JP2010093036A - 超電導コイル、超電導マグネット、エポキシ樹脂ワニスおよびその製造方法 - Google Patents

超電導コイル、超電導マグネット、エポキシ樹脂ワニスおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 熱サイクルを繰り返してもクラックの発生しにくい構造の超電導コイルを提供する。
【解決手段】 本発明は、酸化物超電導材料を含む超電導線材をパンケーキコイル状に巻回してあるとともに、エポキシ樹脂組成物により含浸硬化させてある超電導コイルにおいて、前記エポキシ樹脂組成物中に長径の平均粒径が1μm以下のセラミック粒子が含まれていることを特徴とする超電導コイルである。また前記セラミック粒子はh−BN(ヘキサゴナル−ボロンナイトライド)、ZnO、AlN、Alのいずれか1つ以上であることが好ましい。
【選択図】図3

Description

この発明は超電導コイルに関し、さらにその超電導コイルを補強するためのエポキシ樹脂ワニスに関する。
セラミックス系超電導体として知られている高温超電導材料は、これを金属被覆した状態で、塑性加工することにより、薄いテープ状となるように強加工し、このような塑性加工と熱処理とを組合せることにより、高い臨界電流密度が得られることがわかっている。また金属基板上に薄膜として超電導材料を形成するテープ状線材も作製されている。これらのようなテープ状の高温超電導線材をコイルに応用しようとするには、パンケーキコイル状に巻線するのが適当である。
このようなパンケーキ状超電導コイルの製造方法は、たとえば特開平4−106906号(特許文献1)に記載されている。特許文献1においては、磁場励磁時にかかる応力に対抗できる構造を実現するために、ダブルパンケーキ状に巻線された巻線をエポキシ樹脂で含浸している。またこのエポキシ樹脂にガラス繊維や粉末を含ませることによってさらなる強化を図っている。
特開平4−106906号公報
上記の技術によって励磁時における応力に対しては強い構造が実現できるが、これとは別の課題が存在している。その課題は以下のとおりである。超電導コイルは冷却して運転される。超電導コイルを77.3K(液体窒素温度)あるいは20K(冷凍機冷却温度)に冷却、常温に戻すサイクルを繰り返すと、超電導線材の熱収縮率に比べ、含浸したエポキシ樹脂の熱収縮率が大きいため、その熱収縮差により、エポキシ樹脂にクラック(亀裂)が入ることがある。このクラック部分は応力のかかり方が他の正常な部分とは異なるため、クラック部と接している超電導コイル部分においても異常な応力がかかる。そのような部分では超電導コイルの性能が局所的に劣化しやすい。劣化した超電導コイルに電流を流したときに異常な発熱が生じ、クエンチ現象を引き起こす。本発明は、熱サイクルを繰り返してもクラックの発生しにくい構造の超電導コイルを提供する。
本発明は、酸化物超電導材料を含む超電導線材をパンケーキコイル状に巻回してあるとともに、エポキシ樹脂組成物により含浸硬化させてある超電導コイルにおいて、前記エポキシ樹脂組成物中に長径の平均粒径が1μm以下のセラミック粒子が含まれていることを特徴とする超電導コイルである。
超電導コイルをエポキシ樹脂組成物で含浸硬化することで、超電導コイルを補強する。セラミック粒子はエポキシ樹脂に比べ、熱収縮率が小さく超電導線材より小さい。(熱収縮率:エポキシ樹脂〜10−4/K、超電導線材〜10−6/K)そのため含浸するエポキシ樹脂組成物にセラミック粒子を含有させることで、エポキシ樹脂組成物の熱収縮率を超電導線材に近づけることができる。また含有させるセラミック粒子の長径の平均粒径を1μm以下とすることで、非常に小さい粒子がエポキシ樹脂中に分散することになる。小さくすることで、同じ量のセラミック粒子を使用したとしても、粒子の絶対数が多くなり、かつ表面積が大きくなる。つまりセラミック粒子を、エポキシ樹脂中により均一(局在せず)に、数多くかつ表面積を大きくして存在させることが出来る。これは二つの効果を生じる。一つはより均一に存在することで、熱収縮率が微視的にも均一化される。大きな粒子が局在していれば、粒子の存在しない部分の熱収縮率はエポキシ樹脂そのものの値に近くなる。そのためそのような部分はクラックを発生しやすい。一方微視的に見ても必ず粒子が存在していれば、その部分の熱収縮率は小さくなり、クラックを生じにくい。
