JP5729336B2 - エポキシ化合物、樹脂組成物、樹脂シート、積層板及びプリント配線板 - Google Patents

エポキシ化合物、樹脂組成物、樹脂シート、積層板及びプリント配線板 Download PDF

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Description

本発明は、熱伝導率が高くかつ高温での長期耐熱性に優れた樹脂組成物を与えるエポキシ化合物およびその樹脂組成物を適用した樹脂シート、さらにはその当該樹脂シートを用いた熱伝導率が高い積層板及びプリント配線板に関する。
LED、パワーデバイス、サイリスタ、CPU等の高発熱性電子部品を基板実装した様々なモジュール製品においては、電子機器の軽薄短小化、並びに微細配線・高密度実装化の流れにより、その発熱量は増大の一途を辿っている。その高い発熱量は電子部品の効率、信頼性、寿命等を低下させることで、モジュール製品そのものの性能の低下を招いている。そこで、そのモジュール製品を構成するプリント配線板に熱伝導性を持たせることで、モジュールの放熱性能を向上する試みが数多くなされてきている。
特にプリント配線板においては、成形の自由度が高く内層回路の形成や大型化が容易な樹脂基板に高熱伝導性を付与する試みが盛んになされてきている。樹脂基板は複合材料であり、それを構成する主要材料として樹脂材料とそれに分散されたフィラーと呼ばれるセラミックス材料があげられる。汎用的には、その複合材料中に占める樹脂より熱伝導率の大きなフィラーの含有量を増大させることにより、高熱伝導率化が図られている。しかしながら、フィラーの増量はプリント配線板や積層板の前駆体の樹脂シートの成形性やプリント配線板の重要な特性である絶縁性を大きく低下させる可能性がある。
そこで、近年では、コスト、耐熱性、信頼性の利点よりプリント配線板材料の原料として、もっとも広く用いられているエポキシ樹脂そのものの低い熱伝導率を向上させて、フィラーの増量を最小限に抑えつつ、複合材料全体の熱伝導を向上させる検討も数多くなされている。さらに詳しくは、エポキシ樹脂の高熱伝導率化は、メソゲンと呼ばれる樹脂骨格の導入による検討がもっとも多くなされている(特許文献1〜3)。
さらに、特許文献4においては、そのメソゲン系エポキシ樹脂にメソゲン骨格を持ったフェノール樹脂を反応させ、その化合物を備えた樹脂シートを用いての積層板の高熱伝導率化と樹脂シートの製造上では極めて重要なその重合物の有機溶剤への可溶化の開示がある。エポキシ樹脂の熱伝導率の増加率が微量であっても、その積層板の熱伝導率の増加率はかなり大きくなるので、この反応による高熱伝導率化は極めて有用である。この場合、その化合物の融点がメソゲン系フェノール化合物単体のそれより大きく下がることで、その化合物を備える樹脂シートからなるプリント基板において、成形温度としてもっとも一般的な170℃〜180℃程度で溶融成形を可能にしつつ、かつその樹脂シートからなる積層板の熱伝導性を向上させることが記載されている。
また、上記の高発熱性電子部品を基板実装したモジュール製品においては、高い放熱性のみならず、その性能向上のため高い耐熱性すなわち高温での使用が可能なことが強く求められている。特に、パワーモジュールにおいては、近年では次世代パワーデバイスとして期待されているSiC、GaN等のワイドバンドギャップ半導体の開発がさかんになされているが、これらの半導体は現行のSi系半導体と比較して、高温で半導体を駆動させることが可能なため、その実装基板であるプリント配線板には、積層板として1.00W/(m・K)以上の高熱伝導性に加えて150℃以上の高温での長期耐熱性が要求される動きが顕著である。
特開 2009−19150号公報 特開 2006−76263号公報 特開 2006−82370号公報 特開 2004−2573号公報
しかしながら、前記特許文献4の樹脂シートにおいては、それが与える積層板の熱伝導率は高いが、その樹脂シートを積層板に成形する際の170〜180℃程度の温度で樹脂組成物の溶融粘度が大きい。そのため、積層板において樹脂組成物の未充填やボイドを発生(成形性の低下)してしまい、積層板としての信頼性を大きく低下させるという課題があった。また、特に熱伝導率が高い樹脂組成物であるメソゲン系フェノール化合物を含む場合は、その融点が高く積層板の成形時に溶融しなかった樹脂組成物が相分離して残ってしまうことが顕著であった。そのため、積層板の一部に樹脂組成物の未硬化分として残り、積層板の信頼性である高温(150℃以上)での長期耐熱性が低下してしまうという問題が生じている。このため、積層板を高温での使用に対応した実装基板とするのが困難であった。ここでいう高温(150℃以上)での長期耐熱性とは、積層板及びプリント配線板の機械的強度の高温(150℃以上)放置時間に対するその低下度合いのことである。
そこで、本発明の目的は、メソゲン系エポキシ樹脂とメソゲン系フェノール化合物との化合物で積層成形時の溶融温度(170〜180℃)で十分均一に溶融することができ、積層成形時の優れた成形性をもつ、エポキシ化合物、エポキシ樹脂組成物、及びそのエポキシ樹脂組成物を備える樹脂シートと、その樹脂シートを少なくとも1層含む積層板として、150℃以上の高温での長期耐熱性を特徴とする1.00W/(m・K)以上の高い熱伝導性の積層板及びプリント配線板を提供することである。
