JP5652307B2 - 加熱加圧成形用プリプレグおよび積層板 - Google Patents
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本発明が解決しようとする課題は、回路埋め性が良好で、かつ、熱伝導性の良い絶縁層が得られる加熱加圧成形用プリプレグを提供することである。
(1)一次粒子の凝集体であって、前記凝集体の平均粒径d1が、10μm≦d1≦70μmの範囲にある窒化ホウ素。
(2)形状が粒子状であって、粒子単体の平均粒径d2が、0.1μm≦d2≦30μmの範囲にあり、アルミナ、シリカ及び水酸化アルミニウムから選ばれる1種以上の充填材。
そして、前記熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中に、成分(1)が5〜40体積%、成分(2)が10〜50体積%の範囲で添加され、無機充填材の総含有量としては20〜80体積%であることを特徴とする(請求項1)。
(1)一次粒子の凝集体であって、前記凝集体の平均粒径d1が、10μm≦d1≦70μmの範囲にある窒化ホウ素。
(2)形状が粒子状であって、粒子単体の平均粒径d2が、0.1μm≦d2≦30μmの範囲にあり、アルミナ、シリカ及び水酸化アルミニウムから選ばれる1種以上の充填材。
上記のプリント配線板は、絶縁層の熱伝導性が良好で優れた放熱性を有するので、自動車機器用のプリント配線板や、パソコン等の高密度実装プリント配線板、インバータ等の絶縁材料に好適である。
エポキシ樹脂モノマ成分としてビフェニル骨格をもつエポキシ樹脂モノマ(ジャパンエポキシレジン製「YL6121H」,エポキシ当量175)100部を用意し、これをメチルイソブチルケトン(和光純薬製)100部に100℃で溶解し、室温に戻した。尚、「YL6121H」は、既述の分子構造式(式1)において、R=−CH3,n=0.1であるエポキシ樹脂モノマと分子構造式(式1)において、R=−H,n=0.1であるエポキシ樹脂モノマを等モルで含有するエポキシ樹脂モノマである。
硬化剤として1,5−ジアミノナフタレン(和光純薬製「1,5−DAN」,アミン当量40)25部を用意し、これをメチルイソブチルケトン(和光純薬製)100部に100℃で溶解し、室温に戻した。
作製したプリプレグ4枚とその両側に厚さ35μm銅箔(CF−T9C、福田金属製)を配置し、温度175℃、圧力4MPaの条件で90分間加熱加圧成形して一体化し、厚さ0.8mmの積層板を得た。
なお、無機充填材の平均粒径は、日機装株式会社製「マイクロトラックSPA−7997型」を用いて測定した。
回路埋め性:積層板の銅箔をエッチングにて回路加工した内層用回路板の両側に、プリプレグ1枚および銅箔をそれぞれ配置し、温度175℃、圧力4MPaの条件で90分間加熱加圧成形して一体化した。そのとき、回路と樹脂の界面にクラックやボイドが入らず、かつ厚さ方向の熱伝導率が7W/m・K以上であれば「◎」、回路と樹脂の界面にクラックやボイドが入らず、かつ厚さ方向の熱伝導率が7W/m・K未満であれば「○」、回路と樹脂の界面にクラックやボイドが見られるものを「×」とした。なお、エポキシ樹脂ワニスの増粘などで、プリプレグや積層板が作製できなかったものは「−」とした。
厚さ方向の熱伝導率:10mm×10mmの板状試料を切り出し、キセノンフラッシュ法(ASTM E1461)に準拠して室温で測定した。なお、エポキシ樹脂ワニスの増粘などで、プリプレグや積層板が作製できなかったものは「−」とした。
耐湿絶縁性:積層板(50mm×50mm)の端部の銅箔を各辺5mmずつエッチングして除去した板状試料を準備した。この板状試料の両面銅箔間に50Vの電圧をかけ、85℃−85%の恒温恒湿槽中で1000時間処理した後、絶縁層の絶縁抵抗を測定した。そのとき1.0×1010Ω以上であれば「○」、1.0×1010Ω未満であれば「×」とした。なお、エポキシ樹脂ワニスの増粘などで、プリプレグや積層板が作製できなかったものは「−」とした。
実施例1において、窒化ホウ素とアルミナの平均粒径および熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中に占める窒化ホウ素とアルミナの割合を、それぞれ表1に示すように変えたエポキシ樹脂ワニスを使用する以外は、実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。なお、使用した無機充填材は、下記のとおりである。
窒化ホウ素(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製「PTX60」,平均粒径:55〜60μm,熱伝導率60W/m・K,粒子形状:一次粒子の凝集体)
アルミナ(住化アルケム製「AA−18」,平均粒径:18μm,熱伝導率30W/m・K,粒子形状:粒子状)
これら積層板の厚さ方向の熱伝導率を測定した結果、無機充填材の総含有量が増加すると厚さ方向の熱伝導率も向上した。また、無機充填材の平均粒径が大きくなると厚さ方向の熱伝導率も向上した。さらに、回路埋め性、耐湿絶縁性共に良好であった。
