JP2008277507A - 熱放射性プリント配線板及びその製造方法とこれを用いたモジュール - Google Patents

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幸博 島▲崎▼
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Abstract

【課題】従来のプリント配線板の場合、その上に実装した電子部品に発生した熱は、プリント配線板に貼り付けたシャーシや放熱用のフィンを介して、外部に放出していた。
【解決手段】プリント配線板の絶縁層に、熱伝導性と、放射率の高い放射絶縁層12を用いることで、プリント配線板の上に実装した電子部品16に発生した熱を、プリント配線板全体から、外部に放射(あるいは輻射)することで、プリント配線板やその上に実装した電子部品16を冷却する。
【選択図】図1

Description

本発明は、放熱が要求されるパワー系や高機能な半導体等の各種電子部品を高密度化に実装する際に用いられる熱放射性プリント配線板及びその製造方法とこれを用いたモジュールに関するものである。
従来、電子部品実装用のプリント配線板としては、ガラスエポキシ樹脂からなるプリプレグと銅箔とからなる部材を、複数枚積層するものが知られている。更に携帯電話や車載用のモジュール(あるいはプリント配線板)には、発熱が課題となるものが多く、高放熱性を有するプリント配線板が求められる。
近年、熱伝導性を高めた結晶性エポキシ樹脂を用いて、熱伝導性を高めるものが各種提案されている。次に図13を用いてその一例を説明する。すなわち図13(A)(B)は、メソゲン基を有する結晶性ポリマーを、磁場を用いて配向させ、熱伝導率を高くしようとするものである(例えば特許文献1参照)。図13(A)(B)は、共に結晶性エポキシ樹脂に磁場をかけながら硬化させ熱伝導性を高める様子を説明する断面図である。図13(A)(B)において、複数個の磁石1(例えば磁場発生手段としての永久磁石)の間には、点線2で示した磁力線が発生している。そしてこの点線2で示した磁力線の間に、金型3の中にセットした樹脂4(例えば硬化する前の液体状態の結晶性エポキシ樹脂)を置き、この磁場の中で樹脂4を熱硬化させる。図13(A)は樹脂4に対して垂直な方向に磁場をかける様子を、図13(B)は平行な方向の磁場をかける様子を示す。
しかし元々磁化されにくい結晶性エポキシを配向させるためには、磁束密度5〜10テラスの高磁場中で、温度150〜170℃に加熱した金型3の内部で、10分〜1時間硬化させる等の特殊な処理が必要になる。またこうして形成した結晶性エポキシ樹脂は、熱伝導性や物理強度(例えば曲げ強度)に異方性を有している可能性がある。その結果、こうした結晶性エポキシ樹脂を用いて作製したプリプレグやプリント配線板は、方向依存性(あるいは異方性)を有してしまうという課題がある。
しかしこうした熱伝導性の高いプリント配線板に、放熱が必要な電子部品を高密度に多数実装した場合、これらの熱は、プリント配線板の熱伝導性を活かして外部に(例えば、シャーシやヒートシンク等)放熱する必要がある。
また特許文献2等では、ガラスエポキシ基材に形成した孔の中に、赤外線熱放射性の高い絶縁層を充填することが、提案されているが、プリント配線板全体での放熱まで行うことは難しい。
特開2004−225054号公報 特開2005−228860号公報
このように従来のプリント配線板の場合、その熱伝導した熱の放熱手段を付加しないと、プリント配線板全体に篭った熱を外部に放出することが難しかった。
そこで本発明は、半導体等の電子部品に発生した熱を、プリント配線板に伝え、ヒートシンク等の放熱手段を使わずとも、プリント配線板から外部に、直接放射させることによって、電子部品やプリント配線板の冷却を行うことを目的とする。
この目的を達成するために、本発明は、少なくとも複数層の銅配線と、前記銅配線を内部もしくは表面に形成した絶縁体と、前記複数層の銅配線を接続するビアとからなるプリント配線板であって、前記絶縁体は、273K〜400Kの温度範囲において熱伝導率が1.0W/(mK)以上20.0W/(mK)以下、波長5.0〜8.0μmの放射率が0.60以上0.99以下である熱放射性プリント配線板とするものである。
本発明の熱放射性プリント配線板とその製造方法によれば、熱放射性プリント配線板の一部を構成する絶縁層として、熱伝導性と熱放射性の両方に優れる部材を選ぶことによって、その表面に実装した電子部品等に発生した熱を、熱放射性プリント配線板全体に広げると共に、熱放射性プリント配線板全体から外部へ熱輻射することができ、電子部品等の冷却を行うことができる。
そして本発明の熱放射性プリント配線板を用いることで、電子部品等を高密度実装することができ、液晶テレビやプラズマTV、各種電子機器の小型化、高性能化が可能となる。
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態における熱放射性プリント配線板について説明する。図1は、実施の形態における熱放射性プリント配線板の斜視断面図である。図1において、11a、11bは配線パターンとなる銅配線であり、銅箔等を配線パターン形状に加工したものである。なお図1において、銅配線11aは表層の配線パターン、銅配線11bは内層の配線パターンに相当する。12は放射絶縁層である。13はガラスクロスであり、放射絶縁層12の一部をガラスクロス13とすることで、シート状態としている。14はビアであり、複数層に形成された銅配線11の層間を電気的に接続している。15は補助線であり、図1に示すプリント配線板の表面に形成した銅配線11の一部を省略する様子を示す。なお図1において、ソルダーレジスト等は図示していない。
図1に示すように本発明の熱放射性プリント配線板は、少なくとも複数層の銅配線11と、前記銅配線11を内部もしくは表面に形成した絶縁体(例えば放射絶縁層12)と、前記複数層の銅配線11を接続するビア14とからなるプリント配線板であって、前記絶縁体は、273K〜400Kの温度範囲において熱伝導率が1.0W/(mK)以上20.0W/(mK)以下、波長5.0〜8.0μmの放射率が0.60以上0.99以下である熱放射性プリント配線板としたものである。
