戻すことができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、シートを一枚ずつ分離して搬送するシート供給装置およびこれを搭載する画像形成装置に関する。
電子写真方式やインクジェット方式を用いた画像形成装置においては、一般に、記録シートは複数枚が積み重なったシート束の状態でシートトレイにセットされ、このシート束から1枚ずつの記録シートに分離された状態で画像形成部に搬送される。ところが、記録シート間に生じる摩擦力によって2枚目以降の記録シートが1枚目の記録シートに連れ送りされ、2枚以上の記録シートが同時に搬送される現象(いわゆる重送)が発生することがある。
このような重送を防止するために、搬送ロールと対向する位置に分離パッドを設け、この分離パッドにより連れ送りされた2枚目以降の記録シートを1枚目の記録シートから分離すると同時に、連れ送りされた2枚目以降の記録シートが搬送方向の下流側にそれ以上搬送されることを阻止することで、記録シートを1枚ずつ捌くという方法が用いられている。
上記の技術による場合、連れ送りされた2枚目以降の記録シートの端部は、1枚目の記録シートの搬送が完了した状態で、分離パッドの位置に留まる。従って、その後、他のシートトレイから別の記録シートが搬送された場合には、分離パッドの位置に留まっている記録シートと、新たに搬送されてきた記録シートとが重なり合い紙詰まりを起こしたり、分離パッドでは回避できない重送を引き起こしたりする可能性がある。
そのような紙詰まりや重送を防止するために、例えば、連れ送りされた記録シートをシートトレイに押し戻す押し戻し部材を設け、1枚目の記録シートの搬送が完了した後、ユーザがレバーを押し下げる等の操作を行うことにより、分離パッドを搬送ローラから離脱させると同時に、押し戻し部材により分離パッドの位置に留まっている連れ送りされた記録シートをシートトレイの端部まで押し戻す機構を備えたシート供給装置が提案されている(特許文献1参照)。この方法によれば、記録シートの搬送を開始する時点で、前に搬送された記録シートに連れ送りされた記録シートが分離パッドの位置に留まることがないため、紙詰まりや重送が回避される。
特開平3−272923号公報
しかしながら、上記の方法では次のような問題がある。例えば、連れ送りされた記録シートの端部が分離パッドよりも搬送方向の下流側まで搬送されてしまった場合、押し戻し部材により当該記録シートをシートトレイまで押し戻すことができない。また、1枚の記録シートの搬送が完了する度に、ユーザは連れ送りされた記録シートをシートトレイまで押し戻す操作を行う必要があり、ユーザにとって手間であると同時に、記録シートを連続給紙することができず不便である。
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、ユーザの手間を要することなく、連れ送りされた記録シートを確実にシートトレイまで押し戻し、紙詰まりや重送を生じることなく記録シートの安定搬送を可能とする手段を提供することにある。
上述した課題を解決するため、本発明は、収容手段に積載された複数の記録シートのうち上位置に配置された記録シートを前記収容手段から搬送する搬送手段と、前記搬送手段より前記搬送の下流側に設けられ、前記搬送手段により2枚以上の記録シートが重なって前記収容手段から外部へ搬送された場合に、前記2枚以上の記録シートのうち最上位に位置する1枚目の記録シートに対しては前記搬送手段により前記1枚目の記録シートに対し前記搬送の方向に加えられる力よりも小さい力を前記搬送の方向と逆方向に加えると同時に、前記2枚以上の記録シートのうち前記1枚目の記録シートを除く他の記録シートに対しては前記搬送手段により前記他の記録シートに対し前記搬送の方向に加えられる力よりも大きな力を前記搬送の方向と逆方向に加えることにより、前記1枚目の記録シートの搬送中において前記他の記録シートの前記搬送における下流側の端部を前記搬送の経路上の分離作用点まで押し戻す分離手段と、前記分離作用点から前記収容手段の前記搬送における下流側の端点まで揺動可能であり、前記1枚目の記録シートに対しては前記搬送手段および前記分離手段により前記1枚目の記録シートに対し前記搬送の方向に加えられる力よりも小さい力を前記搬送の方向と逆方向に加えると同時に、前記他の記録シートに対しては前記搬送手段および前記分離手段により前記他の記録シートに対し前記搬送の方向に加えられる力よりも大きな力を前記搬送の方向と逆方向に加えることにより、前記1枚目の記録シートの搬送中において前記他の記録シートの前記搬送における下流側の端部を前記収容手段の前記搬送における下流側の端点まで押し戻す押し戻し手段とを備えることを特徴とするシート供給装置を提供する。
第1の好ましい態様において、前記押し戻し手段の押し戻し力の大きさを、前記1枚目の記録シートの搬送状態に応じて変化させる押し戻し力可変手段を備えるように構成してもよい。
第2の好ましい態様において、前記搬送手段は、記録シートの少なくとも一部が前記収容手段から外部へ突出するように記録シートを搬送する第1搬送部と、前記第1搬送部より前記搬送の下流側に設けられ、前記収容手段から外部へ突出した記録シートを前記搬送の方向にさらに搬送する第2搬送部とを備え、前記第1搬送部は、前記1枚目の記録シートの前記搬送の下流側の端部が前記第2搬送部に到達した後の少なくとも所定時間、前記1枚目の記録シートに搬送力を加えないように構成してもよい。
上記第2の好ましい態様において、前記押し戻し手段の押し戻し力が、前記第1搬送部が前記1枚目の記録シートに搬送力を加える期間において前記他の記録シートに対して前記搬送手段および前記分離手段により前記搬送の方向に加えられる力よりも小さく、前記第1搬送部が前記1枚目の記録シートに搬送力を加えない期間において前記他の記録シートに対して前記搬送手段および前記分離手段により前記搬送の方向に加えられる力よりも大きくなるように構成してもよい。
