JP2008120922A - プリプレグ及びプリプレグの製造方法及びそれを用いたプリント基板とその製造方法 - Google Patents

プリプレグ及びプリプレグの製造方法及びそれを用いたプリント基板とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の結晶化樹脂を用いたプリプレグは、その熱伝導性を高めるための結晶化樹脂自体が硬くて脆いため、所定の強度が要求される回路基板等に用いることが難しいという課題を有していた。
【解決手段】結晶性エポキシ樹脂20と、非晶質でTg(Tgはガラス転移温度)が高く高強度のPPE樹脂21等のフェニル基31(あるいはメソゲン基)を有する熱可塑樹脂とを混合し、互いのフェニル基31同士が配向、結晶化させ、更に無機系の無機フィラー23を添加してプリプレグ26とすることで、その高熱伝導性を保ちながらプリント配線基板としての耐力(あるいは割れにくさ)、Tgを改善する。
【選択図】図1

Description

本発明は、放熱が要求されるパワー系の半導体等の各種電子部品を高密度化に実装する際に用いられるプリプレグ及びこれを用いたプリント基板とその製造方法に関するものである。
従来、電子部品実装用のプリント配線基板としては、ガラスエポキシ樹脂からなるプリプレグと銅箔とからなる部材を、複数枚積層するものが知られている。
近年、熱伝導性を高めた結晶性エポキシ樹脂を用いて、熱伝導性を高めるものが各種提案されている。次に図14を用いてその一例を説明する。すなわち図14(A)(B)は、メソゲン基を有する結晶性ポリマーを、磁場を用いて配向させ、熱伝導率を高くしようとするものである(例えば特許文献1参照)。図14(A)(B)は、ともに結晶性エポキシ樹脂に磁場をかけながら硬化させ熱伝導性を高める様子を説明する断面図である。図14(A)(B)において、複数個の磁石1(例えば磁場発生手段としての永久磁石)の間には、点線2で示した磁力線が発生している。そしてこの点線2で示した磁力線の間に、金型3の中にセットしたサンプル4(例えば硬化する前の液体状態の結晶性エポキシ樹脂)を置き、この磁場の中でサンプル4を熱硬化させる。図14(A)はサンプル4に対して垂直な方向に磁場をかける様子を、図14(B)は平行な方向の磁場をかける様子を示す。
しかし元々磁化されにくい結晶性エポキシを配向させるためには、磁束密度5〜10テラスの高磁場中で、温度150〜170℃に加熱した金型3の内部で、10分〜1時間硬化させる等の特殊な処理が必要になる。またこうして形成した結晶性エポキシ樹脂は、熱伝導性や物理強度(例えば曲げ強度)に異方性を有している可能性がある。その結果、こうした結晶性エポキシ樹脂を用いて作製したプリプレグやプリント配線基板は、方向依存性(あるいは異方性)を有してしまうという課題がある。
特開2004−225034号公報
そこで本発明は、方向依存性を生じさせることなく、高熱伝導性と丈夫さとを、両立させることを目的とする。
この目的を達成するために、本発明は、ガラスクロスと、このガラスクロスに含浸させた樹脂体とからなるプリプレグであり、前記樹脂体は、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホンの少なくとも一つを主成分とする熱可塑樹脂と、結晶性エポキシ樹脂と、硬化剤と、からなるプリプレグとするものである。
そしてポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホンの少なくとも一つを主成分とする熱可塑樹脂を用い、この熱可塑性樹脂を元に結晶性エポキシ樹脂を結晶化させ、熱伝導性と丈夫さとを両立させる。つまり硬くて脆い結晶性樹脂の課題を補うために、結晶性樹脂と同様の構造(例えばフェニル基)を有しながらも、ガラス転移温度が高く、重合度が高く、割れにくいと言う特徴を有する熱可塑樹脂を添加し、これらを加熱し溶解することで、熱可塑性のフェニル基と、結晶性エポキシ樹脂のフェニル基とを互いに分子状態で複数方向に向かって配向(あるいは結晶化)させる。
そして熱可塑樹脂を主骨格とし、その主骨格の周囲に結晶性エポキシ樹脂を積極的に配向(あるいは結晶化)させることで、両者の特徴を最大限に引き出そうとするものである。
本発明のプリプレグ及びそれを用いた放熱基板と放熱基板の製造方法によれば、プリプレグ(更にはこのプリプレグを用いたプリント配線基板)として要求される丈夫さ(割れにくさ等)に異方性を生じることなく付与する。また、添加したフェニル基を有する熱可塑性樹脂によって、結晶性エポキシ樹脂の配向性や結晶化を向上させ、高放熱性も向上できる。
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態におけるプリプレグ及びこれを用いたプリント敗戦基板について説明する。まず本発明のプリプレグを用いたプリント配線基板について、図1を用いて説明する。