本発明者らは、メソゲン系エポキシ樹脂とメソゲン系フェノール化合物とのエポキシ化合物の組成や構造を種々検討したところ、エポキシ化合物が特定の構造を形成することがメソゲン系エポキシ樹脂とメソゲン系フェノール化合物とのエポキシ化合物、およびそのエポキシ化合物を含むエポキシ樹脂組成物が、積層成形時の溶融温度(170〜180℃)で十分均一に溶融することができる樹脂シートと、その樹脂シートを少なくとも1層含む積層板として、150℃以上の高温での長期耐熱性を特徴とする1.00W/(m・K)以上の高い熱伝導性に優れた積層板およびプリント配線板を提供するのに有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のエポキシ化合物は、(式1)に示す化学構造を有するメソゲン系エポキシ樹脂と(式2)に示す化学構造を有するメソゲン系フェノール化合物とを少なくとも含み、エポキシ化合物のGPC(ゲルパーミッションクロマトグラフィー)による分子量解析において、もっとも溶出時間の長いピークを第1ピーク、前記第1ピークの直前のピークを第2ピークとした時、前記第1ピークのピーク高さ(a)と前記第2ピークのピーク高さ(b)の比(a)/(b)が、4.0以下であり、かつ重量平均分子量が2100以上21000以下であることを特徴とする。
Figure 0005729336

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これにより、メソゲン系エポキシ樹脂とメソゲン系フェノール化合物の反応物であるエポキシ化合物を備える樹脂シートの積層成形時における溶融温度で十分均一に溶融することができる。ここでの溶融温度とは、170〜180℃程度である積層板成形時の温度を示す。溶融とは、積層成形工程で、エポキシ化合物とその他構成成分が均質に溶けた状態で、一体化することを意味する。
そして前記エポキシ化合物は、積層成形時の優れた成形性をもつ、樹脂組成物、樹脂シートと積層板として1.00W/(m・K)以上の高い熱伝導性と150℃以上の高温での長期耐熱性をもつ、積層板及びプリント配線板を提供することができる。
さらに、本発明のエポキシ化合物は、前記メソゲン系フェノール化合物が(式3)に示す4,4’−ビフェノールであることが好ましい。
Figure 0005729336
これにより、メソゲン系エポキシ樹脂とメソゲン系フェノール化合物とのエポキシ化合物を備える積層板およびプリント配線板でより一層高い熱伝導性を得ることができる。
さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ化合物と硬化剤を少なくとも含むことを特徴とすることが好ましい。
これにより、さらに、樹脂組成物として、メソゲン系エポキシ樹脂とメソゲン系フェノール化合物とのエポキシ化合物を備える樹脂シートの積層成形時の溶融温度で、より一層均一に溶融することができ、かつ積層成形時の優れた成形性の効果を得ることができる。
さらに、エポキシ樹脂組成物の前記硬化剤が(式4)に示すビフェニルアラルキル型フェノール樹脂であることが好ましい。
Figure 0005729336
これにより、メソゲン系エポキシ樹脂とメソゲン系フェノール化合物とのエポキシ化合物を備える積層板およびプリント配線板が一層高い熱伝導性を得ることができる。
さらに、本発明では、本発明のエポキシ樹脂組成物を少なくとも含む樹脂シートを提供する。このような樹脂シートは、上記特徴を有するエポキシ化合物を備えるため、積層成形時のより一層優れた成形性を保持することができる。
さらに、本発明では、前記の樹脂シートを少なくとも1層含む積層板を提供する。このような積層板は、上記特徴を有するエポキシ化合物からなる樹脂シートを備えるため、150℃以上の高い温度の環境下で使用しても、長期間に亘って優れた性能を維持することができる。
さらに、本発明では、前記の樹脂シートを少なくとも1層含むプリント配線板を提供する。このようなプリント配線板は、上記特徴を有するエポキシ化合物からなる樹脂シートを備えるため、150℃以上の高い温度の環境下で使用しても、長期間に亘って優れた性能を維持することができる。
本発明によれば、メソゲン系エポキシ樹脂とメソゲン系フェノール化合物との化合物で積層成形時の溶融温度(170〜180℃)で十分均一に溶融することができるエポキシ化合物を提供することができる。さらに、積層成形時の優れた成形性をもつ、エポキシ樹脂組成物、及びそのエポキシ樹脂組成物を備える樹脂シートと、その樹脂シートを少なくとも1層含む積層板として、150℃以上の高温での長期耐熱性を特徴とする1.00W/(m・K)以上の高い熱伝導性の積層板及びプリント配線板を提供することができる。
GPCプロファイルの代表例。 樹脂シートの模式図。 積層板の模式図。 プリント配線板の模式図。
以下、本発明について実施形態を用い、詳細に説明する。ただし、本発明は、実施形態に限定されない。
本発明におけるメソゲン系及びメソゲン骨格をもつ化合物とは、(式5)に示すような化学構造を備える化合物である。
Figure 0005729336
本実施形態に係るエポキシ化合物の原料であるメソゲン系エポキシ樹脂(A)とは、下記(式1)に示すようなビフェニル骨格あるいはビフェニル誘導体の骨格を有し、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物である。
Figure 0005729336
