JP2007245363A - 液体吐出ヘッド及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヘッドの小型化及びコストダウンを実現させ、且つ、信頼性を向上させる。
【解決手段】液体が充填される圧力室と、前記圧力室に連通するノズルと、前記圧力室に対して液体供給する共通流路と、前記圧力室内の液体を前記ノズルから吐出させる液体吐出手段と、駆動信号の供給先となる前記液体吐出手段を選択するセレクタ回路と、前記セレクタ回路から出力され前記液体吐出手段に供給される駆動信号を伝達する第1の配線基板と、前記セレクタ回路に入力される駆動信号を伝達する第2の配線基板と、を備え、前記セレクタ回路を構成する部材の異なる2つの面の一方には前記第1の配線基板が接続され、他方には前記第2の配線基板が接続されていることを特徴とする液体吐出ヘッドを提供することにより、前記課題を解決する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、液体吐出ヘッド及び画像形成装置に係り、特に、圧電素子等の液体吐出手段を駆動することによりノズルからインク滴を吐出する液体吐出ヘッド及び画像形成装置に関する。
近年、多数のノズルを有するヘッド(液体吐出ヘッド)からインク吐出することにより、記録媒体上に所望の画像を記録するインクジェット方式の画像形成装置(インクジェット記録装置)が広く普及している。この種のヘッドには、例えば、圧電素子や発熱素子に代表される液体吐出手段がノズル毎に設けられており、各液体吐出手段を選択的に駆動することにより各ノズルからインク滴が吐出される。
ところで、駆動信号の供給先となる液体吐出手段を選択するセレクタ回路とヘッドを別体で構成し、これらをFPC(フレキシブルケーブル)で接続する方法が従来より用いられている。しかしながら、FPCの配線ピッチの高密化は技術的に困難であり、前記構成ではヘッドの高密度化に限界があるという問題がある。また、高密度のFPCは高価であるという問題もある。
このような問題に対し、例えば、特許文献1では、FPCを用いずに、圧電素子と同数の薄膜トランジスタ素子(TFT)を共通流路に相当するリザーバの側壁(駆動基板)に設けたヘッドが提案されている。
また、特許文献2では、ヘッド本体の3面を覆うカバー部材にICチップ及び配線が設けられたヘッドが提案されている。
特開平9−314833号公報 特開平9−314831号公報
しかしながら、特許文献1に記載のヘッドでは、駆動基板に設けられる配線電極は薄膜トランジスタ素子が配設される面からそれに垂直な面に沿って形成されており、製造上複雑な工程が必要となるため信頼性が低下する。また、駆動基板の配線電極を圧電素子電極に直接接続しており、技術的にも非常に難しい構成となっている。信頼性を確保するためには、配線を太くする等のヘッドの大型化が必要となり、コストアップを招いてしまうという問題がある。
また、特許文献2に記載のヘッドでは、カバー部材に形成される信号線及び制御信号線がいずれもICチップの同一面側に接続される構成となっており、カバー部材上の実装面積を削減する観点がない。また、カバー部材をヘッド本体の3面に接続することは技術的に難しい。更に、電極端子とヘッド本体の電極端子との接続は半田等の低密な接続方法で行うことが開示されており、高密度接続には適さない。従って、特許文献1と同様に、ヘッドの大型化を招き、コストアップという問題が生じる。
接続信頼性確保のため高密度接続部(ICより圧電素子側)を少なくする必要がある。従って、部品点数の観点からも、ICはヘッド上に実装するのが望ましいが、実装面積確保によるヘッドの大型化が課題となる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ヘッドの小型化及びコストダウンを実現させ、且つ、信頼性を向上させた液体吐出ヘッド及び画像形成装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、液体が充填される圧力室と、前記圧力室に連通するノズルと、前記圧力室に対して液体供給する共通流路と、前記圧力室内の液体を前記ノズルから吐出させる液体吐出手段と、駆動信号の供給先となる前記液体吐出手段を選択するセレクタ回路と、前記セレクタ回路から出力され前記液体吐出手段に供給される駆動信号を伝達する第1の配線基板と、前記セレクタ回路に入力される駆動信号を伝達する第2の配線基板と、を備え、前記セレクタ回路を構成する部材の異なる2つの面の一方には前記第1の配線基板が接続され、他方には前記第2の配線基板が接続されていることを特徴とする液体吐出ヘッドを提供する。
本発明によれば、液体吐出ヘッドに実装されるセレクタ回路を構成する部材の異なる2つの面の一方に第1の配線基板を接続し、他方に第2の配線基板を接続することにより、第2の配線基板の実装面積を減らすことができ、液体吐出ヘッドの小型化が可能になる。また、第2の配線基板の配線ピッチを低密化できるので歩留まりが向上し、コストダウンが可能となると共に、接続の簡略化により信頼性が向上する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液体吐出ヘッドであって、前記圧力室と前記共通流路の間に前記第1の配線基板が配置されていることを特徴とする。
請求項2の態様によれば、第1の配線基板と各圧電素子の接続を直接的に行うことが可能となり、2次元状(マトリクス状)のノズル配置による高密度化にも対応可能となる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の液体吐出ヘッドであって、前記第2の配線基板は前記共通流路の隔壁を構成することを特徴とする。