図1は、実施の形態におけるプリント配線基板の斜視断面図である。図1において、10は配線パターンであり、銅箔等を配線パターン形状に加工したものである。なお図1において、配線パターン10aは表層の配線パターン、配線パターン10bは内層の配線パターンに相当する。11は熱伝導絶縁層であり、後述する図3等で説明するものであり、少なくとも結晶性エポキシ樹脂と、ポリフェニレンエーテル(以下PPEとも呼ぶ。なおPPEはPPO(ポリフェニレンオキサイド)とも呼ばれることがあるが、PPOは、General Electronic Companyの登録商標であるので、本願の中では、ポリフェニレンエーテル(polyphenylene ether)と呼ぶ。なおPPOとPPEとは同じものである)、ポリフェニレンスルフィド(PPSとも呼ばれる)、ポリエーテルスルホン(PESとも呼ばれる)の少なくとも一つを主成分とする熱可塑樹脂と(更に必要に応じて無機フィラーを添加する)からなる熱伝導性材料で構成する。12はガラスクロスであり、熱伝導絶縁層11はガラスクロス12に含浸させ、シート状に加工している。13はビアであり、複数層に形成された配線パターン10の層間を電気的に接続している。14は補助線であり、図1に示すプリント配線基板の表面に形成した配線パターン10の一部を省略する様子を示す。なお図1において、ソルダーレジスト等は図示していない。
次に図2を用いて、図1の放熱基板の放熱メカニズムについて説明する。図2(A)〜(C)は、実施の形態におけるプリント配線基板の放熱効果を説明する断面図及び結果表である。図2(A)(B)において、15は、電子部品であり、電子部品15は、例えばLEDやパワー半導体等の発熱を伴う(あるいは放熱が必要な)電子部品に相当する。
まず図2(A)(B)に示すように、熱伝導絶縁層11とガラスクロス12とからなる絶縁基板の両面に、配線パターン10a〜10dを形成した。そして図2(A)のサンプルでは、配線パターン10a、10bの間に、熱伝導絶縁層11を貫通するように、ビア13を形成した。そして、配線パターン10aの上に、発熱を伴う電子部品15を実装し、更に配線パターン10a〜10dの上に熱伝対をセットし、各々の位置での温度を測定した。なお、配線パターン10a(A点と呼ぶ)はサンプルの中央部であり、電子部品15を実装した位置である。配線パターン10b(B点と呼ぶ)は、配線パターン10aの、裏面に相当する。そして図2(A)のサンプルでは、配線パターン10a(A点)と配線パターン10b(B点)の間には、熱伝導絶縁層11とガラスクロス12とからなる絶縁層が形成されている。また図2(B)のサンプルでは、配線パターン10a(A点)と、配線パターン10b(B点)との間には、ビア13を形成している。
なお配線パターン10c(C点)は、配線パターン10a(A点)と同じ面に設置しており、配線パターン10a(A点)からの距離は35mmとした。また配線パターン10d(D点)は、配線パターン10b(B点)と同じ面に設置しており、配線パターン10b(B点)からの距離は35mmとした。
図2(A)(B)において、電子部品15に電流を流し、発熱させ、その放熱効果を調べた結果を、図2(C)に、測定結果として示す。図2(C)の測定結果において、横枠は実測温度(単位は℃)、温度差(単位は℃)であり、配線パターン10a〜10dに相当するA点からD点での結果を示す。図2(C)の縦枠は、従来品(TH無し、0.4W/(mK))、従来品(TH有り、0.4W/(mK))、発明品A(TH無し、1.1W/(mK))、発明品B(TH無し、4.0W/(mK))である。ここで、従来品としては、市販のFR4のプリプレグ(熱伝導率は、0.4W/(mK))を用いたものであり、TH無し(THはスルーホールでサーマルビアを形成したという意味)とは、図2(A)の構造を示す。また市販品(TH有り)とは、図2(B)に示す構造サンプルであり、A点とB点の間をスルーホールで接続し、サーマルビアを形成したものである。また従来品のスルーホール部分の熱伝導率を測定したところ、81W/(mK)の値が得られた。
図2(C)の測定表において、発明品A、Bとは、図11〜図13で説明する、発明の実施例である。そして発明品Aは1.1W/(mK)、発明品Bは4.0W/(mK)の熱伝導率が実測された。また図2(A)(B)のサンプルの放熱効果の測定雰囲気はRT(室温)であり、サンプルは通電後15分した後の定常状態での測定結果である。なお発明品Aとは、後述する実施例1で作製した試料の一つであり、発明品Bとはこれに無機フィラーを添加したものである。
図2(C)に示した測定表において、A点の温度は、[従来品(TH無し)]≧[従来品(TH有り)]>[発明品A(TH無し)]>[発明品B(TH無し)]となっている。
ここで[従来品(TH無し)]≧[従来品(TH有り)]となっている理由は、THによる放熱効果と考えられる。これは従来品(TH有り)において、[A点の温度(81.0度)]≒[B点の温度(80.8℃)]であることからも判る。また[従来品(TH有り)]>[発明品A]、[発明品B]となる理由は、発明品A、Bの高熱伝導率によるものと考えられる。
更に図2(C)に示した測定結果の温度差(℃)の項目[特に(A点―B点)の温度差]を比較すると、[従来品(TH無し)]>[従来品(TH有り)]>>[発明品A]>[発明品B]であることが判る。このように、発明品A、Bを用いることで、優れた放熱性が得られることが判る。そして発明品A、Bにおける放熱効果とは、一種のヒートスプレッド効果(熱を広範囲に広げる)であることが判る。
次に、本実施の形態におけるプリプレグについて説明する。図3〜図4は、プリプレグの製造方法を説明する図である。図3(A)〜(C)は、熱伝導性樹脂層を構成する熱伝導絶縁材の製造方法の一例を示す模式図である。図3(A)〜(C)において、17は混練装置、18は混練機構、19は溶剤であり、溶剤19は例えば、MEKやシクロペンタノン等のエポキシ樹脂を溶解する有機溶剤である。なお発明者らの実験ではポリフェニレンエーテルはトルエンを用いたが、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン(PES)はN−メチルピロリドンを用いた。こうして樹脂の種類に応じて、溶剤19を選択する。20は結晶性エポキシ樹脂、21はPPE樹脂、22は硬化剤、23は無機フィラーである。なお結晶性エポキシ樹脂20については後述する図8、図9で、PPE樹脂21については図7で説明する。また、硬化触媒や、着色剤、難燃材等を含有していてもよい。
