JP4793277B2 - エポキシ樹脂ワニスの製造法、プリプレグの製造法、積層板および配線板の製造法 - Google Patents

エポキシ樹脂ワニスの製造法、プリプレグの製造法、積層板および配線板の製造法 Download PDF

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Description

本発明は、難溶性の液晶エポキシ樹脂を配合するエポキシ樹脂ワニスの製造法に関する。また、このワニスを用いたプリプレグの製造法、さらには、当該プリプレグにより構成される積層板ないしは配線板の製造法に関する。この絶縁層は、耐熱性に優れかつ熱伝導性が良好で、発熱部品を実装する配線板の絶縁層として好適である。
電子機器に搭載する配線板は、電子機器の軽薄短小化に伴う微細配線・高密度実装の技術が求められる一方で、発熱に対応する高放熱の技術も求められている。特に、各種制御・操作に大電流を使用する自動車などにおける電子回路では、導電回路の抵抗に起因する発熱やパワー素子からの発熱が非常に多く、配線板の放熱特性は高レベルであることが必須となってきている。
そのような現状において、配線板の絶縁層の熱伝導性を向上させるために、熱硬化性樹脂に無機充填材を添加することは広く行われている。例えば、熱硬化性樹脂に鱗片状無機充填材と粒子状無機充填材との混合充填材を添加した熱伝導性樹脂シートが特許文献1に記載されている。この熱伝導性樹脂シートは、鱗片状無機充填材と粒子状無機充填材とを混合し、鱗片状無機充填材を厚さ方向に配向させることにより、樹脂シートの厚さ方向の熱伝導性を向上させるものである。
しかし、上記の熱硬化性樹脂組成物をプリプレグに適用する場合、ガラス繊維織布等のシート状繊維基材への含浸性が悪化することや、シート状繊維基材の存在が厚さ方向の熱伝導率を悪化させることから、所望の熱伝導性が得られないという問題がある。
また、絶縁層の厚さ方向の熱伝導性を向上させる方法として、(式1)のような液晶エポキシ樹脂を用いることで、樹脂組成物そのものの熱伝導性を向上させる方法がある(特許文献2)。しかし、前記液晶エポキシ樹脂は2官能のエポキシ樹脂であるために熱硬化させたときの架橋密度が低く、特に難燃剤を添加した場合に、積層板や絶縁層の特性として重要なガラス転移温度(Tg)が低下するという問題があった。また、前記液晶エポキシ樹脂は融点が高く、室温においては溶剤にも溶けにくい。そこで、加熱して溶剤に溶解させると一旦は溶解するが室温に戻せば再結晶するため、均一に分散したワニスを調製することは難しいという問題もあった。
特許文献3には、エポキシ当量が1500〜3000であるビフェニル基含有エポキシ樹脂を用いることで、はんだ耐熱性を向上させる方法が記載されている。しかし、前記のエポキシ樹脂組成物をプリプレグに適用する場合、ワニスの粘度が高く、シート状繊維基材への含浸性が悪化するという問題があった。
特開2005−232313号公報 特開平11−323162号公報 特許第3529088号公報
本発明が解決しようとする課題は、溶剤に難溶な液晶エポキシ樹脂を配合したエポキシ樹脂ワニスを調製するに当たり、前記液晶エポキシ樹脂をワニス中に均一に分散させ取り扱い性のよいエポキシ樹脂ワニスを製造することである。また、このワニスを使用してプリプレグを製造することである。さらには、前記プリプレグによる積層板ないしは絶縁層を備えた配線板を製造することである。この製造法によれば、耐熱性を向上させ、かつ厚み方向の熱伝導性を向上した積層板ないしは絶縁層を製造することができる。このため、大電流・発熱部品の搭載に対応し、放熱特性が求められる配線板に好適である。
上記課題を達成するための、本発明の要旨は以下のとおりである。
本発明は、エポキシ樹脂成分と硬化剤と無機充填材を混合してエポキシ樹脂ワニスを調製するに当って、エポキシ樹脂成分の一つとして、室温では溶剤に難溶の液晶エポキシ樹脂を用いるエポキシ樹脂ワニスの製造を対象とする。ここで、液晶エポキシ樹脂とは、基本骨格にメソゲン基と呼ばれる芳香環等を含む剛直なグループからなるエポキシ樹脂化合物である。また、室温では溶剤に難溶の液晶エポキシ樹脂とは、加熱しながら溶剤に溶解させると一旦は溶解するが室温に戻せば再結晶する液晶エポキシ樹脂をいう。