請求項3の態様によれば、第2の配線基板に可撓性の基板を用いると、共通流路内を伝播する圧力波を低減させるダンパとして機能するので流体クロストークを防止することができる。また、共通流路内の液体によりセレクタ回路が放熱されるのでセレクタ回路の動作が安定化し、他方では、セレクタ回路で生じる熱により共通流路内の液体を温調することができるので吐出安定性が向上する。更に、部材共有化により部品点数が削減し、コストダウン効果もある。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドであって、前記セレクタ回路を構成する部材は前記共通流路の隔壁を構成することを特徴とする。
請求項4の態様によれば、セレクタ回路に対する放熱効果が更に向上する。
また、前記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドを備えたことを特徴とする画像形成装置を提供する。
本発明によれば、液体吐出ヘッドに実装されるセレクタ回路を構成する部材の異なる2つの面の一方に第1の配線基板を接続し、他方に第2の配線基板を接続することにより、第2の配線基板の実装面積を減らすことができ、液体吐出ヘッドの小型化が可能になる。また、第2の配線基板の配線ピッチを低密化できるので歩留まりが向上し、コストダウンが可能となると共に、接続の簡略化により信頼性が向上する。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態(第1〜第4の実施形態)について詳説する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施態様であるインクジェット記録装置の概略を示す全体構成図である。図1に示すように、このインクジェット記録装置10は、インクの色毎に設けられた複数のヘッド12K、12C、12M、12Yを有する印字部12と、各ヘッド12K、12C、12M、12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24と、印画済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26と、を備えている。
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置されている。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコードあるいは無線タグ等の情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻き癖が残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラー31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する部分が平面をなすように構成されている。
ベルト33は、記録紙16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(不図示)が形成されている。図1に示したとおり、ローラー31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバー34が設けられており、この吸着チャンバー34をファン35で吸引して負圧にすることによってベルト33上の記録紙16が吸着保持される。
ベルト33が巻かれているローラー31、32の少なくとも一方にモータ(不図示)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1において、時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は、図1の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、あるいはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラー線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラー・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラー・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面にローラーが接触するので、画像が滲み易いという問題がある。従って、本例のように、印字領域では画像面と接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹きつけ、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部12は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている。印字部12を構成する各ヘッド12K、12C、12M、12Yは、本インクジェット記録装置10が対象とする最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク吐出口(ノズル)が複数配列されたライン型ヘッドで構成されている。
記録紙16の搬送方向(紙搬送方向)に沿って上流側(図1の左側)から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応したヘッド12K、12C、12M、12Yが配置されている。記録紙16を搬送しつつ各ヘッド12K、12C、12M、12Yからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするフルラインヘッドがインク色毎に設けられてなる印字部12によれば、紙搬送方向(副走査方向)について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を一回行うだけで(すなわち、一回の副走査で)記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、ヘッドが紙搬送方向と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