また、上記第2の好ましい態様において、前記第1搬送部が前記1枚目の記録シートに搬送力を加えない期間における前記押し戻し手段の押し戻し力の大きさを、前記第1搬送部が前記1枚目の記録シートに搬送力を加える期間における前記押し戻し手段の押し戻し力の大きさよりも大きくする押し戻し力可変手段を備えるように構成してもよい。
また、上記第2の好ましい態様において、前記1枚目の記録シートの前記搬送の下流側の端部が前記第2搬送部よりも前記搬送の下流側の所定位置に到達したことを検知する検知手段と、前記検知手段が前記到達を検知するまでの間は、前記第1搬送部が前記1枚目の記録シートに搬送力を加えるように制御するとともに前記押し戻し手段に前記端点から前記分離作用点に向かう駆動力を与えるかもしくはいずれの駆動力も与えないように制御し、前記検知手段が前記到達を検知した後は、前記第1搬送部が前記1枚目の記録シートに搬送力を加えないように制御するとともに前記押し戻し手段に前記分離作用点から前記端点に向かう駆動力を与えるように制御する制御手段とを備えるように構成してもよい。
上記のシート供給装置によれば、仮に連れ送りされた記録シートの端部が分離作用点よりも下流側となる位置まで搬送された場合であっても、分離手段により当該記録シートの端部が分離作用点に達するまで押し戻される。また、端部が分離作用点に位置している連れ送りされた記録シートは、押し戻し手段により分離作用点から収容手段の位置まで押し戻される。従って、連れ送りされた記録シートを確実に収容手段まで押し戻すことが可能である。さらに、上記のシート供給装置においては、搬送されるべき1枚目の記録シートの搬送中においても連れ送りされた2枚目以降の記録シートの押し戻しが可能であるため、連続給紙が妨げられることはない。
また、本発明は、上記のシート供給装置と、前記シート供給装置から供給される記録シートに画像を形成する画像形成ユニットとを有する画像形成装置を提供する。
図1は、本実施形態に係るシート供給装置を内蔵した画像形成装置である、デジタルカラー複写機の構成を示す断面図である。この複写機は、プラテンガラス10上に置かれた原稿11の画像を光学的に読み取ってCCDセンサ12で電気的な画像データに変換する画像入力部1と、この画像入力部1から転送された画像データに基づいて記録シートPに画像形成を行う画像形成部2とを備えている。
画像形成部2は、画像入力部1から転送された画像データに基づいて感光体ドラム20上にトナー像を形成した後、そのトナー像を無端状の転写ベルト3に一次転写し、更に転写ベルト3上のトナー像を記録シートPに二次転写することで、その記録シートP上に画像を形成する。トナー像が二次転写された記録シートPは定着器4を経て排出シートトレイ50上に排出される。より具体的には、感光体ドラム20は所定のプロセス速度で矢線方向に回動しており、その周囲には、その感光体ドラム20の表面を所定の背景部電位にまで一様帯電する帯電コロトロン21と、画像データに基づいて変調されたレーザビームで感光体ドラム20を露光して感光体ドラム20上に静電潜像を形成するレーザビームスキャナ22と、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色現像器を有し、いずれかの現像器で感光体ドラム上の静電潜像を現像するロータリ現像ユニット23と、転写ベルト3に対するトナー像の一次転写に先立って感光体ドラム20上の電位を除去する転写前処理コロトロン24と、トナー像の一次転写が終了した後の感光体ドラム20上の残留トナーを除去するクリーナ25とが配置されている。
転写ベルト3は複数のロールに掛け回されて矢線方向に回動しており、感光体ドラム20上に順次形成される各色トナー像はこの転写ベルト3に多重転写された後に、その転写ベルト3から記録シートPへ一括して二次転写されるようになっている。この転写ベルト3を挟んで感光体ドラム20と対向する位置にはその感光体ドラム20との間に転写電界を形成する一次転写ロール30が配設される一方、トナー像の二次転写位置には二次転写ロール31及び対向電極ロール32が転写ベルト3を挟んで配設されており、記録シートPは上記二次転写ロール31と転写ベルト3との間に挿通されてトナー像の転写を受けるように構成されている。また、転写ベルト3の回動経路のうち、二次転写位置と一次転写位置との間には、二次転写が終了した転写ベルト3の表面から紙粉や残留トナーを除去するベルトクリーナ33が設けられている。
画像形成部2の下方にはサイズの異なる記録シートPを収容した4段のシートトレイ5a〜5dが装備されている。画像入力部1によって検出された原稿サイズに応じた適切なサイズの記録シートPは、ピックアップロール51により、いずれかのシートトレイ5から画像形成部2へ送り出される。シートトレイ5a〜5dの各々からトナー像の二次転写位置へ至る記録シートPの搬送経路上には、複数のシート搬送ロール52が配設されている。二次転写位置の搬送方向上流側にはレジスシートトレイションロール53が配設されている。レジスシートトレイションロール53は、シートトレイ5a〜5dから送り出された記録シートPを、感光体ドラム20に対する静電潜像の書き出しタイミングに同期した所定のタイミングで二次転写位置に送り込む。
なお、図1において、符号13はプラテンカバーであり、符号26は画像入力部1から画像形成部2に転送されてきた画像データを複写作業の内容に応じて処理した後にレーザビームスキャナ22に供給する画像処理部であり、符号54は記録シートPの手差しシート供給に用いる手差しシートトレイであり、符号55はトナー像が二次転写された記録シートPを定着器4へ搬送するためのシート搬送ベルトであり、符号56は記録シートPの両面コピーの際にその記録シートPを反転させて定着器4から二次転写位置へ搬送するためのインバータ通路である。