図3(A)〜(C)において混練装置17としては、市販の加熱混練装置17(例えば、プラネタリーミキサーや攪拌機、ホモジナイザー等であり、各作業工程に応じて組み合わせる。また混練機構18は、モーター等を用いた混練機構18を有しており、溶解した樹脂同士を互いに分子レベルで均一化になるように攪拌(あるいは混練)させるものである。また混練機構18の先端には攪拌羽根としてΣ型、Z型、ハイブリッド型等の攪拌羽根をつけても良い。また羽根以外の形状を用いることもできる。また混練装置17はヒーター等で所定温度に加熱できるものを用いる。混練装置17を加熱することで、室温では固体状態であった樹脂材料を、溶剤19に溶解させやすくできる。
まず図3(A)に示すように、混練装置17に、溶剤19を投入し、ここに結晶性エポキシ樹脂20を添加し、前記溶剤19に溶解する。
次に図3(B)に示すように、溶剤19に溶解した結晶性エポキシ樹脂20の中にPPE樹脂21を添加する。
次に図3(C)に示すように、溶剤19に溶解した結晶性エポキシ樹脂20とPPE樹脂21とからなる液状物(あるいは粘稠物)の中に、硬化剤22や、(必要に応じて)無機フィラー23を徐々に(あるいは個別に)添加する。この時、液状物(あるいは粘稠物)の温度を、これら部材の最低液化温度以上(液化状態を保てる最低温度以上、例えば100℃以上)とすることが望ましい。そしてこの最低液化温度以上で、混練装置17にセットした混練機構18(図示していない)を用いてこれら部材を混合(あるいは混練)することで、これら部材を分子状態で均一化させる。
なお硬化剤22の添加時に、混練装置17(あるいはその中にセットした樹脂部材)の温度を一段下げておくことで、添加後の樹脂の熱硬化反応(あるいは経時変化)を抑えることもできる。こうして、熱伝導絶縁材を作製する。
なお硬化剤22の添加は、PPE樹脂21の添加後とする。これは結晶性エポキシ樹脂20への硬化剤22の添加効果(例えば温度変化や硬化開始)の発現を遅らせるためである。
また無機フィラー23としては、アルミナ、窒化アルミ、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素から選ばれた少なくとも1種類からなる無機フィラー23を用いることが望ましい。熱伝導性の高い無機フィラー23を用いることで、熱伝導絶縁材の熱伝導性を更に高めることができる。なお結晶性エポキシ樹脂20等の温度を、その溶解温度以上(例えば50〜200℃)の範囲とすることで、結晶性エポキシ樹脂20の溶融粘度を低く保ち、無機フィラー23の樹脂への均一分散を可能にする。また硬化促進剤や、表面処理剤、着色剤、難燃材等を混入してもよい。
次にプリプレグの製造方法について説明する。図4は、プリプレグの製造方法を模式的に説明する断面図である。図4において、24は熱伝導絶縁材、25は成形装置、26はプリプレグである。熱伝導絶縁材24は、結晶性エポキシ樹脂20と、PPE樹脂21と、硬化剤22と、必要に応じて添加した無機フィラー23等からなるものである。そして図3に示すように、市販のガラスクロス12を、成形装置25にセットし、矢印16aに示す方向に送り、溶剤19や、結晶性エポキシ樹脂20、PPE樹脂21、硬化剤22、無機フィラー23等からなる溶液に含浸させる。なお必要に応じて成形装置25に取り付けたロール等を、矢印16bに回しながら、ガラスクロス12に含浸させる溶液の含浸量を調整する。そして、乾燥機等(図示していない)を用いて、塗布した溶液から溶剤19を除去し、熱伝導絶縁材24とする。こうして熱伝導絶縁材24を含浸させたプリプレグ26を、連続的に作製する。なおプリプレグ26の製造方法はこれに限定されるものではない。なおプリプレグ26を、Bステージ状態(あるいは半硬化状態)に保つことで、図5(A)(B)等で説明する積層工程で、所定枚数積層した状態で加熱硬化させることで、多層プリント配線基板となる。
次にプリプレグ26を用いて、プリント配線基板を作製する様子について、図5(A)(B)を用いて説明する。図5(A)(B)はプリント配線基板の製造方法の一例を説明する断面図である。図5(A)(B)において、27は銅箔、28はフィルムであり、フィルム28はプレス等からなる成形装置25の表面が、熱伝導絶縁材24やプリプレグ26で汚れないようにするものである。
まず図5(A)に示すように、熱伝導絶縁材24と、これを含浸させたガラスクロス12とからなるプリプレグ26の一面以上に銅箔27をセットする。そして、プレス等からなる成形装置25を、矢印16に示すように動かし、プリプレグ26の一面以上に銅箔27を貼り付ける。なお図5(A)(B)において、成形装置25にセットする金型等は図示していない。そして成形装置25を矢印16に示すようにして、これら部材を所定温度、圧力し、一体化する。
その後、図5(B)に示すように成形装置25を矢印16の方向に引き離す。その後、フィルム28を剥がす。このように銅箔27を、プリプレグ26の一面以上に貼り付ける。その後、銅箔27を所定パターンにエッチングし、必要枚数を積層することで、プリント配線基板を作製する。また必要に応じて、メッキや導電性ペーストでビア13を作製する。ビア13はスルーホール構造であってもよい。
次に熱伝導絶縁材24を構成する部材であるPPE樹脂21、結晶性エポキシ樹脂20について個別に説明する。