実施例2において、「YL6121H」の代わりに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製「EP828」,エポキシ当量185)を用いる以外は実施例2と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。この積層板の厚さ方向の熱伝導率は、5.9W/m・Kであり、回路埋め性、耐湿絶縁性共に良好であった。
実施例6において、アルミナの代わりに、粒子状の無機充填材である水酸化アルミニウム(住友化学製「C−302A」,平均粒径2.0μm,熱伝導率3.0W/m・K,粒子形状:粒子状)77部(40体積%に相当)を使用する以外は、実施例6と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。
実施例6において、アルミナの代わりに、粒子状の無機充填材であるシリカ(龍森製「B−21」,平均粒径5μm,熱伝導率1.2W/m・K,粒子形状:粒子状)70部(40体積%に相当)を使用する以外は、実施例6と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。
実施例6において、「YL6121H」の代わりに、「YL6121H」と「EP828」をエポキシ当量比で1/1で混合したものを用いる以外は実施例6と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。
実施例1において、熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中に占める窒化ホウ素とアルミナの割合を、それぞれ4体積%に変えたエポキシ樹脂ワニスを使用する以外は、実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。
実施例5において、無機充填材として、平均粒径100μmの窒化ホウ素(比較例2)、または平均粒径45μmのアルミナ(比較例3)を使用する以外は、実施例5と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。なお、使用した無機充填材は、下記のとおりである。
窒化ホウ素(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製「PT−350」,平均粒径:100μm,熱伝導率60W/m・K,粒子形状:一次粒子の凝集体)
アルミナ(電気化学工業製「DAM−45」,平均粒径:45μm,熱伝導率30W/m・K,粒子形状:粒子状)
比較例2では、窒化ホウ素(凝集体)の平均粒径が大きいため、回路埋め性や厚さ方向の熱伝導率は良好なものの、耐湿絶縁性が悪化した。比較例3では、アルミナ(粒子状)の平均粒径が大きいため、厚さ方向の熱伝導率及び耐湿絶縁性が悪化した。
実施例5において、無機充填材として、平均粒径4μmの窒化ホウ素(比較例4)、または平均粒径0.05μmのアルミナ(比較例5)を使用する以外は、実施例5と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。なお、使用した無機充填材は、下記のとおりである。
窒化ホウ素(電気化学工業製「SP−2」,平均粒径:4μm,熱伝導率60W/m・K,粒子形状:一次粒子の凝集体)
アルミナ(バイコウスキージャパン製「バイカロックス」,平均粒径:0.05μm,熱伝導率30W/m・K,粒子形状:粒子状)
比較例4では、窒化ホウ素(凝集体)の平均粒径が小さいため、耐湿絶縁性は良好なものの、圧縮率が小さいため回路埋め性が悪化した。比較例5では、アルミナ(粒子状)の平均粒径が小さいため、回路埋め性や耐湿絶縁性は良好なものの、厚さ方向の熱伝導率が悪化した。
実施例1において、熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中に占める窒化ホウ素あるいはアルミナの割合を、それぞれ表2に示すように変えたエポキシ樹脂ワニスを使用する以外は、実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。
Claims (3)
- 無機充填材を含む熱硬化性樹脂組成物を、シート状にし半硬化状態としてなる加熱加圧成形用プリプレグであって、前記無機充填材が、次の(1)と(2)、すなわち、
(1)一次粒子の凝集体であって、前記凝集体の平均粒径d1が、10μm≦d1≦70μmの範囲にある窒化ホウ素。
(2)形状が粒子状であって、粒子単体の平均粒径d2が、0.1μm≦d2≦30μmの範囲にあり、アルミナ、シリカ及び水酸化アルミニウムから選ばれる1種以上の充填材。
の二成分からなり、
前記熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中に、成分(1)が5〜40体積%、成分(2)が10〜50体積%の範囲で添加され、無機充填材の総含有量としては20〜80体積%であることを特徴とする加熱加圧成形用プリプレグ。 - 請求項1又は2記載のプリプレグを加熱加圧成形してなる積層板。
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