なお本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態には限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ等のライト系インクを吐出するヘッドを追加する構成も可能である。
図1に示したように、インク貯蔵/装填部14は、各ヘッド12K、12C、12M、12Yに対応する色のインクを貯蔵するタンクを有し、各タンクは図示を省略した管路を介して各ヘッド12K、12C、12M、12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段等)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
印字検出部24は、印字部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ等)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。
本例の印字検出部24は、少なくとも各ヘッド12K、12C、12M、12Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列とからなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が二次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
印字検出部24は、各色のヘッド12K、12C、12M、12Yにより印字されたテストパターンを読み取り、各ヘッドの吐出検出を行う。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定等で構成される。
印字検出部24の後段には、後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹きつける方式が好ましい。
多孔質のペーパに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラー45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
このようにして生成されたプリント物は、排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える選別手段(不図示)が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に、本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成されている。尚、図示を省略したが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられている。
次に、インクジェット記録装置10の制御系について説明する。図2は、インクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース50、システムコントローラ52、画像メモリ54、モータドライバ56、ヒータドライバ58、プリント制御部60、画像バッファメモリ62、ヘッドドライバ(駆動回路)63、セレクタ回路64等を備えている。
通信インターフェース50は、ホストコンピュータ66から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース50にはシリアルインターフェースやパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
ホストコンピュータ66から送出された画像データは通信インターフェース50を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ54に記憶される。画像メモリ54は、通信インターフェース50を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ52を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ54は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ52は、通信インターフェース50、画像メモリ54、モータドライバ56、ヒータドライバ58等の各部を制御する制御部である。システムコントローラ52は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、ホストコンピュータ66との間の通信制御、画像メモリ54の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ68やヒータ69を制御する制御信号を生成する。
モータドライバ56は、システムコントローラ52からの指示に従ってモータ68を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ58は、システムコントローラ52からの指示に従って後乾燥部42その他各部のヒータ69を駆動するドライバである。
プリント制御部60は、システムコントローラ52の制御に従い、画像メモリ54内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字制御信号(ドットデータ)をヘッドドライバ(駆動回路)63に供給する制御部である。プリント制御部60において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいてヘッドドライバ63が駆動信号を生成し、各ヘッドに対応するセレクタ回路64を介してヘッド12K、12C、12M、12Yのインク滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部60には画像バッファメモリ62が備えられており、プリント制御部60における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ62に一時的に格納される。なお、図2において画像バッファメモリ62はプリント制御部60に付随する態様で示されているが、画像メモリ54と兼用することも可能である。また、プリント制御部60とシステムコントローラ52とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