本実施形態に係るメソゲン系フェノール化合物(B)とは、下記(式2)に示すような化学構造を有しており、エポキシ基と反応の可能な活性水素を分子内に2個有するフェノール化合物及びその誘導体である。この化合物の好ましい例としては、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシベンズアラニリン、4,4’−ジヒドロキシフェニルベンゾエート、4,4’−ジヒドロキシ−1,2−ジフェニルエチレン、4,4’−ジヒドロキシ−1,2−ジフェニルアセチレン、4,4’−ジヒドロキシアゾベンゼン、4,4’−ジヒドロキシアゾキシベンゼンのような化合物およびその誘導体である。その中でも、下記(式3)に示す4,4’−ビフェノールは、工業的に入手することが容易であり、(A)の主構造であるビフェニル骨格と構造が同一であることより、積層板及びプリント配線板の高熱伝導率化にも適しているのでより好ましい。また、これらの(B)成分は2種類以上併用してもよい。
Figure 0005729336

Figure 0005729336
このようなメソゲン系エポキシ樹脂(A)とメソゲン系フェノール化合物(B)との化合物を有するエポキシ樹脂組成物は、その硬化物である積層板やプリント配線板を形成する過程、すなわち硬化過程で高熱伝導率化に有利な高次構造を形成する。
図1に本実施形態における、(A)成分と(B)成分の化合物であるエポキシ化合物のGPC(ゲルパーミションクロマトグラフィー)分析が与える分子量分布であるGPCプロファイルの代表例を示す。図1において、X軸はGPCカラムで溶離されたエポキシ化合物の溶出時間であり、Y軸はその溶出量である。もっともGPCカラムからの溶出時間の長い第1ピーク(a)とその第1ピーク(a)の直前の第2ピーク(b)のピーク高さ比、(a)/(b)の値が4.0以下である。GPCはサイズ排除クロマトグラフィーの1つであり、サイズの大きい分子すなわち高分子量体が早くGPCカラムから溶出し、サイズの小さい分子すなわち低分子量体が遅くGPCカラムから溶出する。しがって分子量としては、第2ピーク(b)>第1ピーク(a)の関係である。
上記のピーク比の値((a)/(b)の値)が4.0を超えている場合、高融点成分である(B)成分と(A)成分の重合反応すなわち(A)成分のエポキシ基と(B)成分の水酸基の付加重合反応が十分ではなく、その結果、高融点という(B)成分の特性の影響が強くでることとなる。したがって、その反応物を備えるエポキシ樹脂組成物及び樹脂シートを有する積層板およびプリント配線板の製造工程の一般的な成形温度170〜180℃では、その温度以上の融点をもつ(B)成分起因の未溶融物を残したまま硬化する状態となるので、完成した積層板およびプリント配線板は未溶融物を含むものとなる。これにより、その積層板およびプリント配線板は、未硬化ボイドとよばれる未硬化部位を硬化物中に持つこととなるので、信頼性特に、積層板およびプリント配線板の温度による電気的および機械的特性の劣化の度合である高温での長期耐熱性が大きく低下する。
これに対して、上記のピーク比が4.0以下の場合は、未溶融物がない状態で硬化して、積層板及びプリント配線板が形成されるので、未硬化ボイドもなく高温での長期耐熱性も良好なものとなる。
また、(A)成分と(B)成分の化合物であるエポキシ樹脂は、そのGPC(ゲルパーミションクロマトグラフィー)分析のGPC法による重量平均分子量が2100〜21000である。この重量平均分子量は、エポキシ樹脂の粘度や融点等の特性と強く相関する。なお、重量平均分子量とは、エポキシ樹脂の分子鎖の全体のまとまりに占める割合(平均分子鎖長)を考慮した重量平均分子量であることが重要である。
その重量平均分子量が2100未満である場合、上記ピーク高さ比である(a)/(b)の値が4.0以下であっても、高融点の(B)成分の影響が強くでるために、未溶融物が積層板ないしプリント配線板中に未硬化ボイドという形で存在し、150℃以上の高温での長期耐熱性が大きく低下する。
その重量平均分子量が21000を超えた場合は、エポキシ樹脂の成形性の重要な特性である溶融粘度が急激に増大し、それに起因する流動性不足による配線パターンの未充填や接着性の低下等により、積層板及びプリント配線板の製造が極めて困難になる。
上記のピーク高さ比(a)/(b)及び重量平均分子量は、該エポキシ化合物製造時において165℃〜190℃の範囲内である反応温度と9時間〜35時間の範囲内である反応時間の両方のパラメータを好適に組み合わせることで調整することができる。
(A)成分と(B)成分の化合物であるメソゲン系エポキシ化合物は、エポキシ樹脂組成物とする時に硬化剤を配合する。この硬化剤はエポキシ樹脂の硬化反応を進めるために用いられてきた硬化剤を用いることができる。例としては、フェノール樹脂を含むフェノール化合物およびその誘導体、アミン化合物やその誘導体、酸無水物やイミダゾールおよびその誘導体、ジシアンジアミドおよびその誘導体等があげられる。特に、下記(式4)に示すビフェニルアラルキル型フェノール樹脂を用いることが、その樹脂組成物が与える積層板ないしプリント配線板の高熱伝導率化と高温での長期耐熱性を向上させることができるので好ましい。
Figure 0005729336
また、エポキシ樹脂組成物の硬化反応速度を向上させる目的で配合し、硬化促進剤も使用することができる。好ましい例としては、トリフェニルホスフィンおよびその誘導体、アミン化合物およびその誘導体、イミダゾールおよびその誘導体等が挙げられる。これらの硬化剤と硬化促進剤は、それぞれ2種以上を併用して用いることができる。
