JP5835401B2 - プリプレグ、回路基板および半導体装置 - Google Patents

プリプレグ、回路基板および半導体装置 Download PDF

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Description

本発明は、プリプレグ、回路基板および半導体装置に関する。
近年、電子機器の高機能化等の要求に伴い、電子部品の高密度集積化、高密度実装化等が進んでいる。そのため、これらに使用される高密度実装対応のプリント配線板等は、従来にも増して、小型化かつ高密度化されている。このようなプリント配線板等の高密度化への対応として、ビルドアップ多層配線板が多く採用されている。
一般的なビルドアップ多層配線板は、コア基板に樹脂のみで構成される100μm以下の絶縁層と、導体層とを積み重ねながら積層していくものである。
このようなビルドアップ方法においても電子部品を高密度実装化等に対応するため、回路配線を高密度に配線する必要があった。しかし、基板に発生する反り等により回路配線のパターンに制約が生じる場合があった。
また、ビルドアップ方法による多層配線板では、微細なビアにより層間接続されるので接続強度が低下したり、熱衝撃を受けると絶縁樹脂と導体層の間に発生する応力によりクラックや断線が生じたりして接続信頼性が低下する場合があった。
また、半導体素子を搭載する半導体素子搭載用基板としてビルドアップ多層配線板を用いる場合、半導体素子の小型化、かつ多ピン化に対応するためバンプの微細化が必要となっていた。しかし、バンプの微細化により、半導体素子と基板との接合強度の不足等に起因した接続信頼性が低下する場合があった。そこで、バンプ接続部分の信頼性を得るため、半導体素子と半導体素子搭載用基板との間隙に、アンダーフィルと呼ばれる絶縁樹脂を充填して、バンプ接続部分を封止、補強する検討がされている。しかし、アンダーフィルを充填し、硬化させる工程が必要となるため、製造工程が複雑化し、製造コストが高くなるという問題がある(特許文献1参照)。
特開2002−293883号公報
本発明の目的は、基板の性能を向上させることにより回路配線のパターンの自由度を広げることが可能なプリプレグ、回路基板およびそれを用いた半導体装置を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、製造工程を複雑にすること無く、接続信頼性を向上することができるプリプレグ、回路基板およびそれを用いた半導体装置を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(9)に記載の本発明により達成される。
(1)シアネート樹脂と、無機充填材とを含む樹脂組成物を繊維基材に含浸させてなるプリプレグであって、前記プリプレグの面上で互いに直行するX、Y方向を設定したとき、前記プリプレグを硬化してなる硬化物の30〜150℃での、前記X方向の熱膨張係数[Ax]が10ppm以下であり、かつ前記Y方向の熱膨張係数[Ay]が10ppm以下であることを特徴とするプリプレグ。
(2)前記繊維基材は、縦糸と横糸とを平織りしたものである上記(1)に記載のプリプレグ。
(3)前記X方向は前記繊維基材を構成する繊維の縦糸方向であり、前記Y方向は前記繊維基材を構成する繊維の横糸方向である上記(1)または(2)に記載のプリプレグ。
(4)前記X方向の熱膨張係数[Ax]と、前記Y方向の熱膨張係数[Ay]との差の絶対値が5ppm以下である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のプリプレグ。
(5)前記繊維基材を構成する主な繊維は、ガラス繊維である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のプリプレグ。
(6)前記ガラス繊維を構成するガラスは、Tガラスである上記(5)に記載のプリプレグ。
(7)前記無機充填材の含有量は、前記樹脂組成物全体の60〜80重量%である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のプリプレグ。
(8)上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のプリプレグの硬化物を有する回路基板。
(9)上記(8)に記載の回路基板に半導体素子が搭載されていることを特徴とする半導体装置。
本発明によれば基板の性能を向上させることにより回路配線のパターンの自由度を広げることが可能なプリプレグ、回路基板およびそれを用いた半導体装置を得ることができる。
また、本発明によれば、製造工程を複雑にすること無く、接続信頼性を向上することができるプリプレグ、回路基板およびそれを用いた半導体装置を得ることができる。
また、繊維基材として特定のガラス繊維基材を用いた場合、特にプリプレグの面方向の熱膨張係数を小さくすることができ、それによってこのプリプレグを用いて得られる回路基板に半導体素子を搭載した場合の接続信頼性を向上することができる。
プリプレグの一例を模式的に示す斜視図である。 回路基板を製造する過程の一例を示す斜視図である。 回路基板の一例を示す斜視図である。 回路配線が形成された回路基板の一例を示す斜視図である。 回路配線が形成された回路基板の一例を示す斜視図である。 回路配線が形成された回路基板の一例を示す斜視図である。 半導体装置の一例を示す側面図である。
以下、本発明のプリプレグ、回路基板および半導体装置について詳細に説明する。
本発明のプリプレグは、シアネート樹脂および/またはそのプレポリマーと、無機充填材とを含む樹脂組成物を繊維基材に含浸させてなるプリプレグであって、前記プリプレグの面上で互いに直行するX、Y方向を設定したとき、前記プリプレグを硬化してなる硬化物の30〜150℃での、前記X方向の熱膨張係数[Ax]が10ppm以下であり、かつ前記Y方向の熱膨張係数[Ay]が10ppm以下である。
また、本発明の回路基板は、上記に記載のプリプレグの硬化物で構成されている。
また、本発明の半導体装置は、上記に記載の回路基板に半導体素子が搭載されている。