次に図2を用いて、図1の熱放射性プリント配線板の熱放射メカニズムについて説明する。図2(A)(B)は、それぞれ本発明の熱放射性プリント配線板の放熱効果を説明する断面図及び熱放射特性の一例を示す図である。図2(A)(B)において、16はパワー半導体等の発熱性(あるいは放熱が必要な)の電子部品である。また17a、17bは矢印である。図2(A)は、熱放射性プリント配線板の断面図である。図2(A)において、熱放射性プリント配線板は、一部にガラスクロス13を有する放射絶縁層12から構成されている。またその表層や内層には銅配線11やビア14(図2(A)においてビア14は図示していない。)が形成されている。
図2(A)における矢印17aは、熱放射性プリント配線板の上に(あるいは銅配線11に)実装した電子部品16の熱が、銅配線11を介して熱放射性プリント配線板全体に広がる様子を示す。そして矢印17aのように熱放射性プリント配線板全体に広がった熱を、矢印17bに示すように、熱放射性プリント配線板から、外部へ熱放射する。
図2(B)は、熱放射性プリント配線板に用いる放射絶縁層12の放射特性の一例を示すものである。図2(B)において、X軸は波長(単位はμm、右に行くほど長波長となる)。Y軸は放射率(単位は無い。上に行くほど放射率が高くなる。なお放射率の上限値は1である)。図2(B)において、補助線15Aは、放射絶縁層12の放射特性の一例を示すものである。
一般的に黒体輻射は、ステファン−ボルツマン(Stephan-Boltzman's Law)等で示される。しかし、どれだけの熱量が外部に放射させるかは、基材の放射率に依存する。これは沸騰した水の入った金属製のやかんに手を近づけてもその熱を感じない(放射率が低い)のに比べ、手のひら(約35℃)を体に近づけるとその熱を感じる(手のひらの放射率が0.9と高い)のと同じである。
この発明者らは、この原理を積極的にプリント配線板の放熱に利用することによって、プリント配線板(あるいはその上に実装した電子部品16)に発生した熱を外部に放射することとした。更に言えば本実施の熱放射性プリント配線板は、比較的低い温度(例えば273K以上400K以下)に限定した温度域における放射率を、高めることでその冷却効率を最大とする。発明者らの測定によると、ガラスクロス13の熱放射性は、0.2〜0.5と低かった。そのためここに熱放射性を高めるため、セラミック部材(例えば、酸化チタンを選ぶと放射率0.9が可能)を添加する。また樹脂としては、後述するような結晶性エポキシ樹脂を用い、その放射率を高める。
なおこれらの放射率を測定する温度範囲は、273K以上400K以下が望ましい。これは273K未満の場合、電子部品16の放熱が課題になる可能性が少ない。また400Kを超える場合、電子部品16そのものや、これを使った電子機器自体の信頼性等に影響を与える可能性が有るためである。
ここで放射絶縁層12の放射は、波長5.0以上8.0μm以下での放射率は0.60以上0.99以下が望ましい。波長5.0〜8.0μmの領域とすることで、空気中の水蒸気が吸収しやすくなるため効果的に熱を空気中に拡散できる。コンピュータのCPU等の冷却に用いられるファンと組み合わせることで更に冷却効果を高めることができる。なお波長5.0〜8.0μmの領域全てにおいて、放射率を0.60以上とする必要は無い。これは空気中の水分等の効果が局部的(あるいは特定の波長域で)であるためである。そのため波長5.0〜8.0μmの領域の半分以上(望ましくは80%以上、更に望ましくは90%以上)において、放射率が0.60以上0.99以下であれば良い。
また放射絶縁層12の放射は、波長4.0μm以上14.0μm以下で、放射率が0.70以上0.99以下とすることも効果的である。これは波長4.0〜14.0μmの領域は、400K程度の黒体から最も放射される波長領域なので、効果的に熱を赤外線に変換して、外部に放射することができるためである。なお波長4.0〜14.0μmの領域全てにおいて、放射率を0.70以上とする必要は無い。これは回路の動作状態等によって温度の影響を受ける可能性があるためである。そのためは波長4.0μm以上14.0μm以下の領域の半分以上(望ましくは80%以上、更に望ましくは90%以上)において、放射率が0.70以上0.99以下であれば良い。なお放射絶縁層12は、前述のように特定の温度範囲において、特定の放射率を有したものであるが、更に特定の熱伝導性を有したものとすることが望ましい。
これは熱伝導と放射率を併用することで、その放熱効果を高めることができる。
なお放射絶縁層12の熱伝導率は、273K以上400K以下の温度範囲において、1.0W/(mK)以上20.0W/(mK)以下が望ましい。熱伝導率が1.0W/(mK)未満の場合、後述する図5等で説明するように電子部品16に発生した熱からの熱放射が局所的な部分に限定されてしまう。熱伝導率を1.0W/(mK)以上(望ましくは1.1W/(mK)以上)とすることで、電子部品16に発生した熱を、プリント配線板全体に広げることができ、プリント配線板全体から熱放射を行うことができ、その放熱効果を高めることができる。なお熱伝導率が20.0W/(mK)を越そうとするには、無機フィラーとして特殊で高価なものを用いる必要があり、実用的でない場合がある。
次に、プリント配線板の熱放射性を高める効果について、図3を用いて説明する。図3(A)〜(D)は、それぞれプリント配線板の断面図と温度測定の一例を示す図である。図3において、18は銅箔、19は熱伝導率が1.0W/(mK)未満の低放射絶縁体、20は熱伝導率が、1.0W/(mK)以上20.0W/(mK)以下である高放射絶縁体である。図3(A)で示すサンプルAは、従来のプリント配線板(表面に銅箔18有り)の断面図であり、低放射絶縁体19がガラスクロス13に含浸され、その表面を銅箔18で覆ったものである。図3(B)に示すサンプルBは、低放射絶縁体19を用いたサンプル(銅箔18無し)の断面図であり、図3(A)の銅箔18が無いものに相当する。図3(C)で示すサンプルCは、実施の形態における熱放射性プリント配線板に用いる放射絶縁層12を用いたサンプル(銅箔18無し)の断面図であり、高放射絶縁体20をガラスクロス13に含浸させたものである。