以上のように構成された本実施例のカラー複写機では、画像入力部1によって取り込まれた原稿の画情報に基づいてレーザビームスキャナ22が感光体ドラム20を露光し、先ず、感光体ドラム20上にはブラックに対応した静電潜像の書き込みが行われる。一方、ロータリ現像ユニット23ではブラックトナーの現像器が感光体ドラム20との対向位置に設定され、静電潜像はこのブラック現像器によってその書き込みタイミングから少し遅れて現像される。そして、このようにして形成されたブラックのトナー像は一次転写ロール30によって転写ベルト3上に一次転写され、転写ベルト3はトナー像を担持したまま回転する。また、ブラック現像器による現像工程が終了すると、転写ベルト3が1回転サイクルを終了する迄の間に現像器の交換が行われ、ロータリ現像ユニット23の90°回転によってイエロートナーの現像器が感光体ドラム20との対向位置に設定される。以降は転写ベルト3の1回転サイクル毎にこれら動作が繰り返され、その度毎にイエロー、マゼンタ及びシアンのトナー像が感光体ドラム20から転写ベルト3に転写され、その転写ベルト3上には4色のトナー像による重ね合わせトナー像が形成される。そして、このようにして形成されたフルカラーの多重転写トナー像は所定のタイミングでレジスシートトレイションロール53から送られてきた記録シートPに二次転写され、未定着トナー像が転写された記録シートPは定着器4を経て排出シートトレイ50に排出される。
次に、図2はシートトレイ5(シートトレイ5a〜5d)の具体的構成を示す図である。シートトレイ5は記録シートPの収容空間を備えて略矩形状に形成されており、シート供給部を構成する複写機の筐体に対してフロント側(図1の紙面手前側)から挿入し得るように構成されている。シートトレイ5の内部には記録シートPを搭載すると共に、記録シートPを上方へ向けて押し上げるボトムプレート60が設けられている。また、このシートトレイ5が挿入される複写機の筐体側には、シートトレイ5内に位置決めされた記録シートPの先端に対応して前述のピックアップロール51が設けられており、ボトムプレート60の上昇によって記録シートPが持ち上がると、シートトレイ5内で最上位に位置する記録シートPの先端がピックアップロール51と圧接するようになっている。これにより、ピックアップロール51が回転すると、記録シートPとピックアップロール51との間に所定の摩擦力が作用し、最上位の記録シートPがシートトレイ5から引き出される。一方、シートトレイ5から引き出された記録シートPが多数枚重なった状態で搬送されるいわゆる重送を防止するため、複写機の筐体側には上記ピックアップロール51に隣接して搬送ロール63及び分離ロール64が設けられている。
次に、図3は、ボトムプレート60を昇降させるための機構を示す図である。ボトムプレート60にはプーリ62に架け回されたワイヤ69が連結されており、このワイヤ69をリフトアップモータ70に連結された巻き取りプーリ71によって巻き取ると、ボトムプレート60がシートトレイ5内で上昇し、最上位の記録シートPがピックアップロール51に接触するようになっている。巻き取りプーリ71は、シートトレイ5を複写機筐体に押し込んだ際にリフトアップモータ70と連結される一方、シートトレイ5を複写機筐体から抜き出し際にリフトアップモータ70から分離されるように構成されている。このため、シートトレイ5を装置筐体から抜き出すと、ボトムプレート60は自重によってシートトレイ5の底面まで下降し、ユーザが記録シートPを容易に補充することができるようになっている。また、シートトレイ5が複写機筐体に対して完全に押し込まれたことが図示外のセンサによって確認されると、記録シートPをシート供給するための準備動作として、リフトアップモータ70が駆動されてワイヤ69の巻き取りが行われ、ボトムプレート60に積載されたシート束の最上位の記録シートPがピックアップロール51に接触するまでそのボトムプレート60の上昇が行われる。
さらに、ピックアップロール51は上下動自在に配置されており、ボトムプレート60に積載された記録シートPの枚数がシート供給によって減少していくと、徐々に下降していくようになっている。このピックアップロール51を搬送ロール63と略同じ高さレベルに維持するため、継続的なシート供給によってピックアップロール51が所定の高さレベルにまで下降すると、図示しないセンサがこれを感知し、このセンサの出力信号の変化をトリガとしてリフトアップモータ70が所定時間駆動されるように構成されている。これにより、ボトムプレート60がシート供給された記録シートPの厚みに見合った量だけ上昇し、シートトレイ5内の最上位の記録シートPが常に所定の高さでピックアップロール51と接触するようになっている。
次に、図4は、記録シートPをシートトレイ5から引き出して1枚ずつに分離するシート供給装置6の側面図であり、図5はシート供給装置6を上方斜めから見た場合の俯瞰図である。シート供給装置6には、上述のピックアップロール51、搬送ロール63および分離ロール64に加え、押し戻し部材65およびシート検出センサ66が設けられている。
ピックアップロール51には、図示外のモータに駆動される昇降機構に接続されており、上下方向に移動可能となっている。ピックアップロール51が昇降機構により下方に配置されている状態においては、モータのトルクによりピックアップロール51は所定の荷重で記録シートPを下方に押圧するようになっている。その結果、ピックアップロール51が矢印a1の方向に回転すると、ボトムプレート60とピックアップロール51との間に挟まれた記録シートPが、最上位のものから順次、矢印a2の方向に搬送される。ピックアップロール51が記録シートPを押圧する状態を以下「ON状態」と呼ぶ。これに対し、ピックアップロール51が昇降機構により上方に移動し、記録シートPから脱荷重した状態を「OFF状態」と呼ぶ。「OFF状態」においては、ピックアップロール51の回転による記録シートPの搬送は行われない。
搬送ロール63は、分離ロール64から上方に所定の圧力で押圧されつつ、図示外のモータにより駆動され、矢印a3の方向に回転する。その結果、搬送ロール63と分離ロール64が接する位置である分離作用点Sに到達した記録シートPは、搬送ロール63から受ける力により矢印a2の方向にさらに搬送される。
分離ロール64は、図示せぬ弾性部材により上方へ所定の力を受けており、分離作用点Sにおいて搬送ロール63を直接もしくは記録シートPを介して押圧する。その反作用として分離ロール64は搬送ロール63から所定の圧力で押圧されている。分離ロール64は図示外のモータにより駆動され、矢印a4の方向に回転する。