まず、プリプレグについて説明する。
本発明のプリプレグは、シアネート樹脂(シアン酸エステル系樹脂)と、無機充填材とを含む樹脂組成物を繊維基材に含浸させてなる。これにより、耐熱性および誘電特性に優れる。
前記シアネート樹脂は、シアネート樹脂、シアネート樹脂のプレポリマーの両方を含む意味である。
前記シアネート樹脂は、例えばハロゲン化シアン化合物とフェノール類とを反応させ、必要に応じて加熱等の方法でプレポリマー化することにより得ることができる。具体的には、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂等を挙げることができる。これらの中でもノボラック型シアネート樹脂が好ましい。これにより、架橋密度増加による耐熱性向上と、樹脂組成物等の難燃性を向上することができる。ノボラック型シアネート樹脂は、その構造上ベンゼン環の割合が高く、炭化しやすいためと考えられる。
前記ノボラック型シアネート樹脂としては、例えば式(I)で示されるものを使用することができる。
Figure 0005835401
前記式(I)で示されるノボラック型シアネート樹脂の繰り返し単位nは、特に限定されないが、1〜10が好ましく、特に2〜7が好ましい。繰り返し単位nが前記下限値未満であるとノボラック型シアネート樹脂は結晶化しやすくなり、汎用溶媒に対する溶解性が比較的低下するため、取り扱いが困難となる場合がある。また、繰り返し単位nが前記上限値を超えると架橋密度が高くなりすぎ、耐水性の低下や、硬化物が脆くなる等の現象を生じる場合がある。
前記シアネート樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量500〜4,500が好ましく、特に600〜3,000が好ましい。重量平均分子量が前記下限値未満であるとプリプレグを作製した場合にタック性が生じ、プリプレグ同士が接触したとき互いに付着したり、樹脂の転写が生じたりする場合がある。また、重量平均分子量が前記上現値を超えると反応が速くなりすぎ、プリント配線板とした場合に、成形不良が生じたり、層間ピール強度が低下したりする場合がある。
前記シアネート樹脂等の重量平均分子量は、例えばGPCで測定することができる。
前記シアネート樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の5〜60重量%が好ましく、特に10〜50重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると耐熱性や低熱膨張化する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると架橋密度が高くなり自由体積が増えるため耐湿性が低下する場合がある。
本発明のプリプレグでは、無機充填材を用いる。これにより、低熱膨張化および難燃性の向上が図れる。
また、前述したシアネート樹脂(特にノボラック型シアネート樹脂)と無機充填材との組合せにより、特に回路基板の弾性率を向上させることができる。
前記無機充填材としては、例えばタルク、アルミナ、ガラス、シリカ、マイカ等を挙げることができる。これらの中でもシリカが好ましく、溶融シリカ(特に球状溶融シリカ)が低熱膨張性に優れる点で好ましい。その形状は破砕状、球状があるが、繊維基材への含浸性を確保するために樹脂組成物の溶融粘度を下げるには球状シリカを使う等、その目的にあわせた使用方法が採用される。
前記無機充填材の平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜5.0μmが好ましく、特に0.2〜2.0μmが好ましい。無機充填材の粒径が前記下限値未満であるとワニスの粘度が高くなるため、プリプレグ作製時の作業性に影響を与える場合がある。また、前記上限値を超えると、ワニス中で無機充填剤の沈降等の現象が起こる場合がある。
更に平均粒径5.0μm以下の球状シリカ(特に球状溶融シリカ)が好ましく、特に平均粒径0.01〜2.0μmの球状溶融シリカが好ましい。これにより、無機充填剤の充填性を向上させることができる。
前記無機充填材の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の50〜80重量%が好ましく、特に60〜70重量%が好ましい。含有量が前記範囲内であると低熱膨張、低吸水とすることができる。
前記樹脂組成物には、特に限定されないが、エポキシ樹脂を用いることが好ましい。前
記エポキシ樹脂としては、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール
型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂等が挙
げられる。これらの中でもアリールアルキレン型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、
吸湿半田耐熱性を向上させることができる。
前記アリールアルキレン型エポキシ樹脂とは、繰り返し単位中に一つ以上のアリールアルキレン基を有するエポキシ樹脂をいう。例えばキシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でもビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂が好ましい。ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂は、例えば式(II)で示すことができる。
Figure 0005835401
前記式(II)で示されるビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂の繰り返し単位nは、特に限定されないが、1〜10が好ましく、特に2〜5が好ましい。繰り返し単位nが前記下限値未満であるとビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂は結晶化しやすくなり、汎用溶媒に対する溶解性が比較的低下するため、取り扱いが困難となる場合がある。また、繰り返し単位nが前記上限値を超えると樹脂の流動性が低下し、成形不良等の原因となる場合がある。