まず図6〜図7を用いて、PPE樹脂21について説明する。図6は、PPE樹脂の製法の一例を示す構造図である。一般的にPPE樹脂21は有機溶媒を用いたものを使っても良いが、超臨界炭酸ガス等を用いて合成したものも使える。例えば図6において、29はDMP、30はDPQである。DMP29は、2,6ジメチルフェノール(dimethyl phthalate)であり、PPE樹脂21の出発原料となるものである。これをCu等の触媒(catalyst)を用いて、カップリング反応させることで重合させPPE樹脂21を得る。またこの反応の際、副産物としてDPQ30が生成する。DPQ30はジフェノキノン(diphenoquinone)である。この反応時の塩基濃度、温度、攪拌方法等を最適化することで、DPQ30の副生を抑制し、より高分子(望ましくはnが100以上、あるいは分子量3万以上)PPEを合成できる。ここでPPE樹脂21の重合度(n)は、100以上が望ましい。PPE樹脂21の重合度が100未満の場合、配線基板としての物理強度が得られない場合がある。
図7(A)(B)はPPE樹脂の構造式と模式図である。図7(A)(B)において、31はフェニル基である。図7(A)は、PPE樹脂21の構造式である。図7(B)は、非晶質状態のPPE樹脂21の主鎖(あるいはフェニル基31)部分を説明する模式図である。図7(A)に示すように、PPE樹脂21は酸素(O)を介して、フェニル基31が(図7(B)においてフェニル基31は四角で記載)が連続的にフレキシブルな状態で結合している。ここでPPE樹脂21自体は、本質的で非晶質の熱可塑性樹脂であるため、熱伝導率が低い。
こうしたPPE樹脂21は、その主鎖にフェニル基31を多数個(例えばn≧100)規則正しく有している。そして本実施の形態では、規則正しく並んだフェニル基31に注目し、そして後述する図10等で説明するようにフェニル基31を少数(例えば2〜20個)有している結晶性エポキシ樹脂20と、このPPE樹脂21のフェニル基31との間で、互いのフェニル基31同士を配向させ、結晶化させることで熱伝導率を高める。一般的にTg(Tgはガラス転移温度である)を向上させる方法として、網目構造をとりやすい硬化剤22を配合する場合があるが、結晶化が阻害され、高い熱伝導率が得られなかった。そこでPPE樹脂21のフェニル基31(あるいは結晶化に寄与すると思われるメソゲン基部分)と、結晶性エポキシ樹脂20のフェニル基31(あるいはメソゲン基部分)が、互いに共通エレメントであることを積極的に利用し、これらを配向(あるいは結晶化)させる。これにより、結晶性エポキシ樹脂20自体の結晶化度も向上させることができる。
なおPPE樹脂21としては、変性PPE樹脂を選んでも良い。変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)としては、エーテル基(COC)を持った芳香族ポリエーテル樹脂PPEを主体に、スチレン系樹脂(例えばポリスチレン)とのポリマーアロイ等で変性したものを用いることができる。こうした変性を行い、変性PPE樹脂とすることで、その強度を上げると共に、結晶性エポキシ樹脂20との間で架橋点を有しTgを高めることができる。
次に図8を用いて、PPE樹脂21の主鎖を形成するフェニル基31部分と、一種の配向現象を起こさせることで、結晶化を促進させる結晶性エポキシ樹脂20について説明する。
図8(A)(B)、図9(A)〜(F)は、共に結晶性エポキシ樹脂20の一例を示す構造式である。図8(A)において、結晶性エポキシ樹脂20の構造式におけるXは、S(硫黄)もしくはO(酸素)、C(炭素)、なし(短結合)である。またR、R、R、RはCH、H、t−Bu等である。またR〜Rは同じであっても良い。
図8(B)は、結晶性エポキシ樹脂20の硬化に用いる硬化剤の構造図である。図8(B)の構造式においてXは、S(硫黄)、O(酸素)もしくは短結合である。図8(A)の主剤と、図8(B)の硬化剤22を混合し、重合させたものも結晶質エポキシ樹脂とよんでもよい。
なお主剤と硬化剤22の割合は、エポキシ当量から計算する。また硬化剤22として図8(B)以外の硬化剤22を使っても良い。なお結晶性エポキシ樹脂20としては、図9(A)〜(F)に図示したものも使うことができる。
図9(A)〜(F)は、PPE樹脂と結晶化しやすい結晶性エポキシ樹脂20の一例を示す構造図である。このような結晶性エポキシ樹脂20は、融点が50〜121℃程度で、更に溶解粘度も低い(例えば、150℃における粘度は6〜20mPa・s)ため、前述の図3(A)〜(C)の工程において、PPE樹脂21や無機フィラー23を混合、分散させやすい効果が得られる。なおこれら結晶性エポキシ樹脂20の重合度は20以下(更に10以下、望ましくは5以下)が適当である。重合度が20より大きい場合、分子が大きくなりすぎてPPE樹脂21に配向した状態で結晶化しにくくなるためである。
次に図10を用いて、PPE樹脂21と結晶性エポキシ樹脂20および硬化剤22との結晶化メカニズムについて説明する。図10は、PPE樹脂と結晶性エポキシ樹脂20および硬化剤とが互いに結晶化する様子を説明する模式図であり、32は点線である。図10において、PPE樹脂21は、複数個のフェニル基31が酸素(図10ではOで記載)を介して、鎖状に重合している。そしてこのPPE樹脂21を主骨格とし、このPPE樹脂のフェニル基31に、結晶性エポキシ樹脂20のフェニル基31を配向、結晶化させる。図10において、PPE樹脂21のフェニル基31は、長方形で示しているが、これはフェニル基31が一種の板状構造であることを意味する。そして本実施の形態では、フェニル基31が板状構造であることで一定の方向性を有していることを利用し、同じフェニル基31を有した結晶性エポキシ樹脂20を結晶化させる。図10において、点線32がPPE樹脂21のフェニル基31と、結晶性エポキシ樹脂20のフェニル基31が配向し、結晶化している部分を示す。