本発明に係る製造法では、エポキシ樹脂成分が、他の成分として単一分子内に3つ以上のエポキシ基を持つ多官能エポキシ樹脂を含有してなり、前記液晶エポキシ樹脂と前記多官能エポキシ樹脂の配合割合が当量比で90/10〜50/50の範囲とする。そして、無機充填材の総含有量が樹脂固形分と無機充填材の総体積の中で20〜80体積%となるように混合した後、ボールミル、ビーズミル、複数本のロールで構成されるロールミルから選ばれる混練手段により混練することを特徴とする(請求項1)。
好ましくは、前記液晶エポキシ樹脂が、(式1)で示す分子構造のエポキシ樹脂である(請求項2)。
Figure 0004793277
さらに好ましくは、前記液晶エポキシ樹脂が、(式2)で示す分子構造のエポキシ樹脂である(請求項3)。
Figure 0004793277
本発明に係るプリプレグの製造法は、上述の方法により得たエポキシ樹脂ワニスをシート状繊維基材に含浸し加熱乾燥することを特徴とする(請求項4)。
本発明に係る積層板の製造法は、一体に加熱加圧成形するプリプレグ層の全層ないしは一部の層として、上述したプリプレグを用いることを特徴とする(請求項5)。また、本発明に係る配線板の製造法は、上述したプリプレグの層を加熱加圧成形して絶縁層を形成することを特徴とする(請求項6)。
上記のように調製したエポキシ樹脂ワニスは、その貯蔵中における液晶エポキシ樹脂の結晶成長が抑制される。その理由は、次の(1)(2)によるものと考えられる。
(1)液晶エポキシ樹脂と多官能エポキシ樹脂を組み合わせることで、液晶エポキシ樹脂が多官能エポキシ樹脂に相溶し、結晶化し難い状態としている。
(2)さらに、ボールミルなどの強力なせん断力を発生する混練手段により混練することにより、凝集した結晶を粉砕し、均一に分散した状態としている。
前記多官能エポキシ樹脂の配合量が少ない場合や混練時のせん断力が小さい場合には、液晶エポキシ樹脂が再結晶して凝集した固体を充分に粉砕できないため、ワニスに均一分散し難くなる。そして、プリプレグの製造において含浸ムラなど外観上の問題が現われ、積層板や絶縁層の製造に適用したときには、耐熱性や熱伝導性にばらつきを生じやすくなる。しかし、本発明に係る方法によれば、エポキシ樹脂の結晶成長が抑制され、エポキシ樹脂が均一に分散したエポキシ樹脂ワニスを調製することが可能となる。
上記のように製造したエポキシ樹脂ワニスをシート状繊維基材に含浸し乾燥してプリプレグを製造すると、含浸ムラや未溶の液晶エポキシ樹脂がシート状繊維基材に保持されることがなくなる。本発明に係る方法により製造したエポキシ樹脂ワニスは、プリプレグ製造への適用が容易になるわけである。
さらに、本発明に係るプリプレグの製造法は、液晶エポキシ樹脂と多官能エポキシ樹脂の当量比を特定することにより、硬化剤との架橋密度が向上し、耐熱性を向上させることができる。また、耐熱性を保持したまま熱伝導性を向上させることができる。
本発明に使用するエポキシ樹脂成分は、少なくとも次の二成分を混合する。すなわち、液晶エポキシ樹脂と単一分子内に3つ以上のエポキシ基を持つ多官能エポキシ樹脂である。
液晶エポキシ樹脂は、基本骨格にメソゲン基と呼ばれる芳香環等を含む剛直なグループからなるエポキシ樹脂化合物であり、具体的には、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシベンズアラニリン、4,4’−ジヒドロキシフェニルベンゾエート、4,4’−ジヒドロキシ−1,2−ジフェニルエチレン、4,4’−ジヒドロキシ−1,2−ジフェニルアセチレン、4,4’−ジヒドロキシアゾベンゼン、4,4’−ジヒドロキシアゾキシベンゼン、4,4’’−ジヒドロキシ−1’,4’−ジフェニルシクロヘキサン、4,4’’−ジヒドロキシ−1’,4’−ジフェニルシクロヘキセンのような化合物およびその誘導体等を含むものである。
特に(式1)で示される分子構造式のビフェニル骨格あるいはビフェニル誘導体の骨格をもつエポキシ樹脂は、熱伝導性が向上するため好ましい。