搬送ロール63と分離ロール64は互いに分離作用点Sで接しつつ同じ方向に回転している。そのため、搬送ロール63と分離ロール64の間を通過しようとする記録シートPは、搬送ロール63からは矢印a2の方向に力を受けると同時に、分離ロール64からは矢印a2と反対の方向に力を受ける。連れ送りされた記録シートPを伴わない1枚の記録シートPが分離作用点Sに到達した場合、搬送ロール63が分離作用点Sにおいて記録シートPに対し加える力は分離ロール64が分離作用点Sにおいて記録シートPに対し加える力より大きくなるように調整されている。その結果、記録シートPは全体として矢印a2の方向に力を受け、分離作用点Sを通過してさらに矢印a2の方向に搬送される。
一方、連れ送りされた記録シートPを伴い、2枚以上の記録シートPが重なった状態で分離作用点Sに到達した場合、最上位の記録シートP(以下、最上位から順に「1枚目の記録シートP」、「2枚目の記録シートP」、・・・のように呼ぶ)は全体として矢印a2の方向に力を受け分離作用点Sを通過してさらに矢印a2の方向に搬送される一方、2枚目以下の記録シートPは全体として矢印a2と反対の方向に力を受け、下流側の端部が分離作用点Sに位置した状態でそこに留まる。以下に図を用いてその説明を行う。
図6は、ピックアップロール51がON状態において、連れ送りにより2枚の記録シートPが重なった状態で分離作用点Sに到達し、1枚目および2枚目の記録シートPの下流側の端部が何らかのきっかけで分離作用点Sを通過してしまった状態において、ピックアップロール51、搬送ロール63および分離ロール64により記録シートPに加えられる力の関係を示した図である。ただし、以下の説明において、1枚目および2枚目の記録シートPの間には、ピックアップロール51、搬送ロール63および分離ロール64から上下方向に押圧されている点においてのみ摩擦力が生じるものとし、他の接触点において生じる摩擦力はそれに比較して微小であるため無視している。図6における矢印は各々、以下の力を示す。
F1:ピックアップロール51が1枚目の記録シートPに加える力。
F2:ピックアップロール51が摩擦力を介して2枚目の記録シートPに加える力。
f2:F2の反作用として、1枚目の記録シートPが2枚目の記録シートPから受ける力。
F3:搬送ロール63が1枚目の記録シートPに加える力。
F4:搬送ロール63が摩擦力を介して2枚目の記録シートPに加える力。
f4:F4の反作用として、1枚目の記録シートPが2枚目の記録シートPから受ける力。
F5:分離ロール64が2枚目の記録シートPに加える力。
F6:分離ロール64が摩擦力を介して1枚目の記録シートPに加える力。
f6:F6の反作用として、2枚目の記録シートPが1枚目の記録シートPから受ける力。
記録シートPの搬送方向の剛性が上記の力に比べて十分に大きい場合、各々の記録シートPはたわむことなく、受ける力の合力により搬送されることになる。具体的には、1枚目の記録シートPについては、図6の右方向に(F1+F3)の力を受け、図6の左方向に(f2+f4+F6)の力を受ける。また、2枚目の記録シートPについては、図6の右方向に(F2+F4+f6)の力を受け、図6の左方向に(F5)の力を受ける。シート供給装置6においては、以下の式1および式2を満たすようにピックアップロール51、搬送ロール63および分離ロール64に加えられる駆動力等が調整されている。
(F1+F3)>(f2+f4+F6)・・・(式1)。
(F2+F4+f6)<(F5)・・・(式2)。
なお、他の記録シートPとの間の摩擦力を介してピックアップロール51、搬送ロール63および分離ロール64から加えられる力は、それらのロールから直接加えられる力と比べてかなり小さい。従って、上記の式1および式2を満たすようにピックアップロール51、搬送ロール63および分離ロール64のトルクを調整することに困難はない。
式1の関係より、1枚目の記録シートPは全体として図6の右方向に力を受け、そのまま右方向に搬送されることになる。また、式2の関係により、2枚目の記録シートPは全体として図6の左方向に力を受け、下流側の端部が分離作用点Sに達するまで左方向に逆搬送されることになる。
図7は、ピックアップロール51がON状態において、連れ送りにより2枚の記録シートPが重なった状態で分離作用点Sに到達した状態、もしくは1枚目および2枚目の記録シートPの下流側の端部が何らかのきっかけで分離作用点Sを通過してしまった場合であって、上述したように2枚目の記録シートPの下流側の端部が分離作用点Sに達するまで逆搬送された後の状態において、ピックアップロール51、搬送ロール63および分離ロール64により記録シートPに加えられる力の関係を示した図である。図7における矢印は各々、以下の力を示す。
F1:ピックアップロール51が1枚目の記録シートPに加える力。
F2:ピックアップロール51が摩擦力を介して2枚目の記録シートPに加える力。
f2:F2の反作用として、1枚目の記録シートPが2枚目の記録シートPから受ける力。
F3:搬送ロール63が1枚目の記録シートPに加える力。
F7:分離ロール64が1枚目の記録シートPに加える力。
F8:分離ロール64が2枚目の記録シートPに加える力。
シート供給装置6においては、上記の式1および式2に加え、さらに以下の式3を満たすようにピックアップロール51、搬送ロール63および分離ロール64に加えられる駆動力等が調整されている。この場合もそのような調整に困難は伴わない。
(F1+F3)>(f2+F7)・・・(式3)。
また、2枚目の記録シートPの下流側の端部が分離作用点Sに位置する状態においては、2枚目の記録シートPは搬送ロール63および分離ロール64に挟持されることはなく、端部を側方から分離ロール64により滑りつつ押される状態となる。従って、通常は以下の式4が満たされる。
(F2)=(F8)・・・(式4)。
式3の関係より、1枚目の記録シートPは全体として図6の右方向に力を受け、そのまま右方向に搬送されることになる。また、式4の関係により、2枚目の記録シートPは全体として左右方向のいずれにも力を受けず、下流側の端部が分離作用点Sに達した状態で留まることになる。