次にPPE樹脂21と結晶性エポキシ樹脂20および硬化剤22との間で、互いのフェニル基31が結晶化しているかどうかの見分け方について、図11を用いて説明する。
図11は、熱分析結果を示す図である。図11(A)(B)において、X軸は温度(℃)、Y軸は熱膨張係数(相対値)である。また33a〜33cはグラフで、それぞれの測定結果に相当する。
図11(A)は、結晶性エポキシ樹脂20と硬化剤22の反応物の熱機械分析TMA(Thermo mechanical Analysis)を示す。結晶性エポキシ樹脂20と硬化剤22の反応物(グラフ33aで図示)はTg1とTg2の二つの変曲点を有している。これは結晶性エポキシ樹脂20の100%が結晶化していないため起こる現象である。ここでTg1は結晶化していない反応物のTgであり、Tg2は結晶化した部分のTg(結晶性が崩壊する温度)であると思われる。高い熱伝導率が得られるのは結晶化している樹脂部分である。一般的にはTg1を反応物のTgとしていることが多いが、通常のTgと比較して、熱膨張係数の変化量や弾性的な挙動は比較的Tg2まで維持されるが基板としての耐熱温度はTg1で決定される。そこで、本発明の実施の形態で説明するように、高い熱伝導率を得るには、図3(A)〜(C)で説明したように、PPE樹脂21と結晶性エポキシ樹脂20を加熱することによって、主鎖となるPPE樹脂21と結晶性エポキシ樹脂20のフェニル基31同士がマッチングしやすい状態とする。こうして分子状態で互いのフェニル基31同士が重なりやすいようにさせることで、硬化後(更には冷却後の)フェニル基31を有する樹脂部分の熱伝導率を高めることができる。
その結果、PPE樹脂21と結晶性エポキシ樹脂20と硬化剤22の反応物(グラフ33bで図示)のTMAは図11(B)に示すようにTg1の変曲度が小さくなり、熱伝導率も向上する。
ここでTgを向上させる方法として、網目構造をとりやすい硬化剤を配合する方法等があるが、結晶性エポキシ樹脂20の場合、構造的に大きく異なる樹脂を配合すると結晶化が阻害され、高い熱伝導率が得られない場合が多い。
本発明は、従来の課題を解決するもので、結晶性樹脂の硬くて脆い、また、未結晶部分のTgが低いという課題を解決し、結晶性樹脂を用いた放熱基板に高熱伝導性と丈夫さを両立させられる熱伝導性材料及びそれを用いた放熱基板とその製造方法を提供している。
またPPE樹脂21を変性し、エポキシ基を有する熱硬化性の特性を付与すると、結晶性エポキシ樹脂20との間に網目構造の架橋点を有し、Tgが高くなる。
ここで、PPE樹脂21のような熱可塑樹脂と結晶性エポキシ樹脂20および硬化剤22と無機フィラー23とからなる熱伝導性材料の場合、熱可塑樹脂の、分子量を大きくする(あるいは重合度を高める)ことが望ましい。熱可塑樹脂の分子量を大きくする(あるいは重合度を高める)ことによって、できあがった熱伝導性材料の物理的な強度を上げることができる。そのため、熱可塑樹脂の重合度は100以上が望ましい。
一方、発明者らの実験によると、結晶性エポキシ樹脂20および硬化剤22と、PPEのような熱可塑樹脂と、無機フィラー23とからなる熱伝導性材料の場合について、結晶性エポキシ樹脂20の重合度を色々振って実験したところ、結晶性エポキシ樹脂20の重合度をあげるほど、熱伝導率が低下する傾向が得られた。そこで、社内の分析部門の協力も得ながら、色々な手法で結晶性エポキシ樹脂20の結晶化について調べたところ、結晶性エポキシ樹脂20の重合度をあげるほど、熱可塑樹脂との混合状態では結晶性エポキシ樹脂20の結晶化が阻害されることが判った。つまり結晶性エポキシ樹脂20の重合度をあげるほど、できあがった熱伝導性材料内における結晶性エポキシ樹脂20の結晶化が阻害される(特にPPEに隣接した状態での結晶性エポキシ樹脂20の結晶化が阻害される)ことが判った。そして結晶性エポキシ樹脂20の結晶化が阻害される、つまり熱伝導性材料の内部で、結晶化構造が取りにくい、あるいは結晶化構造に寄与しないフリーの長鎖部分が増加することが判った。このような結晶性エポキシ樹脂20の結晶化構造に寄与しないフリーの長鎖部分が増加することによって、熱伝導率が低下することが判った。またこのようなフリーの長鎖部分が増加する結果、できあがった熱伝導性材料のTg(ガラス転移温度)が影響を受けることが判った(結晶化していない樹脂部分のTgの割合が大きくなってしまった)。このように結晶性エポキシ樹脂20の重合度が高すぎる場合、熱伝導性材料自体の熱伝導率が低下する、Tgが低下するという課題が発生することが判った。そして発明者らの実験では、結晶性エポキシ樹脂20の重合度は、20以下(更には10以下、更に望ましくは5以下)で良い結果が得られた。
次にPPE樹脂21と、結晶性エポキシ樹脂20の比率について説明する。全樹脂に対して、PPE樹脂21は3〜20wt%(結晶化エポキシ樹脂+硬化剤22が85〜97wt%)の範囲内が望ましい。PPE樹脂21の割合が3wt%未満の場合、できあがった熱伝導絶縁層11が脆くなる可能性がある。またPPE樹脂21の割合が20wt%を超えると、結晶化エポキシ樹脂の割合が低下するため、できあがった熱伝導絶縁層11の熱伝導率が影響を受ける可能性がある。