第二の効果はセラミック粒子の存在がクラックの伝搬を防止することである。クラックは伝搬して、大きく成長する。しかしその伝搬路に進路を邪魔する存在(セラミック粒子)があれば伝搬が止まる。この現象においても、セラミック粒子が数多く存在している方が、クラックが伝搬する際にセラミック粒子と遭遇する確率が高い。このため伝搬が短い経路で終了し、小さいクラックとなる。つまりたとえ、クラックが発生しても小さい状態で止まるため超電導コイルへの影響も小さいものとすることができる。
本発明において、セラミック粒子はh−BN(ヘキサゴナル−ボロンナイトライド)、ZnO、AlN、Alのいずれか1つ以上であることが好ましい。これらの粒子は、熱収縮率が小さい。またこれらは、微粒子を製造しやすい。これらの中でh−BNは4.5×10−6/Kと熱収縮率が小さく、熱伝導性が良好なため添加剤として特に好ましい。
本発明において、前記エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂成分とセラミック粒子の体積割合(セラミック粒子/(セラミック粒子+樹脂成分))が1%以上20%以下であることが好ましい。セラミック粒子が体積割合で1%未満であると、量が少なすぎて添加剤としての効果が無い。一方、20%を超えると樹脂成分の粘度が高くなり流動性が乏しく、コイル内に含浸しない。
本発明の超電導マグネットは、上記の超電導コイルを複数個用いて構成される。一般的に超電導マグネットはパンケーキ状コイルを複数個積層し、それらを直列に接続し構成されている。上記超電導コイルを使用すれば超電導マグネットとしても熱サイクルに強いものとなる。
また本発明のエポキシ樹脂ワニスは、エポキシ樹脂ワニス中に長径の平均粒径が1μm以下のセラミック粒子が含まれていることを特徴とするものである。また前記セラミック粒子はh−BNであることが好ましい。このエポキシ樹脂ワニスを超電導コイルに含浸硬化させる。
本発明のエポキシ樹脂ワニスの製造方法は、h−BNのセラミック粒子をエチレングリコールと混ぜスラリーを作製するスラリー作製工程と、該スラリーとエポキシ樹脂成分とを混練する混練工程とを備えるものである。エチレングリコールを用いてスラリーを作製すれば、h−BN粒子が均一に分散したスラリーを得ることができる。そのスラリーも用いることでエポキシ樹脂成分中にh−BN粒子を均一に分散させることができる。
前記混練工程において、超音波ホモジナイザーを用いて混練することが好ましい。超音波ホモジナイザーを使用することで凝集粒子を破砕し、より均一な分散状態が得られる。
本発明によれば、熱サイクルを繰り返してもクラックの発生しにくい構造の超電導コイルを得ることができる。
(実施の形態)
本発明の超電導コイルに用いられる超電導線材には、Bi系超電導線材やテープ状薄膜RE123超電導線材があげられる。Bi系超電導線材は、長手方向に伸びる複数本の酸化物超電導体フィラメントと、それらを被覆するシース部とを有している。複数本の酸化物超電導体フィラメントの各々の材質は、(Bi、Pb):Sr:Ca:Cuの原子比がほぼ2:2:2:3の比率で近似して表されるBi2223相、あるいは(Bi、Pb):Sr:Ca:Cuの原子比がほぼ2:2:1:2の比率で近似して表されるBi2212相からなっている。シース部の材質は、例えば銀や銀合金等の金属から構成される
テープ状薄膜RE123超電導線材は、REBaCu(xは7に近い数)の化学式で表わされる酸化物超電導体を含む。RE(Rare Earth:レアアース)の部分にはY、Ho、Nd、Sm、Dy、Eu、La、Tm等の希土類元素の一つかあるいは、その混合体が配される。テープ状薄膜RE123超電導線材は、基板として金属配向基板と、金属配向基板上に形成された中間層と、中間層上に形成された超電導薄膜層と、超電導薄膜層を保護するための安定化層と、全体を保護し導電性をあげるための保護層からなる。
金属配向基板としては、例えばNi配向基板、Ni合金系の配向基板等を選択できる。中間層は、例えばCeOやYSZ(イットリウム安定化ジルコニア)等の酸化物を採用できる。超電導薄膜層としては例えばYBaCu(xは7に近い数)などの、RE123系超電導材料が選択される。安定化層と保護層としては、Ag(銀)やCu(銅)が用いられる。
超電導コイルは上記のBi系超電導線材、テープ状薄膜RE123超電導線材あるいはそれらを複合し用いて構成される。一般的に上記超電導線材はテープ形状をしているため、シングルパンケーキ状あるいはダブルパンケーキ状に巻回されてコイル形状にされる。
