JP4561697B2 - 積層回路基板 - Google Patents
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Description
この問題を解決するために、発熱素子からの発熱を絶縁基板内に配置した熱伝導材を介して、金属材料で形成された放熱部材に放熱する積層回路基板が提案されている(特許文献1)。しかし、前記の構成では、金属材料で形成された放熱部材の面方向の熱膨張率が、絶縁基板の面方向の熱膨張率より大きいため、積層回路基板全体の面方向の熱膨張率は、通常の回路基板の面方向の熱膨張率より大きくなり、実装した発熱素子のはんだ接続信頼性が劣るという問題がある。
いっぽう、表面実装部品のはんだ接続信頼性を向上させるために、表面に形成した銅箔よりなる回路と絶縁基板との間に、低弾性の樹脂層を介在させた回路基板が提案されている(特許文献2)。しかし、前記の構成では、発熱素子からの発熱を放熱させる手段がなく、発熱素子からの発熱により、電子回路自体に異常をきたす恐れがある。さらに、今後は鉛フリーはんだが使用されるようになるが、鉛フリーはんだは、現在使用されている共晶はんだと比較して、表面実装部品のはんだ接続信頼性が劣ることがわかっている。このため、表面実装部品のはんだ接続信頼性の更なる向上が求められている。
前記第1低弾性樹脂層は、好ましくは、厚さ30μm以上である(請求項2)。
前記第2低弾性樹脂層は、好ましくは、厚さ30μm以上である(請求項4)。
前記第1低弾性樹脂層は、好ましくは、厚さ30μm以上とする(請求項2)。これによって、冷熱サイクル時の放熱部材の熱歪の影響を十分緩和でき、はんだ接続信頼性がさらに向上するため、厳しい環境下に搭載された場合でもそのはんだ接続信頼性が確保できる。
そして、発熱素子搭載部対応領域の面積を前記発熱素子の面積より大きく設定する。これによって、発熱素子からの発熱を熱伝導材を介して放熱部材に放熱する放熱効果が大きくなる。
前記第2低弾性樹脂層は、好ましくは、厚さ30μm以上とする(請求項4)。これによって、冷熱サイクル時の積層回路基板の熱歪の影響を十分緩和でき、はんだ接続信頼性がさらに向上するため、厳しい環境下に搭載された場合でもそのはんだ接続信頼性が確保できる。
前記絶縁基板15の他方の面上には、熱伝導率が2W/m・K以上の樹脂絶縁層3とアルミニウム製の放熱部材6が配置されている。さらに、前記樹脂絶縁層3と放熱部材6の間には、厚さ20μm以上で、粘弾性測定による引張り弾性率が−40℃以上の温度領域で10GPa以下である第1低弾性樹脂層4を介在させる。前記第1低弾性樹脂層4は、発熱素子搭載部対応領域5相当部を予め除去したものを使用する。これにより、加熱加圧成形時に樹脂絶縁層3の樹脂が流動して、当該領域には前記樹脂絶縁層3が突出して存在することとなる。この時、発熱素子搭載部対応領域5の面積は実装している発熱素子1より大きくする。放熱部材6は熱を放熱するヒートシンクとして機能するものである。したがって、放熱部材6には複数の放熱フィンを一体に突設してもよいのは勿論である。
本例では前記絶縁基板には、その内部に銅箔からなる内層回路パターン8、9が内蔵されおり、多層回路基板の構造を有しているが、内層回路パターン8、9が無い両面回路基板の構造でもよい。
すなわち、無機充填材を含有し(式1)で示す分子構造のエポキシ樹脂モノマを配合したエポキシ樹脂組成物を採用する。前記無機充填材は、熱伝導率20W/m・K以上であって、樹脂固形分100体積部に対し10〜100体積部の量で絶縁層中に存在するようにする。