なお無機フィラー23と全樹脂(ここで全樹脂とは、PPE樹脂21と結晶性エポキシ樹脂20+(+はプラス)硬化剤22の合計の意味であり、樹脂バインダーに相当する)の比率において、無機フィラー23は50〜95Vol%(樹脂バインダーは50〜5Vol%)の範囲内が望ましい。無機フィラー23の割合が50Vol%未満の場合、熱伝導絶縁材24が硬化してなる熱伝導絶縁層11の熱伝導率が低下する場合がある。また無機フィラー23の割合が95Vol%より大きくなると、PPE樹脂21等の熱伝導樹脂材の成形性に影響を与える場合がある。なおここでwt%は重量%、Vol%は体積%を意味する。
また無機フィラー23の平均粒径は、1μm以上100μm以下の範囲が望ましい。平均粒径が1μm以下になると、比表面積が大きくなり、PPE樹脂21等の熱伝導樹脂材の混練が難しくなり、熱伝導絶縁層11の成形性にも影響を与える場合がある。また100μmを超えると、熱伝導絶縁層11の薄層化が難しくなり、放熱基板としての放熱性に影響を与え、製品の小型化に影響を与える可能性がある。なお無機フィラー23の充填率を増加するために、異なる粒度分布を有する複数種の無機フィラー23を選び、これらを混合して使用しても良い。
なお配線パターン10としては、放熱基板の用途に応じて、配線パターン10の厚みとして0.002〜0.10mmの範囲が必要な場合は銅箔27を、0.10〜1.00mmの範囲が必要な場合はリードフレームをと、互いに使い分けることができる。なおリードフレームの部材としては銅を主体としたもの(例えばタフピッチ銅や無酸素銅等と呼ばれているもの)を用いることが望ましい。銅を主体とすることで、高放熱性と低抵抗性を両立することができる。また配線パターン10の一部分以上を熱伝導絶縁層11に埋めることで、放熱基板における配線パターン10に起因する段差(厚み段差)を低減できる。
ここでプリプレグ26の評価であるが、ガラスクロス12に樹脂を含浸させた状態で特性を評価すると、ガラスクロス12の影響が大きく、ポリフェニレンエーテル(PPE樹脂21)、ポリフェニレンスルフィド(PPS樹脂)、ポリエーテルスルホン(PES)の少なくとも一つを主成分とする熱可塑樹脂と、結晶性エポキシ樹脂20と、硬化剤22と、からなる熱伝導絶縁層11である樹脂部分の単体での特性(割れにくさ、欠けにくさ、耐力等)の評価が難しい場合がある。熱分析(TMA)の測定においてはガラスクロスの熱膨張率が低く、樹脂部分と比較して剛性が高いため、樹脂の特性が見えにくくなる。また、曲げ強度の評価に於いてもガラスクロスの剛性によって正確な測定が行えなくなる。そこで、発明者らは、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド(PPS樹脂)、ポリエーテルスルホンの少なくとも一つを主成分とする熱可塑樹脂と、結晶性エポキシ樹脂20と、硬化剤22と、からなる樹脂部分に対するガラスクロス12の影響を防止するために、熱伝導絶縁層11を構成する樹脂部分単体で評価した。ここで樹脂単体が割れにくければ、ガラスクロス12に含浸させてプリプレグ26(あるいはプリント配線基板)とした後の状態で、割れにくく(耐力がある等)なることは言うまでもない。同様にガラスクロス12に含浸させた状態で熱分析(TMA:Tg測定)を行った場合も、ガラスクロス12の影響を受ける場合がある。そこで樹脂単体の熱分析(TMA:Tg)をより正確に評価するために樹脂単体で行うこととした。なお樹脂単体が割れにくければ、ここに無機フィラー23を添加した場合でも割れにくい(更にはガラスクロス12に含浸させることで、更に割れにくくなる、あるいは高耐力化できる)ことは言うまでもない。
(実施例1)
結晶性エポキシ樹脂20としてジャパンエポキシレジン製「YL6121H」,東都化学製「YSLV−80XY」、硬化剤22として、4−4ジアミノビフェニルエーテル、4−4,ジハイドロキシビフェニル、熱可塑性樹脂としてPPE粉末を用意した。
上記の結晶性エポキシ樹脂20を加熱融解し、硬化剤22とPPE(1〜30Wt%)を混合し攪拌した。比較・測定用試料としてPPEを混合していない試料もあわせて作製している。また、4−4,ジハイドロキシビフェニルを用いた試料は硬化促進剤としてイミダゾールを0.5Wt%添加している。
この混合物を、厚さ500μmにシート成形した。成形後、測定に応じた形状に積層後180℃×2Hourの条件で硬化させ、各種測定を行った。
熱伝導率測定:ブルカーエイエックスエス社製キセノンレーザーフラッシュ
試料サイズ:φ1/2インチ、t1mm
TMA圧縮加重測定:セイコー製
試料サイズ:4mm×4mm×t3mm
破断強度試験:図12参照
図12は、曲げ強度の評価方法の一例を示す模式図である。図12において、34は治具、35はサンプルである。図12において、治具34の間にサンプル35をセットし、矢印16で示す方向に治具34を用いて、サンプル35を曲げる。発明者らの実験では、従来品では1〜2mm曲げた時点で、サンプル35が折れた(割れた)。一方、本発明のサンプル35では、4〜5mm曲げても折れなかった。なお試料サイズ(サンプル35の形状)は、40mm×4mm×t2mmである。YL6121と4−4ジアミノビフェニルの測定結果を(表1)に示す。
Figure 2008120922
PPEを配合することにより20%以下の試料で熱伝導率の向上(=結晶化率の向上)がみられた。また、破断強度試験において試料1、2は表1に示す値で、破断したが、試料3〜7は大きくたわむだけで、今回用いた測定器の範囲では破断しなかった。または破断強度に方向性は観察されなかった。これはポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホンの少なくとも一つを主成分とする熱可塑樹脂を用い、この熱可塑性樹脂を元に結晶性エポキシ樹脂を結晶化させる場合、特に異方性は生じないためと考えられた。