パンケーキ状にされた超電導コイルを、長径の平均粒径が1μm以下のセラミック粒子を含むエポキシ樹脂組成物で含浸硬化する。含浸硬化することによって、コイル全体が樹脂組成物により一体的に包囲され、電磁力に対しても線材同士の相対位置関係を正確に維持させ続けることができ、安定した磁界を形成することができる。
本発明で使用されるエポキシ樹脂成分は常温で液状を呈し、エポキシ当量が110〜300程度のエポキシ樹脂である。その具体例としては例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、レゾルシンのジグリシジルエーテルエポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ポリブタジエン両末端グリシジルエーテルエポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
樹脂成分に添加されるセラミック粒子としては、h−BN、ZnO、AlN、Al、SiO、ZrO、MgO等、エポキシ樹脂成分より熱収縮率が小さいものであればよい。またこれらを複合して使用してもよい。このセラミック粒子において重要なことは微粒子であること、すなわち長径の平均粒径が1μm以下となっていることである。セラミック粒子の形状としては、球状の等方的形状もあれば、繊維状、柱状等の異方形状のものも採用できる。そこで、どのような形状の粒子を採用した場合でも、最も長い方向(長径)の大きさの平均値が1μm以下であれば本発明に適する微粒子となる。
平均粒径が1μm以下の微粒子を用いることの効果のひとつを、図を用いて説明する。図1は樹脂で含浸する前のシングルパンケーキ状コイルを模式的に表した斜視図である。図1において超電導線材11が巻回されている。これを樹脂で含浸し、図1のA−A’断面において見た図が図2、図3である。図2は従来の樹脂で含浸された超電導コイルの断面模式図である。図3は本発明の樹脂で含浸された超電導コイルの断面模式図である。まず図2について説明する。超電導コイル10は超電導線材11がパンケーキ状に巻回されている。超電導線材11を覆うように、エポキシ樹脂成分12が含浸される。エポキシ樹脂は線材間にも充填される。従来の樹脂では、添加されたセラミック粒子13の径が大きく、セラミック粒子13間の間隔も広い。このような状態の超電導コイル10にヒートサイクルを与えて、クラック14が発生した場合、クラック14はセラミック粒子13や超電導線材11とぶつかった時点でその成長が止まる。図2においては、セラミック粒子13間の間隔が大きいため、クラック14も長いものとなり、超電導線材11へも伝搬しやすい。
図3の本発明の超電導コイル10においては、微細なセラミック粒子13が、エポキシ樹脂成分12中に多数、間隔を狭くして分散している。図2と図3において、セラミック粒子13の総面積(実際のエポキシ樹脂中では総体積)が同じになるように描かれている。つまり同じ分量のセラミック粒子が存在している状態を表している。本発明の超電導コイルでは、セラミック粒子12が多数、互いの間隔が狭く存在しているため、ある部分で発生したクラック14はすぐに、セラミック粒子13と遭遇するため、大きなクラックへは成長しない。本発明の超電導コイルではクラックが発生したとしても、小さい状態で止まるため超電導線材11へも伝搬しにくい。
好ましいセラミック粒子としては、h−BN、ZnO、AlN、Alがあげられる。これらは熱収縮率が特に小さいので、少量の添加でも効果が大きい。これらの中でも特にh−BNが好ましい。h−BNは4.5×10−6/Kと熱収縮率が小さい。さらに熱伝導性も他のセラミックに比べ高いため、エポキシ樹脂組成物を介しても、超電導コイルの冷却が良好となる。
エポキシ樹脂成分とセラミック粒子の混合されたエポキシ樹脂組成物において、それらの体積割合(セラミック粒子/(セラミック粒子+樹脂成分))が1%以上20%以下であることが好ましい。セラミック粒子が体積割合で1%未満であると、量が少なすぎて添加剤としての効果が無い。一方、20%を超えると樹脂成分の粘度が高くなり流動性が乏しく、線材間の隙間に入りにくく、コイル内に均一に含浸しない。