更に、前述のシアネート樹脂(特にノボラック型シアネート樹脂)とフェノール樹脂とアリールアルキレン型エポキシ樹脂(特にビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂)との組合せを用いてプリント配線板を作製した場合、特に優れた寸法安定性を得ることが出来る。
前記エポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の1〜55重量%が好ましく、特に2〜40重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であるとシアネート樹脂の反応性が低下したり、得られる製品の耐湿性が低下したりする場合があり、前記上限値を超えると耐熱性が低下する場合がある。
前記エポキシ樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量500〜20,000が好ましく、特に800〜15,000が好ましい。重量平均分子量が前記下限値未満であるとプリプレグにタック性が生じる場合が有り、前記上限値を超えるとプリプレグ作製時、基材への含浸性が低下し、均一な製品が得られない場合がある。
前記エポキシ樹脂の重量平均分子量は、例えばGPCで測定することができる。
前記樹脂組成物には、特に限定されないが、フェノール樹脂を用いることが好ましい。前記フェノール樹脂としては、例えばノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、アリールアルキレン型フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中でもアリールアルキレン型フェノール樹脂が好ましい。これにより、さらに吸湿半田耐熱性を向上させることができる。
前記アリールアルキレン型フェノール樹脂としては、例えばキシリレン型フェノール樹脂、ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂等が挙げられる。ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂は、例えば式(III)で示すことができる。
Figure 0005835401
前記式(III)で示されるビフェニルジメチレン型フェノール樹脂の繰り返し単位nは、特に限定されないが、1〜12が好ましく、特に2〜8が好ましい。繰り返し単位nが前記下限値未満であると耐熱性が低下する場合がある。また、前記上限値を超えると他の樹脂との相溶性が低下し、作業性が悪くなる場合があるため好ましくない。
前述のシアネート樹脂(特にノボラック型シアネート樹脂)とアリールアルキレン型フェノール樹脂との組合せにより、架橋密度をコントロールし、金属と樹脂との密着性を向上することができる。
前記フェノール樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の1〜55重量%が好ましく、特に5〜40重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると耐熱性が低下する場合があり、前記上限値を超えると低熱膨張の特性が損なわれる場合がある。
前記フェノール樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量400〜18,000が好ましく、特に500〜15,000が好ましい。重量平均分子量が前記下限値未満であるとプリプレグにタック性が生じる場合があり、前記上限値を超えるとプリプレグ作製時、基材への含浸性が低下し、均一な製品が得られない場合がある。
前記フェノール樹脂の重量平均分子量は、例えばGPCで測定することができる。
前記樹脂組成物には、特に限定されないが、カップリング剤を用いることが好ましい。前記カップリング剤は、前記シアネート樹脂と、前記無機充填材との界面の濡れ性を向上させることにより、基材に対してシアネート樹脂等および無機充填材を均一に定着させ、耐熱性、特に吸湿後の半田耐熱性を改良することができる。
前記カップリング剤としては、通常用いられるものなら何でも使用できるが、具体的にはエポキシシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アミノシランカップリング剤およびシリコーンオイル型カップリング剤の中から選ばれる1種以上のカップリング剤を使用することが好ましい。これにより、無機充填材の界面との濡れ性を高くすることができ、それによって耐熱性をより向上させることできる。
前記カップリング剤の含有量は、特に限定されないが、無機充填材100重量部に対して0.05〜3重量部が好ましく、特に0.1〜2重量部が好ましい。含有量が前記下限値未満であると無機充填材を十分に被覆できないため耐熱性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると反応に影響を与え、曲げ強度等が低下する場合がある。
前記樹脂組成物には、必要に応じて硬化促進剤を用いても良い。前記硬化促進剤としては公知の物を用いることが出来る。例えばナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)等の有機金属塩、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等の3級アミン類、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−エチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシイミダゾール等のイミダゾール類、フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノール等のフェノール化合物、酢酸、安息香酸、サリチル酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸等、またはこの混合物が挙げられる。
