JP2004192934A - 超電導線材およびその製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ホウ素を含む超電導体を充填または内包してなる超電導線材において、磁場中においても実用的な臨界電流密度を有する超電導線材の提供。
【解決手段】ホウ素を含む超電導体を充填または内包してなる超電導線材において、該超電導線材に含まれる超電導物質中に金属粉末が添加され、該金属粉末がインジウム,錫,鉛,鉄,マグネシウム,アルミニウムの少なくとも1種から選ばれ、前記超電導物質中に平均粒径20μm以下の前記金属粉末が5〜25vol%分散され、最終加工後の該超電導線材に含まれる超電導物質の密度が理論密度の90%以上、臨界電流密度が1000A/cm以上である超電導線材。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、臨界温度以下の環境において、超電導性を発現する超電導体を用いることによって、高い超電導臨界電流密度が得られる超電導線材とその製法、および、それを用いた超電導マグネットに関するものである。
【0002】
具体的には、電流リード,送電ケーブル,大型マグネット,核磁気共鳴分析装置,医療用磁気共鳴診断装置,超電導電力貯蔵装置,磁気分離装置,磁場中単結晶引き上げ装置,冷凍機冷却超電導マグネット装置,超電導エネルギー貯蔵,超電導発電機,核融合炉用マグネット等の機器に適用されるものである。
【0003】
【従来の技術】
従来、超電導材料としてはニオブチタン(NbTi)、ニオブ3錫(NbSn)等の金属系のものが知られている。しかし、これらの金属系超電導材料は、臨界温度が最も高いニオブ3ゲルマニウム(NbGe)でも23K(ケルビン)であり、冷却には高価な液体ヘリウムを使用しなければならないと云う問題があった。
【0004】
一方、高温超電導体においては、1986年4月に臨界温度が30Kのランタン(La)酸化物系の超電導体が発見されて以降、臨界温度が液体窒素の沸点温度(77K)を超えるイットリウム(Y)系、ビスマス(Bi)系、タリウム(Tl)系、水銀(Hg)系と云うような各銅酸化物系超電導体が相次いで発見された。
【0005】
しかし、これら銅系酸化物は、いわゆるセラミックスで構成されていることから、加工が困難で、数10mを超えるような長尺線においては断面均質性に欠点があった。
【0006】
21世紀に入って、非特許文献1で報告されたように、2ホウ化マグネシウム(MgB)がおよそ40Kで超電導を示すことが見い出された。
【0007】
この材料は、磁場異方性が極めて小さいことから、銅系酸化物のように、結晶方位を基板と揃えなくても実用的な臨界電流密度が得られる。また、曲げ特性にも極めて優れており、超電導線に1.5%の歪みが加わっても、歪みなしの線材に対して90%以上の臨界電流密度が維持できることを本願の発見者らは実験により明らかにしている。
【0008】
また、金属系超電導材料よりも臨界温度が20K以上も高いと云う利点、或いは、非特許文献2に記載されているように、上部臨界磁場が通常のテープ線で約20T、薄膜では約40Tとの報告がある。これらの性質を利用すれば、強磁場中での応用も現実的なものになると考えられる。
【0009】
さらに、この材料は機械加工のみで実用的な臨界電流密度が得られることが分かってきた。熱処理をしないと超電導現象を発現しない従来の超電導線材とは全く異なる性質である。この性質を利用することにより、
▲1▼ 製造工程の短縮可能、
▲2▼ 金属被覆材の選択幅の拡大可能、
▲3▼ コイル巻線および設計自由度の向上、
等が実現できるために、大幅なコスト低減が可能と考えられている。
【0010】
酸化物超電導線材を作製する際、通常用いられる「パウダー・イン・チューブ法」で線材を製造することも可能であるため、極めて魅力的な材料として位置付けられている。
【0011】
また、MgB系線材で実用的な超電導特性が維持できるようになれば、送電ケーブル等の電力応用のみならず、例えば、近年脚光を浴びている分野の一つであるバイオサイエンスへの応用等、様々な分野への貢献が期待できる。
【0012】
しかし、これまでに試作されているMgB系超電導線材は、従来の金属系および酸化物系超電導体に比べて、現状では臨界電流密度、上部臨界磁場および不可逆磁場が低いと云う問題がある。
【0013】
特に、臨界電流密度については、数cm級の短い線材では20K以下の温度領域で10A/cmを超える値が報告されているが、数m級の長尺線材になるとその性能が維持できず、短尺線材に比べて、およそ1桁臨界電流密度が低下する。このため、特に長尺線材を用いた実用を考えると、臨界電流密度を大幅に向上させる必要がある。
【0014】
【非特許文献1】Nature 410、63−64(2001年)
【非特許文献2】cond−mat/0108265
【発明が解決しようとする課題】