ヘッドドライバ63は、プリント制御部60から与えられるドットデータに基づいて駆動信号を生成し、セレクタ回路64が各色のヘッド12K、12C、12M、12Yの特定の圧電素子(図2中不図示、図5中符号88として記載)を選択し、その駆動信号を圧電素子88に対して供給する。ヘッドドライバ63にはヘッド12K、12C、12M、12Yの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。また、ヘッドドライバ63とセレクタ回路64は集積化して1つのICで構成することもできる。
印字検出部24は、図1で説明したように、ラインセンサを含むブロックであり、記録紙16に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつきなど)を検出し、その検出結果をプリント制御部60に提供する。プリント制御部60は、必要に応じて印字検出部24から得られる情報に基づいてヘッド12K、12C、12M、12Yに対する各種補正を行う。
次に、ヘッド12K、12C、12M、12Yの構造について説明する。各色に対応するヘッド12K、12C、12M、12Yの構造は共通しているので、以下では、これらを代表して符号70によってヘッドを示すものとする。
図3はヘッド70の外観斜視図である。図4はヘッド70のノズル面70aを示した平面図であり、また、図5はヘッド70の内部構造を示した部分断面図である。
図3に示すように、ヘッド70は、第1の配線基板72を含むヘッド本体74、共通流路形成部材76、セレクタ回路64、及び第2の配線基板78から主に構成される。本実施形態では、第2の配線基板78としてFPC(フレキシブルケーブル)が用いられる。第1の配線基板72上の共通流路形成部材76の両端にはそれぞれ複数(本例では4つ)のセレクタ回路64が主走査方向に沿って配列されている。セレクタ回路64を構成する部材としては、IC(集積回路)、或いは、セレクタ回路64を実装した基板などの態様があり、もちろん、これらに限定されるものでない。以下では、セレクタ回路64を構成する部材を単に「セレクタ回路64」と称する。このようなセレクタ回路64(を構成する部材)の上下面にはそれぞれ不図示の接続電極(バンプ)が設けられており、第1及び第2の配線基板72、78がそれぞれセレクタ回路64に対してフリップチップ実装されている。
ヘッド70のノズル面70aには、図4に示すように、インク吐出口となる多数のノズル80が主走査方向及び主走査方向に直交しない斜めの方向に沿って2次元状(マトリクス状)に設けられている。図示は省略したが、各ノズル80を主走査方向に沿って直線状に並ぶように投影した場合の投影ノズル列は一定のノズルピッチで等間隔に配列されるように構成されており、これにより、記録紙16上のドットピッチの高密度化が達成されている。
ヘッド70の内部には、図5に示すように、ノズル80に連通する圧力室82が設けられている。圧力室82の一端にはインク供給用の供給口84が設けられている。圧力室82の一壁面は振動板86で構成されており、振動板86上の圧力室82に対応する位置には圧電素子88が配置されている。圧電素子88は、薄膜状の圧電体90の上面に個別電極(駆動電極)92を設けた構造となっている。尚、振動板86はSUS等の導電部材で構成されており、圧電素子88に対する共通電極を兼ねている。振動板86を非導電部材で構成して、圧電素子88が配置される面上に共通電極となる電極層を設ける態様もある。
振動板86の圧電素子88側には圧電素子88を収納可能な孔部が貫通形成されるスペーサ94及び第1の配線基板72が配置されており、更に、その上方には共通流路96が設けられている。換言すれば、共通流路96と圧力室82の間には、振動板86、スペーサ94、及び第1の配線基板72が配置されている。共通流路96の上壁及び側壁は共通流路形成部材76で構成され、また、下壁は第1の配線基板72で構成される。共通流路96は圧力室82毎に設けられる供給口84を介して各圧力室82にそれぞれ連通している。共通流路96には、図1に示したインク貯蔵/装填部14から供給されるインクが貯留され、共通流路96から各圧力室82に対してそのインクが分配供給される。
第1の配線基板72には圧電素子数と同数の配線98が設けられており、各配線98の一端はそれぞれ対応する圧電素子88の個別電極92に電気接続部100を介して導通している。電気接続部100は、例えば、半田や導電性ペースト等で構成される。一方、各配線98の他端は各圧電素子88に対応する位置から第1の配線基板72の端部側のセレクタ回路64の実装位置まで引き出されており、セレクタ回路64の下面は第1の配線基板72にフリップチップ実装されている。また、セレクタ回路64の上面には第2の配線基板78がフリップチップ実装されている。尚、第1の配線基板72の共通流路96側の表面には樹脂等の絶縁保護膜(不図示)が設けられており、共通流路96内のインクに対する配線98の接液防止が図られている。
第2の配線基板78の他端はヘッドドライバ63(図5中不図示、図2参照)に接続されており、プリント制御部60において生成されるドットデータに基づいてヘッドドライバ63で生成された駆動信号が第2の配線基板78を介してセレクタ回路64に入力される。セレクタ回路64では、入力された駆動信号の供給先となる特定の圧電素子88を選択し、この圧電素子88に対応する第1の配線基板72上の配線98にその駆動信号が出力される。このようにして圧電素子88に対して駆動信号が供給される。