無機充填材は、樹脂固形分100体積部に対し10〜100体積部の量となるように配合する。前記無機充填材の熱伝導率と配合量の下限値は、樹脂絶縁層の熱伝導率を2W/m・K以上にするために必要である。また、エポキシ樹脂組成物に配合する無機充填材が少ないと、無機充填材をエポキシ樹脂組成物中に均一に分散させることが難しくなる。熱伝導性の確保と共にこの点においても、無機充填材配合量の下限値の規定は重要である。一方、無機充填材の配合量を多くすると、エポキシ樹脂組成物の粘性が増大して取り扱いが難しくなるので、無機充填材配合量の上限値は、このような観点から規定する。
エポキシ樹脂組成物を溶剤に希釈してワニスを調製する場合、溶剤の配合・使用が、エポキシ樹脂硬化物の熱伝導性に影響を与えることはない。
なお、絶縁基板を構成する絶縁材料として、上記の熱伝導率が2W/m・K以上のシートもしくはプリプレグを使用してもよい。
エポキシ樹脂モノマ成分としてビフェニル骨格をもつエポキシ樹脂モノマ(ジャパンエポキシレジン製「YL6121H」,エポキシ当量175)100部を用意し、これをメチルイソブチルケトン(和光純薬製)100部に100℃で溶解し、室温に戻した。前記「YL6121H」は、既述の分子構造式(式1)において、R=−CH3,n=0.1であるエポキシ樹脂モノマと分子構造式(式1)において、R=−H,n=0.1であるエポキシ樹脂モノマを等モルで含有するエポキシ樹脂モノマである。
硬化剤として1,5−ジアミノナフタレン(和光純薬製「1,5−DAN」,アミン当量40)22部を用意し、これをメチルイソブチルケトン(和光純薬製)100部に100℃で溶解し、室温に戻した。
上記のエポキシ樹脂モノマ溶液と硬化剤溶液を混合・撹拌して均一なワニスにし、さらに無機充填材として窒化ホウ素(電気化学工業製「HGPE」,平均粒子径:5μm,熱伝導率60W/m・K,粒子形状:平板状)60部(樹脂固形分100体積部に対し20体積部に相当)とアルミナ(住友化学製「AA−3」,平均粒径:3μm、熱伝導率:30W/m・K,粒子形状:球形)100部(樹脂固形分100体積部に対し20体積部に相当)を加えて混練しエポキシ樹脂ワニスを調製した。
このエポキシ樹脂ワニスを、厚さ100μmのガラス繊維不織布に含浸し加熱乾燥して成形後の熱伝導率が2.5W/m・Kとなるプリプレグを得た。
以上の様に秤量された構成にて、温度175℃、圧力4MPaの条件で90分間加熱加圧成形して一体化し、厚さ2.3mmの積層回路基板を得た。
素子発熱温度:積層回路基板を40℃の冷却水が流れる冷却器上にグリスを介して配置し、積層回路基板表面にグリスを介してセラミックヒータを配置した構成において、セラミックヒータに75Wの電力を入力した際の素子の発熱温度を測定した。
はんだ接続信頼性:3.2×2.5mmのセラミック抵抗を積層回路基板上にはんだ付し、125℃〜−40℃の範囲で冷熱サイクル試験を行ない、はんだ部にクラックが発生するまでのサイクル数を調べた。
引張り弾性率:UBM社製粘弾性測定装置(Pheogel−E4000型)を使用し、引張りモード、昇温速度5℃/分、周波数10Hz、サンプル厚さ60μmにて測定し、−40℃以上の引張り弾性率を測定した。
実施例1において、第1低弾性樹脂層を厚さ30μm(実施例2)、50μm(実施例3)とする以外は実施例1と同様にして積層回路基板を得た。これらの積層回路基板のはんだ接続信頼性を測定した結果、第1低弾性樹脂層の厚さが厚くなるとはんだ接続信頼性が向上した。
実施例1において、絶縁基板を構成する絶縁材料と発熱素子が実装された回路パターンの間に、厚さ20μmで、粘弾性測定による引張り弾性率が−40℃以上の温度領域で8GPaである第2低弾性樹脂層を配置する以外は実施例1と同様にして積層回路基板を得た。この積層回路基板のはんだ接続信頼性は、1500サイクルであり、実施例1より向上した。