前記のような課題を解決すべく、MgBを高圧下で合成すること、MgBの単相化を進めること、MgBに金属粉末を添加して結晶粒同士の接合性を向上すること等の検討が鋭意行われている。
【0015】
しかし、長尺線材でも実用的な臨界電流密度,上部臨界磁場および不可逆磁場を維持できるMgB系超電導線材は得られていない。
【0016】
本発明の目的は、上記に鑑み、ホウ素を含む超電導体を充填または内包してなる超電導線材において、磁場中においても実用的な臨界電流密度を有する超電導線材とその製法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これまで主に酸化物超電導線材およびそれを用いたマグネットの応用を目指して研究開発を進めて来た。この中で、臨界電流密度を向上させる項目として、特に以下の4項目が重要であることを明らかにしてきた。
【0018】
(1) 超電導体と熱的に反応しない金属被覆材の選定
(2) 最終形状に加工した際の超電導体の充填密度
(3) 結晶粒同士の接合性の改善
(4) 量子化された磁束線をトラップして、侵入した磁束線を動かないようにするピンニングセンタの導入
である。
【0019】
以上の4項目を同時に実現することで、高い特性を有する超電導線材が得られる。しかし、臨界電流密度は物質固有の値ではなく、作製方法に大きく依存する。このため、酸化物超電導線材や従来金属系超電導線材に適用してきた方法だけでは、臨界電流密度はあまり向上しないことが分かった。即ち、材料によってそれぞれ最適化を行う必要があり、ホウ素を含む超電導体においても独自の検討が必要となった。
【0020】
そこで本発明者らは、上記課題を解決することに注力した結果、従来の超電導線材および長尺線材を用いた超電導コイルに比べて、超電導特性を大幅に向上可能な、新規の超電導線材とその製法を見出したのである。
【0021】
即ち、上記目的は、ホウ素を含む超電導体を充填または内包してなる超電導線材において、該超電導線材に含まれる超電導物質中に金属粉末が添加され、該金属粉末の元素がインジウム,錫,鉛,鉄,マグネシウム,アルミニウムの少なくとも一種から選ばれ、該超電導物質中に平均粒径20μm以下の前記金属粉末が5〜25vol%分散され、最終加工後の超電導線材に含まれる超電導物質の密度が理論密度の90%以上で、臨界電流密度が1000A/cm以上である超電導線材によって達成できる。
【0022】
また、前記超電導線材の表面に、10mm以上の面積を有する欠陥部が線材全長にわたって存在しない超電導線材によって達成できる。
【0023】
また、前記超電導線材の全体厚みをt(mm)、曲げ半径をr(mm)、曲げ歪率ε(%)としたとき、線材に曲げを加えないときの臨界電流密度Jc(0)に対し、90%以上の臨界電流密度Jc(1)が維持できる許容曲げ歪率ε(%)(ε=(t/2r)×100)が0.8%以上である超電導線材によって達成できる。
【0024】
また、前記ホウ素を含む超電導体が、異種の超電導体と複合化された断面構成の超電導線材とすることにより達成できる。このとき、ホウ素を含む超電導体以外の前記異種の超電導体が、ニオブチタンであれば、より効果的である。
【0025】
また、上記超電導線材同士の接続は、ホウ素を含む超電導体を介した接合である接続方法を用いることにより達成できる。
【0026】
また、ホウ素を含む超電導粉末または前駆体粉末に、5〜25vol%のインジウム,錫,鉛,鉄,マグネシウム,アルミニウムの少なくとも1種から選ばれる金属粉末を金属パイプに充填する工程と、該金属パイプを伸線および/または圧延加工する工程において、最終加工後の超電導線材に含まれる超電導物質の密度が理論密度の90%以上であり、かつ、臨界電流密度が1000A/cm以上であることを特徴とする超電導線材の製法により達成できる。
【0027】
このとき、超電導線材を作製する製造工程中に超電導線材に対する加熱処理工程を一度も行わないようにすることで、製造コストが大幅に低減できると云う極めて大きな効果がある。
【0028】
さらにまた、縮径加工した金属パイプを異種の超電導体と複合化する工程を含む超電導線材の製法により、磁場中および20Kを超える温度領域で従来金属系超電導線材に比べて優れた臨界電流特性を有する超電導線材を得ることが可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明における超電導粉末、焼結体、または、塊の製法としては、それぞれの化合物を粉砕,混合し、その混合物を焼成する方法が挙げられる。
【0030】
この方法には、原料化合物の全てを一度に混合する方法や、原料化合物の一部を予め混合した後、残りの原料粉末を混合する方法がある。その際、5〜25vol%の金属粉末を添加すると効果的である。
【0031】
また、インジウム,錫,鉛,鉄,マグネシウム,アルミニウムの少なくとも1種から選ばれる金属粉末であれば、より効果的である。