Figure 0004793277
さらに好ましくは、(式2)で示される分子構造式のエポキシ樹脂を選択する。ビフェニル基がより配列しやすいため、熱伝導性をさらに向上することができる。また、ビフェニル骨格あるいはビフェニル誘導体の骨格は単一分子内に2つ以上あってもよい。
Figure 0004793277
単一分子内に3つ以上のエポキシ基を持つ多官能エポキシ樹脂は、従来用いられている多官能のエポキシ樹脂を用いることができる。例えば、3〜4官能のオルソクレゾールノボラック型エポキシ化合物、トリフェニロールメタン化合物をグリシジル化して得られる3官能エポキシ化合物、テトラフェニロールエタンやジアミノジフェニルメタンを原料とする4官能エポキシ化合物であり、これらの化合物を単独、または組み合わせて使用してもよい。
液晶エポキシ樹脂と多官能エポキシ樹脂の配合割合は、当量比で90/10〜50/50の範囲とする。前記多官能エポキシ樹脂の配合割合が当量比で10より小さいと、液晶エポキシ樹脂が再結晶して凝集した固体を充分に粉砕できないため、ワニスの分散性が悪化する。また、積層板ないしは絶縁層の耐熱性が低下する。前記多官能エポキシ樹脂の配合割合が当量比で50を超えると、積層板の熱伝導性が低下し、必要な性能を満たすことができない。
無機充填材の総含有量は、樹脂固形分と無機充填材の総体積の中で20〜80体積%となるように添加する。無機充填材の総含有量が20体積%より小さいと、積層板の充分な熱伝導性が得られない。また、無機充填材の総含有量が80体積%より大きいと、ワニスの粘度が上がりすぎるため、シート状繊維基材に含浸できず、外観の均一なプリプレグを製造することはできない。無機充填材は電気絶縁性を有していればよく、金属酸化物又は水酸化物あるいは無機セラミックス、その他の充填材を含むことができる。例えば、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化チタン、酸化亜鉛、炭化タングステン、アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、雲母、タルク、マイカ等の無機粉末充填材、セラミックス繊維等の繊維質充填材等であり、これらをエポキシ樹脂成分と共に用いることで積層板ないしは絶縁層の熱伝導性が向上する。無機充填材の熱伝導率が30W/m・K以上であれば、積層板ないしは絶縁層の熱伝導性がさらに向上するので好ましい。
さらに、無機充填材の形状は、粉末(塊状、球状)、単繊維、長繊維等いずれであってもよいが、特に、鱗片状のものであれば、無機充填材自身の積層効果によって硬化物の熱伝導性はさらに高くなり、これを適用した積層板ないしは絶縁層の放熱性がさらに向上するので好ましい。これら無機充填材は2種類以上を併用してもよい。さらに、この鱗片状の無機充填材と粒子状の無機充填材を併用することで、鱗片状の無機充填材が積層板ないしは絶縁層の平面方向から厚み方向へ配向するため、厚み方向にも高い熱伝導性が得られるためさらに好ましい。
上記の無機充填材とエポキシ樹脂成分を混合してエポキシ樹脂ワニスを調製する際、強力なせん断力を発生する混練手段により混練する。これにより、液晶エポキシ樹脂が再結晶して凝集した固体を粉砕し、均一に分散した状態とする。また、エポキシ樹脂ワニスの無機充填材配合量を増やしていくと、無機充填材のチキソ性および凝集性のため、エポキシ樹脂ワニスの粘度が増大する。そのため、攪拌羽根を使用するタイプの攪拌機では、10体積%を越える無機充填材を配合すると、攪拌し難くなり、エポキシ樹脂ワニスが均一分散できなくなる。そこで、強力なせん断力を発生する混練手段を選択することで、無機充填材の分散性がよくなりワニスの粘度も低下する。これにより、80体積%までの無機充填材の配合が可能となる。強力なせん断力を発生する混練手段は、例えば、ボールミル、ビーズミル、複数本のロールで構成されるロールミルやその原理を応用した混練手段、又は前記混練手段と同等手段が挙げられる。また、このような混練手段を用いることでエポキシ樹脂が充填材の界面を覆うため吸湿絶縁耐力が向上する。