次に、YSLV−80XYとジハイドロキシビフェニルのTMA測定結果を図13(A)〜(C)に示す。図13(A)はPPE配合量0%(グラフ33aで図示)、図13(B)は配合量10%(グラフ33bで図示)である。図13(C)は合成図(グラフ33aとグラフ33bの合成)である。図13(C)をみるとTg1の変曲度が異なっており、PPEの配合により、結晶化度が向上しTg1がほとんどわからないほどになっている。
以上のようにして、ガラスクロス12と、このガラスクロス12に含浸させた樹脂体とからなるプリプレグ26であり、前記樹脂体は、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)の少なくとも一つを主成分とする熱可塑樹脂と、結晶性エポキシ樹脂20と、硬化剤22と、からなるプリプレグ26を提供することで、プリプレグ26に高放熱性(あるいは高熱伝導化)や、曲がった場合での割れにくさ(耐力、あるいは欠けにくさも含む)を、異方性を生じることなく付与したプリプレグ26やこれを用いたプリント配線基板を提供でき、各種電子機器の信頼性を高めることができる。
またガラスクロス12と、このガラスクロス12に含浸させた樹脂体と、からなるプリプレグであり、前記樹脂体は、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホンの少なくとも一つを主成分とする熱可塑樹脂と、結晶性エポキシ樹脂20と、硬化剤22と、無機フィラー23と、からなるプリプレグ26とすることで、プリプレグ26に高放熱性(あるいは高熱伝導化)や、曲がった場合での割れにくさ(耐力、あるいは欠けにくさも含む)を、異方性を生じることなく付与したプリプレグ26やこれを用いたプリント配線基板を提供でき、各種電子機器の信頼性を高めることができる。
また前記結晶性エポキシ樹脂20として、最適な構造式を提案することによって、より具体的なプリプレグ26の高放熱化(あるいは高熱伝導化)と、曲がった場合での割れにくさ(耐力、あるいは欠けにくさも含む)を両立できるプリプレグ26やこれを用いたプリント配線基板を提供でき、各種電子機器の信頼性を高めることができる。
またポリフェニレンエーテル(PPE樹脂21)は、変成ポリフェニレンエーテルを含んでいるプリプレグ26とすることで、プリプレグ26の高放熱化(あるいは高熱伝導化)と、曲がった場合での割れにくさ(耐力、あるいは欠けにくさも含む)を両立できるプリプレグ26やこれを用いたプリント配線基板を提供でき、各種電子機器の信頼性を高めることができる。
また結晶性エポキシ樹脂20の重合度は20以下とすることで、具体的なプリプレグ26の高放熱化(あるいは高熱伝導化)と、曲がった場合での割れにくさ(耐力、あるいは欠けにくさも含む)を両立できるプリプレグ26やこれを用いたプリント配線基板を提供でき、各種電子機器の信頼性を高めることができる。
更に熱可塑樹脂の重合度は100以上とすることで、具体的なプリプレグ26の高放熱化(あるいは高熱伝導化)と、曲がった場合での割れにくさ(耐力、あるいは欠けにくさも含む)を両立できるプリプレグ26やこれを用いたプリント配線基板を提供でき、各種電子機器の信頼性を高めることができる。
またポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホンの少なくとも一つを主成分とする熱可塑樹脂と、結晶性エポキシ樹脂20と、硬化剤22と、無機フィラー23と、ガラスクロス12とからなるプリプレグ26における、無機フィラー23は、アルミナ、窒化アルミ、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素から選ばれた少なくとも1種類以上からなる無機フィラーとすることで、プリプレグ26の熱伝導性を更に高めることができる。
また溶剤19の中に、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホンの少なくとも一つを主成分とする熱可塑樹脂と、結晶性エポキシ樹脂20と、硬化剤22と、を溶解させた後、ガラスクロス12に含浸させるプリプレグ26の製造方法によって、放熱性の高いプリプレグ26を安定して連続に製造することができる。
また結晶性エポキシ樹脂20と、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホンの少なくとも一つを主成分とする樹脂と、硬化剤22と、無機フィラー23と、ガラスクロス12と、からなるプリプレグ26と、前記プリプレグ26に接着された銅箔27と、が複数枚積層、硬化してなるプリント配線基板を提供することで、高放熱性と丈夫さ(割れにくさ等)を両立するプリント配線基板を実現することで、各種電子部品の実装性や機器への組込みやすさを改善できる。
少なくとも、結晶性エポキシ樹脂20と、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホンの少なくとも一つを主成分とする熱可塑樹脂と、硬化剤22と、無機フィラー23と、ガラスクロス12と、溶剤19と、からなる部材をガラスクロス12に含浸、乾燥させプリプレグ26とする工程と、前記プレプリグの少なくとも片面以上に銅箔27を形成する工程と、前記銅箔27を所定パターンに加工する工程と、前記プリプレグ26を前記パターン化された銅箔27と共に複数枚積層した後、硬化する工程と、を含むプリント配線基板の製造方法を提供することで、高放熱性と丈夫さ(割れにくさ等)を有するプリント配線基板を安定して製造できる。