(A)成分と(B)成分の化合物であるメソゲン系エポキシ化合物に硬化剤や硬化促進剤を配合したエポキシ樹脂組成物には、必要があれば、難燃剤、着色剤、可塑剤、酸化防止剤、離型剤、沈降防止剤、カップリング剤、分散剤、密着付与剤、イオン捕捉剤等の添加剤を加えてもよい。また、この樹脂組成物をシート状の繊維基材に含浸して乾燥させることによりプリプレグを製造する目的で、樹脂組成物は有機溶剤を含んでもよい。
上記エポキシ樹脂組成物は、熱伝導率や強度や内部応力といった機械的特性の向上や難燃性の確保のために、さらに充填剤を配合することができる。粒子状の充填剤としては、金属の酸化物や水酸化物、炭化物、窒化物等が挙げられ、さらに好ましくは、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、二酸化珪素、窒化ホウ素、炭化珪素、窒化珪素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、酸化ベリリウム、酸化チタン、炭化チタン、窒化チタン、酸化ジルコニウム、炭化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、炭化バナジウム、窒化バナジウム、窒化クロム、窒化モリブデン、炭化ニオブ、炭化タンタル等の球状、りん片状、板状、柱状のフィラーが挙げられ、これらは2つ以上の複数のフィラーを組み合わせて使用してもよい。繊維質の充填剤としては、ガラス繊維、紙繊維、アラミド繊維のような有機合成繊維、セラミックス繊維のような素材が挙げられる。
本実施形態における(A)成分と(B)成分の化合物であるメソゲン系エポキシ化合物を備える上記の樹脂組成物は、公知のコンマコーターやグラビアコーター、スロットダイコーター等の塗工装置を用いて、PET等の有機フィルムや金属箔等に塗工し、これを乾燥させることにより、単層の樹脂シートに作製することもできる。
また、上記の樹脂組成物は、ガラス繊維や有機繊維等でできたシート状の織布や不織布に含浸・乾燥させることでも、プリプレグとよばれる樹脂シートとして作製することができる。この樹脂シートの代表的な模式図を図2に示す。樹脂シート4は、ガラスクロス2とよばれるシート状の織布に前記樹脂組成物を乾燥させた絶縁樹脂1が付着した構成である。上記の樹脂シート4は最適な加熱をすることにより、半硬化状態として用いることもできる。ここでいう半硬化状態とは、まだ完全に硬化反応が終了しておらず、加熱により、その樹脂シート4が流動可能な状態であることを示す。
また、この樹脂シート4は、その未硬化部より抽出したエポキシ化合物をGPCプロファイルで、GPCカラムからの溶出時間の長い第1ピーク(a)とその第1ピーク(a)の直前の第2ピーク(b)のピーク高さ比(a)/(b)の値が4.0以下であることとその重量平均分子量が2100〜21000であることを確認することができる。
積層板は、前記の樹脂シート4を全層ないし一部の層として用いることで構成される。樹脂シート4それぞれは、2種以上を組み合わせて使用することもできる。この積層板の代表的な模式図を図3に示す。積層板13は、複数枚の樹脂シート4の積層体に銅箔3をその両面に貼り付けて、積層成形して構成される。さらにプリント配線板は前記のプリプレグを含む樹脂シート4を加熱加圧成形した絶縁層を備えたものであり、片面プリント配線板、両面プリント配線板、内層回路を持つ多層基板、アルミベース基板、厚銅を基板内に埋め込んだメタルコア基板等が挙げられる。この内層回路をもつ多層基板(4層基板)(プリント配線板)の代表的な模式図をプリント配線板として図4に示す。プリント配線板14は、エッチングにより形成された外層回路5および内層回路6が、樹脂シート4により層間絶縁された積層成形で構成される。
以上のように、本実施形態における(A)成分と(B)成分の化合物であるエポキシ樹脂を含む樹脂組成物を備える積層板13ないしプリント配線板14は、エポキシ樹脂そのものの特性である高熱伝導性により、積層板13およびプリント配線板14の高熱伝導率化を可能にするとともに、その高温(150℃以上)での長期耐熱性に優れているので、高発熱性電子部品を基板実装したモジュール製品としての信頼性を大きく向上させることができる。さらに、高温での長期耐熱性を向上することによって、プリント配線板14の使用可能温度を向上させることができるので、高温で駆動する半導体の実装基板に好適に用いることができる。
以下、本発明に係る実施例を示し、本発明について詳細に説明する。尚、以下の実施例および比較例において(部)とは(重量部)を意味する。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、本実施例に限定されるものではない。
実施例1
(A)成分としては4,4’−テトラメチルビフェノールエポキシ樹脂と4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂の混合物(混合比率が50wt%対50wt%)ある三菱化学株式会社製YL6121H(エポキシ当量175)を用い、(B)成分としてはメソゲン骨格をもつフェノール化合物である4,4’−ビフェノール(本州化学株式会社製)を用いた。(A)成分100部と(B)成分50部を混合し、190℃で溶融させて13時間反応させ、室温に戻すことで表1に示すようなエポキシ化合物を得た。