図3(D)は、図3(A)〜(C)に示したサンプル(サンプルA〜C)を長時間一定温度に加熱した後(例えば100℃)に加熱した後、空中に保持した状態で自然冷却(雰囲気温度は室温)させた場合の温度変化の様子を測定した一例である。図3(D)において、X軸は放置時間(単位は任意)、Yはサンプルの温度(単位は℃)である。
図3(D)において、サンプルAとサンプルBを比較すると、サンプルAの方が、放置時間に対する温度変化が少ない。これは、サンプルAは図3(A)に示すようにその表面が銅箔18で覆われており、銅箔18の熱放射率が極めて低い(前述したように、沸騰中の水が入ったやかんに手のひらを近づけても、熱く感じにくいことと同じ現象と考えられる)ためである。
また図3(D)において、サンプルBとサンプルC(共に銅箔18無し)を比較すると、サンプルCの方が、サンプルBより早く温度が低下している。これはサンプルCに用いた高放射絶縁体20の熱放射率が、サンプルBに用いた低放射絶縁体19よりも高いためである。このように、プリント配線板に用いる絶縁層として、放射率の高いもの(例えば、高放射絶縁体20や、これを用いて作製した放射絶縁層12)を用いることで、その冷却特性を高める。
次に、プリント配線板に用いる絶縁層として、放射率と共に熱伝導率も高いものを用いる効果について、図4を用いて説明する。図4(A)(B)は、共に実施の形態におけるプリント配線板の放熱効果を説明する断面図である。図4(A)(B)において、電子部品16は、例えばLEDやパワー半導体等の発熱を伴う(あるいは放熱が必要な)電子部品16に相当する。
まず図4(A)(B)に示すように、放射絶縁層12の一部にガラスクロス13を有する絶縁基板(あるいは両面プリント配線板)の両面に、銅配線11a〜11dを形成した。そして図4(B)のサンプルでは、銅配線11a、11bの間に、放射絶縁層12を貫通するように、ビア14を形成した。そして、銅配線11aの上に、発熱を伴う電子部品16を実装し、更に銅配線11a〜11dの上に熱伝対をセットし、各々の位置での温度を測定した。なお、銅配線11a(A点と呼ぶ)のサンプルの中央部であり、電子部品16を実装した位置である。銅配線11b(B点と呼ぶ)は、銅配線11aの、裏面に相当する。そして図4(A)のサンプルでは、銅配線11a(A点)と銅配線11b(B点)の間には、放射絶縁層12の一部にガラスクロス13とからなる絶縁層が形成されている。また図4(B)のサンプルでは、銅配線11a(A点)と、銅配線11b(B点)との間には、ビア14を形成している。
なお銅配線11c(C点)は、銅配線11a(A点)と同じ面に設置しており、銅配線11a(A点)からの距離は35mmとした。また銅配線11d(D点)は、銅配線11b(B点)と同じ面に設置しており、銅配線11b(B点)からの距離は35mmとした。
図4(A)(B)において、電子部品16に電流を流し、発熱させ、その放熱効果を調べた結果を、(表1)に、測定結果として示す。(表1)の測定結果において、横枠は実測温度(単位は℃)、温度差(単位は℃)であり、銅配線11a〜11dに相当するA点からD点での結果を示す。(表1)の縦枠は、従来品(TH無し、0.4W/(mK))、従来品(TH有り、0.4W/(mK))、発明品A(TH無し、1.1W/(mK))、発明品B(TH無し、4.0W/(mK))である。ここで、従来品としては、市販のFR4のプリプレグ(熱伝導率は、0.4W/(mK))を用いたものであり、TH無し(THはスルーホールでサーマルビアを形成したという意味)とは、図4(A)の構造を示す。また市販品(TH有り)とは、図4(B)に示す構造サンプルであり、A点とB点の間をスルーホールで接続し、サーマルビアを形成したものである。また従来品のスルーホール部分の熱伝導率を測定したところ、81W/(mK)の値が得られた。
Figure 2008277507
(表1)の測定結果において、発明品A、Bとは、後述する図6〜図9等で説明するサンプルに相当する。なお発明品Aは1.1W/(mK)、発明品Bは4.0W/(mK)の熱伝導率が実測された。また図4(A)(B)のサンプルの放熱効果の測定雰囲気はRT(室温)であり、サンプルは通電後16分した後の定常状態での測定結果である。なお発明品Aとは、後述する実施例1で作製した試料の一つであり、発明品Bとはこれに無機フィラーを添加したものである。
(表1)に示した測定結果において、A点の温度は、[従来品(TH無し)]≧[従来品(TH有り)]>[発明品A(TH無し)]>[発明品B(TH無し)]となっている。
ここで[従来品(TH無し)]≧[従来品(TH有り)]となっている理由は、THによる放熱効果と考えられる。これは従来品(TH有り)において、[A点の温度(81.0度)]≒[B点の温度(80.8℃)]であることからも判る。また[従来品(TH有り)]>[発明品A]、[発明品B]となる理由は、発明品A、Bの高熱伝導率によるものと考えられる。
更に(表1)に示した測定結果の温度差(℃)の項目[特に(A点−B点)の温度差]を比較すると、[従来品(TH無し)]>[従来品(TH有り)]>>[発明品A]>[発明品B]であることが判る。そして発明品A、Bにおける放熱効果とは、一種のヒートスプレッド効果(熱を広範囲に広げる)であることが判る。そしてこのヒートスプレッド効果と、熱放射性を併用する効果について、図5を用いて説明する。
図5(A)(B)は、それぞれプリント配線板からの熱放射を説明する断面図とその測定結果の一例について説明する図である。
図5(A)は、プリント配線板の断面図であり、例えば放射絶縁層12として、熱伝導率の高い高放射絶縁体20を用いた場合の効果を示している。図5(A)において、パワー半導体等の電子部品16に発生した熱は、矢印17aに示すように銅配線11を介して放射絶縁層12全体に広がる。そして、矢印17bに示すように、熱放射(あるいは熱輻射)として、基板全体から外部に放射される。ここで放射絶縁層12に、熱伝導性の高い素材を選ぶことで、発熱部(例えば電子部品16)の近辺だけでなく、プリント配線板全体(例えば電子部品16から離れた部分でも)からも、熱放射を行うことができる。