以上のように、本発明に係るプリプレグ26とプリプレグ26の製造方法及びそれを用いたプリント配線基板とその製造方法によって、PDPテレビ(PDPはプラズマディスプレイパネル)の電源回路や、液晶テレビの発光ダイオードを用いたバックライトのような放熱性が必要な機器の小型化、低コスト化が可能となる。
実施の形態におけるプリント配線基板の斜視断面図 (A)〜(C)は、ともに実施の形態におけるプリント配線基板の放熱効果を説明する断面図及びその結果を示す図 (A)〜(C)は、それぞれ熱伝導性樹脂層を構成する熱伝導絶縁材の製造方法の一例を示す模式図 プリプレグの製造方法を模式的に説明する断面図 (A)(B)は、ともにプリント配線基板の製造方法の一例を説明する断面図 PPE樹脂の製法の一例を示す構造図 (A)(B)は、それぞれPPE樹脂の構造式と模式図 (A)(B)は、ともに結晶性エポキシ樹脂の一例を示す構造式の図 (A)〜(F)は、それぞれ結晶性エポキシ樹脂の一例を示す構造式の図 PPE樹脂と結晶性エポキシ樹脂および硬化剤とが互いに結晶化する様子を説明する模式図 (A)(B)は、熱分析結果を示す図 曲げ強度の評価方法の一例を示す模式図 (A)〜(C)は、TMA測定結果を示す図 (A)(B)は、ともに結晶性エポキシ樹脂に磁場をかけながら硬化させ熱伝導性を高める様子を説明する断面図
符号の説明
10 配線パターン
11 熱伝導絶縁層
12 ガラスクロス
13 ビア
14 補助線
15 電子部品
16 矢印
17 混練装置
18 混練機構
19 溶剤
20 結晶性エポキシ樹脂
21 PPE樹脂
22 硬化剤
23 無機フィラー
24 熱伝導絶縁材
25 成形装置
26 プリプレグ
27 銅箔
28 フィルム
29 DMP
30 DPQ
31 フェニル基
32 点線
33 グラフ
34 治具
35 サンプル

Claims (10)

  1. ガラスクロスと、
    このガラスクロスに含浸させた樹脂体とからなるプリプレグであり、
    前記樹脂体は、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホンの少なくとも一つを主成分とする熱可塑樹脂と、
    結晶性エポキシ樹脂と、
    硬化剤と、からなるプリプレグ。
  2. ガラスクロスと、
    このガラスクロスに含浸させた樹脂体と、からなるプリプレグであり、
    前記樹脂体は、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホンの少なくとも一つを主成分とする熱可塑樹脂と、
    結晶性エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機フィラーと、からなるプリプレグ。
  3. 前記結晶性エポキシ樹脂が以下の構造式である請求項1もしくは2記載のプリプレグ。
    Figure 2008120922
  4. ポリフェニレンエーテルは、変成ポリフェニレンエーテルを含んでいる請求項1もしくは2記載のプリプレグ。
  5. 結晶性エポキシ樹脂の重合度は20以下である請求項1もしくは2記載のプリプレグ。
  6. 熱可塑樹脂の重合度は100以上である請求項1もしくは2記載のプリプレグ。
  7. 無機フィラーは、アルミナ、窒化アルミ、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素から選ばれた少なくとも1種類以上からなる無機フィラーである請求項2記載のプリプレグ。
  8. 溶剤中に、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホンの少なくとも一つを主成分とする熱可塑樹脂と、
    結晶性エポキシ樹脂と、
    硬化剤と、を溶解させた後、
    ガラスクロスに含浸させるプリプレグの製造方法。
  9. 結晶性エポキシ樹脂と、
    ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホンの少なくとも一つを主成分とする樹脂と、
    硬化剤と、
    無機フィラーと、
    ガラスクロスと、からなる少なくとも1層の絶縁層と、
    前記絶縁層の少なくとも片面に配線パターンを形成した回路基板。
  10. 少なくとも、
    結晶性エポキシ樹脂と、
    ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホンの少なくとも一つを主成分とする熱可塑樹脂と、
    硬化剤と、
    無機フィラーと、
    溶剤と、からなる部材をガラスクロスに含浸、乾燥させプリプレグとする工程と、
    前記プレプリグの少なくとも片面以上に銅箔を形成する工程と、
    前記銅箔を所定パターンに加工する工程と、
    前記プリプレグを前記パターン化された銅箔と共に複数枚積層した後、硬化する工程と、を含むプリント配線基板の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014205774A (ja) * 2013-04-12 2014-10-30 Dic株式会社 変性ポリアリーレンエーテル樹脂、エポキシ樹脂組成物、その硬化物、プリプレグ、回路基板、及びビルドアップフィルム

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