本発明において、硬化させる前の樹脂組成物をエポキシ樹脂ワニスとする。エポキシ樹脂ワニスは硬化前のエポキシ樹脂成分に直接、セラミック粒子を添加し混合してもよいし、セラミック粒子を別の溶液で分散させたスラリーを作製し、そのスラリーとエポキシ樹脂成分を混ぜ合わせてもよい。特にセラミック粒子として、h−BNを使用する場合は、溶液としてエチレングリコールを用いてスラリーを作製するのがよい。h−BN粒子は凝集して塊をつくりやすく、そのためエポキシ樹脂成分中、均一に分散しにくい。エチレングリコール中では凝集が起こりにくく、均一に分散したスラリーが得られ、それを用いることによって粒子が均一に分散したエポキシ樹脂ワニスが実現できる。
エポキシ樹脂成分とスラリーの混練において、超音波ホモジナイザーを用いる。これにより凝集している粒子が破砕され、微視的にも均一にセラミック粒子が分散したエポキシ樹脂ワニスが得られる。
超電導コイルは前記したテープ状超電導線材とターン間絶縁用部材、例えばポリイミドテープ材を重ね合わせ巻回し、パンケーキ状のコイルとする。超電導線材自体が絶縁被覆を有していれば絶縁用部材は必要ない。このパンケーキ状コイルを、上記のエポキシ樹脂ワニスと硬化剤を混合したもので含浸させる。その後100℃程度の温度で1〜10時間程度保持しエポキシ樹脂ワニスを硬化させる。このようにして本発明の超電導コイルが作製される。
本発明のコイルは、一つでも使用可能であるが、強力な磁場が欲しい場合や、ある程度長さのある磁場空間が必要な場合は超電導コイルを複数個積層し、コイル間を電気的に直列接続し超電導マグネットとする。冷却に液体窒素等の冷媒を用いる場合は超電導コイル同士を直に積層してもよい。また冷凍機で冷却される場合には、冷却源につながれた熱伝導用の金属板を超電導コイル間に挿入して積層される。
以下、実施例に基づき、本発明をさらに具体的に説明する。
(パンケーキ状コイルの作製)
幅4.3±0.1mm、厚さ0.24±0.01mmの形状を有するBi2223相テープ状Bi超電導線材200mを同じ長さで厚み約15μmのターン間絶縁用ポリイミドテープと重ね合わせる。このように構成された4本の複合材を、それぞれ金属製ボビンのまわりに巻きつけて、内径80mm、外径約270mm、高さ約4.3mmのシングルパンケーキ状コイルを4個作製した。
(エポキシ樹脂ワニスの作製:試験例1および2)
セラミック粒子として、2種の鱗片状h−BNを用意した。ひとつは平均粒径が2μmであり、もう一つは平均粒径が0.8μmである。ここで示された平均粒径は走査電子顕微鏡観察により、約50個の粒子の最も長い径を測定しその平均値を求めたものである。
これらh−BN粒子それぞれとエチレングリコール液を体積比率において約1:3で混合し、約10分程度撹拌して2種のスラリーを得た。このスラリーとビスフェノールA型エポキシ樹脂を体積比率において約1:4で混合した。この混合物はセラミック粒子とエポキシ樹脂成分の体積比率が約6%となっている。この混合物を約30分間超音波ホモジナイザー(MISONIX社製Misonix S4000)を用いて混練し、エポキシ樹脂ワニスを得た。混練する前にあまり粘度が高くて混練しにくい場合は、例えばMEK(メチルエチルケトン)、アセトンなどで希釈した後混練してもよい。このワニスを動的光散乱粒子測定装置で観測したところ、粒径として元の平均粒径に近い0.9μmと2.1μmの値を得た。これからh−BN粒子が凝集していないことが分かる。
(樹脂含浸)
この混練されたエポキシ樹脂ワニスに硬化剤を混合し、予め作製しておいたシングルパンケーキ状コイルに含浸し、100℃の温度で1時間保持し、樹脂を硬化させた。希釈を行った場合は、MEK(沸点80℃)、アセトン(沸点55℃)等は飛散してしまうため後に残らない。平均粒径0.8μmのh−BN粒子が添加された樹脂で含浸したコイルを試験例1とし、平均粒径2μmの粒子が添加された樹脂で含浸されたコイルを試験例2とする。
(ヒートサイクル試験)
作製された超電導コイルを液体窒素に浸漬し、臨界電流値を測定した。試験例1、2とも臨界電流値は110Aであった。ここで臨界電流値は1cmあたり10−6V、200mなので2×10−3Vの電圧が発生した電流とした。測定後、一気に液体窒素から引き上げ、室温で放置して、超電導が常温に戻るまで自然に温度を上昇させた。この操作、液体窒素へ浸漬、液体窒素からの引き上げ、温度上昇を各コイル9回経験させ、10回目の液体窒素への浸漬時に再度、臨界電流値を測定した。試験例1のコイルは臨界電流値が105Aであったが、試験例2のコイルは臨界電流値が60Aになっていた。試験後の超電導コイルを分解し、光学顕微鏡で樹脂部分を観察したところ、試験例1では、10μm長以上のクラックは観察されなかった。一方、試験例2では10μm以上のクラックが多数観察され、中には100μm程度の長さを持つ、大きなクラックも存在していた。
