JP2007224269A - 加熱加圧成形用プリプレグおよび積層板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】無機充填材を含む熱硬化性樹脂組成物をガラスクロス基材に保持させ半硬化状態としてなる加熱加圧成形用プリプレグである。前記無機充填材が少なくとも次の(1)(2)の二成分以上からなる。(1)充填材粒子の平面方向の平均粒径d1が、1μm≦d1≦20μmの範囲にある鱗片状充填材、(2)平均粒径d2が、0.1μm≦d2≦30μmの範囲にある粒子状充填材。前記無機充填材は、熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中に、成分(1)が10〜60体積%、成分(2)が10〜60体積%、無機充填材の総含有量が20〜80体積%占めるように含有された熱硬化性樹脂組成物であり、かつ、前記ガラスクロス基材は、目空き量が0.02mm2〜0.2mm2である。
【選択図】 なし
Description
しかし、上記の熱硬化性樹脂組成物をプリプレグに適用する場合、ガラスクロス基材への含浸性が悪化することや、ガラスクロス基材の存在が厚さ方向の熱伝導率を悪化させることから、所望の熱伝導性が得られないという問題がある。
しかし、上記の回路基板は、回路基板製造時の加工工数が増加することや、無機充填材を高充填すると樹脂の流れ性が悪化することから、3層以上の多層板には適さないという問題がある。
(1)充填材粒子の平面方向の平均粒径d1が、1μm≦d1≦20μmの範囲にある鱗片状充填材。
(2)平均粒径d2が、0.1μm≦d2≦30μmの範囲にある粒子状充填材。
のそれぞれの条件を満たす少なくとも二成分以上からなり、前記熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中に、成分(1)が10〜60体積%、成分(2)が10〜60体積%の範囲で添加され、無機充填材の総含有量としては20〜80体積%となる熱硬化性樹脂組成物であり、かつ前記ガラスクロス基材は、目空き量が0.02mm2〜0.2mm2であることを特徴とする(請求項1)。
(1)充填材粒子の平面方向の平均粒径d1が、1μm≦d1≦20μmの範囲にある鱗片状充填材。
(2)平均粒径d2が、0.1μm≦d2≦30μmの範囲にある粒子状充填材。
なお、前記d1およびd2は、公知のレーザー回折・散乱法による粒度測定装置(例えば、日機装株式会社製「マイクロトラックSPA−7997型」)を用いて測定したものである。ここで、レーザー回折・散乱法とは、充填材粒子にレーザー光を照射したとき、粒子径により散乱光の強度パターンが変化することを利用した測定法である。
プリプレグの層を加熱加圧成形して絶縁層とする際に、銅箔ないし銅板をプリプレグの層に重ねて成形し一体に接着することができる。無機充填材の総含有量を上述した80体積%以下にすれば、銅箔ないし銅板との接着性に特に問題となるところはない。当該プリプレグは、予め準備したプリント配線板同士を重ねて一体化し多層プリント配線板とするときの接着層として使用することもできる。
本発明に係るプリプレグによる絶縁層を備えたプリント配線板は、実装部品や制御回路から発生した熱が絶縁層を介して反対面に配置した銅箔ないし銅板に伝わり熱放散される。
エポキシ樹脂モノマ成分としてビフェニル骨格をもつエポキシ樹脂モノマ(ジャパンエポキシレジン製「YL6121H」,エポキシ当量175)100部を用意し、これをメチルイソブチルケトン(和光純薬製)100部に100℃で溶解し、室温に戻した。尚、「YL6121H」は、既述の分子構造式(式1)において、R=−CH3,n=0.1であるエポキシ樹脂モノマと分子構造式(式2)において、n=0.1であるエポキシ樹脂モノマを等モルで含有するエポキシ樹脂モノマである。
次に、硬化剤として1,5−ジアミノナフタレン(和光純薬製「1,5−DAN」,アミン当量40)25部を用意し、これをメチルイソブチルケトン(和光純薬製)100部に100℃で溶解し、室温に戻した。
上記のエポキシ樹脂モノマ溶液と硬化剤溶液を混合・撹拌して均一なワニスを作製し、この混合物(熱硬化性樹脂ワニス)に、無機充填材として窒化ホウ素(電気化学工業製「GP」,充填材粒子の平面方向の平均粒子径:5μm,熱伝導率60W/m・K,粒子形状:鱗片状)106部(熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中の23体積%に相当、以下体積%のみ表記する)、アルミナ(住友化学製「AA−3」,平均粒子径:2μm,熱伝導率30W/m・K,粒子形状:粒子状)186部(23体積%に相当)およびメチルイソブチルケトン(和光純薬製)を67部加えて混練し、エポキシ樹脂ワニスを調製した。
作製したプリプレグ4枚とその両側に18μm銅箔(CF−T9C、福田金属製)を配置し、温度175℃、圧力4MPaの条件で90分間加熱加圧形成して一体化し、厚さ0.8mmの積層板を得た。
なお、無機充填材の平均粒子径は、日機装株式会社製「マイクロトラックSPA−7997型」を用いて測定した。
ガラスクロス基材の目空き量:顕微鏡を用いてガラスクロス基材を上から観察し、ガラス繊維糸の縦糸と横糸で囲まれたひと升目の空隙部分の面積を測定した。
厚さ方向の熱伝導率:50mm×120mmの板状試料を切り出し、プローブ法に準拠して室温で測定した。
素子発熱温度:実使用に近い放熱性評価として、板状試料を放熱板へグリース接着させ、板状試料に実装したヒータチップに60Wの電力を入力した時のヒータチップ温度を測定した。実施例1を標準として、以下に説明する各例の板状試料を相対評価した。実施例1のヒータ温度に対して150%以上の温度になる場合を×、110以上150%未満の温度になる場合を△、90以上110%未満の温度になる場合を○、90%未満の温度になる場合を◎とした。
耐湿絶縁性:85℃−85%の恒温恒湿槽中に板状試料を入れて50Vの電圧をかけ、1000時間経過後の絶縁抵抗を測定した。そのとき1.0×1010Ω以上であれば○、1.0×1010Ω未満であれば×とした。