前記硬化促進剤の含有量は、特に限定されないが、前記樹脂組成物全体の0.05〜5重量%が好ましく、特に0.2〜2重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると硬化を促進する効果が現れない場合があり、前記上限値を超えるとプリプレグの保存性が低下する場合がある。
前記樹脂組成物では、上記シアネート樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂等に加えて、ビニルエステル樹脂、メラミン樹脂等の他の熱硬化性樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂等の熱可塑性樹脂と併用しても良い。
また、前記樹脂組成物には、必要に応じて、顔料、酸化防止剤等の上記成分以外の添加物を添加することが出来る。
このような樹脂組成物を繊維基材に含浸してプリプレグを得るが、その繊維基材としては、例えばガラス織布、ガラス不織布等のガラス繊維基材、あるいはガラス以外の無機化合物を成分とする織布または不織布等の無機繊維基材、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等の有機繊維で構成される有機繊維基材等が挙げられる。これら繊維基材の中でも強度、吸水率の点でガラス織布に代表されるガラス繊維基材が好ましい。
前記ガラス繊維基材を構成するガラスとしては、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、Hガラス等が挙げられる。これらの中でもTガラスが好ましい。これにより、ガラス繊維基材の熱膨張係数を小さくすることができ、それによってプリプレグの熱膨張係数を小さくすることができる。
前記繊維基材(特にガラス繊維基材)の厚さは、特に限定されないが、10〜300μmが好ましく、特に15〜100μmが好ましい。厚さが前記範囲内であると、比較的薄いプリプレグにおいてもプリプレグの面方向の異方性(面方向での熱膨張差)を小さくすることができる。
前記繊維基材としては、織布、不織布に大別されるが、これらの中でも織布が好ましく、特に縦糸と横糸とが平織りされている織布で構成されているもの(特にガラス繊維基材)が好ましい。これにより、前記繊維基材の面上で互いに直交するX、Y方向を設定したとき、各X、Y方向での熱膨張係数を小さくすることができ、それによって得られる前記プリプレグのX、Y方向の熱膨張係数を小さくすることができる。
前記ガラス繊維基材は平織りされているものが好ましいが、その場合、ガラス繊維基材を構成する縦糸の織密度および横糸の織密度は、ほぼ同じであることが好ましい。具体的には、縦糸の織密度および横糸の織密度との差が20本/インチ以下で、特に15本/インチ以下であることが好ましい。これにより、X、Y方向の熱膨張係数の差を特に小さくすることができる。
前記繊維基材の30〜150℃での熱膨張係数は、特に限定されないが、10ppm以下であることが好ましく、特に0.1〜5ppmであることが好ましい。熱膨張係数が前記範囲内であると、特にプリプレグの熱膨張係数を小さくすることができ、それによって回路基板とした場合に半導体素子との熱膨張係数の差を小さくすることができる。回路基板と、半導体素子との熱膨張係数の差が小さくなると、接続部へ生じる応力等を小さくでき、それによって接続信頼性を向上することができる。
前記樹脂組成物を前記繊維基材に含浸させる方法は、例えば前記樹脂組成物を溶媒に溶解して得られる樹脂ワニスに前記繊維基材を浸漬する方法、各種コーターによる塗布する方法、前記樹脂ワニスをスプレーにより吹き付ける方法等が挙げられる。これらの中でも、前記繊維基材を樹脂ワニスに浸漬する方法が好ましい。これにより、前記繊維基材に対する前記樹脂組成物の含浸性を向上させることができる。なお、前記繊維基材を樹脂ワニスに浸漬する場合、通常の含浸塗布設備を使用することができる。
前記樹脂ワニスに用いられる溶媒は、前記樹脂組成物に対して良好な溶解性を示すことが望ましいが、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒を使用しても構わない。良好な溶解性を示す溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
前記樹脂ワニスの固形分は、特に限定されないが、前記樹脂組成物の固形分30〜80重量%が好ましく、特に40〜70重量%が好ましい。これにより、樹脂ワニスの繊維基材への含浸性を向上させることができる。
前記繊維基材に前記樹脂組成物を含浸させ、例えば80〜200℃で乾燥させることによりプリプレグを得ることが出来る。
このようにして得られるプリプレグの厚さについては、使用する繊維基材、その繊維基材に付着させる樹脂量、乾燥条件等を調整することで所定の厚さとすることができる。
また回路基板の絶縁層の厚さをどれぐらいに設定するかによって、必要なプリプレグの厚さが決定される。
前記プリプレグの厚さは、特に限定されないが、0.01〜1mmが好ましく、特に0.02〜0.2mm、さらには0.02〜0.1mmが好ましい。厚さが前記範囲内であると、比較的薄いプリプレグにおいても、プリプレグの面方向の異方性を小さくすることができる。
このようにして得られたプリプレグは、その面方向(図1)で熱膨張係数の異方性が小さいことが好ましい。プリプレグの面上で互いに直交するX、Y方向を任意に設定できるが、ここでは平織りの繊維基材の縦糸方向をX方向、横糸方向をY方向とした場合について説明する。
前記プリプレグを硬化してなる硬化物の30〜150℃での、前記X方向の熱膨張係数[Ax]が10ppm以下であり、かつ前記Y方向の熱膨張係数[Ay]が10ppm以下であることを特徴とする。これにより、前記プリプレグを用いた回路基板の面方向における熱膨張係数の等方性が向上でき、それによって回路配線パターンの自由度を広げることができる。