【0032】
本発明における超電導粉末合成の熱処理温度は、400〜1200℃の範囲内が用いられる。また、必要に応じて酸素ガス,窒素ガス,アルゴンガス,水素ガス等を単独或いは混合して熱処理を行う。さらに、必要に応じて、大気圧以上の圧力で加圧しながら熱処理を行う。
【0033】
本発明における超電導線材の製法は、これまでに多くの方法が提案されているが、ここではその1つの例として、パウダー・イン・チューブ法について詳述する。
【0034】
上記の方法で超電導体、或いは、前駆体を合成後、適当なサイズに粉砕,焼結したものをパイプ状の金属被覆材に充填する。該金属被覆材には銀,アルミニウム,銅,鉄,白金,パラジウム,ニッケル,ステンレス,クロム,マグネシウム,タンタル,ニオブ,チタン,錫,ベリリウム,タングステン,コバルトから選ばれる1種以上を用いる。
【0035】
また、銅−アルミ合金(アームズブロンズ)も有効な金属被覆材とになり得る。金属被覆材は、超電導体と熱的に反応しないことは勿論、量産化を考えると加工性が良好なことが必要である。
【0036】
また、線材の多芯化を行う場合には、複数の金属被覆材が配置されることになるが、それらの種類や材質等が異なっても差し支えない。
【0037】
その場合、被覆材が二重構造の場合、内側および外側の金属被覆材は超電導体と熱的な反応を起こさないものが好ましいが、外側の金属被覆材は反応だけでなく、高強度のものとするのがより望ましい。これにより、被覆材兼補強材とすることができると云うメリットがある。また、これらの金属の表面に酸化皮膜等の絶縁膜を形成すれば、さらに絶縁材の役割を果たすことが可能になる。
【0038】
線材の縮径加工は、ドローベンチ,スエージャー,カセットローラーダイス、或いは、溝ロールを用いて1パス当りの断面減少率が1〜20%程度の伸線加工を繰り返し行う。必要に応じて、線材の多芯化を行うが、多芯化を行う方法は、丸断面形状或いは六角断面形状に伸線加工した線材をパイプに組み込み、上記の装置を用いて、1パス当りの断面減少率が1〜20%程度で、所定とする線径まで伸線する。
【0039】
ここでの工程は、線材を所望の形状にすると同時に、金属被覆材内に充填された超電導粉末を高密度化する作用がある。さらに緻密化を図るため、冷間或いは熱間圧延機で加工し、平角状或いはテープ状の断面とし、適切な温度や雰囲気で熱処理をすることによって、高い臨界電流密度の線材が得られる。
【0040】
本発明における超電導線材は、最終形状に加工された場合の超電導体の密度が理論密度に対して90%以上の場合に、高い臨界電流密度を有する線材が得られる。
【0041】
本発明における超電導線材は、第66回2002年度春季低温工学・超電導学会,講演概要集,148頁に記載されているように、ホウ素系超電導線材は、曲げ特性に優れ、およそ1%の曲げ歪を加えても、臨界電流密度は劣化しない。これは、従来金属系超電導線材や酸化物超電導線材よりも優れており、極めて大きな特長の1つと云うことができる。
【0042】
本発明における超電導線材の最終的な熱処理温度としては、200〜1200℃の温度が用いられるが、熱処理を行わなくても高い臨界電流密度が得られる。
【0043】
これは、線材の縮径加工々程や変形加工々程で、結晶粒同士の接合性が良好な状態になるためであると本発明者らは実験により確認している。但し、結晶粒同士の接合性を向上するには、加熱処理は有効であり、場合によっては臨界電流密度が10%近く向上することがある。
【0044】
しかし、臨界電流密度を向上させるに適する超電導体の平均結晶粒径は20μm以下であり、この粒径が20μmを超えると臨界電流密度が低下することを確認している。
【0045】
作製した線材は、目的に応じて一本以上複合させてコイル状に巻いたり、リード線状やケーブル線状に成形して利用する。
【0046】
熱処理を行う場合は、超電導体の特性を高めるため、熱処理雰囲気が材料によって選択される。例えば、酸素ガス,窒素ガス,アルゴンガス,水素ガスを単独或いは混合したガスを適当な流量の気流または封入し、熱処理する。
【0047】
また、MgB系超電導体では、蒸気圧の高いマグネシウムが熱処理中に飛散して組成ずれを生じ、超電導特性を劣化する場合がある。これには、例えば、マグネシウム焼結体を同時に熱処理する等して、擬マグネシウム雰囲気を形成した状態で熱処理すると効果的である。さらに、金属被覆材にマグネシウムを含有させることも同様の効果を有する。
【0048】
また、本発明における超電導体よりも融点が低い金属粉末を添加することにより、結晶粒間の接合性が向上し、高い臨界電流密度が得られる。添加した金属が超電導体の結晶粒界および粒内に分散することで、ピンニング力を高めることも可能となる。
【0049】
さらに、MgB超電導体が有する大きなξを利用した結晶粒間の近接効果の可能性に着目し、結晶粒同士の接合性の改善を試みた。