ここで、ボールミルは、セラミックや金属などの硬質のボールと原材料を容器に投入し、回転させることによって、原材料を混練・混合する装置である。ビーズミルは、前記ボールに代え、細かいビーズ(直径0.03〜2mmの大きさ)を使用して混練・混合する装置である。ロールミルは、例えば三本ロールであり、ロールとロールの間に原材料を導入して、ロール間のせん断力で混練・混合する装置である。
エポキシ樹脂成分に配合する硬化剤は、エポキシ樹脂成分の硬化反応を進行させるために従来用いられている硬化剤を使用することができる。例えば、フェノール類又はその化合物、アミン化合物やその誘導体、酸無水物、イミダゾールやその誘導体などが挙げられる。また、硬化促進剤は、エポキシ樹脂成分とフェノール類又はその化合物、アミン類またはその化合物との重縮合反応を進行させるために従来用いられている硬化促進剤を使用することができる。例えば、トリフェニルホスフィン、イミダゾールやその誘導体、三級アミン化合物やその誘導体などが挙げられる。
エポキシ樹脂成分と硬化剤、無機充填材、硬化促進剤を配合したエポキシ樹脂ワニスには、必要に応じて難燃剤や希釈剤、可塑剤、カップリング剤等を含むことができる。また、このエポキシ樹脂ワニスをシート状繊維基材に含浸し乾燥してプリプレグを製造する際、必要に応じて溶剤を使用することができる。これらの使用が、硬化物の熱伝導性に影響を与えることはない。
本発明に係るプリプレグの製造法は、上記の方法により得られたエポキシ樹脂ワニスを、ガラス繊維や有機繊維で構成されたシート状繊維基材(織布や不織布)に含浸し加熱乾燥して、エポキシ樹脂を半硬化状態としたものである。本発明に使用できるガラス繊維織布基材は、特に限定するものではないが、ガラスの種類は強度や電気特性が良好なEガラスが好ましい。また、ワニスの含浸には目空き量の大きいものが好ましいため、開繊処理されていないガラス繊維織布基材がよい。
そして、本発明に係る積層板の製造法は、前記の方法により得られたプリプレグを、プリプレグ層の全層ないしは一部の層として使用し加熱加圧成形してなるものであり、必要に応じて前記加熱加圧成形により片面あるいは両面に銅箔等の金属箔を一体に貼り合せる。無機充填材の総含有量を上述した80体積%以下にすれば、金属箔との接着性に特に問題となるところはない。
さらに、本発明に係る配線板の製造法は、前記の方法により得られたプリプレグの層を加熱加圧成形して絶縁層を形成するものであり、その対象は、片面配線板、両面配線板、さらには、内層と表面層に配線を有する多層配線板である。
上記の方法により得られた配線板は、エポキシ樹脂や無機充填材の分散性が良好で、かつ、絶縁層の耐熱性や熱伝導性が良好であるので、高温雰囲気下での使用が想定される自動車機器用の配線板や、パソコン等の高密度実装配線板に好適である。
以下、本発明に係る実施例を示し、本発明について詳細に説明する。尚、以下の実施例および比較例において、「部」とは「質量部」を意味する。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、本実施例に限定されるものではない。
実施例1
液晶エポキシ樹脂としてビフェニル骨格をもつエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製「YL6121H」,エポキシ当量175)42部、3官能エポキシ樹脂(プリンテック製「VG3101」,エポキシ当量210)17部(YL6121H/VG3101の配合割合が当量比で75/25)、フェノールノボラック系硬化剤(大日本インキ製「LF6161」OH当量130)41部を用意し、これをメチルエチルケトン(和光純薬製)53部に70℃で溶解し、室温に戻した。
尚、「YL6121H」は、既述の分子構造式(式1)において、R=−CH,n=0.1である液晶エポキシ樹脂と分子構造式(式2)において、n=0.1である液晶エポキシ樹脂を等モルで含有するエポキシ樹脂である。
上記混合物(エポキシ樹脂組成物)に、アルミナ(住友化学製「AA−3」,平均粒子径:2μm,熱伝導率30W/m・K,粒子形状:粒子状)76部(エポキシ樹脂組成物の固形分と無機充填材を合わせた体積中の40体積%に相当、以下体積%のみ表記する)およびメチルエチルケトン(和光純薬製)を23部加えてボールミルで混練し、エポキシ樹脂ワニスを調製した。