(試験例3および4)
セラミック粒子として、上記の平均粒径0.8μmのh−BN粒子の添加量を変えたエポキシ樹脂ワニスを作製した。エポキシ樹脂ワニスの作製方法は試験例1とほぼ同じであり、スラリーにおけるh−BN粒子とエチレングリコールの比率、およびスラリーとビスフェノールA型エポキシ樹脂の混合比率を変え、セラミック粒子とエポキシ樹脂成分の体積比率が0.5%と25%の2種のエポキシ樹脂ワニスを作製した。
これら2種のエポキシ樹脂ワニスを上記と同じ方法で、シングルパンケーキ状コイルに含浸硬化させた。セラミック粒子とエポキシ樹脂成分の体積比率が0.5%のエポキシ樹脂ワニスを用いた超電導コイルを試験例3とし、25%のエポキシ樹脂ワニスを使用した超電導コイルを試験例4とした。
試験例3および4についても、試験例1と同様のヒートサイクル試験を行った。その結果、初期臨界電流値はいずれも110Aであったが、10回目の冷却後の臨界電流値は試験例3で90A、試験例4で103Aとなった。
試験例1と3を比較して、h−BN粒子の含有量が体積比率で1%より大きいエポキシ樹脂ワニスで含浸した方がヒートサイクルに強いと言える。一方、試験例4においては、ヒートサイクル試験の結果は試験例1とほぼ同等である。しかしながら、ヒートサイクル試験後の超電導コイルを分解して観察したところ、いくつかの箇所でターン間にエポキシ樹脂が充填されていない部位が発見された。h−BN粒子の含有量が体積比率で20%より大きいエポキシ樹脂ワニスを用いた場合は、均一な含浸ができにくいといえる。
今回開示された実施の形態および実施例は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
図1は樹脂で含浸する前のシングルパンケーキ状コイルを模式的に表した斜視図である。 従来の樹脂で含浸された超電導コイルの断面模式図である。 本発明の樹脂で含浸された超電導コイルの断面模式図である。
符号の説明
1 樹脂で含浸する前のシングルパンケーキ状コイル
11 超電導線材
12 エポキシ樹脂成分
13 セラミック粒子
14 クラック

Claims (8)

  1. 酸化物超電導材料を含む超電導線材をパンケーキコイル状に巻回してあるとともに、エポキシ樹脂組成物により含浸硬化させてある超電導コイルにおいて、前記エポキシ樹脂組成物中に長径の平均粒径が1μm以下のセラミック粒子が含まれていることを特徴とする超電導コイル。
  2. 前記セラミック粒子はh−BN、ZnO、AlN、Alのいずれか1つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の超電導コイル。
  3. 前記エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂成分とセラミック粒子の体積割合(セラミック粒子/(セラミック粒子+樹脂成分))が1%以上20%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の超電導コイル。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の超電導コイルを複数用いた超電導マグネット。
  5. 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の超電導コイルを含浸硬化するために使用するエポキシ樹脂ワニスであって、前記エポキシ樹脂ワニス中に長径の平均粒径が1μm以下のセラミック粒子が含まれていることを特徴とするエポキシ樹脂ワニス。
  6. 前記セラミック粒子はh−BNであることを特徴とする請求項5に記載のエポキシ樹脂ワニス。
  7. 請求項6に記載のエポキシ樹脂ワニスの製造方法であって、
    h−BNのセラミック粒子をエチレングリコールと混ぜスラリーを作製するスラリー作製工程と、
    該スラリーとエポキシ樹脂成分とを混練する混練工程とを備えることを特徴とするエポキシ樹脂ワニスの製造方法。
  8. 前記混練工程において、超音波ホモジナイザーを用いて混練することを特徴とする請求項7に記載のエポキシ樹脂ワニスの製造方法。
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