そのエポキシ化合物の重量平均分子量や前記のピーク高さ比が狙いの領域であるかを確認するため、GPC(ゲルパーミションクロマトグラフィー)別名、サイズ排除クロマトグラフィーで分析および評価を行った。分析条件は、分離用GPCカラムにはshodex社製リニアカラムGPC LF804を用い、分離媒である移動相の溶媒にはTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。分子量マーカーは標準ポリスチレンを用い、標準ポリスチレン換算で行った。得られたGPCプロファイルより、そのエポキシ化合物の重量平均分子量を算出し、その溶出ピークにおいてもっとも溶出時間の早いピークの高さを第1ピーク高さ(a)と定義し、該第1ピークの直前のピークの高さを第2ピーク高さ(b)と定義することで、ピーク高さ比である(a)/(b)を算出した。
このエポキシ化合物のGPCピーク高さ比は4.0であり、その重量平均分子量(Mw)は2100であった。
さらにこのエポキシ化合物を粗砕し、そのエポキシ化合物100部に対して硬化剤としてフェノールノボラック樹脂(DIC株式会社製TD2093Y)を100部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成株式会社製)を1部、充填剤として球状アルミナ粒子(電気化学工業株式会社製DAW−03)を500部、塗料化のための溶剤としてメチルエチルケトン100部を加え、ライカイ機により混合し、さらにその混合物をディスパーを用いて分散させることにより、エポキシ樹脂組成物である含浸用塗料を作製した。
この塗料を厚み35umの繊維基材であるガラスクロスに含浸・加熱乾燥させることで、厚み120μmの樹脂シートを得た。この樹脂シートより、未硬化のエポキシ化合物を抽出して、THF(テトラヒドロフラン)に溶解させてGPC分析を行ったところ、GPCピーク高さ比および重量平均分子量ともに前記のエポキシ化合物単体と同様であった。
<成形性評価>
樹脂シートの成形性の評価は、銅回路パターン高さ105um、パターン間 3mmの回路パターン間を前記樹脂シートを2枚用い、175℃での積層プレス成形で充填できるかどうかと前記樹脂シートに含まれる樹脂の回転式レオメータでの溶融粘度用いての樹脂流動性評価で評価した。評価基準としては、充填性に関しては、その成形品について金属顕微鏡による断面観察と超音波探傷においてボイド、未充填のような空孔部が観察されないものを充填可能:〇と判断し、観察されたものを充填不可:×と判断した。溶融粘度に関しては、175℃における最低溶融粘度が5000Pa・S以下の場合、成形可能:〇と判断し、5000Pa・Sを超えた場合、成形不可能:×と判断した。前記の両者とも〇であった場合を成形性:〇(成形性良好)とし、片方もしくは両方とも×であった場合を成形性×(成形性不良)と判断した。
<外観評価>
メソゲン系エポキシ樹脂とメソゲン系フェノール化合物の反応物で積層成形時の溶融温度で十分均一に溶融することができるエポキシ化合物であるかどうか、つまり成形品である積層板の外観評価は、樹脂シートを7枚重ね、面方向で25mm×70mmの大きさに175℃で積層プレス成形し、切断後、断面研磨を行い、研磨面を金属顕微鏡で観察し、相分離箇所の有無で評価した。
評価基準としては、相分離が存在していないものを積層板外観:〇(外観良好)、相分離が少しでも存在しているものを積層板外観:×(外観不良)と判断した。
<熱伝導性評価>
熱伝導性評価には、熱伝伝導率の測定を行なった。熱伝導率の測定は、樹脂シート6枚重ね、175℃で積層プレス成形した積層板を10mmφの円盤状に打ち抜き、熱拡散率測定用サンプルとして作成した。作成サンプルを熱拡散率測定装置(アルバック理工社製TCシリーズ)で熱拡散率の測定を行った。そして比熱は、サファイアを標準サンプルとして示差走査熱量測定(DSC)にて測定を行った。以下の(式6)を用いて、積層板の厚み方向の熱伝導率を算出し、1.00W/(m・K)以上を十分な熱伝導率が得られたとして評価した。
λ=α×Cp×r・・・(式6)
α:熱拡散率
Cp:比熱
r:密度
<高温での長期耐熱性評価>
高温での長期耐熱性については、絶縁耐力試験を樹脂シート2枚重ねて175℃で積層プレス成形した積層板を100mm×100mmの試験片に切断し、試験片を得て実施した。高温200℃の恒温槽中にその積層板を保持しエージング(熱劣化)を施し、エージング時間に対する積層板の絶縁耐力の低下度合いを評価した。絶縁耐力が初期値の1/2になった(半減期と定義する。)エージング時間をそのエージング温度における寿命として、2500時間以上得られるものを長期耐熱性があると判断した。
表1に、実施例1のエポキシ化合物のエポキシ樹脂組成物が与える樹脂シートおよび積層板について、それぞれの作製条件と得られた特性を示す。エポキシ化合物のGPCピーク高さ比は4であり、その重量平均分子量(Mw)は2100であった。その樹脂組成物の樹脂シート成形性は未充填や内部ボイドはなく、良好であった。また、積層板外観も成形時の未溶融物による相分離はなく、良好であった。高温での長期耐熱性は、3000時間と良好であった。
実施例2
エポキシ化合物の作製時の反応温度と反応時間を変更して、確認したGPCピーク高さ比が4.0、かつ重量平均分子量(Mw)は4200であるエポキシ化合物を用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。その結果を表1に示す。樹脂シート成形性および積層板外観ともに実施例1と同様に良好であった。高温での長期耐熱性は、3300時間であった。
実施例3