従来の回路基板では、回路基板を構成するプリプレグの面方向(2次元方向)の異方性(面方向での熱膨張差)があるため、回路配線パターンもそれを考慮して設計する必要があった。例えば、熱膨張が大きい方向に沿って配線間ピッチが20μm以下の微細な回路の配線を形成すると、回路がずれてしまうことがあった。したがって、線幅を太くしたり、配線間ピッチを大きくしたりする必要があった。
これに対して、本発明のプリプレグを用いると面方向での異方性を低減することができる。ゆえに、回路配線をどのように設計しても熱膨張係数の差が小さいので、従来のように回路のずれ等を考慮すること無く、自由に配線できる。また、回路基板の方向性を考慮して配線間ピッチを変更する必要も無くなる。
すなわち、図4ないし図6に示すように回路配線の方向を自由に設計することができる。
前記プリプレグを硬化してなる硬化物の30〜150℃での前記X方向の熱膨張係数[Ax]は、より具体的には8ppm以下であることが好ましく、特に3〜6ppmであることが好ましい。
また、前記プリプレグを硬化してなる硬化物の30〜150℃での前記Y方向の熱膨張係数[Ay]は、より具体的には8ppm以下であることが好ましく、特に3〜6ppmであることが好ましい。
さらには、前記プリプレグを硬化してなる硬化物の30〜150℃での、前記X方向の熱膨張係数[Ax]は、より具体的には8ppm以下であることが好ましく、特に3〜6ppmであることが好ましく、かつ前記Y方向の熱膨張係数[Ay]は、より具体的には8ppm以下であることが好ましく、特に3〜6ppmであることが好ましい。これにより、半導体素子と前記プリプレグで構成されている基板との熱膨張差を小さくすることができ、それによって接続信頼性をより向上できる。
このように前記プリプレグの硬化物の前記X、Y方向の熱膨張係数を上述のような値とした場合に半導体素子と、基板との接続信頼性を向上できる理由は以下のように考えられる。
半導体素子の熱膨張係数(X、Y方向共に)は、およそ3.5ppm/℃である。ゆえに、この半導体素子を搭載する回路基板(半導体素子搭載用基板)のX、Y方向の熱膨張係数と前記半導体素子の熱膨張係数との差が小さくなると、半導体素子と回路基板との間に熱膨張係数の差によって生じる応力、反りが軽減する。応力等が軽減すると、耐熱衝撃性が向上し、その結果として接続信頼性が向上する。
また、前記X方向の熱膨張係数[Ax]と、前記Y方向の熱膨張係数[Ay]との差の絶対値は、特に限定されないが、5ppm以下であることが好ましく、特に1〜4ppmであることが好ましい。差が前記範囲内であると、接続信頼性に優れることに加え、回路設計の自由度が特に向上する。
前記熱膨張係数は、熱機械分析(TMA)装置を用いて、JIS K−7197に記載される方法にて測定することができる。具体的には、測定試料をステージにセットし、一定荷重の負荷をかけ、等速で昇温し、生じる膨張量を差動トランスで電気的出力として検出し、温度との関係を調べる。
また、前記プリプレグを硬化してなる硬化物の30〜150℃での面方向の熱膨張係数は、特に限定されないが、10ppm以下であることが好ましく、特に2〜5ppmであることが好ましい。熱膨張係数が前記範囲内であると、半導体素子と回路基板との接続信頼性を向上することができる。
ここで面方向とは、プリプレグの流れ方向(プリプレグの機械方向)を示す縦方向と、プリプレグの幅方向(プリプレグの反機械方向)を示す横方向を意味するものである。
前記プリプレグの硬化物とは、プリプレグを構成する樹脂の官能基の反応が完結した状態を意味し、例えばDSCで発熱量を測定することにより評価することができる。具体的には、DSCで測定した発熱量がほとんど検出されない状態を意味する。
このようなプリプレグの硬化物を得る条件は、特に限定されないが、120〜220℃×30〜180分間加熱処理することが好ましく、特に150〜200℃×45〜120分間加熱処理することが好ましい。
このように前記プリプレグを硬化してなる硬化物の30〜150℃での、前記X方向の熱膨張係数[Ax]が10ppm以下であり、かつ前記Y方向の熱膨張係数[Ay]が10ppm以下とすることにより、性能に優れる回路基板を得ることができる。このようなプリプレグを得る方法として、上述したようにシアネート樹脂と無機充填材との割合の変更、熱膨張係数の小さい繊維基材の選択等を挙げることができる。
以上のように前記プリプレグについて、縦糸および横糸で織られてなる平織りの繊維基材の例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、不織布、綾織、朱子、各種編物等であって良い。これらの繊維基材であっても任意に設定したX、Y方向での熱膨張係数が前記範囲内であることが好ましい。
次に、上述のプリプレグ(図1)を用いた回路基板について説明する。
図2は、加熱・加圧前の回路基板を模式的に示した側面図である。
図2に示すように上述したプリプレグ1(1a、1b、1c、1d)複数枚と、プリプレグ1の片面に金属層2とを積層した後、加熱・加圧して図3に示すような回路基板10を得る。これにより、回路配線のパターンの自由度が広い回路基板10を得ることができる。
前記加熱する温度は、特に限定されないが、120〜220℃が好ましく、特に150〜200℃が好ましい。
前記加圧する圧力は、特に限定されないが、1.5〜5MPaが好ましく、特に2〜4MPaが好ましい。
また、必要に応じて高温漕等で150〜300℃の温度で後硬化を行ってもかまわない。
金属層2を構成する金属は、例えば銅または銅系合金、アルミまたはアルミ系合金、鉄または鉄系合金が挙げられる。
そして、図3の回路基板10の金属層2にエッチング処理等を施すことにより図4〜図6に示すような回路配線21を形成する。
図3の回路基板では、複数のプリプレグ1を用いた場合について説明したが、1枚のプリプレグで回路基板を作製しても良い。
また、図3の回路基板では、プリプレグ1の片面のみに金属層2が設けられていたが、両面に設けられていても良い。
このような回路基板10の厚さは、特に限定されないが、0.01〜1mmが好ましく、特に0.02〜0.2mm、さらには0.02〜0.1mmが好ましい。厚さが前記範囲内であると、比較的薄い回路基板10においても、回路基板10の面方向の異方性を小さくすることができる。