図8は、ピックアップロール51がOFF状態において、1枚目および2枚目の記録シートPの下流側の端部が何らかのきっかけで分離作用点Sを通過してしまった状態において、ピックアップロール51、搬送ロール63および分離ロール64により記録シートPに加えられる力の関係を示した図である。図8における矢印は各々、以下の力を示す。
F3:搬送ロール63が1枚目の記録シートPに加える力。
F4:搬送ロール63が摩擦力を介して2枚目の記録シートPに加える力。
f4:F4の反作用として、1枚目の記録シートPが2枚目の記録シートPから受ける力。
F5:分離ロール64が2枚目の記録シートPに加える力。
F6:分離ロール64が摩擦力を介して1枚目の記録シートPに加える力。
f6:F6の反作用として、2枚目の記録シートPが1枚目の記録シートPから受ける力。
シート供給装置6においては、さらに以下の式5および式6を満たすように搬送ロール63および分離ロール64に加えられる駆動力等が調整されている。この場合もそのような調整に困難は伴わない。
(F3)>(f4+F6)・・・(式5)。
(F4+f6)<(F5)・・・(式6)。
図9は、ピックアップロール51がOFF状態において、連れ送りにより2枚の記録シートPが重なった状態で分離作用点Sに到達した状態、もしくは1枚目および2枚目の記録シートPの下流側の端部が何らかのきっかけで分離作用点Sを通過してしまった場合であって、上述したように2枚目の記録シートPの下流側の端部が分離作用点Sに達するまで逆搬送された後の状態において、ピックアップロール51、搬送ロール63および分離ロール64により記録シートPに加えられる力の関係を示した図である。図9における矢印は各々、以下の力を示す。
F3:搬送ロール63が1枚目の記録シートPに加える力。
F9:分離ロール64が1枚目の記録シートPに加える力。
シート供給装置6においては、さらに以下の式7を満たすように搬送ロール63および分離ロール64に加えられる駆動力等が調整されている。この場合もそのような調整に困難は伴わない。
(F3)>(F9)・・・(式7)。
また、2枚目の記録シートPの下流側の端部が分離作用点Sに位置する状態においては、2枚目の記録シートPは1枚目の記録シートPとの間の摩擦力により右方向の力を受ける一方、端部側方から分離ロール64により同じ大きさの左方向の力を受ける。これらは微小であるため図9に示されていないが、それらは均衡する。
以上のように、式5〜式7が満たされる結果、ピックアップロール51がOFF状態においても、ピックアップロール51がON状態の場合と同様に、1枚目の記録シートPは右方向に搬送され、2枚目の記録シートPは下流側の端部が分離作用点Sに達した状態で留まることになる。なお、上記においては連れ送りにより2枚の記録シートPが重なった状態で搬送された場合について説明したが、3枚以上の記録シートPが重なった状態で搬送された場合も同様に考えることができるため、その説明を省略する。
図4に戻り、シート供給装置6の構成につき引き続き説明を行う。押し戻し部材65は揺動軸65aの周囲を矢印a5で示される範囲で揺動する。押し戻し部材65の揺動に伴い、押し戻し部材65の端部65bは分離作用点Sよりやや下流側に位置する分離作用点S’と、シートトレイ5の記録シートPの搬送方向の下流側の端点である端点Eとの間を往復移動する。押し戻し部材65の端部65bは分離作用点S’に達した状態で、記録シートPをリリースするように、その位置および形状が調整されている。また、押し戻し部材65は図示外の弾性体もしくはモータから矢印a6の方向へのトルクを受ける。
シート検出センサ66は、例えば光センサにより記録シートPの下流側の端部が検出点Hに達したことを検出する。シート検出センサ66は図示外の制御部に接続されており、記録シートPの下流側の端部が検出点Hに達すると、検出信号を制御部に送信する。制御部は、ピックアップロール51を駆動するモータ(図示外)、ピックアップロール51を昇降する昇降機構(図示外)を駆動するモータ(図示外)、搬送ロール63を駆動するモータ(図示外)、分離ロール64を駆動するモータ(図示外)を制御して、それらの駆動力を制御する。また、押し戻し部材65がモータにより駆動され回転する実施例においては、制御部は当該モータの駆動力も制御する。
シート供給装置6は、上述したように、主として分離ロール64の作用により1枚目の記録シートPの搬送を継続しつつ、連れ送りされた2枚目以下の記録シートPを、下流側の端部が分離作用点Sに位置する状態で留める。この特徴に加え、シート供給装置6は押し戻し部材65により、1枚目の記録シートPの搬送を継続しつつ、連れ送りされた2枚目以下の記録シートPを、下流側の端部がシートトレイ5の下流側の端点に達するまでさらに逆搬送する、という特徴を有している。この押し戻し部材65の動作は、押し戻し部材65に加えられるトルクの大きさおよびその制御により様々なものが考えられる。以下、実施例としてそれらの具体例を示す。
(第1実施例)
第1実施例においては、押し戻し部材65はバネ、ゴム等の弾性体の張力により、図4の矢印a6の方向へのトルクを受けている。このトルクは、弾性体のバネ定数に従い、押し戻し部材65の端部65bが端点Eに近づくほど小さく、分離作用点Sに近づくほど大きくなる。
図10は、ピックアップロール51により2枚の記録シートPが重なった状態でシートトレイ5から外部へ搬送され始めた状態における、1枚目および2枚目の記録シートPに加えられる力の関係を示した図である。図10における矢印は各々、以下の力を示す。
F1:ピックアップロール51が1枚目の記録シートPに加える力。
F2:ピックアップロール51が摩擦力を介して2枚目の記録シートPに加える力。
f2:F2の反作用として、1枚目の記録シートPが2枚目の記録シートPから受ける力。
F10:押し戻し部材65が1枚目の記録シートPに加える力。