このエポキシ樹脂ワニスを、厚さ60μmのガラス繊維織布基材に含浸し加熱乾燥して半硬化状態のプリプレグを得た。作製したプリプレグ4枚とその両側に18μm厚銅箔(福田金属製「CF−T9C」)を配置し、温度200℃、圧力4MPaの条件で90分間加熱加圧成形して一体化し、厚さ0.8mmの積層板を得た。
実施例1で得たエポキシ樹脂ワニスの分散性および積層板の厚さ方向の熱伝導率、はんだ耐熱性、耐湿絶縁性を測定した結果を、エポキシ樹脂ワニスの配合組成と共に表1にまとめて示す。測定方法は、以下に示すとおりである。
分散性:エポキシ樹脂ワニス調整後に、液晶エポキシ樹脂や無機充填材の凝集が確認できなければ○、確認できれば×とした。
厚さ方向の熱伝導率:積層板をエッチングにより銅箔を除去した後、50mm×120mmの板状試料を切り出し、プローブ法に準拠して室温で測定した。
はんだ耐熱性:300℃のはんだ槽に積層板を浮かべ、表面にふくれが生じるまでの時間を測定した。180秒以上の耐熱性があるものを○、180秒未満を×とした。
耐湿絶縁性:積層板に、導体幅150μm、導体間隔150μmのくし型パターンを形成した。この試料を85℃−85%の恒温恒湿槽中に入れ、導体間に50Vの電圧をかけた。そして、1000時間経過後の絶縁抵抗を測定した。そのとき1.0×1010Ω以上であれば○、1.0×1010Ω未満であれば×とした。
実施例1においては、エポキシ樹脂ワニスの分散性も良く、積層板の厚さ方向の熱伝導率、はんだ耐熱性、耐湿絶縁性共に良好であった。
比較例1
実施例1において、「VG3101」を使用しないこと以外は実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。このエポキシ樹脂ワニスは、液晶エポキシ樹脂「YL6121H」が再結晶して凝集した固体を充分に粉砕できないため、分散性が悪化した。そのため、積層板の厚さ方向の熱伝導率は、1.1W/m・Kであり、実施例1より大きく悪化した。
実施例2〜3
実施例1において、「YL6121H」と「VG3101」の配合割合を当量比で90/10(実施例2)、50/50(実施例3)に変えたエポキシ樹脂ワニスを使用する以外は、実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。これら積層板の厚さ方向の熱伝導率を測定した結果、「YL6121H」の配合割合が増加すると厚さ方向の熱伝導率も向上した。
実施例4〜5
実施例1において、無機充填材の総含有量を20体積%(実施例4)、80体積%(実施例5)に変えたエポキシ樹脂ワニスを使用する以外は、実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。これら積層板の厚さ方向の熱伝導率を測定した結果、無機充填材の総含有量が増加すると厚さ方向の熱伝導率も向上した。
比較例2〜3
実施例1において、「YL6121H」と「VG3101」の配合割合を当量比で40/60(比較例2)、95/5(比較例3)に変えたエポキシ樹脂ワニスを使用する以外は、実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。これら積層板の厚さ方向の熱伝導率を測定した結果、比較例2では「YL6121H」の配合割合が少ないため、厚さ方向の熱伝導率が低下した。また、比較例3では「VG3101」の配合割合が少ないため、液晶エポキシ樹脂が再結晶して凝集した固体を充分に粉砕できないため、分散性が悪化した。また、はんだ耐熱性が低下した。
比較例4〜5
実施例1において、無機充填材の総含有量を10体積%(比較例4)、90体積%(比較例5)に変えたエポキシ樹脂ワニスを使用する以外は、実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。これら積層板の厚さ方向の熱伝導率を測定した結果、無機充填材の総含有量が10体積%では熱伝導率が低下した。また、90体積%の場合は、無機充填材の分散性が悪くなり、ガラス繊維織布基材に均一に含浸できず、熱伝導率が低下した。