実施例4において、絶縁基板を構成する絶縁材料と発熱素子が実装された回路パターンの間に配置した第2低弾性樹脂層を厚さ30μm(実施例5)、50μm(実施例6)とする以外は実施例4と同様にして積層回路基板を得た。これらの積層回路基板のはんだ接続信頼性を測定した結果、第2低弾性樹脂層の厚さが厚くなるとはんだ接続信頼性が向上した。
実施例3において、絶縁基板を構成する絶縁材料と発熱素子が実装された回路パターンの間に厚さ50μmの第2低弾性樹脂層を配置する以外は実施例3と同様にして積層回路基板を得た。この積層回路基板のはんだ接続信頼性は、3000サイクルであり、実施例1より大きく向上した。
実施例1において、発熱素子搭載部対応領域の面積を発熱素子の面積の1.0倍(実施例8)、0.7倍(実施例9)とする以外は実施例1と同様にして積層回路基板を得た。これらの積層回路基板のはんだ接続信頼性は実施例1と同等であったが、発熱素子搭載部対応領域の面積が小さくなると素子発熱温度が高く、放熱特性が悪化した。
実施例1において、第1低弾性樹脂層として日立化成ポリマー製「ハイボンXD342−1」と汎用FR−4用ワニスを固形重量比で50:50の割合で配合し、引張り弾性率を−40℃以上の温度領域で10GPaとする以外は実施例1と同様にして積層回路基板を得た。この積層回路基板のはんだ接続信頼性は、1000サイクルであり、実施例1より若干悪化した。
エポキシ樹脂モノマ成分としてビフェニル骨格をもつエポキシ樹脂モノマ(ジャパンエポキシレジン製「YL6121H」,エポキシ当量175)100部を用意し、これをメチルイソブチルケトン(和光純薬製)100部に100℃で溶解し、室温に戻した。前記「YL6121H」は、既述の分子構造式(式1)において、R=−CH3,n=0.1であるエポキシ樹脂モノマと分子構造式(式1)において、R=−H,n=0.1であるエポキシ樹脂モノマを等モルで含有するエポキシ樹脂モノマである。
硬化剤として1,5−ジアミノナフタレン(和光純薬製「1,5−DAN」,アミン当量40)22部を用意し、これをメチルイソブチルケトン(和光純薬製)100部に100℃で溶解し、室温に戻した。
上記のエポキシ樹脂モノマ溶液と硬化剤溶液を混合・撹拌して均一なワニスにし、さらに無機充填材として窒化ホウ素(電気化学工業製「HGPE」,平均粒子径:5μm,熱伝導率60W/m・K,粒子形状:平板状)30部(樹脂固形分100体積部に対し10体積部に相当)とアルミナ(住友化学製「AA−3」,平均粒径:3μm、熱伝導率:30W/m・K,粒子形状:球形)150部(樹脂固形分100体積部に対し30体積部に相当)を加えて混練しエポキシ樹脂ワニスを調製した。
このエポキシ樹脂ワニスを、厚さ100μmのガラス繊維不織布に含浸し加熱乾燥して成形後の熱伝導率が2.0W/m・Kとなるプリプレグを得た。
実施例1において、回路基板を構成する絶縁材料として実施例11記載の熱伝導率2.0W/m・Kとなるプリプレグを使用する以外は実施例1と同様にして積層回路基板を得た。この積層回路基板の素子発熱温度は、100℃であり、実施例1より放熱特性が向上した。
実施例1において、第1低弾性樹脂層を厚さ10μmとする以外は実施例1と同様にして積層回路基板を得た。この積層回路基板のはんだ接続信頼性は、800サイクルであり、実施例1より大きく悪化した。
実施例1において、第1低弾性樹脂層として日立化成ポリマー製「ハイボンXD342−1」と汎用FR−4用ワニスを固形重量比で30:70の割合で配合し、引張り弾性率を−40℃以上の温度領域で15GPaとする以外は実施例1と同様にして積層回路基板を得た。この積層回路基板のはんだ接続信頼性は、800サイクルであり、実施例1より大きく悪化した。