押し戻し部材65の端部65bは記録シートPの搬送前は端点Eに位置しているが、1枚目の記録シートPに押されて、矢印a6と逆の方向に移動する。それに伴い、F10は徐々に大きくなる。押し戻し部材65の端部65bが分離作用点S’に達した状態におけるF10をF10max’とした場合、以下の式8を満たすように弾性体の長さ、バネ定数等が調整されている。
(F1)>(f2+F10max’)・・・(式8)。
式8の関係により、1枚目の記録シートPはその下流側の端部が分離作用点S’に達した後に押し戻し部材65からリリースされ、さらに図10の右方向へ搬送される。
図11は、1枚目の記録シートPが押し戻し部材65からリリースされた直後の状態における、1枚目および2枚目の記録シートPに加えられる力の関係を示した図である。図11における矢印は各々、以下の力を示す。
F1:ピックアップロール51が1枚目の記録シートPに加える力。
F2:ピックアップロール51が摩擦力を介して2枚目の記録シートPに加える力。
f2:F2の反作用として、1枚目の記録シートPが2枚目の記録シートPから受ける力。
F3:搬送ロール63が1枚目の記録シートPに加える力。
F9:分離ロール64が1枚目の記録シートPに加える力。
F10:押し戻し部材65が2枚目の記録シートPに加える力。
なお、図11の状態において、1枚目の記録シートPは押し戻し部材65の端部65bに底面において接触しており、左方向への力を受けているが、その大きさは微小であり無視できる程度であるため図示を省略している。
図11の状態において、以下の式9および式10を満たすように弾性体の長さ、バネ定数等が調整されている。ただし、F10maxは押し戻し部材65の端部65bが分離作用点Sに位置する場合のF10を示している。
(F1+F3)>(f2+F9)・・・(式9)。
(F2)<(F10max)・・・(式10)。
式9の関係により、1枚目の記録シートPは継続して図11の右方向へ搬送される。一方、式10の関係により、2枚目の記録シートPは、(F2)=(F10)となる位置、すなわち端点Eと分離作用点Sとの間のいずれかの位置まで押し戻し部材65に逆搬送された後、その位置に留まることになる。
図11の状態から、1枚目の記録シートPが右方向に搬送され、その下流側の端部が検出点Hに到達すると、シート検出センサ66は検出信号を制御部に送信する。制御部は検出信号を受信すると、ピックアップロール51を昇降する昇降機構(図示外)を駆動するモータ(図示外)を制御してピックアップロール51を上方へ移動し、OFF状態にする。
図12は、ピックアップロール51がOFF状態になった直後の状態における、1枚目および2枚目の記録シートPに加えられる力の関係を示した図である。図12における矢印は各々、以下の力を示す。
F3:搬送ロール63が1枚目の記録シートPに加える力。
F9:分離ロール64が1枚目の記録シートPに加える力。
F10:押し戻し部材65が2枚目の記録シートPに加える力。
ここで、(F3)>(F7)であるため、1枚目の記録シートPは継続して右方向に搬送される。一方、2枚目の記録シートPは左方向のF10のみを受けるため、その下流側の端部が端点Eに達するまで左方向に逆搬送される。
なお、ピックアップロール51がON状態において、何らかのきっかけにより2枚目の記録シートPの下流側の端部が分離作用点Sまで達した場合であっても、分離ロール64の作用によりその端部が分離作用点Sに位置する状態で維持される。従って、ピックアップロール51がOFF状態になると、2枚目の記録シートPは押し戻し部材65によりシートトレイ5まで正常に逆搬送される。
以上のように、第1実施例においては、1枚目の記録シートPは継続的に本来の方向に搬送される一方、連れ送りされた2枚目以下の記録シートPは、ピックアップロール51がON状態においてはその下流側の端部が端点Eと分離作用点Sとの間に留まる状態で維持され、ピックアップロール51がOFF状態になった時点でシートトレイ5まで逆搬送される。その結果、記録シートPの搬送を連続的に行う場合であっても、先の搬送動作において連れ送りされた記録シートPが紙詰まりや重送を引き起こす、という問題が生じない。
ところで、上述した第1実施例においては、押し戻し部材65に対しバネ等の弾性体によりトルクを与えていたが、これを変形し、モータの駆動力により一定のトルクを与えるようにしてもよい。その場合、図10および図11において示される力の関係が以下の式11および式12を満たすように、押し戻し部材65にトルクを与えるモータの駆動力を制御部が制御する。
(F1)>(f2+F10)・・・(式11)。
(F2)<(F10)・・・(式12)。
この場合も、1枚目の記録シートPは押し戻し部材65の押し戻し力であるF10に打ち勝って通常方向に搬送される一方、2枚目以下の記録シートPは押し戻し部材65の押し戻し力であるF10に押し戻され、シートトレイ5まで逆搬送される。
さらに、ピックアップロール51がON状態である期間において押し戻し部材65に与えられるトルクより、ピックアップロール51がOFF状態である期間において押し戻し部材65に与えられるトルクが大きくなるように、制御部が押し戻し部材65にトルクを与えるモータの駆動力を制御するようにしてもよい。図13は、そのような第1実施例の変形例における押し戻し部材65の押し戻し力の大きさと、ピックアップロール51のON状態およびOFF状態の経時変化を示したグラフである。なお、図13におけるF10は、上記の式11および式12を満たす。
このように、ピックアップロール51がOFF状態の期間において、押し戻し部材65により大きいトルクをかけるようにすると、例えば複数枚の記録シートPが連れ送りされ、ピックアップロール51がOFF状態にあってもなお、F10の力によってはそれらの連れ送りされた記録シートPをシートトレイ5まで押し戻すことができないような場合であっても、それらの記録シートPを確実にシートトレイ5まで押し戻すことができる。
なお、図12に示されるように、ピックアップロール51がOFF状態の期間においては、1枚目の記録シートPには押し戻し部材65による押し戻し力は無視できる程度にしかかからないため、押し戻し部材65に与えるトルクを大きくしても、1枚目の記録シートPの搬送が妨げられることはない。