図5(B)は、放射強度の測定の一例を示す図であり、X軸は発熱部(例えば電子部品16からの距離)を示す(単位は任意)、Y軸は放射強度(単位は任意)を示す。図5(B)において、サンプルDは、熱伝導率が0.4W/(mK)の低放射絶縁体19を用いたプリント配線板、サンプルEは熱伝導率4.0W/(mK)の放射絶縁層12を用いたプリント配線板である。図5(B)から、サンプルDに比べ、サンプルEの方が、発熱部から遠く離れた位置での放射強度が高いことが判る。これはサンプルEでは、放射絶縁層12に熱伝導率の高い材料を用いることで、プリント配線板の発熱部(例えば電子部品16)から遠く離れた位置まで、その熱が伝わり、そして遠く離れた位置でも(図5(A)の矢印17bの高さが少しずつ低くなるように図示しているように)、その放射強度が低下しながらも、その熱を外部に放射(あるいは輻射)する。また図5(A)の矢印17bに示すように、その電子部品16の実装していない面(いわゆる裏面)側からも、同様に放射することができ、放熱効果を高める。
以上のように、放射絶縁層12として熱伝導率の高い材料を選ぶことで、プリント配線板の全面から(あるいは発熱部から離れた部分から)、熱放射を行うことができ、その冷却効果を高める。
次に、本実施の形態における熱放射プリント配線板の製造方法の一例について図6〜図8を用いて説明する。図6は、本発明の熱放射プリント配線板に使うプリプレグの製造方法を模式的に説明する断面図である。図6において、21は成形装置、22はプリプレグである。高放射絶縁体20は、例えば、結晶性エポキシ樹脂と、硬化剤と、必要に応じて添加した無機フィラー、有機溶剤等からなるものである。そして図6に示すように、市販のガラスクロス13を、成形装置21にセットし、矢印17aに示す方向に送り、高放射絶縁体20を含浸させる。なお必要に応じて成形装置21に取り付けたロール等を、矢印17bに回しながら、ガラスクロス13に含浸させる高放射絶縁体20の含浸量を調整する。そして、乾燥機等(図示していない)を用いて、溶剤等を除去する。こうして高放射絶縁体20を含浸させたプリプレグ22を、連続的に作製する。なおプリプレグ22の製造方法はこれに限定されるものではない。
次にプリプレグ22を用いて、プリント配線板を作製する工程の一部について、図7(A)(B)を用いて説明する。図7(A)(B)はプリプレグ22に銅箔を固定(あるいは一体化)する方法の一例を説明する断面図である。
まず図7(A)に示すように、高放射絶縁体20と、これを含浸させたガラスクロス13からなるプリプレグ22の一面以上に銅箔18をセットする。そして、プレス等からなる成形装置21を、矢印17に示すように動かし、プリプレグ22の一面以上に銅箔18を貼り付ける。なお図7(A)(B)において、成形装置21にセットする金型等は図示していない。そして成形装置21を矢印17に示すようにして、これら部材を所定温度、圧力し、一体化する。その後、図7(B)に示すように成形装置21を矢印17の方向に引き離す。
このようにプリプレグ22の一面以上に銅箔18を貼り付けた状態で、硬化し放射絶縁層12とする。その後、銅箔18を所定パターンにエッチングし、必要枚数を積層することで、プリント配線板を作製する。また必要に応じて、メッキや導電性ペーストでビア14を作製する。ビア14はスルーホール構造であってもよい。なおプリプレグ22を用いたプリント配線板(例えば、多層プリント配線板)の製造方法については、一般的に知られたものを利用することができる。
次に図8を用いて、273K〜400Kの温度範囲において熱伝導率が1.0W/(mK)以上20.0W/(mK)以下、波長5.0〜8.0μmの放射率が0.60以上0.99以下である放射絶縁層12と銅箔18もしくは銅配線11とからなる積層体にドリルで孔加工を行う工程と、前記積層体表面に銅配線11を形成する工程と、を含む熱放射性プリント配線板の製造方法について説明する。図8(A)〜(C)は、共に熱放射性プリント配線板の製造方法の一例を説明する断面図である。図8(A)〜(C)において、23は孔、24はスルーホールめっきである。まず図8(A)に示すように、表面に銅配線11を形成した放射絶縁層12の両面にプリプレグ22をセットし、更にその上下を銅箔18で挟むようにして、プレス装置(図示していない)にセットする。そしてプレス装置で、これらを加圧加熱し、一体化する。その後、所定位置にドリル等を用いて孔23を形成し、図8(B)の状態とする。その後、孔23等にスルーホールめっき24を行い、熱放射性プリント配線板として完成させる。
なお、放射絶縁層12は、273K〜400Kの温度範囲においての熱伝導率は1.0W/(mK)以上20.0W/(mK)以下、波長4.0〜14.0μmの放射率が0.70以上0.99以下のものを用いても良い。
次にプリプレグ22の状態で、孔23を形成する製造方法について図9〜図11を用いて説明する。
例えば、プリプレグ22にレーザーでビア14に相当する孔23を形成する工程と、前記孔23に導電性ペースト26を充填する工程と、前記プリプレグ22と銅箔18を一体化する工程と、前記プリプレグ22を硬化して273K〜400Kの温度範囲において熱伝導率が1.0W/(mK)以上20.0W/(mK)以下、波長5.0〜8.0μmの放射率が0.60以上0.99以下の放射絶縁層12とする工程と、前記銅箔18をパターニングし、銅配線11を形成する工程と、を含むことでも、熱放射性プリント配線板を製造することができる。
更に詳しく説明する。図9〜図11は、熱放射性プリント配線板の製造方法の一例を説明する断面図である。
図9(A)〜(C)は、共にプリプレグ22に形成した孔23に導電性ペースト26を充填する様子を説明する断面図である。図9(A)〜(C)において、25はフィルム、26は導電性ペーストである。