【0050】
金属粉末の元素としては、低融点材料のインジウム,錫,鉛が望ましいが、鉄,マグネシウムまたはアルミニウムを含んでも良い。そして、平均結晶粒径が20μm以下であることが望ましい。これは、添加金属が非超電導層であるために超電導層の粒径よりも大きな場合には、電流パスを遮断するためである。
【0051】
また、添加する量が少な過ぎても、多過ぎても好ましくない。超電導体の体積比率に対して5〜25%が必要なことを本発明者らは実験により確認した。
【0052】
本発明の線材の作製工程において、超電導線材の最終形状に加工する最終加工々程時には、断面積の減少率として5%以上、好ましくは10%以上の加工を施す必要がある。断面減少を行う伸線或いは圧延加工は、上記のように金属被覆材内に充填された超電導体を高密度化する作用がある。
【0053】
さらに、超電導線材に1ton/cm以上の圧力を加えて変形させることも同様の効果を有する。
【0054】
これら上記の方法は、結晶粒同士の接合性を向上させることから、臨界電流密度が向上する。また、縮径加工や変形加工の際に、超電導体もしくは添加した金属粉末の一方、或いは、両方の一部分が溶融することで、結晶粒の接合性がさらに向上することも本発明者らは実験により明らかにした。
【0055】
上記の方法以外にも、例えば溶射法,ドクターブレード法,ディップコート法,スプレーパイロリシス法、或いは、ジェリーロール法等で作製した線材を用いても、同等の超電導特性を得ることが可能である。
【0056】
また、本発明における超電導線材は、線材自身の降伏応力,引張り強さ,ヤング率等の機械強度が極めて高く、強磁場発生時の電磁力に耐え得るマグネットが構成できる。そして、両端抵抗を十分に小さくすることにより、永久電流マグネットが実現できる。
【0057】
また、本発明により製造された超電導体を、例えば、液体ヘリウム中で使用する場合、金属系超電導体や酸化物超電導体と組合せる構造にすることで、より強い磁場を発生する超電導マグネット等の実用導体が実現できる。
【0058】
このときの金属系超電導体としては、NbTi系合金,NbSn系化合物,NbAl系化合物,VGa系,シェブレル系化合物等を用い、必要に応じて2種以上のマグネットを配置する。このときの酸化物超電導体は、Y系,Bi系,Tl系,Hg系,Ag−Pb系の超電導体が望ましい。
【0059】
また、本発明により製造された超電導体を、液体水素,液体ネオン中で使用する場合には、酸化物超電導体と組合せることにより、より高性能の超電導マグネット等の実用導体が実現できる。
【0060】
上記の超電導線材は、超電導マグネットのほかに送電ケーブル,電流リード,MRI装置,NMR装置,SMES装置,超電導発電機,超電導モータ,磁気浮上列車,超電導電磁推進船,超電導変圧器,超電導限流器等に用いることができる。
【0061】
また、超電導線材を所望の形状に加工した導体は、コイル,電流リード,ケーブル等の導体用に変形加工後,組込まれる。また、その使用温度が液体水素温度、或いは、液体ネオン温度以上であれば、一層効果的である。次に、本発明の実施例を示して説明する。
【0062】
〔実施例 1〕
出発原料として、マグネシウム粉末(Mg純度:99%)とアモルファス状ホウ素粉末(B純度:99%)を用いて、マグネシウムとホウ素が原子モル比で1:2になるよう秤量し、10〜60分間混合する。
【0063】
次に、この混合物を700〜1000℃,2〜20時間熱処理し、MgB超電導体を作製する。このとき、大気圧以上の圧力を加えて熱処理することもある。
【0064】
得られた粉末のX線回折分析を行ったところ、強度比換算でMgB超電導体が95%以上含まれていることが分かった。MgB以外には、若干のMgOおよびMgBも含まれていた。
【0065】
上記により作製したMgB超電導粉末に、平均粒径が20μm以下のインジウム金属粉末を単独で0.1〜40vol%添加し、10〜60分混合して混合粉末を作製した。
【0066】
得られた混合粉末を外径10mm×内径8mmの円形断面形状のステンレス鋼パイプに充填した。この際、粉末状のまま充填する以外に、プレス等により作製した円柱状や角状のロッドを充填しても構わない。これを、断面積の減少率3〜20%で伸線加工し、所定形状まで縮径する。必要に応じて、線材の横断面形状を楕円形,六角形,平角形または丸形状に減面加工する。
【0067】
本実施例では、厚さ0.2〜0.5mm、幅2〜5mmのテープ状線材になるまで縮径加工した。
【0068】
図1は、作製した超電導線材1の断面模式図の一例である。超電導線材1は、金属被覆材2の中にMgB超電導体3が充填または内包されている。なお、ここでは、線材加工時に熱処理や焼鈍等の加熱処理は全く行わなかった。また、場合によっては図2のように、MgB超電導体3を7〜1320本程度組込んだ多芯線とすることもできる。
【0069】