エポキシ化合物の作製時の反応温度と反応時間を変更して、確認したGPCピーク高さ比は3.0であり、重量平均分子量(Mw)は4900であるエポキシ化合物を用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。その結果を表1に示す。樹脂シート成形性および積層板外観ともに実施例1と同様に良好であった。高温での長期耐熱性は、3200時間であった。
実施例4
エポキシ化合物の作製時の反応温度と反応時間を変更して、確認したGPCピーク高さ比は2.0であり、重量平均分子量(Mw)は5900であるエポキシ化合物を用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。その結果を表1に示す。樹脂シート成形性および積層板外観ともに実施例1と同様に良好であった。高温での長期耐熱性は、3600時間であった。
実施例5
エポキシ化合物の作製時の反応温度と反応時間を変更して、確認したGPCピーク高さ比は1.6であり、重量平均分子量(Mw)は6800であるエポキシ化合物を用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。その結果を表1に示す。樹脂シート成形性および積層板外観ともに実施例1と同様に良好であった。高温での長期耐熱性は、2900時間であった。
実施例6
エポキシ化合物の作製時の反応温度と反応時間を変更して、確認したGPCピーク高さ比は3.7であり、重量平均分子量(Mw)は8500であるエポキシ化合物を用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。その結果を表1に示す。樹脂シート成形性および積層板外観ともに実施例1と同様に良好であった。高温での長期耐熱性は、3100時間であった。
実施例7
エポキシ化合物の原料である(B)成分がベンズアラルニル型フェノールであり、かつエポキシ化合物の作製時の反応温度と反応時間を変更して、確認したGPCピーク高さ比が2.5であり、重量平均分子量(Mw)は4900であるエポキシ化合物を用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。その結果を表1に示す。GPCピーク高さ比は2.5であり、重量平均分子量(Mw)は4900であった。樹脂シート成形性および積層板外観ともに実施例1と同様に良好であった。高温での長期耐熱性は、2700時間であった。
実施例8
エポキシ化合物の作製時の反応温度と反応時間を変更して、確認したGPCピーク高さ比は3.0であり、重量平均分子量(Mw)は4900であるエポキシ化合物を用いたこととそれを含むエポキシ樹脂組成物の硬化剤がフェノールノボラック樹脂ではなく、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂であることを除いて、実施例1と同様に実施した。その結果を表1に示す。樹脂シート成形性および積層板外観ともに実施例1と同様に良好であった。高温での長期耐熱性については、硬化剤側からのビフェニル骨格の導入により、実施例2、4、7と比較すると5100時間と大きく向上した。
比較例1
エポキシ化合物の作製時の反応温度と反応時間を変更して、確認したGPCピーク高さ比は2.7であり、重量平均分子量(Mw)は900であるエポキシ化合物を用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。その結果を表1に示す。樹脂シート成形性は充填に関して問題がなかったが、積層板外観については、成形時の未溶融物による相分離が発生していた。その引き起こす未硬化部(未溶融物により構成された部分)により、高温での長期耐熱性は実施例2、4、7、8と比較して、1600時間と大きく低下した。また、熱伝導率も実施例1〜8と比較して低下した。
比較例2
エポキシ化合物の作製時の反応温度と反応時間を変更して、確認したGPCピーク高さ比は1.1であり、重量平均分子量(Mw)は1500であるエポキシ化合物を用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。その結果を表1に示す。樹脂シート成形性は良好であったが、積層板外観については、比較例1と同様に成形時の未溶融物による相分離が発生していた。比較例1と同様に、高温での長期耐熱性は1400時間と大きく低下した。また、熱伝導率も実施例1〜8と比較して低下した。
比較例3
エポキシ化合物の作製時の反応温度と反応時間を変更して、確認したGPCピーク高さ比は4.0であり、重量平均分子量(Mw)は42000であるエポキシ化合物を用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。その結果を表1に示す。樹脂シート成形性はエポキシ化合物の170℃における溶融粘度が23.4(Pa・S)と急減に増大したため、その樹脂組成物が与える樹脂シートの流動性が大きく低下、回路パターンの未充填を引き起こした。積層板外観については、比較例1と同様に良好であった。高温での長期耐熱性は、2900時間であった。
比較例4
特許文献4に開示されている温度165℃に反応温度を変更して、確認したGPCピーク高さ比は2.5であり、重量平均分子量(Mw)は800であるエポキシ化合物を用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。その結果を表1に示す。長時間の反応時間にかかわらず、重量平均分子量(Mw)は小さく、樹脂シート成形性は良好であったが、積層板外観については、成形時の未溶融物による相分離が発生していた。その引き起こす未硬化部(未溶融物により構成された部分)により、高温での長期耐熱性は実施例2、4、7、8と比較して、1300時間と大きく低下した。また、熱伝導率も実施例1〜8と比較して低下した。