次に、半導体装置について説明する。
図7に示すように半導体装置100は、上述した回路基板10に設けられた回路配線21に半導体素子4を、半田ボール41を介して搭載して得られる。
従来の回路基板では、面方向での熱膨張係数の異方性により接続信頼性が不十分となる場合があった。そこで、半導体素子と回路基板との間にアンダーフィルと呼ばれる絶縁樹脂を充填して、接続部分を封止、補強していた。
これに対して、本発明の回路基板10を用いると、面方向での熱膨張係数の異方性が小さいことに加え、その値も小さいので半導体素子と回路基板との間にアンダーフィルを充填すること無く接続信頼性を向上することができるものである。また、アンダーフィルを用いたとしても、そのアンダーフィルは封止する機能を優先して材料の条件を選択すれば良いので(すなわち、補強効果を奏することを要しない)、アンダーフィルの条件等を考慮して選択する際にその範囲を広げることができる。
図4では、半田ボール41を用いて半導体素子4と回路配線21とを接続している実施形態を説明したが、本発明の半導体装置はこれに限定されず、例えばリードフレーム等で半導体素子と回路基板とが接続されていても良い。
以下、本発明を実施例および比較例により詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。まず、プリント配線板(回路基板)について説明する。
(実施例1)
(1)樹脂ワニスの調製
シアネート樹脂としてノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン社製、プリマセット PT−60、重量平均分子量約2,600)15重量%(以下、%と略す)、エポキシ樹脂としてビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(日本化薬社製、NC−3000P、エポキシ当量275)8%、フェノール樹脂としてビフェニルジメチレン型フェノール樹脂(明和化成社製、MEH−7851−S、水酸基当量203)7%およびカップリング剤としてエポキシシラン型カップリング剤(日本ユニカー社製、A−187)を後述する無機充填材100重量部に対して0.3重量部(以下、部と略す)をメチルエチルケトンに常温で溶解し、無機充填材として球状溶融シリカSFP−10X(電気化学工業社製、平均粒径0.3μm)20%および球状溶融シリカSO−32R(アドマテックス社製、平均粒径1.5μm)50%を添加し、高速攪拌機を用いて10分攪拌して樹脂ワニスを調製した。
(2)プリプレグの製造
上述の樹脂ワニスをガラス織布(Eガラスで構成されている平織りの基材、厚さ100μm、縦糸の織密度60本/インチ、横糸の織密度58本/インチ、日東紡績社製、WEA−116E、室温から250℃での熱膨張係数6ppm/℃)に含浸し、120℃の加熱炉で2分間乾燥してワニス固形分(プリプレグ中に樹脂とシリカの占める割合)が約50%のプリプレグを得た。
なお、このプリプレグを200℃×30分間処理して得られた硬化物の面上での30〜150℃での、前記X方向(ガラス織布の縦方向)の熱膨張係数[Ax]は6ppmであり、かつ前記Y方向(ガラス織布の横方向)の熱膨張係数[Ay]は8ppmであった。 ここで、熱膨張係数は、次のように行なった。硬化したプリプレグから縦・横方向それぞれ4mm×20mmのテストピースを切り出し、熱機械分析装置(TAインスツルメント社製TMA2940)を用いてX(縦)・Y(横)方向の熱膨張係数を5℃/分で測定
した。
(3)プリント配線板(回路基板)の製造
上述のプリプレグを1枚、両面に18μmの銅箔を重ねて、圧力4MPa、温度200
℃で2時間加熱加圧成形することによって0.1mmの両面銅張りプリント配線板を得た
。他の厚さのプリント配線基板は、プリプレグをそれに応じた枚数積層する事によって得
た。
(実施例2)
ガラス織布をWEA−05E(Eガラスで構成されている平織りの基材、厚さ53μm、縦糸の織密度60本/インチ、横糸の織密度47本/インチ、日東紡績社製、室温から250℃での熱膨張係数6ppm/℃)に代えた以外は、実施例1と同様にした。
なお、このプリプレグを230℃×30分間処理して得られた硬化物の面上での30〜150℃での、前記X方向(ガラス織布の縦方向)の熱膨張係数[Ax]は6ppmであり、かつ前記Y方向(ガラス織布の横方向)の熱膨張係数[Ay]は7ppmであった。
(実施例3)
ガラス織布をWTX−116E(Tガラスで構成されている平織りの基材、厚さ100μm、縦糸の織密度60本/インチ、横糸の織密度58本/インチ、日東紡績社製、室温から250℃での熱膨張係数3ppm/℃)に代えて、樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様にした。
ノボラック型シアネート樹脂(プリマセット PT−60)20%、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(NC−3000P)11%、ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂(MEH−7851−S)9%およびエポキシシラン型カップリング剤(A−187)0.3部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、球状溶融シリカSFP−10X(電気化学工業社製、平均粒径0.3μm)10%および球状溶融シリカSO−32R(アドマテックス社製、平均粒径1.5μm)50%を添加した。
なお、このプリプレグを230℃×30分間処理して得られた硬化物の面上での30〜150℃での、前記X方向(ガラス織布の縦方向)の熱膨張係数[Ax]は5ppmであり、かつ前記Y方向(ガラス織布の横方向)の熱膨張係数[Ay]は6ppmであった。
(実施例4)
ガラス織布をWTX−05E(Tガラスで構成されている平織りの基材、厚さ53μm、縦糸の織密度60本/インチ、横糸の織密度47本/インチ、日東紡績社製、室温から250℃での熱膨張係数3ppm/℃)に代えた以外は、実施例3と同様にした。