図9(A)は、プリプレグ22の両面にフィルム25を貼り付けた様子を説明する断面図である。そして、ここにレーザーを用いて孔23を形成し、図9(B)の状態とする。その後、導電性ペースト26を孔23の中に充填し、図9(C)の状態とする。その後、図9(D)に示すように、フィルム25を剥離する。
図10(A)〜(C)は、共にプリプレグ22と銅箔18を一体化した状態で、放射絶縁層12を形成する様子を説明する断面図である。
図10(A)に示すように、プリプレグ22の両面に銅箔18をセットする。その後、矢印17に示すように、これらをプレス装置(図示していない)で加熱加圧し、一体化し、放射絶縁層12とする。その後、図10(C)に示すように、銅箔18をエッチングし、銅配線11とする。
図11(A)〜(C)は、共に積層工程を説明する断面図である。図11(A)に示すように、表面に銅配線11を形成した放射絶縁層12の両面に、プリプレグ22や銅箔18をセットする。そして矢印17に示すようにこれらをプレス装置(図示していない)で、加熱加圧し一体化する。こうして図11(B)に示す状態とする。その後、必要部にレーザー等で孔23を形成し、更に銅箔18をエッチングし、銅配線11を形成し、スルーホールめっき24を行うことで、図11(C)に示すような熱放射性プリント配線板を製造する。
なおこれらの工程は、その生産性の最適化のために、工程順番を前後に入れ替えることも可能である。
次に高放射絶縁体20(これをガラスクロス13に含浸し放射絶縁層12を形成する)に用いる部材について説明する。放射絶縁層12に用いる高放射絶縁体20としては、結晶性エポキシ樹脂が望ましい。そしてその加工性を高めるために、PPE(ポリフェニレンエーテル、polyphenylene ether)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、PES(ポリエーテルスルホン)等のフェニル基を主鎖に含んだ熱可塑樹脂(望ましくはTg>100℃のエンジニアリングプラスチップ材料、なおTgはガラス転移温度を意味する)を添加しても良い。これは主鎖にフェニル基を含んだ高Tg材料を添加することで、結晶性エポキシの結晶化を積極的に促進させるためである。
なおこれら高放射絶縁体20に添加する熱可塑樹脂は、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン及び/または、その変性体とすることができる。なお熱可塑樹脂の重合度は100以上が望ましい。重合度が100以下と、分子量が小さい場合、所定の強度が得られない場合がある。そしてポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン及び/または、その変性体の少なくとも一つを主成分とする熱可塑樹脂と、結晶性エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機フィラーとすることで、その加工性を高め、放射絶縁層12の熱伝導性や熱放射性を高める効果が得られる。またこれらは放射性にも優れている。
また結晶化エポキシ樹脂に添加する硬化剤の添加量は、エポキシ当量から計算し、適量添加することができる。
また無機フィラーを添加することで、放射絶縁層12の放射率や熱伝導率を高めることができる。無機フィラーとしては、アルミナ、窒化アルミ、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化錫、炭素から選ばれた少なくとも1種類からなる無機フィラーを用いることが望ましい。熱伝導性と熱放射性の高い無機フィラーを用いることで、熱伝導絶縁材の熱伝導性を更に高めることができる。また硬化促進剤や、表面処理剤、着色剤、難燃剤等を混入してもよい。
なお結晶性エポキシの結晶化を促進させる樹脂としては、PPE樹脂等の主鎖にフェニル基を多数個(例えばn≧100)規則正しく有したものを選ぶことが望ましい。そして規則正しく並んだフェニル基に注目し、そして後述する図8等で説明するようにフェニル基を少数(例えば2〜20個)有している結晶性エポキシ樹脂と、このPPE樹脂のフェニル基との間で、互いのフェニル基同士を配向させ、結晶化させることで熱伝導率を高める。一般的にTgを向上させる方法として、網目構造をとりやすい硬化剤を配合する場合があるが、発明者らの実験では、かえって結晶化が阻害され、高い熱伝導率が得られなかった。
一方、発明者らの実験ではPPE樹脂のフェニル基(あるいは結晶化に寄与すると思われるメソゲン基部分)と、結晶性エポキシ樹脂のフェニル基(あるいはメソゲン基部分)が、互いに共通エレメントであることを積極的に利用し、これらを配向(あるいは結晶化)させる。これにより、結晶性エポキシ樹脂自体の結晶化度も向上させることができる。
なおPPE樹脂としては、変性PPE樹脂を選んでも良い。変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)としては、エーテル基(COC)を持った芳香族ポリエーテル樹脂PPEを主体に、スチレン系樹脂(例えばポリスチレン)とのポリマーアロイ等で変性したものを用いることができる。こうした変性を行い、変性PPE樹脂とすることで、その強度を上げると共に、結晶性エポキシ樹脂との間で架橋点を有しTgを高めることができる。
次に、PPE樹脂の主鎖を形成するフェニル基部分と、一種の配向現象を起こさせることで、結晶化を促進させる結晶性エポキシ樹脂について説明する。
(化1)(化2)は、共に結晶性エポキシ樹脂の一例を示す構造式である。(化1)において、結晶性エポキシ樹脂の構造式におけるXは、S(硫黄)もしくはO(酸素)、C(炭素)、なし(短結合)である。またR1、R2、R3、R4はCH、H、t−Bu等である。またR1〜R4は同じであっても良い。
Figure 2008277507
(化2)は、結晶性エポキシ樹脂の硬化に用いる硬化剤の構造を示す。(化2)の構造式においてXは、S(硫黄)、O(酸素)もしくは短結合である。(化1)の主剤と、(化2)の硬化剤を混合し、重合させたものも結晶質エポキシ樹脂と呼んでもよい。
Figure 2008277507