なお、テープ状線材の厚さや幅、および厚みと幅の比率であるアスペクト比も限定されず、例えば、丸形状或いは丸に極めて近いものから、幅広の極薄テープ状まで、様々な線材形状に加工しても差し支えない。
【0070】
円形,楕円形,矩形または六角形の線材の外径は、対辺の長さが最も短い部分で1〜2mm程度が実用上好ましいが、用途や通電電流に応じて適切な外径および寸法とすることができる。
【0071】
図3は、本実施例で作製したMgB2線材の製造工程の一例である。これまで記述したように、最終的に超電導物質の密度が理論密度の90%になるまで縮径加工することが重要である。
【0072】
本実施例で作製した線材の臨界温度を直流四端子法で測定したところ、混合粉末の添加量が1〜25vol%では、いずれの線材も35〜38Kで、それぞれ電気抵抗がゼロになることが確認できた。しかし、25vol%を超えると、臨界温度が30K以下まで低下した。
【0073】
次に、作製した各線材の臨界電流密度を温度4.2K、磁場0.2T中で測定した。なお、比較材として作製した金属粉末を一切添加しない無添加線材の温度4.2K、磁場0.2T中における臨界電流密度は(3〜4)×10A/cmであった。
【0074】
まず始めに、インジウム粉末の添加効果について検討した。その結果、表1に示すように、インジウム粉末をMgB粉末に対して5〜25vol%添加することにより、臨界電流密度が大きく向上することが明らかになった。
【0075】
以上の結果から、インジウム以外の種々の金属の添加効果を検討した。具体的には、MgB超電導粉末に、平均粒径が20μm以下の錫,鉛,鉄,マグネシウム,アルミニウム,金,銀の各金属粉末を、それぞれ単独で0.1〜40vol%添加し、各混合粉末を作製した。
【0076】
また、インジウムと錫の金属粉末を混合してMgB超電導粉末に0.1〜40vol%添加,混合した粉末も作製した。その際、添加する体積に対し、1/2がインジウム、1/2が錫になるように秤量した。
【0077】
つまり、MgB超電導粉末に対し、20vol%添加する場合には、インジウム粉末および錫粉末をそれぞれ10vol%添加し、合計で20vol%とした。
【0078】
作製した各線材の臨界電流密度(×10A/cm)を、温度4.2K、磁場0.2T中で測定した。測定結果を表1に示す。
【0079】
【表1】
Figure 2004192934
【0080】
以上のように、粒径が20μm以下のインジウム粉末の他、錫,鉛,鉄,マグネシウム,アルミニウムの各金属粉末、および、インジウムと錫の混合金属粉末を、MgB粉末に対して5〜25vol%添加することにより、臨界電流密度が大きく向上することが分かった。
【0081】
次に、粒径が20μm以下のインジウム粉末を16vol%添加した線材において、最終加工後の超電導線材中における超電導物質の密度(%)と臨界電流密度の関係を検討した。その結果を表2に示す。超電導物質の密度は理論密度に対しての値であり、パーセント表示してある。なお、密度は線材の加工度を調整することにより行った。
【0082】
また、本実施例では、充填粉末の密度を理論密度の50%とし、臨界電流密度(×10A/cm)の測定は、温度4.2K、磁場0.2T中で行った。
【0083】
【表2】
Figure 2004192934
【0084】
以上のように、インジウム粉末を16vol%添加した場合、超電導線材中に含まれる超電導物質の密度が、理論密度に対して90%を超えると、臨界電流密度が大きく向上することが明らかになった。
【0085】
また、その後の詳細な実験により、インジウム粉末を5〜25vol%添加した場合も同様に、超電導線材中に含まれる超電導物質の密度が、理論密度に対して90%を超えると、臨界電流密度が大きく向上することを確認した。
【0086】
さらに、粒径が20μm以下の錫,鉛,鉄,マグネシウム,アルミニウムの各金属粉末、および、インジウムと錫を混合金属粉末を、MgB粉末に対して5〜25vol%添加した超電導線材を用い、超電導物質の密度と臨界電流密度の検討を行った。
【0087】
その結果、インジウム粉末を添加した場合と同様に、超電導線材中に含まれる超電導物質の密度が、理論密度に対して90%を超えると、臨界電流密度が大きく向上することが分かった。即ち、無添加の線材よりも臨界電流密度が向上している金属粉末添加線材は、超電導物質の密度が理論密度に対して90%以上になっていることが確認できた。
【0088】
次に、走査型電子顕微鏡により、各線材の断面観察を行った結果、添加した金属元素を見つけることができなかった。さらに、透過型電子顕微鏡により、断面の観察を行った結果、金属元素は超電導体の結晶粒界に存在していることが確認できた。
【0089】
このことから、臨界電流密度が向上した要因として、添加した金属粉が結晶粒同士の接合性を向上させると考えられる。特に、超電導体に比べて低融点金属を添加した場合には、結晶粒界に金属が浸透していることが分かった。これは、線材加工時の加工熱により、金属が溶融したためと推察される。