圧電素子88に駆動信号が供給されると、圧電素子88の変位に伴って振動板86が圧力室82側に撓むように変形し、圧力室82の容積が減少する。これにより、圧力室82内のインクは加圧され、ノズル80からインク滴が吐出される。インク吐出後、共通流路96から圧力室82に対してインクが再充填される。
次に、セレクタ回路64に対する第1及び第2の配線基板72、78の接続方法について図6を用いて説明する。まず、図6(a)に示すように、配線98(図6中不図示)が既に形成されている第1の配線基板72上の端部側に、例えば、ACF(異方性導電フィルム)、ACP(異方性導電ペースト)、NCP(無導電粒子ペースト)等の接続材料102Aを設ける。次いで、図6(b)に示すように、接続材料102Aを挟むようにしてセレクタ回路64の下面に第1の配線基板72を接続する。接続方法はフリップチップ実装により行う。フリップチップ実装は、いわゆる熱圧着で接続材料102Aに適した温度でその材料に適した圧力を一定時間かけることにより接続を行う。例えば、100℃〜200℃の温度で3MPaの圧力を3分間かけて行う。次に、図6(c)に示すように、セレクタ回路64上に接続材料102Bを設ける。接続材料102Bには接続材料102Aと同様の材料が用いればよいが、先の接続に用いられる接続材料102Aの接続温度より低い接続温度の材料を接続材料102Bとして用いる必要がある。最後に、図6(d)に示すように、接続材料102Bを挟むようにして第2の配線基板78をセレクタ回路64の上面に接続する。接続方法はセレクタ回路64の下面に第1の配線基板72を接続する場合と同様である。このようにしてセレクタ回路64の上下面に第1及び第2の配線基板72、78が接続される。
第1及び第2の配線基板72、78の接続順序は特に限定されるものでなく、セレクタ回路64に第2の配線基板78を接続してから第1の配線基板72を接続するようにしてもよい。この場合、後の接続に用いられる接続材料102Aの接続温度が先の接続に用いられる接続材料102Bの接続温度より低くなるように材料選定を行う必要がある。
第1の実施形態によれば、セレクタ回路64の上下面に第1及び第2の配線基板72、78を接続する構成としたことにより、第1の配線基板72上に第2の配線基板78を実装するためのスペースを設ける必要がなく、ヘッドサイズの小型化が可能となる。また、第1の配線基板72の配線数に比べて第2の配線基板(FPC)78の配線数を減らすことができ、これにより、第2の配線基板78の配線ピッチが低密化されるので、歩留まりが向上し、コストダウンが可能となると共に、接続の簡略化により信頼性が向上する。
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。以下、既述した第1の実施形態と共通する部分については説明を省略し、本実施形態の特徴的な部分を中心に説明する。
図7は第2の実施形態に係るヘッド70の部分断面図である。図7中、図5と共通する部材には同一の番号を付している。本実施形態は、図7に示すように、セレクタ回路64の下面及び側面に第1及び第2の配線基板72、78が接続される態様である。
次に、セレクタ回路64に対する第1及び第2の配線基板72、78の接続方法について図8を用いて説明する。まず、図8(a)に示すように、第2の配線基板78の一端に接続材料102Bを設ける。次いで、図8(b)に示すように、接続材料102Bを挟むようにして第2の配線基板78をセレクタ回路64の側面に接続すると共に、第1の配線基板72上の端部側のセレクタ回路64が実装される位置に接続材料102Aを設ける。接続材料102A、102Bには、第1の実施形態と同様に、ACF、NCP、ACP等が用いられる。次に、図8(c)に示すように、第2の配線基板78が側面に接続された状態のセレクタ回路64の下面に接続材料102Aを挟むようにして第1の配線基板72を接続する。
セレクタ回路64と第1及び第2の配線基板72、78の接続方法はいずれも第1の実施形態と同様に、フリップチップ実装で行う。また、先に接続に用いられる接続材料102Bの接続温度が後に接続に用いられる接続材料102Aの接続温度より高くなるように材料選定を行う。
第2の実施形態によれば、セレクタ回路64の下面及び側面に第1及び第2の配線基板72、78を接続する構成としたことにより、第1の実施形態と同様に、ヘッドサイズの小型化が可能となり、また、第2の配線基板78の配線ピッチが低密化されるのでコストダウンが可能となると共に、接続の簡略化により信頼性が向上する。
また、第2の配線基板78として用いられるFPCを折り曲げることなく配線を垂直に持ち上げられるため、FPCの引き回しスペースを更に小さくすることができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明に係る第3の実施形態について説明する。以下、既述した各実施形態と共通する部分については説明を省略し、本実施形態の特徴的な部分を中心に説明する。
図9は第3の実施形態に係るヘッド70の部分断面図である。図9中、図5と共通する部材には同一の番号を付している。本実施形態は、図9に示すように、セレクタ回路64の側面に接合される第2の配線基板78が共通流路96の側壁を兼ねる態様である。第2の配線基板78にはコネクタ(不図示)が設けられており、このコネクタに接続されるFPC等の外部配線を経由してヘッドドライバ63で生成された駆動信号がセレクタ回路64に入力される。尚、符号104は第2の配線基板78上に配設される配線である。また、符号106は第1及び第2の配線基板72、78間の隙間を埋める封止樹脂であり、共通流路55内のインクの外部への漏れを防止している。