なお主剤と硬化剤の割合は、エポキシ当量から計算する。また硬化剤として(化2)以外の硬化剤を使っても良い。なお結晶性エポキシ樹脂としては、(化3)〜(化8)に示したものも使うことができる。
Figure 2008277507
Figure 2008277507
Figure 2008277507
Figure 2008277507
Figure 2008277507
Figure 2008277507
(化3)〜(化8)は、PPE樹脂と結晶化しやすい結晶性エポキシ樹脂の一例を示すものである。このような結晶性エポキシ樹脂は、融点が50〜121℃程度で、更に溶解粘度も低い(例えば、150℃における粘度は6〜20mPa・s)ため、PPE樹脂や無機フィラーを混合、分散させやすい効果が得られる。なおこれら結晶性エポキシ樹脂の重合度は20以下(更に10以下、望ましくは5以下)が適当である。重合度が20より大きい場合、分子が大きくなりすぎてPPE樹脂に配向した状態で結晶化しにくくなるためである。
一方、発明者らの実験によると、結晶性エポキシ樹脂および硬化剤と、PPEのような熱可塑樹脂と、無機フィラーとからなる熱伝導性材料の場合について、結晶性エポキシ樹脂の重合度を色々振って実験したところ、結晶性エポキシ樹脂の重合度をあげるほど、熱伝導率が低下する傾向が得られた。そこで、社内の分析部門の協力も得ながら、色々な手法で結晶性エポキシ樹脂の結晶化について調べたところ、結晶性エポキシ樹脂の重合度をあげるほど、熱可塑樹脂との混合状態では結晶性エポキシ樹脂の結晶化が阻害されることが判った。つまり結晶性エポキシ樹脂の重合度をあげるほど、できあがった熱伝導性材料内における結晶性エポキシ樹脂の結晶化が阻害される(特にPPEに隣接した状態での結晶性エポキシ樹脂の結晶化が阻害される)ことが判った。そして結晶性エポキシ樹脂の結晶化が阻害される、つまり熱伝導性材料の内部で、結晶化構造が取りにくい、あるいは結晶化構造に寄与しないフリーの長鎖部分が増加することが判った。このような結晶性エポキシ樹脂の結晶化構造に寄与しないフリーの長鎖部分が増加することによって、熱伝導率が低下することが判った。またこのようなフリーの長鎖部分が増加する結果、できあがった熱伝導性材料のTg(ガラス転移温度)が影響を受けることが判った(結晶化していない樹脂部分のTgの割合が大きくなってしまった)。このように結晶性エポキシ樹脂の重合度が高すぎる場合、熱伝導性材料自体の熱伝導率が低下する、Tgが低下するという課題が発生することが判った。そして発明者らの実験では、結晶性エポキシ樹脂の重合度は、20以下(更には10以下、更に望ましくは5以下)で良い結果が得られた。
次にPPE樹脂と、結晶性エポキシ樹脂の比率について説明する。全樹脂に対して、PPE樹脂は3〜20wt%(結晶化エポキシ樹脂+硬化剤が85〜97wt%)の範囲内が望ましい。PPE樹脂の割合が3wt%未満の場合、できあがった放射絶縁層12が脆くなる可能性がある。またPPE樹脂の割合が20wt%を超えると、結晶化エポキシ樹脂の割合が低下するため、できあがった放射絶縁層12の熱伝導率が影響を受ける可能性がある。
なお無機フィラーと全樹脂(ここで全樹脂とは、PPE樹脂と結晶性エポキシ樹脂+(+はプラス)硬化剤の合計の意味であり、樹脂バインダーに相当する)の比率において、無機フィラーは50〜95Vol%(樹脂バインダーは50〜5Vol%)の範囲内が望ましい。無機フィラーの割合が50Vol%未満の場合、高放射絶縁体20が硬化してなる放射絶縁層12の熱伝導率が低下する場合がある。また無機フィラーの割合が95Vol%より大きくなると、PPE樹脂等の熱伝導樹脂材の成形性に影響を与える場合がある。なおここでwt%は重量%、Vol%は体積%を意味する。
また無機フィラーの平均粒径は、0.01μm以上50μm以下の範囲が望ましい。平均粒径が小さいほど比表面積が増えるため、放熱面積が増え、放射効率が高まるが、平均粒径が0.01μm以下になると、比表面積が大きくなり、PPE樹脂等の熱伝導樹脂材の混練が難しくなり、放射絶縁層12の成形性にも影響を与える場合がある。また50μmを超えると、放射絶縁層12の薄層化が難しくなり、放熱基板としての放熱性に影響を与え、製品の小型化に影響を与える可能性がある。なお無機フィラーの充填率を増加するために、異なる粒度分布を有する複数種の無機フィラーを選び、これらを混合して使用しても良い。
なお銅配線11の厚みが0.002〜0.110mmの範囲が必要な場合は銅箔18を、0.10〜1.00mmの範囲が必要な場合はリードフレームを、互いに使い分けることができる。なおリードフレームの部材としては銅を主体としたもの(例えばタフピッチ銅や無酸素銅等と呼ばれているもの)を用いることが望ましい。銅を主体とすることで、高放熱性と低抵抗性を両立することができる。また銅配線11の一部分以上を放射絶縁層12に埋めることで、放熱基板における銅配線11に起因する段差(厚み段差)を低減できる。
ここでプリプレグ22を用いてプリント配線板を作製する場合、プリント配線板として要求される一定の物理的強度(例えば、曲げに対する強度)が必要となる。これらの強度等の評価であるが、ガラスクロス13に樹脂を含浸させた状態で特性を評価すると、ガラスクロス13の影響が大きく、ポリフェニレンエーテル(PPE樹脂)、ポリフェニレンスルフィド(PPS樹脂)、ポリエーテルスルホン(PES)の少なくとも一つを主成分とする熱可塑樹脂と、結晶性エポキシ樹脂と、硬化剤と、からなる放射絶縁層12である樹脂部分の単体での特性(割れにくさ、欠けにくさ、耐力等)の評価が難しい場合がある。そこで実験1として高放射絶縁体20を構成する樹脂成分について、実験1として評価した。
なおガラスクロス13として、ガラス以外の樹脂繊維素材(アラミド等)を用いたものを、ガラスクロス13として使うことで、軽量化できる。またアラミド等の織布あるいは不織布をガラスクロス13とすることで、ガラス製のガラスクロス13に比べて放射率を高めることに有用である。
実施例1
結晶性エポキシ樹脂としてジャパンエポキシレジン製「YL6121H」,東都化学製「YSLV−80XY」、硬化剤として、4−4ジアミノビフェニルエーテル、4−4,ジハイドロキシビフェニル、熱可塑性樹脂としてPPE粉末を用意した。