【0090】
一方、超電導体よりも融点が高いマグネシウムやアルミニウム等の金属においては、それらが結晶粒内に存在しており、ピンニングセンタとして作用していることが確認できた。
【0091】
また、断面観察を行うに従い、線材の高臨界電流密度化には、超電導体の平均結晶粒径と添加する金属粉末の平均結晶粒径の関係も重要なことが分かった。即ち、超電導体の方が金属粉末よりも平均結晶粒径が大きくないと何ら効果を示さず、むしろ臨界温度や臨界電流密度が低下することが分かった。
【0092】
さらに、超電導体および添加金属の各平均結晶粒径は、より小さい方が好ましく、1〜20μmの範囲内においては、本実施例で検討した臨界電流密度を得ることができた。これに対し、20μmを超えると、平均結晶粒径の増大に伴い、臨界電流密度が低下することが分かった。
【0093】
以上の結果から、超電導体および添加金属は、それぞれ平均結晶粒径を20μm以下にすることが、線材の高臨界電流密度化に効果があることが明らかとなった。
【0094】
本実施例は、ステンレス鋼シース超電導線材での検討結果であるが、例えば、NiやNi基合金或いはCu基合金等、ビッカース硬さが150以上の金属をシース材として使用した場合には、上記と同様の結果が得られる。
【0095】
〔実施例 2〕
粒径が20μm以下のインジウムと錫を混合した金属粉末を、MgB粉末に対して15vol%(インジウム:7.5vol%、錫:7.5vol%)添加し、混合粉末を作製した。
【0096】
この混合粉末を外径7mm×内径6mmの円形断面形状を有するステンレス鋼パイプに充填した以外は、実施例1と同様にして図1の様な線材を作製した。但し、この線材は、実施例1に比べてシース肉厚が薄いため、線材全体に占めるシース割合が小さい。このため、全長に亘って割れが発生した。
【0097】
本実施例では、全長に亘り発生した割れの面積の大小が、臨界電流密度にどの程度影響するかを明らかにするため、線材に生じた割れ等の加工欠陥の面積と、臨界電流密度との関係について検討し、その結果を表3に示した。
【0098】
なお、ここでの加工欠陥の面積は、シースが割れて、超電導線材中の超電導体が表面に析出した面積と定義する。臨界電流密度の測定は、温度4.2K、磁場0.2T中で行い、欠陥部が中央となるように、電圧端子を取り付けた。
【0099】
【表3】
Figure 2004192934
【0100】
以上の結果から、超電導線材の表面に10mm以上の面積を有する欠陥部が生じると、臨界電流密度が大きく低下することが分かった。これより、高い臨界電流密度を維持するには、使用する線材全長に亘って、10mm以上の欠陥部が存在しない線材の作製が必要なことが分かった。
【0101】
本実施例は、ステンレス鋼シース超電導線材での検討結果であるが、その他の金属をシース材として使用した場合にも、上記と同様の結果が得られる。
【0102】
〔実施例 3〕
実施例1,2で作製した種々の線材を用いて、許容曲げ歪率を検討した。実際には、
(1) 最終加工後の超電導物質の密度が理論密度の90%以下の線材4、
(2) 最終加工後の超電導物質の密度が理論密度の90%以上の線材5、
(3) 表面に生じる加工欠陥が10mm未満の線材6、
(4) 表面に生じる加工欠陥が10mm以上の線材7、
の4種を用いた。
【0103】
ここで、曲げ歪率εは、ε=((t/2r)×100)(%)で求めた。但し、t:線材全体の厚み(mm)、r:曲げ半径(mm)である。その結果を図4のグラフに示す。
【0104】
臨界電流密度の測定は温度4.2K,磁場0.2T中で行った。なお、曲げ歪は、種々のrに加工した真鍮製治具を用いた。曲げを加えない場合の臨界電流密度は各線材によって異なるので、図では曲げを加えない線材の臨界電流密度を1として規格化している。
【0105】
実施例1,2でも述べたように、臨界電流密度が高い上記の(2)最終加工後の超電導物質の密度が理論密度の90%以上の線材5と、(3)表面に生じる加工欠陥が10mm未満の線材6は、許容曲げ歪率が0.9〜1%であった。これに対し、臨界電流密度が低い上記の(1)最終加工後の超電導物質の密度が理論密度の90%以下の線材4と、(4)表面に生じる加工欠陥が10mm以上の線材7は、許容曲げ歪率が0.3〜0.35%まで低下した。
【0106】
以上により、最終加工後の超電導物質の密度が理論密度の90%以上で、かつ、表面に生じる加工欠陥が10mm未満の線材は、許容曲げ歪率が高くなることが分かった。
【0107】
本実施例は、ステンレス鋼シース超電導線材での検討結果であるが、その他の金属、特に、ビッカース硬さが150以上の金属をシース材として使用した場合にも、上記と同様の結果が得られる。
【0108】
〔実施例 4〕