なお、このプリプレグを200℃×30分間処理して得られた硬化物の面上での30〜150℃での、前記X方向の熱膨張係数[Ax]は5ppmであり、かつ前記Y方向の熱膨張係数[Ay]は7ppmであった。
(実施例5)
樹脂ワニスの配合を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
ノボラック型シアネート樹脂(プリマセット PT−60)5%、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(NC−3000P)20%、ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂(MEH−7851−S)15%、及びエポキシシラン型カップリング剤(A−187)0.3部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、球状溶融シリカ(SFP−10X)10%および球状溶融シリカ(SO−32R)50%を添加した。
なお、このプリプレグを200℃×30分間処理して得られた硬化物の面上での30〜150℃での、前記X方向の熱膨張係数[Ax]は9ppmであり、かつ前記Y方向の熱膨張係数[Ay]は10ppmであった。
(実施例6)
ガラス織布をWTX116E(厚み100μm、日東紡績社製)とし、シアネート樹脂としてビスフェノールA型シアネート樹脂(Acrocy B−30、住友化学社製)を用いた以外は、実施例1と同様にした。
なお、このプリプレグを200℃×30分間処理して得られた硬化物の面上での30〜150℃での、前記X方向の熱膨張係数[Ax]は7ppmであり、かつ前記Y方向の熱膨張係数[Ay]は9ppmであった。
(実施例7)
ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂を以下の通りにした以外は、実施例3と同様にした。ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂に代えて、ノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業社製、エピクロン N−775、エポキシ当量190)を用いた。
なお、このプリプレグを200℃×30分間処理して得られた硬化物の面上での30〜150℃での、前記X方向の熱膨張係数[Ax]は8ppmであり、かつ前記Y方向の熱膨張係数[Ay]は9ppmであった。
(実施例8)
ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂およびガラス織布を以下の通りにした以外は、実施例4と同様にした。ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂に代えて、ノボラック樹脂(住友ベークライト社製、PR−51714、水酸基当量103)を用い、ガラス織布(WTX−05E)に代えて、ガラス織布(WEA−116E)を用いた。
なお、このプリプレグを200℃×30分間処理して得られた硬化物の面上での30〜150℃での、前記X方向の熱膨張係数[Ax]は8ppmであり、かつ前記Y方向の熱膨張係数[Ay]は9ppmであった。
(実施例9)
球状溶融シリカを以下の通りにした以外は、実施例3と同様にした。球状溶融シリカSFP−10XおよびSO−32Rに代えて、FB−5SDX(電気化学工業社製、平均粒径5μm)を用いた。
なお、このプリプレグを200℃×30分間処理して得られた硬化物の面上での30〜150℃での、前記X方向の熱膨張係数[Ax]は7ppmであり、かつ前記Y方向の熱膨張係数[Ay]は8ppmであった。
(比較例1)
樹脂ワニスの配合を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(NC−3000P)23%、ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂(MEH−7851−S)17%、硬化助剤2−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2MZ)0.4部およびエポキシシラン型カップリング剤(A−187)0.3部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、球状溶融シリカ(SFP−10X)10%および球状溶融シリカ(SO−32R)50%を添加した。
なお、このプリプレグを200℃×30分間処理して得られた硬化物の面上での30〜150℃での、前記X方向の熱膨張係数[Ax]は14ppmであり、かつ前記Y方向の熱膨張係数[Ay]は16ppmであった。
(比較例2)
樹脂ワニスの配合を以下の通りにした以外は、実施例3と同様にした。
ノボラック型シアネート樹脂(プリマセット PT−60)20%、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(NC−3000P)28%、ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂(MEH−7851−S)22%、球状溶融シリカ(SFP−10X)10%及び球状溶融シリカ(SO−32R)20%を添加した。
なお、このプリプレグを200℃×30分間処理して得られた硬化物の面上での30〜150℃での、前記X方向の熱膨張係数[Ax]は16ppmであり、かつ前記Y方向の熱膨張係数[Ay]は18ppmであった。
実施例および比較例で得られたプリント配線板について、以下の評価を行った。評価項目を、評価方法と共に示す。得られた結果を表1に示す。
1.反り量
厚さ0.4mmのプリント配線を作製し、一辺に44個、0.2mm間隔のバンプ(0.1mm径、SnAg)を介して、TEGチップ(一辺10mm、厚さ0.55mm)を搭載し、チップの反り量を測定した。
2.ガラス転移温度
厚さ0.6mmのプリント配線板を全面エッチングし、得られた積層板から10mm×60mmのテストピースを切り出し、TAインスツルメント社製動的粘弾性測定装置DMA983を用いて3℃/分で昇温し、tanδのピーク位置をガラス転移温度とした。