実施例9
エポキシ化合物の作製時の反応温度と反応時間を変更して、確認したGPCピーク高さ比は2.0であり、重量平均分子量(Mw)は21000であるエポキシ化合物を用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。その結果を表1に示す。樹脂シート成形性および積層板外観ともに実施例1と同様に良好であった。高温での長期耐熱性は、2900時間であった。
実施例10
エポキシ化合物の作製時の反応温度と反応時間を変更して、確認したGPCピーク高さ比は1.4であり、重量平均分子量(Mw)は5100であるエポキシ化合物を用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。その結果を表2に示す。樹脂シート成形性および積層板外観ともに実施例1と同様に良好であった。高温での長期耐熱性は、3300時間であった。
実施例11
エポキシ化合物の作製時の反応温度と反応時間を変更して、確認したGPCピーク高さ比は1.6であり、重量平均分子量(Mw)は6800であるエポキシ化合物を用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。その結果を表2に示す。樹脂シート成形性および積層板外観ともに実施例1と同様に良好であった。高温での長期耐熱性は、2900時間であった。
実施例12
エポキシ化合物の作製時の反応温度と反応時間を変更して、確認したGPCピーク高さ比は2.0であり、重量平均分子量(Mw)は5900であるエポキシ化合物を用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。その結果を表2に示す。樹脂シート成形性および積層板外観ともに実施例1と同様に良好であった。高温での長期耐熱性は、3600時間であった。
実施例13
エポキシ化合物の作製時の反応温度と反応時間を変更して、確認したGPCピーク高さ比は3.0であり、重量平均分子量(Mw)は4900であるエポキシ化合物を用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。その結果を表2に示す。樹脂シート成形性および積層板外観ともに実施例1と同様に良好であった。高温での長期耐熱性は、3200時間であった。
実施例14
エポキシ化合物の作製時の反応温度と反応時間を変更して、確認したGPCピーク高さ比は3.7であり、重量平均分子量(Mw)は8500であるエポキシ化合物を用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。その結果を表2に示す。樹脂シート成形性および積層板外観ともに実施例1と同様に良好であった。高温での長期耐熱性は、3100時間であった。
実施例15
エポキシ化合物の作製時の反応温度と反応時間を変更して、確認したGPCピーク高さ比は4.0であり、重量平均分子量(Mw)は4300であるエポキシ化合物を用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。その結果を表2に示す。樹脂シート成形性および積層板外観ともに実施例1と同様に良好であった。高温での長期耐熱性は、3300時間であった。
比較例5
エポキシ化合物の作製時の反応温度と反応時間を変更して、確認したGPCピーク高さ比は4.5であり、重量平均分子量(Mw)は3400であるエポキシ化合物を用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。その結果を表2に示す。樹脂シート成形性は良好であったが、積層板外観については、成形時の未溶融物による相分離が発生していた。それが引き起こす未硬化部により、高温での長期耐熱性は実施例2、4、7、8と比較して、1600時間と大きく低下した。また、熱伝導率も実施例9〜14と比較して低下した。
比較例6
エポキシ化合物の作製時の反応温度と反応時間を変更して、確認したGPCピーク高さ比は4.8であり、重量平均分子量(Mw)は5600であるエポキシ化合物を用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。その結果を表2に示す。樹脂シート成形性は関しては良好であったが、積層板外観については、比較例1と同様に成形時の未溶融物による相分離が発生していた。比較例5と同様に、高温での長期耐熱性は、1500時間と大きく低下した。また、熱伝導率も実施例9〜14と比較して低下した。
比較例7
エポキシ化合物の作製時の反応温度と反応時間を変更して、確認したGPCピーク高さ比は5.9であり、重量平均分子量(Mw)は5300であるエポキシ化合物を用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。その結果を表2に示す。樹脂シート成形性は良好であったが、積層板外観については、比較例1と同様に成形時の未溶融物による相分離が発生していた。比較例5と同様に、高温での長期耐熱性は、1700時間と大きく低下した。また、熱伝導率も実施例9〜14と比較して低下した。
Figure 0005729336

溶融粘度はReserch Equipment(London) Limited製測定装置を用いたICI粘度である。