(第2実施例)
第2実施例においては、押し戻し部材65はモータの駆動力により、図4の矢印a6の方向へのトルクを受けるが、制御部による当該モータの制御により、ピックアップロール51のOFF状態の期間においてのみトルクを受ける。図14は、第2実施例における押し戻し部材65の押し戻し力の大きさと、ピックアップロール51のON状態およびOFF状態の経時変化を示したグラフである。
第2実施例において、ピックアップロール51がOFF状態からON状態に切り替わる直前においては、押し戻し部材65の端部65bは端点Eに位置している。その後、ピックアップロール51がON状態に切り替わると、ピックアップロール51により記録シートPの搬送が開始される。押し戻し部材65へはトルクがかかっていないため、搬送される記録シートPの下流側の端部に押されて、端部65bが分離作用点S’に達するまで移動する。端部65bが分離作用点S’まで移動すると、記録シートPは押し戻し部材65からリリースされる。
図15は、第2実施例において、2枚の記録シートPが重なった状態で搬送され、それらの記録シートPが押し戻し部材65からリリースされた後であって、未だ1枚目の記録シートPの下流側の端部が検出点Hに到達していない状態における1枚目および2枚目の記録シートPに加えられる力の関係を示した図である。図15における矢印により示される力とその関係は、図7において示したものと同様であるため、その説明を省略する。
図15の状態においては、図7を用いて既に説明したように、分離ロール64の作用により、1枚目の記録シートPは継続して右方向に搬送されるが、2枚目の記録シートPはその端部が分離作用点Sとなる位置に留まる。
その後、1枚目の記録シートPの下流側の端部が検出点Hに到達すると、制御部はシート検出センサ66から受信する検出信号に応じてピックアップロール51が上方に移動するように昇降機構を駆動するモータを制御し、OFF状態とする。同時に、制御部は押し戻し部材65を駆動するモータを制御し、押し戻し部材65に所定のトルクをかける。
図16は、ピックアップロール51がOFF状態になった直後の状態における、1枚目および2枚目の記録シートPに加えられる力の関係を示した図である。図16における矢印は各々、以下の力を示す。
F3:搬送ロール63が1枚目の記録シートPに加える力。
F9:分離ロール64が1枚目の記録シートPに加える力。
F11:押し戻し部材65が2枚目の記録シートPに加える力。
ここで、(F3)>(F9)であるため、1枚目の記録シートPは継続して右方向に搬送される。一方、2枚目の記録シートPは左方向のF11のみを受けるため、その下流側の端部が端点Eに達するまで左方向に逆搬送される。
以上のように、第2実施例においては、1枚目の記録シートPは継続的に本来の方向に搬送される一方、連れ送りされた2枚目以下の記録シートPは、ピックアップロール51がON状態においてはその下流側の端部が分離作用点Sの位置に留まる状態で維持され、ピックアップロール51がOFF状態になった時点でシートトレイ5まで逆搬送される。その結果、第1実施例と同様に、記録シートPの搬送を連続的に行う場合であっても、先の搬送動作において連れ送りされた記録シートPが紙詰まりや重送を引き起こす、という問題が生じない。
ところで、上述した第2実施例においては、ピックアップロール51を昇降させる昇降機構を駆動するモータと、押し戻し部材65にトルクを与えるモータとが個別に設けられ、それらは制御部により個別に制御される。これを変形し、ピックアップロール51の昇降と押し戻し部材65に対するトルクの付与を連動させる動力伝達系を設け、1つのモータによりピックアップロール51の昇降と押し戻し部材65へのトルクの付与を行うようにしてもよい。
図17は、そのような変形例における動力伝達系8を模式的に示した図である。動力伝達系8においては、モータ80の回転軸に取り付けられたピニオンギア80aと、ピックアップロール51の回転軸51aにその回転を阻害しないように取り付けられたラックギア83に噛み合うピニオンギア82とが、駆動ベルト81により連結されている。また、モータ80の回転軸に取り付けられたピニオンギア80bと、押し戻し部材65の揺動軸65aに取り付けられたピニオンギア85が駆動ベルト84により連結されている。なお、駆動ベルト81および駆動ベルト84は、それぞれピニオンギア80aおよびピニオンギア80bとの間に所定の閾値以上の力が生じると滑り、ピニオンギア82およびピニオンギア85に対し与えるトルクを所定の大きさに維持する。
制御部は、ピックアップロール51をON状態にする場合、図17(a)に示される矢印a7の方向に駆動が行われるようにモータ80を制御する。その結果、ピックアップロール51は下方に移動され、所定の荷重で記録シートPを押圧し、同時に押し戻し部材65は端部65bが分離作用点S’に達するまで移動し、その位置に留まることになる。一方、制御部は、ピックアップロール51をOFF状態にする場合、図17(b)に示される矢印a8の方向に駆動が行われるようにモータ80を制御する。その結果、ピックアップロール51は上方に移動され、記録シートPから脱荷重すると同時に、押し戻し部材65は端部65bが端点Eに達するまで移動し、連れ送りされた記録シートPを押し戻しつつ、その位置に留まることになる。
このように、動力伝達系8を用いれば、制御部はピックアップロール51の昇降と押し戻し部材65へのトルク付与の制御を同時に行うことができる。また、ピックアップロール51の昇降と押し戻し部材65へのトルク付与を行うためのモータを1つ設けるだけでよい。
なお、上記の動力伝達系8によれば、ピックアップロール51をON状態にした場合、押し戻し部材65には端部65bが分離作用点S’に移動する方向にトルクが付与されるが、トルクをゼロとするような構成としてもよい。その場合、ピックアップロール51がON状態において、押し戻し部材65は搬送される記録シートPに押され、分離作用点S’の方向に移動する。