上記の結晶性エポキシ樹脂を加熱融解し、硬化剤とPPE(1〜30wt%)を混合し攪拌した。比較・測定用試料としてPPEを混合していない試料もあわせて作製している。また、4−4,ジハイドロキシビフェニルを用いた試料は硬化促進剤としてイミダゾールを0.5wt%添加している。
この混合物を、厚さ500μmにシート成形した。成形後、測定に応じた形状に積層後180℃×2Hourの条件で硬化させ、各種測定を行った。
熱伝導率測定:ブルカーエイエックスエス社製キセノンレーザーフラッシュ
試料サイズ:φ1/2インチ、t1mm
TMA圧縮加重測定:セイコー製
試料サイズ:4mm×4mm×t3mm
破断強度試験:図12参照
図12は、曲げ強度の評価方法の一例を示す模式図である。図12において、27は治具、28はサンプルである。図12において、治具27の間にサンプル28をセットし、矢印17で示す方向に治具27を用いて、サンプル28を曲げる。発明者らの実験では、従来品では1〜2mm曲げた時点で、サンプル28が折れた(割れた)。一方、本発明のサンプル28では、4〜5mm曲げても折れなかった。なお試料サイズ(サンプル28の形状)は、40mm×4mm×t2mmである。
YL6121と4−4ジアミノビフェニルの測定結果を(表2)に示す。
Figure 2008277507
PPEを配合することにより20%以下の試料で熱伝導率の向上(=結晶化率の向上)がみられた。また、破断強度試験において試料1、2は(表2)に示す値で、破断したが、試料3〜7は大きくたわむだけで、今回用いた測定器の範囲では破断しなかった。または破断強度に方向性は観察されなかった。これはポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホンの少なくとも一つを主成分とする熱可塑樹脂を用い、この熱可塑樹脂を元に結晶性エポキシ樹脂を結晶化させる場合、特に異方性は生じないためと考えられた。
なお(表2)においては、樹脂単体の熱伝導率を測定したものであるが、ここにアルミナ、窒化アルミ、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化錫、炭素、酸化錫から選ばれた少なくとも1種類以上からなる無機フィラーを添加することで、273K〜400Kの温度範囲において、熱伝導率は1.0W/(mK)以上20.0W/(mK)以下、波長5.0〜8.0μmの放射率が0.60以上0.99以下である放射絶縁層12を作製することができる。
またこれら無機フィラー等を調整することで、高放射絶縁体20を、273K〜400Kの温度範囲においての熱伝導率は1.0W/(mK)以上20.0W/(mK)以下、波長4.0〜14.0μmの放射率が0.70以上0.99以下とすることもできる。
以上のようにして、少なくとも複数層の銅配線11と、前記銅配線11を内部もしくは表面に形成した絶縁体と、前記複数層の銅配線11を接続するビア14とからなるプリント配線板であって、273K〜400Kの温度範囲において前記絶縁体を放射絶縁層12(あるいは高放射絶縁体20)とし、その熱伝導率は0.3W/(mK)以上20.0W/(mK)以下、波長5.0〜8.0μmの放射率が0.60以上0.99以下である熱放射性プリント配線板とすることで、携帯電話、プラズマテレビ、あるいは電装品、あるいは産業用等の放熱が要求される機器の小型化、高性能化が可能となる。
また少なくとも複数層の銅配線11と、前記銅配線11を内部もしくは表面に形成した絶縁体と、前記複数層の銅配線11を接続するビア14とからなるプリント配線板であって、273K〜400Kの温度範囲において前記前記絶縁体を放射絶縁層12あるいは広報車絶縁体20とし、その熱伝導率は1.0W/(mK)以上20.0W/(mK)以下、波長4.0〜14.0μmの放射率が0.70以上0.99以下である熱放射性プリント配線板とすることで、携帯電話、プラズマテレビ、あるいは電装品、あるいは産業用等の放熱が要求される機器の小型化、高性能化が可能となる。
更に、これら熱放射性プリント配線板を用いて、プラズマテレビ等の製品に使われるモジュールの放熱性を高めることができる。例えば、少なくとも複数層の銅配線11と、前記銅配線11を内部もしくは表面に形成した絶縁体と、前記複数層の銅配線11を接続するビア14とからなるプリント配線板と、その上に実装した電子部品16とからなるモジュールであって、前記絶縁体は、273K〜400Kの温度範囲において熱伝導率は1.0W/(mK)以上20.0W/(mK)以下、波長5.0〜8.0μmの放射率が0.60以上0.99以下の放射絶縁層12であるモジュールとすることで、モジュールの放熱性を高めることができる。
なお、絶縁体は、273K〜400Kの温度範囲においての熱伝導率は1.0W/(mK)以上20.0W/(mK)以下、波長4.0〜14.0μmの放射率が0.70以上0.99以下の放射絶縁層12であるモジュールとすることで、用途に応じてモジュールの放熱性を高めることができる。
以上のように、本発明にかかる熱放射性プリント配線板及びその製造方法とこれを用いたモジュールを用いることによって、携帯電話、プラズマテレビ、あるいは電装品、あるいは産業用等の放熱が要求される機器の小型化、高性能化が可能となる。
実施の形態における熱放射性プリント配線板の斜視断面図 (A)(B)は、それぞれ本発明の熱放射性プリント配線板の放熱効果を説明する断面図及び熱放射特性の一例を示す図 (A)〜(C)と(D)は、それぞれプリント配線板の断面図と、温度測定の一例を示す図 (A)(B)は、それぞれ実施の形態におけるプリント配線板の放熱効果を説明する断面図 (A)(B)は、それぞれ高放射プリント配線板からの熱放射を説明する断面図とその測定の一例について説明する図 本発明の熱放射プリント配線板に使うプリプレグの製造方法を模式的に説明する断面図 (A)(B)は、共にプリプレグに銅箔を固定(あるいは一体化)する方法の一例を説明する断面図 (A)〜(C)は、共に熱放射性プリント配線板の製造方法の一例を説明する断面図 (A)〜(D)は、共にプリプレグに形成した孔に導電性ペーストを充填する様子を説明する断面図 (A)〜(C)は、共にプリプレグと銅箔を一体化した状態で、放射絶縁層を形成する様子を説明する断面図 (A)〜(C)は、共に積層工程を説明する断面図 曲げ強度の評価方法の一例を示す模式図 (A)(B)は、共に結晶性エポキシ樹脂に磁場をかけながら硬化させ熱伝導性を高める様子を説明する断面図