実施例1において、第1低弾性樹脂層に開口部を設けないものを使用する以外は実施例1と同様にして積層回路基板を得た。この積層回路基板のはんだ接続信頼性は実施例1と同等であったが、素子発熱温度は、135℃であり、実施例1より放熱特性が大きく悪化した。
汎用のFR−4用樹脂に無機充填材を配合し、成形後の熱伝導率が1.0W/m・Kとなるプリプレグを準備した。また、一方の面はソルダーレジストが施され、他方の面はソルダーレジストが無く銅箔面に黒化処理等の粗化処理をした0.4mm厚の4層回路基板(FR−4グレード、絶縁材料の熱伝導率0.4W/m・K)を準備した。前記プリプレグの一方の側に、前記4層回路基板を粗化処理の面がプリプレグと接する様に配置し、プリプレグの他方の側には2mm厚のアルミ板(A5052)を配置した。
以上の様に秤量された構成にて、温度175℃、圧力4MPaの条件で90分間加熱加圧成形して一体化し、厚さ2.3mmの積層回路基板を得た。この積層回路基板のはんだ接続信頼性は、800サイクルであり、実施例1より大きく悪化した。また、素子発熱温度は、135℃であり、実施例1より放熱特性が大きく悪化した。
2は熱伝導材
3は樹脂絶縁層
4は第1低弾性樹脂層
5は発熱素子搭載部対応領域
6は放熱部材
7、10は回路パターン
8、9は内層回路パターン
11はスルーホール
12、13、14は絶縁層
15は絶縁基板
24は第2低弾性樹脂層
31は金属基板
32は制御基板
33はターミナル
Claims (5)
- 絶縁基板の少なくとも一方の面上に金属層からなる回路パターンが設けられ、
前記絶縁基板を構成する絶縁材料よりも熱伝導率の高い材料で形成された熱伝導材が、前記絶縁基板の一方の面に一端面を露出させた状態で前記絶縁基板の内部に配置され、
前記熱伝導材の前記一端面上に発熱量の大きい発熱素子が前記熱伝導材上に熱伝達可能に配置されている積層回路基板であって、
前記絶縁基板の他方の面上に、樹脂絶縁層、第1低弾性樹脂層、前記絶縁基板を構成する絶縁材料よりも熱伝導率の高い金属材料で形成された放熱部材がこの順に配置・一体化され、
前記樹脂絶縁層の熱伝導率が2W/m・K以上であり、
前記第1低弾性樹脂層は、厚さ20μm以上で、粘弾性測定による引張り弾性率が−40℃以上の温度領域で10GPa以下であり、
かつ、前記第1低弾性樹脂層は、前記発熱素子搭載部と絶縁基板を介して対応する発熱素子搭載部対応領域には配置されておらず、当該領域には前記樹脂絶縁層が突出して存在しており、
前記発熱素子搭載部対応領域の面積が、前記発熱素子の面積より大きいことを特徴とする積層回路基板。 - 前記第1低弾性樹脂層が、厚さ30μm以上であることを特徴とする請求項1記載の積層回路基板。
- 前記絶縁基板と前記発熱素子が配置された回路パターンとの間に、厚さ20μm以上で、粘弾性測定による引張り弾性率が−40℃以上の温度領域で10GPa以下である第2低弾性樹脂層を配置したことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の積層回路基板。
- 前記第2低弾性樹脂層が、厚さ30μm以上であることを特徴とする請求項3記載の積層回路基板。
- 前記絶縁基板を構成する絶縁材料の熱伝導率が、2W/m・K以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層回路基板。
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