粒径が20μm以下のインジウム粉末を、MgB粉末に対して16vol%添加し、混合粉末を調製した。この混合粉末を外径8mm×内径6mmの円形断面形状を有するステンレス鋼パイプに充填した。その後、断面積の減少率3〜19%で伸線加工し、外径が所望の径になるまで縮径した。
【0109】
次に、異種の超電導体と複合化する目的で、NbTi線材を作製した。作製方法を以下に簡単に述べる。
【0110】
NbTiはインゴット工程を経た後、静水圧押し出し、および、所望の径になるまで伸線を行って単芯線を得た。作製したNbTiの外周には、銅が被覆されている。その後、この線材の中心部をくり抜き、パイプ状に成形加工した。
【0111】
次に、図5〜図8に示す様な横断面構造となるように、第1の超電導体8と第2の超電導体9とを複合化した。本実施例では、第1の超電導体8にはMgB超電導体を、第2の超電導体9にはNbTi超電導体を用いたが、本効果はこれ以外の超電導体でもよい。
【0112】
図5では、MgB超電導体8とNbTi超電導体9との界面にはステンレス鋼10が配置され、最外層11には銅が用いられている。なお、MgB超電導体8とNbTi超電導体9の幾何学的配置は、逆の配置になっても問題ない。
【0113】
また、NbTi超電導体9には金属系超電導材料のNbSn系,(NbTi)Sn系,NbAl系,NbGe系,VGa系、或いは、酸化物系超電導材料のY系、Bi系、Tl系、Ag−Pb系、Hg系の超電導体が配置されていてもよい。
【0114】
上記の配置を行うことで、例えば、MgB超電導体8とNbTi超電導体9の組合せの場合、ある温度領域まではNbTi超電導体の超電導特性が主として活用でき、ある温度領域を超えると臨界温度の高いMgB2超電導体の超電導特性を活用できる。
【0115】
また、温度のみならず、印加磁場や磁場の印加角度等でも2種以上の複合化を行うことで、有効な超電導特性を得ることが可能となる。
【0116】
図6は、図5とほぼ同様の断面であるが、偏平断面のテープ形状であることに違いがある。特に、高い臨界電流密度を必要とする場合には、この形状が最も効果的である。これは、テープ状にすることで、超電導体の高密度化が実現できるからである。このような構造の超電導線を構成することにより、種々の用途への応用が一層容易になる。
【0117】
図7は、多芯構造を有する複合超電導線の横断面である。即ち、MgB超電導体8を多芯線材としてステンレス鋼10中に配置している。このようにすることで、線材のツイストが容易となり、交流損失が低減可能できると云うメリットがある。
【0118】
図8は、偏平形状の多芯構造を有する複合超電導線の横断面である。こうすることにより、MgB超電導体8が、高い配向性を付与される効果があり、優れた臨界電流特性を得ることができる。
【0119】
図9は、図6に示す断面構成を有する。
【0120】
(1) MgB超電導体とNbTi超電導体の組合せの線材12、
(2) MgB超電導体とNbAl超電導体の組合せの線材13、
(3) 複合化せずMgB超電導体のみとした線材14、
における温度4.2K中での臨界電流密度の温度依存性における複合化効果を示すグラフである。
【0121】
複合化せずMgB超電導体のみとした線材14の場合に比べて、MgB超電導体とNbTi超電導体の組合せの線材12では、特に8K以下での臨界電流特性が向上した。
【0122】
また、MgB超電導体とNbAl超電導体の組合せの線材13についても、15K以下での臨界電流特性が向上した。
【0123】
さらに、その後の実験で、MgB超電導体とNbTi超電導体の組合せの線材12において、臨界電流密度の磁場依存性を測定した結果、7T以上の磁場中で臨界電流密度の大幅な向上が認められた。これらは、各超電導材料の臨界温度や臨界磁場を鑑みると妥当な値であり、複合超電導線とすることで、一方が超電導状態を失しても、残りの一方で超電導状態を維持でることを実証している。
【0124】
〔実施例 5〕
図10,11は、本発明の複合超電導線同士の接続方法を示す模式断面図である。前記のように作製した単独の超電導線或いは複合の超電導線15の先端部を互いに突合せ、または、線同士を重ね合せ、その表面にMgB粉末16を0.05〜5g塗布、または、まぶし、1ton/cm程度の圧力をかけて接合することにより、超電導状態で接合が可能となる。
【0125】
この際、圧力を加える箇所にステンレス鋼やNi或いはNi基合金など、高硬度のブロック状の金属17を配置することで、より効果的な接合ができる。こうすることで、粉末の飛散を防止する効果が得られる。
【0126】
本構成において、例えば、酸化物系と金属系の接続においては従来は10−10Ωの抵抗を有していたが、本実施例による接続方法で接合した複合超電導線15を用いることにより、抵抗値が10−14Ωまで低減した。
【0127】