実施例1において、「YL6121H」の代わりに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製「EP828」,エポキシ当量185)を用いる以外は実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。この積層板の厚さ方向の熱伝導率は、1.5W/m・Kであり、実施例1より大きく悪化した。
実施例1において、熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中に占める窒化ホウ素とアルミナの割合を、それぞれ4体積%に変えたエポキシ樹脂ワニスを使用する以外は、実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。この積層板の厚さ方向の熱伝導率は、0.7W/m・Kであり、実施例1より大きく悪化した。
実施例1において、窒化ホウ素とアルミナの平均粒径および熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中に占める窒化ホウ素とアルミナの割合を、それぞれ表1に示すように変えたエポキシ樹脂ワニスを使用する以外は、実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。これらの積層板の厚さ方向の熱伝導率を測定した結果、無機充填材の総含有量が増加すると厚さ方向の熱伝導率も向上した。また、無機充填材の平均粒径が大きくなると厚さ方向の熱伝導率も向上した。
実施例1において、アルミナの代わりに、粒子状無機充填材である水酸化アルミニウム(住友化学製「C−302A」,平均粒径2.0μm,熱伝導率3.0W/m・K,粒子形状:粒子状)114部(23体積%に相当)を使用する以外は、実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。この積層板の厚さ方向の熱伝導率は2.2W/m・Kであり、実施例1よりは若干低いものの、厚さ方向の熱伝導率の良好な積層板が得られた。
実施例1において、アルミナの代わりに、粒子状無機充填材であるシリカ(平均粒径5μm,熱伝導率1.2W/m・K,粒子形状:粒子状)104部(23体積%に相当)を使用する以外は、実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。この積層板の厚さ方向の熱伝導率は2.0W/m・Kであり、実施例1より若干低いものの、厚さ方向の熱伝導率の良好な積層板が得られた。
実施例1において、無機充填材として、平均粒径30μmの窒化ホウ素(比較例3)、または平均粒径40μmのアルミナ(比較例4)を使用する以外は、実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。この積層板の厚さ方向の熱伝導率はそれぞれ、7.7W/m・K、7.5W/m・Kであり、良好な値が得られたものの、耐湿絶縁性が悪化した。
実施例1において、無機充填材として、平均粒径0.5μmの窒化ホウ素(比較例5)、または平均粒径0.05μmのアルミナ(比較例6)を使用する以外は、実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。窒化ホウ素の粒径を小さくしても、アルミナの粒径を小さくしても、厚さ方向の熱伝導率は大きく悪化した。
実施例1において、熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中に占める窒化ホウ素あるいはアルミナの割合を、それぞれ表2および表3に示すように変えたエポキシ樹脂ワニスを使用する以外は、実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。窒化ホウ素の量を65体積%(比較例7)にすると、ワニスの粘性が高くなりすぎて基材に均一に含浸できなかったため、積層板は得られなかった。また、5体積%(比較例8)にすると、厚さ方向の熱伝導率は大きく悪化した。アルミナでも同様の結果であった(比較例9,10)。
実施例1において、熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中に占める無機充填材の割合を90体積%にする以外は、実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。無機充填材の割合を90体積%にすると、ワニスの粘性が高くなりすぎて基材に均一に含浸できなかったため、積層板は得られなかった。
実施例1において、ガラスクロス基材の目空き量を表3に示すように変える以外は、実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。ガラスクロス基材の目空き量が小さい(比較例12)と、無機充填材がガラスクロス基材の中まで充填せず、熱伝導率が悪化した。また、目空き量が大きすぎる(比較例13)と、無機充填材をガラスクロス基材に保持させることができず均一に含浸できなかったため、積層板は得られなかった。
Claims (4)
- 無機充填材を含む熱硬化性樹脂組成物をガラスクロス基材に保持させ半硬化状態としてなる加熱加圧成形用プリプレグであって、前記無機充填材が、
(1)充填材粒子の平面方向の平均粒径d1が、1μm≦d1≦20μmの範囲にある鱗片状充填材。
(2)平均粒径d2が、0.1μm≦d2≦30μmの範囲にある粒子状充填材。
のそれぞれの条件を満たす少なくとも二成分以上からなり、前記熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中に、成分(1)が10〜60体積%、成分(2)が10〜60体積%の範囲で添加され、無機充填材の総含有量としては20〜80体積%となる熱硬化性樹脂組成物であり、かつ前記ガラスクロス基材は、目空き量が0.02mm2〜0.2mm2であることを特徴とする加熱加圧成形用プリプレグ。 - 請求項1〜3のいずれかに記載のプリプレグを加熱加圧成形してなる積層板。
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