符号の説明
11 銅配線
12 放射絶縁層
13 ガラスクロス
14 ビア
15 補助線
16 電子部品
17 矢印
18 銅箔
19 低放射絶縁体
20 高放射絶縁体
21 成形装置
22 プリプレグ
23 孔
24 スルーホールめっき
25 フィルム
26 導電性ペースト
27 治具
28 サンプル

Claims (14)

  1. 少なくとも複数層の銅配線と、前記銅配線を内部もしくは表面に形成した絶縁体と、前記複数層の銅配線を接続するビアとからなるプリント配線板であって、
    前記絶縁体は、273K〜400Kの温度範囲において熱伝導率が1.0W/(mK)以上20.0W/(mK)以下、
    波長5.0〜8.0μmの放射率が0.60以上0.99以下である熱放射性プリント配線板。
  2. 少なくとも複数層の銅配線と、前記銅配線を内部もしくは表面に形成した絶縁体と、前記複数層の銅配線を接続するビアとからなるプリント配線板であって、
    前記絶縁体は、273K〜400Kの温度範囲においての熱伝導率は1.0W/(mK)以上20.0W/(mK)以下、
    波長4.0〜14.0μmの放射率が0.70以上0.99以下である熱放射性プリント配線板。
  3. 前記絶縁体が結晶性エポキシ樹脂と無機フィラーを有する請求項1もしくは2のいずれか一方に記載の熱放射性プリント配線板。
  4. 前記絶縁体は、ガラスクロスと、
    このガラスクロスに含浸した樹脂体とからなり、
    前記樹脂体は、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン及び/または、その変性体の少なくとも一つを主成分とする熱可塑樹脂と、
    結晶性エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機フィラーとからなる請求項1もしくは2のいずれか一方に記載の熱放射性プリント配線板。
  5. 結晶性エポキシ樹脂が以下の(化1)である請求項3もしくは4記載のいずれか一方に記載の熱放射性プリント配線板。
    Figure 2008277507
  6. 結晶性エポキシ樹脂の重合度は20以下である請求項3もしくは4のいずれか一方に記載の熱放射性プリント配線板。
  7. 熱可塑樹脂の重合度は100以上である請求項4に記載の熱放射性プリント配線板。
  8. 無機フィラーは、アルミナ、窒化アルミ、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化錫、炭素、酸化錫から選ばれた少なくとも1種類以上からなる無機フィラーである請求項3記載の熱放射性プリント配線板。
  9. 少なくとも、
    273K〜400Kの温度範囲において熱伝導率が1.0W/(mK)以上20.0W/(mK)以下、波長5.0〜8.0μmの放射率が0.60以上0.99以下である放射絶縁層と銅箔もしくは銅配線とからなる積層体にドリル加工を行う工程と、
    前記積層体表面に銅配線を形成する工程と、
    を含む熱放射性プリント配線板の製造方法。
  10. 少なくとも、
    273K〜400Kの温度範囲においての熱伝導率は1.0W/(mK)以上20.0W/(mK)以下、波長4.0〜14.0μmの放射率が0.70以上0.99以下である放射絶縁層と銅箔もしくは銅配線とからなる積層体にドリル加工を行う工程と、
    前記積層体表面に銅配線を形成する工程と、
    を含む熱放射性プリント配線板の製造方法。
  11. プリプレグにレーザーでビア孔を形成する工程と
    前記ビア孔に導電性ペーストを充填する工程と
    前記プリプレグと銅箔を一体化する工程と、
    前記プリプレグを硬化して273K〜400Kの温度範囲において熱伝導率が1.0W/(mK)以上20.0W/(mK)以下、波長5.0〜8.0μmの放射率が0.60以上0.99以下の放射絶縁層とする工程と、
    前記銅箔をパターニングし、銅配線を形成する工程と、を含む熱放射性プリント配線板の製造方法。
  12. プリプレグにレーザーでビア孔を形成する工程と
    前記ビア孔に導電性ペーストを充填する工程と
    前記プリプレグと銅箔を一体化する工程と、
    前記プリプレグを硬化して273K〜400Kの温度範囲においての熱伝導率は1.0W/(mK)以上20.0W/(mK)以下、
    波長4.0〜14.0μmの放射率が0.70以上0.99以下の放射絶縁層とする工程と、
    前記銅箔をパターニングし、銅配線を形成する工程と、を含む熱放射性プリント配線板の製造方法。
  13. 少なくとも複数層の銅配線と、前記銅配線を内部もしくは表面に形成した絶縁体と、前記複数層の銅配線を接続するビアとからなるプリント配線板と、その上に実装した電子部品とからなるモジュールであって、
    前記絶縁体は、273K〜400Kの温度範囲において熱伝導率は1.0W/(mK)以上20.0W/(mK)以下、
    波長5.0〜8.0μmの放射率が0.60以上0.99以下の放射絶縁層であるモジュール。
  14. 少なくとも複数層の銅配線と、前記銅配線を内部もしくは表面に形成した絶縁体と、前記複数層の銅配線を接続するビアとからなるプリント配線板と、その上に実装した電子部品とからなるモジュールであって、
    前記絶縁体は、273K〜400Kの温度範囲においての熱伝導率は1.0W/(mK)以上20.0W/(mK)以下、
    波長4.0〜14.0μmの放射率が0.70以上0.99以下の放射絶縁層であるモジュール。
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