比較例6
実施例1において、「YL6121H」の代わりに、液晶エポキシ樹脂ではないビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製「EP828」,エポキシ当量185)を用いる以外は実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。この積層板の厚さ方向の熱伝導率は、1.5W/m・Kであり、実施例1より大きく悪化した。
比較例7
実施例1において、ボールミルを使用せず、撹拌羽根を使用するタイプの攪拌機(ホモミキサ)で混練する以外は実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。このエポキシ樹脂ワニスは、液晶エポキシ樹脂「YL6121H」が再結晶して凝集した固体を充分に粉砕できないため、分散性が悪化した。また、積層板の厚さ方向の熱伝導率は、1.4W/m・Kであり、実施例1より大きく悪化した。
実施例6
実施例1において、「YL6121H」の代わりに、「YL6121H」を再結晶させて(式2)で示す分子構造の化合物のみを取り出した液晶エポキシ樹脂を用いる以外は実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。この積層板の厚さ方向の熱伝導率は、4.2W/m・Kであり、実施例1より大きく向上した。
実施例7
実施例1において、「VG3101」の代わりに、多官能エポキシ樹脂(大日本インキ化学製「N−680」,エポキシ当量210)を用いる以外は実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。この積層板の厚さ方向の熱伝導率は、2.9W/m・Kであり、実施例1とほぼ同等の値であり、はんだ耐熱性も変わらなかった。
実施例2〜7、比較例1〜7のエポキシ樹脂ワニスおよび積層板についても、実施例1と同様に特性を測定し、結果を表1〜2に示した。
Figure 0004793277
Figure 0004793277

Claims (6)

  1. エポキシ樹脂成分と硬化剤と無機充填材を混合してエポキシ樹脂ワニスを調製するに当って、エポキシ樹脂成分の一つとして、加熱しながら溶剤に溶解させると一旦は溶解するが室温に戻せば再結晶する液晶エポキシ樹脂を用いるエポキシ樹脂ワニスの製造において、
    エポキシ樹脂成分が、他の成分として単一分子内に3つ以上のエポキシ基を持つ多官能エポキシ樹脂を含有してなり、前記液晶エポキシ樹脂と前記多官能エポキシ樹脂の配合割合が当量比で90/10〜50/50の範囲であり、無機充填材の総含有量が樹脂固形分と無機充填材の総体積の中で20〜80体積%となるように混合した後、
    ボールミル、ビーズミル、複数本のロールで構成されるロールミルから選ばれる混練手段により混練することを特徴とするエポキシ樹脂ワニスの製造法。
  2. 前記液晶エポキシ樹脂が、(式1)で示す分子構造のエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1記載のエポキシ樹脂ワニスの製造法。
    Figure 0004793277
  3. 前記液晶エポキシ樹脂が、(式2)で示す分子構造のエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項2記載のエポキシ樹脂ワニスの製造法。
    Figure 0004793277
  4. 請求項1〜3のいずれかの方法により得たエポキシ樹脂ワニスをシート状繊維基材に含浸し加熱乾燥することを特徴とするプリプレグの製造法。
  5. 請求項4記載の方法により製造したプリプレグを、プリプレグ層の全層ないしは一部の層として使用し加熱加圧成形することを特徴とする積層板の製造法。
  6. 請求項4記載の方法により製造したプリプレグの層を加熱加圧成形して絶縁層を形成することを特徴とする配線板の製造法。
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