本実施形態に係るシート供給装置を適用可能な画像形成装置を示す図である。 本実施形態に係るシートトレイの構成を示す図である。 本実施形態に係るボトムプレートの昇降機構を示す図である。 本実施形態に係るシート供給装置の側面図である。 本実施形態に係るシート供給装置の俯瞰図である。 本実施形態に係るシート供給装置において、記録シートに加えられる力の関係を示した図である。 本実施形態に係るシート供給装置において、記録シートに加えられる力の関係を示した図である。 本実施形態に係るシート供給装置において、記録シートに加えられる力の関係を示した図である。 本実施形態に係るシート供給装置において、記録シートに加えられる力の関係を示した図である。 本実施形態に係るシート供給装置において、記録シートに加えられる力の関係を示した図である。 本実施形態に係るシート供給装置において、記録シートに加えられる力の関係を示した図である。 本実施形態に係るシート供給装置において、記録シートに加えられる力の関係を示した図である。 本実施形態に係る押し戻し部材の押し戻し力の大きさと、ピックアップロールの状態の経時変化を示したグラフである。 本実施形態に係る押し戻し部材の押し戻し力の大きさと、ピックアップロールの状態の経時変化を示したグラフである。 本実施形態に係るシート供給装置において、記録シートに加えられる力の関係を示した図である。 本実施形態に係るシート供給装置において、記録シートに加えられる力の関係を示した図である。 本実施形態に係るシート供給装置に適用可能な動力伝達系を示した模式図である。
符号の説明
5…シートトレイ、6…シート供給装置、51…ピックアップロール、63…搬送ロール、64…分離ロール、65…押し戻し部材、66…シート検出センサ。

Claims (7)

  1. 収容手段に積載された複数の記録シートのうち上位置に配置された記録シートを前記収容手段から搬送する搬送手段と、
    前記搬送手段より前記搬送の下流側に設けられ、前記搬送手段により2枚以上の記録シートが重なって前記収容手段から外部へ搬送された場合に、前記2枚以上の記録シートのうち最上位に位置する1枚目の記録シートに対しては前記搬送手段により前記1枚目の記録シートに対し前記搬送の方向に加えられる力よりも小さい力を前記搬送の方向と逆方向に加えると同時に、前記2枚以上の記録シートのうち前記1枚目の記録シートを除く他の記録シートに対しては前記搬送手段により前記他の記録シートに対し前記搬送の方向に加えられる力よりも大きな力を前記搬送の方向と逆方向に加えることにより、前記1枚目の記録シートの搬送中において前記他の記録シートの前記搬送における下流側の端部を前記搬送の経路上の分離作用点まで押し戻す分離手段と、
    前記分離作用点から前記収容手段の前記搬送における下流側の端点まで揺動可能であり、前記1枚目の記録シートに対しては前記搬送手段および前記分離手段により前記1枚目の記録シートに対し前記搬送の方向に加えられる力よりも小さい力を前記搬送の方向と逆方向に加えると同時に、前記他の記録シートに対しては前記搬送手段および前記分離手段により前記他の記録シートに対し前記搬送の方向に加えられる力よりも大きな力を前記搬送の方向と逆方向に加えることにより、前記1枚目の記録シートの搬送中において前記他の記録シートの前記搬送における下流側の端部を前記収容手段の前記搬送における下流側の端点まで押し戻す押し戻し手段と
    を備えることを特徴とするシート供給装置。
  2. 前記押し戻し手段の押し戻し力の大きさを、前記1枚目の記録シートの搬送状態に応じて変化させる押し戻し力可変手段を備える
    ことを特徴とする請求項1に記載のシート供給装置。
  3. 前記搬送手段は、記録シートの少なくとも一部が前記収容手段から外部へ突出するように記録シートを搬送する第1搬送部と、前記第1搬送部より前記搬送の下流側に設けられ、前記収容手段から外部へ突出した記録シートを前記搬送の方向にさらに搬送する第2搬送部とを備え、
    前記第1搬送部は、前記1枚目の記録シートの前記搬送の下流側の端部が前記第2搬送部に到達した後の少なくとも所定時間、前記1枚目の記録シートに搬送力を加えない
    ことを特徴とする請求項1に記載のシート供給装置。
  4. 前記押し戻し手段の押し戻し力が、前記第1搬送部が前記1枚目の記録シートに搬送力を加える期間において前記他の記録シートに対して前記搬送手段および前記分離手段により前記搬送の方向に加えられる力よりも小さく、前記第1搬送部が前記1枚目の記録シートに搬送力を加えない期間において前記他の記録シートに対して前記搬送手段および前記分離手段により前記搬送の方向に加えられる力よりも大きい
    ことを特徴とする請求項3に記載のシート供給装置。
  5. 前記第1搬送部が前記1枚目の記録シートに搬送力を加えない期間における前記押し戻し手段の押し戻し力の大きさを、前記第1搬送部が前記1枚目の記録シートに搬送力を加える期間における前記押し戻し手段の押し戻し力の大きさよりも大きくする押し戻し力可変手段を備える
    ことを特徴とする請求項3に記載のシート供給装置。
  6. 前記1枚目の記録シートの前記搬送の下流側の端部が前記第2搬送部よりも前記搬送の下流側の所定位置に到達したことを検知する検知手段と、
    前記検知手段が前記到達を検知するまでの間は、前記第1搬送部が前記1枚目の記録シートに搬送力を加えるように制御するとともに前記押し戻し手段に前記端点から前記分離作用点に向かう駆動力を与えるかもしくはいずれの駆動力も与えないように制御し、前記検知手段が前記到達を検知した後は、前記第1搬送部が前記1枚目の記録シートに搬送力を加えないように制御するとともに前記押し戻し手段に前記分離作用点から前記端点に向かう駆動力を与えるように制御する制御手段と
    を備えることを特徴とする請求項3に記載のシート供給装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のシート供給装置と、
    前記シート供給装置から供給される記録シートに画像を形成する画像形成ユニットと
    を有する画像形成装置。
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