次に、セレクタ回路64に対する第1及び第2の配線基板72、78の接続方法について図10を用いて説明する。まず、図10(a)に示すように、共通流路96の側壁を兼ねる第2の配線基板78の一端に接続材料102Bを設ける。次いで、図10(b)に示すように、接続材料102Bを挟むようにして第2の配線基板102Bをセレクタ回路64の側面に接続すると共に、第1の配線基板72上の端部側のセレクタ回路64が実装される位置に接続材料102Aを設ける。接続材料102A、102Bには、第1の実施形態と同様に、ACF、NCP、ACP等が用いられる。次に、図10(c)に示すように、第2の配線基板78が側面に接続された状態のセレクタ回路64の下面に接続材料102Aを挟むようにして第1の配線基板72を接続する。最後に、図10(d)に示すように、第1及び第2の配線基板72、78間の隙間を埋めるように封止樹脂106を設ける。封止樹脂106には耐薬品性のある材料(例えば、エポキシやポリイミド等)を用いる。封止樹脂106はセレクタ回路64に対する第1及び第2の配線基板72、78の接続温度より低い温度で硬化することが好ましい。
第3の実施形態によれば、セレクタ回路64の側面に接続される第2の配線基板78が共通流路96の側壁を兼ねる構成としたことによって、共通流路96内のインクによりセレクタ回路64が放熱されるのでセレクタ回路64の動作が安定化し、他方では、セレクタ回路64で生じる熱により共通流路55内のインクを温調することができるので吐出安定性が向上する。
(第4の実施形態)
次に、本発明に係る第4の実施形態について説明する。以下、既述した各実施形態と共通する部分については説明を省略し、本実施形態の特徴的な部分を中心に説明する。
図11は第4の実施形態に係るヘッド70の外観斜視図である。図11中、図3と共通する部材には同一の番号を付している。本実施形態は、第1の配線基板72上に設けられる2つのセレクタ回路64A、64Bが共通流路96の左右の側壁を構成すると共に、各セレクタ回路64A、64Bの上面に接続される第2の配線基板78が共通流路96の上壁を構成する態様である。尚、共通流路96の前後の側壁は不図示の封止樹脂で構成されている。
第2の配線基板78はFPCで構成され、図11に示すように、その片側が折り曲げられた構造となっている。第2の配線基板78の折り曲げ側の端部はヘッドドライバ63(図11中不図示、図2参照)に接続されており、ヘッドドライバ63で生成された駆動信号が第2の配線基板78上の各配線104を経由して各セレクタ回路64A、64Bに入力される。
このように構成される第2の配線基板78は、共通流路96内のインクを伝播する圧力波を低減させるダンパとして機能する。このため第2の配線基板78の厚さは薄い方が好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
図12は第4の実施形態の変形例に係るヘッド70′の外観斜視図である。同図に示すように、第2の配線基板78の両側を折り曲げた構造としてもよい。この場合、第2の配線基板78の各配線104を両側に分散して引き出すことできるので、図11に比べて第2の配線基板78の配線ピッチを低密化することができ、製作が容易となる。
第4の実施形態によれば、共通流路96の上壁を構成する第2の配線基板78がダンパとして共通流路96内を伝播する圧力波を低減させることができるので、インク吐出に伴う隣接ノズル間での相互干渉(流体クロストーク)を防止することができる。また、部材兼用による部品点数削減によってコストダウンが可能となる。更に、共通流路96内のインクにより第2の配線基板78を放熱させることができ、他方では、共通流路96内のインクを温調することができ吐出安定性が向上する。また、インク非吐出時において、ノズル80からインク滴を吐出しない程度の駆動信号をセレクタ回路64から圧電素子88に対して供給するように構成することにより、共通流路96内のインクに対する温調効果を更に高めることができる。
以上、本発明の液体吐出ヘッド及び画像形成装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の概略を示す全体構成図。 システム構成を示す要部ブロック図。 第1の実施形態に係るヘッドの外観斜視図。 第1の実施形態に係るヘッドのノズル面を示した平面図。 第1の実施形態に係るヘッドの内部構造を示した部分断面図。 第1の実施形態に係るセレクタ回路の接続方法を示した説明図。 第2の実施形態に係るヘッドの部分断面図。 第2の実施形態に係るセレクタ回路の接続方法を示した説明図。 第3の実施形態に係るヘッドの部分断面図。 第3の実施形態に係るセレクタ回路の接続方法を示した説明図。 第4の実施形態に係るヘッドの外観斜視図。 第4の実施形態の変形例に係るヘッドの外観斜視図。
符号の説明
10…インクジェット記録装置、63…駆動回路(ヘッドドライバ)、64…セレクタ回路、70…ヘッド、72…第1の配線基板、78…第2の配線基板、80…ノズル、82…圧力室、86…振動板、88…圧電素子、96…共通流路

Claims (5)

  1. 液体が充填される圧力室と、
    前記圧力室に連通するノズルと、
    前記圧力室に対して液体供給する共通流路と、
    前記圧力室内の液体を前記ノズルから吐出させる液体吐出手段と、
    駆動信号の供給先となる前記液体吐出手段を選択するセレクタ回路と、
    前記セレクタ回路から出力され前記液体吐出手段に供給される駆動信号を伝達する第1の配線基板と、
    前記セレクタ回路に入力される駆動信号を伝達する第2の配線基板と、を備え、
    前記セレクタ回路を構成する部材の異なる2つの面の一方には前記第1の配線基板が接続され、他方には前記第2の配線基板が接続されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記圧力室と前記共通流路の間に前記第1の配線基板が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記第2の配線基板は前記共通流路の隔壁を構成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記セレクタ回路を構成する部材は前記共通流路の隔壁を構成することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドを備えたことを特徴とする画像形成装置。
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