以上は複合超電導線を用いた接合であるが、MgB線材、従来金属系超電導線材、或いは、酸化物超電導線材のそれぞれ単独の線材でも差し支えなく、どのようなタイプの線材でも適用可能な技術であることを確認した。
【0128】
また、接合部の強度を高める目的で、接合部をエポキシ樹脂により含浸,硬化することにより、さらに強度を増すことができる。該樹脂としてはシリコン系,ウレタン系等でもよく、目的に応じて選択することができる。
【0129】
本発明の線材は、広く超電導機器に適用することが可能で、例えば、大型マグネット,核磁気共鳴分析装置,医療用磁気共鳴診断装置,超電導電力貯蔵装置,磁気分離装置,磁場中単結晶引上装置,冷凍機冷却超電導マグネット装置等に利用することにより、機器の高効率化を達成できると云う優れた効果が得られる。
【0130】
【発明の効果】
本発明によれば、実用的な臨界電流密度を持つ超電導線材を得ることが可能になる。
【0131】
また、超電導線材および超電導マグネットは、液体ヘリウムによる冷却は勿論のこと、液体水素,液体ネオン,冷凍機伝導冷却等による冷却による運転を可能とし、かつ、磁場中においても高い超電導臨界電流密度のものが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の丸形状超電導線材の断面模式図である。
【図2】本発明のテープ形状超電導線材の断面模式図である。
【図3】本発明の超電導線材を製造するための工程の一例を示す図である。
【図4】本発明で製造した各種超電導線材の曲げ歪率と規格化臨界電流密度の関係を示すグラフ図である。
【図5】本発明の複合超電導線材の断面模式図である。
【図6】本発明の複合超電導線材の断面模式図である。
【図7】本発明の複合超電導線材の断面模式図である。
【図8】本発明の複合超電導線材の断面模式図である。
【図9】本発明で製造した各種超電導線材の臨界電流密度の温度依存性を示すグラフ図である。
【図10】本発明の超電導線材の接続を示す模式断面図である。
【図11】本発明の超電導線材の接続を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1…超電導線材、2…金属被覆材、3…MgB超電導体、4…最終加工後の超電導物質の密度が理論密度の90%以下の線材、5…最終加工後の超電導物質の密度が理論密度の90%以上の線材、6…表面に生じる加工欠陥が10mm未満の線材、7…表面に生じる加工欠陥が10mm以上の線材、8…第1の超電導体、9…第2の超電導体、10…内層金属被覆材、11…外層金属被覆材、12…MgB超電導体とNbTi超電導体の組合せの線材、13…MgB超電導体とNbAl超電導体の組合せの線材、14…複合化せずMgB超電導体のみとした線材、15…単独の超電導線或いは複合の超電導線、16…MgB粉末、17…高硬度のブロック状の金属。

Claims (7)

  1. ホウ素を含む超電導体を充填または内包してなる超電導線材において、該超電導線材に含まれる超電導物質中に金属粉末が添加され、該金属粉末がインジウム,錫,鉛,鉄,マグネシウム,アルミニウムの少なくとも1種から選ばれ、前記超電導物質中に平均粒径20μm以下の前記金属粉末が5〜25vol%分散され、最終加工後の該超電導線材に含まれる超電導物質の密度が理論密度の90%以上、臨界電流密度が1000A/cm以上であることを特徴とする超電導線材。
  2. 前記超電導線材の表面に、10mm以上の面積を有する欠陥部が線材全長にわたって存在していない請求項1に記載の超電導線材。
  3. 前記超電導線材の全体厚みをt、曲げ半径をr、曲げ歪率εとしたとき、線材に曲げを加えないときの臨界電流密度Jc(0)に対し、90%以上の臨界電流密度Jc(1)が維持できる曲げ歪率を許容曲げ歪率とした場合、許容曲げ歪率ε(%)(ε=(t/2r)×100)が0.8%以上である請求項1または2に記載の超電導線材。
  4. 前記ホウ素を含む超電導体が、異種の超電導体と複合化されている請求項1,2または3に記載の超電導線材。
  5. 前記異種の超電導体が、ニオブチタンである請求項4に記載の超電導線材。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の超電導線材同士の接続がホウ素を含む超電導体を介した接合であることを特徴とする超電導線材。
  7. ホウ素を含む超電導粉末に平均粒径が20μm以下で、かつ、5〜25vol%のインジウム,錫,鉛,鉄,マグネシウム,アルミニウムの少なくとも1種から選ばれる金属粉末を混合し、混合粉末を作製する工程と、該混合粉末を金属パイプに充填する工程と、該金属パイプを伸線および/または圧延加工する工程において、最終加工後の超電導線材に含まれる超電導物質の密度が理論密度の90%以上で、かつ、臨界電流密度が1000A/cm以上であることを特徴とする超電導線材の製法。
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