エポキシ樹脂化合物1:4,4’−テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂と4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂の混合物(混合比率 50wt%対50wt%)三菱化学株式会社製ビフェニルエポキシ樹脂 YL6121H)
フェノール1:4,4’−ビフェノール(本州化学株式会社製)
フェノール2:4,4’−ヒドロキシベンズアラルニル(和光純薬株式会社製)
フェノール樹脂1:フェノールノボラック樹脂(DIC株式会社製TD2093Y)
フェノール樹脂2:ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(エアウォーターケミカル株式会社製 HE200C)
イミダゾール1:2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成株式会社製2E4Mz)
球状アルミナ:球状アルミナ(平均粒子径 3μm)(電気化学工業株式会社製DAW−03)
ここでの硬化剤、硬化促進剤、充填剤の配合量である重量部は、表1の表記上150部となっているエポキシ化合物を100とした時の配合量である。
Figure 0005729336

溶融粘度はReserch Equipment(London) Limited製測定装置を用いたICI粘度である。
エポキシ樹脂化合物1:4,4’−テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂と4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂の混合物(混合比率 50wt%対50w%)(三菱化学株式会社製ビフェニルエポキシ樹脂 YL6121H)
フェノール1:4,4’−ビフェノール(本州化学株式会社製)
フェノール2:4,4’−ヒドロキシベンズアラルニル(和光純薬株式会社製)
フェノール樹脂1:フェノールノボラック樹脂(DIC株式会社製TD2093Y)
フェノール樹脂2:ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(エアウォーターケミカル株式会社製 HE200C)
イミダゾール1:2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成株式会社製2E4Mz)
球状アルミナ:球状アルミナ(平均粒子径 3μm)(電気化学工業株式会社製DAW−03)
硬化剤、硬化促進剤、充填剤の配合量である重量部は、表1の表記上150部となっているエポキシ化合物を100とした時の配合量である。
以上、表1および表2から明らかなように、メソゲン系エポキシ樹脂(A)とメソゲン系フェノール化合物(B)との化合物であるエポキシ樹脂は、そのGPCによる重量平均分子量を2100〜8500に制御し、かつ低分子成分由来であるもっとも溶出時間の長い第1ピークのピーク高さ(a)とオリゴマー成分由来の該第1ピークの直前のピーク高さ(b)の比(a)/(b)も4.0以下に制御することにより、実用的な樹脂シートの成形性を維持しつつ、それが与える積層板およびプリント配線板の高熱伝導率化と150℃以上の高温での長期耐熱性を達成することができた。
上記の樹脂シートは、導体である銅箔でその樹脂シートを挟み込むように積層して、真空プレスで積層することにより、プリント配線板材料である高熱伝導の銅張積層板を作製した。さらに、この銅張積層板にフォト、エッチング加工による回路パターンの形成、ドリルによる穴あけ加工およびその貫通孔へのめっき処理によるスルーホール形成、前記の樹脂シートの積層、レジスト塗工等のプリント配線板への公知の加工処理を施すことによって、高い放熱機能をもつ高熱伝導プリント配線板を作製した。
1 絶縁樹脂
2 ガラスクロス
3 銅箔
4 樹脂シート
13 積層板
5 外層回路
6 内層回路
14 プリント配線板

Claims (6)

  1. (式1)に示す化学構造を有するメソゲン系エポキシ樹脂と(式3)に示す4,4’−ビフェノールであるメソゲン系フェノール化合物の反応物であるエポキシ化合物のGPC(ゲルパーミッションクロマトグラフィー)による分子量解析において、もっとも溶出時間の長いピークを第1ピーク、前記第1ピークの直前のピークを第2ピークとした時、前記第1ピークのピーク高さ(a)と前記第2ピークのピーク高さ(b)の比(a)/(b)が、4.0以下であり、かつ重量平均分子量が2100以上21000以下であることを特徴とするエポキシ化合物
    Figure 0005729336
    Figure 0005729336
  2. 請求項1に記載のエポキシ化合物と硬化剤を少なくとも含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記硬化剤が(式4)に示すビフェニルアラルキル型フェノール樹脂であることを特徴とする、請求項2に記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 0005729336
  4. 請求項2または請求項3に記載のエポキシ樹脂組成物を少なくとも含む樹脂シート。
  5. 請求項4に記載の樹脂シートを少なくとも1層含む積層板。
  6. 請求項4に記載の樹脂シートを少なくとも1層含むプリント配線板。
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