3.難燃性
UL−94規格に従い、1.0mm厚のテストピースを垂直法により測定した。
4.吸水率
厚さ0.6mmの両面プリント配線板を全面エッチングし、得られた積層板から50mm×50mmのテストピースを切り出し、JIS C6481に従い測定した。
5.吸湿半田耐熱性
厚さ0.6mmの両面プリント配線板から50mm×50mmに切り出し、JIS C 6481に従い半面エッチングを行ってテストピースを作成した。125℃のプレッシャークッカーで処理した後、260℃の半田槽に銅箔面を下にして浮かべ、180秒後に膨れが発生する処理時間を計測した。
6.回路配線の設計
回路配線の設計の自由度は、銅箔をエッチングしてテストパターンを形成して加熱処理後のパターンのずれ等を評価した。各符号は、以下の通りである。
◎:配線のずれが、配線幅の1/3以下である。
○:配線のずれが、配線幅の1/3を超え、1/2以下である。
△:配線のずれが、配線幅の1/2を超え、2/3以下である。
×:配線のずれが、配線幅の2/3を超える。
Figure 0005835401
表1から明らかなように、実施例1〜9は、反り量が小さく、回路配線の設計の自由度が高かった。
また、実施例1〜9は、ガラス転移温度が高く、難燃性も高かった。
また、実施例1〜6および実施例8〜9は、吸水率が低く、吸湿半田耐熱性にも優れていた。
次に、半導体装置の実施例および比較例について説明する。
実施例1〜9および比較例1、2で得られた回路基板に、Pb36重量%−Sn64重量%の共晶半田ペーストを印刷法にて印刷した。接続部の大きさはφ0.08mm、ピッチ0.16mmにてマトリックス状に配設した。
その後、一辺に44個、0.16mm間隔、φ0.08mmの共晶半田ボールを介して、TEGチップ(一辺10mm、厚さ0.55mm)を位置合わせして載置し、リフロー処理を行い、半導体装置を作製した。
得られた半導体装置について、接続信頼性を評価したところ実施例1〜9で得られた半導体装置については優れた接続信頼性が確認された。
本発明のプリプレグは回路基板に好適に用いることができ、特に半導体素子が搭載される半導体素子搭載用回路基板に好適に用いることができる。
本発明の半導体装置は、高い接続信頼性が要求されるような用途に好適に用いることができる。
以下、参考形態の一例を付記する。
<1>
シアネート樹脂と、無機充填材とを含む樹脂組成物を繊維基材に含浸させてなるプリプレグであって、
前記プリプレグの面上で互いに直行するX、Y方向を設定したとき、前記プリプレグを硬化してなる硬化物の30〜150℃での、前記X方向の熱膨張係数[Ax]が10ppm/℃以下であり、かつ前記Y方向の熱膨張係数[Ay]が10ppm/℃以下であることを特徴とするプリプレグ。
<2>
前記繊維基材は、縦糸と横糸とを平織りしたものである<1>に記載のプリプレグ。
<3>
前記X方向は前記繊維基材を構成する繊維の縦糸方向であり、前記Y方向は前記繊維基材を構成する繊維の横糸方向である<1>または<2>に記載のプリプレグ。
<4>
前記X方向の熱膨張係数[Ax]と、前記Y方向の熱膨張係数[Ay]との差の絶対値が5ppm/℃以下である<1>ないし<3>のいずれかに記載のプリプレグ。
<5>
前記繊維基材を構成する主な繊維は、ガラス繊維である<1>ないし<4>のいずれかに記載のプリプレグ。
<6>
前記ガラス繊維を構成するガラスは、Tガラスである<5>に記載のプリプレグ。
<7>
前記無機充填材の含有量は、前記樹脂組成物全体の50〜80重量%である<1>ないし<6>のいずれかに記載のプリプレグ。
<8>
<1>ないし<7>のいずれかに記載のプリプレグの硬化物を有する回路基板。
<9>
<8>に記載の回路基板に半導体素子が搭載されていることを特徴とする半導体装置。
1 プリプレグ
1a プリプレグ
1b プリプレグ
1c プリプレグ
1d プリプレグ
2 金属層
21 回路配線
4 半導体素子
41 半田ボール
10 回路基板
100 半導体装置

Claims (12)

  1. シアネート樹脂と、無機充填材とを含む樹脂組成物を繊維基材に含浸させてなるプリプレグであって、
    前記プリプレグの厚さが、0.02〜0.1mmであり、
    前記無機充填材が、溶融シリカであり、
    前記プリプレグの面上で互いに直行するX、Y方向を設定したとき、前記プリプレグを硬化してなる硬化物の30〜150℃での、前記X方向の熱膨張係数[Ax]が10ppm/℃以下であり、かつ前記Y方向の熱膨張係数[Ay]が10ppm/℃以下であることを特徴とするプリプレグ。
  2. 前記繊維基材の厚さが、10〜00μmである請求項1に記載のプリプレグ。
  3. 前記繊維基材は、縦糸と横糸とを平織りしたものである請求項1または2に記載のプリプレグ。
  4. 前記X方向は前記繊維基材を構成する繊維の縦糸方向であり、前記Y方向は前記繊維基材を構成する繊維の横糸方向である請求項1ないし3のいずれかに記載のプリプレグ。
  5. 前記X方向の熱膨張係数[Ax]と、前記Y方向の熱膨張係数[Ay]との差の絶対値が5ppm/℃以下である請求項1ないし4のいずれかに記載のプリプレグ。
  6. 前記繊維基材を構成する主な繊維は、ガラス繊維である請求項1ないし5のいずれかに記載のプリプレグ。
  7. 前記ガラス繊維を構成するガラスは、Tガラスである請求項6に記載のプリプレグ。
  8. 前記シアネート樹脂の含有量は、前記樹脂組成物全体の5〜60重量%である請求項1ないし7のいずれかに記載のプリプレグ。
  9. 前記無機充填材の含有量は、前記樹脂組成物全体の50〜80重量%である請求項1ないし8のいずれかに記載のプリプレグ。
  10. 前記樹脂組成物は、エポキシ樹脂をさらに含む、請求項1ないし9のいずれかに記載のプリプレグ。
  11. 請求項1ないし10のいずれかに記載のプリプレグの硬化物を有する回路基板。
  12. 請求項11に記載の回路基板に半導体素子が搭載されていることを特徴とする半導体装置。
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